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【モーニングショー】脂質起動とは?/脂質を先に摂ることで血糖値の上昇を抑える/脂質をとる食事ほど、逆に血中中性脂肪が下がりやすくなる!?




2024年7月18日放送のテレビ朝日「モーニングショー」では「夏バテも防ぐ!糖尿病予防おすすめ食事法」で「脂質起動」(著:山田悟)について取り上げています。

そこで、今回はこの本に関連する論文について調べてみたいと思います。

■関連性の高い論文の候補

1)脂質をとる食事ほど、逆に血中中性脂肪が下がりやすくなる

山田医師が言及する「2009年に米医学雑誌に掲載された論文」は、具体的には特定できませんが、脂質摂取が血中中性脂肪(トリグリセリド)を下げる効果に関する研究である可能性が高いです。

Volek JS, Phinney SD, Forsythe CE, Quann EE, Wood RJ, Puglisi MJ, Kraemer WJ, Bibus DM, Fernandez ML, Feinman RD. Carbohydrate restriction has a more favorable impact on the metabolic syndrome than a low fat diet. Lipids. 2009 Apr;44(4):297-309. doi: 10.1007/s11745-008-3274-2. Epub 2008 Dec 12. PMID: 19082851.

この論文は、糖質制限食が低脂肪食と比較して、血中中性脂肪の低下やメタボリックシンドロームの改善に優れていることを示しています。

糖質制限により脂質をエネルギー源とする代謝(ケトーシス)が促進され、血中脂質プロファイルが改善されるという、山田医師の「脂質起動」の概念と一致します。

2)脂質と脳の健康に関する研究

Cunnane S, Nugent S, Roy M, Courchesne-Loyer A, Croteau E, Tremblay S, Castellano A, Pifferi F, Bocti C, Paquet N, Begdouri H, Bentourkia M, Turcotte E, Allard M, Barberger-Gateau P, Fulop T, Rapoport SI. Brain fuel metabolism, aging, and Alzheimer’s disease. Nutrition. 2011 Jan;27(1):3-20. doi: 10.1016/j.nut.2010.07.021. Epub 2010 Oct 29. PMID: 21035308; PMCID: PMC3478067.

「脂質は脳健康をかなえる」「超脂質食こそ脳にやさしい」という主張に関連する論文として、ケトジェニックダイエット(高脂質・低糖質食)が神経保護や認知機能に与える影響を調査した研究が考えられます。

この論文は、ケトン体(脂質代謝の副産物)が脳のエネルギー源として機能し、アルツハイマー病や認知症の予防に役立つ可能性を示唆しています。

特に、糖質過多がアミロイドβの蓄積を促進するのに対し、脂質を活用した代謝が脳の健康を支えるという点で、山田医師の主張と一致します。

3)脂質とがん予防に関する研究

Kaaks R, Lukanova A. Energy balance and cancer: the role of insulin and insulin-like growth factor-I. Proc Nutr Soc. 2001 Feb;60(1):91-106. doi: 10.1079/pns200070. PMID: 11310428.

「脂質はがん予防につながる」「果糖が発がんやがんの成長に関与する」という主張に関連する論文として、糖代謝とがんの関係を扱った研究が候補です。

この論文は、糖質過多によるインスリンやIGF-1(インスリン様成長因子)の増加ががんのリスクを高める可能性を示唆しています。

一方、脂質を主体とした食事(ケトジェニックダイエット)がインスリン感受性を改善し、がんの成長を抑制する可能性が議論されています。

関連性: 「果糖が発がんに関与する」という主張を間接的に支持し、脂質中心の食事ががん予防に寄与する可能性を示します。

4)脂質と生活習慣病・動脈硬化のリスク低下

Mensink RP, Zock PL, Kester AD, Katan MB. Effects of dietary fatty acids and carbohydrates on the ratio of serum total to HDL cholesterol and on serum lipids and apolipoproteins: a meta-analysis of 60 controlled trials. Am J Clin Nutr. 2003 May;77(5):1146-55. doi: 10.1093/ajcn/77.5.1146. PMID: 12716665.

このメタアナリシスは、飽和脂肪酸を含む脂質の摂取が、HDLコレステロールを増加させ、総コレステロール/HDL比を改善することで動脈硬化リスクを軽減する可能性を示しています。これは「コレステロールの古い常識を疑ってみる」という山田医師の主張と一致します。

関連性: 「脂質を摂ると脂質異常症や動脈硬化のリスクが下がる」という記述を裏付ける科学的根拠となり得ます。

5)脂質は肥満の直接原因ではない

Shai I, Schwarzfuchs D, Henkin Y, Shahar DR, Witkow S, Greenberg I, Golan R, Fraser D, Bolotin A, Vardi H, Tangi-Rozental O, Zuk-Ramot R, Sarusi B, Brickner D, Schwartz Z, Sheiner E, Marko R, Katorza E, Thiery J, Fiedler GM, Blüher M, Stumvoll M, Stampfer MJ; Dietary Intervention Randomized Controlled Trial (DIRECT) Group. Weight loss with a low-carbohydrate, Mediterranean, or low-fat diet. N Engl J Med. 2008 Jul 17;359(3):229-41. doi: 10.1056/NEJMoa0708681. Erratum in: N Engl J Med. 2009 Dec 31;361(27):2681. PMID: 18635428.

この研究で分かったポイントは3つ。

・低炭水化物食と地中海式食は、低脂肪食に比べて減量効果が高く、脂質プロファイルや血糖コントロールにも良い影響を与えた。
・特に低炭水化物食は、脂肪摂取量が多いにもかかわらず、脂質異常症のリスクを軽減し、減量に有効であることが示された。
・これにより、「脂質は肥満の直接原因ではない」ことが支持され、個人の代謝特性や嗜好に応じた食事選択の重要性が示唆された。

この研究は、従来の「脂質=肥満の原因」という考えを否定し、高脂肪の低炭水化物食が減量や代謝改善に有効であることを示しています。

脂質を積極的に摂取することで、脂質プロファイルが改善し、肥満リスクが低下する可能性があるため、脂質を敵視するのではなく、適切な食事戦略の中で活用することが推奨されます。

6)脂質を先に摂ることで血糖値の上昇を抑える

血糖値上昇を抑えるのは「野菜」ではなかった…「痩せ効果ホルモン」を分泌するために「一口目」に食べるべきもの(プレジデントオンライン)によれば、脂質を先にしっかり摂っておくことでGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)というインクレチンが分泌されインスリンが適切なタイミングで速やかに分泌され、その後から糖質を摂っても血糖値上昇を最小限に留めることができるそうです。

この記事でのポイントは、ベジファーストによる糖尿病の予防効果は実は「オイル」によるものなのではないかという点です。

ベジファーストの研究ではオリーブオイル入りのドレッシングをかけて野菜を先に食べてもらったそうで、他のグループで野菜だけで食後の血糖上昇を抑制できたという報告がないことから野菜と一緒に摂る脂の力によって食後の血糖値の上昇が抑えられたのではないかと考えられるそうです。

Imai S, Fukui M, Ozasa N, Ozeki T, Kurokawa M, Komatsu T, Kajiyama S. Eating vegetables before carbohydrates improves postprandial glucose excursions. Diabet Med. 2013 Mar;30(3):370-2. doi: 10.1111/dme.12073. PMID: 23167256; PMCID: PMC3674531.

調べた論文の中にはどのようにして野菜を食べたのかまでは調べることができませんでしたが、もし野菜にオリーブオイル入りのドレッシングをかけたのであれば、ベジファーストによる血糖値抑制効果は、野菜の食物繊維だけでなく、オリーブオイルなどの脂質の作用による可能性が高く、脂質は胃腸での食物の消化・吸収を遅らせ、血糖値の急上昇を抑える効果があり、この結果、インスリン濃度が低下し、減量や糖尿病予防につながる可能性があると考えられます。

今後は野菜単独とオイル入りのドレッシングをかけた野菜とで比較されると「オイルファースト」仮説が推奨されるようになるかもしれません。

■まとめ

「脂質」は悪者というイメージがあり、避けている人も多いのではないでしょうか?

例えば、肉料理が苦手だったり、以前は、家族のために栄養を考えて、肉や卵などを使って料理をしていた人が、一人暮らしになってから、自分が好きなものだけを食べることで食が偏るようになって、肉や卵を使った料理を食べなくなってしまったり、食事の量自体が減ってしまったり、中高年の頃からのメタボ対策のための粗食を継続してしまったりすることで、たんぱく質が不足してしまうということがあるようです。

また脂質=油といっても、良い油・悪い油という視点を加えるとさらに見え方が変わってきます。

ナッツは脂肪分が多くて避ける方もいますが、実はナッツの健康・美容効果|カシューナッツ・ピーナッツ・アーモンド・ピスタチオ・クルミ・マカダミアナッツ|#世界一受けたい授業によれば、ナッツ類を摂取すると、がんリスクの低下、骨の強化、血糖値の安定化による糖尿病リスクの低下、心血管リスクの低下といった効果があるそうです。

■がんリスクの低下

Bolling, B.W.; Aune, D.; Noh, H.; Petersen, K.S.; Freisling, H. Dried Fruits, Nuts, and Cancer Risk and Survival: A Review of the Evidence and Future Research Directions. Nutrients 2023, 15, 1443. https://doi.org/10.3390/nu15061443

■糖尿病リスクの低下

【参考リンク】
De Souza, R.G.M.; Schincaglia, R.M.; Pimentel, G.D.; Mota, J.F. Nuts and Human Health Outcomes: A Systematic Review. Nutrients 2017, 9, 1311. https://doi.org/10.3390/nu9121311

■心血管疾患のリスクの低下

Plant Foods, Antioxidant Biomarkers, and the Risk of Cardiovascular Disease, Cancer, and Mortality: A Review of the Evidence

■体重増加を抑える

Prospective study of nut consumption, long-term weight change, and obesity risk in women

ナッツはカロリーが高いイメージがありますが、ナッツの食事に取り入れても体重増加は促進されず、むしろ体重増加と肥満リスクが低下していることがわかりました。

ナッツに含まれる栄養成分が満腹感を与え、空腹を紛らしてくれて、また腸を健康にするからと考えられます。

Walnuts Consumed by Healthy Adults Provide Less Available Energy than Predicted by the Atwater Factors123

アーモンドやクルミは吸収されるカロリーが少ないことを示す研究もあります。

■血圧を下げる

Nut consumption and risk of hypertension in US male physicians

■認知機能の向上

Chauhan, A.; Chauhan, V. Beneficial Effects of Walnuts on Cognition and Brain Health. Nutrients 2020, 12, 550. https://doi.org/10.3390/nu12020550

■コレステロール値を下げる

Guasch-Ferré, M.; Tessier, A.-J.; Petersen, K.S.; Sapp, P.A.; Tapsell, L.C.; Salas-Salvadó, J.; Ros, E.; Kris-Etherton, P.M. Effects of Nut Consumption on Blood Lipids and Lipoproteins: A Comprehensive Literature Update. Nutrients 2023, 15, 596. https://doi.org/10.3390/nu15030596

■長寿

Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality

つまり大事なポイントは2つ。

(1)脂質は悪者じゃない!

(2)良い油を摂ろう!

【関連記事】

■背景

「脂質起動」(著:山田悟)も目次を参考にします。

アブラは体に悪い、はウソだった。

最新栄養学で糖尿病患者を救う北里大学糖尿病センター長・山田悟医師が「糖質疲労しない食べ方」を教えます。

『糖質疲労』でお伝えした、「糖質を減らす」ことで得られる疲れにくさとパフォーマンス向上。

でも、減らした糖質の分、もしかして「野菜やきのこ」ばかり食べていませんか?

じつは、それはとてももったいない食べ方です。

糖質を減らした分、増やさなくてはならないもの、それは「脂質」です。

脂質は、血糖値上昇にブレーキをかける働きがあり、さらに、脂質をきちんと摂ることで、からだについた脂肪を燃焼させやすくし、基礎代謝を上げる効果があります。

本書では、脂質をしっかり摂ることで得られる健康についてお伝えします。

◎脂質は、「脳健康」をかなえる
◎脂質は、「がん予防」につながる
◎脂質は、パフォーマンスを向上させる

山田医師によれば、脂質は「悪者」どころか、「もっとも安全な」栄養素。

日本人がまだ知らない、世界の最新医学を根拠に、「いいアブラ・よくないアブラ」の最新情報や、日常に無理なく採り入れていただける「脂質食」についてご紹介します。

脂質は、活力。脂質で「枯れない」毎日を!

【目次より】

●「からだが何をエネルギー源にするか」は「何を食べるか」で変わる
●糖質過多で「脂質起動」が妨げられていた
●「脂質を食べる」と「落とせなかったお腹の脂肪が減る」その仕組み
●ジムに行けない日こそ「脂質たっぷり」が正解のワケ
●「甘いものは別腹」は本当、「脂肪肝」を招く怖い「果糖」
●「脳に糖分を!」と甘いものを常に食べていませんか?
●糖質過多だと“脳のゴミ・アミロイドβ”が掃除されない?
●「脳の唯一の栄養は糖」はウソ、「超脂質食」こそ脳にやさしい
●「発がん」にも「がんの成長」にも関与する「果糖」!?
●脂質を摂ると「脂質異常症」「動脈硬化」のリスクが下がる
●「お肉」も安全な優秀脂質、がっつり食べよう
●食べる前の「手のひらナッツ」が肥満も疲れも防いでくれる 
●糖質は控えめ、脂質とたんぱく質は「満腹になるまで」食べなさい 

山田悟医師は、北里大学北里研究所病院の糖尿病センター長であり、糖質制限(ロカボ)と脂質の積極的な摂取を推奨する食事療法の第一人者です。

特に、「脂質起動」では、脂質をエネルギー源として活用することで、血糖値の安定、脂肪燃焼、基礎代謝の向上、脳の健康、がん予防、運動パフォーマンスの向上などを主張しています。

書籍の説明では、2009年に米医学雑誌に掲載された「脂質をとる食事ほど、逆に血中中性脂肪が下がりやすくなる」という論文が研究のきっかけとして挙げられています。

■脂質起動とは?

脂質は肥満の直接原因ではない…糖質を減らし、脂質を摂ると「健康」になるワケ(2025年6月26日、現代ビジネス)によれば、糖質が多くて脂質を控える食事をしていると、疲れやすく、太りやすく、病気になりやすくなりますが、糖質を控えて脂質摂取を増やし「脂質起動」ができれば、疲れにくく、太りにくく、病気になりにくくなるそうです。

アスリートの世界ではファット・アダプテーションが注目されているそうです。

簡単に言えば、運動のエネルギー源として脂肪を使う方が効率的で、ファットアダプトで脂質を効率的に使えるようになっていれば、バテることなく、長く運動を続けることができます。

■補足

●ファット・アダプテーション(脂質適応状態)

Carey AL, Staudacher HM, Cummings NK, Stepto NK, Nikolopoulos V, Burke LM, Hawley JA. Effects of fat adaptation and carbohydrate restoration on prolonged endurance exercise. J Appl Physiol (1985). 2001 Jul;91(1):115-22. doi: 10.1152/jappl.2001.91.1.115. PMID: 11408421.

【要約】

この研究は、7人の競技アスリートを対象に、ファットアダプテーション(高脂肪食による脂肪代謝の適応)が長時間持久力運動の代謝とパフォーマンスに与える影響を調査しました。

【方法】

アスリートは、最初に1日間の標準的な炭水化物食を摂取後、6日間、以下のいずれかの食事を摂取:

高炭水化物食(HCHO): 炭水化物11g/kg/日、脂肪1g/kg/日
高脂肪食(脂肪適応): 炭水化物2.6g/kg/日、脂肪4.6g/kg/日

8日目に高炭水化物食を摂取し休息。9日目に運動前食を摂取後、最大酸素摂取量(VO2ピーク)の65%で4時間サイクリングし、続けて1時間のタイムトライアル(TT)を実施。

【結果】

代謝変化:6日間の高脂肪食後、運動中の呼吸交換比(RER)が低下(0.78 vs. 0.85、P<0.05)、脂肪酸化が増加(171g vs. 119g、P<0.05)、炭水化物酸化が減少(597g vs. 719g、P<0.05)。 1日間の高炭水化物食と運動前食でRERは回復(0.88)し、炭水化物の利用が増加。 パフォーマンス:タイムトライアルのパワー出力は、脂肪適応後の方が高炭水化物食後より11%高い傾向(312W vs. 279W、P=0.11)がみられたが、統計的に有意な差はなし。 【結論】 ●ファットアダプテーションは運動中の脂肪酸化を増加させ、炭水化物酸化を減少させる。 ●1日間の高炭水化物食で炭水化物利用が回復しても、脂肪酸化はベースライン以上を維持。 ●ただし、4時間サイクリング後の1時間タイムトライアルのパフォーマンスに対する有意な向上は確認されなかった。 【ポイント】 ファットアダプテーションは、体内で脂肪をエネルギー源として効率的に利用する代謝状態を促進しますが、短期間(6日間)の介入では持久力パフォーマンスの有意な向上にはつながらない可能性があります。この研究は、糖質制限と脂質摂取を組み合わせた食事戦略が代謝に与える影響を明らかにしていますが、パフォーマンス向上にはさらなる研究が必要とされています。

●補足2

スポーツ栄養では魚の油に含まれるDHA・EPAを摂取することが世界的トレンドに!炎症を抑える・疲労回復・持久力に効果によれば、欧米の選手は「たんぱく質は肉で摂取する」というイメージもありましたが、実際には運動負荷で筋肉に生じる痛みや損傷を抑制したり、コンスタントに良いコンディションを維持するため、積極的に魚を食べるようになっているそうです。

●筋肉痛

●疲労回復

●持久力向上







ブルーベリーを食べると認知症のリスクを下げ、うつ病や血糖値の改善に役立つ!




Journal of Agricultural and Food Chemistry (2010)に掲載された研究によれば、ブルーベリーを食べると認知機能がアップし、うつ病や血糖値の改善傾向がみられました。

→ ブルーベリーの健康効果 について詳しくはこちら

【参考リンク】

■概要

この研究は、ブルーベリーに含まれるアントシアニン(抗酸化物質)が、高齢者の記憶力や認知機能を改善するかを調べたものです。

ブルーベリーには抗酸化作用や抗炎症作用のあるアントシアニンが豊富で、脳の神経信号や血糖コントロールを改善し、認知症のリスクを下げる可能性があると期待されます。

軽い記憶力の低下が見られる高齢者9人に、12週間毎日ワイルドブルーベリージュースを飲んでもらい、記憶力や気分、血糖値の変化を測定しました。

結果、記憶力テストの成績が向上し、うつ症状や血糖値の改善傾向も見られました。

この研究は、ブルーベリーが認知症予防に役立つ可能性を示しています。

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら

■どんな研究をしたの?

軽い記憶力の低下がある高齢者9人(平均年齢76.2歳、男性5人、女性4人)に対して、ブルーベリーの摂取が、軽度認知障害(MCI:認知症の前段階)の高齢者の記憶力や代謝にどう影響するかを調べました。

参加者は毎日、体重に応じて444~621mLのワイルドブルーベリージュース(1リットルあたり約877mgのアントシアニン含む)を12週間摂取、 例えば、体重54~64kgの人は444mL(約1.056gのフェノール類、0.428gのアントシアニン)を接ししてもらい、ブルーベリーを含まないプラセボ飲料を飲んだ7人と比較します。

■結果

●記憶力の改善

・12週目に、ブルーベリージュースを飲んだグループは、関連のない単語ペアを覚える能力が有意に向上(スコア:9.3→13.2、p=0.009)。効果の大きさは非常に大きい(d=1.78)。

・単語を思い出す能力も向上(スコア:7.2→9.6、p=0.04、効果サイズd=1.18)。

●うつ症状と代謝の改善

・うつ症状: うつ症状のスコア(GDS)が減少傾向(5.8→3.5、p=0.08)。統計的には「傾向」にとどまるが、気分が改善した可能性。

・血糖値: 空腹時血糖値が低下傾向(94.6mg/dL→91.2mg/dL、p=0.10)。

ブルーベリーの効果は、脳の海馬(記憶に関わる部位)でのアントシアニンの働きや、血糖コントロールの改善によるものと考えられます。

■なぜブルーベリーが記憶に良いの?

ブルーベリーの効果の鍵はアントシアニンという成分にあります。

抗酸化作用: アントシアニンは活性酸素(細胞を傷つける物質)を減らし、脳の神経細胞を保護。

抗炎症作用: 脳や体の炎症を抑え、認知機能の低下を防ぐ。

神経信号の強化: 脳の海馬や大脳新皮質で神経のつながりを強化し、記憶力や学習能力をサポート。

代謝改善: アントシアニンはインスリンに似た働きを持ち、血糖値を安定させる。これが脳のエネルギー供給を改善し、認知機能を高める。

■まとめ

この研究では、軽い記憶力低下のある高齢者9人が12週間毎日ワイルドブルーベリージュース(444~621mL)を飲んだ結果、記憶力(特に短期記憶と対連合学習)が向上し、うつ症状や血糖値の改善傾向が見られました。

ブルーベリーのアントシアニンが、脳の神経保護や代謝改善を通じて効果を発揮したと考えられます。

小規模な研究のため大規模な研究が必要ですが、ブルーベリーには認知機能やうつ症状、血糖値の改善に役立つ可能性が示唆されるため、食事の中に取り入れていきたいですね。

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら

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【関連記事】

糖摂取後1時間血糖値が170 mg/dl以上はガンや動脈硬化のリスクが高い!




糖摂取後の血糖値が寿命延長に関連する‐ブドウ糖負荷後 1 時間血糖値が低いと病気が少なくて長寿‐(2025年6月23日、東北大学)によれば、岩手県大迫町で糖尿病のない平均62歳の地域住民を対象に、糖摂取後の血糖値と寿命の関係を調べたところ、ブドウ糖負荷試験の負荷後1時間血糖値が170 mg/dl未満の群は、170 mg/dl以上の群に比べて死亡が少なく、動脈硬化や悪性腫瘍による死亡が顕著に少ないことが明らかになりました。

そのことから、ブドウ糖負荷後1時間血糖値170 mg/dl未満を維持することは心臓疾患や悪性腫瘍を予防し寿命を延ばすことにつながることが期待されます。

正常者の中でも、糖負荷試験負荷後 1 時間血糖値が 170 mg/dl 未満の群(青) では生存者が顕著に多い
正常者の中でも、糖負荷試験負荷後 1 時間血糖値が 170 mg/dl 未満の群(青) では生存者が顕著に多い

■まとめ

血糖値高い糖尿病患者ほど心不全に|国立循環器病研究センターで紹介した国立循環器病研究センターによれば、血糖値が高い糖尿病患者ほど心不全で入院する割合が多いということから、血糖値と心不全には関係があることがわかったそうです。

糖尿病の診断基準であるヘモグロビンA1cの数値が高い人ほど、がんの発症リスクが高まる!|国立がん研究センターと東京女子医大で紹介した国立がん研究センターと東京女子医大のチームによれば、糖尿病の診断基準の数値であるヘモグロビンA1cの値が高い人ほど、がんの発症リスクが高まる傾向があるそうです。

糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いで紹介した日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告によれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて1.2倍がんになりやすく、特に、大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓ガンは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いそうです。

糖尿病の人がなぜがんになりやすいのかについてのメカニズムははっきりとわかっていないそうですが、インスリンは細胞を成長させ増殖させるホルモンなので、インスリンが増えると細胞のがん化につながるのではないか、また高血糖による炎症ががんを招いているのではないか、などが考えられるようです。

今回取り上げたニュースによれば、ブドウ糖を摂取した1時間後の血糖値が、1デシリットルあたり170ミリグラム以上の人は170ミリグラム未満の人よりも心疾患やがんを発症しやすく、死亡リスクも高まることが分かったので、病気の予防をするためには、糖負荷試験の1時間後の血糖値をチェックし、糖尿病予防をすることが、がん予防につながると考えられるので、しっかりと対策を行いましょう。

→ 血糖値とは|血糖値を下げる食品・正常値・空腹時血糖値・食後血糖値 について詳しくはこちら

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら







ケールの4つのダイエットパワー|豊富な栄養素・脂肪燃焼促進・血糖値を下げる・腸内環境を整える|#バイキング

ダイエット > ケール > ケールの4つのダイエットパワー|豊富な栄養素・脂肪燃焼促進・血糖値を下げる・腸内環境を整える|#バイキング

2015年12月17日放送のバイキングのテーマは「ケール(ケールダイエット)」です。

解説:今津嘉宏先生




【目次】

■ケールとは
ケール(Kale)|ルテインを含む野菜
ケール(Kale)|ルテインを含む野菜

ケールは、ビヨンセやアン・ハサウェイといったハリウッドセレブも食べている野菜なのだそうです。

ケールは、キャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の野菜。

→ ケールの効果・効能 について詳しくはこちら

ケールのもつ4つのダイエットパワー

1.豊富な栄養素

2.脂肪燃焼促進

3.血糖値を下げる

4.腸内環境を整える

1.豊富な栄養素

食物繊維:脂質の排出

ビタミンB6・マグネシウム:基礎代謝アップ

βカロテン、カルシウム、ビタミンC、ビタミンK、カリウムなどがバランスよく含まれている

抗酸化作用によって美肌効果を高める

2.脂肪燃焼促進

ケールによって余分な脂肪を燃焼してくれる褐色脂肪細胞が増加

ケールが脂肪燃焼を活発にすることでダイエット効果が期待される




3.血糖値を下げる

ケールを摂った人とそうでない人を比較した実験によれば、ケールをとった人は血糖値上昇を抑制していることがわかったそうです。

【血糖値の上昇と肥満の関係】

糖分の過剰摂取

→血糖値の上昇

→インスリンの分泌

→糖質が脂肪として蓄積

ケールがインスリンの分泌をコントロールしてくれることで、血糖値の上昇が緩やかになり、脂肪のつきにくい体になるそうです。

→ 血糖値を下げる食品 について詳しくはこちら

4.腸内環境を整える

腸内環境が悪くなると、余った栄養が内臓脂肪として蓄積するのですが、ケールにはデトックス効果があることで、腸内環境を整え、栄養素を効率的に腸が吸収することで、内臓脂肪が蓄えにくい体になるそうです。

ケールのデトックス効果はヨーグルトよりも高いそうです。

→ ケールの効果・効能 について詳しくはこちら

→ ダイエット成功のため悪循環から抜け出そう|ダイエット方法ランキング について詳しくはこちら







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【たけしの家庭の医学】菊芋(キクイモ)が中性脂肪を減らす食材!イヌリンを含む野菜ランキングベスト5!

健康・美容チェック > 中性脂肪 > 中性脂肪の減らし方(食事・運動・サプリメント) > 食物繊維の多い食品 > イヌリン > 【たけしの家庭の医学】キクイモが中性脂肪を減らす食材!イヌリンを含む野菜ランキングベスト5! 




【目次】

■【復習編】【たけしの家庭の医学】「キクイモ」が中性脂肪を減らす食材!

2018年2月6日放送の「たけしの家庭の医学」のテーマは『中性脂肪を減らす食材』でした。

健康診断などの血液検査の項目の中で、「空腹時血糖」「LDLコレステロール」「中性脂肪」の3つは血管にダメージを与える三大要因であり、最悪の場合「心筋梗塞」や「脳梗塞」を発症する可能性があります。

主な死因別に見た月別一日平均死亡指数(男女別)
主な死因別に見た月別一日平均死亡指数(男女別)

参考画像:死亡月別にみた心疾患-脳血管疾患死亡|厚生労働省

冬(1月・2月)は心筋梗塞・脳梗塞が起こりやすい季節!?で紹介した厚生労働省のデータを参考に月別の死亡者数を比較すると、心筋梗塞などの心疾患、脳卒中・脳梗塞などの脳血管疾患による死亡は冬(1月・2月)に多く、春になるにつれて徐々に減っていき、夏は少なく、9月から次第に冬にかけて増加していることがわかります。

つまり、1月・2月は心筋梗塞・脳梗塞にとって最も気をつけたい時期なのです。

東邦大学医療センター大森病院の弘世貴久先生によれば、「空腹時血糖」「LDLコレステロール」「中性脂肪」の3つの中でも、特に気をつけてほしいのが「中性脂肪」なのだそうで、中性脂肪の数値が高い患者の多くが薬だけでは改善が難しいのだそうです。

中性脂肪が増える原因は、炭水化物や甘いものなどの糖質の摂り過ぎです。

糖質はエネルギー源である一方、加齢で筋肉量が低下することによってエネルギーが余ってしまった結果、中性脂肪として血液中に溢れてしまいます。

そうなると、脂肪肝になったり、心筋梗塞の原因となってしまいます。

中性脂肪の最大の難点は「体にたまりやすく、減らしにくい」こと。

番組では、減らしにくい「中性脂肪」を効率良く減らす方法を調べたところ、徳島県美馬市脇町に行き着いたそうです。

50~80代15名のうち、11名が中性脂肪が基準値より低く、基準値内だった人に共通していたのが「キクイモを食べている」ことでした。

Jerusalem Artichokes

by allispossible.org.uk(画像:Creative Commons)

「キクイモ」はキク科の野菜でゴボウなどの仲間です。

弘世貴久先生によれば、キクイモに含まれる水溶性食物繊維の「イヌリン」が中性脂肪を減らす効果をもたらしているそうです。

イヌリンとはどういうものなのでしょうか?

実験ではイヌリンが水分と混ざるとゼリー状のようになったのですが、小腸でもこのことと同様なことが起こると考えられ、つまり、イヌリンが体内に入り、小腸で糖を包み込むと、栄養を吸収する穴がある小腸で吸収されず、血管の中に移動することがなくなり、つまり大量の糖であふれることがなくなります。

また、小腸に残っている糖はゆっくりと吸収され、大腸へ運ばれたイヌリンは腸内細菌の善玉菌だけのエサとなり、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が増えていきます。

→ イヌリンとは|イヌリンの効果・効能|イヌリンの多い食品・食べ物 について詳しくはこちら

■キクイモ以外でなおかつお手ごろな価格の野菜でイヌリン量が多い野菜ランキングベスト5

★キクイモ 18g/100g

第1位 にんにく 12.5g

第2位 ごぼう 5.4g

第3位 玉ねぎ 4.3g

第4位 アスパラガス 2.5g

第5位 レンコン・かぼちゃ・山芋 0.1g

イヌリンの目標摂取量は1日10g。

→ 中性脂肪の減らし方(食事・運動・サプリメント) について詳しくはこちら

→ イヌリンを含む「菊芋(キクイモ)」のサプリメントにはどんなものがあるの? について詳しくはこちら

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■【予習編】【たけしの家庭の医学】中性脂肪を減らす食材は「イヌリン」を含む徳島県美馬産の「キクイモ」

2018年2月6日放送の「たけしの家庭の医学」のテーマは『中性脂肪を減らす食材』です。

果たして、今回紹介される食材はどんな食品なのでしょうか?

番組予告から考えてみたいと思います。

徳島県に、中性脂肪を効率よく減らしている街があった!その秘密は…『○○イモ』!?

徳島県で有名なイモといえば「鳴門金時(サツマイモ)」を想像しましたが、そんな単純なのでしょうか?

もう少し細かく見てみましょう。

○○イモに含まれる「イヌリン」という成分が中性脂肪を減らす?「イヌリン」を豊富に含む他の野菜もご紹介!

「イヌリン」といえば、イヌリン(食物繊維)を摂って糖尿病改善|イヌリンを含む食品・食べ物|#ためしてガッテン(#NHK)で紹介した慶應義塾大学の伊藤裕先生によれば、血糖値を下げる腸内細菌を元気にするためには、善玉菌の餌となる水溶性食物繊維「イヌリン」を与えてやる必要があるということで紹介した水溶性食物繊維です。

【#たけしの家庭の医学】食後高脂血症・隠れ中性脂肪を改善し動脈硬化を予防する方法(水溶性食物繊維&運動)では、動脈硬化の原因の一つとして食後高脂血症(空腹時にコレステロール値や中性脂肪値が正常でも、食後の値が下がりにくいもの)があり、水溶性食物繊維を食事の最初に食べておくと、中性脂肪の急上昇を防ぐことができると紹介しました。

誰しも食後は中性脂肪が増えます。

しかし、人によっては食後の中性脂肪値やコレステロール値が下がりにくくなることがあります。

中性脂肪が増えると、中性脂肪を分解する「リポ蛋白リパーゼ」という酵素が分泌され、中性脂肪が分解されます。

しかし、何らかの原因でリポ蛋白リパーゼの働きが弱まると、中性脂肪を分解することができずに、中性脂肪の基準値をオーバーしてしまうことがあるのです。

水溶性食物繊維は、腸に入るとゲル状に変化し、腸の内壁に付いて、脂肪分などの吸収を抑える効果があるそうです。

また、中性脂肪を分解するリポ蛋白リパーゼの働きを活性化してくれるそうです。

→ 食物繊維の多い食品 について詳しくこちら

つまり、今回は「イヌリン」が重要なポイントであり、水溶性食物繊維「イヌリン」を豊富に含む食材がポイントということになります。

そこで、さらに調べてみると、水溶性食物繊維「イヌリン」を豊富に含んだ徳島県美馬産菊芋を発見しました。

キクイモ研究会おすすめ!キクイモ料理レシピ集

(2016/2/4、徳島県)

塊茎にはデンプンを含まず、水溶性食物繊維「イヌリン」が豊富に含まれています。

栄養成分表示 キクイモ可食部100g当たり
エネルギー35kcal
たんぱく質 1.9g 脂質 0.2g 糖質 13.1g
食物繊維 2.0g ナトリウム 2mg
(日本食品標準成分表2010による目安値)

菊芋には水溶性食物繊維「イヌリン」が豊富に含まれているとあります。

今回紹介したページでは、キクイモのこうじ漬けやキクイモ入りちらし寿司、キクイモのきんぴら、ポトフなどのレシピが紹介されている他、キクイモに含まれるイヌリンは水溶性であるため料理に利用する際には汁ごと召し上がった方がいいというアドバイスもされています。

→ 中性脂肪の減らし方(食事・運動・サプリメント) について詳しくはこちら

→ 中性脂肪とは・数値(正常値)・高い原因・下げる(減らす) について詳しくはこちら