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同じ「久山町研究」なのになぜ結論が真逆? 糖尿病が増えた理由を研究結果から読み解く

Xを見ていると、とても興味深い議論がありました。

福岡県久山町で長期間行われている「久山町研究」について、

久山町では糖尿病予防のために従来型の糖尿病食を指導したにもかかわらず、糖尿病が増えた。つまり、高糖質・低脂質の日本食では糖尿病を防げないのではないか。

という意見がある一方、

まったく逆で、久山町では食生活の変化や肥満などが糖尿病増加の背景として考えられる。伝統的な日本食が原因だったわけではない。

という意見もあります。

不思議なのは、どちらも「久山町研究」を根拠として挙げていることです。

いったい、どちらが正しいのでしょうか。

久山町研究の論文や資料を確認していくと、この問題は「糖質制限か、日本食か」という単純な話ではありません。

むしろ、

「研究で実際に確認された事実」と「その事実を説明するための仮説」を分けて考えることが大切

だということがよく分かる事例でした。

■まず「久山町研究」とは?

久山町研究は、福岡県久山町の地域住民を対象に1961年から続けられている疫学研究です[1,2]。

久山町研究の公式資料によると、40歳以上を対象に複数のコホートが設定され、その後の健康状態について継続的な追跡が行われています[1,2]。

そのため、「日本人にどのような病気が起こっているのか」「どのような要因と病気が関連しているのか」を長期間検討するうえで重要な疫学研究です。

糖尿病についても、非常に興味深い調査が行われています。

■1988年から2002年に糖尿病は増えていた

ここは今回の議論の出発点です。

久山町の40~79歳の地域住民を対象とした1988年と2002年の調査では、75g経口糖負荷試験(OGTT)によって耐糖能が評価されています[3,4]。

その結果、糖尿病の頻度は、

男性:15.0% → 23.6%

女性:9.9% → 13.4%

へ上昇していました[3]。

また、その後に1988年、2002年、2007年、2012年の4回の調査を比較した研究でも、1988年から2002年にかけて2型糖尿病の年齢調整有病率が男女とも有意に増加したことが報告されています[4]。

したがって、

「1988年から2002年にかけて久山町で糖尿病有病率が上昇した」

というところまでは、研究結果として言えることです。

問題はここからです。

なぜ糖尿病が増えたのでしょうか?

■「糖尿病が増えた」と「○○が糖尿病を増やした」は違う

ここが今回の議論で最も重要なポイントです。

研究で観察されたのは、

1988年より2002年のほうが糖尿病の割合が高かった

という現象です[3,4]。

ところが、ここから、

高糖質・低脂質の食事指導が行われた
↓
それでも糖尿病が増えた
↓
高糖質・低脂質食が糖尿病を増やした

と考えると、一つ重要な段階が抜け落ちています。

「一緒に起きたこと」と「それが原因だったこと」は同じではないからです。

■「町全体を使った高糖質食の介入試験」ではない

久山町研究そのものは長年にわたる貴重な疫学研究ですが、1988年と2002年の糖尿病有病率の比較を、

「高糖質・低脂質食の効果を調べた14年間の食事介入試験」

と捉えるのは適切ではありません。

1988年、2002年、2007年、2012年の糖尿病有病率を調べた論文では、4回の横断調査を使って時代的推移を分析しています[4]。

つまり、このデータから確認できるのは、異なる時点で調査された久山町住民の糖尿病有病率がどのように変化したかです。

そのため、この比較だけから、

「住民が14年間、糖質50~60%の食生活を守り続け、その結果として糖尿病になった」

とは言えません。

ここはかなり重要です。

「食事指導が行われていた地域で糖尿病が増えた」という話と、「その食事指導によって糖尿病が増えた」という因果関係は別の問題です。

■久山町の実際の食生活も変化していた

では、久山町住民はずっと「昔ながらの日本食」を食べ続けていたのでしょうか。

久山町研究の栄養調査を見ると、そう単純でもありません。

文献[3]には、久山町住民の三大栄養素のエネルギー比などについて、次のデータが掲載されています。

年 炭水化物エネルギー比 脂質エネルギー比 動物性脂質比1965 68.6% 15.6% 29.9%
1985 55.9% 25.4% 42.3%
1994 54.2% 26.2% 41.2%
2004 57.2% 24.5% 47.5%

[3]

長期的に見ると、1965年から1985年にかけて炭水化物エネルギー比は68.6%から55.9%へ低下し、脂質エネルギー比は15.6%から25.4%へ上昇しています。また、動物性脂質比も1965年の29.9%から2004年には47.5%となっています[3]。

したがって、

「久山町住民は昔ながらの高炭水化物・低脂質食をずっと維持し、その結果として糖尿病が増えた」

と単純に説明することは難しいでしょう。

ただし、逆方向にも注意が必要です。

この栄養摂取状況の変化だけを見て、

「食生活が変化したから糖尿病が増えた」

と因果関係まで断定することもできません。

食生活が変化したという観察結果と、それが糖尿病増加の原因だったという結論も、やはり別だからです。

■実は2002年以降、糖尿病は増え続けていない

ここは「久山町の悲劇」というストーリーだけを読むと見落としやすい部分です。

その後、久山町研究では1988年、2002年、2007年、2012年の4回の調査が比較されています[4]。

OGTTで評価した2型糖尿病の年齢調整有病率は、

1988~2002年:男女とも有意に増加
2002~2012年:男性では有意な増加なし
2002~2012年:女性では統計学的に有意ではないものの減少傾向

でした[4]。

さらに前糖尿病については、男性では1988年から2002年に増加した後、2002年から2012年には有意に低下しました。女性も同じようなパターンでしたが、統計学的有意差には至りませんでした[4]。

つまり、

「久山町では糖尿病が増え続けた」

という表現も正確ではありません。

正確には、

1988年から2002年に糖尿病有病率が大きく上昇し、その後はOGTTで評価した有病率のさらなる上昇は確認されなかった

ということになります[4]。

■では、研究者自身は何に注目したのか?

1988~2012年の研究で研究者が注目した要因の一つがBMIです。

特に、高齢者では1988年から2002年にBMIが大きく上昇した年齢層と、糖尿病有病率の上昇がみられた年齢層に対応するパターンがありました[4]。

論文では、BMIの時代的変化が2型糖尿病有病率の推移に寄与した可能性があり、肥満の管理が糖尿病有病率を低下させるうえで重要である可能性を指摘しています[4]。

ただし、ここにも注意が必要です。

研究者は、

「肥満だけが糖尿病増加の原因だった」

と証明したわけではありません。

あくまで、BMIの変化が糖尿病有病率の時代的推移に寄与した可能性を示していると考えるのが適切でしょう[4]。

■食事そのものを調べた別の久山町研究もある

久山町研究には、食事と耐糖能異常の発症を前向きに調べた研究もあります[5]。

1988年に正常耐糖能だった40~74歳の1,075人を1993~1994年まで追跡し、食事要因とIGT・糖尿病の発症との関連を調べました。

追跡期間中、

119人がIGTを発症
24人が糖尿病を発症

しました[5]。

多変量解析では、男性ではベースライン時の飲酒量、女性では追跡期間中のP/S比(多価不飽和脂肪酸/飽和脂肪酸比)の低下が耐糖能異常と関連していました[5]。

少なくとも、この研究の結論も、

「炭水化物を多く摂ったため糖尿病になった」

というものではありません[5]。

もちろん、この研究も観察研究なので、特定の栄養素だけが糖尿病の唯一の原因だったと証明するものではありません。

■ではなぜ「久山町の悲劇」という話になるのか?

実は、「糖尿病、久山町の悲劇と糖質制限法」というタイトルの2017年の総説があります[6]。

この総説では、

従来の糖尿病食では糖尿病発症を予防できないことが久山町研究で示された

という立場から久山町研究が論じられています[6]。

ここで重要なのは、久山町研究で観察された事実と、その事実をどう解釈するかを分けることです。

整理すると、

久山町研究から比較的明確に言えること
・1988年から2002年に糖尿病有病率が上昇した[3,4]
・2002年以降はOGTTで評価した2型糖尿病有病率のさらなる増加は確認されなかった[4]
・久山町住民の栄養摂取状況は長期的に変化していた[3]
・糖尿病有病率とBMIの時代的変化に対応する部分がみられ、研究者はBMIが寄与した可能性を指摘した[4]
・食事を前向きに調べた別の研究では、男性の飲酒、女性のP/S比低下と耐糖能異常との関連が報告された[5]

ここまでは研究から確認できることです。

ここから先は「解釈・仮説」

一方、

高糖質・低脂質食を食べたから糖尿病が増えた

というのは、久山町の糖尿病増加という現象を説明しようとする一つの解釈です。

逆に、

日本食から食生活が変化したから糖尿病が増えた

という説明についても、それを単独の原因として断定するなら、研究で直接証明された事実とは区別する必要があります。

さらに、

厚生労働省が推奨するPFCバランスが糖尿病を増やしている

というところまで広げることは、今回確認した久山町研究の結果から直接導くことはできません。

大切なのは「事実 → 仮説 → 検証」を飛ばさないこと

疫学研究を読むときには、

事実
↓
原因についての仮説
↓
その仮説を検証する研究

を区別することが大切です。

今回なら、

事実

1988~2002年に久山町で糖尿病有病率が上昇した[3,4]。

■そこから考えられる仮説

仮説A
食事の栄養素構成が影響したのではないか。

仮説B
肥満・BMIの上昇が影響したのではないか。

仮説C
食生活を含む生活習慣の時代的変化が影響したのではないか。

このように仮説を立てること自体に問題はありません。

むしろ、観察された現象について仮説を立て、その仮説を別の研究によって検証することが科学では重要です。

問題になるのは、

「自分の仮説と研究結果が矛盾しない」

ことを、

「研究によって自分の仮説が証明された」

と置き換えてしまうことです。

■同じ研究からなぜ正反対の結論が生まれるのか?

今回のX上の議論を見ていて興味深いのは、ここだと思います。

「1988~2002年に久山町で糖尿病が増えた」

という出発点は同じです[3,4]。

ところが、その原因を、

「従来型の高糖質・低脂質食だった」

と考えれば、

「従来型糖尿病食では糖尿病を予防できなかった」

という話になります[6]。

一方、

「肥満や食生活など生活習慣の変化だった」

と考えれば、

まったく違ったストーリーになります。

つまり、同じデータを見ていても「事実」と「原因についての仮説」を一緒にしてしまうと、正反対の結論まで作れてしまうわけです。

だからこそ、

「その研究で本当に確認されたことは何なのか?」

「どこから先が研究者や投稿者による解釈なのか?」

を切り分けて読む必要があります。

■まとめ

久山町研究から、

「伝統的な日本食を続けると糖尿病になる」

と結論づけることは難しいでしょう。

一方で、

「伝統的な日本食なら糖尿病にならない」

と結論づけることもできません。

研究から比較的明確に確認できるのは、1988年から2002年に久山町で糖尿病有病率が上昇したことです[3,4]。

その後の研究では2002年以降のさらなる増加は確認されず、BMIの時代的変化が糖尿病有病率の推移に寄与した可能性なども指摘されています[4]。

そして今回の議論で最も大切なのは、

研究で確認された「事実」と、その事実を説明するための「仮説」は別である

ということではないでしょうか。

研究結果を読むとき、

「この研究で直接確認されたのはどこまで?」

「ここから先はデータなのか、それとも解釈なのか?」

と一度立ち止まる。

それだけでも、SNSで正反対の主張を見たときに、研究をかなり冷静に読み解けるようになるのではないでしょうか。

【参考文献・資料】

[1]九州大学大学院医学研究院「久山町研究」
久山町研究の公式サイトです。福岡県久山町の地域住民を対象として60年以上にわたり生活習慣病などの疫学調査を行っており、健診受診率、剖検率、追跡率が世界トップレベルであることなど、研究の概要を確認できます。
久山町研究公式サイト

[2]九州大学大学院医学研究院 久山町研究「Trends in cardiovascular diseases and diabetes mellitus」
久山町研究の研究デザインを理解するための公式資料です。1961年以降に複数のコホートが設定され、各コホートの追跡率が99%以上であることなどが説明されています。
Hisayama Study公式解説を読む

[3]川村良一、土井康文、清原裕.「4. 久山町研究の結果から」『糖尿病』2008;51(6):477-479.
久山町における糖尿病・耐糖能異常、肥満、栄養摂取状況の時代的変化をまとめた資料です。1988年から2002年の糖尿病有病率について、男性15.0%→23.6%、女性9.9%→13.4%と報告しています。また、1965~2004年の炭水化物・脂質・動物性脂質などの摂取状況の変化も掲載されています。
J-STAGEで論文PDFを見る

[4]Mukai N, Hata J, Hirakawa Y, et al. “Trends in the prevalence of type 2 diabetes and prediabetes in a Japanese community, 1988–2012: the Hisayama Study.” Diabetology International. 2019;10(3):198-205.
1988、2002、2007、2012年の4回の調査を比較した論文です。OGTTによる2型糖尿病の年齢調整有病率は1988~2002年に増加しましたが、その後は男性でほぼ横ばい、女性では非有意の減少傾向でした。研究者はBMIの時代的変化が糖尿病有病率の推移に寄与した可能性を指摘しています。
PMCで全文を読む

[5]Kiyohara Y, Shinohara A, Kato I, et al. “Dietary Factors and Development of Impaired Glucose Tolerance and Diabetes in a General Japanese Population: The Hisayama Study.” Journal of Epidemiology. 2003;13(5):251-258. DOI: 10.2188/jea.13.251.
1988年時点で正常耐糖能だった1,075人を追跡し、食事要因と耐糖能異常・糖尿病発症を調べた研究です。追跡中に119人がIGT、24人が糖尿病を発症し、多変量解析では男性の飲酒量と女性のP/S比低下が耐糖能異常のリスク因子として残りました。
J-STAGEで論文を見る

[6]江部康二.「糖尿病、久山町の悲劇と糖質制限法」『脂質栄養学』2017;26(1).
久山町研究を「従来の糖尿病食では糖尿病発症を予防できなかった」という観点から論じた総説です。今回の記事では、久山町研究そのものの結論ではなく、研究結果に対する一つの解釈として区別して扱う必要があります。
J-STAGEで総説PDFを見る

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グレート義太夫さん(67歳)死去。過去に糖尿病の合併症や心筋梗塞を告白

独自【訃報】たけし軍団・グレート義太夫さん(67)死去 自宅マンションの階段で倒れていた 所属事務所は「詳細確認中」(2026年9月8日、TBS NEWS DIG)によれば、グレート義太夫さんは2024年8月23日に心筋梗塞で倒れ、10時間にも及ぶ手術を受けたことを、同年9月の公式ブログの投稿で明かしていたそうです。

→ 心筋梗塞の症状・原因・前兆・予防

今回亡くなった原因はわかりませんが、以前から糖尿病の合併症について告白しており、また心筋梗塞のリスク要因の一つが糖尿病でしたので、それが影響したのではないでしょうか?

糖尿病の合併症を患うグレート義太夫さん、視力の低下、糖尿病性腎症による慢性腎不全になり、腎臓が機能していないので人工透析を受けている!/グレート義太夫さんに現れた糖尿病の症状のサインとは?

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■虚血性心疾患とは?

虚血性心疾患の代表例は、狭心症や心筋梗塞です。

→ 心筋梗塞 について詳しくはこちら

虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の4大危険因子は、糖尿病・高血圧・脂質異常症・喫煙です。

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→ 脂質異常症(高脂血症) について詳しくはこちら

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■虚血性心疾患のリスクを下げるには?

●食事からのマグネシウム摂取量が多いグループは虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症リスクが低い|#国立がん研究センター

食事からのマグネシウム摂取量と循環器疾患発症との関係(男性・女性)
食事からのマグネシウム摂取量と循環器疾患発症との関係(男性・女性)

参考画像:食事からのマグネシウム摂取量と虚血性心疾患発症との関連-多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果-(2017/9/8、国立がん研究センター)|スクリーンショット

国立がん研究センターと国立循環器病研究センターの共同研究によれば、食事からのマグネシウム摂取量と循環器疾患(脳卒中及び虚血性心疾患)との関連を検討したところ、マグネシウム摂取量が多いグループは虚血性心疾患の発症リスクが低いことがわかったそうです。

→ マグネシウムの多い食品 はこちら

●魚、果物、大豆による循環器疾患の発症リスク

多目的コホート研究の先行研究では、魚、果物、大豆による循環器疾患の発症リスクの低下が報告されています。

魚・n-3脂肪酸摂取と虚血性心疾患発症との関連について|多目的コホート研究

魚を多く食べるグループで虚血性心疾患のリスクが低下

n-3系多価不脂肪酸摂取量が多いグループで虚血性心疾患のリスクが低下

多目的コホート研究によれば、魚やオメガ3脂肪酸の摂取量が多いと、虚血性心疾患に予防的な効果があるということが示されています。

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野菜・果物と全がん・循環器疾患罹患との関連について|多目的コホート研究

果物で循環器疾患のリスク減

果物の摂取量が最も多いグループでは、最も少ないグループより循環器疾患リスクが19%低いという結果が出ましたが、野菜と循環器疾患リスクとの関連はみられなかったようです。

イソフラボンと脳梗塞・心筋梗塞発症との関連について

大豆をよく食べる女性グループで脳梗塞・心筋梗塞のリスクが低下

大豆を週に5日以上摂取するグループで、週に0-2日摂取するグループに比べて、脳梗塞のリスクが0.64倍、心筋梗塞のリスクが0.55倍、循環器疾患による死亡リスクが0.31倍と低いことがわかっています。

●なぜ喫煙によって虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)リスクが上がってしまうのか?

喫煙は、糖尿病・高血圧・脂質異常症と並び、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の4大危険因子の1つなのだそうです。

なぜ喫煙によって虚血性心疾患リスクが上がってしまうのでしょうか。

喫煙によって、直接血管の壁が傷害され動脈硬化が促進されます。

それだけでなく、喫煙は、血清脂質に悪影響を及ぼし、善玉のHDLコレステロールを減少させ、悪玉のLDLコレステロールを増加させたり、ニコチンを介して血圧上昇させたりすることによって動脈硬化促進を助長させます。

また、フィブリノーゲンなどの凝固因子を増加させ、血小板の粘着及び凝集を高め血栓が形成されやすい(血が固まりやすい)状態となり、血管も収縮しやすくなるので、心筋梗塞の引き金となります。

血管がぼろぼろになる、血液がどろどろになるというのは、決して食事や運動などだけの問題ではないのです。

喫煙が健康への影響について記事の中から簡単にまとめてみました。

喫煙により虚血性心疾患のリスクは約3倍になるそうです。

また、1日の喫煙本数が多いほど心筋梗塞のリスクが増加することがわかったそうです。

逆に、禁煙すると、2年以内で虚血性心疾患の発症リスクが低下したそうです。

【関連記事】

亜鉛サプリは糖尿病に効く? インスリン抵抗性や炎症は改善、血糖値は?




xの投稿によれば、糖尿病・前糖尿病患者に亜鉛を補充すると、インスリン抵抗性(インスリンの効きやすさ)・炎症・酸化ストレスを改善される一方で、血糖値そのものがはっきり下がるとは限らない、とのことです。

これまでもこのブログでは亜鉛と糖尿病の関係について何度か取り上げています。

【関連記事】

そこで改めて、論文の内容を整理してみました。

■結論

亜鉛を補うことで、インスリン抵抗性(インスリンの効きやすさ)や炎症、酸化ストレスは改善しやすいようです。

一方で、血糖値やHbA1cを確実に下げる効果は研究によってばらつきがあり、もともと亜鉛が足りない人や、量・期間によって結果が変わりやすいと考えられます。(ただし他のメタアナリシスでは血糖やHbA1cの低下も報告されている)

■背景

亜鉛は膵臓のβ細胞でインスリンを安定した形(六量体)にまとめ、保存・放出するときに欠かせないミネラルです。

さらにインスリンシグナルの伝達を助けたり、体の抗酸化力(SODなど)を支えたりする役割もあります。

糖尿病になると、血糖が高いことで尿から亜鉛が流れ出やすくなったり、腸での吸収が悪くなったりして、亜鉛が不足しやすくなります。

この不足がさらに糖尿病の状態を悪化させる、という悪循環が起きやすいのです。

■亜鉛欠乏と糖尿病の関連

糖尿病の人では亜鉛が足りないケースが多く、報告によって30〜60%以上とも言われています。

血液中の亜鉛が低い人ほど、血糖コントロールが悪くなったり、神経障害・網膜症・腎症などの合併症が起きやすくなったりする傾向が、観察研究で示されています。

また、食事から適度に亜鉛を摂っている人は、2型糖尿病になりにくいというデータも一部の研究で報告されています。

■安全性と注意点

1日の推奨量(RDA)は成人男性で約11mg、女性で約8mg程度です。

糖尿病の場合はこれより30〜50%多めが良いという意見もありますが、まだしっかりした確認が必要です。

安全に摂れる上限(UL)は1日40mg(食事+サプリの合計)とされています。

これを長く超えると、銅の吸収が妨げられ、銅不足(貧血や神経症状など)を引き起こす恐れがあります。

高用量を摂る場合は、亜鉛と銅のバランス(だいたい亜鉛:銅=8〜15:1)にも気をつけましょう。

サプリを始める前には、必ず医師に相談してください。

過剰に摂りすぎると、胃腸の不調や免疫への影響、銅不足などのリスクがあります。

■まとめ

亜鉛を補うことは、特に不足している糖尿病・前糖尿病の人にとって、インスリンの効きや炎症・酸化ストレスを改善する助けになるエビデンスがあります。

血糖関連の指標にも良い影響が出るという研究も複数あります。

ただし、「血糖を必ず下げる万能薬」ではなく、もともとの亜鉛の状態によって効果が変わる点に注意が必要です。

自己判断で高用量を摂るのは避け、血液検査などで自分の状態を確認しながら、医療の専門家と相談して進めるのが安心です。

→ 亜鉛を多く含む食品 について詳しくはこちら

【参考文献】

1)メイン論文

  • Loaiza-Giraldo JP, et al. Effects of Zinc Supplementation on Glycemic Control, Insulin Resistance, Inflammation and Oxidative Stress in Diabetes: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Endocrinology, Diabetes & Metabolism. 2026.
    DOI: 10.1002/edm2.70264
    https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/edm2.70264

2)血糖改善を示す他のメタアナリシス例

  • Nazari M, et al. Zinc Supplementation in Individuals with Prediabetes and type 2 Diabetes: a GRADE-Assessed Systematic Review and Dose-Response Meta-analysis. Biol Trace Elem Res. 2024;202:2966–2990. DOI: 10.1007/s12011-023-03895-7
  • Wang X, et al. (または類似) Zinc supplementation improves glycemic control… Am J Clin Nutr. 2019. (空腹時血糖・HbA1c低下を報告)

3)安全性・RDA/UL

  • Institute of Medicine. Dietary Reference Intakes for Vitamin A, Vitamin K, Arsenic, Boron, Chromium, Copper, Iodine, Iron, Manganese, Molybdenum, Nickel, Silicon, Vanadium, and Zinc. National Academies Press, 2001.
    (NIH Office of Dietary Supplements: Zinc Fact Sheetも参照可)







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エクオールの効果|エクオールを作れる人、作れない人の違いとは?|#世界一受けたい授業

2015年5月2日放送の世界一受けたい授業は「エクオール」について取り上げました。




【目次】

■スーパーイソフラボン『エクオール』とは?

The Most Important Meal of the Day

by blair_25 (画像:Creative Commons)

解説:上原万里子先生

大豆イソフラボン=体にいい

大豆イソフラボンのままだと弱い

イソフラボンはエクオール産生菌によってエクオールになる。

エクオールは女性ホルモンに似た働きがある

【参考リンク】

エクオールとは?|ハマサイトクリニック

大豆イソフラボンが腸内細菌のチカラでつくられるスーパーイソフラボン『エクオール』。

■エクオールの効果

●肌のシワの改善

12週間摂取で目尻のシワが改善

●更年期症状の軽減

更年期症状の軽い人はエクオールの量が多い

エクオールとは?によれば、更年期症状の重い人のグループに、エクオールをつくれる人が少なかったそうです。

更年期のホットフラッシュ(ほてり)や首や肩のこりを改善する効果が確認されているそうです。

→ 更年期障害の症状・原因・チェック|40代・50代の更年期の症状 について詳しくはこちら

【関連記事】

●死亡リスクの低下

7年後までに要介護認定/亡くなった人の割合によれば、エクオールを作れない人のほうが多い

●動脈硬化・糖尿病などのメタボリックシンドロームのリスクを低下

●抜け毛が抑制

過剰な男性ホルモンの働きを抑制(直接的なデータはないが、エクオールの効果が期待できるのではないか)

→ 薄毛・抜け毛の原因(男性・女性)・対策・予防・チェック について詳しくはこちら

●骨粗しょう症の予防

エクオールとは?によれば、女性は更年期以降女性ホルモンの分泌量が減少するに伴い、骨量が減少します。

大豆イソフラボンを摂取することによって、骨からカルシウムが溶け出すことを抑えることができるのですが、エクオールを作れる人は作れない人に比べて、豆乳を飲んだ場合に、より骨密度に対して高い効果を示すことがわかったそうです。

その他にも、骨粗鬆症の予防や、中性脂肪、悪玉コレステロールの低減、肌にハリ・ツヤを与えるなどが期待できるそうです。




●エクオールを作れる人、作れない人の違いとは?

エクオール産生菌と呼ばれる腸内細菌が、食べた大豆イソフラボンからエクオールに変換してくれます。

​エクオール産生菌という腸内細菌を持っている人といない人がいるそうで、エクオール産生菌がいない人は、大豆イソフラボン(ダイゼイン)のまま吸収されるそうです。

日本人の50%がエクオールを作れるそうです。

【追記(2017/6/5)】

第15回日本抗加齢医学学会総会たった3割?エクオール産生者減少の可能性。

(2015/5/29、浜松町ハマサイトクリニック)

2015年5月29日に開催された第15回抗加齢医学会総会での発表によれば、エクオール産生能力者は約3割の結果が出ているとのことで、エクオール効果の恩恵にあずかれる女性は、これまで知られていた以上に減少している可能性があります。

【!追記終わり】

若い人にエクオールを作れる人が少なくなっているそうですが、食の欧米化が原因ではないかと考えられます。

エクオールを作れるようになるかどうかはわかっていませんが、エクオールを含むサプリメントは販売されています。

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上沼恵美子さんは、健康診断の結果血糖値が高いこと、糖尿病家系であることから糖尿病と診断されることを心配していた!糖尿病は遺伝するの?




上沼恵美子、健康診断で血糖値「良くない」と医師から電話…診察翌日に控え嘆き節「食べ納めするねん」(2026年7月13日、スポニチアネックス)によれば、ABCラジオ「上沼恵美子のこころ晴天」に出演した上沼恵美子さんは健康診断の結果、血糖値が高いこと、糖尿病家系(父も兄も)であることから糖尿病と診断されることを心配しているそうです。

粗品さん、糖尿病の初期症状を心配する!寝てるときにおしっこで3、4回起きることや異常に喉が渇くこと、お父さんが糖尿病だったによれば、粗品さんも遺伝的に糖尿病になりやすいことを意識していました。

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■糖尿病は遺伝するの?

京都大学のHPによれば、「糖尿病は遺伝するの?」という質問に対して、半分Yesであり、半分Noなのだそうです。

その意味は、近親者が糖尿病だとそうでない人に比べて糖尿病になりやすい体質であることは間違いないのですが、それは「体質」であって、食べ過ぎや運動不足といったリスク要因が積み重なってはじめて糖尿病が発症するためです。

つまり、近親者に糖尿病の人がいるということは、糖尿病になりやすい遺伝的要素と環境的要素があるので、環境要因を改善、わかりやすく言えば生活習慣を見直しましょうということなんですね。

■糖尿病の症状

糖尿病の症状としては、以下のような特徴的な症状がみられることがあります。

気になる方は一度病院で診てもらうことをおすすめします。

■糖尿病の予防

●亜鉛

糖尿病の人はインスリンの作用が十分でないため、細胞が十分な量のブドウ糖を血液中から取り込むことができません。

その結果、体のエネルギーが不足し、疲れやすくなります。

すい臓でインスリンを作る際には、亜鉛が欠かせません。

亜鉛にはインスリンの働きを持続させる働きもあります。

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●タウリン

タウリンには、すい臓機能を高め、インスリンの分泌を良くする働きがあると言われ、糖尿病の予防に良いとされています。

マグネシウムとタウリンを多く摂取している人は、高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満が少ないそうです。

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●マグネシウム

食事でマグネシウムを摂取している人は生活習慣病の糖尿病になりにくいということが福岡県久山町の住民の健康診断データを21年間にわたって追跡した九州大チームの調査で確認されたそうです。

マグネシウム摂取量が148.5mg以下の最も少ないグループと比較すると、摂取量が増えるほど糖尿病のリスクが下がるという結果になったそうです。

また、インスリンの効きが悪い「インスリン抵抗性」の人、習慣的に酒を多く飲むなど一般に糖尿病のリスクが高いとされる人で、マグネシウム摂取による予防効果がより高い可能性も示されたそうです。

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【参考記事】

●カルシウムとビタミンD

ビタミンDとカルシウム摂取で糖尿病の発症のリスクを「低減させ得る」|厚労省研究班で紹介した厚生労働省研究班によれば、ビタミンDとカルシウムを摂取することで、糖尿病を予防する可能性があるそうです。

■【追記】

上沼恵美子 血糖値対策で減量宣言「見ていてください!痩せますから」も、まさかの「ガリガリ君5本」(2026年7月20日、スポニチアネックス)によれば、 上沼さんは「血糖値は大丈夫です…。先生にちょっと注意をされて。摂生する…」「見ていてください、私を!痩せますから」と、高らかにダイエット宣言した直後に「でもガリガリ君、いっぺんに5本食べた」と告白しました。

赤城乳業のHPによれば、ガリガリ君1本あたりの炭水化物16.8gで、炭水化物のほとんどが糖質(砂糖・果糖ぶどう糖液糖など)となり、角砂糖に換算すると約4〜5個分の糖分が含まれています。

カロリーは低いもののしっかりと糖質は含まれていて、それを5本食べるとなると、糖尿病のリスクを高めてしまうので気を付けてほしいです。







【糖尿病の症状】
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