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初経から閉経までの期間が長くなると、肺がんの発生率が2倍以上高い!




国立がん研究センターによれば、初経が16歳以上で閉経が50歳以下の初経から閉経までの期間が短い人と比較して、初経が15歳以下だったり、閉経が51歳以上だったりと、初経から閉経までの期間が長くなると、肺がんの発生率が2倍以上高くなっていることがわかりました。

→ 肺がんの症状・原因・予防するための検査 について詳しくはこちら

【参考リンク】

閉経の遅い女性と初経の早い女性は、甲状腺がんのリスクが高い!によれば、閉経年齢が高いと甲状腺がんのリスクが高くなるという結果や、初経から閉経までの期間が長い女性(閉経年齢が高いこと/初経年齢が早いこと)は女性ホルモンであるエストロゲンにさらされる期間が長いといったことから、甲状腺がんが女性ホルモンに関連しているのではないかと考えられるそうです。

閉経前・後ともに肥満になると乳がんリスクが高くなる!によれば、閉経前・後ともにBMIが大きくなると乳がんリスクが高くなることがわかりました。

乳がんは初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産歴がないという人は、女性ホルモンにさらされる期間が長くなるため、乳がんリスクが高くなると考えられているそうです。

女性ホルモンと肺がんにどんな関係があるのかまだよく分かっていませんが、エストロゲンは、肺のがん細胞の増殖を直接促進したり、肺がん細胞中にあるエストロゲン受容体に、エストロゲンがつくことによってがん化を促進したりすることにより、肺がんの発生にかかわると考えられているので、今後の研究では、エストロゲンと肺がんの研究についてすすめられることが期待されます。

■まとめ

現代女性の月経回数は昔の女性の約9倍!生理の回数と子宮内膜症は深く関係/子宮内膜症の患者が急増によれば、昔の女性は生涯の月経回数が約50回、現代の女性は約450回になっています。

その理由としては、現代女性は昔に比べ出産回数が減ったために月経の回数が増えているから。

また、月経のある期間が長くなったため、月経困難症や子宮内膜症などの病気が増えてきたと考えられているそうです。

現代女性のライフプランが変わる中で昔の女性と比べると「月経」による体への負担・リスクが大きくなっているんですね。

月経についてさらに研究を進めることが女性の健康を守るうえで重要なのではないでしょうか?







閉経が早い女性の特徴とは?




これまで閉経後の病気のリスクや閉経が早い女性の病気のリスクに関して取り上げてきました。

【関連記事】

今回は閉経が早い女性(早期閉経、通常40歳未満での閉経、または卵巣機能不全を指す)の特徴があるのかということについて、論文ベースで簡潔にまとめます。

1. 遺伝的要因

家族歴: 早期閉経の女性は、母親や姉妹など近親者に同様の病歴を持つことが多い。特定の遺伝子変異(例: BRCA1/2、FMR1遺伝子のプレミューテーション)が関連している(Venturella et al., 2016; Qin et al., 2015)。

遺伝性疾患: ターナー症候群や脆弱X症候群など、染色体異常や遺伝子変異が早期閉経のリスクを高める(Sullivan et al., 2011)。

BRCA1/2やFMR1遺伝子のプレミューテーションと早期閉経の関連は広く知られていて、ターナー症候群や脆弱X症候群といった染色体異常や遺伝性疾患も重要な要因です。

2. 生活習慣

喫煙: 喫煙は卵巣機能の低下を早め、閉経年齢を1~2年早める可能性がある(Sun et al., 2012)。これはタバコに含まれる化学物質が卵胞の損傷を引き起こすため。

低体重・BMI: 低いBMI(18.5未満)の女性は、ホルモン分泌の乱れにより早期閉経のリスクが高まる(Mishra et al., 2017)。

生喫煙が閉経を早めるというエビデンスは確立されています。

低BMIとの関連も指摘されていますが、BMIと閉経年齢の関係は複雑で、高BMIとの関連を指摘する研究もあります(ただし、早期閉経との関連で低BMIが強調されることが多いのは確かです)。

3. 医療的要因

化学療法・放射線治療: がん治療による卵巣へのダメージは、早期閉経の主要な原因(Chemaitilly et al., 2015)。

手術: 子宮摘出や卵巣摘出術を受けた女性は、閉経が早まる(Farquhar et al., 2005)。

化学療法や放射線治療による卵巣機能への影響は深刻です。

子宮摘出のみの場合、卵巣が残っていれば直ちに閉経するわけではありませんが、血流の変化などにより卵巣機能が早期に低下する可能性が示唆されています。

卵巣摘出術は当然ながら閉経を引き起こします。

4. 自己免疫疾患

甲状腺疾患や関節リウマチなどの自己免疫疾患が卵巣機能を損なう可能性があり、早期閉経と関連(Goswami & Conway, 2005)。

甲状腺疾患との関連はよく知られています。他の自己免疫疾患との関連も研究が進んでいます。

5. 環境要因

環境中の内分泌かく乱物質(例: フタル酸エステル類、ビスフェノールA)への暴露が卵巣機能を低下させ、閉経を早める可能性がある(Vabre et al., 2017)。

6. 社会経済的要因

低い教育水準や経済的困窮は、ストレスや栄養不良を通じて間接的に早期閉経のリスクを高める可能性がある(Gold et al., 2001)。

■注意点

診断には血中FSH(卵胞刺激ホルモン)やAMH(抗ミュラー管ホルモン)の測定が用いられることが多い(Nelson, 2009)。

■まとめ

早期閉経は多因子性であり、個人差が大きく、すべての女性に当てはまる特徴は存在しないのですが、生活習慣、特に喫煙が閉経を早めるというエビデンスは確立されていますので、気を付けましょう。







【参考文献】

Venturella, R., et al. (2016). Human Reproduction Update.

Qin, Y., et al. (2015). Nature Reviews Endocrinology.

Sullivan, S. D., et al. (2011). Fertility and Sterility.

Sun, L., et al. (2012). Menopause.

Mishra, G. D., et al. (2017). Human Reproduction.

Chemaitilly, W., et al. (2015). Journal of Clinical Oncology.

Farquhar, C. M., et al. (2005). BJOG.

Goswami, D., & Conway, G. S. (2005). Human Reproduction Update.

Vabre, P., et al. (2017). Environmental Health Perspectives.

Gold, E. B., et al. (2001). American Journal of Epidemiology.

Nelson, L. M. (2009). New England Journal of Medicine.

閉経が早い女性は認知機能の低下が進む可能性!女性ホルモンの欠如が認知症リスクに関わっている!?




閉経が早い女性は認知機能の低下が進む可能性がある イングランド高齢者コホートのデータ解析から

(2025年4月16日、東北大学)

女性は男性と比べて認知症になるリスクが高いことが分かっていますが、性別や閉経(注1)による女性ホルモンの欠如と認知機能の関連は不明でした。
閉経が50歳以上であった女性と比べ、閉経が40歳未満であった女性は2年間で認知機能がより低下していることを明らかにしました。
男性は閉経が50歳以上であった女性と比べて、うつ症状(注2)は軽い一方で2年後の認知機能はより低下し、女性ホルモンの欠如が認知症リスクに関わることが示唆されました。

東北大学の研究によれば、閉経が早い女性は遅い女性に比べて認知機能がより低下していることがわかりました。

これまで女性は男性と比べて認知症になるリスクが高いことが分かっていましたが、性別や閉経による女性ホルモンの欠如と認知機能の関連は不明でした。

今回の研究で女性ホルモンの欠如が認知症リスクに関わることが示唆されました。

今後は、女性ホルモンが認知機能の老化にどのように影響するのかが解明されることが期待されます。

【参考リンク】

→ 閉経が早い女性の特徴とは? について詳しくはこちら

→ 認知症対策|認知症に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







閉経後の女性は入浴でのヒートショックに注意!




《専門医解説》ヒートショックによる入浴死「50代でもあり得る」閉経後の女性は特に要注意(2024年12月23日、週刊女性PRIME)で紹介されている東京都市大学人間科学部教授の早坂信哉さんによれば、お風呂場で亡くなった中山美穂さんや白川由美さん、平幹二朗さん、野村克也さんが亡くなった理由としてヒートショックの可能性があるそうです。

ヒートショックは高齢者だけでなく、血圧が高い方、コレステロール中性脂肪が高い方、糖尿病でも治療をしていない方、動脈硬化のリスクが高い方、喫煙者の方、肥満の方もリスクが高いそうです。

また女性だけの注意点もあります。

「動脈硬化の予防効果がある女性ホルモンが減る閉経後は、血圧が上がることがありますので注意が必要です」

【モーニングショー】閉経後の女性でLDLコレステロールの数値が上がったら、どのように食事に気を付けたらいいの?
によれば、ある人(当時56歳)のBMI20.7(標準は22)なので肥満ではなく、また週2日以上ジムに通い、喫煙なし、お酒は1日1合未満と生活習慣に一見問題はなかったのですが、LDLコレステロールの経年変化をチェックすると気になるところが出てきました。

54歳 112 → 56歳 136

LDLコレステロールが急上昇して、基準値の120を超えていました。

本当に血管が若返る!コレステロール調節術|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、女性ホルモンには、“悪玉コレステロール”値を下げる作用をはじめ、血管を保護する様々な効果があります。

そのため、40代までの間、女性の血管は男性よりはるかに若く保たれています。

女性ホルモンの値が下がってくる 50才前後になると“悪玉コレステロール”値が急上昇して、男性より高くなることも多くなります。

つまり、女性は閉経のタイミングでこれまでよりも意識的に健康をチェックする必要があるわけですね。

→ 悪玉コレステロールを下げる食事・食べ物|LDLコレステロールが高い原因 について詳しくはこちら

女性は、閉経後LDLコレステロールの数値が上がったら、コレステロールや飽和脂肪酸が多い食品を食べ過ぎないようにした方がいいようです。

コレステロールが多い食品は、たらこ・かずのこなどの魚卵や白子、レバー、鶏卵など。

飽和脂肪酸が多い食品は、牛乳・バター・チーズ・ヨーグルトといった乳製品など。

LDLコレステロール値を下げるには、食物繊維も積極的に摂りましょう!

【#たけしの家庭の医学】食後高脂血症・隠れ中性脂肪を改善し動脈硬化を予防する方法(水溶性食物繊維&運動)によれば、水溶性食物繊維は、腸に入るとゲル状に変化し、腸の内壁に付いて、脂肪分などの吸収を抑える効果があるそうです。

また、中性脂肪を分解するリポ蛋白リパーゼの働きを活性化してくれるそうです。

そのため、水溶性食物繊維を食事の最初に食べておくと、中性脂肪の急上昇を防ぐことができるそうです。

【水溶性食物繊維を含む食品】

●ネバネバした食品

納豆・オクラ・なめこ・なめたけなど

●海藻類

ノリ・ワカメ・寒天・昆布など

●根菜類

大根・人参・ゴボウなど

→ 食物繊維の多い食品 について詳しくはこちら

→ イヌリンとは|イヌリンの効果・効能|イヌリンの多い食品・食べ物 について詳しくはこちら

→ 動脈硬化改善・予防に良い食事・食べ物・食品 について詳しくはこちら







【関連記事】

閉経前・後ともに肥満になると乳がんリスクが高くなる!




閉経前・後ともに肥満は乳がんのリスクに(2014年10月7日、国立がん研究センター)によれば、閉経前・後ともにBMIが大きくなると乳がんリスクが高くなることがわかりました。

乳がんのリスク要因によれば、閉経後に肥満度が高いことが乳がんリスクを高くすると紹介しましたが、今回の研究によれば、閉経前・後ともに肥満は乳がんのリスクになることがわかりました。

  1. 初潮が早い(11歳以下)
  2. 閉経が遅い(54歳以上)
  3. 初産年齢が高い(30歳以上)
  4. 妊娠・出産歴がない
  5. 授乳歴がない
  6. 祖母、親、子、姉妹に乳がんの人がいる
  7. 肥満度が高い(閉経後)
  8. 喫煙している
  9. 大量に飲酒する習慣がある
  10. 運動不足

■まとめ

乳がんは初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産歴がないという人は、女性ホルモンにさらされる期間が長くなるため、乳がんリスクが高くなると考えられているという前提。

閉経前の女性は、過体重や肥満の女性は無排卵やエストロゲンレベルが低いなどの傾向があることから、欧米ではBMI30以上の群では乳がんリスクが低いのですが、アジア人女性の場合は極端に太っている人が少ないことから、予防的な効果はないのではと考えられる。

閉経後の女性では、性ホルモン関連のメカニズムをもとに考えると、肥満になると卵巣よりもむしろ脂肪組織が主なエストロゲン供給源になるため、乳がんリスクが高くなる。