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【初心者向け!5G入門編】5Gとは?わかりやすく解説!5Gで世界はどう変わる?#5G についてコレだけおさえよう!




【目次】

■5Gで世界はどう変わる?|5Gとは?特徴は超高速・多数同時接続・超低遅延|#5G についてコレだけおさえておけば、新しいチャンスをつかめる可能性が上がる!?

5Gで何が変わるか
5Gで何が変わるか

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

このページにたどり着いたあなたは「5Gってニュースで目にする機会が増えたけどよくわからない」というような「5G」について興味があるという方だと思いますが、5Gがどれほど世界を変えるものなのかを知ると「知っててよかった!」という気持ちになります。

5Gを知ることによって、社会人の方はあなたの仕事の未来とのつながりや将来に向けての投資の役に立つでしょうし、就職・転職を考えている人は5G関連で強そうな産業・企業研究に役立つはずです。

このページはあくまで初心者向けの入門編ですので、説明する際に紹介している参考リンクをぜひチェックしていただくとより理解が深まると思います。

■5Gとは?

移動通信システムの進化
移動通信システムの進化

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

情報通信技術の進歩
情報通信技術の進歩

参考画像:IoT新時代の未来づくり検討委員会事務局資料(2017/11/17、総務省)|スクリーンショット

移動通信システムの進化は、1G→2G→3G→LTE→4G→5Gと進化を遂げています。

「移動通信システム?」と聞くとテクノロジーや難しい言葉に対する急な拒否反応を示してしまう可能性もありますが、私たちに身近なものでいう「携帯電話」に代表される移動体通信を頭に思い浮かべてくださいね。

【参考リンク】

移動通信システムの歴史を簡単におさらいします。

第1世代 アナログ方式 (音声)

第2世代 デジタル方式 (パケット通信)

第3世代 世界共通のデジタル方式 (静止画・ブラウザ・動画)

ITU(国際電気通信連合)によって定められた「IMT-2000」規格に準拠したデジタル携帯電話

第3.9世代 LTE(Long Term Evolution)

4Gへのスムーズな移行を目指すものであり、3.9Gとも呼ばれます。

第4世代 LTE-Advanced (高精密動画)

【参考リンク】

  • LTEとは|NTTコミュニケーションズ

平成29年度情報通信審議会 情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会報告(案)

(2017/7/20、総務省)

移動通信システムは、およそ 10 年毎に世代交代が行われており、過去 30 年間で通信速度は、約10,000万倍に高速化した。

これまでの移動通信システムの進化を一言でまとめるとするなら、通信速度の高速化ですが、5Gの進化は異なります。

では、第5世代である5Gはこれまでとどのように違うのでしょうか?

移動通信システムの高度化|平成28年版情報白書|総務省

第5世代移動通信システム(5G)は、超高速を実現するだけでなく、多数同時接続や超低遅延といった、従来技術にない特徴を有しており(図表6-3-2-1)、すべてのモノがインターネットに接続されるIoT時代に不可欠な基盤技術として期待されている。

5Gのポイントは、「超高速」であるという通信速度の進化だけでなく、「多数接続」、「超低遅延」といった新たな機能を持つ次世代の移動通信システムだということです。

※「多数接続」、「超低遅延」については改めて紹介しますので、ここはサラッと流しておいてください。

次のステップでは、5Gのコンセプト(概念や全体を貫く基本的な考え方)について紹介してみたいと思います。

【参考リンク】

コメント)ちゃんとついてこれてますか?(自分の説明に足りないところがなければいいのですが)




■5Gの基本コンセプト「超柔軟性」

5Gで何が変わるか
5Gで何が変わるか

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

5Gモバイルネットワークのインフラの本質は、「超柔軟性(Extreme Flexibility)」にあります。

2020年,その先のテレビへの期待|NHK

いつでもどこでも,あらゆる利用シーンでユーザーが満足できるエンドツーエンドの品質を提供可能な「究極の柔軟性(Extreme Flexibility)」を持つ

今読んでいる時点では「超柔軟性」とか「究極の柔軟性」と聞いても伝わりづらいかと思いますが、さらにかみ砕いて説明していくのでご安心ください。

ここでの理解は、5Gというのは、「いつでも、どこでも」というようにあらゆるシーンでユーザーが満足できる品質のものを提供できるもの、と考えておいてください。

※Society5.0のところでも出てくる「いつでも、どこでも」というキーワードですが、これが未来において重要な考え方になります。

先ほどの内容をより具体的な言葉で説明すると、5Gは、様々な周波数帯(800MHz、2GHzなど既存の周波数帯に加え、6GHz以下の周波数帯やミリ波などの6GHz以上の周波数帯など、これまでよりも⾼い周波数帯など様々な周波数帯を活⽤)、様々な無線技術(NR(New Radio:超高速実現に必要となる数百MHz以上の広周波数帯域への対応や、ミリ波などの高い周波数帯への対応、超低遅延を実現する無線フレーム構成等の新たな無線技術)、LTE、WiFiなど様々な無線技術で構成)から構成される「ヘテロジニアス・ネットワーク(Heterogeneous:異種混合ネットワーク)となって、超高速・多数同時接続・超低遅延・省コスト&省消費電力といった特徴を持ち、あらゆる利用シナリオ(モバイルブロードバンドの高度化(eMBB:Enhanced mobile broadband)・大量のマシーンタイプ通信(mMTC:Massive Machine Type Communication)・超高信頼・低遅延通信(URLLC:Ultra reliable and low latency communication))でユーザーが満足できる品質を提供できる第5世代移動通信システムであり、Internet of Everything(すべてのものがインターネットに接続される)の時代の基盤技術といえます。

「うわー、急に難しくなったなー」と感じた方のために、この説明を改めて書き換えてみます。

5Gは、様々な周波数帯、様々な無線技術から構成されるネットワークとなって、様々な利用シナリオ(超高速・多数同時接続・超低遅延)でユーザーが満足できる品質を提供できる第5世代移動通信システムであり、すべてのものがインターネットに接続される時代の物事の土台(その上にすべてを積み上げてゆく土台)となる技術です。

つまり、5Gという技術がなければ、みなさんが想像したり、メディアなどで取り上げられるような新しい産業は生まれないぐらい重要な技術なのです!

それではもう一度4Gまでと5G以降の基本コンセプトの違いについておさらいします。

4Gまで:ベストエフォート

2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について

(2017/6/8、総務省)

最大限のスループット(通信回線における一定時間当たりのデータ転送能力)を確保し、高速・大容量通信の提供を目指したシステム。通信速度、遅延時間、カバレッジなどに限界があり、全てのユースケースへの対応は困難

5G以降:それぞれのコンセプトに適した品質を提供

2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について

(2017/6/8、総務省)

有無線が一体となり、通信速度、接続数、遅延時間など、あらゆるユーザの要望やアプリケーションの要求条件に対応可能な優れた柔軟性を持つ

【補足】ベストエフォート|OCN

ネットワークは、同時に接続している人の数によって実効速度が変わります。同時に利用している人が少ないときは、規格上の上限値に近い速度で通信できることもありますが、混雑してくると、それぞれの通信速度は下がります。ただし、まったく通信ができなくなることはあまりありません。 どんなときでも全員が最大速度で通信できるネットワークが理想ですが、大変コストがかかってしまいます。そこで、ネットワークを運営する事業者は、ある程度の混雑には対応できるよう努力するものの、品質保証はしない形でサービス提供を行っています。これが、ベストエフォートです。

4Gまでは、ベストエフォート方式をとっていて、同時に接続する人が多くなる=混雑時には通信速度が下がってしまいますが、5G以降はユーザーの要望に対応可能な柔軟性を持つようになります。

平成29年度情報通信審議会 情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会報告(案)

(2017/7/20、総務省)

5Gは、あらゆる利用シナリオでユーザが満足できるエンド・ツー・エンドの品質を提供するものとされているが、超高速、多数接続、超低遅延といった5Gの要求条件を1つのネットワークで全て満たすことは、技術的、コスト的にハードルが高く、また、現実の利用シーンを想定した場合、これらの要求条件を同時に満たさなければならないような状況は多くないと考えられる。
このため、5Gでは、全ての要求条件に対応するネットワークを整備する必要はなく、ユースケース、利用シナリオ等に応じて、「超高速」、「多数接続」といった機能、品質を提供するネットワークとなる。

大事なことは、現実の利用シナリオを想定した場合、同時に満たさなければならない状況は少なく、そのため、すべての要求条件に対応するネットワークを整備するのではなく、シチュエーションに応じて「超高速(eMBB)」、「多数接続(mMTC)」、「超高信頼・低遅延通信(URLLC)」の機能・品質を提供できる仕組みにすることにあります。

そこで、考えられているのが「ネットワークスライシング」と「モバイル・エッジ・コンピューティング」です。

ここでまたもやカタカナが出てきて、うんざりすると思いますが、あと少しです。

●ネットワークスライシング

2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)によれば、現在は、画一のネットワークに異なる要件のアプリ・ サービスのトラフィックが混在していますが、ネットワークスライシング技術をコアネットワークや無線アクセスネットワーク(RAN)などに導入することで、5Gの要求条件や異なる要件を持つサービスに柔軟に対応し、サービス毎に最適なネットワークを提供ができるようになります。

例えば、スライス1を「超高速(eMBB)」、スライス2を「多数接続(mMTC)」、スライス3を「超高信頼・低遅延通信(URLLC)」というようにネットワークスライスを設定することで、アプリ・サービス毎にトラフィックの分離が可能になります。

●モバイル・エッジ・コンピューティング

平成29年度情報通信審議会 情報通信技術分科会新世代モバイル通信システム委員会報告(案)

(2017/7/20、総務省)

5Gでは、無線区間で 1ms の遅延時間が要求条件とされているが、自動車やロボットの遠隔制御といった超低遅延が求められるサービスに対応するためには、無線だけでなく、有無線が一体となって超低遅延の対応を行うことが必要である。このため、有線区間での遅延時間を短縮するシステムとして、ユーザの近くでデータ処理を行うモバイル・エッジ・コンピューティングの導入が期待されている。

超低遅延が求められる自動車・ロボットの遠隔制御などについて、クラウド上でサービス提供を行っていたサーバーを、ユーザの近くでデータ処理等を行うMECサーバを配置する「モバイル・エッジ・コンピューティング(MEC)」によって、超低遅延を可能にします。

■5Gの特徴

1.超高速(高速通信)

最大10Gbps(現行LTEの100倍)

例:4K/8Kなど高精細映像も超高速に伝送

例:2時間の映画を3秒でダウンロード

2.大容量化

3.超低遅延化・高信頼化

無線区間の遅延1ms(ミリ秒)以下(現行LTEの1/10)

例:利用者が遅延(タイムラグ)を意識することなく、リアルタイムに自動運転、遠隔ロボット操作・制御

リッチではなくても遅延がないだけで解決できることは多い。

4.省コスト&省消費電力

ネットワークと端末の低消費電力化

5.多数同時接続

100万台/km2接続数(現行LTEの100倍)

例:狭いエリアでの同時多数接続、スマートメーター、インフラ維持管理(多数接続、低消費電力なIoT)

例:自宅部屋内の約100個の端末・センサーがネットに接続

【参考リンク】

■まとめ

5Gは、様々な周波数帯、様々な無線技術から構成されるネットワークとなって、様々な利用シナリオ(超高速・多数同時接続・超低遅延)でユーザーが満足できる品質を提供できる第5世代移動通信システムであり、すべてのものがインターネットに接続される時代の物事の土台(その上にすべてを積み上げてゆく土台)となる技術です。

つまり、5Gという技術がなければ、みなさんが想像したり、メディアなどで取り上げられるような新しい産業は生まれないぐらい重要な技術なのです!

次は5Gを使ってどのように世界が変わっていくのかを事業領域別に取り上げてみたいと思います。(なぜこのブログで取り上げたのかの理由もわかると思います。)

→ #5G によって産業はどう変わる?|#スマートシティ #自動車 #建設 #VR #スポーツ中継 #ショッピング #金融 #決済 #医療 #農業 について詳しくはこちら







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#5G によって産業はどう変わる?|#スマートシティ #自動車 #建設 #VR #スポーツ中継 #ショッピング #金融 #決済 #医療 #農業|5Gになるとスマホからデバイスが変わる?




■5Gの特徴を生かしたサービスとは?

Ericssonの「The 5G business potential」より大和証券が作成|間近に迫る5G通信の世界
Ericssonの「The 5G business potential」より大和証券が作成|間近に迫る5G通信の世界

参考画像:Ericssonの「The 5G business potential」より大和証券が作成|間近に迫る5G通信の世界|大和証券スクリーンショット

大和証券がEricssonの「The 5G business potential」より作成し、間近に迫る5G通信の世界で紹介している2026年に5Gが生み出す市場は約130兆円の規模になると予想されるそうです。

【初心者向け!5G入門編】5Gで世界はどう変わる?|5Gとは?特徴は超高速・多数同時接続・超低遅延|#5G についてコレだけおさえよう!に続けて、ここから、ようやく5Gを使ってどのように世界が変わっていくのかを事業領域別に取り上げてみたいと思います。




■スマートシティ

Tilt shift Spoonbridge and Cherry at dawn by Claes Oldenburg Coosje van Bruggen, Walker Art Center, Minneapolis MN

by Lorie Shaull(画像:Creative Commons)

  • 安心・安全(防災、インフラ管理、見守り)分野
    防犯カメラ・マイク・センサー活用
  • ごみの収集
  • 水道インフラ管理
  • スマートエネルギー(水力、風力、太陽光発電のような新たな電力との連携)
  • スマートパーキング
  • スマートバス(公共交通機関)
  • デジタルサイネージ
  • スマートヘルス
  • スマート教育

●スマートホーム・ホームセキュリティ分野

ICTに係る商品・サービスやビジネス|第2節 経済成長へのICTの貢献~その具体的経路と事例分析等~|第1部 特集 IoT・ビッグデータ・AI~ネットワークとデータが創造する新たな価値~|平成28年版 情報通信白書|総務省

スマートホームとは、住宅とICTが融合して、エネルギーの需給量を調整し、省エネルギー・節電を実現したり、センサー等による宅内の見守りや防犯、宅内の家電等の遠隔制御などを可能とした快適な暮らしを実現できる住まいである

スマートホームは、HEMS(Home Energy Management System)という電気やガスなどの使用量をモニターで可視化したり、自動制御することによって、家庭の省エネルギーのための管理ができたり、また、センサーなどによって家族の見守りや防犯ができる住まいのことです。

5Gに関する間違った通説とその真実|NOKIA

温度センサー、窓自動開閉制御、暖房管理、侵入警報、家電製品等、全てが無線でつながり、住人がいつでもどこにいても自宅の情報を管理することができます。こうしたセンサー情報の多くは、データレートや電力量が小さくコストも低いですが、監視装置等ではリアルタイムのHD動画を扱うことになります。よって、5Gでは消費電力の効率化や不要な信号の抑制だけでなく、多様な接続デバイスの一元管理が必須となります。

IoT(モノのインターネット化)時代になり、スマートホームが注目されていますが、家庭内でも様々なセンサー、例えば室内の温度を管理する温度センサーや暖房管理、ホームセキュリティーとしての窓自動開閉制御や侵入警報、その他家電製品がインターネットにつながり、いつでもどこでも家に関する情報を管理することができる時代になってきています。

そうしたセンサーの一つ一つのコストや消費電力は小さいものであっても、自宅部屋内の約100個の端末・センサーがネットに接続するようになれば大きいものになってくるでしょう。

そういう時代を考えると、5Gは、多様なデバイスを同時接続して、低消費電力なIoTを実現するためにも欠かせないものになるのではないでしょうか。

●スマートグリッド分野

スマートグリッドとは、送電網内のあらゆるものを接続し、監視・制御できる状況に置いて、電力の流れを最適化するというものです。

身近なところでいえば、スマートメーター(消費電力や発電量をリアルタイムに把握できる、電力の「見える化」のためのシステム)やHEMS(Home Energy Management System:家庭内のエネルギー管理を行うシステムで、電気やガスなどのエネルギーの使用量を見える化したり、家電を自動制御することで省エネができるというもの)で役立てられることが期待されています。

Meet the 3rd generation Nest Learning Thermostat

スマートホームのデバイスの一つとしてスマートサーモスタット「Nest」というさまざまなセンサーと人工知能が搭載された温度を調節する装置で、Nestと電化製品との連携によって、室温を快適に保ちながら、節電&省エネもできるそうです。

■自動車分野

交通事故のない社会を目指した今後の車両の安全対策のあり方について

(2016/6/24、国土交通省)

交通死亡事故の 96%は、ヒューマンエラーなど「人」に起因するものである(平成26 年)。p51

高齢化が急速に進み、高齢ドライバーによる事故が多発していることを含めて考えると、モノのインターネット「Internet of Things」(IoT)を自動車分野に特化したIoV(Internet of Vehicle)によって、交通事故が減少することが期待されます。

ADAS|renesas

従来、安全運転支援のために、カメラ画像や赤外線、ミリ波を用いたレーダが用いられてきましたが、広範囲で交通状況を把握したり、見通しの悪い交差点で接近車両の情報を得ることができないことが課題でした。

そこで、見えない場所でも広範に接近車両情報を取得できるようにするため、各国でV2Xの通信規格の策定が進められており、将来は自動運転につながる重要な技術として、各社で開発が加速しています。 近年、日米欧のV2X分野では日本が先行し実用化をいち早く進めていますが、今後欧米でのV2X法制化、推進等で投入計画も着実に進められています。

V2X(Vehicle to Everything:車車間通信および路車間通信)はクラウドを通すことなく、自動車同士(車車間通信(V2V))または自動車とインフラ同士(路車間通信(V2I))が直接相互通信することによって、自動車事故や渋滞を減らすこと、エネルギーの節約、環境汚染を減らすことなどを目的とした無線通信システムです。

【参考リンク】

2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)を参考に紹介します。

(1)車車間通信(V2V:Vehicle to Vehicle)・路車間通信(V2I:Vehicle-to-roadside-Infrastructure)技術の開発

(2)歩車間通信(V2P:Vehicle-to-Pedestrian)技術の開発(自動走行車による適切な周辺状況把握と事故低減に向け、歩行者・自転車等の位置情報の通信による共有方式や注意喚起方法の検討)

(3)インフラレーダーシステム技術の開発(荒天時でも自動走行車両の死角を補完する動的情報を提供するレーダー技術)

【自律型モビリティシステムの実現】

電気自動車・電動車いす、自立ロボット

情報の伝送遅延を最小化した革新的ネットワーク

リアルタイムに更新される高度地図データベース(ダイナミックマップ)の更新・配信技術

緊急時の自動停止・再起動等のセキュリティ技術

車の事故防止/ナビゲーションが変わる|2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について
車の事故防止/ナビゲーションが変わる|2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

例:荷物の落下を荷台の重力センサーが異常を察知

→後続車へ自動で情報伝達

→前走車から落下物の情報が伝わる

→後続車はモニターに落下物が表示される

走る車からConnected Car(つながるクルマ)へ
走る車からConnected Car(つながるクルマ)へ

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

【Connected Car】

  • ドライバーの運転特性に応じた保険料を行う自動車保険
  • 車載センサーを活用したメンテナンスサポート(故障診断情報を基にディーラーメンテナンスを提案・予約)
  • ガソリンスタンドで通信により認証し、ガソリン代を自動決済など

ロビン・チェイスによるZipcarと更なるビッグアイデア

(2007/3、TED)

渋滞課金制度は世界の主要都市で検討されていますが 実現にはワイヤレス技術が必要です ロンドン一帯に料金所を設置して ゲートを開け閉めしたりはしないのです 渋滞課金制度は 道路課金制度を支える技術と それに対する人々の心理を試すものです いずれ道路課金しか手がなくなります というのも 今は 道路の維持や補修を ガソリン税でまかなっていますが 燃費が良くなれば ガソリン税の税収が減ってしまうからです だから 走行距離に応じて課金する必要があるのです 渋滞課金で試して 同じテクノロジーを道路課金でも利用することになります

世界的なカーシェアリング会社「Zipcar」の設立者であるロビン・チェイス(Robin Chase)のTEDトークによれば、イギリス・ロンドンで導入された渋滞区域を走る車に課金する渋滞課金制度によって、導入された翌日には 渋滞が25パーセント軽減され、その効果は4年間続いたそうです。

渋滞課金制度の実現には、全土に料金所を設置して、ゲートの開け閉めをするというのは現実的ではないため、ワイヤレス技術が必要になると紹介しましたが、5Gがそのアイデアを実現するテクノロジーの一つになってくれるのではないでしょうか。

【関連記事】

■建設・土木分野

ドローン測量・無人の建機で遠隔操作・チェック
ドローン測量・無人の建機で遠隔操作・チェック

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

  • ドローン測量
  • 無人の建機で遠隔操作・チェック

■デジタルコンテンツ(VR)分野

■エンターテインメント・スポーツ中継・ゲーム・フィットネス

360度パブリックビューイング(ワンタッチで視点切り替えリクエストが可能) ・カメラで撮って情報取得(選手データチェック)・ リアルタイムマルチ中継
360度パブリックビューイング(ワンタッチで視点切り替えリクエストが可能) ・カメラで撮って情報取得(選手データチェック)・ リアルタイムマルチ中継

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

  • 360度パブリックビューイング(ワンタッチで視点切り替えリクエストが可能)
  • カメラで撮って情報取得(選手データチェック)
  • リアルタイムマルチ中継

●ゲーム

■ショッピング(買い物)・金融・決済

アンテナ+センサー+IDチップ+商品管理通信+自動追尾カート→商品の補充を指示・店内放送・オールチェックアウト(明細が通信されてからユーザーの口座から引き落とされる。カードレス・キャッシュレス)
アンテナ+センサー+IDチップ+商品管理通信+自動追尾カート→商品の補充を指示・店内放送・オールチェックアウト(明細が通信されてからユーザーの口座から引き落とされる。カードレス・キャッシュレス)

参考画像:2020年に向けた5G及びITS・自動走行に関する総務省の取組等について(2017/6/8、総務省)|スクリーンショット

アンテナ+センサー+IDチップ+商品管理通信+自動追尾カート

→商品の補充を指示・店内放送・オールチェックアウト

(明細が通信されてからユーザーの口座から引き落とされる。カードレス・キャッシュレス)

■Amazon Go の例

アマゾンの「レジなしでの買い物」は実現間近!Amazon Goの仕組みをYouTube動画から考える|#Bloomberg

Introducing Amazon Go and the world’s most advanced shopping technology

■スマホアプリでチェックイン

●Amazonアカウント(クレカ情報や個人情報をあらかじめ登録)

●Beacon(店舗内でのユーザーの滞在証明)

PayPal、iBeacon、Hands Free、Origami Payもすでに利用

■棚から商品をとる

●カメラとセンサーで商品位置と顧客の動きを読み取る

●一度とったものを戻すというような動作もディープラーニングで学習

●リアルタイムでオンライン上の仮想ショッピングカートに加える

●電子タグ(RFID)は使わない

■レジを通らずに決済→Just walk out

●入り口付近のセンサーでアプリを認識し、顧客を識別

●データを転送してAmazonアカウントで決済

●#uber のように降りるときに支払う作業がいらない

【Amazon Goの先の未来】

●アプリを起動する必要もない

ライブや万引き防止用の顔認識システムや生体認証、歩く姿で個人がわかる「歩容認証」を活用する

http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/22_letter/data/news_2014_vol2/p12.pdf

但し、それではBeaconが使えないので滞在証明を別の方法でする必要がある。

●「これからの世界をつくる仲間たちへ」(著:落合陽一)には、テラヘルツ電波と画像認識技術を組み合わせて一人ひとりをスキャニングして検札を済ませ「どこからでも出入りできるシステム」というアイデアがありました。

■「CUBIC」|”ゲートなしの改札機”というコンセプト

[vimeo]https://vimeo.com/236719488[/vimeo]

facial recognition to be your future ticket on the london underground

ロンドンの地下鉄が顔認証でチケットやカードいらずに?

(2017/10/6、Fashionsnap.com)

「CUBIC」がデザインしたそんな画期的なシステムは、現在ユーザーテスト中ではあるが、”ゲートなしの改札機”というコンセプトを掲げ、物理的な改札ゲートの代わりに、毎分およそ65〜75人が通ることができる長めのコースを設計。そこを通過すると顔がスキャンされ、支払いはスマートフォンに同期されるという時間と手間を省く効率的な仕組みになっている。

■ゲートの無いフラットな駅の改札|三菱電機

ゲートの無いフラットな駅の改札|三菱電機
ゲートの無いフラットな駅の改札|三菱電機

参考画像:「将来の駅・車両の円滑で快適な交通システム」コンセプトを提案(2017/11/20、三菱電機ニュースリリース)

「将来の駅・車両の円滑で快適な交通システム」コンセプトを提案

(2017/11/20、三菱電機ニュースリリース)

・認証内容により、通過可否(通過できる場合は青く表示)や通過する方向をわかり易くLEDで床面に表示

ユーザーの持つ交通系ICカードの残高に応じて、通れる場合には床が青く、残高不足の場合には赤く光るそうです。

■医療(遠隔医療・モニタリング)

5Gに関する間違った通説とその真実|NOKIA

さらに、5Gを利用した「タクタイル(触覚)インターネット」も可能になります。低遅延の通信により、人間にとって危険な場所での建設作業や保守作業はロボットを遠隔操作して行うことができます。このような場合、視覚や触覚フィードバックを瞬時に同期するため、応答時間は数ミリ秒未満であることが求められます。

5Gになると、センサーを活用し、リモート環境での心拍数や血圧値のモニタリングによって健康を管理したり、映像を活用して遠隔診断をするといった遠隔医療が可能になるだけでなく、映像配信やロボティクス、AR/VRを使用して、外科医が離れた場所から手術を行う遠隔手術に活用される可能性が期待されます。

時間と空間を超える驚異の概念「テレイグジスタンス」に5Gの未来を見た

(2017/6/27、KDDI)

「TELE=遠隔」と「EXISTENCE=存在」を組み合わせた概念。ある対象と遠く離れていながら、あたかもそこにいるかのような感覚が得られるという新しい技術である。

東大名誉教授の舘暲(たち すすむ)先生によると、テレイグジスタンスとは「ロボットとVRと通信があってこそ成り立つ技術」であり、「テレオペレーション=遠隔操作」とテレイグジスタンスとの違いは、あたかもそこにいるかのような感覚で操ることができるという点にあります。

ロボット手術のメリットと今後どのようなことが課題となるのか?によれば、先ほど紹介した手術支援ロボットのダヴィンチのようなロボット手術のメリットは、次の通りです。

  • 一般の内視鏡手術では、1つのカメラによる平面の画像で、画面は鏡像(左右逆)になるのに対して、ロボット手術では、人間の視覚と同じ正対での3D画像で、最大15倍にズームアップすることが可能。
  • アームは、人間の手首以上の稼働域があるため、臓器の裏側や狭い隙間にも自在に入り込みことができる。

ただ、触覚がないということがデメリットになっています。

「神戸医療イノベーションフォーラム2015 #KMIF」から学ぶ未来の医療・健康のヒントでは、手術支援ロボットシステムのダヴィンチには触った感触がないという課題があり、それを空気圧駆動で感触を操作者の手に伝える空気圧駆動を用いた手術支援ロボットシステムが開発されていると紹介しました。

触覚がないため、医師には「ダヴィンチをコントロールする」という新たなスキルが必要になる。厳密にいうと、それは「実際にメスを手にして行う手術」とは別だ。

それをさらに進化させ、触覚をも伝えて、特別なスキルを新たに学ぶことなく、「普段メスを手にして行う手術」のスキルさえあれば、遠隔地からでも実践できるのが「テレイグジスタンス」なのだ。

テレイグジスタンスであれば、操縦者とロボットの動きの感覚を同期させることができるため、遠隔地からでも、またロボット手術に関する特別なスキルを学ぶことがなくても、実際にメスを手にして行う手術のスキルがあれば遠隔地手術が可能になるのです。

ところで、なぜ遠隔手術と5Gと関係があるのでしょうか?

職人技や医療技術などを人とロボットが共有しようとなると、まずは両者の間の感覚を伝達する精度が非常に重要になってくる。そこで俄然、重要度が増してくるのが「通信」である。

テレイグジスタンスで重要なのは触覚のような感覚を伝達する精度であり、そこで5Gが重要なキーワードになってくるのです。

超高速・大容量という要素もさることながら、5Gでもっとも期待しているのは、“低遅延”だということですね。通信の遅延が1ミリセカンドにまでなりますから、さまざまな細かい作業の感覚を伝達するうえで非常に重要だと思います。テレイグジスタンスは、ロボットとVRと通信技術があってこそだと思っています。

5Gでは「触覚」も重要な分野であり、先ほどのようなテクノロジーと5Gのの特徴である超低遅延化が組み合わされることで、触った感触がフィードバックされるようになれば、リアルタイムに遠隔制御した手術ロボットによる手術ができるようになるのではないでしょうか。

【5Gの未来】テレイグジスタンスを体験①

Telexistence Inc.

■農林水産業

5Gの利活用分野の考え方|総務省によれば、以下のような提案がされています。

●生育状態、気候、市場状況まで全ての情報を統合して高効率な農業を実現

●ドローンや無人農機を5Gで制御し、人手要らずの農業に

■5Gになるとスマホからデバイスが変わる?

“現代の魔法使い”が読み解く「5Gが拓く未来」【動画】(2017/7/12、ホウドウキョク)で解説されていたピクシーダストテクノロジーズの落合陽一さんによれば、5Gになるとスマホから新たなデバイスに変わるのだそうです。

4Gと最適化されたデバイスがスマホだった。

5Gだと空間をどう共有するかがポイントとなるので、空間自体を閲覧する新たなデバイスが必要になる。

情報の転送速度が遅延がない速度になるとすると、情報処理を身の回りのものでするメリットがほとんどない。

つまり、5Gがあればスマートフォン側で処理をしないでストリームを受けるための機械となれるんです。

処理側はサーバーでやればいいとか、ある程度デバイスについては思い切って割り切れる。

現在ではHMD(ヘッドマウントディスプレイ)型やメガネ型が開発されていますが、5Gになると、超高速・超低遅延化によって、スマホで処理を行わず、サーバーで情報処理をする必要がないので、サイズが小さく、軽くすることが可能になるそうです。

もう一つ大事なポイントがこちら。

5Gによって起こる未来は「人間がそこにいなくてもいいというイノベーション」

人間が行く・来ることが必要であったのですが、5Gによって起こる未来は、人がそこにいなくても成り立つ世界だということ。

Telexistence株式会社」CEO富岡仁さんも次のようなコメントをしています。

時間と空間を超える驚異の概念「テレイグジスタンス」に5Gの未来を見た

(2017/6/27、KDDI)

テレイグジスタンスって、時間とか移動のコストをかけずになにかの作業、体験を遠隔からできるという点が価値の源泉だと思っています。

東大名誉教授の舘暲先生はこのように話しています。

テレイグジスタンスが普通になると、人間の感覚そのものが変わると思います。現状は視覚聴覚と手と上半身だけですが、身体全体を共有できるようになる研究も進めています。人間の能力を、時間、空間的に拡張する。毎日決まった場所に通わなくても働けるわけですし、それぞれの技術をロボットに学習させることもできる。自分がそこに行かずして、自分がそこにいるような感覚。だから『どこでもドア』によく例えるのですけどね。

人間の能力を時間的、空間的に拡張することにより、自分がそこに行くことなく、あたかもそこにいるような感覚を得られるようになる世界が近づいているのです。

この点をより創造力を働かせてみることが、新しい産業を生み出すヒントになるのではないかと思います。

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アンバンドル・リバンドル・エンハンスを視点の一つに組み込もう!|#Fintech #Insurtech #Healthtech #Agritech #Edtech の次は?




■アンバンドル・リバンドル・エンハンスを視点の一つに組み込もう!

Ecomaterials Innovation Lab - Boston, MA

by PopTech(画像:Creative Commons)

Fintech時代の金融機関は新たな顧客価値の創造が問われる(2016/8/4、ハーバードビジネスレビュー)によれば、テクノロジーを活用した金融のイノベーションである「Fintech」によって3つのインパクトがもたらされるとあります。

1.アンバンドル(解体)

例:スタートアップ企業や従来の金融機関以外の企業による伝統的な金融業務が解体

2.リバンドル(再結束)

非金融企業による業際(異なる事業分野にまたがる)の再定義

3.エンハンス(性能向上)

例:ブロックチェーンによって、既存の金融サービスに革新がもたらされる

【参考リンク】

こうしたテクノロジーによる変化は金融業界だけに起きるわけではありません。

Fintechの一つには、保険(Insurance)と情報技術(Technology)が融合した「InsTech(インステック)」がありますし、その他では、Health(健康)とTechnology(技術)が融合したHealthTech(ヘルステック)、農業(Agritech)、教育(Edtech)でもこうした変化が起きています。

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このように、今まで変化が起きていなかった業態でも、テクノロジーによってさまざまな変化がもたらされるかもしれないのです。

そこで、役立つ考え方が、1.アンバンドル(解体)、2.リバンドル(再結束)、3.エンハンス(性能向上)です。

あなたが携わる仕事の業界に3つのインパクトを当てはめてみるとどんな変化がもたらされるのかという実験ができるのではないでしょうか?

そのためには、あなた自身が顧客に提供する価値のどのような点がひきつけているのか、そしてそれが移行していないかを常にチェックする必要があります。

また、最新のテクノロジーについてのウォッチも重要でしょう。

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成功したビジネスモデルを持っていると、事業のカニバリズム(共食い)を起こしてしまわないかと思って、新しいビジネスモデルには移っていきづらいものです。

理想的には、自分がスタートアップの立場だったり、全くの異業種から企業だという立場に立ち、従来型の業務でアンバンドルできる部分がないかを考えたり、リバンドルができる分野がないかと考えてみるといいのではないでしょうか。




■まとめ

世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う|United, Fragmented, Repeated and Impermanent World

チームラボの作品の「世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う」のタイトルこそ、アンバンドル・リバンドル・エンハンスの考え方に近いように感じます。(アート作品のメッセージとは違うかもしれませんが、どのようなインスピレーションを受けるかはその人次第と思っていただければ幸いです。)







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BiliScreen|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

健康・美容チェック > 膵臓がん > すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?|膵臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!




【目次】

■「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学
「BiliScreen」|スマホカメラの自撮りで膵臓がんを簡単にスクリーニングできるアプリ|膵臓がんのサイン「黄疸」の原因となる「ビリルビン値」を測定|ワシントン大学

参考画像:BiliScreen: Smartphone-based App for Measuring Adult Jaundice|YouTubeスクリーンショット

ワシントン大学の研究者らが研究・開発しているのは、スマホのカメラで自撮りをすることで、膵臓がんなどの病気を簡単にスクリーニング(ふるいわけ)できるアプリ「BiliScreen」です。

膵臓がんの初期症状の一つには、ビリルビンの蓄積によって肌や目に黄色の変色が起こる「黄疸(おうだん)」があり、「BiliScreen」は、スマホカメラ、コンピュータビジョンアルゴリズム、マシンラーニングを使用して、目の強膜または目の白い部分のビリルビン値の増加を検出します。

BiliScreen: Smartphone-based App for Measuring Adult Jaundice

■なぜ膵臓がんになると黄疸の症状が現れるのか?

黄疸|メルクマニュアル家庭版

黄疸は、血液中の色素であるビリルビンの濃度が異常に高くなったことが原因で、皮膚や白眼の部分が黄色く変色することです。

黄疸|日本消化器学会

黄疸とはビリルビンという色素が何らかの原因で血液中に増加し、その結果、全身の皮膚や粘膜に過剰に沈着した状態を意味します。

黄疸とは、血液中のビリルビン濃度が高くなることによって、皮膚や白目の部分が黄色く変色することを言います。

また、尿の色が濃い、皮膚がかゆくなる、全身の倦怠感、発熱などの症状も現れます。

では、なぜ血液中のビリルビン濃度が高くなるのでしょうか。

ビリルビンは、赤血球に含まれる酸素や二酸化炭素を運ぶヘモグロビンの一部が代謝されて出来たものです。

ビリルビンは肝臓に運ばれて、グルクロン酸という物質と結合し、胆汁(肝臓で生成される消化液)として胆管を通り、便の中へ排泄されています。

しかし、何らかの原因によって、血液中のビリルビン濃度が高くなると、黄疸の症状が現れるのです。

では、なぜ膵臓がんになると黄疸の症状が現れるのでしょうか?

膵がん|東京医科歯科大学

肝臓から総胆管という管が膵臓の頭部を貫いて十二指腸に流れており、肝臓で作られた胆汁という消化液を十二指腸に運んでいます。膵がんにより胆管が圧迫されることがあり、胆管への圧迫が進むと、胆汁の流れがさまたげられ、全身が胆汁により黄色くなる黄疸という症状が出現します。

膵臓がんにより、胆管が圧迫されて胆汁の流れが悪くなることにより、胆汁中にビリルビンを排出できなくなり、血液中でビリルビン濃度が高くなり、白目の部分が黄色くなる黄疸の症状が現れると考えられます。




■すい臓がんの検査

すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?|膵臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!によれば、すい臓がんが早期に発見されにくい理由は、自覚症状がなかなか現れず、また、すい臓がん特有の特徴的な症状がないためです。

すい臓がんの症状として共通しているのが、胃のあたりや背中が重苦しい、お腹の調子がよくない、食欲不振やだるさ、体重の減少などがありますが、いずれもすい臓がん特有の症状ではなく、胃腸の調子が悪い程度のもので見過ごしてしまいがちです。

すい臓がんがある程度進行すると、はっきり黄疸が出たり、腹痛も強くなり、背中や腰に痛みが走り、体重の減少といった症状もみられるようになります。

しかし、小さなすい臓がんでは腹痛や黄疸などの症状も出ないことがあるため、すい臓がんが見つかった時にはすでに手遅れという場合も多いそうです。

●すい臓がんの検査

  • 腹部超音波(エコー)検査と血液検査は早期発見率が低い。
  • 「コンピューター断層撮影法」(CT)が比較的有効とされるが、撮影のために使用する「造影剤」には、重篤な副作用リスクがある。
  • MRI(核磁気共鳴画像法)を利用した「MRCP」という検査が、早期発見にある程度有効
  • より高度な検査方法として「内視鏡的逆行性胆管膵管造影」(ERCP)や「超音波内視鏡」(EUS)があるが、実施している医療機関が少ないうえ、費用が高額。

エコー検査や血液検査といった一般的な検査ではすい臓がんの早期発見は難しく、有効な検査方法にも副作用がある造影剤が必要であったり、費用が高額なものであったり、気軽に検査ができるものではなく、今後新しい検査方法が期待される分野であり、今回紹介したワシントン大学が開発したスマホでスクリーニングできるアプリというのはよいアイデアといえるのではないでしょうか。

ただ、黄疸の症状は肝臓の機能が悪化した場合にも現れるため、膵臓がんのみを見分けるのではなく、ビリルビン値が上昇していることをチェックすることで体に何らかのサインを出していることを示すアプリというほうが正確なのではないでしょうか。

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■膵臓がんの早期発見方法に関する研究

膵臓がんの早期発見方法については様々な研究が行なわれています。

検索の質問履歴からすい臓がん早期発見につながる方法|マイクロソフトの研究者らによれば、米マイクロソフトの研究者(MSヘルス部門CTOで情報検索が専門のライエン・ホワイト博士と、MSの研究所長で人工知能を担当し医師の資格も持つエリック・ホービッツ博士、MSのインターンだったコロンビア大学の博士課程大学院生ジョン・パパリゾス氏の3人)が、病気の症状について検索した過去の検索履歴の質問パターンから、将来膵臓がんの診断を示唆する質問内容の出現を5~15%の割合で特定し、病気を予測することにつながる手法を編み出したそうです。

すい臓がんを早期発見する「尾道方式」とは?|5年生存率、全国推計の3倍で紹介した「尾道方式」とは、JA尾道総合病院の花田敬士診療部長(消化器内科)が尾道市医師会と連携して始めたもので、「糖尿病」「肥満」「喫煙」「家族に膵臓がん患者がいる」など膵臓がんのリスクの高い患者がいた場合に、膵臓の検診を受けてもらい、がんの疑いがある場合はすぐにJA尾道総合病院を紹介して、体内に内視鏡を入れるなどをしてがんの有無を調べるという仕組みです。

すい臓がんを早期発見する方法を開発したのは15歳!?将来的には生存率が100%になる可能性も?によれば、当時15歳のジャック・アンドレイカ君は2013年にすい臓がんを早期発見する画期的な方法を発見しました。

すい臓がんになると検出される8000種類のタンパク質を納めたデータベースの中から

・がんの初期段階からすべての患者において血中レベルが高くなる

・がんである場合のみ変化が見られる

というタンパク質を発見し、一種類の特定のタンパク質にだけ反応するという性質をもつ「抗体」の性質を組み合わせるというものです。

すい臓がんを血液検査で早期発見する方法を開発 RNAに着目|東大によれば、東京大学のチームによれば、すい臓がん患者の血液に特定のRNAが健康な人より多く含まれていることに着目し、膵臓がんを血液検査で見つけ出す技術を開発したそうです。

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すい臓がんを早期発見する鍵は「血糖値」|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、膵臓がんを早期発見するポイントは、血糖値が理由がないのに急上昇することが挙げられていて、すい臓でインスリンを作るβ細胞が、すい臓がんができると働きが悪くなり、その結果として血糖値が急上昇することがわかってきたのだそうです。

スクリーニング検査とは、定期健康診断や人間ドックなどで、検査を実施する段階では自覚症状がない方を対象に行い、隠れた病気を早期発見することが目的としていますが、今回紹介したワシントン大学のアプリや検索履歴の質問パターンによる病気予測などによって、体に負担がない方法で病気を早期発見することができるようになるといいですね。

→ 膵臓がんの症状(初期症状)・原因・予防 について詳しくはこちら







【参考リンク】
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ニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」の日本初の「アプリの治験」の結果有効性が確認|CureApp(キュア・アップ)




■ニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」の日本初の「アプリの治験」の開始を発表|CureApp(キュア・アップ)

ニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」の日本初の「アプリの治験」の開始を発表|CureApp(キュア・アップ)
ニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」の日本初の「アプリの治験」の開始を発表|CureApp(キュア・アップ)

参考画像:日本初の「アプリの治験」開始へ:ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」の治験開始を発表(2017/10/3、キュア・アップ PR Times)|スクリーンショット

日本初の「アプリの治験」開始へ:ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」の治験開始を発表

(2017/10/3、キュア・アップ PR Times)

ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」は、スマートフォンを通じて個々の患者様の治療状況や体調の変化に応じてカスタマイズされたサポートを行い、正しい知識の習得や心理的依存を克服する為の支援を強化します。加えて、常に患者様の身近にあることができるスマートフォン・アプリの特性を最大限に活かし、在宅や勤務中などの現行医療制度における「治療空白」期間においても医学的なサポートを届けることで治療介入の頻度を増やし、よりきめ細やかにサポートすることを可能にします。

医学的エビデンス+人工知能による脂肪肝・NASH治療アプリが開発される!?|東大病院(2016/10/5)では、東京大学医学部附属病院 消化器内科とキュア・アップが共同開発したNASH(非アルコール性脂肪肝炎)の治療アプリの臨床研究を開始したというニュースを以前取り上げましたが、キュア・アップは医学的エビデンスに基づいた病気を治療するアプリの開発に取り組んでいるそうです。

CureApp(キュア・アップ)は、ニコチン依存症治療アプリ「CureApp 禁煙」について、日本初となる「アプリの治験」を開始すると発表しました。

■背景

喫煙によるニコチン依存症は、薬物依存症(精神疾患)の一種であり、「身体的依存」と「心理的依存」の2種類の依存があると言われています。そのうち「身体的依存」に対しては医薬品(禁煙補助薬)が有効である一方、「心理的依存」は長年の喫煙習慣によって身についたタバコを欲する習慣や癖からの離脱ができない心理状態が原因のため医薬品が効果を持たず、その克服に対しては医学的サポートが不足していると言われています。

また、禁煙外来での治療では3ヶ月のうち5回の診療の時にしか、医師・看護師による医学的サポートが受けられず、診療時以外の在宅や勤務中など多くの時間は自分一人での孤独な闘いとなってしまい、その間に生じる離脱症状の苦しさなどから断念してしまうことが多くあります。

禁煙治療においては、「身体的依存」に対する医薬品(禁煙補助薬)と「心理的依存」に対する習慣や癖から抜け出すためのサポートが必要になると考えられますが、禁煙外来における治療では、医学的サポートが受けられずに禁煙治療をあきらめてしまうということが起きているそうです。

そこで、治療ができない期間中に、ニコチン依存症治療アプリ「CureApp禁煙」による医学的サポートを行なうことで、治療継続に対するモチベーションの維持を行なっていくというのがこのアプリのポイントだと考えられます。

【参考リンク】

■治験の結果、アプリの有効性が確認

<日本初の「アプリの治験」結果を米国胸部学会議2019 で公表> 国内第Ⅲ相臨床試験で禁煙外来におけるニコチン依存症治療用アプリの有効性を確認(2019/5/30、キュア・アップ)によれば、慶應義塾大学医学部内科学(呼吸器)教室とキュア・アップで共同開発を行ったニコチン依存症治療用アプリの治験を行った結果、アプリの有効性が確認できたそうです。

2018 年12 ⽉に国内第Ⅲ相臨床試験が完了しており、先⽇⽶国ダラスで開催された⽶国胸部学会(ATS)2019 の Late Breaking Clinical Trials Session において、慶應義塾⼤学医学部内科学(呼吸器)教室の舘野博喜医師が本治験結果の発表を⾏いました。
禁煙治療における治療⽤アプリの有効性を検証するための主要評価項⽬として設定した9-24 週における継続禁煙率*は、対照群と⽐べ、治療⽤アプリを使⽤した治験治療群で統計学的有意に⾼く、ニコチン依存症治療⽤アプリが禁煙の継続に寄与したことが⽰されました。

■>禁煙治療用アプリ 医療機器として国内初承認の見通し

■まとめ

オンライン診療と対面治療の組み合わせによる禁煙治療の治療継続効果は1.5倍にで取り上げたメドレーの川田裕美医師と自治医科大学 地域医療学センターの小谷和彦氏によって論文化が進められている臨床研究によれば、オンライン診療と対面診療を組み合わせた禁煙プログラムは、対面診療のみの治療と比べると治療継続効果が高いという結果が得られているそうです。

また、食道がんの予防や逆流性食道炎、胃食道逆流症の治療に禁煙が効果的といわれていますので、今回の治験の結果によっては、単なる禁煙治療だけではなく、病気の予防のためのサポートアプリとしての活用にもつながる可能性があります。

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治療空白期間中にこうしたアプリを活用して、治療継続へのモチベーションを維持させる仕組みはこれからのトレンドになっていくかもしれません。