【目次】
■Apple、Apple Watchに不整脈などを探知する心電図モニター機能を開発中|Bloomberg
by William Hook(画像:Creative Commons)
アップルが心臓異常探知するモニター開発中、ウオッチ向け-関係者
(2017/12/22、Bloomberg)
関係者の1人によるとテスト中のモデルでは、スマートウオッチをはめていない方の手の指2本でフレームを強く押すと、胸部に微弱電流が流れて心臓の電気信号を読み取り、心臓発作や心不全などのリスクを高める不整脈などの異常を探知する。
心電図やエコーといった検査は病院や救急車でよく行われるものの、短時間の測定に限られるため、潜在的な異常の探知には限界がある。ホルター心電図などのウエアラブル型の機器もあるが、連続測定は長くて数日が通常だ。現在のアップルウオッチには心拍数測定モニターが搭載されているが、アップルは単にデータを残すだけでなく、最先端のセンサーを使って将来の病気予測に役立てようとしている。
Bloombergによれば、Appleがスマートウォッチの「Apple Watch」に心電図モニター(英: Electrocardiogram, ECG、独: Elektrokardiogramm, EKG)機能を開発中なのだそうです。
Apple Is Developing an EKG Heart Monitor for Its Smartwatch(2017/12/21、Bloomberg)
今回のニュースから考えられることは2つ。
1.Appleはヘルスケア事業への関心が高いのではないか?
2.スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのか?
1.Appleはヘルスケア事業への関心が高いのではないか?
アップルが心臓異常探知するモニター開発中、ウオッチ向け-関係者
(2017/12/22、Bloomberg)
ブルームバーグが集計したデータによれば、米国のヘルスケア支出は16年の約3兆5000億ドル(約397兆円)から25年までに5兆5000億ドルに拡大する見込み。
APPLEの次のターゲットは「健康(ヘルスケア)」!?(2014/9/19)では、医療保険制度改革法(通称オバマケア)では再入院の多すぎる病院に罰則が科せられるため、医師が合併症の兆候に対して治療を行った後、アップルウォッチとヘルスケアアプリによって患者を遠隔で監視し、問題を早期発見することができれば、病院は費用を節減できるのではないかという話を紹介しました。(※ただし、2017/12/21のBloombergによれば共和党の税制改革法案で医療保険制度改革法(オバマケア)が事実上廃止されるとトランプ大統領がコメントを出しています。)
APPLE、スマホのカメラで心拍数などの健康管理に必要なデータを計測できる技術を特許出願・登録(2017/8/10)によれば、Appleが、カメラやLEDライトなどを利用して、簡単に脈拍などを計測する技術を考案し、米国特許商標庁(USPTO)へ出願し、「ELECTRONIC DEVICE THAT COMPUTES HEALTH DATA」(特許番号「US 9,723,997 B1」)として登録されたそうです。
また、これまでのニュースでもAppleはヘルスケア事業に対する関心を見せています。
もしかすると、ヘルスケア事業にアプローチするアップルの答えはApple Watchに心電図モニター機能を付けることで脳卒中の主な原因である心房細動(AFib)を見つけることで、予防医療を行っていくことではないのでしょうか?
もう一つ先まで想像を膨らませると、アメリカでは、雇用主が従業員の健康保険料を負担することが多く、肥満など健康が悪化することによる医療費の増大は問題となっていますが、Apple Watchを付けることで不整脈や脳卒中を早く見つけることができることが証明されれば、それを医療保険契約に盛り込むことで、Apple・保険会社・保険加入者・企業がWin-Winの関係になるという可能性も考えられます。
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2.スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのか?
Apple Watchの用途がフィットネスから心臓モニタリングのような医療用デバイスに移行する可能性があるということから、スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのではないかという仮説を考えました。
健康管理に対する関心は高いのに、なぜウェアラブルデバイス市場の成長は鈍化しているのか?|「リストバンド型」から「腕時計型」へでは、スマートウォッチやフィットネストラッカー部門に転換期が訪れているのではないかと感じられるいくつかのニュースを紹介しました。
活動量計「UP」のJawboneが会社清算。CEOらは新会社Jawbone Health Hubへ移行(2017/7/7、Engadget)によれば、Jawboneは会社清算手続きを行ない、Jawbone Health Hubへ移籍し、医療用ウェアラブルに切り替えていくという報道がされています。
また、インテルは、スマートウォッチやフィットネストラッカー部門を廃止するという報道がされています。
【参考リンク】
これらのニュースを見ると、一般消費者向けのスマートウォッチ・フィットネストラッカーが伸び悩んでいるように感じ、撤退もしくは医療用といった専門ウェアラブルデバイスへの道を模索しているという印象を受けます。
そして、ウェアラブルデバイスが今後も成長していくには、用途をはっきりさせることが重要で、その一つとして、ウェルネス・ヘルスケア分野に用途を絞ることが提案されています。
そこで、Appleが出した回答がApple Watchに心電図モニター機能を付けることで医療用デバイスにしたのではないかという仮説です。
APPLE HEART STUDY|APPLE WATCHの心拍センサーを使って心房細動を通知するアプリ スタンフォード大学と提携によれば、Appleは、スタンフォード大学と提携して、Apple Watchの心拍センサーを使って不規則な心臓リズムに関するデータを収集し、心房細動(AFib)を経験しているユーザーに通知するアプリ「Apple Heart Study」アプリを発表しました。
今回のニュースにあるようにApple Watchに心電図モニター機能を付けるのであれば、この考えをさらに一歩進めたといえるでしょう。
APPLE WATCHの心拍数を表示する機能によって、17歳の青年の命が救われた!?(2015/10/12)では、17歳の青年が自身が危険な状況にある事をApple Watchの心拍モニターで気づくことが出来たというニュースを紹介しましたが、このことがきっかけの一つとなっていたのかもしれません。
■まとめ
Apple Watch、健康関連機能の実装を見送る可能性−内臓センサーに問題?(2015/2/18)にも取り上げましたが、Apple Watchの健康関連機能の実装についてはいくつも噂が出ては消えてを繰り返しています。
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その要因の一つとして、センサーの動作に一貫性がないため、望ましい結果が得られないことが考えられます。
「Apple Watch」、健康関連機能の搭載を断念の可能性–センサの問題で
(2015/2/18、CNET japan)
センサの動作があまりにも一貫せず、同社の望む結果が得られないためだという。4年間にもわたる研究、開発、試験にもかかわらず、バンドの締め付け具合、皮膚水分量の変化、装着者の腕の毛深さといった変数の補正が難しすぎることが明らかになった。
バンドの締め付け具合や皮膚水分量の変化、装着車の腕の毛深さなどによって、望むような結果が得られなかったため、これまで技術の搭載を見送ってきたのではないかと考えられます。
例えば、皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功|1週間貼り続けても炎症反応がない|東大・JST・慶大・理研によれば、医療やスポーツで利用する場合には一週間以上の長期測定が必要であり、フィルムやゴムシート型のデバイスの場合、汗の分泌を阻害するため安全性についての問題があるそうです。
スマートウォッチの未来は医療用デバイスにあるのかどうか、アップルがヘルスケア業界でどのような立ち位置に立つのか、今後も気になるところです。
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