【目次】
■医療費削減は健康保険料の多くを負担する企業にとっては重要な問題
by Simon Thalmann(画像:Creative Commons)
2015年度の医療費は41.5兆円|高齢化や抗がん剤などの高額な新薬が増えているによれば、高齢化や抗がん剤などの高額な新薬が増えていることによって、2015年度の医療費は昨年度に比べて3.8%増えて、41.5兆円となったそうで、今後も医療費は増えていく予想がされています。
日本では、国が医療費を削減するために、健診の数値が改善した人には健康保険料を安くする仕組みを検討していて、医療費を減らすことは企業だけではなく国の財政を守るためにも重要な問題となっています。
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アメリカでも同様の問題があり、特にアメリカでは雇用主が従業員の健康保険料を負担することが多く、肥満など健康が悪化することによる医療費の増大は問題となっています。
以前紹介したホールフーズ・マーケットを例にあげると、米流通大手ホールフーズ・マーケットでは、医療費の削減のために、従業員へのダイエット支援を行い、ダイエットや健康の改善を行うと報酬が得られるような制度を設けているそうです。
社員割引でダイエット応援|従業員が健康を改善することで企業の医療費の削減につながる|米WHOLE FOODS MARKET(2009/12/9)
同社は従業員を対象とした自社運営の健康保険に2008年で1億5000万ドル(約130億円)を費やしている。今回の計画は医療費の給付節減を狙ったものだ。
<中略>
すでに同社は、肥満や2型糖尿病など危険度の高い健康問題を抱えている従業員に対し、療養所での治療制度を提供している。
具体的な数字は挙げられなかったが、マッケイ氏によると5~10日間の治療で1人当たり数千ドルの経費がかかっているという。
多額の医療費(医療保険料)を企業が負担しているそうで、今回の取り組みにより、従業員が健康を改善してくれることで、企業の医療費の削減するのが目的だということです。
医療費削減は健康保険料の多くを負担する企業にとっては重要な問題になっており、米保険会社はスマホで健康管理する契約者の保険料を優遇するサービスを開発している!?(2015/2/21)では、米国の保険会社はスマホで健康管理する契約者の保険料などを優遇するサービスを開発しているとお伝えしましたが、健康に関するデータをウェアラブルデバイスで集め、それを保険契約に盛り込むというのは、今後いろいろな企業で行われるようになるかもしれません。
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■保険とIoTを融合した健康増進サービスの開発に注目!
実際、日本でも同様の取り組みが行なわれているようです。
健康増進に向けた共同ビジネス展開の開始について~日本における健康増進への取組み~
(2016/2/8、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社ニュースリリース)
●約 3,000 人の社員の健康増進を後押しするために、2016 年 4 月より、フィットビット・ウェルネス※1 を導入し、心拍数計測が可能なフィットビット社製ウェアラブル端末“Charge HR”※2等を配布する取組み。
●健康保険組合との連携のもと、社員の健康情報とフィットビット社製ウェアラブル端末を通じて収集できる活動データをもとに、疾病と活動データの因果関係を分析する取組み。
●お客さまの健康増進を後押しするため、一部の保険契約者さまにフィットビット社製ウェアラブル端末を貸与し、お客さまの同意のもと、革新的な保険商品の開発検討に資する活動データを収集する取組み。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社はFitbitを導入し、健康と運動データとの関係を分析する取り組みを行い、今後の新しい保険商品の開発を検討しているそうです。
■ウェアラブルデバイスをつけて毎日運動する人は生命保険・医療保険の保険料が安くなる!?
202×年 空想保険
また、ライフネット生命が考える、2020年代の近未来の生命保険のサービスを映像にしてみた動画によれば、運動をした特典として保険料の割引が行なわれていたり、病気の治療に密接に関わるようになることを予想しています。
フィットネストラッカーのデータから心房細動は脳卒中によるものと判断され救われたケースがあるによれば、すでにフィットネストラッカーをつけている人の心拍数のベースラインと異常値のデータを参考に病気を判断したケースがありました。
Fitbitのおかげ。世界初、フィットネストラッカーが人命救助
(2016/4/20、ギズモード)
患者の検査の際に、腕に付けるアクティビティトラッカー(Fitbit Charge HR)を着用していることが確認されました。それは患者のスマートフォン上のアプリケーションと同期されており、フィットネス・プログラムの一環として彼の心拍数が記録されていました。このアプリケーションを患者のスマートフォンを通じて閲覧したところ、彼の心拍数のベースラインが毎分70から80回であり、脳卒中が発生した大体の時間において突如、持続して毎分140から160回の幅へと上昇していたことが分かりました。心拍数はジルチアゼムを投与するまで上昇した状態が続きました。
Fitbitのデータのおかげで、心房細動は脳卒中によって引き起こされたものであり、電気的除細動を行って良いことが確認されたということです。
フィットネストラッカー「Fitbit Charge HR」に記録されている心拍数のデータを参考に、医師は心房細動は脳卒中によって引き起こされたと判断し、電気的除細動を行なったそうです。
これまでにもウェアラブルデバイスを付けた人の命が救われたケースがいくつかニュースで取り上げられていますし、大学や企業も積極的に研究を行っています。
今後は、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社のように、ウェアラブルデバイスを配布し、運動量などの生体データを収集し、病気との関係を分析する取り組みにますます注目が集まっていくのではないでしょうか。
例えば、ウェアラブルデバイスから得られるデータにより、運動をする機会が多い人が病気になるリスクが低いということがわかったとするならば、それに対応した新しい保険商品(例:ウェアラブルデバイスをつけて、毎日運動をしている人は保険料が安くなる)の開発が検討されるかもしれません。
これには、ユーザーにもメリットがあり、運動をすることによって保険料が安くなるのであれば、もっと運動する機会を増やすことにもつながるでしょう。
積極的に計画・実行する人はがん・脳卒中・心筋梗塞の死亡リスクが低い|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターによれば、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の行動をとる人は、そうでない人に比べて、がんで死亡するリスクが15%低く、また、脳卒中リスクが15%低く、脳卒中や心筋梗塞などで死亡するリスクが26%低いという結果が出たそうです。
その理由としては、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の人は、がん検診や健康診断を受診するため、病気の早期発見につながり、病気による死亡リスクが低下して可能性があるようです。
また、可能性としては、PHYSIO HEALTH|従業員向けの健康コーチをするモバイルヘルスプラットフォームのような、雇用主の健康保険料に対するコストを減らし、健康奨励プログラムに励む従業員に報酬を与えるシステムを企業と保険会社が組み合わせるということもあるのではないでしょうか。
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そのほかにも、様々な予防医療に取り組んだ人には保険料が安くなるといった保険商品も考えられそうです。
医療費削減は健康保険料の多くを負担する企業にとっては重要な問題になっており、健康に関するデータをウェアラブルデバイスで集め、それを保険契約に盛り込むというような、保険とIT(IoT/ウェアラブルデバイス/AI)を融合した健康増進サービスの開発は今後ますます活発になるのではないでしょうか。
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