「Health」カテゴリーアーカイブ

ビタミンDの推奨摂取量が大きく間違ってた!?現在推奨されている一日の目安量とは?




あるXの投稿でビタミンDの推奨摂取量が間違っていたとあったので、改めて調べてみました。

ビタミンDの働きと1日の摂取量(長寿科学振興財団)によれば、日本人の食事摂取基準(2025年版)では1日の摂取の目安量が、18歳以上の男女ともに9.0㎍(マイクログラム)、耐用上限量が100㎍と設定されています。

ビタミンDの食事摂取基準
ビタミンDの食事摂取基準

参考リンク:日本人の食事摂取基準(2025年版)/スクリーンショット

ポイントは、骨折関連疾患のリスクを考慮した血中25-ヒドロキシビタミンD濃度を維持する摂取量として、目安量を設定されていること。

また、ビタミンDの皮膚での合成も加味した北欧の基準を参照して設定されています。

生活習慣病との関係も示唆されますが、十分な科学的根拠はないため、目標量は設定されていません。

アメリカでは、ビタミンDの推奨摂取量と適正摂取量を定めていて、成人では15~20マイクログラム(600~800国際単位)、乳幼児、小児、青年では10~15マイクログラム(400~600国際単位)となっています。

The Food and Nutrition Board at the National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine has established Recommended Dietary Allowances and Adequate Intakes for vitamin D. These values range from 15 to 20 mcg (600–800 IU) for adults and from 10 to 15 mcg (400–600 IU) for infants, children, and adolescents, depending on age.

Xの投稿で話題になったのは2014〜2017年の論文で指摘された「IOM(米国医学研究所)の統計誤り」(The Big Vitamin D Mistake)です。

【参考文献】

  • Papadimitriou DT. The Big Vitamin D Mistake. J Prev Med Public Health. 2017 Jul;50(4):278-281. doi: 10.3961/jpmph.16.111. Epub 2017 May 10. PMID: 28768407; PMCID: PMC5541280.

IOMが用いたデータ(冬季の補給試験など)を正しく再解析すると、血中25(OH)D 50 nmol/L以上を97.5%の人で達成するには約8,895 IU/日(75 nmol/Lで6,201 IU、100 nmol/Lで9,122 IU)必要だったという指摘です。

元の計算で「平均値」と「分布」を混同した誤りがあり、RDA(推奨摂取量)が10倍近く低く見積もられていた可能性があります。

著者らはこれを基に、Endocrine Societyの上限近く(子ども1,000〜3,000 IU、成人8,000 IU程度)を新RDAとして提案し、全原因死亡・自己免疫・糖尿病・がんリスク低減のため公衆衛生レベルでの引き上げを呼びかけました。

この指摘は大きな議論を呼び、YouTubeなどでも「Vitamin D mistake」として広がっています。

しかし、最新の公式ガイドラインは公式値を維持・支持されています。

■まとめ

ビタミンDの統計の誤りに関する論文では公式の値が低すぎるという指摘がありましたが、現時点では、公式の値で十分安全というところに落ち着いているようです。

日本では、紫外線によるビタミンDの産生を考慮して推奨摂取量は低めに設定されています。

ビタミンDを含む食品を食べることや適度な日光浴で十分に摂取できるようですが、皮膚科医の中には日光浴を控えたほうがいいという指摘もあったり、また国によっても値が違うことや個人差(日光浴時間・皮膚色・BMI・年齢・食事・地域)があることなどから、どの立場で物事を見るかによって違ってくるために、私たち一般市民からすると混乱の種になりがちな話題ですね。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

この街の中心に置いている憲法を読む

オメガ3のサプリメントを飲むとストレス、不安、うつ症状の症状が大きく改善




ある論文によれば、オメガ3のサプリメントを飲むとストレス、不安、うつ症状の症状が大きく改善したことがわかりました。

■実験

ストレス・不安・うつ・記憶が悪い・眠りが悪という症状が強く出ている人たち64人を2つのグループに分けて実験を行いました。

1)毎日 EPA 500mg + DHA 250mg のオメガ3サプリを3ヶ月飲み続けたグループ
2)見た目そっくりだけど中身は何も入っていない偽薬を同じく3ヶ月飲み続けたプラセボグループ

■結果

オメガ3を飲んだグループは、ほぼ全部の項目で大きく改善しました。

ストレス、不安、うつ症状 → 統計的にめっちゃ有意に下がった(p < 0.001) 睡眠の質 → 明らかに良くなった 日常の記憶(「あれ、鍵どこ置いたっけ?」みたいなやつ) → 大幅改善

■まとめ

心理的にかなりしんどい状態の人はオメガ3サプリ(EPA+DHA)を飲むと症状が軽くなることがわかりました。

「魚をあまり食べない」「イライラしやすい」「寝つき悪い」「最近集中できない・物忘れする」みたいな状態が続いている人は、オメガ3(特にEPA・DHA)を意識的に摂ってみては?

【参考文献】

→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効果・効能・食べ物(オイル)・ダイエット について詳しくはこちら

→ DHA・EPAを含む食品 について詳しくはこちら

長崎県産えごま油(50g)
長崎県産えごま油(50g)

長崎県産えごま油(50g)【新物入荷】 1,944円(税込)

島根県産えごま油|オメガ3(αリノレン酸)を摂ろう!
島根県産えごま油|オメガ3(αリノレン酸)を摂ろう!

【新物】島根県産えごま油(50g)|低温圧搾生搾り|オメガ3(αリノレン酸)を摂ろう! 1,944円(税込)

南極の宝石(オメガ3サプリメント)
南極の宝石(オメガ3サプリメント)

南極の宝石(オメガ3サプリメント)







【関連記事】

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

この街に置かれている憲法を読む

水の代わりにコーラを毎日3リットル飲み続けた男性の体内から30個以上の結石が発見される!?どんな飲み物を飲むと腎臓に石ができやすい?できにくい?




水の代わりにコーラを毎日2-3リットル飲み続けた男性の体内から30個以上の結石が出てきたというXの投稿がありました。

理由としては、水の代わりにコーラを飲むことで、水分が不足し、尿内の成分が結晶化したためとのこと。

そこで、どんな飲み物を飲むと腎臓に石ができるリスクが変わるのかについて調べた、2013年にアメリカの腎臓専門誌に掲載された研究を紹介します。

→ 腎臓結石 について詳しくはこちら

■結果

【腎結石のリスクが上がる飲み物(たくさん飲むと危険)】

砂糖入りコーラ → リスク 約23%アップ
砂糖入り炭酸飲料(コーラ以外) → リスク 約33%アップ ← これが一番高かった
砂糖入りパンチ(フルーツ風味の甘い飲み物) → リスク 約18%アップ
人工甘味料入り炭酸飲料(ノンコーラ) → 少しだけリスクアップ(ほぼギリギリ有意)

→ つまり甘い炭酸飲料や甘いジュース系をガブガブ飲む人は、腎結石になりやすいということです。

砂糖たっぷりの飲み物は尿中のシュウ酸やカルシウムが増えたり、尿が酸性に傾いたりして石ができやすくなると考えられます。

【腎結石のリスクが下がる飲み物(飲むと予防になる傾向)】

カフェイン入りコーヒー → リスク 約26%ダウン
カフェインレスコーヒー → リスク 約16%ダウン
紅茶 → リスク 約11%ダウン
ビール → リスク 約41%ダウン ← かなり強い効果
ワイン → リスク 約31〜33%ダウン
オレンジジュース → リスク 約12%ダウン

■まとめ

腎臓結石を予防するためには、毎日飲む飲み物の選び方が大事。

喉が渇いたら、水、無糖のコーヒー、紅茶、オレンジジュースを選ぶようにしましょう。

【参考文献】

結石対策|尿路結石予防に抗酸化物質を摂取してオステオポンチンの働きを抑制しよう|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、「結晶」を固めて「結石」へと成長させているのは、「オステオポンチン」で、お茶や青魚、ブルーベリー、大豆、かぼちゃ、にんじんなどに含まれる「抗酸化物質」を摂取することで、オステオポンチンの働きを抑制できるそうです。

→ 抗酸化作用・抗酸化物質を含む食品 について詳しくはこちら

また、肉や卵などの尿を酸性にする食品を多く摂取していると、尿中の結晶が増え結石のリスクが高まるので、野菜や海藻類、果物などを摂取して、バランスの良い食事に改善することによって結石のリスクは減るそうです。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

この街の中心に置いている憲法を読む

オレンジなど柑橘類を1日1個食べるとうつ病リスクが20%低下する可能性/ハーバード大学




ハーバード大学の研究によれば、オレンジを1日1個食べると、うつ病のリスクが20パーセント低下する可能性があるそうです。

これは、柑橘類が人間の腸内に生息する細菌の一種であるフェカリバクテリウム・プラウスニッツィイ(F.プラウスニッツィイ)の増殖を刺激し、神経伝達物質である幸せホルモン(セロトニンとドーパミン)を作りやすくしてくれて、それが脳に届き気分を良くしてくれるそうです。

今回のポイントは、同じリンゴやバナナなどの果物には同じ効果は見られなかったのですが、オレンジやミカンのような柑橘類にだけ見られたそうです。

■さらに詳しく!

●柑橘類の摂取量が多い人は、うつ病発症リスクが約**20-22%**低下する関連が見られた(「1日1個程度」の摂取でこの効果が示唆される)。

●柑橘類摂取により、腸内細菌のうちFaecalibacterium prausnitzii(F. prausnitzii)の存在量が増加する傾向が確認された。

●F. prausnitziiは善玉菌の代表格で、抗炎症作用のある短鎖脂肪酸(特に酪酸)を産生し、腸のバリア機能を維持したり、全身の炎症を抑えたりします。

●うつとのつながり:この菌が産生するSAM(S-アデノシルメチオニン)という物質が、セロトニンやドーパミンといった脳内神経伝達物質の合成を助け、腸-脳軸(gut-brain axis)を通じて精神状態に良い影響を与える可能性が示唆されました。うつ病患者ではこの菌が少ない傾向も複数のコホートで一致しています。

●柑橘類(オレンジ、みかん、グレープフルーツなど)にはフラボノイド(ナリンゲニン、ヘスペレチンなど)や食物繊維、ポリフェノールが豊富に含まれ、これらがプレバイオティクス(善玉菌のエサ)のような働きをしてF. prausnitziiなどの有益な菌を増やしやすいと考えられています。

●オレンジなどの柑橘類を日常的に摂取することは、腸内細菌叢のバランスを善玉寄りにシフトさせ、特にF. prausnitziiを増やして腸-脳軸経由でメンタルヘルスをサポートする有望な手段の一つと言えます。

■【補足】Dietary flavonoid intake and risk of incident depression in midlife and older women123

「食事でとるフラボノイドっていう成分が、うつ病を予防できるのか?」を調べた研究で、フラボノイドの種類(アントシアニンとかフラバノンとか)や、それが入ってる食べ物(ベリーとかオレンジとか)をたくさん食べる人が、うつ病になりにくいか、また65歳以上の看護師さんたちに絞って、お年寄りのうつ病にも効くかをチェックしたところ、フラボノイドをたくさん食べる人は、うつ病になる確率が少し減るそうです。

特に、アントシアニン(ブルーベリーとかに多い)やフラバノン(オレンジとかに多い)が効いていると考えられ、またお年寄りでも同じ傾向が見られました。

つまり、果物や野菜をいっぱい食べると、うつ病になりにくくなる可能性があるということです。

【補足】

腸内細菌の加齢が記憶力の低下・物忘れ・認知症の原因の一つ!?によれば、腸を整えて腸内細菌を若くすることが老化予防になる可能性があることがわかりました。

その一つの方法として、オレンジを食べることによって腸内環境を整えるのがいいかもしれません。

■まとめ

オレンジを1日1個食べるだけでうつ病リスクが20%下がる!

脳腸相関(腸から脳への神経伝達を通じて中枢神経へ働きかけること)という腸と脳の強いつながりを示唆する研究がありますが、これまで柑橘類と脳に関連があるとはわかっていませんでした。

魚は脳の栄養だとよく言われますが、これからは柑橘類は心と脳の栄養だといわれるようになるかもしれませんね。

国産ブラッドオレンジ
【予約販売】国産ブラッドオレンジ2.5kg(家庭用)【佐賀県太良町産】

【予約販売】国産ブラッドオレンジ2.5kg(家庭用)【佐賀県太良町産】 3,000円(税込)







国産クレメンティン
幻のフルーツ!国産クレメンティンの予約販売

P.S.

起こせ!みかんmovement!みかんレシピの開発で日本のみかんを盛り上げたい!によれば、みかんの消費量は全盛期から77%ダウンになっています。

こころの病気の患者数の状況(平成30年版厚生労働白書)
こころの病気の患者数の状況(平成30年版厚生労働白書)

平成30年版厚生労働白書のこころの病気の患者数の状況を見ると、気分障害の患者数が年々増加傾向にあります。

疑似相関かもしれませんが、ミカンの消費量が減って、気分障害の患者数が増えている現状を考えると、予防的に柑橘類を食べる習慣を身につけるというのは大事なことかもしれません。

そしてもう一つ、こころの病気ではなく脳の病気であるということを改めて見直さないと本当の意味で予防はできないのではないでしょうか?

【参考リンク】

「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

この街の中心に置いている憲法を読む

投稿日: 2025年11月28日 12:08

腸内細菌の加齢が記憶力の低下・物忘れ・認知症の原因の一つ!?




ある研究論文によれば、腸内細菌の加齢が年を取ると記憶力が落ちる(認知低下)の原因になる可能性があるようです。

よく詳しく言えば、物忘れは脳だけが原因ではなく、腸も超重要で、腸内細菌(マイクロバイオーム)の変化が、腸から脳への信号を弱めて、記憶を司る海馬の働きを悪くしていると考えられます。

■実験

老齢マウス(18〜24ヶ月齢)の腸内細菌を若いマウス(2〜3ヶ月齢)に移したところ、若いマウスなのに急に記憶テストの成績が悪くなりました。

反対に老齢マウスに抗生物質で腸内細菌をほぼゼロにすると記憶力低下がかなり防ぐことができました。

このことから、腸内細菌の加齢変化が認知低下の引き金になっていることがわかりました。

加齢で特に増える細菌は「Parabacteroides goldsteinii」でこの細菌は中鎖脂肪酸(MCFA)(特に3-ヒドロキシオクタン酸など)を作り、MCFAが腸の近くの免疫細胞(マクロファージなど)のGPR84という受容体を刺激し、炎症物質(IL-1β、TNFなど)が出て、これが迷走神経(腸と脳をつなぐ大事な神経)の感覚部分を邪魔した結果、脳の海馬に「ちゃんと信号が届かなくなる」=海馬の神経細胞が活性化しにくくなり、新しい記憶が作れなくなると考えられます。

そこで、1)特定の悪い細菌だけを減らすファージ(細菌を攻撃するウイルス)を使う、2)GPR84をブロックする薬、3)迷走神経を刺激する物質(カプサイシンやCCKなど)を使うことによって、老齢マウスの記憶力が若返るレベルで回復したそうです。

■さらに詳しく!

GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)自体を老齢マウスに1回腹腔内投与 → 記憶テスト(Novel Object Recognition: 新規物体認識テスト)の成績が有意に改善。

GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(liraglutide)を同じく老齢マウスに投与 → 記憶機能が回復(Extended Data Fig. 6o)。

リラグルチドは、まさに「糖尿病・肥満で使われているGLP-1受容体作動薬」の代表格(Victoza®)。

オゼンペック(セマグルチド)と同じクラスです。

つまり、腸から脳への迷走神経信号を直接刺激する物質として、GLP-1やその作動薬が使われて、これで海馬の神経活性が回復し、老齢マウスの記憶低下が改善しました。

内因性GLP-1の量自体は加齢で変わっていないのに、外から投与すると効果が出る(=信号伝達が弱まっているのが原因)ことがわかりました。

この研究を参考にすると、腸を整える、具体的には腸内細菌を若返らせる(良い菌を増やす、悪い菌を減らす)、GPR84阻害薬、迷走神経を刺激することによって、認知症や物忘れの改善につながる可能性があるのではないでしょうか?

【参考文献】

■まとめ

今回の研究で面白いポイントは3つ。

1)腸内細菌の加齢が記憶力の低下・物忘れ・認知症の原因の一つの可能性があること

2)その治療が糖尿病・肥満で使われているGLP-1受容体作動薬でできる可能性があること

3)腸を整えて腸内細菌を若くすることが老化予防になる可能性があること

【モーニングショー】糖尿病治療薬SGLT2阻害薬を使って老化細胞の除去ができる!?では、「新薬」で「直接」老化細胞を除去をするのではなく、「すでに実績がある薬」で「人間に備わっている免疫システム」を活用して老化細胞除去を促進している研究があることを紹介しました。

新薬に比べて、すでにある程度の実績がある薬を応用することは安全性やコストの面でメリットが大きいですね。

もう一つ言えることは、この研究を参考にすれば、糖尿病と老化が密接に関係していて、糖尿病にならないような生活習慣をすることが老化予防につながるのではないかと考えられます。

→ 糖尿病の症状・初期症状|糖尿病とは について詳しくはこちら

【補足】

これまでフルーツが認知症やうつ病の予防に役立つとする場合に、フルーツの持つ栄養素が脳に直接効果があると考えていましたが、実は腸内細菌叢のバランスを改善することが間接的に認知症予防やうつ病リスクの軽減につながっていたのではないでしょうか?

【関連記事】







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
この街の歩き方をまとめたページがあります。

▶ はじめての方は
👉 この街の歩き方ガイドから全体を見渡すのがおすすめです。

この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)

※ 無理に読まなくて大丈夫です。
 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

この街の中心に置いている憲法を読む