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子どもがICT端末を使うことによる健康障害について考えてみた

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by Brad Flickinger(画像:Creative Commons)




「ICT端末の健康障害を認識した上で活用を」–日本小児連絡協議会が提言

(2015/10/19、CNET)

山縣氏はまず、子どもがICT端末を使うことによる健康障害として、(1)長時間使い続けることによる「VDT症候群」「睡眠不足と運動不足」「ネット依存症」、(2)デジタルコンテンツの使用による「ゲーム依存」「行動、メンタルヘルスへの影響」、(3)情報伝達手段として使用することによる「コミュニケーション能力への影響」「社会性の発達への影響」――の3つを挙げた。

ICTと子どもの健康問題に対して、3つのポイントから考えてみたいと思います。

(1)長時間使い続けることによる「VDT症候群」「睡眠不足と運動不足」「ネット依存症」

●VDT症候群

VDTとは、Visual Display Terminal(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)の略で、パソコンなどの画面表示装置を備えたコンピュータ機器のことをいいます。

→ VDT症候群の症状・原因・対策 について詳しくはこちら

スマホやPCといったデジタルスクリーンを長時間見続けることによって、目の充血肩こり・頭痛目の痙攣目のかすみといった目の疲れ眼精疲労)の症状が出ます。

睡眠不足

子どもの寝不足|睡眠不足の原因・子どもの脳と睡眠の関係・睡眠不足を解消する方法アメリカは「睡眠大不況」?|睡眠不足の原因・健康に与える影響・ぐっすり眠る方法によれば、スマホ・ケータイ・タブレットなどを就寝前に見ることによって睡眠時間が削られるだけでなく、眠りづらくなっているということです。

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睡眠不足がすべての原因とはいえないでしょうが、睡眠不足をもたらす生活習慣によって、太りやすくなり肥満の原因となったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まることが考えられます。

低体温の子ども、「意欲」が低下によれば、低体温の傾向にある子供は、眠気やダルさ、頭痛や腹痛、学習や運動意欲の低下といった症状が出ているようです。

その原因としては、生活リズムの乱れから体温調節に関わるホルモンや自律神経の働きがおかしくなっていることが関係しているようです。

●運動不足

子どもの肩こりを解消する方法|猫背と肩こり・猫背の子どもが増えている理由(浮き指)によれば、扁平足は先天的な要素として遺伝もあるそうですが、後天的な理由として運動不足(=たくさん歩いていない)も関係しているそうです。

香川県の小4の血液検査で1割の子どもが肝機能、脂質、血糖値の異常値を示すで紹介した香川県の調査によれば、検査値が異常だった子どもは、食べ過ぎ、早食い、ゲーム時間が長い、運動不足といった生活習慣が多かったそうです。

●ネット依存

8割が自覚するスマホ依存症|スマホ以前・以後で生活は豊かになったか?によれば、スマホに依存していると感じている人は約8割いることがわかったそうです。

子どもの「スマホ疲れ」|女子高生のスマホ使用時間が5.5時間に減少によれば、以前に比べて女子高生のスマホ使用時間は減少しているものの、ケータイ・スマホの使用によって、「寝不足で注意力散漫になった」「頭痛等の回数が増えた」「食欲がなくなった」「イライラするようになった」などと心身の不調を訴える声が前回に比べて約2倍に増えているそうです。

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(2)デジタルコンテンツの使用による「ゲーム依存」「行動、メンタルヘルスへの影響」

<自宅で長時間は危険>スマホの使用時間と位置情報の分析でうつ病診断ができる可能性がある!?によれば、うつ病になると自宅に引きこもってスマートフォンを長時間使用する傾向があるそうです。

(3)情報伝達手段として使用することによる「コミュニケーション能力への影響」「社会性の発達への影響」

97%の大学生が場の空気を読んで、自分の意見を言わないことがある!?によれば、東京工芸大学が全国の4年制大学生を対象に行ったアンケート調査によれば、多くの大学生が場の空気を読むことや人の顔色をうかがうことを重視していることがわかったそうです。

ネット漬け生活でポップコーン脳に?!で紹介したスタンフォード大学の社会心理学者クリフォード・ナス氏によれば、人とのコミュニケーションスキルは、経験を通じて学習するものであり、ネットに集中する時間が長いと、直接人と接触する機会が少なくなることから、感情の読み取り方を学ぶことができなくなるようです。

ただ、SNSをツールとして使いこなしている人からすれば、SNSが社会性発達にさらなる好影響を与えていると考えている人がいるのかもしれません。

電話が発明された時も、電話という新しいコミュニケーション手段が直接の交流を避ける様になるのではないかと悲観的に考えられていました。

新たなコミュニケーション手段が発明されるたびに、テクノロジーが共同体に与える影響をめぐり、過去数世紀にわたって議論が繰り返されてきた。

悲観論者はこんな懸念を表明する。

新たなコミュニケーション手段のせいで昔ながらの人間関係が薄まり、人々は他人との直接の交流をあらゆる面で避けるようになるのではないだろうかと。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)

しかし、悲観論者が考えていたような電話は社会的コミュニケーションを減らすものではないということはあなたの周りを見ればわかるはずです。

電話と同様、SNSも社会的交流を補うツールだと考えれば、世界は広がっていくはずです。

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■まとめ

「2歳未満の子供には画面を見せないほうが良い」とする指針が見直される!?でも論じられていましたが、テクノロジーの進歩のスピードに専門家の研究が追いついておらず、助言をするタイミングが遅れてしまっているのが現状です。

何が正しいのか、正しくないのか、後になってみないとわかりません。

何がいいのか悪いのかわからない時には、「ラクをすることよりも楽しい方を選ぶ」とよいのではないでしょうか?









栗原類さん、ADHD(発達障害)の一つであるADD(注意欠如障害)を告白

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by Practical Cures(画像:Creative Commons)




栗原類、発達障害を告白 8歳の時に判明「人に合わせられない」

(2015/5/25、スポニチアネックス)

発達障害(ADHD)のひとつである注意欠如障害(ADD)であることを告白した。

モデルの栗原類さんは、米国に住んでいた8歳の時にADHD(注意欠陥・多動性障害)の一つであるADD(注意欠如障害)と診断されたことを明かしたそうです。

ADHDなど、増加する子供の精神科受診によれば、ADHDの主な症状は次の通り。

  1. 集中できず、忘れ物が多い(不注意)

  2. 落ち着きがなく、じっとしていられない(多動性)

  3. 結果を考えずに、思いつきの行動をする(衝動性)

ADHDという病名が独り歩きをし、心配になって受診するケースが増えているそうですので、ADHDに対する正しい知識を学ぶ必要があるようです。

【追記(2016/6/21)】

栗原類さんが「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」を出版するそうです。







「子供は夜9時からスマホ禁止ルール−愛知・刈谷市」から考えること

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by Bondesgaarde(画像:Creative Commons)




小中学校生は夜9時からスマホ禁止 愛知・刈谷市

(2014/3/18、テレビ朝日)

午後9時以降、スマートフォンや携帯電話の使用を禁止します。

記事によれば、愛知県刈谷市内の21の小中学校の児童と生徒を対象に、午後9時以降、スマートフォンや携帯電話の使用を禁止するというもの。

理由としては、

無料通話アプリ「LINE」などを使ったいじめの事例が市内で報告されたことを受け、トラブルから子どもを守るために発案した

ということです。

現代生活において欠かせなくなっているツールが「スマホ」。

今回は、その「スマホ」の使用をよる9時以降使わせないという試みで子供をトラブルから守ろうというものです。

この試みに対しては、否定する意見があるようですが、なぜ否定する必要があるのでしょうか。

●「スマホはコミュニケーションツールなのだから、禁止するのはけしからん」

→目の前の人とのコミュニケーションが出来なくなってきている人が増えている現実がある。

→道具として使うべきスマホにあまりにも行動が支配されているのではないか。

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●「家庭にまで踏み込むな」

→スマホが家庭だけの問題であれば、このようなことをする必要がなかったのだが、中には学校側に責任を負わせようとする親が増えており、学校側が規制しようとしても仕方がないのではないか。

●「他のツールでも出来るから意味がない」

→メッセージを伝えるときには、シンプルなものが好ましい。今回は、それが「スマホ」だっただけ。大事なのは、「スマホを使うな」というのではなくて、「スマホに使われるな」ということがメッセージの本質。

本来であれば、家庭内で決めるルールを学校側が決めなければいけないというところに問題があります。

子ども21時でスマホ禁止、刈谷市が大胆な試み。LINE既読スルー問題、保護者責任を校長が明かす

(2014/3/17、Engadget japanese)

大橋校長によると、こうしたトラブルに対して、生徒が大きな犯罪に巻き込まれないよう、学校側ではこれまでも注意をしてきたと言います。しかし、「保護者は自分で子どものために契約しておきながら、トラブルがあれば問題を学校に持ち込みます。子どもに持たせるために契約したのは保護者でありながら学校にです。これでは責任の所在が本末転倒です」と話しています。

学校側もわざわざ「夜9時以降はスマホ禁止ルール」なんて言いたくはないと思います。

今回のような議論の種になることはわかっていることですからね。

ただ、それ以上に、子供たちの身体の健康と心の健康にスマホが影響を与えてきているということを見過ごすことが出来ない段階まで来ていると考えたため、こうした試みを行なったのだと思います。







【スマホが身体と心にもたらす影響 関連記事】

今回の試みは、スマホを例に、ツール(道具)との距離感を議論するよいきっかけになると思います。

こうして議論を深めていって、家庭内でのスマホとの向き合い方のルールができ、学校側のルールがなくなるといいですね。



「女子高生の4割、スマホ1日6時間超」がもたらす影響とは?

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by verkeorg(画像:Creative Commons)




女子高生の4割、スマホ1日6時間超 食べながら38%

(2014/3/11、朝日新聞デジタル)

スマホや携帯の1日の平均使用時間は、中学生は男女とも1・8時間、高校生の男子は4・3時間。これに対して女子高生は平均で6・4時間だった。さらに6時間以上が4割を超え、うち12時間以上との回答も1割を超えた。

今回情報セキュリティー会社デジタルアーツが発表した調査結果によれば、女子高生の4割が、スマホやケータイの使用時間が一日6時間以上だったそうです。

LINEなどのやりとりやゲーム、動画の視聴をしているのだと思いますが、これほどスマホと向き合う時間が長いと身体の健康が心配になってきますね。

スマホの使用時間が長くなればなるほど、目に負担がかかることはもちろん、姿勢も前屈みになり太りやすくなると言われていますし、また、スマホの使用で身体を痛めてしまう人がいたり、冷えの原因になっているのではないかとも言われています。

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また、直接人と話したりする時間や考える時間がなくなっていないかというところも心配になってきます。

何かをしながら使う「ながら」利用の割合でも、「会話しながら」が46・6%など、小中高生のなかで女子高生が際立って高かった。

ほとんどを「ながら」でするわけですから、自分が大事に思っている人が出す何らかの「サイン」を見逃してしまうかもしれません。

今のところ、「会う」以上のコミュニケーション手段はない!ですし、目の前にいる人とのコミュニケーションを大事にしてほしいものです。







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【追記(2015/2/25)】

なぜ、女の子の思春期に達する年齢が昔に比べて早くなっているのか?

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by Philippe Put(画像:Creative Commons)




■アメリカでは女の子の思春期の到達時期が昔に比べて早くなっている

近頃の女の子が早熟な理由

(2014/1/31、モデルプレス)

2004年から2011年までアメリカで1500人の女の子を対象に研究を行った結果、胸が膨らみだした年齢を思春期と定義した場合、思春期に達した女の子の平均年齢は9.7歳で、1960年代の女の子と比べてもかなり早熟である事が分かったのです。

一方黒人の女の子の場合の思春期到達時期はさらに若く、平均で8.8歳、ヒスパニック系の女の子で9.3歳、アジア人の女の子で9.7歳でした。

アメリカでは、女の子の思春期(胸が膨らみだした年齢と定義)の到達時期が昔に比べて早くなっていることがわかったそうです。

 

■なぜ思春期に達する年齢が早まっているのでしょうか?

この結果の背景には肥満と年々高くなるBMIが深く関係していて、民族性に関わらずBMI値が高ければ高いほど思春期を迎える年齢が高くなる、という結果が小児科ジャーナルで発表されています。

研究によれば、BMI値が高ければ高いほど思春期を迎える年齢が早くなるそうです。

アメリカだけでなく世界的に肥満が問題になっているくらいですから、今回の研究をあわせてみると、女の子の思春期を迎える年齢がますます早くなるかもしれません。

【アメリカと肥満 関連記事】

また、女の子が早熟になっているのは、他にも理由があるそうです。

肥満の他に、現代の女の子は運動量が少なかったり、野菜やフルーツの少なく、肉類や乳製品を多く含む食生活、家庭内でのストレス、整髪料に含まれるホルモン剤の使用なども早熟の一因になっている、ノースカロライナ大学の研究者、マルシア ハーマンギデンズ氏は言います。

食生活、家庭内でのストレス、整髪料に含まれるホルモン剤の使用なども影響しているそうです。

 

■思春期開始時期が早くなることで考えられる問題

思春期開始時期が早くなることで考えられる問題は2つ。

一つは、健康へのリスク。

思春期開始年齢が早いと、高血圧、2型糖尿病のリスクも高まるそうです。

もう一つは、心と身体の成長スピードが合わないこと。

身体が早く成長しても、心がその成長に追いついていないと、そのことで悩む子供が増えてしまうのではないかということです。

親、教師、周りの大人はこうしたことを理解して、自分たちの思春期の頃よりも少し前倒しにして、子供の成長を見守る必要があるのではないでしょうか。







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