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医療機関での「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムにおける共同研究開発を開始|フライトシステム・東京慈恵会医科大学・ジェナで医療ICT化推進を目指す




■医療機関での「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムにおける共同研究開発を開始|フライトシステム・東京慈恵会医科大学・ジェナで医療ICT化推進を目指す

AI連携対応 【Pepper管理サービス】 Scenaria(シナリア)コンセプトムービー
AI連携対応 【Pepper管理サービス】 Scenaria(シナリア)コンセプトムービー

参考画像:AI連携対応 【Pepper管理サービス】 Scenaria(シナリア)コンセプトムービー|YouTubeスクリーンショット

フライトシステム、医療機関での「Pepper」を使ったコミュニケーションシステムにおける共同研究開発を開始〜東京慈恵会医科大学、ジェナ社、フライトと3社で医療ICT化推進を目指す〜

(2017/11/17、フライトシステムコンサルティング PRTIMES)

フライトシステムコンサルティングは、東京慈恵会医科大学およびジェナとの共同研究で、「Pepper」と「Scenaria」(シナリア:管理画面からPepperアプリの作成はもちろん、様々な拠点に存在するPepperを管理することが出来るクラウドサービス)を使った医療従事者や患者とのコミュニケーションシステムの共同開発・研究を行っていくそうです。

AI連携対応 【Pepper管理サービス】 Scenaria(シナリア)コンセプトムービー

具体的にはどのようなことを行うのでしょうか?

1. 検診センターにおけるコンシェルジュ

日本医療の注目の高まりと共に訪日外国人の検診センター利用の需要が高まってきている背景から、多言語対応(日中英)による案内を実施。患者様の予約の確認や受付を行い、当日の流れや行き先の案内を行う。

【京都】旅行中の外国人の急病対応が新たな課題 多言語化への対応が急務 24時間通訳タブレット端末導入によれば、京都では、訪れる外国人観光客が増加したことで、医療機関の多言語への対応が求められているそうで、1年間で約60カ国の患者を診察した病院もあり、医療機関も深夜や早朝の急患に対応しようと、タブレット端末を使った同時通訳システムを導入するなどして対策を取っているそうです。

こうしたことから、医療機関における多言語対応にはニーズがあると考えられます。

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2. 緊張を緩和する血圧測定

白衣高血圧(*2)の患者様等、外来で来院した方向けに、緊張をほぐしながらPepperが血圧測定を行う。Pepperを通じ感情認識を実施することで患者様の緊張度を判定し、リラックスした最適なタイミングで血圧測定を行う。

「家で測ると正常なのに、病院で血圧を測定すると、血圧が高い」という人はいませんか?

白衣高血圧(白衣現象)とは|病院で緊張して血圧が上がるによれば、白衣高血圧とは、通常は血圧が正常なのに、病院で血圧を測定すると血圧の値が高くなってしまうことです。

白衣高血圧は、診察室血圧で高血圧と診断された患者の15%~30%に当たるそうです。

そこで、このシステムでは、Pepperが患者さんの緊張度を判定し、リラックスしたタイミングで血圧測定を行なってくれるそうです。

3. 自然な対話の中から認知機能検査

患者様とPepperとの自然な対話を通して認知症の疑いを発見する仕組み。

日本テクトシステムズが提供する認知機能検査エンジンによって、会話の中から認知症の疑いを発見するそうです。

対話を通して認知症の疑いを発見する仕組みがどのような仕組みになっているのかはわかりませんが、認知症|厚生労働省によれば、次のようなことが認知症のサインなのだそうです。

●もの忘れの為に日常生活に支障をきたしているか

日常生活で重要ではないこと(タレントの名前や昔読んだ本の題名など)を思い出せないのは正常の範囲内ですが、仕事の約束や毎日通っている道で迷うなどの場合は認知症のサインかもしれません。

●本人が忘れっぽくなったことを自覚しているか

自分でもの忘れの自覚がある場合は正常の範囲内ですが、もの忘れをしていることに気づかず、話の中でつじつまを合わせようとするようになるのは認知症のサインかもしれません。

●もの忘れの範囲は全体か

経験の一部を忘れるのは正常の範囲内ですが、経験全体を忘れるのは認知症のサインかもしれません。

認知症によるもの忘れには、経験や出来事全てを忘れる、もの忘れに気づかない、新しいことを覚えられない、日常生活に支障をきたす、暴言や暴力を振るうようになったり、怒りやすくなったり、無関心になるなど人格が変わるなどの特徴があるそうです。

こうした認知症または軽度認知障害のサイン・症状を対話の中で見つけるというものになっているのではないでしょうか?

【参考リンク】

認知症の改善効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入によれば、大阪大学の石黒浩教授が開発した、認知症の予防や症状の進行を抑える効果が期待されるコミュニケーション用ロボット「テレノイド」が宮城県の介護施設に導入されたそうです。

デンマークと日本における存在感対話メディアの実証的研究によれば、ほとんどの認知症高齢者がテレノイドに強い愛着を示し、うつ傾向がある人や無反応な人が自ら話しかけるようになるそうです。

また、テレノイドには積極的に身体的接触を図る傾向があるそうで、これには「触れ合い」によるストレス軽減効果があると考えられるそうです。

Pepperにもこうしたことができれば、認知症の早期発見だけでなく、予防や症状の進行を抑えることもできるようになるかもしれません。

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■医療ICT化

ICT医療においては、ICTを活用した個人の健康管理がスタートであり、カギとなります。

医療・健康分野におけるICT化の今後の方向性(平成25年12月、厚生労働省)によれば、

健康寿命を延伸するためには、ICTを利用した個人による日常的な健康管理が重要

だと書かれています。

ICTとは、Information and Communication Technology(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー:情報通信技術)の略です。

ICTを活用した医療分野への活用の例としては次の通り。

  • 電子版お薬手帳や生活習慣病の個人疾病管理など患者・個人が自らの医療・健康情報を一元的、継続的に管理し活用する仕組み
  • 地域包括ケアシステム(電子カルテ情報を地域の診療所が参照する)
  • ICTを活用してレセプト等データを分析し全国規模の患者データベースを構築し、疾病予防を促進
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

経済産業省の「新産業構造ビジョン」によれば、個人が自らの生涯の健康・医療データを経年的に把握するため、また、最適な健康管理・医療を提供するための基盤として、健康・医療・介護のリアルデータプラットフォーム(PHR:Personal Health Record)を構築し、2020年度には本格稼働させていくことが必要と提案されています。

■まとめ

今回のPepperを活用した病院での患者とのコミュニケーションシステムとして期待できるのは、遠隔医療でしょうか?

医療現場における、IoTやAI等の革新的技術の利活用|遠隔診療・AIを活用した診療
医療現場における、IoTやAI等の革新的技術の利活用|遠隔診療・AIを活用した診療

参考画像:新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)

新産業構造ビジョン(2017/5/30、経済産業省)によれば、患者のQOLの最大化に向けて、個人の健康・医療データを活かす新たなシステムが必要であるとして、患者自らが納得して選択できる医療、患者の満足度の高い医療、時間・場所を問わず、必要な医療が提供される環境の実現が必要とあり、その中でも「遠隔診療」、「AIを活⽤した診療」といったIoTやAI等の⾰新的技術を医療現場におけて利活用する取り組みが重要となるとあります。

厚生労働省の通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応した遠隔医療機能を持たせたサービスがいよいよスタートによれば、厚生労働省が7月14日付けで出した通達「情報通信機器を用いた診療について」に対応して遠隔医療機能を持たせたサービスの展開が始まっています。

これまでにも遠隔医療につながるサービスについていくつも取り上げてきました。

遠隔医療におけるメリットは、遠隔地に住んでいて直接医師に診てもらうことが困難な人が受診できるだけでなく、肛門科や泌尿器科、婦人科などの直接診てもらうことが恥ずかしかったり、怖かったりする人が受診をするハードルを下げる効果も期待できると考えられます。

医療者に対する高齢者の患者の比率はどんどん増えていくことが予想されますから、医療者の負担を軽減しながら高齢者の患者の病気の早期発見を目指すシステム作りが必要になることでしょう。

かかりつけ病院や薬局で今回のようなコミュニケーションシステムを導入することができれば、認知症になる疑いのある患者の早期発見ができるようになるかもしれません。







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AI・ロボットが働く未来ではクリエイティブな仕事が求められる|PUSH型からPULL型への移行とモチベーション(内発的動機づけ)がキーワード




■AI・ロボットが働く未来ではクリエイティブな仕事が求められる

Startup Weeekend Merida

by Steven Zwerink(画像:Creative Commons)

2016年4月18日に放送された「スマホで”朝生”」では「人工知能、ロボットが働く未来…ド~なる仕事、ド~するライフスタイル」がテーマでした。

そこで、気になったのは、AIが仕事を代替する時代になると、貧富の格差はさらに大きくなってしまう懸念があるから、それにあわせた教育が必要だという意見です。

ただ「そこにはモチベーション格差の問題があるのでは?」というのが堀江貴文さんと落合陽一さんの意見でした。(記憶が正しければ)

ここで大事になってくるのは、時代がPUSH型からPULL型に移行する必要があることとクリエイティブな仕事には内発的動機づけが重要だということです。

■時代がPUSH型からPULL型に移行する必要があること

時代の変化がゆるやかな落ち着いた時代ならば、需要を予測し、行動計画を立て、業務内容を念入りに作成するということが可能でした。

教育においても、子供たちが将来的に必要となるであろう知識を予測して、それに合わせたカリキュラムを作ることも可能でした。

しかし、現代のスピードは速くなり、需要を予測することができない現代においては、標準化したカリキュラムを作ることは難しくなっています。

そんな時に、プッシュ型プログラムでは変化に対応することができないというわけです。

【参考文献】

『「PULL」の哲学』(著:ジョン・ヘーゲル3世/シーリー・ブラウン/ラング・デイヴソン)

「PULL」の哲学 時代はプッシュからプルへ―成功のカギは「引く力」にある

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■クリエイティブな仕事には内発的動機づけが重要

AIが仕事を代替するといった場合に、まず私たちが考える仕事は決まり切った仕事や何度も繰り返す仕事を人工知能にやってもらうことを目指すと思います。

ダニエルピンク「やる気に関する驚きの科学」|TED TALK

この動画によれば、ルーチンワークやルールのある仕事、会計、財務分析のような仕事は自動化することができ、ソフトウェア・AIのほうが速くできる仕事に対しては、成功報酬的な動機付け(アメとムチ)― If Then式に「これをしたら これが貰える」というやり方は効果的なのだそうです。

報酬というのは視野を狭め心を集中させるものであるため、ルーチンワークやルールのある仕事、会計、財務分析のような仕事では、報酬がうまく機能する場合が多いそうです。

しかし、クリエイティブな仕事に対しては、ご褒美と罰というようなアプローチでは視野が狭くなってしまうため、報酬(外発的動機づけ)はうまく機能しません。

※ここでいう「クリエイティブな仕事」とは、簡単に自動化することができない仕事を指す。

AI時代にはソフトウェアやAIに自動化できる仕事を割り振るようになり、人間はクリエイティブな仕事をすることを求められるようになっていくとするならば、報酬のような外発的動機づけではクリエイティブな仕事のパフォーマンスを向上させることはできず、内発的動機づけをもたせることが重要になってくるのです。

ダニエルピンク「やる気に関する驚きの科学」|TED TALK

内的な動機付けに基づく アプローチです重要だからやる 好きだからやる 面白いからやる 何か重要なことの一部を 担っているからやる ビジネスのための 新しい運営システムは 3つの要素を 軸にして回ります 自主性・成長・目的 自主性は 自分の人生の方向は 自分で決めたいという欲求です成長は 何か大切なことについて 上達したいということです 目的は 私たち自身よりも 大きな何かのために やりたいという切望です これらが私たちのビジネスの 全く新しい運営システムの 要素なのです

内発的動機づけとは、お金のような報酬を目的として行動するのではなく、自分がやりたい(重要だと思うから・好きだから・面白いから)からやるというものです。

つまり、2つのことをまとめると、AI時代に必要な人間の仕事はクリエイティブなものになるわけだから、モチベーション(内発的動機づけ)が低い人に対して、無理強いをして教育(プッシュ型プログラム)をしても双方にとって残念な結果に終わる可能性があるということではないでしょうか?

これからの時代に合った考え方をもとにすると、もし格差をできるだけ小さくしたいと考えるのであれば、教育格差や貧富格差を論じる前に、モチベーションをいかに上げるのか(それ自体をできる方法があるのか?)が重要になり、自主性・成長・目的という3つの要素を考えた上で、内発的動機付けを持たせることが大事になるのではないでしょうか。

■まとめ

『「PULL」の哲学』(著:ジョン・ヘーゲル3世/シーリー・ブラウン/ラング・デイヴソン)を参考にすると、これからの時代は、

知識のストックよりも新しい知識のフローのほうがより大きな価値を持つようになる

と考えられます。

そこでは、新しい知識の価値が高まり、従来の知識の価値が低くなるため、自分が、いかに最先端の、生まれたばかりの知識に触れられる環境を作るかが重要になってくるのです。

面白いと思える知識を提供している人と良好な人間関係を作ることや自分自身が他の人が面白いと感じられる情報を提供することによって、信頼関係が生まれ、その輪が広がっていくことでしょう。

これからはますます人と人とのつながりが一層重要になってくる時代になってきそうです。







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ブロックチェーンやAIを活用したPHRサービスを共同開発|デジタルガレージ・ウェルビー




■ブロックチェーンやAIを活用したPHRサービスを共同開発|デジタルガレージ・ウェルビー

デジタルガレージ、ウェルビーと資本業務提携し個人中心の健康・医療情報プラットフォームを構築へ 〜ブロックチェーンやAIを活用したPHRサービスを共同開発〜
デジタルガレージ、ウェルビーと資本業務提携し個人中心の健康・医療情報プラットフォームを構築へ 〜ブロックチェーンやAIを活用したPHRサービスを共同開発〜

参考画像:デジタルガレージ、ウェルビーと資本業務提携し個人中心の健康・医療情報プラットフォームを構築へ〜ブロックチェーンやAIを活用したPHRサービスを共同開発〜(2018/8/1、デジタルガレージ)|スクリーンショット

デジタルガレージ、ウェルビーと資本業務提携し個人中心の健康・医療情報プラットフォームを構築へ〜ブロックチェーンやAIを活用したPHRサービスを共同開発〜

(2018/8/1、デジタルガレージ)

2018年9月より、バイオテクノロジーおよびヘルスケア領域でのスタートアップ育成とオープンイノベーション推進を目的としたアクセラレータープログラム「Open Network Lab BioHealth」を開始します。さらにウェルビーとの共同開発により、予防医療や健康ポイントなどのサービス提供を見据え、ブロックチェーンとAI技術を基盤としたPHRプラットフォームの構築を計画しています。将来的には地方自治体、国保・健保、医療機関、介護事業者、薬局、保険会社・製薬会社、健康関連事業者らとPHRを連携させることで、個人を中心とした健康・医療情報のプラットフォーム構築を目指します。

ブロックチェーン、AI、VR/AR、セキュリティ、バイオヘルスを重点分野とした次世代技術の開発を進めるデジタルガレージは、国内ではPHR分野におけるリーディングカンパニーであるウェルビーと資本業務提携し、ブロックチェーンやAI(人工知能)等の最先端IT技術を活用したPHR(Personal Health Record:個人が保有する健康・医療情報)を集約するアグリゲーション事業を開始します。

なぜPHRサービスにブロックチェーン技術を活用するのでしょうか?

健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

経済産業省の「新産業構造ビジョン」によれば、個人が自らの生涯の健康・医療データを経年的に把握するため、また、最適な健康管理・医療を提供するための基盤として、健康・医療・介護のリアルデータプラットフォーム(PHR:Personal Health Record)を構築し、2020年度には本格稼働させていくことが必要と提案されています。

ブロックチェーン技術は、個人の健康データを扱うヘルスケア分野においてセキュリティ強化の要素となり、PHRで蓄積されていくデータを管理するうえで最適な技術だと考えます。また、集積された膨大なPHRのデータと医療現場でのアウトカムを、AIを用いて解析することで、さらなる医療の発展にも生かされると考えています

エストニア、医療データの記録・管理にブロックチェーン技術を活用すべく試験運用中|日本で導入するにはどのようなことが必要か?によれば、ブロックチェーン技術を活用することで医療情報の偽造・改ざんを防止すると同時に、暗号化技術によって非常に重要な情報である個人の医療情報・健康記録を安全に保管することができます。

これまでは医療情報のような個人情報は巨大な仲介役が管理していましたが、ブロックチェーン技術を活用すれば、そのデータは自分が管理することができるようになります。

データを企業に受け渡すことでサービスを利用している現代ですが、ブロックチェーンが浸透すれば、自分の情報を自分でコントロールすることができるようになることが期待されます。







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2020年には日本国内でAI(人工知能)分野の人材が約5万人不足!?産業化ロードマップの実現のために人材育成が急務!




■2020年には日本国内でAI(人工知能)分野の人材が約5万人不足!?産業化ロードマップの実現のために人材育成が急務!

European Education, Training and Youth Forum 2012

by Jirka Matousek(画像:Creative Commons)

国会や生命保険でもAIを活用する動きでは、AIを活用した業務の効率化や国会答弁の下書きの作成にAIを活用する実験などのニュースを取り上げましたが、そもそも人工知能を専門とする人材はそんなにいるのでしょうか?

いま、世界の大企業は「AI人材」を食い尽くそうとしている

(2016/1/3、WIRED)

ここ数年の間に、大手企業は、聞いたこともないような多くのAIスタートアップを先を争って手に入れてきた。ツイッターは、Mad Bit、Whetlab、Magic Ponyを買収した。アップルはTuriとTuplejumpを手に入れた。Salesforceは、MetaMindとPrediction I/Oを獲得し、IntelはNervanaを獲得した。そしてこれはリストのほんの一部にすぎない。

買収を行っているのは、ソフトウェア会社やインターネット企業だけではない。AIをフィジカルなプロダクトに取り入れているサムスンやGEのような大手企業もまたしかりである。

大手企業がAIスタートアップを買収することで人材の確保をおこなっており、その人材プールはすでにはほとんど残っておらず、企業によってはそうした人材を確保できないということも起きています。

機械学習技術を構築するのは、標準的なソフトウェアエンジニアリングとはまったく異なり、コーディングすることよりもむしろ、膨大な量のデータから結果をうまく引き出すことが必要だからだ。

普通のプログラマーではダメなのだそうで、データサイエンティストが求められているようです。

ヘルスケア分野でIOTを活用する実証実験開始|IOTで市民の健康データを取得し、新サービス創出、雇用創出、生活習慣病の予防を目指す|会津若松市によれば、福島県会津若松市がヘルスケア分野でIoTを活用したプラットフォーム事業の実証実験を開始し、スマホアプリやウェアラブルデバイスなどから取得した市民の様々な健康データを集約し、オープンデータ化し、そのデータを活用して新サービスの創出、データサイエンティストなどの雇用創出、医療費の削減などを目指していくとお伝えしましたが、「データサイエンティスト」という職業は現在最も必要とされる人材といえるのではないでしょうか。

AIによって雇用が減っていくのではないかという不安を抱えている人もいると思いますが、AIが活用されるような分野、より具体的には大量のデータから必要な情報を引き出すことが必要とされる分野では人材の取り合いが行なわれているのです。

AIの研究開発・産業化を担う人材育成の必要性
AIの研究開発・産業化を担う人材育成の必要性

参考画像:人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ(2017/3/31、人工知能技術戦略会議)|スクリーンショット

AI分野に対する人材が不足していて、2020年には国内で約4万8000人が不足するという調査(経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」(平成28年3月、委託:みずほ情報総研株式会社))もあるそうです。

AI人材が約5万人不足、東大阪大のAI講座は即戦力育成の呼び水となるか

(2017/7/31、MONOIST)

2017~2019年度で総額約2億2000万円を投資し、3年間で250人以上のAI人材を育成する計画だ。

政府が2016年度に立ち上げた「人工知能技術戦略会議」では、AIの研究開発や産業化を担う人材育成を重視している。

そこで、AI人材の即戦力を育成することが急務となる中、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、電機や機械など製造業を中心にAI(人工知能)分野の即戦力人材を育成する特別講座「AIデータフロンティアコース」を、大阪大学と東京大学に開講すると発表しました。

【参考リンク】

求められる人材の知識・技能|人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ
求められる人材の知識・技能|人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ

参考画像:人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ(2017/3/31、人工知能技術戦略会議)|スクリーンショット

産業化ロードマップを実現するためには、3つの知識・技能を有する人材を育成することが求められるそうです。

1.人工知能技術の問題解決(AIに関する様々な知識、価値ある問題を見付け、定式化し、解決の道筋を示す能力)

2.人工知能技術の具現化(コンピュータサイエンスの知識、プログラミング技術)

3.人工知能技術の活用(具体的な社会課題に適用する能力)




■まとめ

人工知能とその他関連技術が融合した産業化のイメージ
人工知能とその他関連技術が融合した産業化のイメージ

参考画像:人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ(2017/3/31、人工知能技術戦略会議)|スクリーンショット

AIとその関連技術の融合によって、生産性分野、健康/医療・介護分野、空間の移動分野での産業化が期待されます。

AIは、このブログとも関りが深い、健康/医療・介護分野での活躍も期待されています。

人工知能とその他関連技術の融合による産業化のロードマップ(健康/医療・介護分野)
人工知能とその他関連技術の融合による産業化のロードマップ(健康/医療・介護分野)

参考画像:人工知能の研究開発目標と産業化のロードマップ(2017/3/31、人工知能技術戦略会議)|スクリーンショット

世界で最初に高齢化社会を迎えている日本においては、医療・介護に関するビッグデータとAIを活用することにより、医療・介護に関する新しい試みを世界に先駆けて行ない、治療ではなく予防に重点を置く予防医療によって、できる限り病気にならないようにしていく方法を構築していくことが期待されます。

ただ、こうしたことを行なっていくためのAI人材がいなければこうしたことを行なうことができないため、AI人材を育成していくことが急務となっています。







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スマホのセンサで測り、AIが解析する「組織の活性度(組織の幸福感)」をチェックするツールでできる2つの可能性|ストレス度チェック・イノベーション度チェック|日立




■センサで測り、AIが解析する「組織の活性度」をチェックするツールでできる2つの可能性

スマホのセンサで測り、AIが解析する「組織の活性度(組織の幸福感)」をチェックするツールでできる2つの可能性|ストレス度チェック・イノベーション度チェック|日立
スマホのセンサで測り、AIが解析する「組織の活性度(組織の幸福感)」をチェックするツールでできる2つの可能性|ストレス度チェック・イノベーション度チェック|日立

参考画像:人工知能を活用し、働く人の幸福感向上に有効なアドバイスを自動作成する技術を開発(2016/6/27、日立製作所ニュースリリース)

センサで測り、AIで分析 日立が解明するチームの実態

(2016/10/26、Forbes)

「コミュニケーションは、業種によっても違いがあります。正確さとスピードを要求される銀行のような組織は縦割りの傾向が強く出るし、創造性と柔軟性を重視するITベンチャーはフラットな横連携が多い。また、同じプロジェクトチームでもフェーズによって変わります。立ち上げたばかりの打ち合わせが多い時期、自分の作業を黙々と進めている段階などデータからチームの様子が見えてくるのです」

日立製作所が開発したのは「組織の元気度」を可視化する仕組みです。

赤外線センサ(加速度センサ)を埋め込んだ名札が歩行、デスクワークなどで生じる体の揺れを感知し、そのデータを、AIが解析することでどれほど組織内でコミュニケーションが行なわれているかを計ることができるそうです。

【追記(2017/10/4)】

スマートフォンでの幸福度計測イメージ
スマートフォンでの幸福度計測イメージ

参考画像:幸福感を計測するスマートフォン向けの技術を開発(2017/10/2、日立製作所ニュースリリース)|スクリーンショット

幸福感を計測するスマートフォン向けの技術を開発

(2017/10/2、日立製作所ニュースリリース)

スマートフォン内蔵のセンサーは、性能や仕様が名札型センサーと異なるだけでなく、電話やメールなどで利用されている間は正常な計測ができないなどの課題がありました。これを解決するため、スマートフォンと名札型センサーの両方で計測を行い、その関係性をAIに学習させることで、スマートフォンで得られたデータを補正する技術を開発しました。本技術を適用することで、スマートフォンのみを着用することで(図2)幸福感の計測が可能となりました。

日立は、名札型センサーを活用せずに、スマホに内蔵されている加速度センサーのデータを活用し、組織の幸福感(組織活性度)を計測する技術を開発しました。

※「デジタルネイチャー」(著:落合陽一)でも取り上げられています。

この仕組みに活用できそうな点は2つ。

1つは、ストレス度チェックで、もう一つはイノベーション度チェックです。

■ストレス度チェック

 

「全体的なストレスが高い組織では、無意識に身体が静止してしまう確率が上がることがわかりました」

ストレスがかかっているという状況が体の動きを静止してしまっていることが予想されます。

ここから考えられることは、チームの元気度が計れると同時に、ストレス度もチェックできるのではないかという点です。

うつ病を見える化する光トポグラフィー検査とはどんな検査?によれば、光トポグラフィーは頭に近赤外線を当て、反射してくる光から脳血流の変化を読み取り、脳の活動状態を数値化する装置なのだそうで、健常者の場合は、脳の使い始めにどっと血流量が増え、活動中は高値で維持されるのに対し、うつ病患者は課題の始まりに反応するが、血流量がなかなか増えないという特徴があるそうです。

うつ病の疑いがあっても本人は気づかなかったり、言い出せなかったりする可能性がありますが、光トポグラフィー検査を使えばうつ病を見えるかすることができます。

この検査と同様に組織の元気度をチェックすることで、より早くストレスがかかっている状況を把握することができるのではないでしょうか。

■イノベーション度チェック

イノベーションのアイデアを生み出す七つの原則(著:スティーブン・ジョンソン)にはこう書かれています。

ダンバーが作ったアイデア形成地図を見ると、イノベーションの中心地は、顕微鏡ではなくて、会議用のテーブルだった。

おしゃべりの場でのコミュニケーションによって、ある人の結論が、ある人によってのきっかけとなることで、アイデアに大きな変化をもたらすことが考えられます。

凄いアイデアというのは誰かが一人きりで研究室に閉じこもって生まれるのではなく、実は人々が集まってコミュニケーションをとっている中で生まれているのだそうです。

イギリス人の数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読するドラマを中心としたストーリーである『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』では、パブのシーンである女性の何気ない一言が暗号エニグマの解読のヒントとなっています。

イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(字幕版)

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研究室で一人で仕事をして顕微鏡を覗いていたのでは、考えが一カ所にひっかかって、最初にあった自分自身の偏見から抜けられない。

集団での会話にある社会的な流れが、個人の固体的な状態を液体のネットワークに変える。

Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」(Jul 2010、TED Talk)

Community + Entrepreneurship: Tim Rowe at TEDxGrandRapids(2013/6/24、YouTube)

How Buildings Learn: What Happens After They’re Built

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(2017/2/4 20:48時点)

組織の元気度を計るツールを使うことでコミュニケーションが行われているかどうかにより、イノベーションのアイデアが生まれやすい状況かどうかを測ることにつながることが期待されます。







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