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グルテンフリーとアトピー性皮膚炎の関係について調べてみた!




先日アトピーのお子さんをお持ちのママにどんな対策をされてるんですかと質問したところ、「グルテンフリーをしています」ということでした。

そこでグルテンとアトピーの関係について調べてみました。

ある研究によれば、アメリカの看護師を対象とした大規模な健康調査で、グルテンの摂取量が多いと、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性皮膚炎にかかるリスクが高まるのか調べたところ、グルテンの摂取量が多い人と少ない人を比較しましたが、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性皮膚炎のいずれとも明確な関連は見られなかったそうです。

つまり、グルテンを普通に食べていても、これらの皮膚疾患にかかる可能性が高まるわけではない、と考えられます。

【参考リンク】

グルテンはなぜか悪いというイメージがついているんですよね。

52歳モデルがヴィーガン食で「死にかけた」慢性の消化器疾患「セリアック病」と診断!ヴィーガン食によりセリアック病を起こすことがあるの?によれば、セリアック病では、小麦や大麦などに含まれるたんぱく質グルテンを摂取することにより免疫系が小腸を攻撃し、栄養の吸収を阻害してしまうので、グルテンアレルギーやセリアック病の予防・改善のため、「グルテンフリー」小麦・大麦・ライ麦などに含まれる「グルテン」というたんぱく質を避ける食事法があります。

多くの人がグルテンフリーが健康に良いという時にはこの情報をベースにしたものを参考にしているのではないでしょうか?

グルテン・小麦=老化の原因!?グルテンフリーだとアンチエイジングになるって本当?調べてみた!でも書きましたが、グルテンフリー食が一部の人々にとって健康上のメリットをもたらす可能性はあり、また小麦製品の過剰摂取がAGEsを通じて老化に間接的に影響する可能性はありますが、誰もがグルテンフリーだからといって健康に良いわけではなく、グルテンがそもそも「悪」ではないんですよね。

もう一つ考えられるのは「アレルギーマーチ」という考え方です。

アトピー性皮膚炎は、保湿剤で乳児の発症率3割減少するによれば、アトピー性皮膚炎のある乳児は、食物アレルギーを持っていることが多く、また、国内では未就学児の10~30%がアトピー性皮膚炎を患っているそうです。

皮膚のバリアーを高めてアトピー予防|フィラグリンに変異があるとアトピー性皮膚炎を発症しやすくなる!?|アレルギーマーチを防ぐには?によれば、子どもの場合、成長とともに、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、ぜんそく、鼻炎と進む傾向があるため、「アレルギーマーチ」と呼ばれます。

乳児期に湿疹があると、さまざまな抗原が入りやすくなって、アレルギーマーチを引き起こすと考えているので、湿疹を放置せずに早く治療することが食物アレルギーやぜんそく、花粉症などの発症予防につながる可能性があるそうです。

食事前に子供の口の周りにワセリン(保湿剤)を塗ることで食物アレルギーを予防!なぜワセリン(保湿剤)を塗るとアレルギーが予防できるの?によれば、乳幼児はかぶれたら食事前にワセリンなどで保護するという方法がぜん息予防のためのよくわかる食物アレルギー対応ガイドブックなどでも紹介されています。

1.乳幼児の皮膚はとても薄く、新生児の場合、大人の半分しかありません。また、皮脂分泌量が圧倒的に少ないため、乾燥しやすい、かぶれやすい、炎症を起こしやすい、という特徴がある。

2.特に、口まわりは、外からの刺激を受けやすく、特に炎症を起こしやすい場所である。

3.口周りがただれていると、つまり、口周りのバリア機能が低下していると、そこに付着した食べ物のアレルゲンが侵入し、食物アレルギーを発症してしまうことがある。

4.そこで、食事前に口の周りを清潔にしたうえで白色ワセリンなどの保湿剤を口周りに塗っておくことで食物アレルギーの発症を予防する。

つまり、今までの記事を含めて総合的に考えると、食物アレルギーのリスクになるような食品を取り除くことで、アレルゲンの侵入を防ぎ、食物アレルギーの発症を防ぐことで、アトピーの発症を防ぐまたは症状を軽減するという考えになっているのではないでしょうか?

そこで、グルテンフリーがアトピーに良いという考え方になっているのかもしれません。

最後にこの記事のまとめを2つ。

●グルテンを普通に食べていても、乾癬、乾癬性関節炎、アトピー性皮膚炎の皮膚疾患にかかる可能性が高まるわけではない。

評価:このポイントは論文の結論と完全に一致しており、正確です。一般的なグルテン摂取がこれらの皮膚疾患のリスクを高める証拠はありません。

●グルテンフリーをすることで食物アレルギーのリスクを減らしてアレルギーマーチを防ぎ、アトピーの発症を防ぐまたは症状を軽減したいと考えているからこそグルテンフリーの食事を選ぶ人が増えているのでは?

評価:この考えは部分的に妥当ですが、以下の補足が必要です:

グルテンフリーがアトピー予防やアレルギーマーチ抑制に効果的なのは、グルテン関連のアレルギー(小麦アレルギー、セリアック病)を持つ人に限られる可能性が高いです。

一般の人がグルテンフリーにすることでアトピーやアレルギーマーチを予防できるという科学的証拠は不足しています。

グルテンフリー食の人気は、セリアック病や健康トレンドの影響で「グルテンが悪」と誤解された結果とも言えます。

Q&A

Q1: グルテンフリーにするとアトピーが良くなるの?
A: 小麦アレルギーやセリアック病がある人には効果がある場合がありますが、普通の人にはアトピー予防や改善の効果は科学的にはっきりしていません。無理にグルテンを避けると栄養不足になるリスクもあるので、医師や栄養士に相談するのがおすすめです。

Q2: アレルギーマーチって何?
A: 乳幼児期にアトピー性皮膚炎が始まり、食物アレルギー、喘息、アレルギー性鼻炎へと進行するパターンのこと。皮膚のバリアを保つ(保湿剤を使うなど)ことで、アレルゲンの侵入を防ぎ、進行を抑えられる可能性があります。

Q3: グルテンが「悪」って本当?
A: グルテンはセリアック病や小麦アレルギーの人には問題ですが、健康な人には悪影響の証拠は少ないです。グルテンフリーが流行しているのは、一部の病気の情報が広まりすぎた誤解が原因かもしれません。

■結論

グルテンフリーがアトピーやアレルギーマーチの予防に役立つ可能性は、特定のグルテン関連アレルギーを持つ人に限られます。

論文の結果からも、一般的なグルテン摂取がアトピー性皮膚炎のリスクを高めるわけではないことがわかります。

グルテンフリー食を選ぶ人が増えている背景には、健康トレンドや誤解が影響していますが、科学的根拠に基づいた食事選択が重要です。

アレルギーマーチの予防には、乳幼児期のスキンケアや湿疹の早期治療がより効果的と考えられます。

→ アトピー性皮膚炎とは|アトピーの症状・原因・改善方法・予防 について詳しくはこちら

【補足】 他の関連論文・情報のまとめ

論文1: The Link between the Clinical Features of Atopic Dermatitis and Gluten-related Disorders(Sur et al., 2019)

概要: グルテン関連疾患(セリアック病、小麦アレルギー、非セリアックグルテン過敏症:NCGS)とADの関連を症例報告で検討。

内容: 32歳の女性とその娘2人(6歳、9歳)がADとグルテン関連疾患を併発。グルテンフリー食(GFD)を導入後、ADの症状が大幅に改善した。特に、母親は4か月齢でADと診断され、12歳でセリアック病(CD)と診断後、GFDで皮膚症状が軽減。娘もグルテン再導入で症状が悪化した。

結論: グルテン関連疾患を持つAD患者では、GFDが症状改善に有効な場合があるが、因果関係は不明で、さらなる研究が必要。

限界: 症例報告(3人)に基づくため、広く一般化できない。

ポイント: セリアック病やNCGSを持つ特定のAD患者では、GFDが効果的かもしれないが、症例規模が小さく、科学的証拠としては限定的。
論文2: Gluten Intolerance and Its Association With Skin Disorders: A Narrative Review(2023)

概要: グルテン不耐症(特にセリアック病)と皮膚疾患(AD、乾癬、蕁麻疹など)の関連をレビュー。

内容:
セリアック病(CD)はグルテン不耐症の代表で、皮膚症状(特に蕁麻疹様皮膚炎:DH)を伴う。ADとの関連は一貫しない。

169人の横断研究では、AD患者の51%がGFDで症状改善を報告(出典84)。また、Sur et al.の症例報告(上記)を引用し、GFDでAD改善の例を提示。

セリアック病患者の約60%がADを含む皮膚症状を有し、GFDで改善する傾向がある。

結論: ADとグルテン不耐症の関連は一部の患者で認められるが、GFDの効果は個人差が大きく、さらなる臨床試験が必要。

限界: 多くのデータが症例報告や小規模研究に基づくため、因果関係の証明は不十分。

ポイント: グルテン不耐症(特にCD)がある場合、GFDがADの症状を軽減する可能性があるが、普遍的な効果は未確立。
論文3: Atopic Dermatitis and Celiac Disease: A Cross-Sectional Study of 116,815 Patients(Shalom et al., 2020)

概要: AD患者におけるセリアック病(CD)の有病率を調査。

内容:
AD患者は非AD対照群と比べ、セリアック病の有病率が1.6倍高い(0.6% vs 低率)。重症AD患者ではCDの有病率が約3倍。

セリアック病患者はADや蕁麻疹様皮膚炎(DH)を合併しやすい。

結論: ADとセリアック病には関連があるが、AD患者全体でのCD有病率は低い(0.6%)。グルテンがADの直接的原因とは考えにくい。

限界: グルテンフリー食の効果は直接評価していない。

ポイント: AD患者の一部にセリアック病が関与する可能性があるが、グルテンがADの主要な引き金ではない。
その他の情報源
Healthline: Does Eating Gluten Worsen Eczema Symptoms?(2025)

グルテンがADの原因ではないが、セリアック病やNCGSを持つ人では、グルテン摂取がADの症状悪化を引き起こす可能性がある。

2018年のレビューでは、NCGS患者の18%がAD様の皮膚症状を報告。GFDで改善する場合がある。

推奨:グルテンが引き金と疑う場合、1週間GFDを試し、症状を記録。栄養士の指導が必要。

National Eczema Association: Gluten-Free and AD(2016)

セリアック病患者の30%がADに関連する抗グリアジン抗体を持つ(1985年の小規模研究)。しかし、2001年の研究では、セリアック病児と非セリアック児でAD有病率に差がない。

GFDは重症AD患者で試す価値があるが、4~8週間で効果がなければ継続の必要性は低い。

Medical News Today: The Gluten-Eczema Connection(2022)

グルテンがADの原因ではないが、セリアック病患者ではDH(ADと類似)が頻発。GFDでDHは改善するが、ADへの効果は証拠が不足。

グルテンが引き金と疑う場合、食品日誌で症状を追跡し、医師と相談。

ポイント: セリアック病やNCGS患者ではGFDがAD症状を軽減する可能性があるが、一般のAD患者への効果は限定的で、科学的証拠は不十分。

■グルテンフリーとアトピー性皮膚炎の関係:総合的な考察

(1) グルテンフリー食の効果が期待できるケース

セリアック病(CD): セリアック病患者の10~25%が蕁麻疹様皮膚炎(DH)を合併し、GFDで改善する。AD患者でもCDが関与する場合、GFDが有効な可能性がある(例:Sur et al.の症例)。

非セリアックグルテン過敏症(NCGS): NCGS患者の18%がAD様症状を報告し、GFDで改善する場合がある。

小麦アレルギー: 小麦(グルテン含有)がアレルゲンの場合、GFDがAD症状を軽減する可能性がある。

(2) グルテンフリー食の効果が限定的なケース

一般のAD患者: 提供された論文(Drucker et al.)や他の研究(Shalom et al.)では、通常のグルテン摂取がAD発症のリスクを高めないことが示されている。GFDの普遍的な効果は証明されていない。

アレルギーマーチとの関連: 乳幼児期のADが食物アレルギーやアレルギーマーチ(喘息、鼻炎への進行)を引き起こす可能性があるが、グルテン特異的なアレルギーがない場合、GFDは予防効果が低い。

(3) グルテンフリー食のリスクと注意点

栄養不足: GFDはビタミンB群、鉄、食物繊維の不足リスクを高める。特に小児では成長に影響する可能性がある。

コストと負担: グルテンフリー食品は高価で、厳格な食事管理が必要。

誤診のリスク: DH(セリアック病関連)がADと誤診される場合がある。セリアック病の検査(血液検査、腸生検)が推奨される。

(4) アレルギーマーチとグルテンフリーの視点

「アレルギーマーチ」(AD→食物アレルギー→喘息・鼻炎の進行)は重要です。乳幼児の薄い皮膚はアレルゲン侵入のリスクが高く、湿疹の早期治療や保湿(例:ワセリン)がアレルギーマーチ予防に有効です。グルテンフリー食は、小麦アレルギーがある場合にアレルゲン除去として役立つ可能性がありますが、グルテン非特異的なADでは効果が期待できません。

■全体のまとめ

主要な結論

グルテン摂取とADのリスク:
一般的なグルテン摂取はADの発症リスクを高めない(Drucker et al., 2019)。通常の食事でグルテンを避ける必要はない。

グルテンフリー食の効果:
セリアック病(CD)、非セリアックグルテン過敏症(NCGS)、または小麦アレルギーを持つAD患者では、GFDが症状を軽減する可能性がある(Sur et al., 2019; 2023レビュー)。

しかし、AD患者全体でのGFDの効果は一貫せず、科学的証拠は限定的。

アレルギーマーチとの関連:
乳幼児期のADはアレルギーマーチの起点となり得るが、グルテンフリー食が予防に有効なのは小麦アレルギーなどの特定の場合に限られる。スキンケア(保湿、湿疹治療)がより効果的。

実践的なアドバイス:
グルテンがADの引き金と疑う場合、医師や栄養士の指導のもと、1~3か月のGFDを試し、食品日誌で症状を記録。

セリアック病やグルテン過敏症の検査(血液検査、腸生検)を検討。

無闇なGFDは栄養不足やコスト負担を招くため、慎重に判断。

グルテンフリー食は、セリアック病、非セリアックグルテン過敏症、小麦アレルギーを持つアトピー性皮膚炎患者で症状改善の可能性がありますが、一般のAD患者への効果は限定的で、科学的証拠は不十分です。アレルギーマーチの予防には、乳幼児期のスキンケアがより重要です。グルテンフリーを検討する場合、医師や栄養士の指導のもと、短期間の試行と症状記録を行い、栄養バランスに注意しましょう。グルテンの「悪」のイメージは誤解に基づく部分が多く、バランスの取れた食事選択が大切です。







うつ病の人は心不全の発症リスクが高い!




米国退役軍人を対象に、うつ病が心不全(心臓が十分に血液を送り出せなくなる病気)の発症リスクにどう影響するかを調べた研究によれば、うつ病がある退役軍人は、そうでない人に比べて心不全を発症するリスクが高いことがわかりました。

■研究の結果

参加者の特徴: 約8%(約22.6万人)がうつ病と診断されていた。

心不全の発症率:

うつ病がある人:10,000人年あたり136.9人が心不全を発症。

うつ病がない人:10,000人年あたり114.6人が心不全を発症。

うつ病がある人は、うつ病がない人に比べて心不全のリスクが14%高い(ハザード比1.14)。

特に、他の病気がない人では、うつ病による心不全リスクが58%も高かった(ハザード比1.58)。

■まとめ

うつ病がある退役軍人は、そうでない人に比べて心不全を発症するリスクが高いこと、特に他の病気が少ない人では、うつ病の影響がより強く出ることが示されたことから、うつ病の治療をすることが心不全の予防につながること、うつ病患者には心臓のケアも重要であるということですね。

【参考リンク】

  • Pfaff JL, Eden SK, Kundu S, Alcorn CW, Garry J, Greevy RA, Stewart JC, Freiberg MS, Brittain EL. Depression and Heart Failure in US Veterans. JAMA Netw Open. 2025 May 1;8(5):e259246. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2025.9246. PMID: 40338547; PMCID: PMC12062911.

最近の研究では、食べ物によって腸内細菌叢が変化し健康(体も心も)に影響を与えることがわかってきていています。

魚介類を多く食べる人はうつ病の発症率が低くなる傾向|オメガ3(EPA・DHA)が多いと発症率が低くなる|国立がん研究センター・慶応義塾大学で紹介した国立がん研究センターと慶応義塾大学のチームが「トランスレーショナル・サイカイアトリー」に発表した疫学調査によれば、魚介類を多く食べるグループは、そうでないグループに比べてうつ病の発症率が低くなる傾向にあることがわかっています。

【関連記事】

60歳未満の人がコーラやジュースなど砂糖入り飲料やダイエットコーラなど人工甘味料入り飲料を1日1杯以上飲むとうつ病のリスクが上がる!によれば、イギリスの「UKバイオバンク」というデータベースを使い、18万8千人以上の人の飲料摂取(何をどれだけ飲むか)と、うつ病や不安障害との関係を調べたもので、11年以上にわたって参加者を追跡し、年齢によって飲み物の影響がどう違うかを分析したところ、60歳未満の人がコーラやジュースなど砂糖入り飲料(SSB)やダイエットコーラなど人工甘味料入り飲料(ASB)を1日1杯以上飲むと、うつ病のリスクが上がり(SSBで14%、ASBで23%リスク増)、60歳未満の人が純粋なフルーツ/野菜ジュース(PiS)やコーヒーを飲むと、うつ病のリスクが下がるという結果が出ています。

これを考えると、うつ病によって心不全リスクが上がるという説と、うつ病になりやすい人は心不全リスクが上がりやすい生活習慣(食習慣)をしている可能性もあるということも考えられます。

心不全が増加しているのは、動脈硬化の増加→心臓病(心筋梗塞・狭心症など)の増加であり、超高齢化社会においては心不全の患者は急激に増えることから「心不全パンデミック」といわれています。

心不全による入院患者数は、2012年の約21万人から2016年には約26万人と、毎年1万人ずつ増加しているそうです。

ニュースを見ていると心不全で亡くなった有名人の方のニュースをよく見かけるため、新型コロナウイルスの後遺症やワクチンの副作用によるものを疑う声も多いのですが、実は大きなトレンドとして超高齢化社会においては心不全の患者が増えるというものがありました。

今回の件を合わせて考えると、うつ病と心不全の関係もあわせてみていくことで、うつ病と心不全を防ぐ生活習慣というのも見えてくるかもしれませんね。







ロスマリン酸の健康効果とは?/抗アレルギー作用(花粉症対策)/アルツハイマー病予防




ロスマリン酸は、シソ科植物(えごまの葉、赤しそ、ローズマリー、バジル、ミントなど)に多く含まれるポリフェノールの一種で、抗酸化作用や抗炎症作用を持つ天然成分として知られています。

近年では、抗アレルギー作用(特に花粉症対策)やアルツハイマー病予防への効果が注目され、研究が進んでいます。

以下に、最新の研究動向を抗アレルギーとアルツハイマー病の観点から簡潔にまとめます。

1. 抗アレルギー作用(花粉症対策)

ロスマリン酸は、抗酸化作用と抗炎症作用により、アレルギー性疾患(花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など)の症状を軽減する可能性が示されています。

メカニズム:
ロスマリン酸は、ヒスタミンの遊離を抑制し、免疫系の過剰反応を抑えることで、鼻炎や皮膚の炎症、かゆみ、喘息などの症状を軽減します。

活性酸素による炎症反応を抑制し、アレルギー症状の悪化を防ぎます。

研究例:
シソ科植物(特に赤しそやローズマリー)に含まれるロスマリン酸は、花粉症やアレルギー性鼻炎の症状を軽減することが日本での研究で確認されています。

化粧品分野では、ロスマリン酸を含むシソ葉エキスやローズマリー葉エキスが、20年以上の使用実績で皮膚感作性が低いとされ、アレルギー性皮膚炎の抑制に役立つ可能性が示唆されています。

実用例:
赤しそジュース中のロスマリン酸が健康食品として利用され、アレルギー症状の緩和に寄与する可能性が報告されています。

機能性表示食品として、ロスマリン酸を含むローズマリーエキスが一時的なイライラ感や日中の眠気を軽減する効果で注目されています。

2. アルツハイマー病予防

ロスマリン酸は、脳機能の維持やアルツハイマー病予防に関連する効果が研究で明らかになっています。

特に、アミロイドβ(Aβ)凝集の抑制や神経伝達物質の保護が注目されています。

メカニズム:
アミロイドβ凝集抑制: ロスマリン酸は、アルツハイマー病の原因の一つであるアミロイドβ(Aβ)やαシヌクレインの凝集を抑制し、分解を促進する効果が試験管レベルや動物実験で確認されています。

また、2017年の日本蛋白質科学会で、スペアミント由来のロスマリン酸がAβの線維形成を強く抑制することが発表されました。

モノアミン濃度の上昇: ロスマリン酸摂取により、脳内のドーパミンやその他のモノアミン(セロトニンなど)の濃度が上昇し、これがAβ凝集を抑制することでアルツハイマー病予防に寄与するとされています(東京大学・金沢大学等の研究、2019年)。

神経伝達物質の保護: ロスマリン酸はアセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の働きを抑制し、認知機能の低下を防ぎます。

抗酸化・抗炎症作用: 脳の酸化ストレスや炎症を軽減し、神経細胞の保護に寄与します。

【関連記事】

研究例:
2017年の研究(わかさ生活と鳥取大学)では、スペアミント由来のロスマリン酸がAβの線維形成を抑制し、認知症(アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症)の予防に役立つ可能性が示されました。

2019年の東京大学等の研究では、ロスマリン酸摂取によりマウスの脳内でドーパミン合成が活性化し、Aβ凝集を抑制する新たな作用機序が発見されました。

この効果は、αシヌクレインの凝集抑制にも繋がり、アルツハイマー病以外の認知症予防にも期待されています。

ヒト臨床試験(米国)では、スペアミント抽出物(ロスマリン酸高含有)の摂取により、理解力、認知力、注意力、集中力、作業記憶が改善したと報告されています。

実用例:
金沢大学の「能登ロスマリン酸認知症予防プロジェクト」など、ロスマリン酸を活用した製品開発や研究が進んでいます。

現在、レモンバーム抽出物(ロスマリン酸含有)を使用した認知症予防の介入試験が進行中です。

3. その他の効果

うつ・不安の軽減: ロスマリン酸は、GABAA受容体に作用して精神を安定させ、ドーパミンやセロトニンの減少による自律神経失調を抑えることで、うつや不安症状を軽減します。

エネルギー代謝: ロスマリン酸は筋細胞のエネルギー消費を促進し、AMPK経路を活性化することで生活習慣病予防に寄与する可能性が示されています(農研機構の研究)。

抗糖化作用: メイラード反応を阻害し、皮膚の老化防止にも寄与する可能性があります。

→ 糖化の症状・原因・チェック・糖化を防ぐ方法

4. 摂取方法

食品: ロスマリン酸は、えごまの葉、赤しそ、ローズマリー、スペアミント、レモンバームなどのシソ科ハーブに豊富に含まれます。ハーブティーや料理(サラダ、スープ)に取り入れることで摂取可能です。

5. 最新研究のポイントと今後の展望

抗アレルギー: ロスマリン酸のヒスタミン抑制作用や抗炎症作用は、花粉症やアレルギー性鼻炎の症状軽減に有効であることが複数の研究で裏付けられています。今後は、ヒトでの臨床試験や最適な摂取量の確立が期待されます。

アルツハイマー病: ロスマリン酸のAβ凝集抑制やモノアミン濃度上昇による予防効果は、マウス実験や試験管内研究で有望な結果を示しています。特に、2019年の東京大学等の研究で発見されたドーパミン経路を介した新たな作用機序は、アルツハイマー病だけでなく他の認知症予防にも応用可能な知見です。現在進行中のレモンバーム抽出物を用いたヒト介入試験の結果が待たれます。

まとめ

ロスマリン酸は、抗酸化・抗炎症作用を基盤に、花粉症対策としてヒスタミン抑制や炎症軽減により効果を発揮し、アルツハイマー病予防ではAβ凝集抑制やドーパミン濃度上昇を通じて有望な結果を示しています。

今後注目の栄養成分として人気を集めそうです。

【関連記事】







入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの継続使用が高齢者の寿命を延ばす可能性がある!




入れ歯などの継続使用が高齢者の寿命を延ばす可能性(2025年6月12日、東京科学大学)によれば、全国の65歳以上の高齢者約4.8万人を最大9年間追跡した結果、入れ歯、ブリッジ、インプラントなどの歯科補綴物を継続して使用していた高齢者は、使用していなかった高齢者と比べて、平均で3.7ポイント生存率が高く、特に歯が20本未満の人では5.9ポイント高いことが分かったことから、歯科補綴物の継続使用が高齢者の寿命の延伸に寄与する可能性を示しました。

【参考リンク】

  • Matsuyama Y, Aida J. Dental prosthesis use and mortality: A time-varying exposure analysis with machine learning. J Prosthet Dent. 2025 Jun 5:S0022-3913(25)00413-5. doi: 10.1016/j.prosdent.2025.05.007. Epub ahead of print. PMID: 40480892.
自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命長く、要介護日数短い
自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命長く、要介護日数短い

参考画像:自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命長く、要介護日数短い (2017/6/28、東北大学プレスリリース)|スクリーンショット

認知症と歯の関係(歯の残存本数・歯周病)はあるの?オーラルフレイルを知って健康寿命を延ばそう|自分の歯が多く保たれている人は、健康寿命が長く、要介護期間が短い|東北大学で紹介した東北大学の松山祐輔歯科医師が行なった研究によれば、自分の歯が多く保たれている人は、寿命が長いだけではなく、健康寿命(日常生活に制限のない期間)が長く、要介護でいる期間が短いことがわかったそうです。

歯の健康は体の健康に大きく関係! – 山梨県歯科医師会で紹介されている東北大学が70歳以上の高齢者116名を対象に行なった調査によれば、認知症の疑いがあるグループが9.4本だったのに対して、健康なグループは平均14.9本の歯が残っていたことから、認知症と歯の健康に関連性があることがありそうです。

からだの健康は 歯と歯ぐきから – 8020推進財団で紹介されている「口腔と全身の健康との関係Ⅱ:名古屋大学医学部口腔外科の研究調査」によれば、アルツハイマー型認知症のほうが健康な人より残っている歯の本数が少ないことが分かっています。

【参考リンク】

今回の研究結果は、自分の歯ではなくてもきちんと歯の治療を行っている人ほど寿命を延ばす可能性があるというのがポイントですね。







Dragon Ash櫻井誠さん、狭心症のため活動休止「心筋梗塞になる前に発見できた」/狭心症のサインとは?




Dragon Ashの公式Xの投稿によれば、櫻井誠さんは半年ほど前から体に不調を感じていたため心臓CT検査を受けたところ狭心症であることがわかり、検査入院するそうです。

今回のポイントはこちら。

運動時やライブ中などに、胸やのどのあたりに痛みを感じたりすることがあり、原因を探っておりました。

<中略>

心筋梗塞になる前に発見できたので、皆様も体の違和感を感じたらすぐ病院に行きましょう!

体に起きた違和感をサインと考えて、原因を探り、病院で診てもらったことで心筋梗塞になる前に発見出来たんですね。

■狭心症とは?

急性心筋梗塞の前兆・予兆で気をつけるべきなのは「狭心症」|狭心症の症状・原因・特徴によれば、心筋梗塞で助かった患者の多くで、その前兆となる狭心症状があったそうです。

→ 心筋梗塞・急性心筋梗塞とは|心筋梗塞の症状・原因・前兆・予防 について詳しくはこちら

■狭心症を告白した有名人

■狭心症のサイン

「歯が痛い」「左肩が痛い」「みぞおちが痛い」が病気のサイン!?歯の痛みは狭心症の前兆?

【補足】

■狭心症の分類と特徴

【狭心症の分類と特徴】

  • 安定狭心症(症状が固定していて心筋梗塞になりにくい)
  • 不安定狭心症(2週間以内に心筋梗塞を発症する可能性が極めて高い)

つまり、不安定狭心症が注意すべき症状といえます。

■狭心症の症状

【狭心症の症状】

  • 胸の圧迫感
  • 肩やおなかや背中の痛み

【胸が痛い(胸痛)関連記事】

■狭心症の原因

狭心症は冠動脈に狭窄が起きて、血液の流れが悪くなることで起こります。

この狭窄には、粥状動脈硬化と線維性動脈硬化の2つがあります。

●粥状動脈硬化

粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化症)とは、動脈硬化の一種で、アテロームと呼ばれる沈着物(血液中の脂肪、コレステロール、カルシウムおよびその他の物質)が動脈の内側に蓄積した状態のことをいいます。

アテローム性動脈硬化症は、高血圧高血糖などの理由により血管内膜が傷つき、その隙間から血管内膜の下に入り込んだコレステロールが白血球の一種であるマクロファージに捕食され、その死骸が溜まり アテローム状(粥状の塊)になり、血管のしなやかさが失った状態であると考えられています。

こぶが破裂すると、その部分に血栓ができて血管が狭くなります。

そして、完全に血管が詰まれば脳梗塞心筋梗塞などの病気になる恐れがあります。

この状態を不安定狭心症と呼ぶそうです。

→ 動脈硬化の症状・予防・原因・改善 について詳しくはこちら

→ 動脈硬化に良い食べ物 について詳しくはこちら

【関連記事】

●線維性動脈硬化

線維性動脈硬化は破裂することがなく、安定しているため、安定狭心症と呼ぶそうです。

■不安定狭心症の症状の特徴

症状は、①運動時にも安静時にも起きる②いきなり安静時に5分以上続く症状が出現する(大量の血栓によって閉塞一歩手前)③症状の持続時間がどんどん長くなる(血栓が増大して閉塞しかかっている)などがあります。

【不安定狭心症の症状の特徴】

  • 運動時にも安静時にも起きる
  • いきなり安静時に5分以上続く症状が出現する(大量の血栓によって閉塞一歩手前)
  • 症状の持続時間がどんどん長くなる(血栓が増大して閉塞しかかっている)

→ 心筋梗塞の症状・原因・前兆・予防 について詳しくはこちら

■心筋梗塞の予防方法

心筋梗塞を予防するためには、動脈硬化を予防する必要があります。

●食事・食生活の改善・バランスのとれた食事に

動脈硬化の予防には食事・食生活の改善は欠かせません。抗酸化食品に注目が集まっています。

バランスのとれた食事でミネラル・ビタミン補給しましょう。また、食事の量にも気をつけましょう。

→ 抗酸化食品 について詳しくはこちら

なぜ喫煙によって虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)リスクが上がってしまうのか?

●食物繊維で脳卒中や心筋梗塞のリスク減

45歳以上の男女約8万7千人を約10年間、追跡調査を行い、食物繊維の摂取が多いグループは、そうでないグループに比べて、脳卒中や心筋梗塞などの循環器病の発症リスクが低かったそうです。

水溶性の食物繊維よりも不溶性食物繊維のほうが脳卒中のリスクを下げる効果が高かったそうです。

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【参考記事】

食物繊維で脳卒中や心筋梗塞のリスク減 厚労省研究

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食事からのマグネシウム摂取量が多いグループは虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の発症リスクが低い|#国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターと国立循環器病研究センターの共同研究によれば、食事からのマグネシウム摂取量と循環器疾患(脳卒中及び虚血性心疾患)との関連を検討したところ、マグネシウム摂取量が多いグループは虚血性心疾患の発症リスクが低いことがわかったそうです。

マグネシウムを摂取している量が多いほど糖尿病のリスクが下がる!?によれば、食事でマグネシウムを摂取している人は糖尿病になりにくいということが福岡県久山町の住民の健康診断データを21年間にわたって追跡した九州大チームの調査で確認されたそうです。

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ただ、糖尿病の前段階の人はマグネシウムを摂取すると血糖値が改善する!?で紹介した国立がん研究センターの多目的コホート研究によれば、男性ではわずかながらマグネシウム摂取による糖尿病予防の可能性がありましたが、全体としては関連性は認められなかったそうです。

マグネシウム摂取量が多いグループは虚血性心疾患の発症リスクが低いことがわかりましたが、今回の研究は、マグネシウムと虚血性心疾患との関連性を調べたもので、予防のメカニズムにまでは調べられていませんが、これまでの先行研究で次のようなことがわかっています。

マグネシウムの欠乏は、血圧上昇、血糖代謝低下、動脈硬化促進、脂質代謝異常など、虚血性心疾患の原因となる複数の要素と関連します。一方、動物実験では、高マグネシウム食を与えると血中の血糖値と脂質値が下がることも報告されています。これらのことがマグネシウム摂取の循環器疾患発症に対する予防効果として考えられます。

マグネシウムの欠乏と虚血性心疾患の原因となる要素が複数関連していること、動物実験において高マグネシウム食を与えると血糖値と脂質値が下がることが報告されているそうです。

虚血性心疾患予防のためにも、マグネシウムを含む魚や果物、野菜、大豆などの食品を積極的に摂りましょう!

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