ヴィーガンとしての生活を振り返った米国カリフォルニア出身のジョーダン・ヤンガーさんが書いた著書『ブレイキング・ヴィーガン』という本が話題になっているそうです。
今回はなぜその著書が話題になっているのか、ヴィーガンとは何なのか、について紹介します。
【目次】
■ヴィーガン(ビーガン)とは
ビーガン(vegan)とは、いわゆるベジタリアン(菜食主義者)が卵や乳製品を食べるのに対し、ビーガンはそれらも一切口にせず、動物性の素材を用いた靴・衣服も身につけない、完全菜食主義者のことです。
■ヴィーガンにライフスタイルを変えたきっかけ
Hermes Rivera
肉も魚も卵も食べない「ヴィーガン」生活を続けて1年…23歳の女性が経験した”命の危機”
(2015/11/6、courrier)
ジョーダン・ヤンガーさんは、医師の診察を受けても原因がわからない不調を胃に感じたことをきっかけにヴィーガンにライフスタイルを変えたそうです。
きっかけは、医師の診察を受けても原因がわからない不調を胃に感じたからだったが、食生活を変えた当初は、「自分が浄化され、身体から毒が抜け、胃の具合も良くなったように思えて、アドレナリンとエネルギーが満ちあふれてくるように感じた」という。
ヴィーガンの食生活に変えた当初は調子が良くなったと感じ、約59㎏あった体重は48㎏まで減ったそうです。
■身体に異変が起こる
ところが、ヤンガーの身体に徐々に“異変”が起こってゆく。体力が落ち、ハイな気分は消えて常に疲労感に苛まれるようになり、唇は青く変色し、髪は抜け、肌はしみだらけになった。月経は6カ月間、まったく来なくなった。
ヴィーガン生活を続けているうちに、体に異変が起き、体力が落ちて、疲労感が現れ、唇は青くなり、髪が抜けたり、顔にシミが出たり、月経が来なくなったそうです。
●疲労感の原因 → たんぱく質を摂取しないことでアミノ酸不足で肝臓が働きにくくなったから
肝臓には代謝機能や解毒機能があるのですが、肝臓の働きを高めるたんぱく質に含まれるアミノ酸を摂取していないことで、疲れやすくなっていると考えられます。
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●脱毛・シミの原因→たんぱく質を摂取しないことで、身体を作るために必要なアミノ酸が不足したから
ヴィーガンの食生活では、動物性のタンパク質を摂取しないことによって、たんぱく質に含まれるアミノ酸が不足している可能性があります。
人間の体は、筋肉や内臓だけでなく、肌や髪も骨さえも、たんぱく質が主成分であり、そのたんぱく質をつくり上げているのが、20種類のアミノ酸なのです。
体をつくるために必要なアミノ酸は20種類あり、なかでも、必須アミノ酸と呼ばれる9種類は体内でつくり出すことができないため、毎日、食品から補給しなければなりません。
そのためには、肉や魚、卵、乳製品、大豆製品などの、たんぱく質を多く含む食品をとることが有効となるのですが、たんぱく質を摂取しないことによって、髪が抜けたり、肌のターンオーバーの働きが機能しなくなったと考えられます。
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●生理不順(月経不順)の原因 → 鉄分不足
生理不順(月経不順)によれば、偏った食生活によるミネラル・ビタミンの不足が、冷え、低体温、生理不順、貧血などを引き起こす重要な原因になっています。
ナタリー・ポートマンがビーガンダイエットをやめるきっかけとなったのは、妊娠でした。
「私は妊娠をしてからベジタリアンな生活に戻しているの、それはただ私が自分の体が欲しているものは食べた方が良いと感じたからなの。
もし卵が食べられなかったら普通のパン屋さんに行ってもパンやクッキーが食べられないのよ」
<中略>
私が思うにビーガンダイエットをしていると鉄分が不十分である可能性があるから、サプリメントを取るなどして自分の健康状態に気をつける必要があると思うの
若い女性の中には貧血が原因で生理不順になっている場合も多いです。
ナタリー・ポートマンさんの指摘によれば、ヴィーガンの食生活だと鉄分が不足することによって鉄欠乏性貧血となり、月経不順になっていると考えられます。
●月経不順の原因→コレステロール不足による女性ホルモンの分泌が減少
女性ホルモン(エストロゲン)の原材料はお肉などに含まれるコレステロールなのですが、ヴィーガンの食生活では動物性のたんぱく質を摂取しないので、そのことも月経不順にかかわっているものと思われます。
■友人のアドバイスに従って魚を食べ始めたことが転機に
ヤンガーに転機が訪れたのは、ブログを始めてからちょうど1年後。やはりオルトレキシア(健康的な食事に執着しすぎる摂食障害)に苦しんだ経験を持つ友人のアドバイスに従って、魚を食べ始めたことだった。すると、少量のサーモンを食べる食生活に変えて1週間も経たないうちに、月経が再び始まった。
魚を食べる食生活に変えてから、月経がはじまったそうです。
その後、バランスの良い食事に戻して、健康を取り戻したそうです。
■たんぱく質を摂取することの重要性
今回の記事からわかることは、たんぱく質を摂取することの重要性です。
健康的にやせるには「たんぱく質」が欠かせない!によれば、たんぱく質が不足すると、以下のようなことが起こることが考えられます。
- 筋肉のもととなるたんぱく質が不足することで、筋肉量が減少し、代謝が落ち、太りやすい体になる。
- たんぱく質が不足することで、体の熱のもととなる筋肉量が減少すると、冷えやすい体になる。(低体温・冷え性)
- アミノ酸が多い良質のタンパク質は肝臓などの内臓の再生・修復に役立っているのですが、そうした体を作るもととなるたんぱく質が不足すると、肌荒れなどを起こす原因となる。
低栄養の原因はアルブミン不足|ためしてガッテン(NHK) 4月28日によれば、たんぱく質が不足すると次のようなことが起こります。
- 赤血球の材料が少ない→「貧血」
- 血管を作る材料が少ない→「脳出血」
- 免疫細胞を作る材料が少ない→「肺炎」「結核」
- 筋肉を作る材料が少ない→「転倒」→「骨折」
ヴィーガンとはいかないまでも、若い女性の中では、たんぱく質が不足している食生活をしている人がいます。
ぜひたんぱく質を忘れないように摂取するようにしてください。
■植物性タンパク質に注目が集まる可能性も!
たんぱく質には動物性タンパク質と植物性タンパク質があり、動物性たんぱく質には必須アミノ酸が含まれていますが、植物性たんぱく質だけではすべての必須アミノ酸を補うことは難しいので、バランスよく摂取してほしいです!
良質なたんぱく質を摂取するというポイントとして重要なのが「アミノ酸スコア」というもの。
アミノ酸の多い食べ物・食品|アミノ酸を効果的に摂取するにはアミノ酸スコアを知ろう!によれば、アミノ酸スコアとは、食べ物からアミノ酸を摂取する場合、あるアミノ酸量がいくら多くても、最も量の少ないアミノ酸に「たんぱく質再合成が制限される」という仕組みのことです。
つまり、アミノ酸を食品で摂る場合、アミノ酸スコアの原理によって、摂取したもののうち、必ずしも全てがたんぱく質合成に活用されるわけではないということです。
食品たんぱく質の栄養価としての「アミノ酸スコア」(2005/12、日本食品分析センター)で紹介されている主な食品のアミノ酸スコアを参考にすると、動物性の食品はアミノ酸スコアが高く、植物性の食品はアミノ酸スコアが低くなっているのがわかります。
参考画像:特定保健指導の実践定期指導実施者育成プログラム|厚生労働省|スクリーンショット
【主な食品のアミノ酸スコア】
- 牛肉・豚肉・鶏肉 100
- 魚類 100
- 卵 100
- 牛乳 100
- プロセスチーズ 91
- 大豆 100
- 精白米 65
- ジャガイモ 68
- 里イモ 84
- みかん 50
- トマト 48
ただ、大豆のアミノ酸スコアは100となっており、また、新しい食料資源としてのエゴマタンパク質の利用に関する基盤的研究によれば、エゴマの種子はたんぱく質含量が約18%と高く、アミノ酸スコアは92であり、植物タンパク質の中では良質なタンパク質といえるので、食品の組み合わせによっては植物性タンパク質だけでもたんぱく質を補給できる食生活が可能なのかもしれません。
今後アミノ酸スコアの高い植物性タンパク質に注目が集まりそうな予感です!
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