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平均寿命・健康寿命の都道府県格差が拡大|医療費、医師数・看護師数・保健師数、生活習慣と明確な関係はなし|#健康格差




【目次】

■平均寿命・健康寿命の都道府県格差が拡大

Tokyo

by Deortiz(画像:Creative Commons)

平均寿命の地域差拡大…医師数・生活習慣、関連見えず

(2017/7/25、読売新聞)

平均寿命や健康寿命の都道府県格差が2015年までの25年間で拡大したという研究結果を、東京大学や米ワシントン大学などの研究チームがまとめた。医療費や医師数は格差拡大と明確な関係はみられなかった。

東京大学やワシントン大学などの研究チームの研究によれば、日本の平均寿命・健康寿命の都道府県格差が25年間で拡大しているという研究結果を発表しました。

Population health and regional variations of disease burden in Japan, 1990–2015: a systematic subnational analysis for the Global Burden of Disease Study 2015

(2017/7/19、The Lancet)

Between 1990 and 2015, a 4·2-year increase in life expectancy at birth was recorded in Japan, rising from 79·0 years (95% UI 79·0–79·0) to 83·2 years (83·1–83·2; appendix pp 26–31)).

1990年から2015年の間に出生時の平均寿命が79.0歳から83.2歳と4.2歳増加しています。

The gap between prefectures with the lowest and highest life expectancies in 1990 was 2·5 years. By 2015, the longevity gap widened to 3·1 years.

1990年の平均寿命が最も低い都道府県の格差は2.5年でしたが、2015年には3.1年とギャップが広がっています。

都道府県別にみると、1990年は最も長い長野県(80.2歳)と最も短い青森県(77.7歳)で2.5年だった差が、2015年は最も長い滋賀県(84.7歳)と最も短い青森県(81.6歳)の間で3.1歳に広がっています。

Healthy life expectancy (HALE) at birth rose from 70·4 years (95% UI 67·8–72·6) in 1990 to 73·9 years (71·3–76·3) in 2015 (appendix pp 26–31).

出生時の健康寿命(HALE)は1990年に70.4年から2015年に73.9年に増加しています。

The gap between prefectures with the lowest and highest HALE in 1990 was 2·3 years. As with life expectancy, this gap in HALE among prefectures increased by 2015 to 2·7 years.

1990年の健康寿命(HALE)が最も低い都道府県の格差は2.3年でしたが、2015年までに2.7年と格差は広がっています。

つまり、平均寿命・健康寿命ともに都道府県格差が広がっていることがわかります。




【補足】平均寿命と健康寿命の推移

平均寿命と健康寿命の推移【男性・女性】|平成28年版厚生白書
平均寿命と健康寿命の推移【男性・女性】|平成28年版厚生白書

参考画像:平均寿命と健康寿命の推移|平成28年版厚生白書|スクリーンショット

平均寿命と健康寿命の推移|平成28年版厚生白書のグラフを見ると、日本の2015年の平均寿命は男性80.79年、女性87.05年であり、2013年の健康寿命(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)は、男性71.19年、女性74.21年と世界でもトップクラスですが、その平均寿命と健康寿命の推移を見てみると、平均寿命と健康寿命との差である、日常生活に制限のある「不健康な期間」で見ると、縮まっていないことがわかります。

■医療費、医師数・看護師数・保健師数、生活習慣と明確な関係はなし

健康格差を解消するためにも、どのような対策を行なう必要があると考えられるのでしょうか?

格差拡大の要因を分析したが、1人当たりの医療費、人口当たりの医師数・看護師数・保健師数、生活習慣と明確な関係はなかった。

 渋谷教授は「健康格差の解消というと、医師や医療費を増やす議論になりがちだが、ただお金や人材を投入しても解決しない。地域の経済力や医療の質など、地域ごとに健康を損なう要因を調べ、対策を考える必要がある」としている。

格差拡大の要因には、1人当たりの医療費、人口当たりの医師数・看護師数・保健師数、生活習慣と明確な関係がなく、東京大学の渋谷健司教授(国際保健政策学)によれば、地域別に原因を調べ、対策を行なう必要があるとコメントしています。

「健康になりたければ病院を減らせ」の因果関係について考えてみた|#AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン|#NHKスペシャルでは、病院数の多さと健康とは関連しないというものが提言されネット上で物議を醸していましたが、今回の研究結果によれば、健康格差を解消するために医師や医療費を単純に増やしても明確な関係はないことから、都道府県別の健康格差を解消するためには個別の要因を調べて、その原因に合わせた対策を行なっていく必要があるようです。

■まとめ

これまで何度か健康格差について取り上げてきて、社会的・経済的格差をなくしていくことが健康格差をなくすために重要だと思っていました。

しかし、収入に関係なく高学歴ほど病気リスクが低い|なぜ高学歴ほど循環器疾患(心筋梗塞や脳卒中)の発症リスクが下がるのか、仮説を考えてみたで紹介したミネソタ大学の久保田康彦・客員研究員(公衆衛生学)が行なった分析によれば、収入に関係なく、高学歴ほど心筋梗塞脳卒中になるリスクが低いということがわかったということもあり、健康格差にはもしかすると、収入は関係ないかもしれない可能性があると考えるようになりました。

そして、今回の結果では、格差拡大の要因に、医療費、医師数・看護師数・保健師数、生活習慣と明確な関係がないことから、この点も健康格差をなくす要因ではないかもしれないという可能性が出てきました。

つまり、「〇〇を××すれば健康格差がなくなる」というような全てに当てはまる答えがあるわけではなく、都道府県別の原因を調べて、その原因に合わせた対策を実行していくことが重要だということです。

※今回の項目にはないものの、何か共通する答えがある可能性もあります。

そして、この考え方を個人に当てはめていくならば、【未来予測】遺伝子検査+健康・医学関連情報を詳しく書き込んだ家系図を作る方法で自分自身の健康を守るで紹介したように、遺伝子情報や家族歴を調べ、家族の中では健康的だと思われる生活習慣を選択していく方がよいという方向へ進んでいくかもしれません。







【青森県 関連記事】
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#健康の自己責任論 について考えてみた!










#健康格差 とは|所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなる!?




■健康格差とは|所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなる!?

Un piccolo passo... / One small step...

by Aldo Cavini Benedetti(画像:Creative Commons)

「成り上がり」は死亡率が高い?

(2009/8/11、プレジデント)

健康格差とは、所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなるといわれている格差のことである。

健康格差の研究は1980年代から始まり、WHO(世界保健機関)によって健康格差の要因についてまとめたレポートもあるほど、すでに欧米では深刻な格差の一つとして受け止められている。

「健康格差」が欧米で拡大しているそうです。

以前ニュースで、アメリカでは、経済的に貧しい州ほど肥満率が高いという記事を見たことがあります。

【関連記事】

WHOでも、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということが一つの問題として注目されてるようです。

そして、この健康格差というものは、子供のころから蓄積され、それが大人になっても影響するそうです。

たとえば、大人になって経済的に成功したとしても子どものころに貧しければ、大人の死亡率が高いそうです。

その原因は所得による健康行動や医療機関の受診の差だと思われがちだが、実態はもっと複雑だ。

日本福祉大学教授の近藤克則氏は「生まれてから現在に至る過程で蓄積されるもの」と指摘する。

一例を挙げよう。ある調査によると、経済的に貧しいほど死亡率が高いが、それは現時点で経済的に厳しいことだけが問題なのではない。

現時点では同じ経済レベルでも、子供時代に貧しい家庭で育った人、いわば「成り上がった人」は、大人になってからの死亡率が高い。

日本と欧米との大きな違いは、日本は国民皆保険制度を採用しているため、欧米ほど健康格差はないといえるでしょう。

しかし、将来的には、健康格差は日本でも問題となるかもしれません。

日本は皆保険制度を採用しているため、まだ健康格差はあまり顕在化していない。

しかし、低所得者の場合、家計に占める医療費の比率が高くなり、医療サービスを受けにくくなりがちとなるうえ、国民健康保険料の納入が滞っている人も増えているという現状があり、すでに格差の芽が出始めている。

日本でも今から健康格差に対する問題について取り組んでいく必要があるかもしれませんね。







【関連記事】
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ネットカフェ寝泊まり利用、「住居なし」25.8%!|ネットワーク格差の視点から考える

Tokyo skyline

by tetedelart1855(画像:Creative Commons)




■ネットカフェに寝泊まりしている人で「住居なし」25.8%!|ネットワーク格差の視点から考える

「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」の結果|PDF

(2018/1/26、東京都)

東京都が平成28年11月~平成29年1月に、インターネットカフェ・漫画喫茶・サウナ等502店舗を対象に行なった調査によれば、ネットカフェに寝泊まりしている人の75%は、旅行・出張中の宿泊であったり、遊び・仕事で遅くなったり、PC・漫画等の利用をするといった「住居がない」という理由でオールナイトを利用しているわけではないのですが、オールナイト利用の理由が、「現在『住居』がなく、寝泊りするために利用」である者(=住居喪失者)は、25.8%であることがわかったそうです。

また、「住居がない」を利用の理由とする人のうち、「不安定就労者」(「派遣労働者」+「契約社員」+「パート・アルバイト」)は75.8%であることもわかりました。

住居喪失者等(の年齢は、「30~39歳」(38.6%)が最も多かったそうです。

住居を確保するに当たっての問題点では、「入居に必要な初期費用の貯蓄」(62.8%)が最も多く、「住居入居後に家賃を払い続けられる安定収入がない」(33.3%)、「入居に必要な保証人の確保の難しさ」(30.9%)が挙げられています。

1か月の収入状況は、「11~15万円」(46.8%)が最も多く、「収入なし」が10.7%存在していることがわかりました。

以前の調査結果との比較をしていないため、これが多くなっているのかどうかはわかりませんが、現実としてネットカフェ利用者のうち、4人に1人が住居がなく、そのうち4人に3人が「派遣労働者・契約社員・パート・アルバイト」であり、約5割の人の1か月の収入が「11~15万円」であり、住居を確保できない理由としては、約6割の人が貯蓄ができないからを理由に挙げています。

■ネットワーク格差の視点から考える

このブログでは、主に健康について取り上げてきたのですが、知らず知らずのうちに、健康(健康的なライフスタイル)と所得(収入)の関係に関連があるのではないかと感じ、それから健康格差の問題、貧困の現状について度々取り上げるようになりました。

そこで、最近注目している考え方が「ネットワーク格差」です。

最近では「健康格差」「教育格差」「収入格差」についての問題が話題になっており、この問題を解決するためにも、お金を支給したり、職業訓練などのリカレント教育に取り組むという話題が出ていますが、大事なのは「ネットワーク格差」の問題にあるのかもしれません。

ネットワーク格差が機会の格差、健康格差、収入格差を生む!?|貧困や社会の不平等を減らすには、いかにネットワークにつないでいくかが重要!で紹介した「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著:ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)では次のように書かれています。

つながり 社会的ネットワークの驚くべき力

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マサチューセッツ州フレーミングハム出身の12万67人からサンプル集団を作り、その内の1020人を人間関係のつながりと本人の幸福度を比較した。

第1に、ネットワーク内では幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作っていた。

第2に、不幸な人はネットワークの周縁に位置するようだ。つまり、社会関係の連鎖の末端、ネットワークの外れに存在する傾向が高いのである。

人間関係と本人の幸福度の比較によれば、1.幸福な人は幸福な人同士で、不幸な人は不幸な人同士で群れを作る、2.不幸な人はネットワークの端っこに位置することが高いということがわかったそうです。

ネットワーク格差が機会の格差を生み、拡大する。実際、つながりの多い人が同様につながりの多い人とつながる傾向が社会的ネットワークの特徴であり、神経、代謝、機械、人間以外のネットワークなどと異なる点だ。
つながりの乏しい人達は、その友人や家族も大きなネットワークから切り離されていることが多い。
つまり、社会の不平等に立ち向かうには、肌の色や懐具合よりもつながりが重要であると認識しなければならない。
教育、健康、収入の格差に立ち向かうには、援助しようとする人の個人的つながりにも向き合わなければならない。※
貧困を減らすには、金銭の支給だけでは足りないし、職業訓練を加えてもなお不十分だ。困窮者が社会の他の構成員と新たな関係を築くのを助けるべきなのだ。ネットワークの周縁に的を絞って人々のつながりの再構築を促すのは、末端の恵まれない人たちだけでなく、社会の仕組み全体に手を差し伸べることになる。

ネットカフェに寝泊まりしている人で「住居なし」と答えた人は、つながりの乏しい人ではないでしょうか。

「豊かなものはますます豊かに」という言葉を聞いたことはないでしょうか?

クレディスイス「わずか4%が、ビットコインの97%を所有」についてネットワークの性質の視点から考えてみたでは、ネットワークの性質上、すでに多くのリンクを持つノードほど選ばれやすい、つまり、良質な情報源と多くつながっている人ほどネットワークを広げやすく、社会的ネットワークにおける、状況的不平等(一部の人は社会経済的によりよい状況にある)と位置的不平等(一部の人はネットワーク上でよりよい位置を占めている)によって、「豊かなものはますます豊かに」になるのです。

能力が同じであったとしても、つながりが乏しい人はネットワークから切り離されているため、機会の格差を生んでしまい、収入格差を生んでしまうのではないでしょうか。

日本のフィンテックは「貧テック」!?日本はフィンテックの前にITや金融の活用度を上げていく必要がある!|#FINTECHでは、多くの人が金融の仕組みからはじき出されているということではないかと取り上げました。

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貧しい地域の人たちにとって、銀行口座を持つための最低残高や、決済の最低支払い額、システム手数料といった壁はあまりに高すぎる。金融機関のインフラにコストがかかりすぎるせいで、貧しい人たちのささやかな経済活動は犠牲になっているのだ。p66

日本のフィンテックは「貧テック」だと揶揄する(読み方「やゆ」意味:からかう)人もいます。

ただそういう人は現状で苦しんでいる人のことが見えていないのかもしれません。

例えば、給与前払いサービスとは?|給料前借りアプリが注目のきっかけ!?人手不足で悩む2018年以降は給与前払いサービスが求人に応募するポイントになる?

で紹介した大手求人サイトの検索キーワードによれば、常に日本全国で「日払い 」「週払い」がベスト10にランクインするほどなのだそうで、求職者にとっては、「前払い」「日払い」「週払い」ということは重要な求人募集の要素となっているそうです。

奨学金による貧困問題|大学生の仕送りは減少傾向、アルバイトの就労率・収入金額の増加、返済に対する不安もによれば、仕送り10万円以上をもらっている学生は減少傾向にあり、アルバイトの就労率・収入金額ともに増加傾向にあり、アルバイトを増やすことで暮らし向きを良くしようとしているのがわかります。

他にも検索すればたくさん出てきます。(下記の関連記事を参照していただければ幸いです)

「インクルージョン」という考え方を知れば、あなたの周りの世界はやさしくなる!?で紹介した「インクルージョン(Inclusion)」には、包含・含有・包括性・包摂・受け入れるといった意味を持ち、誰も排除せず、様々な人を受け入れるという考え方があります。

自らが望まずに「住居なし」という立場に陥っている人は、「ネットワーク格差」が機会の格差、健康の格差、収入の格差を生むのであるならば、いかにネットワークにつながっていくかを考えていく必要があるということではないでしょうか?







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