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あなたの腸内は肉派?野菜派?どんな食べ物を食べているかで腸内細菌叢が変わる!その影響は健康や環境にも関わってくる!




学術誌「Nature Microbiology」で発表された研究によれば、食べ物によって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう;マイクロバイオーム)が変わり、そしてそれが健康に直結していることがわかります。

【参考リンク】

今回紹介する論文は「普段の食事がおなかの中の細菌である腸内細菌叢(gut microbiota)にどう影響するか」を大規模に調べた研究で、具体的には、雑食(肉・乳製品・野菜なんでも食べる)、ベジタリアン(肉は食べない)、ビーガン(肉も乳製品も食べない)の3つのグループを比べて、腸内細菌がどう違うかを5つの多国籍コホート(合計21,561人)のデータを用いて分析しています。

■【補足】腸内細菌叢って何?

腸内細菌叢は、腸に住む何兆もの微生物のコミュニティで、消化や免疫、心臓代謝の健康に深く関わっており、食べ物の種類によって細菌の種類や働きが大きく左右するため、食習慣が健康や病気リスクにどうつながるかを理解する鍵になります。

■研究の方法

研究では、イギリス、アメリカ、イタリアから集めたデータを統合し、雑食(19,817人)、ベジタリアン(1,088人)、ビーガン(656人)の便を調べて、細菌のDNAを解析し、「どんな食事を普段してますか?」というアンケートをもとに3つのタイプに分類しました。

雑食:肉、乳製品、野菜なんでも食べる。

ベジタリアン:肉はNGだけど、乳製品や野菜はOK。

ビーガン:肉も乳製品も一切食べず、植物性のものだけ。

■わかったこと

●食事で細菌が変わる!

雑食:牛肉などの赤肉と関連が強い細菌(Ruminococcus torques、Bilophila wadsworthiaなど)が優勢で、これらは心臓代謝マーカー(血圧やコレステロール)と負の相関(マイナスの影響)で、健康リスクと関連。

ビーガン:野菜や果物を食べると増える、植物繊維を分解する細菌(Lachnospiraceae、Roseburia hominisなど)が多く、心臓代謝マーカー(心臓とエネルギー代謝)に良い影響。短鎖脂肪酸(SCFA)の産生が活発で、炎症抑制や腸バリア強化に寄与。

ベジタリアン:中間的な特徴で、乳製品由来の細菌(Streptococcus thermophilusなど)が目立つ。

●肉 vs 植物:細菌の機能が対照的

肉をたくさん食べる雑食の人は、細菌が肉を分解するのに慣れていて、雑食の細菌は、肉のたんぱく質を分解して(タンパク質発酵)、トリメチルアミン(TMA)を生成し、これがTMAO(心血管疾患リスク因子)に変換される。

ビーガンの細菌は、植物多糖を分解して「短鎖脂肪酸(SCFA)」という健康にいい物質を作り、健康的な腸環境をサポート。ポリフェノール代謝も活発で、抗炎症作用、腸を強くする効果が期待できる。

●食べ物から細菌が入ってくる

乳製品を食べる雑食やベジタリアンでは、ヨーグルトやチーズの細菌(S. thermophilusなど)が腸に定着。

ビーガンでは、野菜についた土壌細菌(Enterobacter hormaecheiなど)が多く、野菜経由で移行してる可能性。

●健康への影響

雑食の細菌は、心臓や血管の病気リスクと少し関連がありそうで、ビーガンの細菌は、心臓代謝のマーカーが良くて、病気予防に役立つ可能性が高い。

■まとめ

今回の研究のポイントは、食事で細菌をコントロールできる、例えば肉多めだと心臓リスクが上がる細菌が増え、植物多めだと健康的な細菌が育つということです。

腸内細菌を「細菌の町」だとたとえてみると、雑食の人は「肉屋」が多くて、ビーガンは「八百屋」が多く、ベジタリアンはその中間で「乳製品屋」もあるイメージ。町の住人(細菌)は、どんなお店が多いかで決まる。

腸内細菌を「生態系」と捉えてみると、雑食は「肉食動物が支配する森」、ビーガンは「植物が豊かな草原」、ベジタリアンは「乳製品の牧場もある中間地帯」で、どんな食事をするかでどんな生態系を作るか、そして健康になるかが決まる。

【補足】

腸を健康に保つ秘訣、意外と簡単な食事のポイントとは、最新研究から専門家がアドバイス(2025年3月18日、ナショナルジオグラフィック)では今回の研究に関連して3つ気になることが書かれていました。

1)同じ野菜ではなくいろんな野菜を食べることで体に良い影響がある

もし毎日ケールのサラダばかり食べているとしたら、ケールを好む細菌だけが餌をもらっていることになる。キャベツを好む細菌もいれば、メキャベツを好む細菌、キヌアを好む細菌もいる。さまざまな微生物に餌を与えることで、さまざまな短鎖脂肪酸が作られ、体にさまざまな良い影響をもたらす。

研究の中では野菜をとることが腸内細菌叢にとってよいことだということでしたが、同じ野菜ばかりを食べていてはその野菜を好む細菌だけが餌をもらっていることになるため、腸内細菌叢をよくするためにはいろんな野菜を食べたほうがいいということですね。

2)フィトケミカル(ファイトケミカル)

 また、カラフルな植物はファイトニュートリエント(植物栄養素、ポリフェノールやカロテノイドなど)の宝庫でもある。例えばその一つであるさまざまな抗酸化物質は、炎症を防ぐ細菌の増殖を促すなどして、慢性疾患から体を守る働きをする。

がんリスクを下げる抗ガン食材とはどんな食べ物なの?で紹介した野菜の色の成分「フィトケミカル(ファイトケミカル)」とは、植物性食品に含まれる物質の総称のこと。

植物性食品には、ビタミンやミネラルなどの栄養素、食物繊維などが含まれていますが、フィトケミカルとは、「色」「香り」「苦味」といった今まで栄養素とは考えられていなかった成分のことをいいます。

食物の5大栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルであり、近年、食物繊維が第6の栄養素として注目を集めました。

そして、今まで食物繊維同様、栄養素と考えられていなかった「色」「香り」「苦味」等の植物性食品の成分のフィトケミカルが第7の栄養素として取り上げられるようになりました。

「色」「香り」「苦味」が実は栄養素であり、同じ野菜ばかりを食べるのではなく、いろんな色の、香りの、苦みの野菜を食べることが健康に良いのではないでしょうか?

【関連記事】

3)ヴィーガンの腸内にはプロバイオティクスがない

セガタ氏らはさらに、ビーガンの腸内にはチーズ、ヨーグルトなどの発酵乳製品に含まれる有益なプロバイオティクス(腸内微生物叢の多様性を高める生きた微生物)がないと指摘している。

発酵乳製品をとらない食生活と摂る食生活で腸内細菌叢が変わるのは間違いがなく、それがどのような影響を与えるのかが気になるところです。

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乳糖不耐症の症状は○○をすることで軽くすることができる!




骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」とは、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。

骨粗しょう症は、転倒から骨折、寝たきりになる危険性が高まることで知られていますが、自覚症状に乏しく、骨折してはじめて病気に気づく人も少なくありません。

60代女性の3人に1人がかかるとされる骨粗鬆症であり、骨粗鬆症の潜在患者は1千万人以上といわれるそうですが、自覚症状に乏しいため、実際に治療を受けている人は1割程度なのだそうです。

こういう事情がありながらも、牛乳などの乳製品に含まれるカルシウムが健康に良いということは多くの方はしっているのですが、女性の99%がカルシウム不足であるのはなぜなのでしょうか?

その一つの理由に日本人は乳糖不耐症(牛乳や母乳に含まれる乳糖を消化・吸収する酵素のラクターゼが不足しているために、下痢や腹痛などの症状を引き起こす病気。)であるといわれていることが影響しているのではないでしょうか?

【関連記事】

その前にまず知っておく必要があるのが牛乳が苦手な人の中には「乳糖不耐症」と「牛乳アレルギー」があるということ。

どちらも腹痛や下痢といった症状が出るのは同じですが、そのメカニズムが違います。

乳糖不耐症は、乳糖(ラクトース)を消化吸収のため分解するラクターゼという消化酵素が不足するために起きる病気です。

牛乳アレルギーは、カゼインやβラクトグロブリンなどのタンパク質が原因でアレルギー反応を起こす食物アレルギーです。

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【参考リンク】

改めて「日本人は乳糖不耐症である」ということについて考えてみます。

ウワサ16 日本人のほとんどは、牛乳を飲むとおなかをこわす|Jミルクを参考にすると意外な事実がありました。

1)乳糖の摂取量と下痢発生に関するヒト試験(※1)によれば、乳糖を60g(1,200mL)摂取のグループでは50%以上の割合で下痢が起こりましたが、30g(牛乳700mL相当)摂取したグループでも下痢は起こりませんでした。

2)15歳以上の男女10,000人を対象とした調査(※2)では、牛乳を飲んでお腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたり、張ったりする症状の自覚を持つ人について、「いつもそうなる」人は7%、「いつでもではないがなる」は13%、「たまになる」は29%でした。

【参考資料】

  • ※1 奥恒行, ヒトにおける乳糖の一過性下痢に対する最大無作用量とそれに及ぼす食べ方に関する研究, 牛乳栄養学術研究会委託研究報告書, 2001, 123-141.
  • ※2 一般社団法人J ミルク, 牛乳乳製品に関する食生活動向調査2013.

この2つを参考にすると、牛乳1,200mLを飲むと50%以上の割合で下痢が起こったものの、一度に1.2リットルの牛乳を飲むことはほとんどなく、また牛乳を飲んだからと言って、常にお腹がゆるくなったり、ゴロゴロしたり、張ったりする症状があるわけではないということです。

「飲み方・飲む量によって乳糖不耐症の症状に違いが出ることがあるの?」「乳糖不耐症の症状には個人差があるの?」「乳糖不耐症であっても常に症状が出るわけではないの?」といった疑問が出てきますよね。

この疑問を解決するヒントの一つに「腸内細菌叢」があります。

乳糖が小腸で分解されない場合でも、大腸に存在する乳酸菌やビフィズス菌などの有用腸内細菌が多い人では、乳糖が良く分解されて、不快症状が出にくいことが近年の研究により明らかになってきました。

有用腸内細菌が多い人は小腸で分解されなかった乳糖を大腸で分解することにより不快症状が出にくいということがあるそうです。

この研究を参考にすれば、腸内環境が改善されれば乳糖不耐症の症状は出にくいということなんですね。

牛乳摂取習慣と乳糖不耐症

「牛乳による不快な症状を自覚しやすい人は牛乳など乳製品を取らない、すると乳糖を摂取する機会がないために乳糖分解を助ける腸内細菌叢が形成されない、細菌による乳糖分解の助けもないために牛乳をのむと益々乳糖不耐症の症状が自覚されやすい。」という循環が成り立ってしまうためである。

乳糖不耐症を自覚している人は牛乳を避ける

→牛乳を避けることで乳糖分解を助ける腸内細菌叢が形成されない

→今回飲むと大丈夫かなと思って牛乳を飲むとやっぱり乳糖不耐症の症状があらわれる

腸内環境が改善されれば、正確に言えば、乳糖分解を助ける腸内細菌叢が形成されれば、乳糖不耐症の症状が軽減されるにもかかわらず、このループによって乳糖不耐症の人は症状が軽減されないままになってしまうということなんですね。

乳糖不耐症の人が牛乳などの乳製品を避けるだけであれば何も問題がないように見えるのですが、ある調査によれば、乳糖不耐症を自覚する人はカルシウム摂取量が低いため骨密度も低いという結果が出ているそうです。

ここで問題になることは、乳糖不耐症を自覚する集団は、乳糖不耐症を自覚しない集団に比較して、カルシウム摂取量が低いため骨密度もまた低い、という疫学調査の結果が得られていることである。

そう考えると乳糖不耐症の症状を軽減するために腸内環境を改善=乳糖分解を助ける腸内細菌叢を作りたいところです。

そこで考えられる一つの方法が「毎日飲み続けること」!

乳糖は消化に時間のかかる難消化性オリゴ糖の一種であり、腸内細菌叢に影響します。毎日飲み続けることで、乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できます。

牛乳を毎日飲み続けることで乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できるそうです。

ただ牛乳を毎日飲み続けるには抵抗がある人も多いでしょうが、飲み方を工夫することで少しずつ腸内環境を変えていくことができるそうです。

●数回に分けてゆっくり飲む

一度にたくさん飲むことで乳糖不耐症の症状が出やすくなるので、乳糖が分解しやすくなるように少しずつ数回に分けて飲むとよいそうです。

●温めたり、混ぜたりして飲む

牛乳を温めると消化酵素ラクターゼの働きも盛んになるそうです。コーヒーや紅茶、ココアにして飲む、料理に加えるのもよいそうです。

●牛乳にこだわらずヨーグルトやチーズを食べる

ヨーグルトは乳酸菌の発行によって乳糖が分解され減少しており、またチーズは乳糖のほとんどが製造工程の中でホエーに移って取り除かれているので、乳糖不耐が起こりやすい食品です。

■まとめ

1)牛乳を毎日飲み続けることで乳糖分解性の腸内細菌が増加して腸内環境が改善され、乳糖の分解や代謝を増進できることが期待できる。

2)数回に分けてゆっくり飲む、温めたり混ぜたりして飲む、牛乳にこだわらずヨーグルトやチーズを食べるなど工夫する。







【腸内フローラ】善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは2:1:7ではない!?

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■善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは2:1:7ではない!?

All Women Lifeguard Tournament 2012

by Shawn Perez(画像:Creative Commons)

今回紹介するのは、腸内細菌の常識のお話です。

さまざまなテレビ番組で、腸内細菌の理想のバランスは、「善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%」であると紹介され、このブログでもそのようにお伝えしてきました。

【関連記事】

しかし、腸内環境研究者・福田真嗣さん(メタジェン代表取締役社長CEO/慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授)によれば、テクノロジーの進歩により、遺伝子レベルや代謝物質レベルで腸内環境を分析できるようになったことによって、実はこうとは言い切れないということが分かったそうです。

多ければ良いのか善玉菌 意外に知らない腸内環境

(2016/11/7、日経Gooday)

善玉菌にも怠け者の菌がいたり、悪玉菌や日和見菌にも良い働きをするものがいるということがわかったそうです。

このことは、腸内細菌の比率にも関わってきます。

つまり、ある人にとっての善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスと別の人にとってのバランスは違ってくるということがあり得るということです。

→ 腸内フローラ について詳しくはこちら




■まとめ

【腸内環境研究最前線】「病気ゼロ社会」の実現へ “便チャー企業”が描く未来

(2016/11/1、Mugendai)

私たちが実現したい未来は、東洋医学で言う「未病」状態を便の分析から精度良く検出し、病気になる前に腸内環境を適切に改善することで健康状態を取り戻す、究極の予防医学を実現する社会です。

今回紹介した記事で紹介した福田真嗣さんは、未病(東洋医学では健康と病気の間に未病という状態が存在し、健康から未病を経て病気になるという考え方)の観点から、世界中の人々の便から得た腸内環境情報をを元に「腸内環境データベース」を作り、腸内環境を改善することで、病気を未然に防ぐ社会を実現したいと考えているそうです。

以前、【2つの未来予測】1.未病の観点から病気のサインを見つける、2.健康的なライフスタイルがお金のような価値を持つでは、未病の観点から病気のサインを見つける予防医療・予防医学が重要になると紹介しました。

人によっては、健康診断などの検査結果で異常がないにもかかわらず、体がだるい、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、眠れないなどといった体の不調に悩まされた経験もあるのではないでしょうか。

「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないでしょうか。

「病気の治療」から「病気の予防」へと関心は移っているというサインはすでに表れています。

ザッカーバーグ夫妻、人類の病気を予防・治療するプロジェクトで30億ドルを投資で紹介したザッカーバーグさんはこのようにコメントしています。

ザッカーバーグは「アメリカでは病気にかかった人々を治療するための支出に比べて、そもそも人々が病気にならないように研究するための支出はわずか50分の1しかない」と述べた。

ザッカーバーグさんのコメントは、病気を発症してからではなく、病気予防に重点を置くという考え方は、東洋医学の「未病」という考え方に近いと思います。

また、この未病という考え方は現在「フレイル(フレイルティ)」という言葉でも使われています。

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!で紹介した厚生労働省によれば、「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態のことを言います。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

【関連記事】

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで取り上げた日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が高齢化や医療技術の進歩で治療費が高額になっていることにより国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

こうしたことを考えると、できるだけ病気にならないようにすることが重視され、予防医療・予防医学・予測医療が進められていくのではないでしょうか?

その意味でも、腸内環境を改善することによる病気ゼロ社会を目指すという考え方には今後も注目していきたいと思います。







【関連記事】
続きを読む 【腸内フローラ】善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは2:1:7ではない!?

「腸腎連関」|腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の悪化を抑制するカギに

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■「腸腎連関」|腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の悪化を抑制するカギに

「腸腎連関」:腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病悪化抑制のカギ
「腸腎連関」:腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病悪化抑制のカギ

参考画像:「腸腎連関」:腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病悪化抑制のカギ(2017/4/13、東北大学)|スクリーンショット

「腸腎連関」:腸内細菌叢のバランス制御が慢性腎臓病悪化抑制のカギ-腸内細菌叢は腎臓病に対して良い面と悪い面の二面性を持つ –

(2017/4/13、東北大学)

今回の成果から、腸内細菌叢は尿毒素の産生という腎臓病にとって負の影響を有している一方、短鎖脂肪酸産生やアミノ酸代謝といった有益な作用を担っており、その結果、腸内細菌叢がいない状態では腎臓病がより悪化しやすいといことが分かりました。

このことは、腸内細菌叢は腎臓病に対して良い面と悪い面の二面性の役割を有しており、腸内細菌叢のバランスの制御が慢性腎臓病の進展予防に重要であることを示唆するものです(図4)。

さらに、同様に腸内細菌叢によって産生され動脈硬化の原因になるトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)注 5 は、腸内細菌叢由来に加えて食事成分由来の TMAO も腎不全時に体内蓄積することが明らかになりました(図 2)。

トリメチルアミン-N-オキシド(TMAO):食事中の肉などに含まれるカルニチンやコリンを材料として腸内細菌叢の代謝によって体内で産生される物質です。TMAO の蓄積は動脈硬化や心筋梗塞などの血栓症の原因の一つであることが近年報告されており、世界的に注目されています。

東北大学大学院医学系研究科の阿部高明教授と三島英換医学部助教、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授らのグループによる研究によれば、腸内細菌叢が腎臓病に対して良い面と悪い面の二面性を有しており、腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の進展予防に重要であると考えられるそうです。

→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら




■まとめ

慢性腎臓病の病態においては、腸内細菌叢の変化や腸管壁の性状変化など腸内環境の変化が報告されており、腸管は腎臓と相互に影響を及ぼしているという「腸腎連関」の存在が近年明らかになりつつあります。

腸と脳は自律神経系を通じて双方向の情報伝達を行いながら、生体機能の恒常性を保っており、このメカニズムを「脳腸相関」といいます。

例えば、セロトニンの97〜98%は消化管の中にあるそうで、腸のセロトニンはストレスがかかると働きが活発になり、そのことによって、内臓の知覚過敏と消化管の運動異常を引き起こし、内臓の知覚過敏からは腹痛や腹部膨満感、運動異常からは便秘や下痢などの便通異常(過敏性腸症候群)が起こってしまいます。

→ 腎臓は『肝腎連関』『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャル について詳しくはこちら

今回のプレスリリースによれば、腸管は腎臓と相互に影響を及ぼしあっているそうです。

以前マウスの実験によれば、便秘症の治療薬に慢性腎臓病の進行を抑える効果があり、腎臓病で蓄積する尿毒素の産生に腸内細菌叢が関わっていることを紹介しましたが、今回の研究はそのことを裏付ける研究となりそうです。

→ 便秘症の治療薬が慢性腎臓病の治療薬になる可能性|腸内環境改善による腎臓病治療法の開発|東北大 について詳しくはこちら

腸内環境を整えることがストレスや腎臓病から身を守るためにも重要ということになっていきそうですね。

→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら




→ 乳酸菌(ガセリ菌)が「脳腸相関」を介してストレス性の不調・腹痛(便秘・下痢症)・不眠の改善効果を実証|カルピス・徳島大 について詳しくはこちら




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続きを読む 「腸腎連関」|腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の悪化を抑制するカギに

歯磨きなどで口の中をきれいに保つことが腸の病気の予防につながる!?|腸管に定着すると免疫細胞の過剰な活性化を引き起こす口腔常在菌がいる|早稲田大・慶大




■歯磨きなどで口の中をきれいに保つことが腸の病気の予防につながる!?|腸管に定着すると免疫細胞の過剰な活性化を引き起こす口腔常在菌がいる|早稲田大・慶大

通常時は腸内細菌がクレブシエラ菌の定着を阻止しているが、腸内細菌が乱れるとその抑止効果がなくなり、クレブシエラ菌が腸内で定着・増殖する。その結果、腸管でTH1細胞が増加し、宿主の遺伝型によっては炎症を引き起こす可能性がある。
通常時は腸内細菌がクレブシエラ菌の定着を阻止しているが、腸内細菌が乱れるとその抑止効果がなくなり、クレブシエラ菌が腸内で定着・増殖する。その結果、腸管でTH1細胞が増加し、宿主の遺伝型によっては炎症を引き起こす可能性がある。

参考画像:腸管に定着すると免疫細胞の過剰な活性化を引き起こす口腔常在菌(2017/10/20、早稲田大学)|スクリーンショット

口腔常在菌の中には、異所性に腸管に定着すると免疫を活性化するものがいる

(2017/10/20、慶應義塾大学)

共同研究グループは、口腔細菌が炎症性腸疾患や大腸がんなどの患者の便中に多く検出されることに注目し、口腔細菌が腸管内に定着することによる腸管免疫系への影響と病気との関わりについて研究を行いました。

慶應義塾大学医学部の本田賢也教授(理化学研究所統合生命医科学研究センター消化管恒常性研究チームリーダー兼任)と早稲田大学理工学術院の服部正平教授らを中心とする共同研究グループが行なったマウスによる研究によれば、腸内細菌叢の乱れに乗じて、口腔に存在するクレブシエラ菌が腸管内に定着することにより、TH1細胞と呼ばれる免疫細胞の過剰な活性化を引き起こし、炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)などの発症に関与する可能性があることがわかったそうです。

この研究を参考にすれば、口腔が腸の病気を悪化させる可能性のある腸の細菌を作るところであると考えれば、菌が増えないように歯を磨くことが腸の病気を予防する方法といえるのではないでしょうか?




■まとめ

舌の汚れを清掃をすることがガン予防につながる!?によれば、舌の上に付く白い汚れ「舌苔(ぜったい)」の面積が大きいほど、呼気に含まれる発がん性物質アセトアルデヒドの濃度が高いことがわかったそうです。

また、舌苔を取り除くと呼気に含まれるアセトアルデヒドの濃度が減少することから、舌の清掃をすることががん予防につながる可能性がありそうです。

舌の汚れとガンの関係|舌苔の取り方(除去・ケア)|駆け込みドクターによれば、歯磨きを使って舌苔をとっている方もいると思いますが、誤って使うと、舌の粘膜を傷つけやすいので、「舌クリーナー(ゼツクリーナー)」を使うとよいそうです。

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1.口の中が乾燥しているときは、専用の保湿剤で舌を湿らせておきます。

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2.舌クリーナーは、軽い力でなでるように奥から手前へ数回動かします。

3.口をよくゆすいで舌の清掃は終了です♪

【参考リンク】

【江田島市】歯科衛生士のマル秘テクニック 舌の清掃編 にき歯科チャンネル006(口腔ケアチャンネル)

Bad Breath Test – How to Tell When Your Breath Stinks|YouTube







【参考リンク】
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