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AEH(Ambient Experience Healthcare)|スキャンの質を向上させるために「『よい診察』とは何か?」という問いから始める|フィリップス




■AEH(Ambient Experience Healthcare)|スキャンの質を向上させるために「『よい診察』とは何か?」という問いから始める|フィリップス・デザイン

Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art
Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art

参考画像:Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art|YouTubeスクリーンショット

突破するデザイン あふれるビジョンから最高のヒットをつくる

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「突破するデザイン」(著:ロベルト・ベルカンティ)では、レントゲン、超音波、CTスキャン、MRIといった医療用映像機器の製造においてよく知られているフィリップス・デザインの当時CEOだったステファノ・マルツァーノが「よい診察」とは何かという問いに対して、技術発展ではなく、アンビエント(周囲に溶け込む)技術が答えることができないかと考えから、AEH(Ambient Experience Healthcare)というLEDの温かみのある照明や映像(アニメ)、音楽(音響システム)、RFIDセンサーを組み合わせることで、リラックスできる環境を作り出し、患者とスタッフ両方のストレスを軽減する医療用撮影システムを開発しました。

【補足】AEH(アンビエント・エクスペリエンス)とは?

フィリップス、MRI装置専用ライティングソリューション「In-bore solution」を発売

(2015/4/10、フィリップス)

アンビエント エクスペリエンスは、フィリップスの医療機器事業部と照明機器事業部が共同で開発したもので、MRIやCTなどの撮影室の天井に光の三原色である赤、青、緑の光が無段階に調光できる光源を配置して、部屋全体の色調を変えるものです。これにより、撮影室に入るとまるで虹の中にいるように、壁面も天井も思いのままの色調に変化させることができます。さらに、壁面には患者さんを和ませる宇宙空間や森林といった風景や、小児が好きなアニメーションを投影し、その情景をかもし出すBGMを流すことができます。これにより患者さんが撮影室に入るとまるで別世界にいるような気分になり、リラックスすることができるのです。

どうしてこのようなシステムを考えるに至ったのでしょうか?




■背景

1つ目は、スキャンの品質は機器のスペックのみでなく、患者のストレスレベルにも依存するということである。例えば、子供たちはCTスキャンでの診察の際、大きな不安を抱えがちで、多くの場合、落ち着かせるために鎮静剤が必要となる。しかしその方法では、子供たちの安全面での懸念が増加するとともに、スキャン時間も長くなる。

2つ目に、もっと根幹的な問題として、患者のストレスレベルは診察中に起きることのみならず、診察の前後に起こる出来事、つまり「病院で診察を受ける」という一連の環境に大きく影響を受けるということだ。

スキャン産業のイノベーションはスキャンの質が画素数と処理速度で決まるという意味から、より多くのデータを、より短時間で撮影できる機器の開発にターゲットが置かれていたそうですが、スキャンの品質は患者のストレスレベルも関係していて、特に子供たちはCTスキャンでの診察の際に不安を抱えてしまうため、落ち着かせるための鎮痛剤を必要とし、またスキャンの時間も長くなっていたそうです。

■どのようなシステムにしたの?

Dutch Masters | Philips improves patient experience with music & art

MR In Bore Experience Update Demo

「突破するデザイン」(著:ロベルト・ベルカンティ)を参考に、どのようなシステムを創りだしたのかを簡単にまとめます。

●病室にあるLEDによるやわらかくて温かみのある照明によって、患者・スタッフ両方のリラックス効果

●子供が選んだ人形につけられたRFIDセンサーによって、診察室に入るときにリラックスできるアニメーション、照明、音響にする

●子供に診察中にしてほしい態度をビデオの中で説明する

●待合室でおもちゃのCTスキャンで診察ごっこを行ない、疑似体験をすることで、診察の手順を理解し、恐怖感を緩和させる

●子供の家族やスタッフとのテレビ電話でやり取りをすることにより孤独感を減らす

患者がリラックスできれば、それだけ迅速な診察が可能となり、嫌がられる可能性も減る。このアプローチはより優れた方法であり(例:三歳以下の子供への鎮静剤投与が30~40%低減、使用する放射線量を4分の1~2分の1に低下)、より効率的である(例:機器の情報処理時間が15~20%短縮、CTスキャン利用の手順の簡素化)と判明した。

こうした話では、米ゼネラル・エレクトリック(GE)のエンジニアがMRI装置に関する問題を解決したケースが有名です。

病院のMRI検査、機器改良なしで泣き叫ぶ子供を激減させた方法とは?デザイン思考の本質

(2016/5/21、Biz Journal)

磁石が高速でうなりをあげて回転する狭い空間に入り、そこで長い間じっとしていなければならないのは、大人にとっても苦痛である。まして子供たちは怖くて泣いてしまうのが当然だ。正しい検査を受けるために、子供たちの80%が受診前に鎮静剤を打たなければならないという現実を突きつけられたダグ氏は、ショックを受けたのである。

MRIの装置は怖い音がする狭い空間に入っていくため、子供は怖くて泣いてしまい、子どもの8割が鎮静剤を打たなければ検査を受けることができないという問題がありました。

この問題を解決するために用いられたのが「MRIを受診することを海賊船に乗り込むアトラクションに見立てる」という方法です。

彼はMRI受診を海賊船物語に変えてしまったのである。つまり、MRI装置と検査室の壁に絵を描かせ、まるで海賊船の中のように仕上げ、子供たちが海賊たちに見つからないようにじっと隠れているというアトラクションに変えてしまったのだ。
さらに、検査技師たちにも子供たちとの接し方を訓練させた。受診する子供たちには、これは楽しい乗り物なのだよと説明する。こんな具合だ。「今から海賊船に乗り込むよ。海賊たちに見つからないようにじっとしていて!」

MRIを受診することを海賊船に乗り込むアトラクションに見立てることで、鎮静剤を打つ子供は10%に激減したそうです。

スキャンの質は画素数と処理速度のような機器のスペックだけで決まるのではなく、いかにリラックスした環境を作り出すかによって、スキャンをすること自体の品質を向上させるのです。

VRで痛みを軽減し、依存性のある鎮痛剤の使用を抑制しようという取り組み|シーダーズサイナイ医療センターによれば、ロサンゼルスのシーダーズサイナイ医療センターでは、VRによって痛みを軽減するという研究が行なわれていて、リラクゼーション用の映像よりもVRゲームをさせたグループのほうが痛みが緩和されたという結果が出たそうです。

AEHという医療用撮影システムでは、ビデオを活用していましたが、VRゲームを活用して、没入感により痛みを緩和する方法をとるというのもさらに一歩進んだ方法として今後利用されるようになるかもしれません。

【参考リンク】

■意味のイノベーション

診察の質とコストは、診察前、診察中、そして診察後に患者と病院環境がどのような接点を持つかということに依存する、というものである。

病院による診察というのは、診察中だけのパフォーマンスを向上させることが必要だと思っていましたが、診察前からすでに治療は始まっており、どのようにリラックスした環境で治療をできるようにするかを考えることがより良い治療につながり、また治療をする医療者側にとってもリラックスした環境にすることが重要であるということです。

「よい診察」とは何かという「意味のイノベーション」を行なったことでできた新しいシステムですが、このことは他のことにも応用できるのではないでしょうか?

病院のネットワークシステムを改善することによる医療者と患者のメリットとは?|群馬大病院とNECネッツエスアイのケースでは、従来とのシステムと比べて高速化したことにより、患者・医療者にとっての負担軽減につながり、また、データの確認がすぐにできることにより安全性もアップすることが期待されていますが、患者と医療者がコミュニケーションをとる時間も多く取れるようになるというメリットがあります。

女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?によれば、医療における医師と患者のコミュニケーションの重要性は高まっています。

コミュニケーションの重要性が高まっているのには以下のような理由があります。

  • 主たる病気が生活習慣病へ移行したことで、ケア(care)やマネジメント(management)が大きな位置を占めるようになった
  • 患者が医療情報に触れる機会が増えたが、その情報に混乱している患者も増加
  • 医学の進歩により市民の一部は医学を万能と考えるようになり、医療への過度の期待を生んでいる

患者に対して適切な医療を行うためには、患者がどのような悩み・苦労を抱えているのか、医師が患者の言葉に耳を傾け(傾聴)、気持ちを受け入れる(受容)ことによって、医師と患者間での信頼関係が生まれ、その後のケアやマネジメントが良好になると考えられます。

しかし、従来のシステムではそうした患者とのコミュニケーションにかけられる時間が少なくなってしまったり、コミュニケーションにかける時間を増やそうとすると、労働時間が増えることにより、医療者の心身の負担が増加してしまっていたのではないでしょうか。

ネットワークシステムを改善することは患者とのコミュニケーションとは直接関係ないように見えて、重要な役割を果たすことが期待されるのです。

これからは、どういう新しい価値を創造するのかを考えるという「意味のイノベーション」が重要なカギになりそうです。




■まとめ

シームレスケアに対するわたしたちのビジョン|Philips HealthCareによれば、フィリップスの目標は、2025年までに、イノベーションを通じて30億人の生活の改善することを掲げています。

現在のヘルスケアのトレンドは、女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?によれば、主たる病気が感染症から生活習慣病へ移行したことにより、疾病の治癒や生命維持を目的とする「キュア(cure)」から、患者のQOL(生活の質)の向上を目的とした「ケア(care)」が重要になると考えられています。

【参考リンク】

今後はさらにその考え方を進めて、病気にかからないようにするための予防医学や健康的な生活をする取り組みへの移行が重要になってくるでしょう。

フィリップスの考え方は、「健康的な生活 → 予防 → 診断 → 治療 → ホームケア」という一連のヘルスケアプロセスをシームレスにつないでいくことを大事にしているようです。

フィリップスが仕掛けたビッグデータ戦争――真のIoT活用には医療システム改革も必要

(2016/10/30、ITmedia)

フィリップスの考える一連のヘルスケアプロセス
1)健康な生活 人々が健康な住居環境で健康な生活を送れるようにサポートする
2)予防 人々が自らの健康を管理する
3)診断 診断が個人に合わせた予防的ケアを介して、最初から適切な方法で進める
4)治療 有効な治療、早い回復、良好な転帰を可能にする
5)ホームケア 回復と家庭での長期ケアをサポートする

 「将来に対するフィリップスのビジョンは、この5つに分かれた一連のヘルスケアプロセスの項目をすべてリンクさせることが重要だと認識しています。具体的には、すべてをIoT製品などで有機的につなぐことで、それぞれのデータを活用できるようにすることが実現への第一歩だと考えます」。ここでいう有機的に繋ぐとは、主に一般の患者と医療機関の医師をデータ上、“Face to Face”にすることを意味しているという。

「例えば、個人が毎日の健康な生活するなかで、IoT製品により蓄積したデータを、もし病気になる前の予防段階から医師に提供して、生活習慣などへのアドバイスを受けられれば、それは患者にとっても医師にとっても非常にいいことですよね。どんな予防策を講じた方がいいかを知るだけで、患者は病気になりにくくなりますし、医師としては、患者が病気になる前の段階で食い止められます。また、仮に患者が病気になったとしても、それまでのライフスタイルが分かっていれば、効果的に診断や治療を行うことができるようになります。もちろんに病気になった原因もより明確に診断、特定できると思います」

ヘルスケアプロセスをIoTでリンクすることにより、日ごろからの個人のデータを予防段階で医師と共有できれば、生活習慣病予防のアドバイスを受けることにより、患者は病気になる前の段階で予防ができ、またたとえ病気になったとしても、それまでのデータを活かした病気の診断・治療ができることになるでしょう。

このように考えると、患者と医療機関にとってWin-Winの関係のように見えますが、医療機関の報酬という視点から見ると、医療機関は患者への治療によって報酬を得ているわけですから、医療機関によっては予防医療に取り組むことはよいことであるとはわかっていても、自分たちの収入を減らすことになりかねません。

「医療システム自体を改革し、医者が予防段階から患者に寄り添うことで、そこからも報酬を得られるような仕組みに変更する必要があります。ただ、既存の医療システムに変更を加えることは、当然医療機関だけでは実現できず、各国の政府などを巻き込んで、法令などの変更も含めて、改革し直す必要があります」

そこで、フィリップスは「Co-Creation」を掲げて、医療システムの改革をハブとしてサポートする立場で一緒にクリエイトしようと考えているようです。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

「IoT」といった「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。







【参考リンク】
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1300万人の新国民病!隠れ腎臓病|#ためしてガッテン(#NHK)

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2008年11月12日放送のためしてガッテン(NHK)「1300万人の新国民病!隠れ腎臓病恐怖の連鎖」がテーマでした。




【目次】

■隠れ腎臓病とは

View from Tokyo Skytree

by JD(画像:Creative Commons)

ためしてガッテン(11月12日放送)「1300万人の新国民病!隠れ腎臓病恐怖の連鎖」

●最近は、自覚症状はないけれども、腎臓機能が落ちている、「隠れ腎臓病」の人が増えているそうです。

●最近の研究によると、自覚症状が全くない段階の腎臓機能低下で、脳卒中心筋梗塞のリスクが大幅に上昇する悪循環があることがわかってきたそうです。

そのメカニズムとは、「腎臓機能が低下→高血圧動脈硬化→突然死」というものです。

■隠れ腎臓病と貧血

●現在、隠れ腎臓病が原因の貧血が急増しているそうで、この貧血のことを腎性貧血というそうです。

●貧血になると、腎臓からエリスロポエチンというホルモンが出て、骨髄で赤血球を作る指令を出すそうです。

●腎性貧血は、腎臓機能が悪化したことで、骨髄で赤血球を作るように指令を出すエリスロポエチンが作り出される量が減ったためにおこるそうです。

●腎臓は、酸素の取り込み能力が非常に低い臓器であるそうです。

●腎臓悪化→エリスロポエチンが出ない→貧血→腎臓悪化という悪循環を起きてしまっているそうです。

●鉄分を摂取しても貧血が治らない場合は、腎臓機能の悪化が原因の腎性貧血の可能性があるので、ぜひ一度医師と相談してみてください。




■隠れ腎臓病と骨

●腎臓の働きには、骨を作る上で重要な働きがある。

カルシウムを体内に吸収するのはビタミンDの役割なのですが、腎臓が活性型ビタミンDというホルモンに変える働きがある。

●隠れ腎臓病が原因で血管に骨ができる、「血管の石灰化」というものがあるそうです。

●血管の石灰化のメカニズム

カルシウムには、カルシウムは常に血液中に一定量が必要。

腎臓の働きが落ちることによって、カルシウムが足りなくなると、それを補おうとして、骨が溶け出てきます。

この溶け出たカルシウムが複雑な仕組みを経て、血管に沈着してしまうそうです。

●「腎臓悪化→活性型ビタミンDが出ない→骨がスカスカに→血管が石灰化する→腎臓悪化」という悪循環を引き起こす可能性があるそうです。

■隠れ腎臓病と突然死のメカニズムのまとめ

●隠れ腎臓病が原因になって、「腎臓機能が低下→高血圧→動脈硬化」の悪循環に、「貧血」と「骨がスカスカ」の悪循環が組み合わさって、その結果、「突然死」のリスクが増大してしまう恐れがあるそうです。

■隠れ腎臓病の早期発見・早期治療と予防

●隠れ腎臓病を早期発見・早期治療を行うには、尿たんぱく検査・血清クレアチニン検査です。

●尿タンパク検査

タンパクが尿に漏れてしまうのは、腎臓の機能が低下していることが原因と考えられます。

●血清クレアチニン検査

血清クレアチニンとは、体内の老廃物で、腎臓のろ過機能を示す指標です。

●腎臓機能低下のきっかけは、糖尿病・高血圧・メタボリックであるので、メタボリックシンドロームを防ぐ食事が、腎臓機能低下を防ぐ食事と言えます。

■感想

今回の放送は大変勉強になりました。

特に腎臓機能の低下が、まったく関係のないように思える貧血や骨がスカスカになることなどと関係していることがわかり、驚きました。

また、そのことがさらに高血圧→動脈硬化と組み合わさって、大きな悪循環を生んでいるということにも驚かされました。

腎臓の働きの重要さがたいへんわかる番組でした。

皆さんも定期的に検査を受けて、隠れ腎臓病を早期発見・早期治療しましょう!

また、食事で腎臓機能低下を予防しましょう!







【関連記事】
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化学療法薬をすい臓がんの腫瘍に直接送ることができる小型で移植可能なデバイスを開発|MIT・マサチューセッツ総合病院

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■すい臓がん治療のおける2つの問題とは?

1.すい臓がある位置が早期発見・治療を難しくしている

膵臓がん
膵臓がん

参考画像:ローラ・インドルフィ:膵臓がん患者への吉報(Feb 2016、TED)|TED Talkスクリーンショット

ローラ・インドルフィ:膵臓がん患者への吉報

(Feb 2016、TED)

膵臓がんのまず最初の問題は 膵臓が まさに お腹の真ん中にあるという事です スライドでは膵臓は オレンジ色になっていますが その前にある他の臓器を どけないと よく見えません その前にある他の臓器を どけないと よく見えません また命に関わる重要な臓器— 肝臓、胃、胆管などに囲まれています それらの隣接した臓器に 転移しやすいことが 膵臓がんを 最も痛みの激しい 癌の1つにしているのです また手術で摘出し難い場所にあり また手術で摘出し難い場所にあり 乳がんの様に 日常的には 手術が行われていません

すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?|すい臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!によれば、すい臓の位置が体の奥深く(肝臓や胃などの裏側の隠れた場所)にあり、またほかの臓器に囲まれているため、レントゲン検査や腹部超音波(エコー)検査では発見が難しいそうです。

すい臓がんの患者の4割が治療前の時点で「ステージ4」に達している|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターが公表した国が指定する「がん診療連携拠点病院」の2014年の診療実績によれば、すい臓がんの患者の4割が治療前の時点で「ステージ4」(肝臓・腹膜・肺などの違う臓器に転移)に達しているそうです。

がん患者の「5年相対生存率」推計62.1%|国立がん研究センターによれば、男性におけるがんの種類ごとの生存率によれば、すい臓がんが最も低い7.9%、女性もすい臓がんが最も低い7.5%となっています。

2.すい臓がんの腫瘍そのものには薬がほとんど届かない

ローラ・インドルフィ:膵臓がん患者への吉報

(Feb 2016、TED)

膵臓がんは血管が殆どないのです なぜ腫瘍の血管が 問題となるのでしょう? 化学療法の働きを 考えてみましょう 薬が血管に注入され 薬は体中を巡り 腫瘍に届きます それは目的地まで到着しようと 高速道路を運転するようなものです もしその高速道路に 目的地への出口がなかったらどうでしょう? 目的地へ到着する事はありません それと全く同じ問題が 膵臓がん治療の化学療法にあるのです 薬は体中を巡り 健康な臓器は 毒性の高い作用を受けるというのに 腫瘍そのものには薬は ほとんど届くことがなく 薬の効果はとても 限られたものになります

すい臓がんに対する化学療法を行なおうにも、すい臓がんの腫瘍には血管がほとんどないため、腫瘍そのものには薬がほとんど届くことはなく、効果は限定的なものとなってしまうそうです。




■化学療法薬をすい臓の腫瘍に直接送ることができる小型で移植可能なデバイスを開発

化学療法薬をすい臓の腫瘍に直接送ることができる小型で移植可能なデバイスを開発
化学療法薬をすい臓の腫瘍に直接送ることができる小型で移植可能なデバイスを開発

参考画像:ローラ・インドルフィ:膵臓がん患者への吉報(Feb 2016、TED)|TED Talkスクリーンショット

Implantable device targets pancreatic cancer

(2016/4/14、MIT NEWS)

To help overcome that obstacle, researchers from MIT and Massachusetts General Hospital have now developed a small, implantable device that delivers chemotherapy drugs directly to pancreatic tumors.In a study of mice, they found that this approach was up to 12 times more effective than giving chemotherapy drugs by intravenous injection, which is how most pancreatic cancer patients are treated.

すい臓がある位置が早期発見・治療を難しく、またすい臓がんの腫瘍そのものには薬がほとんど届かないという2つの問題を抱えているすい臓がんはアメリカにおけるがんによる死亡原因の3番目となっています。

そこで、MITとマサチューセッツ総合病院の研究者は、化学療法薬をすい臓の腫瘍に直接送達する小型で移植可能なデバイスを開発したそうです。

マウスの研究によれば、この治療法によるアプローチとほとんどのすい臓がん患者を治療する方法である静脈内注射による化学療法薬の投与と比べると、最大12倍効果的であることがわかったそうです。

このデバイスの特徴としては、主に2つ。

1.標的の腫瘍に効果的に薬の投与が可能になること

In hopes that getting drugs directly to the tumor site would improve treatment, the researchers engineered a flexible polymer film that is made from a polymer called PLGA, which is widely used for drug delivery and other medical applications.The film can be rolled into a narrow tube and inserted through a catheter, so surgically implanting it is relatively simple.Once the film reaches the pancreas, it unfolds and conforms to the shape of the tumor.

薬剤の送達やそのほかの医療用途に広く用いられているPLGAと呼ばれるポリマーから作られた柔軟なポリマーフィルムをカテーテルを通して挿入し移植します。

フィルムがすい臓に到達すると、広がり、非常に柔軟性があるため、腫瘍の大きさや形に適合し、腫瘍を閉じ込めるようにして、ガンが他の臓器に転移しないような働きをします。

Drugs are embedded into the film and then released over a preprogrammed period of time.The film is designed so that the drug is only secreted from the side in contact with the tumor, minimizing side effects on nearby organs.

このデバイスは生分解性があるので、体に入ると、分解され始め、フィルムに埋め込まれた薬剤がプログラミングされた期間にわたって放出されます。

フィルムは腫瘍と接する側からのみ分泌するように設計されているため、周りにある器官への副作用を最小限に抑えます。

2.低侵襲であること(「最小侵襲性(Minimally invasive)」)

“The greatest benefit of this device is the ability to implant it with minimally invasive procedures so we can give a tool to oncologists and surgeons to reach tumors that otherwise would be difficult to reach,” Indolfi says.

医療行為に当たっては患者にとって何らかの痛みや出血などを伴うものであり、そのことを「侵襲(しんしゅう)」と呼びます。

このデバイスを使った治療法はカテーテルを用いてフィルムを移植する治療法であるため、体にとって比較的侵襲度が低い治療法といえます。

While they began this project with a focus on pancreatic cancer, they expect that this approach could also be useful in treating other tumors that are difficult to reach, such as tumors of the gastrointestinal tract.

すい臓がんにフォーカスしてスタートした今回の研究ですが、このアプローチは到達することが難しい胃腸管の腫瘍といったほかの腫瘍の治療にも活用することも期待されます。

現在は臨床試験を行なっている段階ですが、将来的にすい臓がんも治療可能ながんになるといいですね。

→ すい臓がん について詳しくはこちら

■まとめ

今回紹介したアプローチは疾患部位にピンポイントで治療薬を届ける「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」というアイデアに含まれるものですね。

がん治療の場合、従来の抗がん剤だと正常な臓器・細胞も傷つけてしまいますが、がん細胞だけに薬を届けることができれば、治療効果が高く、副作用の少ない「患者に優しい治療」となることが期待できます。

DDSの考え方が広まることによって、「患者にとっての優しい治療」が実現していくといいですね。







【関連記事】
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複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT【論文・エビデンス】




■複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT

複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT
複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT

参考画像:Smart Bandage|YouTubeスクリーンショット

ネブラスカ大学リンカーン校のプレスリリースによれば、ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MITの研究者らは、感染を防止するための抗生物質や組織再生増殖因子、鎮痛剤などの複数の薬剤を収容し、放出できるスマート包帯を設計しました。

Smart Bandage

「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学で取り上げた「複数の薬を異なる速度で自在に放出できる」というアイデアに導電性繊維を加えた、面白い包帯ですよね。

また、この包帯にはグルコースやpHといった他の健康関連指標を測定することができる糸ベースのセンサーを組み込むことで、自律的に治療を行う包帯を目指しているそうです。

【肌の上のラボ】汗を分析するデバイスで病気診断|ノースウエスタン大学では、Glucose(ブドウ糖)、pH(酸性・アルカリ性の度合い)、Lactate(乳酸)、Chloride(塩化物イオン)を分析し、水を飲むタイミングや電解質を補給するタイミングを知らせることができるデバイスの開発というニュースを紹介しましたが、この機能を包帯に組み込もうとしているようですね。




■まとめ

最近では、ファッションアイテムにセンサーを織り込む技術が開発されています。

●ソックスの生地に温度センサーを織り込む

siren care
siren care

参考画像:[500 STARTUPS DEMO DAY 2016] BATCH 18, Siren Care|スクリーンショット

SIREN CARE|糖尿病患者の足の炎症や傷害を温度センサーでリアルタイムに見つけるスマートソックスでは、温度センサーをソックスに織り込み、糖尿病患者が炎症や傷害をリアルタイムで検出するスマートソックス(靴下)を紹介しました。

●Project Jacquard|伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに織り込むプロジェクト

Project Jacquard: Making the Jacket

グーグル・Project Jacquardの「衣服ハック」

(2016/1/13、wired)

プーピレフのアイデアの正式名称は「Project Jacquard」(プロジェクト・ジャカード。その名称は伝統的な機械織りの技法にちなんでいる)。その目標は、伝導性繊維を地球上のすべての衣類と布に織り込んで、タッチセンサーや触覚フィードバックなどの機能を、ジーンズからクルマのシート、カーテンに至るまで、あらゆるものに搭載することだ。

「センサーを素材として生地に織り込むことができれば」とプーピレフは言う。「それはエレクトロニクスからの解放を意味する。身の回りにあるベーシックな素材をインタラクティヴにできるのだ」

グーグルの先進技術プロジェクト部門、ATAP(Advanced Technology and Projects)が取り組んでいるのが「Project Jacquard」という伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに搭載できるような技術の開発です。

伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに搭載できるようになるとどうなるでしょうか?

プーピレフはそれが意味することを想像し始める。着替えていることを電話が認識し、蝶ネクタイを結ぶと同時にUberでクルマを呼んでくれたらどうだろう? ランニングシューズを履くと同時に、自動的に運動記録が開始するとしたら? あるいは服の袖を一度軽くスワイプしただけで通話ができ、相手の声も聞こえるとしたら?

いま私たちが使っているスマホやウェアラブルデバイスの操作を服に触れるだけでできるようになるのです。

しかし、伝導性繊維を開発しても問題になるのは、現実の製造工程に組み込めるのかどうかです。

製造の現場に飛び込んだイヴァン・プーピレフはその製造工程の過酷さ(伝導性繊維にとっての)を目の当たりにします。

「飛び出た余分な糸の繊維を除去するために、直火にかけるなどというプロセスすらあった」と彼は言い、その荒々しさに首を振る。「そんなことが行われているとは知らなかったが、それはほんの一例に過ぎない。伸ばして水に漬け、ホットプレスにかけ圧縮する。布の種類によっては金属の爪で引き裂くことすらある。電子部品(を組み込む)とすれば、致命的だ」

製造工程では火にかけたり、水につけたり、圧縮したりするなど電子部品を組み込んだ電導性素材にとっては様々な課題が見つかりましたが、編み込みの技術や製造工程に取り入れる方法について解決していったそうです。

プーピレフは、服の袖を全面液晶ディスプレー化するという自分の夢を笑いつつ、それを本当に実現するのに関心をもつ誰かと協力することの重要性を熱っぽく語った。

脈拍数や血液中の酸素濃度などを表示し、肌に貼れる有機ELディスプレイを開発|東大で紹介した東京大学の染谷隆夫教授らの研究グループは、センサーで検知した脈拍数や血液中の酸素濃度を表示できる、肌にフィットして貼っていることに気付かないほど違和感なく装着できる有機ELディスプレイを開発したそうですので、服の袖を全面液晶ディスプレイ化するのもそう遠くない未来かもしれません。

●電導性のあるインクを使って生地を電子回路化

独自に開発した電導性のあるインクを使い、生地をワイヤレスな電子回路化するブランド「Loomia」

(2016/10/26、DiFa)

生地に特殊なインクでプリントされた電子回路は、もとのサイズから約2倍も引き伸ばすことが可能。柔軟性と伸縮性をもったスマートファブリックは、テクノロジーを使ったファッションデザインの可能性を大きく広げることになりそうです。

Loomia(ルーミア)」は、電子回路を布地に織り込むのではなく、電導性のあるインクを使って生地を電子回路化しています。

電子回路を布地に織り込む技術なのか、インクを使って布地を電子回路化するのか、それとも全く違った発想のものが出てくるのか、楽しみですね。

ファッション×テクノロジーは面白い研究が多く、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材があったり、バイオロジーを活用したトレーニングスーツ・ランニングシューズなどの研究が進んでいます。

●着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材がある

着るだけで心拍数を測れる新素材 NTT・東レが開発によれば、NTTと東レは、心電計や脈拍計の電極の代わりに使える衣料用の新素材を共同開発していますし、心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材「HITOE」を使ったウェア「C3FIT IN-PULSE」を活用して不整脈の臨床研究|東大病院・ドコモによれば、潜在的な不整脈検知が有効であるかを検証することを目的として、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材「hitoe」を活用したウェア「C3fit IN-pulse(シースリーフィットインパルス)」を活用し、長時間にわたる心拍と心電位計測を行う研究も行なうそうです。

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今回のスマート包帯のように、傷口を守りながら、皮膚の状態をモニタリングして、自律的にセンサーが判断して、複数の薬剤をベストなタイミングで放出できるようになれば、治療の効果が飛躍的に高まることが期待されます。







【参考リンク】
続きを読む 複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT【論文・エビデンス】

日本でも治験が始まる!#がん光免疫療法(#近赤外線光免疫療法)とは?簡単にわかりやすく!




【目次】

■がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)とは?簡単にわかりやすく!

Killing Cancer Cells with the Help of Infrared Light – Photoimmunotherapy

Near-infrared photoimmunotherapy uses an antibody–photoabsorber conjugate that binds to cancer cells. When near-infrared light is applied, the cells swell and then burst, causing the cancer cell to die. Photoimmunotherapy is in clinical trials in patients with inoperable tumors.

「がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法:Near Infrared Photoimmunotherapy, NIR-PIT)」は、がん細胞に結合する抗体と近赤外光を吸収して化学反応する特殊な色素を組み合わせた抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate, ADC)を使用し、近赤外光が照射されると、がん細胞が膨潤して破裂し、がん細胞が死滅するという治療法です。





■がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)の仕組み

がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)
がん光免疫療法(近赤外線光免疫療法)

参考画像:Killing Cancer Cells with the Help of Infrared Light – Photoimmunotherapy|YouTubeスクリーンショット

  1. がん細胞だけが持つたんぱく質に結びつく性質がある「抗体」に、特定の波長の近赤外光を当てると化学反応を起こす化学物質を付けて患者に注射する。
  2. 体外から患部に近赤外光を照射。
  3. 化学物質の化学反応によって、がん細胞を破壊する。

がん光治療(近赤外線でがんを壊す新治療法)の治験が始まる|米国立保健研究所などでは、近赤外光と新たに開発した薬剤を使ってがんを治療する「がん光免疫療法」についてのニュースを追ってきましたが、いよいよ日本でも治験が3月に始まるというニュースや#島津製作所、「がん光免疫療法」に関する計測技術について米国国立がん研究所と共同研究契約を締結が取り上げられましたので、今後ますます注目ですね。







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