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閉経の遅い女性と初経の早い女性は、甲状腺がんのリスクが高い!




女性関連要因と甲状腺がん罹患との関連について|国立がん研究センターによれば、閉経年齢が高いと甲状腺がんのリスクが高くなるという結果や、初経から閉経までの期間が長い女性(閉経年齢が高いこと/初経年齢が早いこと)は女性ホルモンであるエストロゲンにさらされる期間が長いといったことから、甲状腺がんが女性ホルモンに関連しているのではないかと考えられるそうです。

また、閉経後女性では、外科的手術などにより人工的に閉経が行われた女性では、自然に閉経した女性と比べて、閉経後甲状腺がんのリスクが2.34倍と高くなりました。

エストロゲンにさらされる期間が長いと甲状腺がんのリスクが高くなるという結果と、人工的に閉経することによって甲状腺がんのリスクが高くなるという結果は全く違う結果なのですが、一つ考えられることは甲状腺がんと女性ホルモンに何らかの関係があるという説です。

外科的治療などで人工的に閉経することで、女性ホルモンの分泌が急激に低下することが甲状腺がんと関連しているという報告もあり、甲状腺がんが女性ホルモンに関連していることを示唆しています。人工的に閉経することで、その後のエストロゲン剤服用と関係するのかもしれませんが、よくわかっていません

女性ホルモンの分泌が急激に低下することが何か影響しているのか、それとも人工的に閉経しその後にエストロゲン剤を服用したことが関連しているのかわかっていないものの、女性ホルモンの変化が甲状腺がんに何か関係しているのではないかということがうかがえます。

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■まとめ

最近では更年期・閉経前後で病気のリスクが高くなることもわかってきています。

研究が進むことで病気のリスクが低くなっていくといいですね。

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【更年期と女性の心臓血管の健康】女性の心血管疾患予防は閉経前後から始めるべき!




■更年期と女性の心臓血管の健康

【参考リンク】

心血管疾患(CVD)は男女共通の病気ですが、女性では診断が遅れがちで、リスクへの認識も低い傾向があります。

女性は生殖期にはエストロゲンというホルモンによって心臓病から守られていますが、閉経後にその保護効果がなくなり、CVDのリスクが高まります。

この論文では、閉経期が心血管疾患(CVD)リスク増加の重要な時期であること、そして中年期の女性の健康をしっかりモニタリングし、早めに介入することの必要性が書かれています。

→ 更年期障害の症状・原因・チェック|40代・50代の更年期 について詳しくはこちら

■心血管疾患とは

心血管疾患は世界で最も多い死因で、冠動脈疾患や脳血管疾患、深部静脈血栓症などが含まれます。

WHOによると、2017年には約1,790万人がCVDで亡くなり、全体の死亡の31%を占めています。

男性は女性より早くCVDを発症しますが、閉経後の女性ではリスクが急増します。

これはエストロゲンの減少が影響していると考えられています。

■女性ホルモンとエストロゲンの役割

エストロゲンは女性ホルモンの一種で、特にエストラジオール(E2)が重要です。

閉経前は卵巣などで作られ、心臓や血管を保護しますが、閉経後は減少します。

エストロゲンは血圧やコレステロール、血管の健康に良い影響を与えます。

しかし、閉経後はコレステロール値や血圧が上がり、CVDのリスクが高まります。

■ホルモン療法(HT)の効果

閉経後のホルモン療法はCVDリスクへの影響が議論されています。

低用量の経口や経皮(皮膚から吸収)のエストロゲンは心臓保護に役立つ可能性がありますが、血栓や脳卒中のリスクも指摘されています。

安全性を考慮し、低用量の経皮エストロゲンや微粒子化プロゲステロンが推奨される場合もあります。

特に閉経後10年以内の女性には比較的安全とされますが、個別のリスク評価が必要です。

■更年期とCVDの関係

閉経期にはエストロゲンの減少により、脂質異常症(コレステロール値の異常)、高血圧、肥満、糖尿病のリスクが増えます。

特に40歳未満で早期閉経した女性は、CVDや糖尿病のリスクが特に高いです。

更年期には体脂肪の増加や血管の柔軟性の低下も見られ、これらが心臓病のリスクを高めます。

■高血圧と脂質異常症

高血圧はCVDの大きな危険因子で、閉経後女性では2倍の頻度で発生します。

コレステロール値も閉経後に上昇し、特にLDL(悪玉)コレステロール中性脂肪(トリグリセリド)が増え、HDL(善玉)コレステロールが減ることがあります。

これらは心臓病のリスクを高めます。

スタチンという薬が脂質異常症の治療に推奨されますが、高用量では糖尿病のリスクが上がる可能性もあるため注意が必要です。

■肥満と糖尿病

更年期には代謝が落ち、体重や脂肪が増えやすくなります。

これが肥満や糖尿病のリスクを高め、CVDにも影響します。

ホルモン療法は血糖や脂質の改善に役立つ可能性がありますが、ライフスタイルの改善(食事や運動)も非常に重要です。

■遺伝と閉経

閉経の時期は遺伝的な要因に大きく影響され、40~60歳で起こります。

早期閉経はCVDリスクを高める遺伝子変異と関連している可能性があり、研究でその仕組みが調べられています。

■結論

女性の心血管疾患(CVD)予防は閉経前後から始めるべきです。

特に早期閉経の女性はリスクが高いため、注意深い健康管理が必要です。

更年期は心血管系の変化が起こる重要な時期で、新しいバイオマーカー(例:AMH)を使って閉経のタイミングを予測し、リスクを管理することが期待されています。

健康的な生活習慣や早期介入が、心臓病予防の鍵となります。

■まとめ

【モーニングショー】閉経後の女性でLDLコレステロールの数値が上がったら、どのように食事に気を付けたらいいの?本当に血管が若返る!コレステロール調節術|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、女性ホルモンには、“悪玉コレステロール”値を下げる作用をはじめ、血管を保護する様々な効果があります。

そのため、40代までの間、女性の血管は男性よりはるかに若く保たれています。

女性ホルモンの値が下がってくる 50才前後になると“悪玉コレステロール”値が急上昇して、男性より高くなることも多くなります。

つまり、女性は閉経のタイミングでこれまでよりも意識的に健康をチェックする必要があるわけですね。

→ 悪玉コレステロールを下げる食事・食べ物|LDLコレステロールが高い原因 について詳しくはこちら

【関連記事】

女性は、閉経後LDLコレステロールの数値が上がったら、コレステロールや飽和脂肪酸が多い食品を食べ過ぎないようにした方がいいようです。

コレステロールが多い食品は、たらこ・かずのこなどの魚卵や白子、レバー、鶏卵など。

飽和脂肪酸が多い食品は、牛乳・バター・チーズ・ヨーグルトといった乳製品など。

LDLコレステロール値を下げるには、食物繊維も積極的に摂りましょう!

【#たけしの家庭の医学】食後高脂血症・隠れ中性脂肪を改善し動脈硬化を予防する方法(水溶性食物繊維&運動)によれば、水溶性食物繊維は、腸に入るとゲル状に変化し、腸の内壁に付いて、脂肪分などの吸収を抑える効果があるそうです。

また、中性脂肪を分解するリポ蛋白リパーゼの働きを活性化してくれるそうです。

そのため、水溶性食物繊維を食事の最初に食べておくと、中性脂肪の急上昇を防ぐことができるそうです。

【水溶性食物繊維を含む食品】

●ネバネバした食品

納豆・オクラ・なめこ・なめたけなど

●海藻類

ノリ・ワカメ・寒天・昆布など

●根菜類

大根・人参・ゴボウなど

→ 食物繊維の多い食品 について詳しくはこちら

→ イヌリンとは|イヌリンの効果・効能|イヌリンの多い食品・食べ物 について詳しくはこちら

→ 動脈硬化改善・予防に良い食事・食べ物・食品 について詳しくはこちら







閉経年齢が45歳未満と比較して、閉経年齢が55歳以上のグループでは、子宮体がんのリスクは2.8倍!




国立がん研究センターによれば、閉経年齢が45歳未満と比較して、閉経年齢が55歳以上のグループでは、子宮体がんのリスクは2.8倍であることがわかりました。

【参考リンク】

閉経の遅い女性と初経の早い女性は、甲状腺がんのリスクが高い!によれば、閉経年齢が高いと甲状腺がんのリスクが高くなるという結果や、初経から閉経までの期間が長い女性(閉経年齢が高いこと/初経年齢が早いこと)は女性ホルモンであるエストロゲンにさらされる期間が長いといったことから、甲状腺がんが女性ホルモンに関連しているのではないかと考えられるそうです。

閉経前・後ともに肥満になると乳がんリスクが高くなる!によれば、閉経前・後ともにBMIが大きくなると乳がんリスクが高くなることがわかりました。

乳がんは初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産歴がないという人は、女性ホルモンにさらされる期間が長くなるため、乳がんリスクが高くなると考えられているそうです。

初経から閉経までの期間が長くなると、肺がんの発生率が2倍以上高い!によれば、初経から閉経までの期間が長くなると、肺がんの発生率が2倍以上高くなっていることがわかりました。

■まとめ

現代女性の月経回数は昔の女性の約9倍!生理の回数と子宮内膜症は深く関係/子宮内膜症の患者が急増によれば、昔の女性は生涯の月経回数が約50回、現代の女性は約450回になっています。

その理由としては、現代女性は昔に比べ出産回数が減ったために月経の回数が増えているから。

また、月経のある期間が長くなったため、月経困難症や子宮内膜症などの病気が増えてきたと考えられているそうです。

現代女性のライフプランが変わる中で昔の女性と比べると「月経」による体への負担・リスクが大きくなっているんですね。

月経についてさらに研究を進めることが女性の健康を守るうえで重要なのではないでしょうか?







初経から閉経までの期間が長くなると、肺がんの発生率が2倍以上高い!




国立がん研究センターによれば、初経が16歳以上で閉経が50歳以下の初経から閉経までの期間が短い人と比較して、初経が15歳以下だったり、閉経が51歳以上だったりと、初経から閉経までの期間が長くなると、肺がんの発生率が2倍以上高くなっていることがわかりました。

→ 肺がんの症状・原因・予防するための検査 について詳しくはこちら

【参考リンク】

閉経の遅い女性と初経の早い女性は、甲状腺がんのリスクが高い!によれば、閉経年齢が高いと甲状腺がんのリスクが高くなるという結果や、初経から閉経までの期間が長い女性(閉経年齢が高いこと/初経年齢が早いこと)は女性ホルモンであるエストロゲンにさらされる期間が長いといったことから、甲状腺がんが女性ホルモンに関連しているのではないかと考えられるそうです。

閉経前・後ともに肥満になると乳がんリスクが高くなる!によれば、閉経前・後ともにBMIが大きくなると乳がんリスクが高くなることがわかりました。

乳がんは初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産歴がないという人は、女性ホルモンにさらされる期間が長くなるため、乳がんリスクが高くなると考えられているそうです。

女性ホルモンと肺がんにどんな関係があるのかまだよく分かっていませんが、エストロゲンは、肺のがん細胞の増殖を直接促進したり、肺がん細胞中にあるエストロゲン受容体に、エストロゲンがつくことによってがん化を促進したりすることにより、肺がんの発生にかかわると考えられているので、今後の研究では、エストロゲンと肺がんの研究についてすすめられることが期待されます。

■まとめ

現代女性の月経回数は昔の女性の約9倍!生理の回数と子宮内膜症は深く関係/子宮内膜症の患者が急増によれば、昔の女性は生涯の月経回数が約50回、現代の女性は約450回になっています。

その理由としては、現代女性は昔に比べ出産回数が減ったために月経の回数が増えているから。

また、月経のある期間が長くなったため、月経困難症や子宮内膜症などの病気が増えてきたと考えられているそうです。

現代女性のライフプランが変わる中で昔の女性と比べると「月経」による体への負担・リスクが大きくなっているんですね。

月経についてさらに研究を進めることが女性の健康を守るうえで重要なのではないでしょうか?







閉経が早い女性の特徴とは?




これまで閉経後の病気のリスクや閉経が早い女性の病気のリスクに関して取り上げてきました。

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今回は閉経が早い女性(早期閉経、通常40歳未満での閉経、または卵巣機能不全を指す)の特徴があるのかということについて、論文ベースで簡潔にまとめます。

1. 遺伝的要因

家族歴: 早期閉経の女性は、母親や姉妹など近親者に同様の病歴を持つことが多い。特定の遺伝子変異(例: BRCA1/2、FMR1遺伝子のプレミューテーション)が関連している(Venturella et al., 2016; Qin et al., 2015)。

遺伝性疾患: ターナー症候群や脆弱X症候群など、染色体異常や遺伝子変異が早期閉経のリスクを高める(Sullivan et al., 2011)。

BRCA1/2やFMR1遺伝子のプレミューテーションと早期閉経の関連は広く知られていて、ターナー症候群や脆弱X症候群といった染色体異常や遺伝性疾患も重要な要因です。

2. 生活習慣

喫煙: 喫煙は卵巣機能の低下を早め、閉経年齢を1~2年早める可能性がある(Sun et al., 2012)。これはタバコに含まれる化学物質が卵胞の損傷を引き起こすため。

低体重・BMI: 低いBMI(18.5未満)の女性は、ホルモン分泌の乱れにより早期閉経のリスクが高まる(Mishra et al., 2017)。

生喫煙が閉経を早めるというエビデンスは確立されています。

低BMIとの関連も指摘されていますが、BMIと閉経年齢の関係は複雑で、高BMIとの関連を指摘する研究もあります(ただし、早期閉経との関連で低BMIが強調されることが多いのは確かです)。

3. 医療的要因

化学療法・放射線治療: がん治療による卵巣へのダメージは、早期閉経の主要な原因(Chemaitilly et al., 2015)。

手術: 子宮摘出や卵巣摘出術を受けた女性は、閉経が早まる(Farquhar et al., 2005)。

化学療法や放射線治療による卵巣機能への影響は深刻です。

子宮摘出のみの場合、卵巣が残っていれば直ちに閉経するわけではありませんが、血流の変化などにより卵巣機能が早期に低下する可能性が示唆されています。

卵巣摘出術は当然ながら閉経を引き起こします。

4. 自己免疫疾患

甲状腺疾患や関節リウマチなどの自己免疫疾患が卵巣機能を損なう可能性があり、早期閉経と関連(Goswami & Conway, 2005)。

甲状腺疾患との関連はよく知られています。他の自己免疫疾患との関連も研究が進んでいます。

5. 環境要因

環境中の内分泌かく乱物質(例: フタル酸エステル類、ビスフェノールA)への暴露が卵巣機能を低下させ、閉経を早める可能性がある(Vabre et al., 2017)。

6. 社会経済的要因

低い教育水準や経済的困窮は、ストレスや栄養不良を通じて間接的に早期閉経のリスクを高める可能性がある(Gold et al., 2001)。

■注意点

診断には血中FSH(卵胞刺激ホルモン)やAMH(抗ミュラー管ホルモン)の測定が用いられることが多い(Nelson, 2009)。

■まとめ

早期閉経は多因子性であり、個人差が大きく、すべての女性に当てはまる特徴は存在しないのですが、生活習慣、特に喫煙が閉経を早めるというエビデンスは確立されていますので、気を付けましょう。







【参考文献】

Venturella, R., et al. (2016). Human Reproduction Update.

Qin, Y., et al. (2015). Nature Reviews Endocrinology.

Sullivan, S. D., et al. (2011). Fertility and Sterility.

Sun, L., et al. (2012). Menopause.

Mishra, G. D., et al. (2017). Human Reproduction.

Chemaitilly, W., et al. (2015). Journal of Clinical Oncology.

Farquhar, C. M., et al. (2005). BJOG.

Goswami, D., & Conway, G. S. (2005). Human Reproduction Update.

Vabre, P., et al. (2017). Environmental Health Perspectives.

Gold, E. B., et al. (2001). American Journal of Epidemiology.

Nelson, L. M. (2009). New England Journal of Medicine.