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あなたの腸内は肉派?野菜派?どんな食べ物を食べているかで腸内細菌叢が変わる!その影響は健康や環境にも関わってくる!




学術誌「Nature Microbiology」で発表された研究によれば、食べ物によって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう;マイクロバイオーム)が変わり、そしてそれが健康に直結していることがわかります。

【参考リンク】

今回紹介する論文は「普段の食事がおなかの中の細菌である腸内細菌叢(gut microbiota)にどう影響するか」を大規模に調べた研究で、具体的には、雑食(肉・乳製品・野菜なんでも食べる)、ベジタリアン(肉は食べない)、ビーガン(肉も乳製品も食べない)の3つのグループを比べて、腸内細菌がどう違うかを5つの多国籍コホート(合計21,561人)のデータを用いて分析しています。

■【補足】腸内細菌叢って何?

腸内細菌叢は、腸に住む何兆もの微生物のコミュニティで、消化や免疫、心臓代謝の健康に深く関わっており、食べ物の種類によって細菌の種類や働きが大きく左右するため、食習慣が健康や病気リスクにどうつながるかを理解する鍵になります。

■研究の方法

研究では、イギリス、アメリカ、イタリアから集めたデータを統合し、雑食(19,817人)、ベジタリアン(1,088人)、ビーガン(656人)の便を調べて、細菌のDNAを解析し、「どんな食事を普段してますか?」というアンケートをもとに3つのタイプに分類しました。

雑食:肉、乳製品、野菜なんでも食べる。

ベジタリアン:肉はNGだけど、乳製品や野菜はOK。

ビーガン:肉も乳製品も一切食べず、植物性のものだけ。

■わかったこと

●食事で細菌が変わる!

雑食:牛肉などの赤肉と関連が強い細菌(Ruminococcus torques、Bilophila wadsworthiaなど)が優勢で、これらは心臓代謝マーカー(血圧やコレステロール)と負の相関(マイナスの影響)で、健康リスクと関連。

ビーガン:野菜や果物を食べると増える、植物繊維を分解する細菌(Lachnospiraceae、Roseburia hominisなど)が多く、心臓代謝マーカー(心臓とエネルギー代謝)に良い影響。短鎖脂肪酸(SCFA)の産生が活発で、炎症抑制や腸バリア強化に寄与。

ベジタリアン:中間的な特徴で、乳製品由来の細菌(Streptococcus thermophilusなど)が目立つ。

●肉 vs 植物:細菌の機能が対照的

肉をたくさん食べる雑食の人は、細菌が肉を分解するのに慣れていて、雑食の細菌は、肉のたんぱく質を分解して(タンパク質発酵)、トリメチルアミン(TMA)を生成し、これがTMAO(心血管疾患リスク因子)に変換される。

ビーガンの細菌は、植物多糖を分解して「短鎖脂肪酸(SCFA)」という健康にいい物質を作り、健康的な腸環境をサポート。ポリフェノール代謝も活発で、抗炎症作用、腸を強くする効果が期待できる。

●食べ物から細菌が入ってくる

乳製品を食べる雑食やベジタリアンでは、ヨーグルトやチーズの細菌(S. thermophilusなど)が腸に定着。

ビーガンでは、野菜についた土壌細菌(Enterobacter hormaecheiなど)が多く、野菜経由で移行してる可能性。

●健康への影響

雑食の細菌は、心臓や血管の病気リスクと少し関連がありそうで、ビーガンの細菌は、心臓代謝のマーカーが良くて、病気予防に役立つ可能性が高い。

■まとめ

今回の研究のポイントは、食事で細菌をコントロールできる、例えば肉多めだと心臓リスクが上がる細菌が増え、植物多めだと健康的な細菌が育つということです。

腸内細菌を「細菌の町」だとたとえてみると、雑食の人は「肉屋」が多くて、ビーガンは「八百屋」が多く、ベジタリアンはその中間で「乳製品屋」もあるイメージ。町の住人(細菌)は、どんなお店が多いかで決まる。

腸内細菌を「生態系」と捉えてみると、雑食は「肉食動物が支配する森」、ビーガンは「植物が豊かな草原」、ベジタリアンは「乳製品の牧場もある中間地帯」で、どんな食事をするかでどんな生態系を作るか、そして健康になるかが決まる。

【補足】

腸を健康に保つ秘訣、意外と簡単な食事のポイントとは、最新研究から専門家がアドバイス(2025年3月18日、ナショナルジオグラフィック)では今回の研究に関連して3つ気になることが書かれていました。

1)同じ野菜ではなくいろんな野菜を食べることで体に良い影響がある

もし毎日ケールのサラダばかり食べているとしたら、ケールを好む細菌だけが餌をもらっていることになる。キャベツを好む細菌もいれば、メキャベツを好む細菌、キヌアを好む細菌もいる。さまざまな微生物に餌を与えることで、さまざまな短鎖脂肪酸が作られ、体にさまざまな良い影響をもたらす。

研究の中では野菜をとることが腸内細菌叢にとってよいことだということでしたが、同じ野菜ばかりを食べていてはその野菜を好む細菌だけが餌をもらっていることになるため、腸内細菌叢をよくするためにはいろんな野菜を食べたほうがいいということですね。

2)フィトケミカル(ファイトケミカル)

 また、カラフルな植物はファイトニュートリエント(植物栄養素、ポリフェノールやカロテノイドなど)の宝庫でもある。例えばその一つであるさまざまな抗酸化物質は、炎症を防ぐ細菌の増殖を促すなどして、慢性疾患から体を守る働きをする。

がんリスクを下げる抗ガン食材とはどんな食べ物なの?で紹介した野菜の色の成分「フィトケミカル(ファイトケミカル)」とは、植物性食品に含まれる物質の総称のこと。

植物性食品には、ビタミンやミネラルなどの栄養素、食物繊維などが含まれていますが、フィトケミカルとは、「色」「香り」「苦味」といった今まで栄養素とは考えられていなかった成分のことをいいます。

食物の5大栄養素は、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルであり、近年、食物繊維が第6の栄養素として注目を集めました。

そして、今まで食物繊維同様、栄養素と考えられていなかった「色」「香り」「苦味」等の植物性食品の成分のフィトケミカルが第7の栄養素として取り上げられるようになりました。

「色」「香り」「苦味」が実は栄養素であり、同じ野菜ばかりを食べるのではなく、いろんな色の、香りの、苦みの野菜を食べることが健康に良いのではないでしょうか?

【関連記事】

3)ヴィーガンの腸内にはプロバイオティクスがない

セガタ氏らはさらに、ビーガンの腸内にはチーズ、ヨーグルトなどの発酵乳製品に含まれる有益なプロバイオティクス(腸内微生物叢の多様性を高める生きた微生物)がないと指摘している。

発酵乳製品をとらない食生活と摂る食生活で腸内細菌叢が変わるのは間違いがなく、それがどのような影響を与えるのかが気になるところです。

【関連記事】







【腸内フローラ】善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは2:1:7ではない!?

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■善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスは2:1:7ではない!?

All Women Lifeguard Tournament 2012

by Shawn Perez(画像:Creative Commons)

今回紹介するのは、腸内細菌の常識のお話です。

さまざまなテレビ番組で、腸内細菌の理想のバランスは、「善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%」であると紹介され、このブログでもそのようにお伝えしてきました。

【関連記事】

しかし、腸内環境研究者・福田真嗣さん(メタジェン代表取締役社長CEO/慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授)によれば、テクノロジーの進歩により、遺伝子レベルや代謝物質レベルで腸内環境を分析できるようになったことによって、実はこうとは言い切れないということが分かったそうです。

多ければ良いのか善玉菌 意外に知らない腸内環境

(2016/11/7、日経Gooday)

善玉菌にも怠け者の菌がいたり、悪玉菌や日和見菌にも良い働きをするものがいるということがわかったそうです。

このことは、腸内細菌の比率にも関わってきます。

つまり、ある人にとっての善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスと別の人にとってのバランスは違ってくるということがあり得るということです。

→ 腸内フローラ について詳しくはこちら




■まとめ

【腸内環境研究最前線】「病気ゼロ社会」の実現へ “便チャー企業”が描く未来

(2016/11/1、Mugendai)

私たちが実現したい未来は、東洋医学で言う「未病」状態を便の分析から精度良く検出し、病気になる前に腸内環境を適切に改善することで健康状態を取り戻す、究極の予防医学を実現する社会です。

今回紹介した記事で紹介した福田真嗣さんは、未病(東洋医学では健康と病気の間に未病という状態が存在し、健康から未病を経て病気になるという考え方)の観点から、世界中の人々の便から得た腸内環境情報をを元に「腸内環境データベース」を作り、腸内環境を改善することで、病気を未然に防ぐ社会を実現したいと考えているそうです。

以前、【2つの未来予測】1.未病の観点から病気のサインを見つける、2.健康的なライフスタイルがお金のような価値を持つでは、未病の観点から病気のサインを見つける予防医療・予防医学が重要になると紹介しました。

人によっては、健康診断などの検査結果で異常がないにもかかわらず、体がだるい、疲れやすい、頭痛、肩こり、めまい、眠れないなどといった体の不調に悩まされた経験もあるのではないでしょうか。

「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないでしょうか。

「病気の治療」から「病気の予防」へと関心は移っているというサインはすでに表れています。

ザッカーバーグ夫妻、人類の病気を予防・治療するプロジェクトで30億ドルを投資で紹介したザッカーバーグさんはこのようにコメントしています。

ザッカーバーグは「アメリカでは病気にかかった人々を治療するための支出に比べて、そもそも人々が病気にならないように研究するための支出はわずか50分の1しかない」と述べた。

ザッカーバーグさんのコメントは、病気を発症してからではなく、病気予防に重点を置くという考え方は、東洋医学の「未病」という考え方に近いと思います。

また、この未病という考え方は現在「フレイル(フレイルティ)」という言葉でも使われています。

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!で紹介した厚生労働省によれば、「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態のことを言います。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

【関連記事】

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで取り上げた日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が高齢化や医療技術の進歩で治療費が高額になっていることにより国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

こうしたことを考えると、できるだけ病気にならないようにすることが重視され、予防医療・予防医学・予測医療が進められていくのではないでしょうか?

その意味でも、腸内環境を改善することによる病気ゼロ社会を目指すという考え方には今後も注目していきたいと思います。







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腸内細菌を元気にすると糖尿病になりにくくなる!?|血糖値が下がりやすい体質にする方法

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2016年3月23日放送のNHK「これがカラダの新常識 若さと美のヒミツ」では、「腸内細菌」について取り上げました。

【解説】伊藤裕教授(慶應義塾大学)




■腸内細菌を元気にすると糖尿病になりにくくなる!?|血糖値が下がりやすい体質にする方法

jump!

by Ty Scales(画像:Creative Commons)

肥満やメタボの第3の要因に腸内細菌叢が関係している?和食を食べて予防しよう!によれば、肥満やメタボリックシンドロームを引き起こす第三の要因として腸内細菌叢(腸内フローラ)が関係しているのではないかと考えられています。

食物繊維を摂って糖尿病改善|ためしてガッテンによれば、腸内細菌の中には、腸でインスリンを分泌するように指令を出すスイッチを増やすものがあるそうで、その腸内細菌(「バクテロイデス」の仲間の細菌)を元気にすることで、血糖値が下がりやすい=糖尿病になりにくい体質を手に入れられるそうです。

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら

慶應義塾大学の伊藤裕先生によれば、血糖値を下げる腸内細菌を元気にするためには、エサを与えてやる必要があるそうです。

そのエサとは、善玉菌の餌となるイヌリン。

イヌリンは、水溶性食物繊維である、ごぼう、にんにく、納豆、大麦入り玄米など根菜類(根っこ野菜)、キノコ類、海藻に含まれています。

つまり、腸内細菌を元気にして血糖値が下がりやすい体質にする方法は、水溶性食物繊維を含む食品を一品増やすこと。

⇒ 食物繊維が多い食品 について詳しくはこちら

食事に水溶性食物繊維を含む食品を加えることで、腸内細菌が元気になり、腸にあるインスリンを出すように促す、すい臓に指令を送るスイッチが増えるそうです。

→ 便秘とは|即効性のある便秘解消方法(ツボ・運動・マッサージ・食べ物)・便秘の原因 について詳しくはこちら

→ 腸内フローラとは|腸内フローラを改善する食べ物 について詳しくはこちら







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肥満やメタボの第3の要因に腸内フローラ(腸内細菌叢)が関係している?和食を食べて予防しよう!

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【目次】

■肥満やメタボの第3の要因に腸内フローラ(腸内細菌叢)が関係している?和食を食べて予防しよう!

朝食

by zenjiro(画像:Creative Commons)

肥満、第3の要因に「腸内細菌の変化」 伝統的な和食で予防可能

(2014/5/6、産経新聞)

肥満やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を引き起こす大きな環境要因に食べ過ぎや運動不足が挙げられる。3つ目の環境要因として、膨大な腸内細菌の集まりである腸内細菌叢(そう)が関係していることが、ゲノム(全遺伝情報)解析が進んだことで明らかになってきた。専門家は健全な腸内細菌叢を保つには欧米型の食事ではなく、伝統的な和食が良いと推奨している。

肥満メタボリックシンドロームを引き起こす第三の要因として腸内細菌叢(腸内フローラ)が関係しているのではないかと考えられているそうです。

■やせ型腸内細菌と肥満型腸内細菌

やせない原因は腸にあった!?やせ型腸内細菌と肥満型腸内細菌|腸サビ|世界一受けたい授業 10月29日によれば、腸内細菌の中に肥満型腸内細菌とやせ型腸内細菌がいることが分かってきたそうです。

肥満型腸内細菌とヤセ型腸内細菌は両方とも誰もが持っており、同じものを食べていても、肥満型腸内細菌が多い場合は、栄養の吸収をどんどん促進させて肥満になってしまうのだそうです。

ヤセ型腸内細菌を多く持っている人は太りにくい体質ということになります。

米ワシントン大学の研究によると、肥満型腸内細菌を与えたマウスとやせ型腸内細菌を与えたマウスを同じエサで育てた実験で、肥満型腸内細菌を与えたマウスは体脂肪が47%も増えたのに対し、やせ型腸内細菌を与えたマウスは27%しか増えなかったという結果になったそうです。

アメリカ人には肥満型腸内細菌を持つ人が多いと言われており、日本人にはヤセ型腸内細菌を持つ人が多いと言われています。

それは和食や食物繊維の多い野菜をよく食べているため、肥満型腸内細菌が抑制されているのではないかと考えられるそうです。

今回の記事でも同様のことが書かれています。

「腸内には約1千種、総重量で1キロの細菌が存在し、共生している。それらの共生関係が崩れると、肥満・メタボといった代謝性疾患やアレルギーなどの免疫疾患につながる」と本田氏は解説する。

理化学研究所統合生命医科学研究センターの本田賢也・消化管恒常性研究チームリーダーによれば、腸内細菌叢のバランスが崩れると免疫疾患につながるそうです。




■どんなことで腸内細菌叢のバランスは崩れてしまうの?

どんなことによって、腸内細菌叢のバランスは崩れてしまうのでしょうか?

共生関係を崩すものとしてはまず、脂肪が多くカロリーの高い欧米型の食事が挙げられる。本田氏によると、高脂肪食を1週間続けただけで細菌叢の構成が変化したという複数のデータがあり、肥満の原因となる細菌は「食事で摂取した糖類などの分解を促進し、体内により吸収しやすい形にする働きがある。そういう菌が高脂肪食を好み、それを餌に増えるのではないか」。

次に、食物繊維の少ない食事や、同じメニューを繰り返し食べることも共生関係を崩す。いずれのケースも「バクテロイデスとファーミキューテスという腸内細菌のグループの細菌量が変化して崩れる」ことが判明している。

高脂肪食を続けることや食物繊維の少ない食事、同じメニューを繰り返し食べることによって、腸内細菌の共生関係を崩してしまうそうです。

例えば、高脂肪の食事が善玉菌殺す-北大グループ研究によれば、高脂肪の食事を食べると、胆汁が大腸の善玉菌を殺し、腸内細菌のバランスを壊すことがわかっています。

■腸内細菌叢を健康に保つ方法

では、どのようにすれば、腸内細菌叢を健康に保つことができるのでしょうか?

現時点で最大の予防方法は食事にあるという。

本田氏は「健全な腸内細菌叢を保つためには、野菜を含め、さまざまな食材を少しずつ摂取できる伝統的な和食が適している」と話している。

肥満やメタボリックシンドロームにならないためには、食物繊維が豊富な伝統的な和食をとることで、健全な腸内細菌叢を保つことが重要だということですね。

→ 腸内フローラを改善する食べ物 について詳しくはこちら







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寄生虫によるダイエット効果を科学的に証明!そのメカニズムとは?|群馬大学・国立感染症研究所




寄生虫によるダイエット効果〜世界で初めて科学的に証明される〜(2019/4/9、群馬大学プレスリリース)で紹介されている群馬大学の下川周子助教と国立感染症研究所の久枝一部長らが行った実験によれば、高脂肪食を与えて予め太らせたマウスに、ある種の寄生虫を感染させると、体重の増加が抑えられることがわかったそうです。

なぜ寄生虫が感染すると体重の増加が抑えられるのでしょうか?

一つの理由は、エネルギー代謝が上がること。

寄生虫が感染すると、エネルギー代謝に関係する脂肪細胞内のUCP1(un-coupling protein 1:ミトコンドリアの内膜に存在する脱共役タンパク質で、脂肪細胞に存在し、ノルエピネフリンが脂肪細胞上のβ3 受容体に結合するとUCP1の発現が上昇しミトコンドリアにおいて熱産生が行われる)の発現が上昇していることがわかったそうです。

太らせたマウスに寄生虫を感染させると、感染していないマウスと比べて、体重の増加が有意に抑えられた。
太らせたマウスに寄生虫を感染させると、感染していないマウスと比べて、体重の増加が有意に抑えられた。

UCP1の発現が上昇すると、熱産生が高まり、脂肪細胞は脂肪燃焼するようになるのですが、寄生虫が感染することにより、UCP1の発現が上昇して、ミトコンドリアにおいて熱産生が行われ、やせやすい体になっていると考えられます。

そこで気になるのが、なぜUCP1の発現が上昇するのかという点。

寄生虫マウスでは、血中ノルエピネフリンの濃度が増加
寄生虫マウスでは、血中ノルエピネフリンの濃度が増加

寄生虫感染マウスの血中ノルエピネフリンの濃度を調べたところ、かなり高い量のノルエピネフリン(神経伝達物質)の濃度が検出されており、寄生虫感染マウスではノルエピネフリンが増加することで交感神経が活性化し、脂肪を燃焼方向へ働かせていることが分かりました。

次に気になるのは、寄生虫がどのようにノルエピネフリンが増加させ交感神経の活性化に働きかけているのかという点です。

寄生虫マウスではノルエピネフリンを分泌することで知らせる腸内細菌であるエシェリキア属とバシラス属が増加。
寄生虫マウスではノルエピネフリンを分泌することで知らせる腸内細菌であるエシェリキア属とバシラス属が増加。

寄生虫を感染させたマウスにおいて、バシラス属やエシェリキア属といった、ノルエピネフリンを分泌させるような腸内細菌が優位に増加していることが明らかになりました。

高脂肪食を食べて通常より太ったマウスに寄生虫を感染させると、腸内細菌叢が変化し、ノルエピネフリンを分泌するエシェリキア属やバシラス属などの腸内細菌が増加。ノルエピネフリンは脂肪細胞上に存在している受容体と結合すると、ミトコンドリアUCP1の発現が上昇し熱産生を行なうことが知られている。
高脂肪食を食べて通常より太ったマウスに寄生虫を感染させると、腸内細菌叢が変化し、ノルエピネフリンを分泌するエシェリキア属やバシラス属などの腸内細菌が増加。ノルエピネフリンは脂肪細胞上に存在している受容体と結合すると、ミトコンドリアUCP1の発現が上昇し熱産生を行なうことが知られている。

つまり、寄生虫が体重を増加させる一連の流れをまとめると次のようになります。

腸管に寄生する寄生虫がマウスの腸内細菌叢を変化させ、バシラス属やエシェリキア属といったノルエピネフリンを分泌させるような腸内細菌を増加させる

→ノルエピネフリンが増加することによって、交感神経が活性化

→UCP1の発現が上昇

→熱産生

→体重の増加を抑制

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【参考リンク】