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糖尿病治療の最前線 インクレチンに注目

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Diabetes Detritus

by Alden Chadwick(画像:Creative Commons)

糖尿病治療の最前線 インクレチンに注目

(2009/5/15、MSN産経)

製薬企業などが集う「健康日本21推進フォーラム」はこのほど、関西電力病院院長で日本糖尿病協会理事長の清野裕氏を迎え、「日本人の糖尿病治療最前線~インクレチン~」と題する講演会を都内で行った。

インクレチンは小腸などから分泌されるホルモンで、膵臓に働きかけることでインスリンの分泌を促し、血糖値を下げる。

清野氏は海外でのインクレチンに着目した糖尿病治療薬の最新事情を紹介した。

糖尿病治療において、インクレチンに注目が集まっているそうです。

進歩する糖尿病治療 インスリン分泌を保たせるによれば、インクレチンというホルモンは、血糖値が高いときはインスリン分泌を促進する一方、血糖値が低いときはあまり作用しないという特徴を持つそうです。

インクレチンは炭水化物や脂質を摂取した後に腸から分泌されるホルモンの総称で、代表的なインクレチンとしてGLP-1とGIPの二種類が知られているそうです。

GLP-1は、主に小腸下部から分泌され、膵臓におけるインスリン分泌の促進と血糖値を上げるグルカゴン分泌の抑制をする作用を持っているそうです。

GIPは小腸上部から分泌され、同じような作用を持つが、インスリン分泌作用はGLP-1の方が数倍強いとされているそうです。

ただ、糖尿病、夢の新薬に道筋 「アディポネクチン」研究加速によれば、インクレチン関連薬を使用しても、食生活が欧米化し高カロリーのものが氾濫する中、食事制限を継続するのは難しく、血糖値を良好な数値にコントロールできる人は半数に満たないというのが現状のようです。







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公開日時: 2009年5月18日 @ 04:46

Robot Origami |折り紙からインスピレーションを受けて作られた小さな医療用ロボットが開発

robotorigami

参考画像:Robot Origami: Robot self-folds, walks, and completes tasks スクリーンショット




■Robot Origami |折り紙からインスピレーションを受けて作られた小さな医療用ロボットが開発

体内に薬を届けて消える「折り紙」のようなミニチュア医療ロボット

(2015/6/20、WIRED)

MITの科学者たちが、折り紙のミニチュアのような医療用ロボットを開発した。このロボットは、体内を移動したり、荷物を運ぶだけでは終わらない。役目を果たした後は、人に無害な物質に自らを分解することができるのだ。

折り紙からインスピレーションを受けて作られた小さな医療用ロボットが開発されたそうです。

こちらの動画をご覧ください。

このロボットのすごいところをポイントにまとめてみます。

1.ロボットは人体内部の奥深くに薬品を届けたり、医療行為を行ったりするのに利用できる可能性が期待できる

GOOGLEX、ナノ粒子とウェアラブル端末を用いてがんを早期発見するプロジェクトを発表でも書きましたが、このニュースを見て思い出すのは、以前NHKの子供向けに放送されていた番組「天才てれびくん!」内の「ナノセイバー」です。

救命戦士ナノセイバー ー Wikipedia

22世紀に入り、子供の社会進出が加速する中、医学界において、体内にナノマシンを投入し疾病を防ぐという、革命的な治療法が開発される。同じく医学界において子供医師として活躍していた恵達ナノセイバーは、これらの技術を応用したバーチャルワールドを利用して体内に入りこみ、バーチャルメディカルステーション(以下VMS)に運び込まれる患者の治療を行なってゆく。

ナノセイバーはナノマシンを投入して病気を防ぐというものですが、今回のロボットは、その世界に近づく一歩のようなロボットです。

2.折り紙からインスピレーションを受けて作られていて、シートは熱を加えられると「ロボット」へとその姿を変化させる

折り紙というと日本の伝統的な子供の遊びというイメージがありますが、近年では折り紙の知識から様々なものが作られています。

【関連ニュース】

折り紙の科学で知的な形を作りたい!(前篇)

(2010/7/19、ウェッジ)

人工衛星の太陽電池パネルや車のエアバッグの設計、それ以外にも折りたたみ可能な構造物の設計には“折り”の知識が必要になります。図形の知識を教えるための教育の場面での活用なども含めると、折り紙を対象とした研究というのはけっこうあります。

「Origami」が宇宙へ、折り紙の技法を宇宙パネルに応用する研究が進行中

(2014/8/23、GIGAZINE)

「折り紙」と聞いて多くの人がイメージするものとは少し異なりそうですが、うまく折り込むことで広い表面積を持つ平らな素材をコンパクトな立体に変換できるというのが折り紙の優れている点と言えそうです。

折り紙からヒント 自動で立体化する“トランスフォーマー”ロボットが話題

(2014/8/11、ニュースフィア)

マサチューセッツ工科大(MIT)とハーバード大学の研究チームは8月7日、平面状から自動で組み上がり歩き回る折り紙ロボットを公開した。平らなシートが1分ほどでロボットに組み上がり、秒速5センチほどの速度で方向を変えながら這い回る。

電通大、折り紙型ロボ開発-シート状で自在変形、尺取り虫のように動きコインすくう

(2015/5/25、日刊工業新聞)

電気通信大学の松本光春准教授らは、移動し、モノを運ぶ折り紙型ロボットを開発した。1枚のシートから複雑な3次元構造が作れる。試作したロボットは飛行機の形に折り畳めるほか、尺取り虫のような動きでコインをすくって運ぶ。体を折ることで小型化でき、自在に変形するため、環境に適応した柔軟な能力を持つロボットが実現する可能性がある。

3.移動したり、物を動かすことができる

4.仕事を終えたら、ロボットに自己破壊を命令することで、分解される

■まとめ

このニュースで気になったことは2点。

1.折り紙の知識が様々な開発に医療されていること

2.体内で医療行為の仕事を終えたロボットが自分で分解を出来るようになる可能性ができたこと







【関連記事】

ハプティクスが医学を飛躍的に進歩させる?|「見えないものを感じる」触覚技術により腫瘍を手で感じられるCTスキャンが実現する日も近い!?

MF317: Figure 8.24

by Rosenfeld Media(画像:Creative Commons)




参考画像:WIRED

腫瘍を手で感じられるCTスキャンが実現する日:「見えないものを感じる」触覚ホログラム技術、英ブリストル大学が開発

(2014/12/18、WIRED)

ブリストル大学の研究者チームはこのほど、目に見えない三次元の触覚形状を、「焦点を定めた超音波を使って空中で」作成する方法を発見したと発表した。触覚技術は最近、急速に成長を続けており、近年のビッグビジネスとなっている。

この研究は、12月はじめに『ACM Transactions on Graphics(TOG)』誌に発表されたもので、数千個の微小なスピーカーから音圧波を発生させることによって機能する。

このシステムでは、人の手の位置を精密に追跡できるLeap Motion社製のセンサーを利用して、空中に触覚対象物を作製する位置を正確に特定する。

先日LED信号機の弱点(雪が溶けにくい)を解決するデザインとは?という記事の中で対向する超音波フェーズドアレイを用いた三次元非接触マニピュレーション(YouTube)を紹介しました。

落合陽一さんのチームが開発した超音波を組み合わせることで物体から水滴までを空中浮遊させ、自在に操ることができる技術が開発されているそうです。

今後いろいろな分野でこうした技術を目にする機会が増えていきそうなのですが、今回この記事に注目したのは、外科医が人体の内部を視覚で診察できるようになるかもしれないというところを目指しているということが書かれていたからでした。

Rendering Volumetric Haptic Shapes in Mid-Air using Ultrasound

Haptoclone

【参考リンク】

例えば腫瘍を手で感じられるような、触覚フィードバックのあるCTスキャンをつくれるかもしれない。

人間は見えないものを見えるようにしたことで新しい発見を次々としていっています。

顕微鏡が発明されたことで、医学が進歩したように。

天体望遠鏡が進歩されたことで、宇宙に新しい発見があったように。

そして、次は目に見えないものを感じられるようになるということによって、また次の新しい発見が生み出される可能性が高くなっているのです。

ところで、今回紹介したテクノロジーは「ハプティクス」と呼ばれるものです。

Haptics(ハプティクス)ーWikipedia

ハプティクスhaptics)とは、利用者に振動、動きなどを与えることで皮膚感覚フィードバックを得るテクノロジーである。触覚技術: haptic technology)とも。そのような機械的刺激をコンピュータシミュレーション内で仮想オブジェクトを作る補助として使うことができ、仮想オブジェクトを制御したり、機械などの遠隔制御(テレロボティクス英語版)を強化したりできる。

<中略>

ハプティクスは今後、人間とテクノロジーの様々な領域での相互作用に関わっていくと考えられる。21世紀初頭の現在は、ホログラムや遠隔のオブジェクトとの触覚による相互作用に熟達することが研究の中心であり、それが成功すればゲーム・映画・製造業・医療をはじめとする様々な産業での応用が生まれる。医療業界では仮想手術や遠隔手術が可能になれば、医療の幅が広がる。衣料の小売業界では、インターネット経由で衣服に触ることができれば、インターネット販売の可能性が広がる。ハプティクスが将来発展すれば、従来は現実的でなかった新産業が生まれるかもしれない。

ハプティクスは今の私達にはよくわからない技術ですが、近い将来当たり前のように使われるようになるテクノロジーとなるのではないでしょうか。

触感覚を仮想的に再現できるシステムで医療が進歩する?でも書きましたが、遠隔地医療でどうしても簡単に診察できない人に対して、視覚と聴覚ではどうしても限界が出てきます。

ハプティクスが当たり前になれば、遠隔地での手術に用いられるようになり、医療がますます進歩していくことでしょう。

また、インターネットで伝えることができなかった「触れる」と言う感覚もハプティクスが入ってくれば、ネットショッピングで洋服を買う際に生地の肌触りも確かめられるようになっていきます。

ハプティクスについては今後も情報を追い続けていかないといけませんね。







【関連記事】

P.S.

ブリストル大学の研究チームはUltrahaptics社を立ち上げているそうですが、この「Haptic」と言う言葉を見て以前見た本を思い出しました。

「なぜデザインなのか 原研哉 阿部雅世 対談」で紹介されていたのですが、Haptic(ハプティック)というのは、触覚に関する共通言語のような感じです。

触覚に関する共通言語・感覚があれば、世界中の人に伝わりやすいですよね。

なぜデザインなのか。

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【追記(2015/7/9)】

■仮想力覚提示デバイス「Traxion」

ARの次は『拡張人間』 東大 暦本純一教授の世界

(2015/7/3、Sensors)

「Traxion」は、すごい力で押されたり、引っ張られたりするような「力」を体験できる装置なのだそうです。

他人の「触覚」を伝達することができることによって、医学に活用されるようになるかもしれません。

ロボット手術のメリットと今後どのようなことが課題となるのか?

Fort Belvoir Community Hospital astounds with groundbreaking technology and devotion to patient care

by Army Medicine(画像:Creative Commons)




■ロボット手術のメリットと今後どのようなことが課題となるのか?

「神の手」のかわりにロボット。「外科医」ではなく内科医。変わる外科治療 – 世界をリード! 日本の超・先端医療全ガイド

(2015/3/29、プレジデントオンライン)

ロボット手術の利点は、執刀医の手指の動きを正確になぞるロボットアームと、患部を見渡す2つのカメラにある。一般の内視鏡手術では1つのカメラによる平面の画像で、画面は鏡像(左右逆)になる。ロボット手術では、人間の視覚と同じ正対での3D画像。最大15倍にズームアップすることもできる。

人間の手首以上の稼働域があるアームは、臓器の裏側や狭い隙間にも自在に入り込み、執刀医の動きを3分の1に縮小する機能で微細な毛細血管の縫合にも威力を発揮する。

ロボット手術のメリットをまとめます。

  • 一般の内視鏡手術では、1つのカメラによる平面の画像で、画面は鏡像(左右逆)になるのに対して、ロボット手術では、人間の視覚と同じ正対での3D画像で、最大15倍にズームアップすることが可能。
  • アームは、人間の手首以上の稼働域があるため、臓器の裏側や狭い隙間にも自在に入り込みことができる。

宇山一朗|ロボット手術「ダヴィンチ」の普及拡大に貢献|情熱大陸 9月28日によれば、ダヴィンチによる手術は、胃がん、前立腺がん、がん、食道がん、肝臓がんすい臓がんで行われているようで、今後ますます活用の幅が広がっていきそうです。

内視鏡で実績があるオリンパスと東京大学の佐久間一郎教授らが共同で開発中の「小型マニピュレーター」だ。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクトですでに試作機は完成している。

日本でも手術支援ロボット開発が行われるようです。

「神戸医療イノベーションフォーラム2015 #KMIF」から学ぶ未来の医療・健康のヒントによれば、手術支援ロボットシステムのダヴィンチには触った感触がないという課題があり、それを空気圧駆動で感触を操作者の手に伝える技術が開発されているそうです。

【関連記事】

参考画像:新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)

新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最大化に向けて、個人の健康・医療データを活かす新たなシステムが必要であるとして、患者⾃らが納得して選択できる医療、患者の満足度の⾼い医療、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境の実現が必要とあり、その中でも、ロボット技術を活用した手術システムやがんの低侵襲解析システムによる診断技術のような、患者の負担が小さい治療を実現する医療機器の開発・導⼊の促進が重要となるとあります。

まだまだ開発の余地は残されているので、この分野はますます競争が活発になっていきそうな予感がします。







【関連記事】

この痛みは「ズキズキ」「ジンジン」?オノマトペと病名には一定の関係がある!?

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by Holly Lay(画像:Creative Commons)




■この痛みは「ズキズキ」「ジンジン」?オノマトペと病名には一定の関係がある!?

「オノマトペ」診断の一助に 頭痛や腰痛などの慢性痛

(2015/9/15、産経ニュース)

onomatope

参考画像:産経ニュース

頭痛や腰痛などで病院を受診し、患者が医師に痛みを伝える際、「ガンガン」「ピリピリ」などオノマトペ(擬音語、擬態語)を使うことが多い。そのオノマトペと、実際に診断された病名には、一定の関係があることが患者の実態調査で明らかになった。

どのような痛みかを伝える手段として、「ズキズキ」「ジンジン」といったオノマトペ(擬音語、擬態語)を使うことがありますが、言語学を専門とする竹田晃子・元国立国語研究所特任助教と、痛みの臨床研究で知られる小川節郎・日本大学総合科学研究所教授の研究によれば、このオノマトペと実際診断された病名には一定の関係があることがわかったそうです。

体の痛みも、子音や母音の違いで感覚的に区別して表現しているとされている。

こうした感覚的に区別して表現しているオノマトペを活用できれば、より正確な治療ができるようになるのではないでしょうか。

そして、今回の記事から思い出したのが、保健・医療・福祉方言データベースです。

患者の方言、間違えません 医療や福祉に訳語集作成

(2011/1/6、日本経済新聞)

身体の部位であったり、痛みであったり、というのはその土地・地域の方言で伝えたほうが患者さん自身も伝えやすいはずです。

ただでさえ、感覚的な痛みを伝えるのは難しいのですから、それを標準語に直すとなると、正確に伝えるのはさらに難しくなります。

しかし、今度は受け取り手である治療する側(医師・看護師)がその方言がわからないと意思疎通はできません。

そんなときに必要とされるのが、医療・看護・福祉のための方言データベースです。

これに、オノマトペが追加されると、より意思疎通ができるようになるのではないでしょうか?







【参考リンク】