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「和食=健康」は本当?伝統的な和食の長所と弱点を地中海食と比較して考える




最近考えているのが、「伝統的な和食は本当に健康食といえるのだろうか?」ということです。

私たちは何となく「和食=健康」というイメージを持っています。しかし、一つひとつの料理や栄養素だけを見ると気になる点もあります。

一方で、魚や大豆、海藻、発酵食品など、和食には世界の他の食文化と比べても興味深い特徴があります。

では、和食は健康食なのでしょうか。それとも改善すべき食事なのでしょうか。

この記事では「和食か地中海食か」という二者択一ではなく、伝統的な和食の良さを残しながら、現代の食生活をどう改善できるのかを考えてみます。

※伝統的な和食が悪いという意味ではありません。現代の日本人の食生活を考えた場合に、改善できるポイントがあるという意味で「弱点」と表現しています。

■日本の食事の3つの弱点

■伝統的な和食を現代の栄養学から見ると気になる3つのポイント

和食そのものを「健康」「不健康」と単純に評価することはできません。また、伝統的な和食と、現在の日本人が実際に食べている食事も同じではありません。

ここでは、魚や大豆、野菜、海藻、発酵食品などを組み合わせる和食の良さを認めたうえで、現代の栄養学の視点から、今の食生活で意識したいポイントを考えてみます。

1)野菜の摂取量が意外と少ない

伝統的な和食の「一汁三菜」では、小鉢で野菜を摂るスタイルが多いですが、一口・二口程度の量になりがちで、1日の目標量(350g)に届かないケースが多々あります。

煮物やお浸しなどの加熱調理では、ビタミンCや一部の水溶性ビタミンが調理によって減少することがあります。一方、加熱することでかさが減り、野菜を多く食べやすくなるというメリットもあります。

生野菜と加熱野菜のどちらかを健康的と考えるのではなく、それぞれの特徴を生かして組み合わせるのがよいでしょう。

また、漬物による野菜摂取は塩分過多の要因になります。

2)煮物や調味料による「隠れ砂糖」と「塩分過多」

実は和食の大きな特徴であり弱点でもあるのが「塩分」と「砂糖(みりん含む)」の多さです。

煮物、照り焼き、すき焼き、寿司飯、つゆ・タレ類などは、料理によって砂糖やみりん、塩、しょうゆなどを多く使うことがあります。

和食の健康面を考える際には、料理そのものだけでなく、こうした調味料から摂る糖分や塩分にも目を向ける必要があります。

3)タンパク質の不足(特に伝統的な献立)

昔ながらの一汁一菜に近い和食は、魚や豆腐・納豆などの大豆製品が中心で、質は良いものの絶対量が不足しがちです。

特に高齢者や運動習慣のある人にとっては、筋肉量を維持するためのタンパク質が足りず、フレイル(加齢による虚弱)の原因になることがあります。また、朝食でのタンパク質不足は体内のリズムや代謝の低下にも繋がります。

■ 和食が「健康食」と評価される要素

もちろん日本食、和食には健康食、長寿食と評価される要素があります。

●PFCバランスの優位性
精製油脂の使用量が少なく、脂質エネルギー比率が控えめで、肥満になりにくい(低脂質・高炭水化物)。

●発酵食品の豊富さ
味噌、醤油、納豆、漬物など、腸内環境を整える多種多様な発酵食品を日常的に摂取できる。

●魚介類(n-3系多価不飽和脂肪酸)
青魚に含まれるEPA・DHAの摂取頻度が高く、心血管疾患の予防に寄与する。

●水溶性食物繊維
昆布やわかめなどの海藻類、大豆、根菜類から質の良い食物繊維が摂れる。

伝統的な和食の長寿食として優れたポイントは大豆と魚の組み合わせ。
これは他の地域の食にない優れたポイントといえます。

→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効果・効能・食べ物(オイル)・ダイエット について詳しくはこちら

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■地中海式食事との比較

科学的根拠(エビデンス)の蓄積という点では、現時点で地中海式食事法が世界で最も高く評価されている食事パターンの一つです。

●健康的な加齢に最も効果的だった食事は健康に良い食品を積極的に食べ、悪い食品を控える食事パターンだった!で紹介した「Nature Medicine」に掲載された研究によれば、健康的な加齢(老化)に最も効果的だった食事パターンとして紹介されたのが、健康に良い食品を積極的に食べ、悪い食品を控えることを目指した食事パターン「AHEI(Alternative Healthy Eating Index)」です。

【健康的な老化を助ける食品】

  • 果物、野菜、全粒穀物(玄米や全粒パン)
  • 不飽和脂肪酸(オリーブオイルや青魚の脂肪)
  • ナッツ、豆類、低脂肪乳製品

●炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高い!によれば、地中海式ダイエット(野菜、果物、魚、オリーブオイルなどが中心)など健康的な食事をしている人は認知症のリスクが低く、反対に炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高いことがわかりました。

■地中海式食事法が推奨される理由

●心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中)の発症・死亡リスク低下
●2型糖尿病の発症予防および改善
●認知機能低下の抑制・認知症予防

【伝統的な和食】
・脂質少なめ(魚の油、植物油微量)
・塩分高い(味噌汁、醤油、漬物)
・野菜は中程度、果物は控えめ
・精白米(白米)が中心
・魚介・大豆製品

【地中海式食事】
・エクストラバージンオリーブオイル(豊富)
・塩分低い(ハーブやスパイス、レモンで味付け)
・野菜・果物・ナッツ類が極めて豊富
・全粒穀物(パン、パスタ、雑穀)
・魚介・鶏肉・豆類(赤肉は控えめ)

地中海食の特徴は、オリーブオイルという一つの食品だけにあるわけではありません。野菜、果物、豆類、ナッツ類、全粒穀物、魚介類などを組み合わせ、赤肉などを控える「食事パターン全体」として考えることが大切です。

したがって、地中海食に関する研究成果から「日本人もオリーブオイルを増やせば健康になる」と単純化することはできません。日本人には魚や大豆を食べてきた食文化があり、もともとの食事の脂肪酸組成や食習慣も異なるからです。

この記事では地中海食そのものを日本に持ち込むのではなく、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物などを取り入れる考え方や、塩分を抑えながらおいしく食べる工夫など、日本の食生活にも応用できる部分に注目します。

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■まとめ

今回の話は「和食が悪いから、地中海式の食事に切り替えよう」という話ではありません。

和食にも地中海式の食事にもそれぞれ素晴らしい強みがあり、また地中海式の食事が日本人の体質にそのまま合うのか、食文化として無理なく続けられるかという視点も大切です。

大切なのは、日本の伝統的な和食の長所(魚介類、大豆製品、野菜、海藻、発酵食品など)を生かしつつ、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物など食材の選択肢を広げ、減塩などの工夫を加えた「進化系和食」を考えていくことではないでしょうか。

例えば、
・白米に玄米、雑穀、もち麦を混ぜて食物繊維とミネラルを補う。
・味付けは砂糖や塩分を控え、出汁(昆布・かつお・干し椎茸)を効かせたり、酢や薬味、ハーブ・スパイスを活用する。
・魚や豆腐に加えてお肉類や卵も適量取り入れ、生野菜や蒸し野菜で全体的な野菜量を増やす。
・炒め物や仕上げのひと回しに、エクストラバージンオリーブオイルやオメガ3系のオイルを取り入れる。

エストロゲンには抗炎症作用があり、閉経でそれが失われると慢性炎症が広がり、病気のリスクが高まる!でも紹介したように、加齢とともに体内の慢性炎症対策は非常に重要になってきます。

和食がもつ良質なタンパク質や発酵食品のベースに、地中海式が得意とする抗炎症食材(オリーブオイル、ナッツ、生野菜など)をプラスして、日々の食事から賢く健康寿命を延ばしていきたいですね。

※ここでいう「地中海式をプラスする」とは、日本人の食生活を地中海食に置き換えるという意味ではありません。魚介類や大豆製品、野菜、海藻、発酵食品など、和食にはもともと生かしたい特徴があります。その土台を残しながら、野菜や果物、ナッツ類などを取り入れたり、料理によってオリーブオイルを使ったりするなど、現代の食生活をよりよくするヒントとして地中海食を参考にしよう、という考え方です。

【補足】地中海食をそのまま日本に持ってくる必要はない

地中海食の研究で健康との関連が報告されているからといって、日本人がこれまでの食生活をやめて、地中海地域と同じ食事をする必要があるということではありません。

食事は一つの食品や栄養素だけで成り立っているものではありません。日本には、魚介類、大豆製品、野菜、海藻、発酵食品、ごはんなどを組み合わせてきた食文化があります。

だからこそ大切なのは、「和食か地中海食か」という二者択一ではなく、和食のよいところを生かしながら、現代の食生活で改善できる部分を他の食文化から学ぶことではないでしょうか。

例えば、生野菜やトマトをおいしく食べるためにオリーブオイルを使う。間食としてナッツを取り入れる。白米だけでなく、ときどき玄米やもち麦を選んでみる。

「健康にいい食品」を追加すること自体が目的なのではなく、無理なく、おいしく、続けられる食習慣につながるかどうかという視点も大切です。

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「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

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ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

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「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

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「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
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歌舞伎俳優・中村鷹之資さんの朝ごはん「きな粉+はちみつ+ヨーグルト+めかぶ」は腸活にいい組み合わせ?

Xの投稿によれば、父は国宝!27歳の歌舞伎俳優・中村鷹之資さんの朝ごはんに欠かせないのは、「きなことはちみつをかけたヨーグルト」と「めかぶ」なのだそうです。

一見するとシンプルな朝食ですが、栄養面から眺めてみると、この組み合わせには一つの共通点があります。

それが「腸内環境」です。

ヨーグルトだけでなく、きな粉、はちみつ、めかぶまで一緒に食べているところが興味深いんですね。

■腸活は「ヨーグルトを食べればいい」だけではない?

「腸活」という言葉を聞くと、まずヨーグルトを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

しかし、腸内環境を食事から考える場合には、乳酸菌やビフィズス菌などを含む食品だけでなく、食物繊維やオリゴ糖などを含む食品を組み合わせて食べるという視点もあります。

そこで、中村鷹之資さんが朝食に食べている4つの食品を一つずつ見てみましょう。

■ヨーグルト

まずはヨーグルトです。

ヨーグルトは乳酸菌による発酵食品です。また、製品によってはビフィズス菌を含んでいるものもあります。

腸内環境を意識した食生活というと、ヨーグルトなどの発酵食品がよく取り上げられます。

ただし、ヨーグルトであればすべて同じ菌が入っているわけではありません。使われている菌の種類や特徴は商品によって異なります。

■きな粉

きな粉は大豆を炒って粉にした食品です。

大豆由来の食物繊維を含んでいるところがポイントです。

食物繊維というと「お通じのためにとるもの」というイメージが強いかもしれませんが、現在では腸内細菌との関係からも注目されています。

つまり、

「ヨーグルト+きな粉」

という組み合わせは、単に味の相性だけでなく、腸内環境について考えるうえでも興味深い食べ方というわけです。

■はちみつ

そして、ヨーグルトときな粉に加えているのが「はちみつ」です。

はちみつにはさまざまな糖類が含まれており、オリゴ糖も含まれています。

腸内細菌について考える場合、菌そのものだけでなく、腸内細菌が利用する食品成分を一緒に摂るという考え方があります。

「ヨーグルトに甘みを加える」というだけでなく、きな粉やはちみつを一緒に組み合わせているところが面白いですね。

■めかぶ

さらに中村鷹之資さんの朝ごはんには「めかぶ」もあります。

めかぶはワカメの根元近くの部分で、独特のネバネバとした食感があります。

海藻類は食物繊維を含む食品なので、食物繊維を食事に取り入れる選択肢の一つになります。

つまり食物繊維という視点でも、

きな粉+めかぶ

という2種類の食品を朝食の中に取り入れているわけです。

■4つを組み合わせてみると面白い

こうして一つずつ見てみると、中村鷹之資さんの朝ごはんは、

ヨーグルト → 発酵食品
きな粉 → 大豆由来の食物繊維など
はちみつ → オリゴ糖を含む
めかぶ → 食物繊維を含む海藻

という組み合わせになっています。

本人が「腸活」を目的として、この朝食を選んでいるのかどうかは投稿だけからはわかりません。

そのため、「中村鷹之資さんは腸活をしている」とまではいえません。

ただ、栄養という視点から見てみると、ヨーグルトだけを単独で食べるのではなく、食物繊維などを含む食品を複数組み合わせた、腸内環境を考えるうえで興味深い朝食といえそうです。

■大事なのは「一つの食品」ではなく組み合わせなのかも

健康情報では、

「ヨーグルトがいい」
「食物繊維がいい」
「○○菌がいい」

というように、一つの食品や一つの成分だけが注目されがちです。

しかし、実際の食事は一つの食品だけでできているわけではありません。

今回の朝ごはんの面白さも、まさにそこにあります。

・ヨーグルトを食べる。
・そこにきな粉とはちみつを加える。
・さらに海藻であるめかぶを食べる。

特定の食品だけに頼るのではなく、毎日の食事の中でいろいろな食品を組み合わせていく。

腸内環境を考えるときにも、こうした「食事全体を見る」という視点を持っておきたいですね。

便秘や腸内環境について詳しく知りたい方はこちらもどうぞ。

→ 即効性のある便秘解消方法(ツボ・運動・マッサージ・食べ物)・便秘の原因 について詳しくはこちら

【関連記事】

中村鷹之資さんの朝食と似た「ヨーグルト+はちみつ+水溶性食物繊維」という組み合わせについては、こちらの記事でも紹介しています。

【得損】むくみ腸を改善して便秘解消!ヨーグルト+ハチミツ+大根(水溶性食物繊維)
【#こんな私は何を食べればいいですか】糖尿病予防にオクラ茶レシピ!高血圧対策にサトイモポテトサラダの作り方!肩こり解消にアーモンドのはちみつ漬け!|11月26日







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もし、

なぜこういう考え方になるのか

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この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

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「1日8000歩+速歩き20分」は本当に病気予防になる?論文からわかった「歩数」と「歩く強さ」の重要性

「健康のために歩きましょう」といわれても、

「いったい何歩歩けばいいの?」
「ただ歩くだけでいいの?」
「1万歩まで歩かないと意味がない?」

と思う人も多いのではないでしょうか。

2026年10月7日のウェザーニュースでは、「中之条研究」で知られる青栁幸利さんが、健康維持のための歩き方として「1日8000歩、そのうち20分は速歩き」を紹介しています。

速歩きの目安は、「歌は歌えないけれど、会話はできる」程度の中強度運動です。

では、なぜ「8000歩+20分」なのでしょうか。

実際の論文を調べてみると、面白いことが見えてきます。

■「8000歩+20分」の原点、中之条研究とは?

中之条研究は、群馬県中之条町の高齢者を対象として、歩数だけではなく、加速度計によって「どれくらいの強さで身体を動かしたか」まで測定してきた研究です。

研究の目的の一つは、

「何歩歩いたか」という量だけでなく、「どのくらいの強度で身体を動かしたか」という質も含めて健康との関係を調べる

ことでした。

2008年に発表された中之条研究の論文では、65~84歳の220人について、歩数計・加速度計を用いて1年間にわたり身体活動を測定しました。

その結果、75~84歳では、

1日8000歩以上

または

3METsを超える身体活動を1日20分以上

行っている人では、メタボリックシンドロームの診断項目が少ない傾向がみられました。

さらに10年間追跡した別の中之条研究でも、8000~1万歩程度、または20~30分程度の3METs超の活動と、メタボリックシンドロームとの関係が検討されています。

ここから、

「歩数だけでなく、中強度の運動も取り入れよう」

という考え方が見えてきます。

■でも「8000歩未満ではダメ」という意味ではない

ここが一番大切です。

2025年、医学誌『The Lancet Public Health』に、歩数と健康について非常に大規模な系統的レビュー・メタ解析が発表されました。

57研究、35コホートをまとめ、全死亡、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知症、うつ症状、身体機能、転倒などと歩数の関係を調べています。

その結果、

健康のためには必ずしも1万歩必要ではなく、1日7000歩程度でもかなりの健康効果と関連する

ことが示されました。

1日2000歩の人と7000歩の人を比較すると、

全死亡リスク:約47%低い
心血管疾患の発症リスク:約25%低い
心血管疾患死亡リスク:約47%低い

という関連が報告されています。

がんについては少し注意が必要です。

7000歩ではがん死亡リスクは37%低い一方、がん発症リスクについては6%低かったものの統計学的に有意ではありませんでした。

したがって、

「7000歩歩けばがんを予防できる」

とまで言ってしまうのは、現在の研究からは少し言い過ぎです。

以前ハクライドウで紹介した「1日7千歩で死亡リスクが47%低下」の記事とも、ここはきれいにつながります。

■つまり8000歩は「合格ライン」ではない

ここまでを一般向けにものすごく簡単にすると、

2000歩 → 5000歩 → 7000歩

と歩数が増えるにつれて健康上のメリットとの関連が大きくなっていき、

5000~7000歩あたりから、さらに歩数を増やしたときの追加的なメリットが徐々に小さくなる

というイメージです。

2025年のメタ解析でも、全死亡、心血管疾患、認知症、転倒では、歩数との関係は単純な直線ではなく、5000~7000歩付近に変曲点がみられました。

ですから、

「今日は6500歩だった。8000歩いかなかったから意味がない」

とは考えなくてよさそうです。

今より少し多く歩くこと自体に意味がある。

これは運動を続けるうえでも大切な考え方だと思います。

■「何歩歩くか」だけでなく「どう歩くか」

そしてもう一つ興味深いのが歩く速さです。

2014年に地域在住の高齢者5000人を調べた研究では、「1分間100歩以上」の速さで歩ける人は、それ未満の人と比較して、さまざまな要因を調整した解析で全死亡リスクが21%低いことと関連していました。

また、21~40歳を対象に歩行速度と運動強度を実測した研究では、

1分間約100歩

が中強度、すなわち約3METsの身体活動を判断する実用的な目安になると報告されています。

ただし100歩/分は、年齢や体力に関係なく全員に当てはまる絶対的な数字ではありません。

一般の人には、青栁さんが紹介している

「歌を歌うのは難しいけれど、会話ならできる」

くらいを目安とする方がわかりやすいでしょう。

■最新研究からも「歩数+強度」が見えてきた

さらに、2026年9月に『British Journal of Sports Medicine』に発表された研究では、UK Biobankの参加者を対象に、1日の歩数と歩行強度を組み合わせて死亡リスクとの関係を調べています。

解析対象は64,743人で、歩数だけでなく、その日に歩いた中で最も活動的だった30分間の歩調も評価されました。

興味深いことに、歩数が5000歩未満のグループでも、歩行強度が高いほど全死亡リスクが低い関係がみられました。

また5000~7500歩のグループでも同様の関係が示されています。

つまり最新研究からも、

「たくさん歩く」だけを見るのではなく、「その中で少し速く歩く」という視点

が重要である可能性が見えてきています。

これは中之条研究が長年注目してきた「量+質」という考え方とも重なります。

■では私たちはどう歩けばいい?

ここまでの研究を踏まえると、私は「8000歩・速歩き20分」を厳密なノルマとするより、

1) まず今より歩数を増やす

5000歩の人なら、いきなり8000歩を目指さなくてもいい。

まず5500歩、6000歩と増やしていく。

2) 7000~8000歩は一つの実践的な目標

最新の大規模メタ解析では7000歩程度でも幅広い健康アウトカムとの関連が確認されています。

中之条研究で示されてきた8000歩前後とも大きく離れていません。

3) その中に少し「速歩き」を入れる

全部を速く歩く必要はありません。

通勤、買い物、犬の散歩など、普段の生活の中で、

「歌うのは難しい。でも会話はできる」

くらいの歩きを少し取り入れる。

これなら特別な運動施設も必要ありません。

「歩く」は、とても身近な健康への投資

こうして論文を追っていくと、面白いことがわかります。

研究によって、

「7000歩」

「8000歩」

「中強度20分」

など数字は少しずつ違います。

しかし共通しているメッセージはかなりシンプルです。

・座っている時間を少し減らして歩く。

・そして、その一部を少し速く歩く。

それだけでも健康上のメリットと関連することが、さまざまな研究から見えてきています。

「1万歩歩かなければ運動したことにならない」と考える必要はなさそうです。

まずは今日、

「いつもより少し歩く」

そして余裕があったら、

「そのうち少しだけ速く歩く」

というところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

Park S, et al. Year-Long Physical Activity and Metabolic Syndrome in Older Japanese Adults: Cross-Sectional Data From the Nakanojo Study. The Journals of Gerontology: Series A. 2008;63(10):1119-1123. 中之条研究では、65~84歳の日本人220人を対象に、1年間の歩数・活動強度とメタボリックシンドロームとの関連を調べています。

Ding D, et al. Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis. Lancet Public Health. 2025;10(8):e668-e681. 57研究・35コホートを対象とした系統的レビューで、歩数と全死亡、心血管疾患、がん、糖尿病、認知症などとの関連を検討しています。

Brown JC, Harhay MO, Harhay MN. Walking Cadence and Mortality Among Community-Dwelling Older Adults. J Gen Intern Med. 2014;29:1263-1269. 高齢者5000人を対象に、歩行ペースと死亡リスクとの関連を検討しています。

Tudor-Locke C, et al. Walking cadence (steps/min) and intensity in 21–40 year olds: CADENCE-adults. Int J Behav Nutr Phys Act. 2019;16:8. 中強度歩行の実用的な目安として約100歩/分を提示しています。

Wei L, et al. Combinations of stepping intensity and daily step counts against all-cause and cardiovascular disease mortality: insights from a device-based prospective study. Br J Sports Med. 2026. 歩数と歩行強度の組み合わせと死亡リスクとの関連を解析しています。

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人間は「栄養」を食べているわけではない?完全栄養食とNASA宇宙食から考える「食べる」ということ

ハクライドウではこれまで「完全栄養食」について何度も取り上げてきました。

忙しくて食生活が乱れやすい人の栄養補給、高齢者の低栄養、将来の食糧問題などを考えると、必要な栄養素を効率よく摂取できる完全栄養食には大きな可能性があります。

日清食品の完全栄養食について調べた際には、単なる一つの商品ではなく、社員食堂やレストラン、シニアの健康寿命支援、さらには個人に合わせた栄養のパーソナライズへ発展していくロードマップも紹介しました。

ですから、この記事は「完全栄養食はよくない」という話ではありません。

むしろ今回考えてみたいのは、以前から完全栄養食を調べる中で何度も浮かんできた一つの疑問です。

そもそも、人間にとって「食べる」とは何なのでしょうか?

■「栄養さえ摂れれば食事はいらない?」という疑問

2014年から紹介してきた完全栄養食「Soylent(ソイレント)」は、この問題を考えるうえで象徴的な存在でした。

ハクライドウでは、ソイレントだけで30日間生活するという実験を紹介しながら、

「本当に栄養だけがとれればいいのでしょうか?」

と問いかけています。

そこで注目したのは、食事には栄養補給だけではなく、人に喜びを与えたり、人とのコミュニケーションにつながったりする側面もあるということでした。

その後、日清食品のAll-in PASTAを取り上げた記事でも同じ問題について考えています。

必要な栄養を摂るだけなら非常に合理的です。

しかし、人間は食事を香りで楽しみ、見て楽しみ、食べて楽しんでいます。

そこでハクライドウでは、アレンジによって食に変化を持たせられる完全栄養食には、「食の楽しみ」まで考えた可能性があるのではないかと考えていました。

さらに、完全栄養食だけの生活を6年間続けている男性について取り上げた際には、今度は「咀嚼」に注目しました。

液体や粉末から栄養を摂取できたとしても、「噛む」という行為までなくしてしまってよいのだろうか、という問題です。

こうして振り返ってみると、ハクライドウでは完全栄養食を追いかけながら、ずっと同じ問いを別の角度から考えてきたように思います。

■「栄養的に完全であること」と「食事として完全であること」は同じなのだろうか?

きっかけはSNSで見かけた「食事の自動化」

今回この問題を改めて考えるきっかけになったのが、SNSの投稿で話題になった食生活のアイデアでした。

冷凍庫に平日数週間分の食事をストックして、夕食をある程度固定してしまう。

毎日、

「今日の夕飯、何を食べよう?」

と考える必要がありません。

買い物、献立、調理などの負担も小さくできます。

これは非常に合理的です。

特に、健康的な食生活をしたいと思っていても、毎日の忙しさの中でそれを実践することが難しい人にとって、食事をある程度「仕組み化」することには大きなメリットがあります。

ところが、その投稿への反応の中には、

「同じような食事を続けているうちに食べたくなくなった」

「パッケージを見るのも嫌になった」

「同じような柔らかな食感が苦手になった」

といった体験談もありました。

【参考リンク】
Xの投稿1
Xの投稿2

もちろん、SNS上の個人的な体験談から一般化することはできません。

しかし、

なぜメニューが違っていても「同じものを食べ続けている」という感覚になることがあるのだろう?

と考えてみると、とても面白い研究分野につながっていきます。

■同じものを食べていると魅力が下がる「感覚特異的満腹」

食行動研究には「感覚特異的満腹(sensory-specific satiety)」と呼ばれる現象があります。

簡単にいえば、ある食品を食べていくうちに、食べていた食品に対する快さが選択的に低下していく現象です。

重要なのは、

単純に「お腹いっぱいだから何も食べたくない」という現象とは少し違う

ということです。

食べていたものへの魅力は低下していても、違った特徴を持つ食品なら食べたいと感じることがあります。

つまり私たちが食べているのは、単に、

「タンパク質何g」

「炭水化物何g」

「ビタミン何mg」

という栄養素ではありません。

食品から入ってくるさまざまな感覚情報を受け取りながら食事をしています。

■「メニューが違う」だけでは十分ではないのかもしれない

ここで最初のSNSの話が面白くなります。

仮に毎日料理の名前が違っていたとしても、

容器が似ている。

見た目が似ている。

香りが似ている。

温度が似ている。

そして、

食感が似ている。

そうすると、料理の名前としては20種類あったとしても、私たちの感覚にとって本当に20種類の異なる食体験になっているのかは別の問題です。

ここはまだ仮説ですが、「食事の多様性」を考えるときには、メニューの数だけではなく、

味 × 香り × 見た目 × 温度 × 食感

といった「感覚の多様性」を考える必要があるのかもしれません。

サクサク。

パリパリ。

シャキシャキ。

もちもち。

トロトロ。

温かいもの。

冷たいもの。

香ばしいもの。

料理として考えれば当たり前の違いですが、栄養素だけを基準に食事を見ると、こうした違いはほとんど見えなくなってしまいます。

■実はNASAも「食べ続けられる食事」を研究している

この問題をもっと極端な環境で考えると、「宇宙食」に行き着きます。

宇宙では食品の保存性や重量、スペースなど地上とは異なる制約があります。

NASAでは、長期宇宙飛行において限られた食事を繰り返すことが食品の受容性にどのような影響を与えるのか、「menu fatigue(メニュー疲労)」という観点から研究されています。

つまり、

栄養学的に必要なものを用意するだけではなく、人間がそれを食べ続けられるのか

という問題です。

ここが完全栄養食を考えてきたハクライドウにとって非常に興味深いところです。

宇宙食という究極に合理性が求められる食事であっても、結局は「人間が食べる」という問題から逃れられないのです。

■なぜ人間は「いろんなもの」を食べたくなるのだろう?

こう考えてみると、普段は当たり前だと思っている食生活が少し違って見えてきます。

例えば朝食に、

味噌汁。

ご飯。

焼き魚。

漬物。

卵焼き。

が並んでいるとします。

栄養素だけで見れば、それぞれを分解して、

タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル……

と表現できます。

しかし人間が実際に経験している食事は、それだけではありません。

味噌汁を飲む。

魚を噛む。

漬物をポリポリ食べる。

温かいご飯と一緒に味わう。

そこには味も、香りも、温度も、硬さも、音もあります。

そして昨日魚を食べたなら、

「今日は肉にしようかな」

と思う。

単なる「気まぐれ」のように見えます。

でも今回考えてきた感覚特異的満腹や食事の単調性という視点から見ると、

こうした変化を求めること自体が、人間の食行動の興味深い特徴なのではないか

と思えてきます。

■完全栄養食の考え方に問題があるわけではない

ここは強調しておきたいところです。

完全栄養食という考え方そのものが間違っているわけではありません。

ハクライドウでは以前から、完全栄養食には、忙しい人の栄養補給、高齢者の低栄養対策、食糧問題などに活用できる可能性があると考えてきました。

また日清食品のロードマップを見ると、完全栄養食を一種類だけ食べ続けるという発想ではなく、社員食堂、レストラン、小売、シニア支援、個人に合わせた食の提案などへ広げようとしていることがわかります。

むしろ面白いのはその先です。

完全栄養食が発達すればするほど、

「では人間にとって本当に完全な食事とは何だろう?」

という問いが生まれてきます。

■完全なのは「栄養」なのか、それとも「食事」なのか

必要な栄養素をすべて含んでいる。

カロリーもちょうどいい。

タンパク質も十分。

ビタミンやミネラルも計算されている。

これは「栄養」という面では、とても合理的な食事です。

でも人間は、

見る。

嗅ぐ。

味わう。

噛む。

食感を感じる。

温度を感じる。

選ぶ。

誰かと食べる。

そして「おいしい」と感じる。

過去の記事では、これを「食べる楽しみ」「コミュニケーション」「咀嚼」という方向から考えてきました。

今回そこに、

「感覚の多様性」

という視点が加わったのではないでしょうか。

■食生活で本当に大切なのは「続けられること」なのかもしれない

健康情報では、

「○○を食べましょう」

「○○を減らしましょう」

「栄養バランスを整えましょう」

といった話になりがちです。

しかし健康は一回の食事だけで決まるわけではありません。

大切なのは食習慣です。

そう考えると、

栄養的に優れていることと、その食生活を人間が無理なく続けられることの両方

を考える必要があります。

毎日食事について考えなくてよい仕組みは、ある人にとって食生活を続ける助けになります。

一方で、別の人にとっては、

「今日は何を食べよう?」

と選ぶこと自体が食生活を続けるために必要なのかもしれません。

つまり重要なのは、

「食事を効率化すること」が良いか悪いかではなく、どこを効率化し、どこに人間らしい変化を残すのか

なのではないでしょうか。

■まとめ 人間は「栄養」を食べているわけではない

完全栄養食について長く調べてきましたが、今回改めて感じたのは、

人間は「栄養」を食べているのではなく、「食事」を食べている

ということです。

必要な栄養素を摂ることはもちろん大切です。

しかし人間にとっての食事は、

栄養 + 味 + 香り + 見た目 + 食感 + 温度 + 咀嚼 + 選択 + 人とのつながり

のような、非常に複雑な体験なのかもしれません。

完全栄養食は、その中の「栄養」という非常に重要な問題を解決しようとするものです。

だからこそ、その考え方をさらに先へ進めるなら、

どうすれば必要な栄養を摂ることができ、なおかつ人間が「食べたい」と思い続けられるのか?

まで考える必要があるのではないでしょうか。

宇宙食という極端な環境について考えても、完全栄養食について考えても、最後には同じところに戻ってくるように思います。

「人間が食べる」とは、一体どういうことなのか。

もしかすると、本当の意味での「完全な食事」を考えるためには、栄養成分表だけではなく、私たちが食事をどこで、どのように感じているのかまで考える必要があるのかもしれません。

【関連記事】

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日清の完全栄養食のロードマップとは?
日清のAll-in PASTAは完全栄養食のパスタ!

【参考文献】

Rolls BJ, Rolls ET, Rowe EA, Sweeney K. Sensory specific satiety in man. Physiology & Behavior. 1981;27(1):137-142.
DOI: 10.1016/0031-9384(81)90310-3
→ ある食品を食べた後、その食品の「おいしさ」の評価が、食べていない食品より大きく低下することなどを示した、感覚特異的満腹(sensory-specific satiety)の代表的研究です。
Penn Stateの論文情報

Stribiţcaia E, Evans CEL, Gibbons C, Blundell J, Sarkar A. Food texture influences on satiety: systematic review and meta-analysis. Scientific Reports. 2020;10:12929.
DOI: 10.1038/s41598-020-69504-y
→ 食品の形態・粘度・構造などの「食感」と、空腹感・満腹感・摂食量との関係を検討したシステマティックレビュー/メタ解析です。ただし研究間のばらつきが大きく、著者らも慎重な解釈が必要としています。
PubMed

NASA. How Does Spaceflight Change Food Appeal? 2021.
→ NASAが長期宇宙飛行における「menu fatigue」を研究していることを紹介しています。食べ物の受容性には、見た目、風味、食感、香りなど複数の要素が関係し、NASAは長期ミッション中の食事の受容性を調査しています。
NASAの記事

Douglas GL, Oswald T, Bell ST, Young M. Food Acceptability, Menu Fatigue, and Aversion During the SIRIUS-21 Analog Mission. NASA Technical Reports Server.
→ SIRIUS-21という8か月間のアナログミッションで、繰り返し食品を食べることによる受容性やmenu fatigueなどを調べた研究です。
NASA Technical Reports Server

Douglas GL, Bell ST, Roma PG, Oswald T, Young M. Food acceptability and selection by astronauts on International Space Station missions informs strategies and risks for deep space exploration. Frontiers in Psychology. 2025;16.
DOI: 10.3389/fpsyg.2025.1562044
→ ISSの宇宙飛行士15人を対象に、約6か月および1年間のミッションで食品の受容性を調査した研究です。興味深いことに、食品の受容性スコア自体はミッション中に低下せず、宇宙飛行士は早い段階から自分の好みの食品を選んでいました。個人の好みや食事の多様性を考えるうえで重要な研究です。
Frontiers掲載論文







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

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同じ考え方のもとで並んでいます。

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単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

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薬丸裕英さん、1年2か月禁酒しても脂肪肝・LDLコレステロール・総コレステロールが正常値にならず|肝臓を悪くするのはお酒だけじゃない?

薬丸裕英さんは、血液検査の数値をすべて正常にすることを目標に、1年2か月にわたって禁酒を続けているそうです。

しかし、2026年10月6日に報じられた内容によれば、還暦の誕生日までにすべての数値を正常にするという目標は達成できず、「LDLと総コレステロールと脂肪肝」の3つが正常値ではなかったと明かしています。

1年以上も禁酒を続けているのに、なぜ脂肪肝のままなのでしょうか?

ポイントになるのは、脂肪肝の原因はお酒だけとは限らないという点です。

■薬丸裕英さん、2021年には中性脂肪が415mg/dL

実は薬丸裕英さんは、以前にも血液検査の数値について明かしています。

2021年には、人間ドックで中性脂肪値が高かったことをきっかけに食事制限を始めたそうです。

当時のブログによれば、妻が脂質を抑えたメニューを考えるなど食事を工夫し、中性脂肪値が415mg/dLから196mg/dLまで減少したと紹介されています。

つまり薬丸裕英さんの場合、

2021年 「中性脂肪値が高い」 → 食生活を工夫 → 415mg/dLから196mg/dLへ

そして、

2026年 血液検査の数値正常化を目指して1年2か月禁酒 → それでも「LDL・総コレステロール・脂肪肝」が正常値ではなかった

という経緯になります。

ここで注意したいのは、「中性脂肪」と「LDLコレステロール」はどちらも脂質に関係する検査項目ですが、同じものではないということです。

以前、中性脂肪の数値が下がったからといって、その後LDLコレステロールなども同じような変化をするとは限りません。

■脂肪肝というと「お酒」が原因だと思っていませんか?

「脂肪肝」と聞くと、

「お酒をたくさん飲む人がなる病気」

というイメージを持っている方もいるかもしれません。

しかし、脂肪肝はお酒だけが原因ではありません。

ハクライドウでも以前、「肝臓を悪くするのはお酒だけじゃない!甘い飲み物も摂りすぎると脂肪肝の原因になる!」という記事で取り上げています。

今回の薬丸裕英さんについても、脂肪肝の原因が何なのかはニュース内容だけでは分かりませんが、「禁酒をしたのだから脂肪肝も必ず正常になる」と単純には考えられないことは覚えておきたいですね。

■お酒を飲まない人でも脂肪肝になることがある

ハクライドウでは、過去に「お酒を飲まない20代男性のALTが高値で脂肪肝の理由は毎日水代わりにコーラやカフェオレを飲んでいたことにあった!」というケースを紹介しています。

このケースの興味深いところは、「お酒を飲まない」という点です。

脂肪肝を考える場合には、飲酒の有無だけを見るのではなく、普段何を食べたり飲んだりしているのかという視点も重要になります。

脂肪肝の人は水を飲まない人が多い傾向にあるそうなので、何を飲んでいるかを見直しましょう。

■甘いものの食べ過ぎと脂肪肝

例えば名取裕子さんも、過去に肝臓の数値について取り上げられています。

「名取裕子さん、肝臓の数値が悪くて4キロダイエットしたら正常値に!原因は甘いものの食べ過ぎ!」では、甘いものの食べ過ぎと肝臓の数値について紹介しました。

また、NHK「あさイチ」で紹介された内容をまとめた「女性が注意したい脂肪肝の原因(甘いものの食べ過ぎ)」でも、甘いものと脂肪肝について取り上げています。

さらに、ハクライドウでは「甘いものを食べるなら日中を選ぶと脂肪肝や高脂血症などのメタボになりにくい!|名古屋大学」という研究についても紹介しています。

こうした例を見ていくと、脂肪肝を予防・改善することを考える際には、「お酒を飲むか飲まないか」という一つの生活習慣だけではなく、食生活全体を見ることが大切だと考えられます。

■脂肪肝では「体重」にも注目

もう一つ注目したいのが体重です。

ハクライドウでは以前、「ななまがりの初瀬悠太さん、健康診断で『肝臓に脂肪肝』が発覚!間食をやめて7kgダイエット」という記事を紹介しました。

先ほど紹介した名取裕子さんのケースでも、4キロ減量した後に肝臓の数値が正常値になったことが紹介されています。

もちろん、「体重を減らせば誰でも脂肪肝が改善する」という意味ではありません。

ただ、脂肪肝について考える際には、飲酒だけを見るのではなく、

・食事
・甘いものや甘い飲み物
・間食
・体重
・運動
・飲酒

など、自分の生活習慣を総合的に振り返ることが大切なのではないでしょうか。

■「一つの健康法ですべての数値が正常になる」とは限らない

今回の薬丸裕英さんのエピソードで興味深いのは、健康診断の数値を改善するために、実際に生活習慣を変えていることです。

2021年には中性脂肪値が高かったことから食生活を見直し、今回は血液検査の数値正常化を目標に1年2か月禁酒しています。

それでも今回、「LDL・総コレステロール・脂肪肝」が正常値ではなかったことを明かしています。

ここから私たちが参考にしたいのは、

「一つの健康法だけですべての検査値を改善しようと考えない」

ということではないでしょうか。

中性脂肪、LDLコレステロール、肝臓の状態など、それぞれを確認しながら、食事・運動・体重・飲酒など生活習慣全体を見直していくことが大切です。

健康診断で数値に変化があったときには、「お酒をやめたから大丈夫」「食事を変えたから大丈夫」と一つだけで判断せず、検査結果をもとに必要に応じて医師と相談しながら、自分に合った改善方法を考えていきたいですね。

→ 脂肪肝を治す方法 について詳しくはこちら

【参考リンク】

薬丸裕英 60歳、数値正常化を目指して1年2か月 禁酒を続けるも友人から“まさか”の指摘(2026年10月6日、日テレニュース)

薬丸裕英、妻のおかげで減少した数値「色々なメニューを考えてくれました」(2021年11月19日、ABEMA)







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

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単発の健康情報やレシピの話ではありません。

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