■少子高齢化による労働人口の減少の問題を、家事などをスマートライフ市場が代替することで、働き手を増やし、約100兆円の家事市場を創出しよう!
スマートライフのイメージ
参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017 (2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット
日本では少子高齢化が進んでおり、労働人口の減少が問題となっています。
日本の人口の推移|平成28年版情報通信白書|総務省
参考画像:少子高齢化の進行と人口減少社会の到来|平成28年版情報通信白書 |総務省スクリーンショット
少子高齢化の進行と人口減少社会の到来|平成28年版情報通信白書 |総務省
総務省の国勢調査によると、2015年の人口は1億2,520万人、生産年齢人口は7,592万人である。。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口(出生中位・死亡中位推計)によると、総人口は2048年に1億人を割り、2060年には8,674万人にまで減少すると推計されている
総務省の国勢調査によれば、日本では少子高齢化が進んでおり、生産人口が減少し、総人口も減少を始めています。
経済産業省では、様々な業種、企業、人、機械、データなどがつながって、AI等によって、新たな付加価値や製品・サービスを創出、生産性を向上し、高齢化、人手不足、環境・エネルギー制約などの社会課題を解決するという「Connected Industries」というコンセプトを掲げています。
「Connected Industries」の取組の方向性として、5つの重点取組分野(自動走行・モビリティサービス、ものづくり・ロボティクス、バイオ・素材、プラント・インフラ保安、スマートライフ)を挙げています。
その中の一つの「スマートライフ」では、少子高齢化が進む中で起こる労働人口の減少を、家事などによる無償労働をスマートライフ市場が代替することによって、労働人口(時間)を増やすと同時に、市場を作ろうと提案しています。
「Connected Industries」東京イニシアティブ2017
(2017/10/2、経済産業省)
少子高齢化が進む中で、人手不足等の社会課題への対応が求められており、家事等の無償労働をスマートライフ市場が代替することで、働き手(労働時間)を創出していくことが必要。
なお、家電市場は約7兆円だが、家事市場は約100兆円との試算あり。
※内閣府の「家事活動等の評価について」によると、2011年の無償労働貨幣評価額は108兆円~97兆円と試算されている。
アメリカのプライム世代の女性の36%が「介護」を理由に仕事に就けない!?|働き盛り世代が無償の介護をしなければならない問題を解決するアイデア で紹介した米ブルッキングス研究所(Brookings Institution)のハミルトン・プロジェクト(The Hamilton Project)が発表した報告書によれば、アメリカでは2016年、成人の3分の1(37.2%)以上が仕事に就いておらず、そのうち「働き盛り世代」(25~54歳)に当たる人たちの5分の1近くが就業していないそうです。
その理由は「介護」にあります。
アメリカのベビーブーマー世代が高齢化するにつれて、介護の需要に供給が追い付かず、自宅で介護を受けており、親の介護をする結果、就労することができないというのが現状のようです。
就労できずに自宅で親の介護をしなければならない理由としては、必要な介護を受けるための経済的な仕組みが整っていないこと、介護を必要とする高齢者の増加、そして、介護を必要とする期間の長期化が挙げられています。
また、看護師・看護職員の離職理由とは|看護師の離職率を改善するための提案 では、看護師の離職理由として、1.妊娠・出産・結婚・子育て・配偶者の転勤といった人生の転機が理由、2.勤務時間が長い・超過勤務が多い・夜勤の負担が大きいといった労働条件が理由、があり、看護師の離職率を改善するためには、ライフプランに合わせた働き方を検討していくことと一人一人への負担を軽くする働き方を検討していく必要があると書きました。
一部の例をあげましたが、このように、現時点では働こうという意欲があっても事情で働くことができない人がいるという現状があるわけです。
反対に考えれば、働きたくても働くことができない人の悩みを解決することができれば、働く人にとっては無償から有償の労働となり、社会にとっては労働人口の確保や市場の拡大というメリットが期待できるわけです。
どんな悩みがあるのでしょうか?
スマートライフのイメージ
参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017 (2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット
■悩み
●安全
●家事
買い物に行くのが面倒
スーパーまでの移動手段がない
炊事・洗濯・掃除の時間がない
●健康
日々の体調管理ができない
認知症にならないようにしたい
●医療
●介護
●子育て
遠隔での帰宅確認
学校からの連絡がプリント
塾へ行かせたいけど高い
■解決策
●安全
【働き方調査】日本は今どれくらい忙しいの?|23.4%の人が、平日の家族との時間は1時間未満|「生活の中でAIに任せることができたら便利だと思うこと」ランキング|「生活で最も重視すること」では41.5%が「お金」 では、「生活の中でAIに任せることができたら便利だと思うこと」ランキングでは、第4位「防犯/安全の管理」が選ばれていましたが、スマートロックやスマートスピーカーによる戸締り(セキュリティ)をするサービスが出てきていることを紹介しました。
その他の可能性としては、ブロックチェーンとIoTで「本人のみ受け取り可能な宅配ボックス」ができ、”荷物を受け取ったタイミングで自動で課金を実施する着払い型の宅配ボックス”ができるようになると再配達がなくなるのではないでしょうか。
また、宅配という面だけを見れば、ドローン宅配ということも可能性として考えられそうです。
【関連記事】
●家事
献立提案・ネット宅配サービス
デマンド交通ソリューション
家事代行サービス、家電の遠隔制御等
買物弱者対策に関する実態調査 結果報告書
(平成29年7月、総務省)
我が国では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業、既存商店街の衰退等により、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる方(いわゆる「買い物難民」、「買い物弱者」、「買い物困難者」)が増えてきており、「食料品アクセス問題」として社会的な課題になっています。
買い物に行くのが面倒だったり、移動手段がないという問題に対しては、必要人数分の食材(献立も提案)を自宅まで宅配するサービスやドアtoドアの乗合タクシー・バス型のデマンド交通システム、移動販売が登場しています。
【参考リンク】
また、掃除や洗濯、料理(食器洗い乾燥機を含めて)の全自動化や家事代行サービスでいかに時間を作るかが重要になっています。
●掃除
iRobotのロボット掃除機「ルンバ」や床拭きロボット「ブラーバ」、Panasocicのロボット掃除機「RULO」、ダイソンの「360 Eye」
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ルンバ980紹介ムービー
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床拭きロボット ブラーバ<公式サイト>
●料理
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クックフォーミー エクスプレス「圧力調理でスピード革命!」short ver. /T-fal
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ホットくクッキング!
●健康
デバイスデータ連携ソリューション
コミュニケーションロボット
ICT医療においては、ICTを活用した個人の健康管理がスタートであり、カギとなります。
医療・健康分野におけるICT化の今後の方向性 (平成25年12月、厚生労働省)によれば、
健康寿命を延伸するためには、ICTを利用した個人による日常的な健康管理が重要
だと書かれています。
ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー:情報通信技術)の略です。
ICTを活用した医療分野への活用の例としては次の通り。
電子版お薬手帳や生活習慣病の個人疾病管理など患者・個人が自らの医療・健康情報を一元的、継続的に管理し活用する仕組み
地域包括ケアシステム(電子カルテ情報を地域の診療所が参照する)
ICTを活用してレセプト等データを分析し全国規模の患者データベースを構築し、疾病予防を促進
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
参考画像:「新産業構造ビジョン」 (2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット
経済産業省の「新産業構造ビジョン」によれば、個人が自らの生涯の健康・医療データを経年的に把握するため、また、最適な健康管理・医療を提供するための基盤として、健康・医療・介護のリアルデータプラットフォーム(PHR:Personal Health Record)を構築し、2020年度には本格稼働させていくことが必要と提案されています。
医療機関での「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムにおける共同研究開発を開始|フライトシステム・東京慈恵会医科大学・ジェナで医療ICT化推進を目指す では、Pepperとの自然な対話を通して認知症 の疑いを発見する仕組みの開発がスタートしています。
認知症の改善効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入 によれば、大阪大学の石黒浩教授が開発した、認知症の予防や症状の進行を抑える効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入されたそうです。
デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究 によれば、ほとんどの認知症高齢者がテレノイドに強い愛着を示し、うつ傾向がある人や無反応な人が自ら話しかけるようになるそうです。
また、テレノイドには積極的に身体的接触を図る傾向があるそうで、これには「触れ合い」によるストレス軽減効果があると考えられるそうです。
Pepperにもこうしたことができれば、認知症の早期発見だけでなく、予防や症状の進行を抑えることもできるようになるかもしれません。
●医療
厚生労働省の通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応した遠隔医療機能を持たせたサービスがいよいよスタート によれば、厚生労働省が2017年7月14日付けで出した通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応して遠隔医療機能を持たせたサービスの展開が始まりました。
医療現場における、IoTやAI等の革新的技術の利活用|遠隔診療・AIを活用した診療
参考画像:新産業構造ビジョン (2017/5/30、経済産業省)
新産業構造ビジョン (2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最大化に向けて、個人の健康・医療データを活かす新たなシステムが必要であるとして、患者自らが納得して選択できる医療、患者の満足度の⾼い医療、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境の実現が必要とあり、その中でも「遠隔診療」、「AIを活⽤した診療」といったIoTやAI等の革新的技術を医療現場におけて利活用する取り組みが重要となるとあります。
医療とテクノロジーを組み合わせることによって、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境が実現すれば、より医療が身近なものとなっていくことが期待されます。
第一生命が取り組む「INSTECH」とは?|保険(INSURANCE)とテクノロジー(TECHNOLOGY)|医療ビッグデータの解析・健康な人ほど得をする保険商品の開発 によれば、第一生命、ネオファースト生命、電子お薬手帳である「お薬手帳プラス」アプリを独自に開発している日本調剤が業務提携を行ない、新たなサービスや保険商品の開発を行なっていくそうです。
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電子母子手帳アプリ提供開始 「マイME-BYO(未病)カルテ」と連携でお薬情報も管理できる|神奈川県 によれば、神奈川県では母親や子供の健診情報や予防接種のスケジュール管理ができる電子母子手帳アプリの提供を開始したそうです。
●介護
浴室見守りソリューション
家電のモニタリングによる異常検知
【IoT×介護】溺水事故を防ぐ!マイクロ波を使った「浴室センサー」|失禁への不安を軽減!排尿センサー|SOMPO によれば、損害保険会社のSOMPOホールディングスは、入浴時に浴室でおぼれてしまう事故を防ぐために、「浴室センサー」と呼ぶIoT機器を浴室内に設置し、マイクロ波を活用した「浴室センサー」で状態を把握できるようにし、動きがない時にはアラートを通知するようになっているそうです。
マイクロ波を活用する理由は、カメラでの検知のほうが安全性は確保できるものの、カメラで撮影され続けるというプライバシーの問題があるため、マイクロ波を選んでいるそうです。
腕時計型端末が異常を検知した時に、緊急時に職員を急行させたり、救急車を手配する新見守りサービス「セコム・ホームセキュリティNEO」 では、セコムは、高齢者らが急病で倒れたことなどを検知する腕時計型の端末「セコム・マイドクターウォッチ」を開発し、端末が異常を検知したときには、緊急時に職員を急行させたり、救急車を手配するなどの新サービスを始めています。
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●子育て
入退出見守りソリューション
ICTコミュニケーション
オンライン学習サービス
クラウドで教育をより良く教育ICTガイドブック|総務省 によれば、ICT(Information & Communications Technology:情報通信技術)を教育分野で活用する意義には、主体的・協働的に深い学びを実現するなど学びを活性化する「Active」、ビッグデータ、AI関連技術により習熟度が見える化され、学びが個々に最適化された「Adaptive」、地理的制約や心身の障害、貧困などの困難を抱える子供たちの学びを支援する「Assistive」という3つのAに整理できるそうです。
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■少子高齢化による高齢化社会は日本にとってのビジネスチャンスになる!?
アンバンドル・リバンドル・エンハンスを視点の一つに組み込もう!|#FINTECH #INSURTECH #HEALTHTECH #AGRITECH #EDTECH の次は? では、金融分やのFintech(フィンテック)、保険分野のInsurtech(インシュアテック)、ヘルスケア分野の「Healthtech」、農業分野のAgritech(アグリテック)、教育分野のEdtech(エドテック)が起きていることを紹介しましたが、スマートライフでいえば、Hometech(ホームテック)・Lifetech(ライフテック)とでも呼べるものが起き始めています。
そして、少子高齢化社会の訪れに対して悲観的ではなく、逆にチャンスととらえようという動きも出ています。
例えば、大人用紙オムツの売上が子供用オムツの売上を追い抜いた!?|日本の紙おむつが国際規格化|高齢化社会がビジネスチャンスに変わる!? によれば、大人用紙おむつの評価方法に関する規格「ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針」が改訂し、欧米の「テープ止め型(体にテープで固定するタイプ)」ではなく、日本が提案する装着車の症状や生活環境に合わせたきめ細かい高齢者介護学科脳になるパンツ型やテープ止め型のおむつに吸着パッドを挿入するタイプなどを規格化されました。
つまり、世界に先行して高齢化社会に突入している日本は、医療費削減のアイデアやよりよい介護の方法を実行できる立場にあり、それらのやり方をスタンダードにすることができるというビジネスチャンスがあるのではないでしょうか?
また、こうした考え方を発展させれば、人間と機械(人工知能・ロボット)と一体化して、人間の能力を強化・拡張していくことによって、未来の社会基盤を構築していくことにもつながると思います。
この考え方は、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)という暦本純一さんが提唱するコンセプトで、人間とテクノロジー・人工知能が一体化することで、知覚、認知、身体、存在感の4つの分野で人間の能力を強化・拡張していくIoA(Internet of Abilities:能力のインターネット)という未来社会基盤の構築を視野に入れた、最先端の研究を体系化していく学問領域です。
【関連記事】
https://twitter.com/ochyai/status/863280246140698624 で落合陽一さんはAIやロボットなど自動化技術によって、高齢化社会で成長する方法を提案しています。
自立支援に軸足を置いた介護への移行|インセンティブ設計|介護現場での人工知能の導入加速
利用者の生活の質の維持・向上と介護者の負担軽減を実現する介護ロボットの開発・活用促進|現場ニーズに基づく介護ロボット開発支援
参考画像:新産業構造ビジョン (2017/5/30、経済産業省)
新産業構造ビジョン (2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最⼤化に向けて、⾼齢となっても⾃分らしく⽣きることの出来る「⽣涯現役社会」の実現に向けて、⾃⽴⽀援に向けた介護や質・⽣産性の⾼い介護の提供の実現が必要であるとして、ケアプラン作成を⽀援するAI(人工知能)や介護現場のニーズに基づいた介護ロボット(センサー含む)を開発・活⽤が必要になるとあります。
高齢化社会をベースにすると発想を転換すると、それに合わせたテクノロジーが生まれることによって、もしかすると、若者にとっても過ごしやすい社会になるかもしれませんし、すでにそうした兆しも見えています。
少子高齢化こそ新しいものを生み出すチャンスととらえると、また違った世界が見えてくるかもしれませんね。
The reasonable man adapts himself to the world; the unreasonable one persists in trying to adapt the world to himself. Therefore all progress depends on the unreasonable man.
- George Bernard Shaw (バーナード・ショー) -
理性的な人間(物わかりのいい人)は自分自身を世界に適応させる。
非理性的な人間(わからず屋)は世界を自分自身に適応させようと固執する。
それゆえに、すべての進歩は非理性的な人間のおかげである。
■まとめ
Society5.0につながるConnected Industries
参考画像:「Connected Industries」東京イニシアティブ2017 (2017/10/2、経済産業省)|スクリーンショット
「Connected Industries」東京イニシアティブ2017 (2017/10/2、経済産業省)によれば、経済産業省は将来サイバー空間とフィジカル空間が高度に融合したSociety 5.0(超スマート社会)を目指していますが、現状では事業所・工場、技術・技能等の電子データ化は進んでいますが、それぞれバラバラに管理され、連携していないという課題があります。
「Connected Industries」というコンセプトは、様々な業種、企業、人、機械、データなどがつなげることが重要です。
ただ、どんなにつなごうとしても、それぞれがバラバラの操作方法であったりすると、つなぎ方がシンプルではなく複雑なものになってしまうかもしれません。
「HEMS(Home Energy Management System)」は、電気やガスなどの使用量をモニターで可視化したり、自動制御することによって、家庭の省エネルギーのための管理システムですが、「アート×テクノロジーの時代」(著:宮津大輔)によれば、THE Eugene STUDIO Visualization Dept.の所員が“家にまつわる総合的なOS開発”を行なった「未来のHEMS OS」開発プロジェクトのゴールは、住む人が求めるあらゆる機能を、それぞれ独立した家電製品からではなく、住宅それ自体で提供することを目指す、と書かれていました。
※「アート×テクノロジーの時代」(著:宮津大輔)では、このプロジェクトについてわかりやすく説明がされていますので、ぜひ読んでみてください。
【参考リンク】
このように「Society5.0 OS」を開発するというイメージでみながイメージを共有しながら進んでいくことが重要なのではないでしょうか?
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