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なぜゲームOKの子はゲームNGの子より勉強時の集中力が高いのか?|#education




■なぜゲームOKの子はゲームNGの子より勉強時の集中力が高いのか?

Gamer kid

by Laurent DUSSIMON(画像:Creative Commons)

【朝日小学生新聞】「子どもとゲーム」実態調査リポート

(2017/7/12、株式会社朝日学生新聞社 PRTIMES)

勉強時間はゲーム禁止の子の方がやや長い(OK82.3分、NG89.0分)が、成績の良さは変わらない(OK94.4%、NG93.3%)。

ゲームOKの子の55.0%はゲームが勉強に役立った経験あり。最も多かったのは「知識が身についた」(56.7%)で、親がゲーム 好きだと60.8%に上昇。親と一緒にゲームをする子は、成績のいい子が多い。

ゲームOKの子はゲームNGの子より勉強時の集中力が高い(OK81.0%、NG73.3%)。

「朝日小学生新聞」読者(小学1年生〜6年生の男女457人から有効回答)を対象に家庭で遊ぶゲームについてのアンケート調査を行なったところ、ゲームOKの子供はゲームNGの子供より勉強時の集中力が高いそうです。

なぜゲーム禁止の子供よりも集中力が高いのでしょうか?

小学生の85.1%がゲーム好きで、ゲーム機を持つ子どもの91.9%がゲームに関する家庭内ルールがある。主なルールは、「宿題や勉強を済ませてから遊ぶ」「ゲームをしていい時間が決まっている」「夜遅くにゲームをしてはいけない」など。

今回の調査によれば、家庭内のゲームに関するルールが決まっているそうです。

つまりは、ゲームをするための条件をクリアしないとゲームができないというルールを守れる子供だからこそ勉強時の集中力が高いのではないでしょうか?

有名なマシュマロ実験というものがあります。

Oh, The Temptation

スタンフォード大学ウォルター・ミッシェルが行った実験によれば、マシュマロを食べずに長い時間我慢できた子のほうが、僅かな時間でマシュマロを食べてしまった子よりも、後の学校の成績がはるかによく、問題行動も大幅に少なかったそうです。

『「無意識」があなたの一生を決める 人生の科学』(著:デイヴィッド・ブルックス)

この実験で子供たちは、短期的な欲求と長期的な報酬の間の葛藤に直面することになる。より大きな長期的報酬を得るため、短期的な欲求を抑えることができる子かどうかが明らかになるのだ。

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つまり、ゲームをするという長期的報酬を得るために、宿題をするという我慢ができる性格だからこそ、学校の成績が良いと考えられます。

もしこの考え方が正しいとすれば、本当はゲームがしたいのに、ゲームをするためには宿題をしないというルールがあるから、宿題をしているということになってしまいます。

でもできれば主体的に勉強をしてほしいものですよね。

STEAM教育×VR|VRを用いた教育に効果はあるのか?|VRが授業の形を変えるかもしれない!?で紹介した北京の高校で行われた実験によれば、インタラクティブ(対話をするような形式で操作する)に授業を体験することができるからでしょうか、VRを用いた授業のほうが従来型の授業よりも学習意欲が高く、知識の定着率も高いという結果が出たそうです。

VR Education with Oculus Rift DK2

マイケル・ボデカー:仮想ラボが科学の授業を変える!(Oct 2015、TEDxCERN)によれば、科学の授業とシミュレータを組み合わせた「仮想ラボシミュレータ」の授業を受けた生徒は次のようにコメントしています。

“I just spent two hours in this virtual lab, and … and I didn’t check Facebook.”

「仮想ラボに2時間もいたけれど 途中でFacebookを一度も見なかった」

つまり、生徒は周りの様々な誘惑がある状況にありながらも、授業に没頭していたということです。
「超一流になるのは才能か努力か?(Peak secrets from the new science of expertise)」(著:アンダース・エリクソン)によれば、

最も優秀な成績を収めた生徒たちの顕著な特徴は退屈さや他の楽しい活動への誘惑に抗い勉強に打ち込み続ける能力が格段優れていたことだ。p223

ということですから、VRでの教育は授業に没頭することに成功したということで効果的だといえるのではないでしょうか。

超一流になるのは才能か努力か?

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つまり、理想としては、VRを活用するなど子供がゲームを楽しむような感覚で勉強に没頭できるような学習方法ができることが望ましいですね。




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■まとめ

今回の調査結果では、

ゲームOKの子は宿題を計画的に(OK70.5%、NG60.0%)、自主的に(OK75.9%、NG46.7%)取り組む傾向がある。

ということをメリットに挙げられていましたが、子どもに宿題をさせても成績が向上するわけではない!?で紹介したデューク大学のハリス・クーパーさんによれば、小学生の年齢の子供が宿題をやっても成績が向上するという証拠は見つかっていないそうです。

つまり、そもそも小学生が宿題をやる必要があるのかという疑問があります。

記憶するために反復練習をすることは必要だと思いますが、それが自分にとってつまらないものであれば、かえって学習意欲を失わせることにつながってしまうということではないでしょうか。

だからこそ、新しい教育の形が必要になっていると感じます。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

猪子寿之さんの考え方を自分なりに解釈すれば、次のようになります。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の学校の形かもしれない!?では、ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

ポイントは、いかに知的好奇心や遊び心を育てるかということ。

アイデアやテクノロジーの中には「遊び」から生まれたものがある!?|スティーブン・ジョンソン(STEVEN JOHNSON)で紹介したスティーブン・ジョンソンによれば、コンピュータの起源というのは、「音楽」からスタートしているそうです。

Steven Johnson スティーヴン・ジョンソン:音楽がもたらしたコンピューターの発明(Oct 2016、TED Studio)

コンピュータの概念を理論化する上で軍事的応用というのは重要な役割を果たしているのですが、それまでに様々なコンピュータの概念が出揃っている必要があったのです。

その一つが「自奏器(the instrument that plays itself)」と呼ばれるプログラム可能な機械であり、ここから、ハードウェアとソフトウェアという概念が生まれたのです。

つまり、コンピューターの始まりというのは音楽を「楽しむ」ことから始まっているのです。

現代では効率が重視されているように感じますが、楽しむこと、つまり「遊び心」から生まれるアイデアもたくさんあるのです。

遊び心というのは本質的に探索的であり身の回りの世界に新たな可能性を見つけようとします。この見つけようとするということが単なる愉しみや娯楽として始まったものが大いなる発明に繋がる理由なんです。

遊びから生まれたアイデアやテクノロジーはコンピュータだけではないそうです。

遊びから生まれた 世界を変えたアイデアやテクノロジーは たくさんあるんです 美術館 ゴム 確率論 保険業 まだまだあります

最近ではSTEM教育に注目が集まり、日本でも2020年度から小学校で「プログラミング」が必修化されるそうです。

いち早くプログラミング教育を実践しており、「マインクラフト」などゲームを使った授業にも取り組んでいる、東東京都小金井市立前原小学校校長・松田孝先生は、今回の調査結果をふまえ、次のようにコメントしてます。

【朝日小学生新聞】「子どもとゲーム」実態調査リポート

(2017/7/12、株式会社朝日学生新聞社 PRTIMES)

学校とは子どもたちが主体的に学ぶ場のはずですが、今は先生が勉強を教えてくれる場となっています。

教えられるだけの受動的な勉強は、苦しかったりするものですが、主体的に学ぶことは逆に楽しいのです。

そういった意味においては、ゲームもプログラミングと同じで、楽しく学ぶツールとして活用できると思います。

そのためには、ただ遊ぶだけでなく、ゲームを使ってクリエイトする姿勢が必要で、そこにはプログラミングの知識も役に立ちます。

ゲームもプログラミングも創造性を豊かにするもので、子どもたちにとっての学びのツールになるのではないでしょうか。

遊びを通じて学ぶ、遊びながら学ぶ、遊ぶように学ぶことが実践できるようになるとこれからもっと変わるような気がするのですが、どう思いますか?







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【仮説】『料理』は『創造力』を育てる方法|Tinkering(ティンカリング)やブルーノ・ムナーリの視点から




cooking in progress

by Jaume Escofet(画像:Creative Commons)

【仮説】『料理』は『創造力』を育てる方法

私はストレス解消の一環として時々料理を作っています。

完全に趣味で料理を作っているので、時短料理や簡単・手抜き料理ではなく、手の込んだ料理を作りたいと思って、NHKの今日の料理のレシピを見て作ったり、最近ではバーミキュラ(Vermicular)のライスポット(Ricepot)を購入し、無水調理や低温調理なども試しています。

※おいしい銀シャリが手軽に作れますし、無水にも関わらずにこんなに水分って野菜から出るものなんだ、低温調理機能がついていればローストビーフが簡単に作れるもんだんだなど調理家電のすごさに驚いていますが、その話は別の機会に。

ある時、ふと考えが浮かびました。

「『料理』は『創造力』を育てる方法なのではないか」という仮説です。

これまで、このブログでは、以前から創造力はどのようにして生み出されるのかについて関心を持ってブログに書いたり、またここ最近STEM教育に関心をもってこのブログでも取り上げています。

そこで、「創造力はどのようにして生み出されるのか」や「どのようなことがSTEM教育に役立つのか」について学び、言葉を書き留めているのですが、「料理」で例えるとぴったりくることが多いと感じたのです。

例えば、#Sony ロボット・プログラミング学習ができるSTEM教育キットKOOV|「Tinkering(ティンカリング)」とデザイン力を育てるでは、「Tinkering(ティンカリング)」の重要なポイントは、頭で考えるだけでなく、手を使い触りながら考えることも大事であり、手触りで試行錯誤する過程が非常に教育効果が高いと学んだのですが、「料理」こそ手触りで試行錯誤しながら作っていくものですよね。

また、創造性・創造力ということについて、私自身の指針の一つともなっている「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)には、保存しなければならないのは、作品ではなく、そのやり方や企画の立て方であり、問題に対して何度もやり直せると感じられることが重要だとあります。

ファンタジア

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「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

集団で作った作品を壊すのは、特に幼年期の場合、模倣のモデルを作らせないため。

保存されるべきは、そのやり方であり、企画を立てる方法であり、出くわす問題に応じて、再びやり直すことを可能にさせる柔軟な経験値である。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)によれば、模倣のモデルを作らせないため作品を必ず壊すようにするとありましたが、「料理」は必ず食べてなくなってしまいます。

大事なのは、どのようにして作ったか(レシピ)、どのような段取りで作るとよいのか、味付けをどのように変えるとよりおいしくなるのかを考えることにあります。

創造力を刺激する遊びを通じて、子供の知識が広げられないと、すでに知っている事柄同士の関係を築くことはできない。仮に関係を築くことができたとしても、それは非常に限定された方法でなされたにすぎず、それでは子供のファンタジアを発達させるに至らない。

子供を創造力溢れ、のびのびしたファンタジアに恵まれた人間に育てたいなら、可能な限り多くのデータを子供に記憶させるべきだ。記憶したデータが多ければ、その分より多くの関係を築くことができ、問題に突き当たってもそのデータをもとに毎回解決を導き出すことができる。

さまざまな料理の作り方、食材の選び方というような知識を広げることができれば、新たな関係を築くことにより、新しい料理が生み出されます。

仮に、「焼く」という調理方法しか知らない子供はその限定された方法でしか、料理を作ることができませんが、そこに、煮る、蒸すなどの調理方法があることを知れば、新しい料理を作ることができるようになります。

無知こそが最大の自由を与えると信じるのは間違っている。
むしろ知識こそが自己表現の手段を完全に操る力を与えるのだ。
それにより、手段とメッセージに一貫性をもたせ、明確に自己表現できるようになる。

子供が描いた絵に対して大人が創造力があると表現することがありますよね。

なぜ大人は子供が描いた絵に対して創造力があると表現するのでしょうか。

それは、無関係なもの同士をつなげたことによって、大人では想像できなかったものを描いたからです。

ただ、それは、ランダムに組み合わせたものが意図せず偶然作られたもの(子供によっては意図して作るケースもあるかと思います)であり、また、子供たち自身がメッセージ性をもって作り上げたものではありません。

子供が料理の作り方や食材の選び方などを学ぶことによって、自分でこんな料理と作りたいと思った時に、最も創造したものと一致した調理方法で表現することができるはずです。

つまり、「料理」を作ることは「創造力」を育てる方法の一つだと考えられるのです。

まとめ

「『料理』は『創造力』を育てる方法である」という仮説が正しいとすれば、「どのようにしたらおいしい料理を作れる教え方ができるのか」ということを通じて、創造力のあふれる教育方法に活かせるのではないでしょうか?

レシピ動画アプリでお手軽な料理を見るのも楽しいですが、手の込んだ料理がどのような過程を通じて作られるのか、どのような丁寧な仕事がその料理にされているのかを知るとまた一味違った味わいをするものです。

きっとそれが料理を生命を維持するだけのものから食事を通じて感動を味わえる存在に変わっていき、様々な分野に対する好奇心にもつながっていくのではないでしょうか?







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「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の学校の形かもしれない!?




■「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?

A_Table_where Little_People_Live

参考画像:A Table where Little People Live β.Ver / 小人が住まうテーブル β.Ver|YouTubeスクリーンショット

2016年7月2日(土)〜2016年7月31日(日)の期間中にボートレース大村(長崎県)で開催中のチームラボアイランド学ぶ!未来の遊園地に行ってきました。

Sketch Aquarium / お絵かき水族館

魚の輪郭が描かれたぬりえ用紙に自由に色を塗ったり模様を描いたりして、オリジナルの­­生き物を創ることができます。

自分で色を塗った生き物が泳いでいる姿やエサ袋に触れて、子どもたちは楽しんでいるようでした。

Create! Hopscotch for Geniuses / つくる!僕の天才ケンケンパ

体験者は他の参加者のために、どんなコースになったら面白いか、難易度はどうかなど、創造性を駆使してコースを作り、実際に遊んでもらいます。そしてお互いに、世界やルールは自分で作れるという体験、発見をします。

今回体験した時には、自分でコースを作るという作業を行えなかったので、この楽しみ方はわかりませんでした。

Light Ball Orchestra / 光のボールでオーケストラ

叩くと、色が変わったり音が鳴ったりする、光のボールによるオーケストラ場です。

光のボールを叩いたり、動かすと、色が変わったり音がなったりします。

大きいボールは他のボールと連動しているため、一つを叩くと、周囲のボールも全部色が変わり、空間全体の色が変わります。

光と音が連動して、新しい感覚が味わえます。

A Table where Little People Live β.Ver / 小人が住まうテーブル β.Ver

テーブルの上に手を置いたり物を置いたりすると、小人は気付いて、飛び乗って来ます。
テーブルの上に置く物の形や色で、小人のアクションは変わります。

テーブルの上に物を置くと、小人の動きが変わるのが面白いです。

物を置けば置くほど、小人の動きは複雑化しているように感じ、まるでそのもので小人が遊んでいるような印象さえ受けます。

Story of the Time when Gods were Everywhere / まだ かみさまが いたるところにいたころの ものがたり

物語の世界の裏側には、360度広がる空間があり、文字から生まれたものたちは、空間上のそれぞれの位置や、それぞれが持つ特性や関係性物理的な影響などによって、互いに影響を受け合いながら、そして、鑑賞者の位置やふるまいにも、影響を受けながら、空間上でリアルタイムに計算されて動いたり変化したりしていき、物語を創っていきます。

画面の上から象形文字が降りてきて、その文字に触れると、その文字のもととなるモノに変わります。

そして、そのモノはそのもの同士や鑑賞者の位置・動きに影響を受け、二度と同じものは見ることはできない唯一のアートとなります。




■まとめ

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

猪子寿之さんの考え方を自分なりに解釈すれば、次のようになります。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。







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なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのか?|AccentureやGoogleは社内男女比「50対50」を目指す




■Accenture、2025年までに社内男女比「50対50」に

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by WOCinTech Chat(画像:Creative Commons)

アクセンチュアが大胆宣言、2025年までに社内男女比「50対50」に

(2017/6/16、Forbes)

2025年までに社員の男女比を50対50にすると発表。

Women in the Workplace Being Greater Than|Accentureによれば、アクセンチュアは男女の多様性(ダイバーシティ)や平等(賃金格差を縮めることなど)について考えており、その実際の行動として、2025年までに社員の男女比を50対50にすると発表しました。

【参考リンク】

テスラ、21世紀フォックスCEOらを新取締役に任命

(2017/7/18、Forbes Japan)

テスラにはここ一年、役員会メンバーの多様性を欠いているとの批判を受けており、著名な黒人女性エグゼクティブであるジョンソン・ライスらの起用には、その批判を交わす狙いもありそうだ。

テスラは、アフリカ系アメリカ人向けの雑誌「エボニー」の発行元であるジョンソン・パブリッシング(JPC)のトップを務め、国立アフリカン・アメリカン歴史文化博物館のボードメンバーも務めているリンダ・ジョンソン・ライスを取締役会に加えたというニュースがありました。

企業における多様性に注目が集まっていることが分かるニュースです。

【参考リンク】

Apple — Inclusion & Diversity — Open

Inclusion & Diversity|Appleによれば、Appleでの多様性に対する取り組みを公開しています。

【追記(2017/8/7)】


「参考画像:Diversity|Googleスクリーンショット

Google、中の人の「女性は生まれつきエンジニアに向かない」文書回覧で社内騒然

(2017/8/6、ITmediaニュース)

Googleは男女半々になることを目指していますが、8月3日(現地時間)にある男性エンジニアが「女性はコーディングに向いてないから無理に半々にするべきじゃない」と主張する「Google’s Ideological Echo Chamber」(Googleの思想的エコーチャンバー)というタイトルの文書を社内で公開しました。

 これについて複数の従業員が公開ツイートしたものだから米Motherboardが記事にして騒ぎが外部に広がり、これを書いている今、その全文が米Gizmodoで読めるようになっています。

Googleが公開している男女比率を見てみると、女性は全体の約3割で、技術職に占める女性の割合は全体の2割となっています。

ただこの議論に挙がっていないことは、女性も能力で判断してほしいと思っているであろうこと、「コーディング」の定義がどういうものであり、その「コーディング」の能力だけがエンジニアとして必要な能力なのかという視点ではないでしょうか?

多様性(ダイバーシティ)に求められるのは、さまざまな視点を持つ人が増えることだと思います。

「女性はコーディングに向いてない」という根拠を示すことができれば、それをもとに経営陣が判断することも大事なことでしょう。

ただ、コーディングをすることだけが大事なことなのかという意見もあってしかるべきです。

【追記(2018/1/25)】

フォーブス、初の「多様性に優れた米企業」ランキング発表

(2018/1/25、Forbes)

フォーブスが独調査会社スタティスタ(Statista)と共同で行なった「多様性に優れた米企業・組織ランキング」は以下の通り。

  1. Northern Trust
  2. Smithsonian Institution
  3. Levy
  4. Intuit
  5. Harvard University
  6. Principal Financial Group
  7. Emory University
  8. Wegmans Food Markets
  9. Keller Williams Realty
  10. AbbVie

【参考リンク】

■なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのか?

なぜ企業はジェンダーダイバーシティ(男女の多様性)を重要視するようになったのでしょうか?

「How Google Works」(著:エリック・シュミット ジョナサン・ローゼンバーグ)

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

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「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、極めて効果的な政策だ。

社会学者のセドリック・ヘリングによれば、人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見しています。

職場の均質性は悪い結果を招きやすく、視点の多様性で会社が近視眼的になるのを防ぐと考えられます。

もう一つは、クリエイティブな人材をひきつけるには多様性に対して開放的な環境である必要があるということです。

「クリエイティブ資本論」(著:リチャード・フロリダ)

クリエイティブ資本論―新たな経済階級の台頭

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経済競争力を持ちたいと望むコミュニティには、むしろ真に開放的で包容力のある人的環境が必要である。

それはクリエイティブ・クラスのみならず、アメリカ社会そのものを構成している多様な人々を引きつけることなのである。

すでに移民やボヘミアンを引きつけること、そしてゲイを含めたあらゆる類の多様性に対して開放的な場所になることの重要性を示してきた。

優秀なクリエイティビティを発揮する人材が求めるものは、思考の多様性であり、寛容さがあるところです。

わかりやすい例えでいえば、大学のような雰囲気でしょうか。

大学は、クリエイティブ・クラスを惹きつけ、抱えておくのに役立つような進歩的、開放的、そして寛容な空気を作り出すことにも一役買っている。ゲイやその他のアウトサイダーの居場所でもあり続けた。

新しいものが学べたり、いろんな人々がいることを許される雰囲気がある場所というのは、自然とクリエイティブな人々をひきつけてしまうものなのでしょう。

そのコミュニティがどれだけ開放的であったり、クリエイティブな人たちが集まっているのかを示す指標として、ゲイ指数やボヘミアン指数というものがあるそうです。

●ゲイ指数

ゲイコミュニティへの開放度は、クリエイティビティを喚起しハイテク産業の成長を促す人的資本への垣根が低いかどうかのよい指標となりうる

●ボヘミアン指数

作家、デザイナー、ミュージシャン、俳優、映画監督、画家、彫刻家、写真家、ダンサーなど芸術を職業とする人口の比率を測定するもの

つまり、多様性があるということは、視点の多様性で会社が近視眼的になるのを防ぐことにつながり、クリエイティブな人々を惹きつけることにつながるのです。

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■まとめ

【追記(2017/9/10)】

最近のトレンドとしては、企業の社員における男女比を50対50にしましょうというのがトレンドであり、良い考え方だと思っていました。

しかし、落合陽一さんの講演を聞いた後、考え方が変わりました。

【SoftBank World 2017】特別講演 落合 陽一 氏(2019年1月18日に改めてチェックしたところ動画は削除されています。)

男女比をフィフティフィフティにしようという考え方は標準化しようという考え方であり、あるところでは男女比が9:1のところがあったほうがよいところもあるはずです。

重要なのは、その時々によってその割合のバランスを変えられるということです。

問題をフィフティフィフティで解決しようとすると、無駄が多い社会になってしまう可能性があるというのが落合陽一さんの意見です。

企業を評価する人たちは「社員の男女比50対50」というような数字はわかりやすくて評価しやすいのだと思いますし、私もそのうちの一人でした。

多様性(ダイバーシティ)を考える際には、何が標準かを決める考え方(この場合には「社員の男女比50対50」)によって多様化を目指すのではなく、その時々によってその割合のバランスを常に変え続けるようにすることで、本来の意味での多様性が実現するのではないでしょうか。

【追記(2017/9/30)】

落合陽一×猪瀬直樹 異色対談「激論! 近代の超克」

(2017/5/19、クーリエ・ジャポン)

落合 対して日本には、「適材適所」という考え方があります。聖徳太子の時代からおこなわれていたことで、たとえば会社は必ずしも男女半々じゃなくてもいい、女性が9割の会社があってもいいじゃないかと考える。それを無理やり対等にもっていこうとすると、むしろ多方面に歪みが出てくる。

「平等」にロジカルに対抗しうる唯一の概念が「適材適所」だと僕は考えていて、しかもそれは、日本人の多くが納得できる考え方だと思うんです。だから「適材適所」は一つの突破口になる概念じゃないでしょうか。

恣意的にではなく、”自然と”男女比が50:50になったとしたら、それは問題ないことだと思いますが、男女比が50:50であることが平等だから制度としてやらなければならないというのはゆがみが出てきてしまうのではないでしょうか。

企業側は適材適所でその人を選んだことをしっかりと説明できるようにすることのほうが重要なのかもしれません。

P.S.

A new generation of tech girls learn to think creatively|Accenture

Women pursuing STEM careers: Trust in your ability|Accenture

Accentureでは、男女の多様性について変えていこうとしているだけでなく、女の子がSTEM(科学、技術、工学、数学)スキルを子供の頃から学び、創造的な力を身につけていくことをすすめています。

【関連記事】

なぜ女は男のように自信をもてないのか

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女性の生き方が変われば、社会にも新しい変化が出てくると思いますので、楽しみですね。

【追記(2017/10/9)】

Frauenstimmen werden tiefer – daran könnte es liegen|GEO

ドイツ人女性の声は過去20年で声は低くなり、以前は男性よりも1オクターブが高かった声が、その差は半分になったそうです。

男性の声に変化はなかったことから、女性の声の変化に生物学的要因が影響しているのではなく、社会・文化的な理由が反映されたことにより声が変わったのではないかと考えられるそうです。

【参考リンク】

  • Language pitch(2017/2/1、Erik Bernhardsson)







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P.S.

Nintendo Labo(ニンテンドーラボ)|Nintendo Switch×ダンボール工作で新しい遊び方の発明!




■Nintendo Labo(ニンテンドーラボ)|Nintendo Switch×ダンボール工作で新しい遊び方の発明!

Nintendo Labo(ニンテンドーラボ)|Nintendo Switch×ダンボール工作で新しい遊び方の発明!
Nintendo Labo(ニンテンドーラボ)|Nintendo Switch×ダンボール工作で新しい遊び方の発明!

参考画像:Nintendo Labo(ニンテンドーラボ) 初公開映像|YouTubeスクリーンショット

スマートスピーカー(AIスピーカー)×ゲーム機(#プレステ や #NintendoSwitch など)の組み合わせが最強!?【2018年ビジョン】では、Nintendo Switchの新しい遊び方はAIスピーカー(スマートスピーカー)かなと予想していたのですが、「段ボール」で、ピアノや、つりざお、バイクなどをつくって それを「Nintendo Switch」と合体させると演奏したり、魚をつったり、レースしたりすることができるNintendo Laboでした。

Nintendo Labo(ニンテンドーラボ) 初公開映像

自分で作るコントローラー「Toy Con」とNintendo Switchを合体させて遊んだり、作ることで仕組みがわかるというような「遊びながら学ぶ」というのがコンセプトのように感じます。

Sonyの「toio」に近い印象ですね。

ロボット×プログラミング×遊び=トイ・プラットフォームtoio(sonyのおもちゃ) #stem #steam #educationによれば、絶対位置センサーと高性能モーターを内蔵されたtoioコアキューブはおもちゃや工作をのせることができる小さなロボットで、コントローラーであるtoioリングは、内蔵する加速度センサーで、toioコアを操作でき、自分の工作物と組み合わせることで新しい遊びができるというものです。

toio ConceptMovie

#SONY ロボット・プログラミング学習ができるSTEM教育キットKOOV|「TINKERING(ティンカリング)」とデザイン力を育てる

Nintendo Laboが目指すところは「Tinkering(ティンカリング)」にあると考えられます。

ティンカリングの定義と性質|ティンカリングの観点を取り入れた生徒主体の「ものづくり」に関する研究|日本科学教育学会研究会

Wohlsen(2011)は「ティンカー」を、何でもいじらずにいられないという性質を持つ者、あるいはそうした振る舞いの呼称であり、「ティンカリング」は創造性(creativity)の本質であると述べている。さらに、Wohlsenは「ティンカー」は傍目には遊んでいるように見えても、すでに完成しているエンジンパーツやコンピュータ・コードの一部をまったく新しいものにつくり変えようとしており、遊戯性を伴うが、新しい何かを創りだそうとと熱意と才能を注ぐ知的競争と表現している。

Marcus Wohlsen(2011), Biopunk: Solving Biotech’s Biggest Problems in Kitchens and Garages

小学校段階における論理的思考力や創造性、問題解決能力等の育成とプログラミング教育に関する有識者会議(第2回) 議事録(2016/5/19、文部科学省)

少し手前みそなんですけれども、弊社で開発している商品の簡単な紹介をさせていただきたいんですけれども、KOOVという名前で、ブロックを使ったロボットプログラミングキットを、今、開発中でして、今年中には発売する方向で、今、準備を進めているところです。このブロックを使ってロボットを作るというところなんですけれども、教材としてのメリットは、いわゆるティンカリングと言われている、手探りをしながら試行錯誤、トライ・アンド・エラーしながら自分なりにいろいろなロボットを作っていって課題に対処するみたいな、そういった手触りで試行錯誤する過程が非常に教育効果が高いということで、このブロックを使ったロボットというのは、レゴさんなんかもそうですけれども、海外でも高い評価受けているところになります。

試行錯誤する課程を通じて課題に対処することが教育効果が高いということであり、KOOVはその「Tinkering(ティンカリング)」の観点を取り入れたキットといえると考えられます。

子供の頃に、時計や家電製品を分解したことがある人もいるのではないでしょうか。

これも一種の「Tinkering(ティンカリング)」と考えると、分解することでモノの構造を知り、大きく言えば世界を知ろうという好奇心や創造力を育てることにつながっているのではないでしょうか。




■Nintendo Laboにはどんなテクノロジーが使われている?

Nintendo Laboの動画では、ピアノや、つりざお、バイクなどの動きができると紹介していますが、どんな技術でその動きを再現しているのでしょうか?

学研さんと「HD振動」のヒミツについて調べてみました。

(2017/8/10、Nintendo)

Nintendo Switchでは「リニア振動モーター」が生み出すHD振動によって、微妙な振動のちがいを細かく表現することができるようになったので、ボールが転がる触感や、ガラスの中で氷がぶつかるような触感などをつくりだすことができるようになったのです。

学研さんと「モーションIRカメラ」のヒミツについて調べてみました。

(2018/1/15、Nintendo)

モーションIRカメラはこの「赤外線ライト」と「IRカメラ」のコンビネーションで、物の動きを調べているのです。

このプログラムを変えれば、「モーションIRカメラ」は口の動き以外にもいろいろなことを認識することができます。

Nintendo Switchには振動の違いを細かく表現できる「HD振動」で触感を作り出すことができ、また、高い精度で赤外線を捉えることができる「IRカメラ」と「赤外線ライト」の組み合わせてモノの動きを認識できる「モーションIRカメラ」という機能があり、この2つの機能を使って、ピアノや、つりざお、バイクなどの動きを再現していると考えられるそうです。

「Nintendo Labo」は何がスゴイのか 公式映像から考察してみた

(2018/1/18、ITmediaニュース)

「ゲームボーイ」生みの親として知られる任天堂の開発者、故・横井軍平氏の「枯れた技術の水平思考」を想起させる。

iPhoneはゲームボーイだ:任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代

(2015/7/2、週刊アスキー)

テクノロジーというものがあって、縦に技術を掘っていくのではなく、水平にそれをどう使って、どう演出して、コンテンツ化していくか、その発想力というのがとても重要なんですね。

常に新しいテクノロジーがよいというわけではなくて、そのテクノロジーをアイデアをどう使うかがポイントだということでしょうね。

この考え方を使って、子供も大人も含めて遊ぶとよいのではないでしょうか?

Nintendo Labo 紹介映像

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■まとめ

おもちゃと触れて遊んでいるうちに、好奇心をもって試行錯誤をしながら、自然と学ぶというのがこれからの教育の形になっていくのではないかと思っているのですが、Nintendo Laboのコンセプトも同じように、手を動かして(工作)遊んで、触れあっていくうちに新しい遊びを考えていき、自然と新しい発見をしていくというものです。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

これからの教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいくのではないでしょうか。







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