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■すい臓がんの患者の4割が治療前の時点で「ステージ4」に達している|国立がん研究センター
by Erin Stevenson O’Connor(画像:Creative Commons)
膵臓がん4割、治療前に「末期」…がん拠点病院
(2016/9/26、読売新聞)
公表した12のがんを、進行度を示す「病期(ステージ)」別にみると、膵臓(すいぞう)がん患者の4割が治療前の時点で最も重い「4期」に達していることが分かった。
膵がん患者の4割、転移後に発見 症状現れにくく進行
(2016/9/26、東京新聞)
膵臓がんの患者は発見時に、他の臓器に転移するなどステージが最も進んだ4期だった人が43%だった。一方、0期と1期は計12%だった。
国立がん研究センターが公表した国が指定する「がん診療連携拠点病院」の2014年の診療実績によれば、すい臓がんの患者の4割が治療前の時点で「ステージ4」に達しているそうです。
【がんのステージ分類】
ステージ0 がんが粘膜の中にとどまっている
ステージ1 がんが筋肉の層にとどまっている
ステージ2 がんが筋肉の層を越えている
ステージ3 リンパ節転移している
ステージ4 肝臓・腹膜・肺などの違う臓器に転移
なぜすい臓がんは患者の4割が治療前の時点で「ステージ4」に達しているのでしょうか。
■すい臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!
がん患者の「5年相対生存率」推計62.1%|国立がん研究センターによれば、男性におけるがんの種類ごとの生存率によれば、すい臓がんが最も低い7.9%、女性もすい臓がんが最も低い7.5%となっています。
すい臓がんになった有名人の方も多くいらっしゃいます。
■すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?
すい臓がんはなぜ「最悪のがん」だといわれるのか?|すい臓がんの5年生存率はあらゆるがんの中で最も低い!によれば、すい臓がんが最悪のがんだといわれる理由は3つ。
1.検査で発見しにくい
すい臓の位置が体の奥深く(肝臓や胃などの裏側の隠れた場所)にあるため、検査が難しいそうです。
2.がんが転移しやすい
すい臓がんの多くは「すい管」に発生しますが、そのすい管はリンパ管や血液とつながっているため、転移しやすいそうです。
3.特徴的な自覚症状がない
すい臓がんが早期に発見されにくい理由は、自覚症状がなかなか現れず、また、すい臓がん特有の特徴的な症状がないためです。
すい臓がんの症状として共通しているのが、胃のあたりや背中が重苦しい、お腹の調子がよくない、食欲不振やだるさ、体重の減少などがありますが、いずれもすい臓がん特有の症状ではなく、胃腸の調子が悪い程度のもので見過ごしてしまいがちです。
すい臓がんがある程度進行すると、はっきり黄疸が出たり、腹痛も強くなり、背中や腰に痛みが走り、体重の減少といった症状もみられるようになります。
しかし、小さなすい臓がんでは腹痛や黄疸などの症状も出ないことがあるため、すい臓がんが見つかった時にはすでに手遅れという場合も多いそうです。
■すい臓がんのリスク要因
●タバコ
喫煙者が発症するリスクは、非喫煙者に比べ、男性は1.6倍、女性は1.7倍だ。
がんになっても長生きできる生活習慣|たけしの本当は怖い家庭の医学によれば、すい臓がんのリスクを上げる条件として「喫煙」が挙げられています。
●燻製や加工肉、血糖値の上がりやすい食品を多くとる
また、燻製や加工肉、血糖値の上がりやすい食品を多くとることもリスク上昇につながる。
加工肉を毎日50グラムを摂取すると「がんリスク」18%増|WHOで紹介した世界保健機関(WHO)の専門組織である国際がん研究機関によれば、ハムやソーセージなどの加工肉を食べると、がん発症リスクが高まるという発表をしたそうです。
●肥満
BMI(肥満度を表す体格指数)が30以上になると、標準体重の人に比べ発症リスクが男性で3.5倍、女性は1.6倍に上昇する。
肥満がすい臓がんの危険高めるで紹介したテキサス大の研究グループによれば、米国内での疫学調査の結果、若いころから体格指数(BMI)が25以上の「過体重」だったり、30以上の肥満だったりすると、膵臓がんを発症する危険性が高くなったそうです。
●糖尿病
実はすい臓がん患者の26%は糖尿病患者というデータがある。糖尿病の男性は、すい臓がんの発症リスクが健康な人に比べ2.1倍、女性でも1.5倍高い。
糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いによれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて、すい臓がんになるリスクは1.85倍なのだそうです。
すい臓がんに関しては、すい臓はインスリンを分泌する臓器であり、糖尿病の人がすい臓がんになりやすいとは考えやすいですよね。
すい臓の病気と糖尿病によれば、膵がんができると、糖尿病を発症したり血糖のコントロールが急に悪くなったりすることがあります。
日本膵臓学会の報告によると、膵がんの方の既往歴の中で糖尿病が18%と最も頻度が高いのです。
2センチ以下の比較的小さな膵がんでも糖尿病の悪化が8%の患者さんに認められていますので早期診断のためにも糖尿病への注意が重要です。
最近、糖尿病の症状が出てきたという人、あるいは、かねてからの糖尿病が急に悪くなってきたという人などは、早めにすい臓がんの検査を受けてみることをおすすめします。
→ 糖尿病の症状 について詳しくはこちら
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●膵炎
すい臓がんのほとんどは、すい臓が炎症を起こす「すい炎」が原因で発症する。そして、すい炎は血液中に糖分が増える(糖尿病の現象)ことによって起こる。
すい臓がんを早期発見する鍵は「血糖値」|ためしてガッテン(NHK)によれば、すい臓でインスリンを作るβ細胞が、すい臓がんができると働きが悪くなり、その結果として血糖値が急上昇することがわかってきたのだそうです。
また、脂質異常症(高脂血症)はすい炎の原因となっています。
高脂肪・高カロリー食によって中性脂肪が増えると、すい臓に負担がかかり、すい炎を引き起こす原因になると考えられるからです。
●アルコール
アルコール類は、飲むとすぐ顔が赤くなる人は控えた方がいい。アルコールを分解する酵素を持たない人のすい臓がん発症リスクは、タバコを吸う場合と合わせると、10倍に上昇するからだ。
飲酒は60以上の病気やケガの原因になりうる-WHOによれば、アルコールは消化やホルモン機能を担う膵臓にも影響が出ることがわかっており、男性では急性膵炎の30%、慢性膵炎の65%が飲みすぎが原因で起きるそうです。
■すい臓がんの早期発見につながる研究が進んでいる
現在すい臓がんについては様々な研究が進んでいて、早期発見につながる方法が見つかるのではないかという期待があります。
●すい臓がんと肺がんの悪化に「DKK1」と「CKAP4」と呼ばれるたんぱく質が関与していることを発見|大阪大
Dkk1とCKAP4がすい臓がんと肺がんを診断する際のバイオマーカー(指標)になる可能性があり、また、CKAP4に対する抗体が将来治療に応用できる可能性がでてきたことになるそうです。
今回の発見により、すい臓がんと肺がんの早期発見につながる診断薬や治療薬の開発が期待されます。
●肥満がすい臓がんの危険高める|BMIが25以上の「過体重」や30以上の肥満の場合は、膵臓がんを発症する危険性が高い|テキサス大
テキサス大の研究グループによれば、米国内での疫学調査の結果、若いころから体格指数(BMI)が25以上の「過体重」だったり、30以上の肥満だったりすると、すい臓がんを発症するリスクが高くなるそうです。
●すい臓がんを血液検査で早期発見する方法を開発 RNAに着目|東大
東京大学のチームによれば、すい臓がん患者の血液に特定のRNAが健康な人より多く含まれていることに着目し、膵臓がんを血液検査で見つけ出す技術を開発したそうです。
●検索の質問履歴からすい臓がん早期発見につながる方法|マイクロソフトの研究者ら
米マイクロソフトの研究者(MSヘルス部門CTOで情報検索が専門のライエン・ホワイト博士と、MSの研究所長で人工知能を担当し医師の資格も持つエリック・ホービッツ博士、MSのインターンだったコロンビア大学の博士課程大学院生ジョン・パパリゾス氏の3人)が、病気の症状について検索した過去の検索履歴の質問パターンから、将来膵臓がんの診断を示唆する質問内容の出現を5~15%の割合で特定し、病気を予測することにつながる手法を編み出したそうです。
●すい臓がんを早期発見する方法を開発したのは15歳!?将来的には生存率が100%になる可能性も?
すい臓がんになると検出される8000種類のタンパク質を納めたデータベースの中から、1.がんの初期段階からすべての患者において血中レベルが高くなる、2.がんである場合のみ変化が見られる
というタンパク質を発見し、一種類の特定のタンパク質にだけ反応するという性質をもつ「抗体」の性質を組み合わせるというものです。
●すい臓がんを早期発見する鍵は「血糖値」|ためしてガッテン(NHK)
番組で紹介したすい臓がんの早期発見に役立つその鍵は「血糖値」。
ポイントは、血糖値が理由がないのに急上昇すること。
番組によれば、すい臓でインスリンを作るβ細胞が、すい臓がんができると働きが悪くなり、その結果として血糖値が急上昇することがわかってきたのだそうです。
このことは、がんの初期から現れるということですので、すい臓がんの前兆・初期症状として捉えるといいかもしれません。
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●膵臓がんを早期発見できる検査キットを開発|国立がん研究センター
国立がん研究センター研究所の本田一文ユニット長らは、膵臓がんを早期に検出できる血液中のたんぱく質「アポリポプロテインA2(apoA2)アイソフォーム」を見つけ、検査キットを開発したと発表しました。
■すい臓がんの予防法
●運動
運動習慣がある人はない人に比べ、リスク低下がみられることが明らかになっている。
運動習慣がある人はない人に比べて、すい臓がんのリスクが低下することがわかっているそうです。
糖尿病の予防方法として運動が挙げられるように、すい臓がんの予防としても運動は効果的なようです。
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●青魚(DHA)
マグロやイワシ、サンマなどの青魚をたくさん食べ、魚に含まれているDHA(ドコサヘキサエン酸)という不飽和脂肪酸を多く摂取すると、発症リスクが3割減るという報告がある。
青魚に含まれるDHAを多く摂取すると、すい臓がんの発症リスクが減るそうです。
青魚の脂肪酸が日本人の膵臓がんを減らす?
(2015/11/27、medley)
ω-3多価不飽和脂肪酸の消費量が多いと膵臓がんを発症する危険性が30%下がる
<中略>
海産物に含まれるω-3多価不飽和脂肪酸、またはその中でもDHAの消費量が多い人では、膵臓がんを発症する危険性が低いという結果でした。
オメガ3脂肪酸の中でもDHAの消費量が多い人では、すい臓がんを発症するリスクが低いという結果が出たそうです。
●コーヒー・緑茶
コーヒー(1日3杯未満)や緑茶を飲む習慣も予防効果が期待できるという。
コーヒー・緑茶で死亡リスク減|国立がん研究センターによれば、コーヒーや緑茶を日常的によく飲んでいる人は、そうでない人に比べて死亡するリスクが低いそうです。
コーヒーを飲む量を増やした人は、糖尿病にかかりにくくなる!?によれば、コーヒーを飲む量を増やした人は、同じ量のコーヒーを飲み続けている人よりも成人で発症する糖尿病(2型糖尿病)にかかりにくくなるそうです。
糖尿病を予防することがすい臓がん予防にもつながると考えられるので、コーヒーや緑茶を飲むことが勧められているのではないでしょうか。
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