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複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT【論文・エビデンス】




■複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT

複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT
複数の薬剤をコントロールして放出できるスマート包帯を開発|ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MIT

参考画像:Smart Bandage|YouTubeスクリーンショット

ネブラスカ大学リンカーン校のプレスリリースによれば、ネブラスカ大学リンカーン校、ハーバード大学医学部、MITの研究者らは、感染を防止するための抗生物質や組織再生増殖因子、鎮痛剤などの複数の薬剤を収容し、放出できるスマート包帯を設計しました。

Smart Bandage

「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学で取り上げた「複数の薬を異なる速度で自在に放出できる」というアイデアに導電性繊維を加えた、面白い包帯ですよね。

また、この包帯にはグルコースやpHといった他の健康関連指標を測定することができる糸ベースのセンサーを組み込むことで、自律的に治療を行う包帯を目指しているそうです。

【肌の上のラボ】汗を分析するデバイスで病気診断|ノースウエスタン大学では、Glucose(ブドウ糖)、pH(酸性・アルカリ性の度合い)、Lactate(乳酸)、Chloride(塩化物イオン)を分析し、水を飲むタイミングや電解質を補給するタイミングを知らせることができるデバイスの開発というニュースを紹介しましたが、この機能を包帯に組み込もうとしているようですね。




■まとめ

最近では、ファッションアイテムにセンサーを織り込む技術が開発されています。

●ソックスの生地に温度センサーを織り込む

siren care
siren care

参考画像:[500 STARTUPS DEMO DAY 2016] BATCH 18, Siren Care|スクリーンショット

SIREN CARE|糖尿病患者の足の炎症や傷害を温度センサーでリアルタイムに見つけるスマートソックスでは、温度センサーをソックスに織り込み、糖尿病患者が炎症や傷害をリアルタイムで検出するスマートソックス(靴下)を紹介しました。

●Project Jacquard|伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに織り込むプロジェクト

Project Jacquard: Making the Jacket

グーグル・Project Jacquardの「衣服ハック」

(2016/1/13、wired)

プーピレフのアイデアの正式名称は「Project Jacquard」(プロジェクト・ジャカード。その名称は伝統的な機械織りの技法にちなんでいる)。その目標は、伝導性繊維を地球上のすべての衣類と布に織り込んで、タッチセンサーや触覚フィードバックなどの機能を、ジーンズからクルマのシート、カーテンに至るまで、あらゆるものに搭載することだ。

「センサーを素材として生地に織り込むことができれば」とプーピレフは言う。「それはエレクトロニクスからの解放を意味する。身の回りにあるベーシックな素材をインタラクティヴにできるのだ」

グーグルの先進技術プロジェクト部門、ATAP(Advanced Technology and Projects)が取り組んでいるのが「Project Jacquard」という伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに搭載できるような技術の開発です。

伝導性繊維をあらゆるファッションアイテムに搭載できるようになるとどうなるでしょうか?

プーピレフはそれが意味することを想像し始める。着替えていることを電話が認識し、蝶ネクタイを結ぶと同時にUberでクルマを呼んでくれたらどうだろう? ランニングシューズを履くと同時に、自動的に運動記録が開始するとしたら? あるいは服の袖を一度軽くスワイプしただけで通話ができ、相手の声も聞こえるとしたら?

いま私たちが使っているスマホやウェアラブルデバイスの操作を服に触れるだけでできるようになるのです。

しかし、伝導性繊維を開発しても問題になるのは、現実の製造工程に組み込めるのかどうかです。

製造の現場に飛び込んだイヴァン・プーピレフはその製造工程の過酷さ(伝導性繊維にとっての)を目の当たりにします。

「飛び出た余分な糸の繊維を除去するために、直火にかけるなどというプロセスすらあった」と彼は言い、その荒々しさに首を振る。「そんなことが行われているとは知らなかったが、それはほんの一例に過ぎない。伸ばして水に漬け、ホットプレスにかけ圧縮する。布の種類によっては金属の爪で引き裂くことすらある。電子部品(を組み込む)とすれば、致命的だ」

製造工程では火にかけたり、水につけたり、圧縮したりするなど電子部品を組み込んだ電導性素材にとっては様々な課題が見つかりましたが、編み込みの技術や製造工程に取り入れる方法について解決していったそうです。

プーピレフは、服の袖を全面液晶ディスプレー化するという自分の夢を笑いつつ、それを本当に実現するのに関心をもつ誰かと協力することの重要性を熱っぽく語った。

脈拍数や血液中の酸素濃度などを表示し、肌に貼れる有機ELディスプレイを開発|東大で紹介した東京大学の染谷隆夫教授らの研究グループは、センサーで検知した脈拍数や血液中の酸素濃度を表示できる、肌にフィットして貼っていることに気付かないほど違和感なく装着できる有機ELディスプレイを開発したそうですので、服の袖を全面液晶ディスプレイ化するのもそう遠くない未来かもしれません。

●電導性のあるインクを使って生地を電子回路化

独自に開発した電導性のあるインクを使い、生地をワイヤレスな電子回路化するブランド「Loomia」

(2016/10/26、DiFa)

生地に特殊なインクでプリントされた電子回路は、もとのサイズから約2倍も引き伸ばすことが可能。柔軟性と伸縮性をもったスマートファブリックは、テクノロジーを使ったファッションデザインの可能性を大きく広げることになりそうです。

Loomia(ルーミア)」は、電子回路を布地に織り込むのではなく、電導性のあるインクを使って生地を電子回路化しています。

電子回路を布地に織り込む技術なのか、インクを使って布地を電子回路化するのか、それとも全く違った発想のものが出てくるのか、楽しみですね。

ファッション×テクノロジーは面白い研究が多く、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材があったり、バイオロジーを活用したトレーニングスーツ・ランニングシューズなどの研究が進んでいます。

●着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材がある

着るだけで心拍数を測れる新素材 NTT・東レが開発によれば、NTTと東レは、心電計や脈拍計の電極の代わりに使える衣料用の新素材を共同開発していますし、心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材「HITOE」を使ったウェア「C3FIT IN-PULSE」を活用して不整脈の臨床研究|東大病院・ドコモによれば、潜在的な不整脈検知が有効であるかを検証することを目的として、着用するだけで心拍・心電位などの生体情報を取得できる機能素材「hitoe」を活用したウェア「C3fit IN-pulse(シースリーフィットインパルス)」を活用し、長時間にわたる心拍と心電位計測を行う研究も行なうそうです。

【関連記事】

今回のスマート包帯のように、傷口を守りながら、皮膚の状態をモニタリングして、自律的にセンサーが判断して、複数の薬剤をベストなタイミングで放出できるようになれば、治療の効果が飛躍的に高まることが期待されます。







【参考リンク】
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糖尿病患者に朗報!?グラフェンを使った血糖値測定と薬の投与を行なう一体型アームバンド

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■糖尿病患者に朗報!?グラフェンを使った血糖値測定と薬の投与を行なう一体型アームバンド

Graphene_patches

参考画像:Graphene patches: to treat diabetes, goodbye to needles.|YouTubeスクリーンショット

これですか? これ血糖値を計って自動で薬を注射してくれるウェアラブルですけどなにか

(2016/4/14、ギズモード)

中央にキラリと光る金とグラフェン製の回路は、水素イオン指数(pH)、温度、そして血糖値を計ってくれる優れもの。しかも必要に応じて薬を注射までしてくれます。

韓国の基礎科学研究院の研究者たちが糖尿病患者のためにデザインしたそうで、デバイスはユーザーの汗をモニターするとのこと。

韓国の基礎科学研究院の研究者たちが糖尿病患者のためにデザインしたのは、ユーザーの汗をモニターして、血糖値を測定し、血糖値が下がってきている場合には、極小の針で薬を注射するという血糖値の測定と薬の投与の一体型デバイスです。

以前、生体工学で健康管理|緑内障を調べるスマ―ト・コンタクトレンズという記事で、定期的にインシュリンを注射しなければならない糖尿病患者の皮膚に超薄型で伸縮自在の電子装置を貼り付け、自動的に注射できるような仕組みというアイデアを考えてみましたが、そのアイデアに近いものが現実化しました。

糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、治療に伴う経済的な負担や治療継続へのストレスから治療を続けていくことができないようですが、インスリン治療を手軽で、こうしたウェアラブルデバイスによって、糖尿病治療が変わるかもしれません。

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら

→ 血糖値とは|血糖値を下げる食品・正常値・空腹時血糖値・食後血糖値 について詳しくはこちら







【関連記事】
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世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」 米国FDA承認|大塚製薬・プロテウス




■世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」 米国FDA承認|大塚製薬・プロテウス

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by tr0tt3r(画像:Creative Commons)

世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」 米国承認

(2017/11/14、大塚製薬プレスリリース)

「エビリファイ マイサイト」は、エビリファイの錠剤に摂取可能な極小センサーを組み込んだもので、同剤の適応である成人の統合失調症、双極性Ⅰ型障害の躁病および混合型症状の急性期、大うつ病性障害の補助療法において使用されます。この錠剤を服用するとセンサーが胃内でシグナルを発し、患者さんの身体に貼り付けたシグナル検出器「マイサイト パッチ」がそれを検出します。この検出器は、患者さんの服薬データだけでなく、活動状況などのデータを記録し専用の「マイサイト アプリ」に送信します。アプリには、睡眠や気分などを患者さんが入力することもできます。これらのデータはスマートフォンなどのモバイル端末に転送され、患者さんの同意があれば医療従事者や介護者との情報共有も可能になります。

大塚製薬とプロテウス・デジタル・ヘルスは、世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite® )」の承認を米国FDAから取得したそうです。




■背景

大塚製薬とプロテウス社が開発したデジタルメディスン(服薬測定ツール)の新薬承認申請を米国FDAが受理

(2015/9/11、大塚製薬プレスリリース)

慢性疾患を患った患者さんのうち、およそ50%が処方通りに服用していないと言われており、そのため処方された薬の効果が十分得られていないと考えられます。米国においては、服薬不良による影響によって直接的、間接的なコストが1,000億ドルから3,000億ドルも余計にかかっていると推定されています*1,*2。例えば、統合失調症など精神疾患の患者さんは、慢性的な疾患のため長期間の服薬が必要となりますが、実際には薬剤を飲まなくなる、あるいは飲み忘れるなど、服薬が規則正しくできない状態になりがちです。薬を定期的に飲まなくなると再発するリスクが増大します*3,*4。

薬の飲み忘れや処方された薬の効果が得られないといった問題について以前も取り上げています。

例えば、緑内障 患者判断で治療中断18.7%によれば、「大した症状がない」、「継続受診が面倒」、「治療効果が実感できない」など病気自体への理解度が低いことや治療効果についての理解が低いという理由で、患者判断で緑内障の点眼治療を中断してしまっているそうです。

糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。

高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法で紹介した日本薬剤師会が2007年に薬剤師がケアを続ける在宅患者812人の残薬を調査したところ、患者の4割超に「飲み残し」「飲み忘れ」があり、金額ベースでは処方された薬全体の24%にあたり、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になったそうです。

なぜ高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きるのか?によれば、次のような理由で高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きています。

  • 高齢者になると複数の病気にかかることが多い
  • 複数の医療機関・複数の薬局にかかる
  • 薬剤師は「お薬手帳」で患者がどんな薬を飲んでいるか把握するが、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばない
  • 医療機関に問い合わせてもすぐに返事がもらえず、患者を待たせないため、処方箋通りに薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い
  • 薬の情報が、医師や薬剤師間で共有されていない

処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。

大塚製薬とプロテウス社が開発したデジタルメディスン(服薬測定ツール)の新薬承認申請を米国FDAが受理

(2015/9/11、大塚製薬プレスリリース)

デジタルメディスンは、エビリファイの錠剤に小型のシリコンチップ製の極小センサーが入ったもので、この錠剤を服用するとセンサーがシグナルを発し、患者さんの体表面に貼り付けたパッチ型の小型検出器でシグナルを検出します。 体に貼付するパッチ型の検出器は、患者さんが何時に薬を飲んだかなどの服薬データだけでなく、活動量(歩数)など様々なデータを検出することが可能です。集めたデータはスマートフォンやタブレット端末などに転送され、患者さんの同意のもと医師や看護師などの医療従事者に情報提供が可能です。この情報を元に、医療従事者や介護者が患者さんにより適した治療法を選定し、その結果として患者さんの服薬アドヒアランスを向上させることが期待できます。

今回紹介した「デジタルメディスン」は錠剤に胃液に接するとシグナルを発すセンサーを組み込み、患者さんの体に張り付けたシグナル検出器で服薬の日時や活動量などのデータを記録します。

そのデータをもとに、患者さん自身がアプリで服薬状況や活動量を確認したり、医師や看護師などの医療従事者と情報共有することにより、アドヒアランス(患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること)を向上し、治療効果を高めることが期待されます。

【参考リンク】

■まとめ

今回取り上げた「デジタルメディスン」のポイントは薬の飲み忘れによって生じる治療効果が下がってしまうという問題をテクノロジー(今回の場合はセンサー)で解決しようというものです。

ほかにも様々なアプローチがとられています。

●IoTを活用した服薬忘れ防止システム

その問題を解決する方法の一つとして注目されているのが、いま注目のIoT(モノのインターネット)を利用して、アプリや薬剤ケース・ボトルを連動させて薬を飲むタイミングを通知する飲み忘れ防止システムです。

【関連記事】

●PillPackのアイデア

PillPackは人の習慣を活用して薬の飲み忘れを防ぐリマインダーアプリを開発中によれば、患者の中には、積極的に治療方針の決定に参加し、治療を受ける人がいる一方で、そうではない人がいて、薬にお金を使いたくないという人や薬が効くと信じていないという人、また、物忘れではなくて習慣が影響している場合もあるそうです。

人の習慣を利用して「ちゃんと薬を飲む」ようにしてくれるアプリ

(2015/8/8、WIRED)

パーカーはもともとアドヒアランスをある程度理解していた。薬剤師である父親が、処方箋を患者にわたすのを少年時代に見ていたからである。薬を飲み忘れる理由は単なる物忘れだけでなく、習慣も関係する。

「薬を受け取る余裕がない、薬にお金を使いたくない、さらに、あるいは薬が効くと信じていないという人もいる」と、アーカンソー大学薬学部の准教授セス・ヘルデンブランドは言う。これは意図的な「ノンアドヒアランス(nonadherence、患者が治療に対して積極的でないこと)」と呼ばれる。

このアプリは、意図的でないノンアドヒアランスの人を対象に設計されている。「アプリを使うために多くの入力を患者に強いることで、アドヒアランスを更に高める必要はない」とヘルデンブランドは言う。

パーカーはコンテクスト・アウェアネスをアプリでより実現し、より直感的なものにしている。

Pillpackでは、薬局や保険給付のデータを集めて、誰にどのような処方箋が出ているかがわかる「データベース」をつくることで、基本情報を入力すれば、患者の処方箋を自動で設定できるようになっているそうです。

こうした仕組みをバックグラウンドで動かすことによって、アプリユーザーの入力の手間を省き、薬の飲み忘れを防ぐためのお知らせをするシンプルなシステムになっています。

また、コンピュータが状況や変化を認識!『コンテキスト・アウェア・コンピューティング』|コベルコシステムによれば、

今までのように、個人が必要な情報を検索したり、スケジュールを確認したりするのではなく、過去の行動履歴、現在の時刻・スケジュール・位置情報などに基づいて、次の行動に必要な情報がシステムの側から積極的に提供されます。

ということで、Pillpackでは、ユーザーの位置情報に基づいてアラートを設定できるそうです。

つまり、習慣の強力な力を活用して、薬の飲み忘れを防ごうというアイデアですね。

●自動的に薬を投与するインプラント

生体工学で健康管理|緑内障を調べるスマ―ト・コンタクトレンズという記事で、このブログでは、定期的にインシュリンを注射しなければならない糖尿病患者の皮膚に超薄型で伸縮自在の電子装置を貼り付け、自動的に注射できるような仕組みというアイデアを考えてみました。

妊娠をコントロールする避妊チップの開発に成功ービル・ゲイツ財団出資の企業によれば、海外では腕の内側などにホルモン剤を含んだ細長いプラスチック製の容器を埋め込む「避妊インプラント」が広く普及しているそうで、将来的には、糖尿病治療も同様の方法をとっていくことが予想されます。

糖尿病治療用「スマート・インスリンパッチ」が開発される(2015/6/24)によれば、米ノースカロライナ大学とノースカロライナ州立大学の研究チームは、血糖値の上昇を検知し、糖尿病患者に適量のインスリンを自動的に投与できるパッチ状の治療器具を開発したそうです。

糖尿病患者に朗報!?グラフェンを使った血糖値測定と薬の投与を行なう一体型アームバンドによれば、韓国の基礎科学研究院の研究者たちは、ユーザーの汗をモニターして、血糖値を測定し、血糖値が下がってきている場合には、極小の針で薬を注射するという血糖値の測定と薬の投与の一体型デバイスを糖尿病患者のためにデザインを行なったそうです。

「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学によれば、東京農工大学大学院の村上義彦准教授の研究グループは、体内に薬を運ぶための入れ物である「薬物キャリア」として利用されている構造体(ミセル)に着目し、「物質の放出を制御できる機能」をゲルの内部に固定化するという新しい材料設計アプローチによって、「複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲル」の開発に成功しました。

「複数の薬を異なる速度で自在に放出できる」というアイデアが実現することになれば、「残薬(飲み残しの薬)が減ることによって医療費削減」「認知症などの人が飲み忘れることがなくなる」「治療継続の負担がなくなる」といったことが期待されます。

【関連記事】

今回取り上げたように、現状の方法では治療を継続していくのは難しいということがわかっているのですから、継続しやすい新しい治療方法を考える必要があるのは間違いなく、すでに世界的にも自動で数値を検知して、適量の薬を投与するという方向に進んでおり、今後はこうした研究がどんどん出てくるのではないでしょうか。

【関連記事】

もう一つ気になる点があります。

それは、本当にその薬に効果があるかという問題です。

ゲノム解析が一般的なものになった時、AIが過去の文献や医学論文、データベースを探索するようになる!?では、抗がん剤は高価で、かつ副作用の生じることから、薬が効かない患者に副作用のリスクを負わせ、高額な医療を施す必要があるのかという問題があり、ゲノム情報を活用して、どの薬が効果を発揮できるのか、ということを事前に調べて投与する「プレシジョン・メディシン(Precision Medicine)」に注目が集まっているという話題を取り上げました。

薬の飲み忘れ問題も大事ですが、そもそもその薬の効果があるかどうかがわからない場合もあり、今後は、遺伝子を調べて、その薬で対応できるのかを判断してから投与するということが常識となっていくのではないでしょうか?







【参考リンク】
続きを読む 世界初のデジタルメディスン「エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」 米国FDA承認|大塚製薬・プロテウス

「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学




■「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学

複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲル|物質の放出速度を制御する原理
複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲル|物質の放出速度を制御する原理

参考画像:「複数の薬を異なる速度で放出できるゲル」の開発に成功~ 「より効率的ながん治療」や「薬の飲み忘れがない在宅医療」の実現へ ~(2017/3/8、東京農工大学プレスリリース)|スクリーンショット

「複数の薬を異なる速度で放出できるゲル」の開発に成功~ 「より効率的ながん治療」や「薬の飲み忘れがない在宅医療」の実現へ ~

(2017/3/8、東京農工大学プレスリリース)

本研究グループでは、「『物質の放出速度が異なるミセル』をゲルの内部に固定化する」という材料設計での独自のアイデアによって、「複数の物質の放出挙動を自在に制御できるゲル」の開発に成功しました(図 1)。

東京農工大学大学院の村上義彦准教授の研究グループは、体内に薬を運ぶための入れ物である「薬物キャリア」として利用されている構造体(ミセル)に着目し、「物質の放出を制御できる機能」をゲルの内部に固定化するという新しい材料設計アプローチによって、「複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲル」の開発に成功しました。

■【背景】飲み忘れ問題

薬の飲み忘れには、解決しなければならない問題がいくつも隠されています。

●残薬(飲み残しの薬)

がんを薬で治療する際には、一種類の抗がん剤のみを投与することは少なく、複数の抗がん剤や補助薬を併用することで薬効の増大や副作用の軽減が図られています。このような「多剤併用療法」においては、使用する薬物の種類が増えるほど薬物の投与スケジュールが複雑になるという問題点があります。

高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法によれば、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になるそうです。

また、薬の飲み忘れ問題を解決する前に根本的に解決しないといけない問題もあります。

それは、「高齢者の薬のもらい過ぎ問題」です。

なぜ高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きるのか?によれば、次のような理由で高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きています。

  • 高齢者になると複数の病気にかかることが多い
  • 複数の医療機関・複数の薬局にかかる
  • 薬剤師は「お薬手帳」で患者がどんな薬を飲んでいるか把握するが、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばない
  • 医療機関に問い合わせてもすぐに返事がもらえず、患者を待たせないため、処方箋通りに薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い
  • 薬の情報が、医師や薬剤師間で共有されていない

個人と服薬情報をかかりつけ医・かかりつけ薬剤師が見れるようにすることができれば、高齢者の薬のもらい過ぎ問題の解決につながり、服薬忘れの防止につながると考えられます。

【関連記事】

●認知症などの人が飲み忘れてしまう

認知機能が低下すると、たくさんの薬が出ると、飲まない、飲めないことが起こりますが、この点を自力で解決する手段がありません。

→ 認知症の人への薬の提供方法の問題について考える|認知機能が低下すると、たくさんの薬が出ると、飲まない、飲めないことが起こる について詳しくはこちら

●治療の継続ができない

脳梗塞患者向けの薬の飲み忘れを知らせる「IoTピルケース」と専用アプリの開発へ|大塚製薬・NECによれば、脳梗塞の患者の場合、薬をうっかり飲み忘れたり、自己判断で止めたりすると、服薬率が半年で約5割まで下がる――という研究結果があり、服薬の継続が課題になっているそうです。

糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。

【関連記事】

どんなに治療が大事だと認識していても、何らかの理由で治療が継続できないことがあることで、処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。




■飲み忘れ問題を解決するアプローチ

●IoTを活用した飲み忘れ防止システム

その問題を解決する方法の一つとして注目されているのが、いま注目のIoT(モノのインターネット)を利用して、アプリや薬剤ケース・ボトルを連動させて薬を飲むタイミングを通知する飲み忘れ防止システムです。

【関連記事】

以前高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法では、さらに発展させて、服薬を一定期間忘れると、薬を処方・提供した薬剤師(薬局・病院)から一度連絡をするようにすると良いのではないかと提案しましたが、脳梗塞患者向けの薬の飲み忘れを知らせる「IoTピルケース」と専用アプリの開発へ|大塚製薬・NECによれば、今回大塚製薬とNECが開発するIot錠剤入れと専用アプリには、薬剤師が残りの薬を管理したりできる機能が付くそうです。

ただ、飲み忘れ防止システムの問題は、認知機能が低下した患者さんの場合には、活用が難しい点です。

【関連記事】

●センサーで検知し、必要なタイミングで薬を投与するデバイス

肥満の人への減量指導効果は2年で失われる!?-筑波大(2014/12/9)によれば、肥満の人に半年間、専門家が集団での減量指導をした効果は2年で失われることがわかっています。

治療の継続についての問題を先程紹介しましたが、やはり治療を継続するのは負担がかかります。

治療を家族や医療スタッフがサポートする必要性もあるでしょうが、これから重要なのはもっと簡単に治療を継続するできる方法を考えることではないでしょうか。

生体工学で健康管理|緑内障を調べるスマ―ト・コンタクトレンズ(2014/4/23)で、このブログでは、定期的にインシュリンを注射しなければならない糖尿病患者の皮膚に超薄型で伸縮自在の電子装置を貼り付け、自動的に注射できるような仕組みというアイデアを考えてみました。

【関連記事】

チップを埋め込むというアイデアには抵抗がある人も多いかと思いますが、妊娠をコントロールする避妊チップの開発に成功ービル・ゲイツ財団出資の企業によれば、海外では腕の内側などにホルモン剤を含んだ細長いプラスチック製の容器を埋め込む「避妊インプラント」もすでにあるということで、あってもおかしくないアイデアだと思います。

糖尿病治療用「スマート・インスリンパッチ」が開発される(2015/6/24)によれば、米ノースカロライナ大学とノースカロライナ州立大学の研究チームは、血糖値の上昇を検知し、糖尿病患者に適量のインスリンを自動的に投与できるパッチ状の治療器具を開発したそうです。

糖尿病患者に朗報!?グラフェンを使った血糖値測定と薬の投与を行なう一体型アームバンドによれば、韓国の基礎科学研究院の研究者たちは、ユーザーの汗をモニターして、血糖値を測定し、血糖値が下がってきている場合には、極小の針で薬を注射するという血糖値の測定と薬の投与の一体型デバイスを糖尿病患者のためにデザインを行なったそうです。

今回の調査結果からも、現状の方法では治療を継続していくのは難しいということがわかっているのですから、継続しやすい新しい治療方法を考える必要があるのは間違いなく、すでに世界的にも自動で数値を検知して、適量の薬を投与するという方向に進んでおり、今後はこうした研究がどんどん出てくるのではないでしょうか。

【関連記事】

■まとめ

ゲルだけではなく、皮膚に貼付するパッチ材料の中に複数の高分子ミセルを固定化することによって、高齢者でも簡単に使える「投薬スケジュール通りに複数の薬が放出されるゲル状のシート」が実現する可能性があります。

「複数の薬を異なる速度で自在に放出できる」というアイデアが実現することになれば、「残薬(飲み残しの薬)が減ることによって医療費削減」「認知症などの人が飲み忘れることがなくなる」「治療継続の負担がなくなる」といったことが期待されます。







【アドヒアランス関連記事】
続きを読む 「薬の飲み忘れ」を根本から解決!複数の薬を異なる速度で自在に放出できるゲルの開発に成功|東京農工大学

高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法




■高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法

Pills

by Michael Nutt(画像:Creative Commons)

飲めずに「残薬」、山積み 高齢者宅、年475億円分か

(2015/4/8、朝日新聞デジタル)

日本薬剤師会は2007年、薬剤師がケアを続ける在宅患者812人の残薬を調査。患者の4割超に「飲み残し」「飲み忘れ」があり、1人あたり1カ月で3220円分が服用されていなかった。金額ベースでは処方された薬全体の24%にあたり、厚労省がまとめた75歳以上の患者の薬剤費から推計すると、残薬の年総額は475億円になるという。

高齢者宅の残薬の年総額は475億円にもなっているそうです。

糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。

【関連記事】

どんなに治療が大事だと認識していても、何らかの理由で治療が継続できないことがあるんですよね。

多種類を処方された場合など適切に服用できず、症状の悪化でさらに薬が増える悪循環もある。

処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。




解決策としては、4つ。

1.服薬忘れ防止システム

いま注目のIot(モノのインターネット)を利用して、アプリや薬剤ケース・ボトルを連動させて薬を飲むタイミングを通知するシステムを開発するというアイデアがあります。

【関連記事】

さらに発展させて、服薬を一定期間忘れると、薬を処方・提供した薬剤師(薬局・病院)から一度連絡をするようにすると、よいかもしれません。

【関連記事】

2.処方薬を減らす

管理しきれないほどの多くの種類の薬があるので患者・医師も混乱しているかもしれません。

そこで、薬の種類をシンプルに管理できるようにすれば、できるかぎり処方薬を減らしていくことができるのではないでしょうか。

3.自動的に薬を投与するインプラント

生体工学で健康管理|緑内障を調べるスマ―ト・コンタクトレンズという記事で、このブログでは、定期的にインシュリンを注射しなければならない糖尿病患者の皮膚に超薄型で伸縮自在の電子装置を貼り付け、自動的に注射できるような仕組みというアイデアを考えてみました。

妊娠をコントロールする避妊チップの開発に成功ービル・ゲイツ財団出資の企業によれば、海外では腕の内側などにホルモン剤を含んだ細長いプラスチック製の容器を埋め込む「避妊インプラント」が広く普及しているそうで、将来的には、糖尿病治療も同様の方法をとっていくことが予想されます。

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4.そもそも薬が必要なのか考える

症状の一部分だけを見て全体を見ていないことがあるかもしれません。

「木を見て森を見ず」ということですよね。

たしかに一部の症状は少し悪いかもしれないけど、薬を与えるほどではないケースもあるのではないでしょうか。

だからこそ、そもそも薬が必要なのかを考えることは重要になると思います。







P.S.
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