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「骨密度は維持はできても上げる方法はない」は本当?論文ベースで調べてみた!




骨密度は維持はできても上げる方法がないと以前医師から聞きました。

しかし、検索をすると一昔前は難しかったが骨密度を上げる方法があると明治薬科大学の記事にありました。

【参考リンク】

骨粗しょう症

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」とは、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。

骨粗しょう症は、転倒から骨折、寝たきりになる危険性が高まることで知られていますが、自覚症状に乏しく、骨折してはじめて病気に気づく人も少なくありません。

60代女性の3人に1人がかかるとされる骨粗鬆症であり、骨粗鬆症の潜在患者は1千万人以上といわれるそうですが、自覚症状に乏しいため、実際に治療を受けている人は1割程度なのだそうです。

閉経後の女性の場合、女性ホルモン(エストロゲンは骨の形成に関わる細胞の働きを促進し、骨吸収を抑制する働きがある)の分泌が低下して骨量が急激に減るので、注意が必要です。

■骨密度が上がることはない?を論文ベースで調べてみる!

論文ベースでこの件について調べてみようと思います。

骨密度を上げることは従来難しいとされてきましたが、最近の研究では生活習慣の改善や特定の介入により骨密度の向上が可能であることを示す論文が増えているそうです。

1. 明治薬科大学の研究について

明治薬科大学セルフメディケーション学研究室の研究(2019年)は、生活習慣の改善が骨密度向上に有効であることを示しています。

研究内容:39名のモニターを対象に、カルシウム摂取や運動を中心とした生活習慣介入を6か月間実施。踵部の骨密度(YAM%)が平均6.7%向上した。これは、骨粗鬆症治療薬であるアレンドロン酸ナトリウム(6か月で平均4%改善)よりも高い効果を示した。

介入の詳細:

食事:カルシウムを意識的に摂取(牛乳は推奨せず、代替のカルシウム源を活用)。

※牛乳やチーズ、ヨーグルトは、カルシウムを豊富に含んでいるものの、脂肪分も多く含むため、コレステロールや中性脂肪、体脂肪率などが、どんどん上昇してしまうリスクがあるので、じゃこやしらす干などの小魚、にぼし粉それとお魚の缶詰を推奨

運動:ウォーキングや軽い筋トレなど、骨に適度な負荷をかける運動。

意義:薬物療法に頼らず、生活習慣の改善だけで骨密度向上が可能であることを実証。

【参考リンク】

2. 骨密度向上に関する最近の論文ベースの知見

骨密度の向上には、栄養、運動、薬物療法、またはそれらの組み合わせが関与します。以下に、論文や信頼性の高い研究に基づくエビデンスをまとめます。

(1) 栄養と骨密度

カルシウムとビタミンD:

カルシウムは骨の主要構成要素であり、ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を促進する。1日あたりカルシウム700~800mg、ビタミンD800IUの摂取が推奨される。

論文例:Sozen et al. (2017, World Journal of Orthopedics) は、カルシウムとビタミンDの適切な摂取が骨密度の維持と向上に寄与し、特に閉経後の女性で骨折リスクを低減すると報告。

【参考リンク】

【関連記事】

ビタミンKとマグネシウム

ビタミンKは骨へのカルシウム取り込みを促進し、骨破壊を抑制。マグネシウムは骨質の強化に寄与。

論文例:Rondanelli et al. (2021, Nutrients) は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウムのバランス摂取が骨密度向上に有効であると結論。

【参考リンク】

【補足】

骨粗しょう症を未然に防ぐためにも、若いうちから骨密度を高めるために、骨を健康に保つ6つの栄養を摂るようにしましょう。

  1. カルシウム
  2. タンパク質
  3. ビタミンD
  4. ビタミンK
  5. マグネシウム
  6. 亜鉛

2019年2月5日放送の「たけしの家庭の医学」では「骨粗しょう症」を取り上げました。

骨が折れやすくなる原因である骨粗しょう症の街の人の対策はカルシウムの摂取ですが、中村幸男先生(信州大学医学部附属病院)によれば、栄養を適切に摂取し運動をしても骨折する患者がいるそうです。

中村先生によれば、カルシウム、ビタミンDの他に骨の健康に欠かせない重要な栄養素があり、それが「亜鉛」!

亜鉛の摂取を指導したところ、骨密度が大幅に改善し、また、何歳でも骨密度は上がるそうです。

→ カルシウムの多い食べ物 について詳しくはこちら

→ 亜鉛の多い食べ物 について詳しくはこちら

また、日を浴びることや運動をすることも骨を強くすることになるので、天気のいい日は運動をするように心がけましょう。

骨密度が治療が必要なほど低い場合には、薬や注射による治療を行なう必要があります。

骨折をしないためにも、また骨折治療をした後も骨粗しょう症治療をしていた患者さんの方が治りやすいので、しっかりと骨粗しょう症の治療を行ないましょう。

(2) 運動と骨密度

負荷をかける運動:

骨は物理的刺激により強化される。ウォーキング、ジョギング、筋力トレーニング(例:スクワット、かかと落とし)が有効。

論文例:Zhao et al. (2015, Osteoporosis International) は、週3回以上の重量負荷運動(例:レジスタンストレーニング)が閉経後女性の腰椎および大腿骨の骨密度を有意に向上させると報告。

【参考リンク】

【関連記事】

高強度インターバルトレーニング(HIIT):

HIIT(週3回)とビタミンD(800IU/日)の併用が、腰椎・股関節の骨密度を単独介入よりも大きく改善。骨形成マーカー(オステオカルシン)の増加とBMI低下が関連。

論文例:Marques et al. (2020, Journal of Strength and Conditioning Research) は、HIITが骨代謝マーカーを改善し、骨密度向上に寄与すると報告。

【参考リンク】

【補足】

運動習慣がないと、骨粗しょう症になりやすい理由としては、その前にスクレロスチンの値を下げて骨量を増やし骨粗鬆症を予防する方法(ランニング・水中ウォーキング・ヨガ・ストレッチ)のコツと注意点|#NHKスペシャル #人体を参考に、骨が作り替えられるメカニズムについて簡単にまとめてみたいと思います。

骨は、新しく強い骨を維持することで疲労骨折などを防ぐために、常に作り替えられていて、大人では3~5年で全身の骨が入れ替わっています。

骨の中には、骨を作る「骨芽細胞(こつがさいぼう)」と骨を壊す「破骨細胞(はこつさいぼう)」があり、この2つの細胞が骨の作り替えを行なっているます。

作り替えのペースを指示するのが「骨細胞」であり、「骨細胞」が骨を作る・骨を壊すという「メッセージ物質」によって作り替えの指示を行なっているのですが、作り替えのバランスが崩れると骨粗鬆症を起こしてしまいます。

「スクレロスチン」はメッセージ物質の一つで、「骨を作ることをやめる」というメッセージを持っており、通常は骨の量が増え過ぎないように「スクレロスチン」によって「骨芽細胞」の数を減らしているのですが、この「スクレロスチン」が大発生すると、骨量が減ってしまうのです。

それでは、なぜ「スクレロスチン」をたくさん出すということが起きてしまうのでしょうか?

骨細胞には骨にかかる衝撃を感知するという働きを持っており、その衝撃があるかないかによって、骨を作るペースを決めているそうです。

骨に衝撃がかからない生活をすると、骨を作らないでよいと考えてしまい、骨細胞が「スクレロスチン」を大発生させることによって、骨芽細胞の数を減らし、骨を作ることを休んでしまい、骨量が減ってしまうのです。

骨に衝撃がかからない生活というのは、運動をしないで一日中座っているような生活です。

つまり、運動習慣がないというのは、骨粗しょう症になりやすいということになります。

(3) 薬物療法と骨密度

ビスホスホネート:

骨吸収を抑制し、骨密度を増加させる。例:アレンドロン酸は6か月で約4%の骨密度向上を示す(明治薬科大学研究で比較)。

論文例:Black et al. (2007, New England Journal of Medicine) は、ビスホスホネートが椎体および大腿骨骨折リスクを有意に低減し、骨密度を増加させると報告。

抗スクレロスチン抗体:

骨形成を促進し、骨吸収を抑制。月1回の注射で骨密度を大幅に向上させる。

論文例:Cosman et al. (2016, New England Journal of Medicine) は、ロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体)が閉経後女性の骨密度を12か月で10%以上増加させたと報告。

テリパラチド:

骨形成を促進する注射薬。重度の骨粗鬆症患者で骨密度向上に有効。

論文例:Neer et al. (2001, New England Journal of Medicine) は、テリパラチドが腰椎骨密度を9%増加させ、骨折リスクを65%低減すると報告。

(4) 生活習慣の改善

禁煙・節酒:

喫煙と過度な飲酒は骨密度低下のリスク因子。禁煙により骨密度低下が抑制される。

論文例:Yoon et al. (2012, Bone) は、喫煙が骨密度低下を加速し、禁煙が骨代謝マーカーを改善すると報告。

日光浴:

ビタミンD生成を促進。1日10~30分の日光浴が推奨される。

論文例:Holick (2011, Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism) は、適度な日光浴が血中ビタミンD濃度を増加させ、骨密度維持に寄与すると報告。

3. 医師の「骨密度は上げられない」発言とのギャップ

医師が「骨密度は維持できても上げるのは難しい」と述べる背景には、以下の理由が考えられます:

年齢や状態による限界:特に高齢者や重度の骨粗鬆症患者では、骨密度の大幅な向上は困難。治療の主目標は「現状維持」や「骨折予防」に設定されることが多い(例:)。

薬物療法の限界:従来の薬物療法(例:ビスホスホネート)は骨密度を数%向上させるが、成長期のような劇的な増加は期待できない。

生活習慣介入の認知不足:明治薬科大学の研究のような生活習慣による骨密度向上のエビデンスは比較的新しく、医療現場での普及が遅れている可能性。

しかし、明治薬科大学の研究や上記の論文が示すように、若い年齢層や早期介入の場合、また適切な栄養・運動・薬物療法の組み合わせにより、骨密度の向上が可能であることが科学的に裏付けられています。

4. 論文ベースでの推奨事項

以下の介入が骨密度向上に有効であると論文で支持されています:

栄養:

カルシウム(700~800mg/日):小魚、乳製品、緑黄色野菜。

ビタミンD(800IU/日):魚類、きのこ、日光浴。

ビタミンK(納豆、ブロッコリー)、マグネシウム(ナッツ類)、タンパク質(肉、魚、大豆)。

運動:

週3回以上のウォーキング(8000歩以上)、筋トレ、HIIT。

かかと落としやスクワットなど、骨に負荷をかける運動。

生活習慣:

禁煙、節酒、スナック菓子やインスタント食品の過剰摂取を避ける。

薬物療法(必要に応じて):

ビスホスホネート、抗スクレロスチン抗体、テリパラチドを医師と相談。

5. 注意点と今後の研究

個別性:骨密度向上の効果は年齢、性別、骨密度の初期値、併存疾患に依存する。高齢者では効果が限定的な場合も。

研究の限界:明治薬科大学の研究は小規模(39名)であり、大規模なランダム化比較試験(RCT)による検証が必要。

X投稿の扱い:HIITとビタミンDの研究は興味深いが、原論文を確認しない限り確定的な結論は避けるべき。

継続性:骨密度向上には数か月以上の継続が必要。短期間での劇的な変化は期待できない。

6. 結論

明治薬科大学の研究や最近の論文は、骨密度を上げる方法が存在することを示しています。

特に、栄養(カルシウム、ビタミンDなど)、運動(負荷をかける運動、HIIT)、生活習慣の改善が有効です。

医師の「骨密度は上げられない」発言は、高齢者のケースや従来の常識を反映したものと考えられますが、現在では早期介入や適切な生活習慣により骨密度向上は可能だということですね。







糖化・AGEsのことを知って、アンチエイジング・病気予防!

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■糖化とは

Delft, tomorrow.

by zoghal(画像:Creative Commons)

シミ・シワ・たるみ…老化のサインの元は、酸化だけではなかった!今、話題の老化防止の新常識を全レクチャー!肌も体も抗糖化でアンチエイジング

(2009/12/9、美的)

「糖化」とは、私たちの体内にある大切なたんぱく質と、食事によって摂取した「糖」とが結びつくことで、糖化したたんぱく質が生成され、体内に蓄積してしまうことです。

糖化は、老化を促進するだけでなく、肌のシミ、シワ、たるみだけでなく、骨、血管、脳にも影響を与えるそうです。

→ 糖化とは|糖化の症状・原因・チェック・糖化を防ぐ方法 について詳しくはこちら

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【#ためしてガッテン】スロートレーニングによる筋トレでダイエット|やり方!成長ホルモンが出る仕組み・効果

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2008年10月29日放送のためしてガッテンでは、「脳をだます!ラクラク最新筋トレ術」がテーマでした。




【目次】

■【ためしてガッテン】スロートレーニングでダイエット

Deep squats

by Drew Stephens(画像:Creative Commons)

箇条書きにまとめてみました。

●加齢性筋萎縮症とは、年とともに筋肉が減る症状のことを言う。

この加齢性筋萎縮症は、誰もがなるとのこと。

●筋肉を鍛えるには、筋力トレーニングでしか鍛えられない。

筋トレを行うと、成長ホルモンが出る。

成長ホルモンが出ると、筋肉が太くなり、ダイエットにも効果的。

成長ホルモンを効果的に出す筋力トレーニングの方法とは、スロートレーニング(スロトレ)

■成長ホルモンが出る仕組み

重い負荷の筋力トレーニング→乳酸が出ると筋肉が濃くなり→水分を取り込むため、筋肉がはれる→脳に指令がいき、成長ホルモンが出る。

軽い負荷のスロートレーニング(無酸素運動)→血行不良→酸素不足(血中の酸素濃度の低下)→乳酸→筋肉がはれる→成長ホルモン

つまり、軽い負荷のトレーニングでも、スロートレーニングを行えば、重い負荷のトレーニングと同様の効果が得られるということ。

【補足】

血流が制限された状態で運動を行うと、血流が制限されて筋肉内が低酸素状態になり、乳酸などの代謝物が蓄積し、筋肉の代謝環境が変化することで成長ホルモンなどのホルモン分泌が活性化します。

成長ホルモンは全身の細胞の合成反応を促進することから、筋肉の成長の促進、肌の表皮細胞の代謝活性などによる若返り効果、脂肪の分解促進作用が期待されています。

一般的なレジスタンストレーニングや高強度の持久的運動などの、強度の高い運動を行なうと血中の成長ホルモン濃度は200倍程度に増加します。

しかし、成長ホルモンの分泌亢進は加圧トレーニングや強度の高い運動に限られておらず、比較的軽めの負荷であっても、筋肉の発揮張力を維持しながらゆっくりと動作するレジスタンス運動の「スロトレ」でも大きな筋肥大・筋力増強効果を得ることができます。

50%1RMの負荷で行なったスロトレでは80%1RMの負荷を用いて通常の速度で行ったトレーニングと同じくらいの筋肥大・筋力増強効果があったという報告があるそうです。

【参考リンク】

■スロートレーニングをおすすめする方

■スロートレーニングをすることでもたらされる効果(成長ホルモンが出る)

  • 腱・靭帯・骨を丈夫にする(骨粗鬆症)
  • 新陳代謝による若返り(肌がきれいになる)

■スロートレーニングによる筋トレでダイエット

スロートレーニング+有酸素運動(自転車こぎ、ウォーキングなど)

→成長ホルモンが出ることにより高いダイエット効果

スロートレーニング(無酸素運動)をすると、成長ホルモンが出てくる。

そのあと、遊離脂肪酸が出てくるところで、有酸素運動をすると、高いダイエット効果を生む。

筋トレ後、3時間までが効果的。

■スロートレーニングのやり方

  1. スロー腕立て伏せ
    腕立て伏せといっても両膝を床につけた姿勢でよいそうです。
  2. スロー腹筋
    床に横になり、仰向けになって、膝を立てた姿勢で、上半身を起こす。
  3. スロースクワット

この運動をゆっくり数字(1・2・3…と)を数えながら行いましょう。

筋肉を休ませないように伸ばさないことがポイント。

毎日10回×2セット行うことをお勧めしていました。







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糖尿病の運動療法|運動療法により得られる効果(急性効果・慢性効果)とは?

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■糖尿病の運動療法|運動療法により得られる効果とは

Jogging

by Dragan(画像:Creative Commons)

糖尿病講座:(19)運動療法とは

(2009/1/9、毎日新聞)

糖尿病の発症は食べ過ぎだけが原因でしょうか?

意外に思われるかもしれませんが、実は日本人のエネルギー摂取量は戦後間もない1950年代から現在まで約2,000kcalで大きな変化はありません。

しかし、摂取エネルギーに占める脂肪の割合は、1950年に7.7%だったのが現在では約26%と大幅に増加しております。

また自動車保有台数も年々増加しています。

実は糖尿病患者数の増加とこの脂肪摂取量の増加・自動車保有台数の増加の様子は非常によく一致します。

つまり食事の欧米化や自動車の普及による運動不足が糖尿病発症の大きな原因であると推測されるのです。

したがって糖尿病や肥満の予防および治療には食事療法だけではなく、運動不足を解消することは非常に重要な意味があると考えられます。

糖尿病の発症は食べ過ぎだけが原因ではなく、食事の欧米化(脂肪の多い食事)や運動不足も糖尿病が発症する大きな原因であると考えられるそうです。

そのため、糖尿病を予防するためにも、食事の量だけでなく、食事の内容を改善し、運動不足を解消する必要があります。

運動療法で得られる効果には短期間のうちにその効果が表れる急性のものと、運動療法を継続することで効果の表れる慢性のものがあります。

◇ 急性効果

急性効果で最も大きなものは血糖値の改善です。

運動時には筋肉がエネルギーを必要とするため、そのエネルギー源であるブドウ糖の血液中から筋肉中への取り込みが促進されます。

結果として血液中のブドウ糖量、すなわち血糖値が低下します。

食後に運動を行えば、食後の急激な血糖上昇を抑えることができ、糖尿病のコントロールをよくすることが期待できます。

運動によって爽快感を得られたりストレスを解消したりすることで生活の質を向上させることができるのも急性効果の一例です。

運動をすることでまず効果が得られるのが、血糖値が改善されること。

運動によって、血糖値の上昇を抑えることができるため、糖尿病のコントロールをすることができます。

また、ストレス解消になることも良いようです。

例えば、極端な例になりますが、1か月のハイキング生活で体はどのように変化するか?によれば、29日間で1日8~10時間のハイキングをした人は、ストレスホルモンともいわれるコルチゾールの値は平常が10-23μg/dLのところ、ハイキング前17.8μg/dL→ハイキング後10.8μg/dLと、コルチゾール濃度の正常範囲の最高値に達したそうです。

◇ 慢性効果

慢性効果として大切なのは、継続的な運動によりエネルギー消費が多くなることで減量を実現できることです。

しかも運動しながらの減量ですから、単に食事制限しただけの時と異なり、筋肉量を維持しながら脂肪だけを選択的に減少させることができます。

余分な脂肪が減少すればインスリンの効きも良くなり、血糖値の改善につながります。

また体力や心肺機能の向上、骨粗鬆症の予防、脂質異常症(高脂血症)の改善なども期待できます。

運動療法を続けることで得られるのが、減量に対する効果です。

脂肪が減少することによって、インスリンの効きがよくなり、血糖値の改善につながるようです。

糖尿病の予防には、食事だけに気をつけるのではなく、運動も取り入れましょう。

→ 糖尿病の運動(運動療法)|筋トレ・有酸素運動 について詳しくはこちら







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「健康日本21」で定める新たな健康長寿のための数値目標とは?




厚生労働省が2024年度から始める次期の国民健康づくり計画「健康日本21」で定める数値目標が興味深いですね。

1)1日の野菜摂取量(2032年度)

現状281g→目標350g

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるもの|厚生労働省調査によれば、男女問わず、年収が高い人ほど野菜摂取量が多い、もしくは、野菜摂取量が多い人ほど年収が高いといえます。

低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査で紹介した厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。

また、低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないという記事によれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。

#健康格差 とは|所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなる!?#健康格差 は収入・学歴などが要因?|WHO、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるでも取り上げましたが、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということがWHOでも一つの問題として注目されているようです。

日本人全体の野菜の摂取量を増やすには低所得者対策をすることが大事なのではないでしょうか?

野菜(ビタミン・食物繊維・葉酸・ポリフェノールなど)を摂る|おすすめの健康的ライフスタイル10箇条
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2)果物摂取量

現状99g→目標200g

野菜や果物を多く摂取する人は死亡リスクが低下する|人間総合科学大で紹介した人間総合科学大のの奥田奈賀子准教授の研究グループによれば、野菜や果物を多く摂る人は、脳卒中や心臓病などの循環器疾患で死亡するリスクが低下するそうです。

野菜と果物を1日に計280グラム程度摂取した群と計490グラム程度摂取した群を比較すると、野菜や果物を多く摂った群は少ないグループより死亡リスクが28%低かったことがわかりました。

3)食塩摂取量

現状10.1g→目標7g未満

●高血圧

血液中の水分量をコントロールしているのが塩分です。

血液中の塩分が適量であれば、血液中の水分量も正常で、血流も正常になります。

しかし、塩分には水分を引き寄せる働きがあり、血液中の塩分が多くなると、それだけ引き寄せられる水分量も多くなるため、血液の水分量も増加してしまい、血管の壁にかかる圧力が高くなってしまう、つまり、高血圧になると考えられます。

塩分の摂り過ぎ

→血液中の塩分濃度が高まる

→体が血液中の塩分濃度を薄めようと働くため(浸透圧を一定に保つ)、血液中に水分が取り込まれる

→血管の中の血液の量が増えることによって、血管に圧力がかかり、また、心臓への負担も大きくなる

血圧が上がる

→高血圧

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

●腎臓

【#世界一受けたい授業】腎臓にいい食べ物・腎臓に悪い食生活とは・CKD(慢性腎臓病)(横尾隆)

塩分の多い食事を続けると腎臓に負担がかかります。

「慢性腎臓病」が悪化すると、老廃物が血管の内皮細胞を傷つけることによって、脳卒中、心筋梗塞など血管の病気になるリスクが高くなります。

腎臓は『肝腎連関』『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャルで紹介した京都大学大学院医学研究科の柳田素子教授によれば、腎臓は『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要となっているそうです。

腎臓が悪くなると他の臓器も悪くなるので、いかに腎臓を健康に保つかはとても大切なのです。

腎臓に良い食事としては、塩分を減らす工夫、つまり減塩を行なうこと。

厚生労働省によれば、一日の塩分の目安は、男性8g、女性7gで、日本人の平均は12.3gなのだそうです。

カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維には、増えすぎた塩分を効率よく体外へ排出させる効果があります。

カリウムは、血液での濾過装置である腎臓に作用すると考えられており、余分な塩分をより多く体外へ排出すると考えられています。

4)喫煙率

現状16.7%→目標12%

5)睡眠6-9時間

現状54.5%→目標60%

「ヤクルト1000」の人気から考える現代人の健康の悩みとは?では、ヤクルト100の人気から、それだけ現代人の生活がストレスでいっぱいで、眠れない・起きれない人が多いということであり、自律神経が乱れている人が多いのではと考えられます。

→ 夜眠れないという悩みを抱えているあなたに。不眠の原因とは?不眠対策!良質な睡眠をとる方法

日本の働く女性は世界で一番寝ていない!?|睡眠時間が短い理由とは?によれば、日本の働く女性は世界一睡眠時間が短いそうです。

また、なぜ日本の赤ちゃんは世界一睡眠時間が短いのか?によれば、日本の赤ちゃんは世界一睡眠時間が少ないそうです。

母親が忙しくて子どもの生活リズムが遅くなりがちになっていることも睡眠不足の子どもが増えている理由なのかもしれません。

日本人の7割が睡眠不足? 親子で知りたい、睡眠のリズムを整えるコツ(2021/9/1、朝日新聞)によれば、経済協力開発機構(OECD)の調査による各国の平均睡眠時間を見ると、日本人の睡眠時間(7時間22分)は33カ国の中でも最低となっています。

つまり、日本人全体が睡眠不足なんです!

睡眠と生活習慣病には関係があり、糖尿病高血圧睡眠時無呼吸症候群脂肪肝肝臓がん、認知症になりやすいといった研究がされています。

最近注目されているのは「睡眠負債」という考え方。

「#睡眠負債(SLEEP DEBT)」|わずかな睡眠不足の影響が脳のパフォーマンスの低下・病気のリスクを高める|#NHKスペシャルで紹介された「睡眠負債(Sleep Debt)」とは、わずかな睡眠不足の影響が、まるで借金のように積み重なることで、知らず知らずのうちに脳のパフォーマンスを低下させたり、病気のリスクを高める恐れがあるという考え方です。

睡眠を改善することは一日一日のパフォーマンスだけでなく、健康を守ることにもつながるんですね。

6)足腰に痛みのある高齢者(人口1000人当たり)

現状232人→目標210人

ロコモティブシンドローム(骨や関節などの運動器の障害のため、要介護状態になる危険性が高いことを示す概念)を防ぐことは要介護になる高齢者を減らすことにつながります。

ロコモティブシンドロームの要因となる病気は、骨粗鬆症・変形性関節症・脊柱管狭窄症の3つの病気。

こうした病気になることで、運動器の障害が生まれ、要介護状態になる危険性が高くなります。

●変形性膝関節症

関節痛は、高齢になると、ほとんどの方が持っているといわれています。

その関節痛の多くが、関節軟骨の磨耗が原因の、「変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)」です。

通常、軟骨は、柔軟性と弾力性、なめらかさを持っており、関節のスムーズな動きを支えています。

しかし、老化や過激な運動などで、軟骨の消耗が進むと、骨同士が直接こすれあい、強い痛みを感じます。

つまり、変形性膝関節症とは、膝関節のクッションである軟骨のすり減りなどが原因となって、関節が変形したり、膝関節に炎症が起きたりすることで痛みが生じる病気です。

変形性膝関節症(関節痛や膝痛)に当てはまる方は、正座のしにくい方や階段の上り下りがつらい方、立ち仕事の多い方に多いです。

→ 膝が痛い|関節痛・変形性膝関節症 について詳しくはこちら

●脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症とは、神経の通り道である脊柱管(せきちゅうかん)が狭くなり、神経の通りが悪くなることで、背骨の内部の神経が圧迫されて足腰のしびれや痛みが出る病気です。

●骨粗しょう症

骨粗しょう症の原因は、カルシウム不足です。

血中のカルシウム濃度は一定ですので、カルシウムが不足し始めると、骨のカルシウムから補填をするようになります。

つまり、血中のカルシウムが不足すればするほど、骨のカルシウムも減っていくことで、骨がもろくなり、骨粗しょう症につながっていきます。

また、日光にあたることもなく運動もあまりしない生活を続けていると、骨の形成に大切なビタミンDが活性化されず骨粗鬆症になってしまいます。

骨粗しょう症を未然に防ぐためにも、若いうちから骨密度を高めるために、骨を健康に保つ6つの栄養を摂るようにしましょう。

  1. カルシウム
  2. タンパク質
  3. ビタミンD
  4. ビタミンK
  5. マグネシウム
  6. 亜鉛

→ 骨粗鬆症 について詳しくはこちら

【関連記事】

7)地域とのつながりが強いと思う人

現状40.1%→目標45%

フレイルにより認知症を発症するリスクが高い!身体活動と認知機能は互いに影響を及ぼし合っている!によれば、フレイルにより認知機能も低下しやすくなり、認知症を発症するリスクが高いことが報告されているそうです。

また、認知機能が低下すると筋力や身体活動量、ADL(日常生活動作)が低下し、フレイル状態を招きやすくなり、うつや不安など精神面にも悪影響を及ぼすために、人との交流が少なくなりひきこもってしまうなど社会的なつながりも薄くなってしまい、身体活動と認知機能は互いに影響を及ぼし合っているそうです。