参考画像:WIRED|スクリーンショット
人の習慣を利用して「ちゃんと薬を飲む」ようにしてくれるアプリ
(2015/8/8、WIRED)
「PillPack」は、薬を1回分に小分けした袋を2週間ごとにユーザーに届けるサービスですが、現在、患者が薬を飲み忘れないように教えてくれるリマインダーアプリを開発中なのだそうです。
【参考記事】
高齢者宅には年475億円分の残薬(飲み残し・飲み忘れの薬)がある!?|解決する4つの方法によれば、何らかの理由で「飲み残し」「飲み忘れ」が起きていて、日本では、高齢者宅の残薬の年総額は475億円にもなっているそうです。
そこで、様々な企業が飲み忘れを防ぐシステムを提供しています。
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Pillpackの場合は、「1回分のパック」をつくると、飲む時間を選択し、飲む時間が来るとプッシュ通知が来るという、いわゆるリマインダーアプリです。
■Pillpackのアプリの特徴とは
パーカーはもともとアドヒアランスをある程度理解していた。薬剤師である父親が、処方箋を患者にわたすのを少年時代に見ていたからである。薬を飲み忘れる理由は単なる物忘れだけでなく、習慣も関係する。
アドヒアランスとは、患者が積極的に治療方針の決定に参加し、その決定に従って治療を受けること
を意味します。
患者の中には、積極的に治療方針の決定に参加し、治療を受ける人がいる一方で、そうではない人もいます。
「薬を受け取る余裕がない、薬にお金を使いたくない、さらに、あるいは薬が効くと信じていないという人もいる」と、アーカンソー大学薬学部の准教授セス・ヘルデンブランドは言う。これは意図的な「ノンアドヒアランス(nonadherence、患者が治療に対して積極的でないこと)」と呼ばれる。
例えば、糖尿病患者の治療継続は半数にとどまるによれば、糖尿病の合併症に不安を感じ、糖尿病の治療の重要性を認識していても、治療を継続できている人は半数なのだそうです。
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このアプリは、意図的でないノンアドヒアランスの人を対象に設計されている。「アプリを使うために多くの入力を患者に強いることで、アドヒアランスを更に高める必要はない」とヘルデンブランドは言う。
Pillpackでは、薬局や保険給付のデータを集めて、誰にどのような処方箋が出ているかがわかる「データベース」をつくることで、基本情報を入力すれば、患者の処方箋を自動で設定できるようになっているそうです。
こうした仕組みをバックグラウンドで動かすことによって、アプリユーザーの入力の手間を省き、薬の飲み忘れを防ぐためのお知らせをするシンプルなシステムになっています。
また、Pillpackは人の習慣も飲み忘れを防ぐために活用しようとしています。
パーカーはコンテクスト・アウェアネスをアプリでより実現し、より直感的なものにしている。
コンピュータが状況や変化を認識!『コンテキスト・アウェア・コンピューティング』|コベルコシステムによれば、
今までのように、個人が必要な情報を検索したり、スケジュールを確認したりするのではなく、過去の行動履歴、現在の時刻・スケジュール・位置情報などに基づいて、次の行動に必要な情報がシステムの側から積極的に提供されます。
ということで、Pillpackでは、ユーザーの位置情報に基づいてアラートを設定できるそうです。
つまり、習慣の強力な力を活用して、薬の飲み忘れを防ごうというアイデアですね。
■まとめ
なぜ高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きるのか?によれば、次のような理由で高齢者の薬のもらい過ぎという問題が起きています。
- 高齢者になると複数の病気にかかることが多い
- 複数の医療機関・複数の薬局にかかる
- 薬剤師は「お薬手帳」で患者がどんな薬を飲んでいるか把握するが、薬の重複がわかっても、薬の整理までは手が及ばない
- 医療機関に問い合わせてもすぐに返事がもらえず、患者を待たせないため、処方箋通りに薬を渡せばよいと考える薬剤師がまだ多い
- 薬の情報が、医師や薬剤師間で共有されていない
処方された薬を適切に服用できずに、その結果、症状が悪化して薬が増えてしまい、また、その薬を飲み残してしまい、症状が更に悪くなっていく悪循環に陥ってしまうこともあるようです。
今回紹介したアプリはこの問題を解決するための一つのアイデアといえます。