【目次】
■CASH・Payday・ZOZOツケ払い・メルカリ月イチ払い・・・今やりたい・買いたいことを我慢せずにお金を前借り、モノを現金化するサービスを利用してもよいのか?|マシュマロ実験と多動性の視点から
by Japanexperterna.se (画像:Creative Commons)
最近のインターネットビジネスでは、「ZOZOツケ払い」(2カ月間内で都合の良い時に支払いができる決済手段)や「メルカリ月イチ払い」(月次で購入した商品の代金をまとめて翌月に支払うことのできる)、「CASH」(モノをスマホで撮影し、即時入金される質屋アプリ)、「Payday」(給料を前借りして、後払いするサービス:現在は終了)のような今やりたい・買いたいことを我慢することなく、将来入ってくるであろうお金を前借りしたり、モノを現金化する仕組みが増えてきていると感じます。
スピードが速くなる時代には、今やりたいことや買いたいことを優先するために、お金を融通することも必要であり、こうした仕組みを有効活用するのも一つの手段なのではないかとも思います。
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【atone】サービス紹介映像
日経FinTechがイベント開催、給与前払いサービスやアルゴリズムトレードなどが登壇
(2017/6/29、TechCrunch)
現在スマホの普及で個人間取引や小規模事業者と個人との間での決済が増えているが、同時に売手には未回収リスクがある。そこで独自の与信データ・アルゴリズムにより数万円から数十万円のクレジットを買い手に与えるのがatoneの狙い。
ネットプロテクションズの「atone(アトネ) 」は、個人向け審査不要、クレジットカードなし、コンビニ後払いサービスです。
スマホで買い物をする際に、atone(アトネ)によるコンビニ後払いを利用すると、ポイントがたまり、そのポイントがお買い物で活用できるメリットがあるそうです。
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AIスコア・レンディング編
日本でも中国の芝麻信用のようなサービスが始まっているようで、J.Score が提供するAIスコア・レンディングサービス『スコアレンディング』は、個人に関するさまざまなデータをAIで分析、スコア化し、そのスコアをもとに適正金利で融資をするサービスなのだそうです。
みずほ銀行やソフトバンクとの取引情報などさまざまな情報を提供すればするほど可能性や信頼性が反映される仕組みになっています。
このように、スピードが重視される変化の速い現代では、今やりたいことや買いたいことを優先するために、お金を融通することも必要ではないかという考えが生まれていて、こうした仕組みを提供するところが増えています。
ただ、有名なマシュマロ実験によれば、我慢した子供のほうが、将来的にも成績がよく、問題行動も少ないという結果が出ているそうです。
[vimeo]https://vimeo.com/5239013[/vimeo]
Oh, The Temptation
スタンフォード大学ウォルター・ミッシェルが行なった実験によれば、マシュマロを食べずに長い時間我慢できた子のほうが、僅かな時間でマシュマロを食べてしまった子よりも、後の学校の成績がはるかによく、問題行動も大幅に少なかったそうです。
『「無意識」があなたの一生を決める 人生の科学』(著:デイヴィッド・ブルックス)
この実験で子供たちは、短期的な欲求と長期的な報酬の間の葛藤に直面することになる。より大きな長期的報酬を得るため、短期的な欲求を抑えることができる子かどうかが明らかになるのだ。
マシュマロ実験に基づけば、最近生まれたサービスで我慢をせずに今やりたい・買いたいことをするという人は成功しないといえるかもしれません。
ただ、マシュマロ実験でいう問題行動とは、ADHD(注意欠陥多動性障害)の症状として挙げられる、集中できず忘れ物が多い(不注意)、落ち着きがなくじっとしていられない(多動性)、結果を考えずに思いつきの行動をする(衝動性)、のことではないかと考えられますが、多動性を持つ人の中には、創造的なひらめきを持ち成功している人もいます。
「フォーカス」(著:ダニエル・ゴールマン)
フォーカス
新品価格 ¥1,836から (2017/3/30 10:38時点)
創造的なひらめきが浮かぶ直前、マインド・ワンダリングに関係する脳の領域が活発になることがわかっている。そして、興味深いことに、注意欠如障害を持つ人たちの脳を調べてみると、この部分が非常に活発なのである。注意欠如障害を持つ成人の場合、そうでない人に比べて独創的思考のレベルが高く、実際に創造的な成果を達成するケースも多い。ヴァージン・グループを築き上げた実業家リチャード・ブランソンは、自らを注意欠如障害を持ちながらも成功した例であると公表している。
アメリカ疾病予防管理センターの統計では、子どもの10パーセント近くに多動性に関連した何らかの障害がみられるという。成人になると、多動性は消失し、注意欠如障害が残る。成人の4パーセント前後がこうした障害を持つと思われる。レンガの新しい用途を見つける、というような創造的課題を与えられると、注意欠如障害を持つ人たちは、集中力が続かないにもかかわらず(あるいは、集中力が続かないからこそ、というべきかもしれない)、優れた結果を出す。
※マインド・ワンダリング(心の徘徊)とは精神活動の対象から注意がそれて徘徊する心の動きのこと。
多動性を持つ人の中には、創造的なひらめきを持ち、様々な分野で成功した人が多いそうです。
一つの仕事をずっと続けることによってわかることがあるという考えがある一方、好奇心をもっていろんな分野にチャレンジしていくことでもわかることがあるのだと思うのです。
つまり、お互いがお互いのやり方を非難することなく、自分のやり方をやっていくことが重要なのだと思うのです。
■「返済の履歴」によって信用力を築く
ただ、先程紹介したサービスは、支払いができなくなることでクレジットスコア(信用情報)を失う恐れもあります。
先程紹介した仕組みが必要だと感じる一方で、返済が遅れたり、返済ができなかったりして、クレジットスコアが傷ついてしまい、将来のリスクを抱えてしまうことがあるため、注意喚起は必要だと思います。
アメックスから見た、日本人がクレジットカードを使わない理由
(2017/7/10、Newsweek)
日本では、カード履歴というと「借金の履歴」という捉え方をされることが多く、そのせいでクレジットカード利用にネガティブな感情を抱いている人が多いのかもしれません。でも実は、ちゃんと期日までに返しています、という「返済の履歴」でもあるわけです。
日本ではクレジットカードと聞くとなぜかネガティブなイメージで語られることが多いように感じます。
それはクレジットカードが「借金」というイメージを持っているからなのでしょう。
Newsweekの記事によれば、カード履歴は「借金の履歴」ではなく「返済の履歴」であり、借りたお金をきちんと期日までに支払うという「信用履歴(クレジットヒストリー」を作っているともいえるのです。
自分自身がローンの貸付を行う企業・銀行だと考えるとわかりやすいのですが、住宅ローンや自動車ローンを申し込まれたとして、「信用履歴」がなければ、何を判断材料にお金を貸すかの判断をすればよいのでしょうか。
だからこそ、借りたお金をきちんと期日までに支払うという「返済の履歴」によって信用力を築くことが将来お金を借りるかもしれない時に役立つのです。
人の信頼度を評価するシステムによって信頼自体がお金(通貨)のような価値をもつ時代になる!? によれば、中国では「芝麻信用」というクレジットスコアシステムが始まっているそうです。
中国では現金決済ではなくスマホ決済が日常生活に浸透していることにより、お金のやり取りに関わることのほとんどがデータ化されていると考えられます。
支払い履歴だけでなく、学歴や資産情報、人脈関係などによって信用度が格付けされる仕組みとなっているそうです。
すでに中国ではこの信用点数の評価によって、ホテルに泊まれない人がいたり、結婚や就職に影響しているということが起きているそうです。
それまでの信用度によってホテルの予約ができないということが起きていたり、毎回の客室の利用状況も記録されることで、顧客の評価がアップデートされるようになっているそうです。
もしも信頼が重視される時代が来た場合、子供のうちに支払いができなくなることでクレジットスコア(信用情報)を失ってしまうと、様々なサービスが利用できなくなるかもしれませんので、社会的に金融リテラシーを学ぶような仕組みを作る必要があるのではないでしょうか。
【関連記事】
P.S.
ロボアドバイザー(投資・資産運用アドバイスサービス)とは?|IT・金融の活用度が低い日本はフィンテックの手前!?|#Fintech では日本のフィンテックは「貧テック」!?だと呼び、弱者から搾取する仕組みだと表現する人もいるようです。
ただこれを逆に考えると、それだけ多くの人が金融の仕組みからはじき出されているということではないでしょうか?
今の仕組みではある程度のまとまった金額を貸さないと企業としては合わない計算であるため、貧しい人々向けに少額の貸し出しなどをするマイクロファイナンス(小規模金融)の分野は手つかずのままでいるのではないでしょうか。
問題を抱えているかもしれませんが、金融の仕組みから外れた人が一定層いて、その人たちがさらに悪い状況にならないための手段として何らかのテクノロジーで解決するというのは考えるべきなのではないでしょうか。
【参考リンク】
【追記(2017/7/28)】
株式会社CAMPFIREが、融資サービス「CAMPFIRE レンディング」開始。 日本初となる「クラウドファンディングの支援者評価」による与信モデルを実装
(2017/7/28、CAMPFIRE PRTIMES)
この度の融資は、決算書などの評価だけではなく、CAMPFIRE独自の支援者による評価を軸とした「評価型与信モデル」を日本で初めて採用。評価型与信モデルとは、クラウドファンディングにおける支援(総額・人数)をスコアリングしたものを与信材料の一つとし、融資対象者へ信用供与するモデルを指します。
株式会社CAMPFIREは、クラウドファンディングで資金調達に成功したプロジェクト実行者を対象とした融資「CAMPFIRE レンディング」を始めるそうです。
ポイントはクラウドファンディングにおける支援(総額・人数)をスコアリングしたものを与信材料の一つとしている点です。
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