【目次】
■網膜投影のメガネ型HMDで近視も遠視も老眼の人も見えるようになる!|#情熱大陸 #落合陽一
2017年11月19日放送の「情熱大陸」では、落合陽一さんが研究している網膜投影のメガネ型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)が紹介されていました。
【参考リンク】
- 情熱大陸#978「科学者・落合陽一」|TVer(11月26日(日) 22:59配信終了)
目はよく「カメラ」に例えられます。
モノを見るとき、私たちはモノを「光」として認識しています。
瞳を通して入った光は網膜という膜の上に像を結びます。
網膜はちょうどフィルムにあたり、角膜と水晶体がピントを調節する役割をしていて、水晶体がカメラのレンズにあたり、厚くなったり薄くなったりしてピントを合わせています。
しかし、強度近視は第2位の失明原因|強度近視で起こりやすい4つの病気によれば、近視は多くの場合、「眼軸長(がんじくちょう)」(角膜から網膜までの眼球の長さ)と呼ばれる眼球の奥行きが異常に延び、像が網膜より手前で結んでピンボケになりますが、強度近視では、この眼軸長が正視(像が正しく網膜に結ぶ)より3・5ミリ以上長いことが推定されています。
また、【この差って何ですか?】緑内障になりやすい人、なりにくい人の差は近視|6月12日によれば、緑内障患者の約6割が「近視」なのだそうです。
近視の人の目は眼球が歪んでおり、正常の眼球が23mmであるのに対し、近視の眼球は最大28mmになり、眼圧が高くなくても、圧力を受けてしまっているようです。
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同様に老眼や遠視も水晶体による調節ができづらくなることにより起きているのですが、網膜投影はこのピント調節をすることなく、直接網膜に光を届けることによりモノを見るという考え方です。
そこで、落合陽一さんがCEOを務めるPixie Dust Technologies(ピクシーダストテクノロジーズ)が製品化を進めているのが「Air Mount Retinal Projector」です。
#InterBee2017 で弊社Pixie Dust Technologiesで開発中の新型の広視野角+透過型+網膜投影のHMD発表しました.詳細は日曜日の「情熱大陸」をお待ちください. pic.twitter.com/FGvXFGPYNy
— 落合陽一/Dr.YoichiOchiai (@ochyai) 2017年11月16日
【参考リンク】
- 落合陽一氏ら、広視野角・網膜投影のメガネ型HMD発表(2017/11/16、Mogura VR)
- 網膜投影ディスプレイのAvegant、ピント調整で「現実にある」感覚が強まるARデバイスを発表(2017/3/14、Mogura VR)
先日、拡張現実(AR)のための広視野角の透過型HMDを実現する映像投影技術「Air Mounted Eyepiece」を発表しています。
Air Mounted Eyepiece – Digital Nature Group
こうしたアイデアを組み合わせることで、広い視野角でなおかつ、透過型で、網膜投影ができるHMDであれば、ARの分野だけでなく、医療などの様々な分野でも応用できるのではないでしょうか?
■これまでの網膜投影システムのメリットとデメリット|まとめ
by Bill Grado(画像:Creative Commons)
※イメージであり、今回の記事とは関係ありません。
[E3 2015]西川善司の3DGE:網膜投射型デバイスを採用するHoloLens,試して分かったMR対応型HMDのすごさと課題
(2015/6/20、4gamer)
網膜投射型システムでは,眼球内の瞳に映像光を直接注入し,網膜自体をスクリーンにして映像を結像させる仕組みになる。この方式の利点は,事前に視力に合わせた焦点距離調整を事前に行ってしまえば,視力矯正が不要なところにある(※だからブースでは最初に両目の間の距離を計測したのだ)。つまり,どんな視力の人でも裸眼で利用できることになる。
ただ,弱点もある。
それは,網膜に直接映像を投射する構造上,映像面積が比較的小さく見える点だ。
眼球内の開口部である瞳の中の穴を狙って映像を投射しているわけなので,瞳がズレれば,映像が消えたり見切れたりする。
網膜投影にはメリットとデメリットがあるそうです。
メリットは先ほど紹介したように、どんな視力の人でも視力矯正が必要なくモノを見ることができるようになるということ。
デメリットは、網膜に直接映像を投影するため、ずれると映像が見えなくなるということです。
この弱点を補うためには、複数の映像を投影する、もしくは眼球の動きを追跡するアイトラッキングなどの解決策があるそうですが、そうなるとコストが高くなってしまいます。
ピクシーダストテクノロジーズの「Air Mount Retinal Projector」のページには、このように書かれています。
我々はシンプル+小型+透過型+広視野角+低消費電力のHMDを実現しうる網膜投影光学系を発明しました。
おそらく先ほど紹介した網膜投影方式の弱点を改善したものであるはずですので、どんなものになるのか気になるところです。
今回紹介したものは網膜投影方式によって角膜や水晶体によるピント調節に頼らずモノも見ることができるようになるというもので、なおかつARにも活用できるというものですが、AR(拡張現実)技術とは、コンピュータを使って、現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術のことであり、グーグルグラスに代表される眼鏡型ウェアラブルデバイスやコンタクトレンズ型、HoloLensに代表されるヘッドマウントディスプレイ型がありますが、OMEGA OPHTHALMICSはセンサー、ドラッグデリバリーデバイス、AR/VRを取り込むことができる目のインプラントプラットフォームの提供を目指すでは、「Omegaophthalmics」が開発しているのは、眼の中に外科的に眼内レンズ埋め込む侵襲的アプローチを紹介しました。
また、「見る」ということに関しては、様々なアプローチが行なわれています。
グーグルが目の中に電子デバイス埋め込み視力改善する特許出願では、Googleが特許を出願した眼球に直接挿入する視力矯正用電子デバイスで、眼球内の水晶体を取り除いて、その水晶体を覆っていた水晶体嚢に、データ記憶装置、センサー、通信機、バッテリー、電気的に焦点を調整できるポリマー製レンズでできたデバイスを埋め込み、外部のコンピューターと通信しながら、見ている映像の光が網膜上に焦点を結ぶように、レンズの厚みをリアルタイムで調整するシステムに関するアイデアを紹介しました。
国内初、網膜色素変性症の患者の視力回復に成功|大阪大では、人工網膜や人工視覚システムというアプローチを紹介しました。
脈絡膜上経網膜電気(STS)法による人工視覚システムの臨床応用 大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学 不二門 尚|厚生労働省|スクリーンショット
脈絡膜上経網膜電気(STS)法による人工視覚システムの臨床応用 大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学 不二門 尚|厚生労働省によれば、次のようなシステムになると考えられます。
ビデオカメラで画像を取り込み
→画像処理
→体外の無線コイルから信号を体内埋め込み装置に伝える
→眼球の強膜内に設置された電極チップに伝えられ、電気刺激により網膜が興奮し、擬似視覚が得られる。
感覚系による人工臓器-人工網膜|大阪大大学院医学系研究科 神田寛行、不二門尚によれば、人工網膜には3つの方式があります。
1.網膜上刺激方式(Epi-retinal Stimulation)
網膜タックを使って網膜上(網膜と硝子体の境界)に多極電極を固定する方式で、網膜神経節細胞に近いところで刺激が行なうことができるため、刺激効率が良い。一方で、多極電極を網膜へ安定に固定することが難しい点が課題である。
南カリフォルニア大学はSecond Sight社と共同で、網膜上刺激方式を採用して、人工網膜の開発を進めているそうです。
2.網膜下刺激方式(Sub-retinal Stimulation)
これは多極電極を網膜下(網膜と脈絡膜の間)に埋植し網膜を刺激する方式で、多極電極の基板上に受光素子を組み込むことができる。そのため、眼球運動に応じた画像情報を得ることができる。また対外装置にビデオカメラを必要としない。一方、埋植手術の際に網膜剥離を作る必要があり、網膜への侵襲性が高いという課題がある。
ドイツのチュービンゲン大学はRetina Implant社と共同で、網膜下刺激方式を採用して、人工網膜の開発を進めているそうです。
3.脈絡膜上経網膜刺激方式(Suprachorodal-transretinal Stimulation)
STS方式は網膜への侵襲が少ないだけでなく、広い視野を確保できるという利点を持つ。
大阪大学が選択したのは、「脈絡膜上経網膜刺激方式(STS)」です。
このほかにも様々なアプローチで解決しようというところがあります。
【関連記事】
- レンズを眼内に挿入して視力3.0!?効果が一生継続する視力矯正方法
- 視覚器官をバイパスして、カメラの出力を脳に直接入力する仕組み、2016年に臨床実験へ
- 最新式「人工眼」で網膜色素変性で中途失明した患者の視力回復に成功|ドイツの医師チーム
今後も、この分野には様々なアプローチで取り組む人が出てくると思いますので、大変楽しみですね。
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【参考リンク】
- 網膜走査・投影方式ディスプレイ|JStage
- 集積化光合波器及び超小型レーザ画像投影装置 福井大学 産学官連携本部客員教授 勝山 俊夫 |経済産業省
- スマートグラス 網膜に直接映像を投影 福井大など開発へ(2017/8/2、毎日新聞)
福井大学では、眼鏡フレームに内蔵した超小型の光学エンジンから反射板を使って網膜に直接映像を投影する「スマートグラス」の開発に取り組んでいるそうです。
■落合陽一さんまとめ
情熱大陸を見て落合陽一さんに興味を持った人は書かれている著書・アート作品・研究・講演などをぜひ見てみてくださいね。
そこで、どういう風に考えが変わったのか、変わっていないものが何なのかを考えてみるのも面白いのではないでしょうか?
J-WAVE THE HANGOUT 宇野常寛 2014年12月8日 with 落合陽一
発明王・エジソンに影響を受けた?“現代の魔法使い”メディアアーティスト・落合陽一「人とロボットの区別はやがてつかなくなる」|2021 未来のテラピコ
【SoftBank World 2017】特別講演 落合 陽一 氏
Fairy Lights in Femtoseconds: Tangible Holographic Plasma (SIGGRAPH)
Levitrope (2017, Mixed Media) / Yoichi Ochiai
#情熱大陸 #落合陽一
「Telewheelchair」というアイシン精機の電動車いすとRICOHの360°すべてを撮影する全天球カメラ『THETA』を組み合わせて、ソフトウェアで結合し、VRでリモートコントロールしたり、障害物を検知して自動で停止するという車いすを開発しているそうです。https://t.co/wT500jvJKf— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年11月20日
落合陽一さんの論文の読み方で学習
→研究や製品のアウトプットで一分野で優れた存在になる
→他の分野の専門家からインプットを得る
→インプットを自分らしい言葉に置き換え、アウトプット
→フィードバック
これを繰り返す
先端技術とメディア表現1 #FTMA15https://t.co/F0a5bYT5gS https://t.co/PFPX7M1eZp— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年11月9日
どうやってコンピュータの認識の外の世界へ越境するかということがアートになる|#落合陽一 さんインタビューより https://t.co/ByOu2AJH79
— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年11月19日
言葉で思考すると言葉にできない大事な何かをこぼしているのかもしれない。
”思考する時、なるべく言葉ではなく画像や時空間といった現象そのものをイメージすること。言葉よりも映像のほうが頭に浮かんだアイデアが標準化されずに、独創的な多様化した状態で可視化できる。”https://t.co/31Ru5sPUfA https://t.co/8y5kJdN66X— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年11月14日
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- 「魔法の世紀」(#落合陽一)を読んで考えたこと|西洋と東洋の考え方の違い
落合陽一さんはあとがきでデジタルネイチャー研究における目標として、世界から3つのものをなくすことを目標としていると語っている。その3つとは、「重力」・「ゲート」・「繋ぎ目」。 - 「言語化できないけど心を動かすものが差異を生み出す」|#猪子寿之 さんと #落合陽一 さんの言葉より
言葉で思考すると、言葉にできない大事な何かをぽろぽろとこぼしている可能性があり、イメージや映像で思考することによって、標準化された世界を飛び越えることができるかもしれない。 - #落合陽一「あらゆる体験は多次元になる」× #猪子寿之「高次元で考える」|これからの未来とは
つまり、今まで我々は2次元の不自由な窓で世界を切り取り、イメージを共有することで社会を維持してきた。不自由な切り捨てと変換で我々はイメージを捉えていたけど、コンピュータが導入されることで、あらゆる体験は多次元になる。
- どうやってコンピュータの認識の外の世界へ越境するかということがアートになる|#落合陽一 さんインタビューより
近い将来、コンピューターと実世界の区別がつかない時代が来たら、コンピューターの殻をどうやって破るか、どうやって認識の外の世界へ越境するかということがアートになるはずです。
- 『世界から「重力、ゲート、繋ぎ目」はなくなる。』について考えてみた
自分のやりたいことに哲学を見つけ、アウトプットしてください。
重要なのは自分のキャラクターと世界観を作ることであって、誰かに言われた哲学や誰かへの憧れではないです。
- 「ワンホップ」を生み出す努力をし続けた人が「ファーストペンギン」になる
世界には「あとワンホップでいきそうなんだけど、そのホップを思いつかない」っていう状態(のテクノロジー)がいっぱいあって、そこを頑張って考えるのがうちの研究室なんです。あとワンホップでいけるならひたすら物理実験と検証を繰り返せば、ワンホップ+コンピューター的創造力でいきなりツーホップできる。これをいかにやるかがポイントです。
- 自分で「文脈」を作る=自分なりに歴史を解釈することがこれからの時代には重要になる!?
歴史を自分流に解釈する必要があるんです。例えば、ぼくはメディアアーティストですが、ぼくなりの「メディアアート」の歴史は、エジソンからスタートしているんです。
- 私達はすでに”サイボーグ化”している!?|バイオハックの視点から
- 【未来ビジョン】「生命保険の未来」はどうなる?|遠隔医療・予防医療・個人情報を一カ所に集約するサービス
- 「SOCIETY5.0」というコンセプトをアップデートしよう!|キーワードは「超主観空間」「計算機自然(デジタルネイチャー)」「無限概念」「東洋的」「融け合う」
- #TIMEBANK(#タイムバンク)を通じて考えた、時間(近代的時間)の概念の話|これからは時間を管理する時代ではなくなる?|時間規律が定着しなければ「遅刻」は誕生しなかった!?
- なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのか?|ACCENTUREやGOOGLEは社内男女比「50対50」を目指す
「平等」にロジカルに対抗しうる唯一の概念が「適材適所」だと僕は考えていて、しかもそれは、日本人の多くが納得できる考え方だと思うんです。だから「適材適所」は一つの突破口になる概念じゃないでしょうか。
#情熱大陸 #落合陽一 さんのスライドで昔と変わったところがあった。
以前「シンギュラリティが来て能力が強化されたハッピーな状態」
現在「多様化する能力自体を技術でインクルージョンする社会」
インクルージョンとは、包含・包摂といった意味を持ち、誰も排除せず、様々な人を受け入れること。
— ハクライドウ (@hakuraidou) 2017年11月20日
「インクルージョン」という考え方を知れば、あなたの周りの世界はやさしくなる!?では、「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット+アレックス・タプスコット)で書かれている「インクルージョン」という考え方を紹介しました。
ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか 新品価格 |
インクルージョンには様々な側面がある。社会的、経済的、人種的な強者による支配を終わらせること。体の状態や性別、ジェンダーアイデンティティー、性的嗜好によって差別されないということ。生まれた場所や逮捕歴、支持政党などによって参加を阻まれないこと。p69
自分にはどうすることもできない状態でいわゆる弱者(と呼ばれる状態)となってしまったと想像してみてほしいのです。
健康で、若く、経済的にも苦境に立たされることなく、性別における差別もなく、生まれた場所も平和で、家族に逮捕歴などもないというような恵まれた状況にあると、見えてこない世界があるかもしれません。
どんなに自分は大丈夫だと思っていても、ある日突然、事故や病気に合ったり、日本円が使えなくなったり、戦争状態に陥ったりしてしまうと、弱者の側に立たされてしまうかもしれません。
包含・含有・包括性・包摂・受け入れるといった意味を持ち、誰も排除せず、様々な人を受け入れるという「インクルージョン(Inclusion)」という考えをもって想像するとまた違ったアプローチができるのではないでしょうか?
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