最近考えているのが、「伝統的な和食は本当に健康食といえるのだろうか?」ということです。
私たちは何となく「和食=健康」というイメージを持っています。しかし、一つひとつの料理や栄養素だけを見ると気になる点もあります。
一方で、魚や大豆、海藻、発酵食品など、和食には世界の他の食文化と比べても興味深い特徴があります。
では、和食は健康食なのでしょうか。それとも改善すべき食事なのでしょうか。
この記事では「和食か地中海食か」という二者択一ではなく、伝統的な和食の良さを残しながら、現代の食生活をどう改善できるのかを考えてみます。
※伝統的な和食が悪いという意味ではありません。現代の日本人の食生活を考えた場合に、改善できるポイントがあるという意味で「弱点」と表現しています。
■日本の食事の3つの弱点
■伝統的な和食を現代の栄養学から見ると気になる3つのポイント
和食そのものを「健康」「不健康」と単純に評価することはできません。また、伝統的な和食と、現在の日本人が実際に食べている食事も同じではありません。
ここでは、魚や大豆、野菜、海藻、発酵食品などを組み合わせる和食の良さを認めたうえで、現代の栄養学の視点から、今の食生活で意識したいポイントを考えてみます。
1)野菜の摂取量が意外と少ない
伝統的な和食の「一汁三菜」では、小鉢で野菜を摂るスタイルが多いですが、一口・二口程度の量になりがちで、1日の目標量(350g)に届かないケースが多々あります。
煮物やお浸しなどの加熱調理では、ビタミンCや一部の水溶性ビタミンが調理によって減少することがあります。一方、加熱することでかさが減り、野菜を多く食べやすくなるというメリットもあります。
生野菜と加熱野菜のどちらかを健康的と考えるのではなく、それぞれの特徴を生かして組み合わせるのがよいでしょう。
また、漬物による野菜摂取は塩分過多の要因になります。
韓国の方に生野菜・茹で野菜(ナムルなど)をジャンで食べる習慣が一般的と聞いたことがあります。日本では野菜の煮物やお漬物が多いですよね。日本では衛生面や寄生虫(下肥の使用)の理由から野菜を生で食べる習慣はほとんどなく、加熱か漬物が基本だったみたいです。https://t.co/STfbdKpIV6
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) August 28, 2026
2)煮物や調味料による「隠れ砂糖」と「塩分過多」
実は和食の大きな特徴であり弱点でもあるのが「塩分」と「砂糖(みりん含む)」の多さです。
煮物、照り焼き、すき焼き、寿司飯、つゆ・タレ類などは、料理によって砂糖やみりん、塩、しょうゆなどを多く使うことがあります。
和食の健康面を考える際には、料理そのものだけでなく、こうした調味料から摂る糖分や塩分にも目を向ける必要があります。
韓国の方に生野菜・茹で野菜(ナムルなど)をジャンで食べる習慣が一般的と聞いたことがあるんですが、日本では火を通したもの(焼く、煮る)が多いですよね。味付けも実は日本は甘じょっぱいが独特。このあたりの食文化の違い・背景・成り立ちが気になります。https://t.co/STfbdKpIV6
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) August 27, 2026
3)タンパク質の不足(特に伝統的な献立)
昔ながらの一汁一菜に近い和食は、魚や豆腐・納豆などの大豆製品が中心で、質は良いものの絶対量が不足しがちです。
特に高齢者や運動習慣のある人にとっては、筋肉量を維持するためのタンパク質が足りず、フレイル(加齢による虚弱)の原因になることがあります。また、朝食でのタンパク質不足は体内のリズムや代謝の低下にも繋がります。
タンパク質の少ない朝食の場合は、時計遺伝子はリセットされず、内臓の機能も低下したまま。脳は体が飢餓状態にあると判断。昼食をとると、飢餓状態に対応するため、体内に脂肪をため込む機能がスタート。脂肪がエネルギーとして消費されず、コレステロール量が増加。https://t.co/1ZalXBVxSn
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) September 2, 2026
■ 和食が「健康食」と評価される要素
もちろん日本食、和食には健康食、長寿食と評価される要素があります。
●PFCバランスの優位性
精製油脂の使用量が少なく、脂質エネルギー比率が控えめで、肥満になりにくい(低脂質・高炭水化物)。
●発酵食品の豊富さ
味噌、醤油、納豆、漬物など、腸内環境を整える多種多様な発酵食品を日常的に摂取できる。
●魚介類(n-3系多価不飽和脂肪酸)
青魚に含まれるEPA・DHAの摂取頻度が高く、心血管疾患の予防に寄与する。
●水溶性食物繊維
昆布やわかめなどの海藻類、大豆、根菜類から質の良い食物繊維が摂れる。
伝統的な和食の長寿食として優れたポイントは大豆と魚の組み合わせ。
これは他の地域の食にない優れたポイントといえます。
→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効果・効能・食べ物(オイル)・ダイエット について詳しくはこちら
長寿の基盤として優れている伝統的な大豆・魚+適塩のパターンに生野菜(や多様な野菜)を意識的に加えることで、カリウム・食物繊維・熱に弱いビタミンなどの面でさらに補強できる可能性が高いです。「まごわやさしいよ」を意識しながら食事をしてみてはいかがでしょうか?https://t.co/Ukkgj0T2tK
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■地中海式食事との比較
科学的根拠(エビデンス)の蓄積という点では、現時点で地中海式食事法が世界で最も高く評価されている食事パターンの一つです。
●健康的な加齢に最も効果的だった食事は健康に良い食品を積極的に食べ、悪い食品を控える食事パターンだった!で紹介した「Nature Medicine」に掲載された研究によれば、健康的な加齢(老化)に最も効果的だった食事パターンとして紹介されたのが、健康に良い食品を積極的に食べ、悪い食品を控えることを目指した食事パターン「AHEI(Alternative Healthy Eating Index)」です。
【健康的な老化を助ける食品】
- 果物、野菜、全粒穀物(玄米や全粒パン)
- 不飽和脂肪酸(オリーブオイルや青魚の脂肪)
- ナッツ、豆類、低脂肪乳製品
●炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高い!によれば、地中海式ダイエット(野菜、果物、魚、オリーブオイルなどが中心)など健康的な食事をしている人は認知症のリスクが低く、反対に炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高いことがわかりました。
■地中海式食事法が推奨される理由
●心血管疾患(心筋梗塞・脳卒中)の発症・死亡リスク低下
●2型糖尿病の発症予防および改善
●認知機能低下の抑制・認知症予防
【伝統的な和食】
・脂質少なめ(魚の油、植物油微量)
・塩分高い(味噌汁、醤油、漬物)
・野菜は中程度、果物は控えめ
・精白米(白米)が中心
・魚介・大豆製品
【地中海式食事】
・エクストラバージンオリーブオイル(豊富)
・塩分低い(ハーブやスパイス、レモンで味付け)
・野菜・果物・ナッツ類が極めて豊富
・全粒穀物(パン、パスタ、雑穀)
・魚介・鶏肉・豆類(赤肉は控えめ)
地中海食の特徴は、オリーブオイルという一つの食品だけにあるわけではありません。野菜、果物、豆類、ナッツ類、全粒穀物、魚介類などを組み合わせ、赤肉などを控える「食事パターン全体」として考えることが大切です。
したがって、地中海食に関する研究成果から「日本人もオリーブオイルを増やせば健康になる」と単純化することはできません。日本人には魚や大豆を食べてきた食文化があり、もともとの食事の脂肪酸組成や食習慣も異なるからです。
この記事では地中海食そのものを日本に持ち込むのではなく、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物などを取り入れる考え方や、塩分を抑えながらおいしく食べる工夫など、日本の食生活にも応用できる部分に注目します。
調べてみると、食生活が乱れがちな人や運動不足の人ほど、ナッツを食べる恩恵を受けやすい傾向にあるそうです。ナッツには抗酸化物質やオメガ3脂肪酸などが豊富に含まれているので、毎日の食生活にナッツ(アーモンド、クルミ、カシューナッツなど)を取り入れたいですね。https://t.co/vNK8XovreV
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) September 2, 2026
調べてみると、臓器ごとに老化の転換点が違っているって驚きですね。炎症の高まりが共通の特徴なので、抗炎症食品を摂るような生活習慣で炎症を抑える対策が、将来の健康寿命延伸につながる可能性がありそうです。https://t.co/65GL459TUZ
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) September 2, 2026
『トークィーンズ』でLE SSERAFIMのSAKURAさんはインナーケアを意識しはじめてから化粧のノリや、朝の寝起きにもいい影響が出ているそうです。トマトジュースとオリーブオイル(抗酸化)とレモン汁を混ぜて飲む朝の習慣、水を飲む大切さに気づき意識的に飲む。https://t.co/KDhvqFCSQ5
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) August 30, 2026
食事が認知症のリスクにどう影響するかを調べた研究によれば、地中海式ダイエット(野菜、果物、魚、オリーブオイルなどが中心)など健康的な食事をしている人は認知症のリスクが低く、反対に炎症を引き起こす食事をしている人は認知症のリスクが高いことがわかりました。https://t.co/VkMPgkqjGw
— ばあちゃんの料理教室【70代おばあちゃんの旬の料理】舶来堂🍳💓 (@hakuraidou) August 28, 2026
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■まとめ
今回の話は「和食が悪いから、地中海式の食事に切り替えよう」という話ではありません。
和食にも地中海式の食事にもそれぞれ素晴らしい強みがあり、また地中海式の食事が日本人の体質にそのまま合うのか、食文化として無理なく続けられるかという視点も大切です。
大切なのは、日本の伝統的な和食の長所(魚介類、大豆製品、野菜、海藻、発酵食品など)を生かしつつ、野菜や果物、ナッツ、全粒穀物など食材の選択肢を広げ、減塩などの工夫を加えた「進化系和食」を考えていくことではないでしょうか。
例えば、
・白米に玄米、雑穀、もち麦を混ぜて食物繊維とミネラルを補う。
・味付けは砂糖や塩分を控え、出汁(昆布・かつお・干し椎茸)を効かせたり、酢や薬味、ハーブ・スパイスを活用する。
・魚や豆腐に加えてお肉類や卵も適量取り入れ、生野菜や蒸し野菜で全体的な野菜量を増やす。
・炒め物や仕上げのひと回しに、エクストラバージンオリーブオイルやオメガ3系のオイルを取り入れる。
エストロゲンには抗炎症作用があり、閉経でそれが失われると慢性炎症が広がり、病気のリスクが高まる!でも紹介したように、加齢とともに体内の慢性炎症対策は非常に重要になってきます。
和食がもつ良質なタンパク質や発酵食品のベースに、地中海式が得意とする抗炎症食材(オリーブオイル、ナッツ、生野菜など)をプラスして、日々の食事から賢く健康寿命を延ばしていきたいですね。
※ここでいう「地中海式をプラスする」とは、日本人の食生活を地中海食に置き換えるという意味ではありません。魚介類や大豆製品、野菜、海藻、発酵食品など、和食にはもともと生かしたい特徴があります。その土台を残しながら、野菜や果物、ナッツ類などを取り入れたり、料理によってオリーブオイルを使ったりするなど、現代の食生活をよりよくするヒントとして地中海食を参考にしよう、という考え方です。
【補足】地中海食をそのまま日本に持ってくる必要はない
地中海食の研究で健康との関連が報告されているからといって、日本人がこれまでの食生活をやめて、地中海地域と同じ食事をする必要があるということではありません。
食事は一つの食品や栄養素だけで成り立っているものではありません。日本には、魚介類、大豆製品、野菜、海藻、発酵食品、ごはんなどを組み合わせてきた食文化があります。
だからこそ大切なのは、「和食か地中海食か」という二者択一ではなく、和食のよいところを生かしながら、現代の食生活で改善できる部分を他の食文化から学ぶことではないでしょうか。
例えば、生野菜やトマトをおいしく食べるためにオリーブオイルを使う。間食としてナッツを取り入れる。白米だけでなく、ときどき玄米やもち麦を選んでみる。
「健康にいい食品」を追加すること自体が目的なのではなく、無理なく、おいしく、続けられる食習慣につながるかどうかという視点も大切です。
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この街を初めて訪れた方へ
この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。
この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。
ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。
この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。
もし、
なぜこういう考え方になるのか
他の記事はどんな視点で書かれているのか
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▶ この街の地図を見る(全体像を把握したい方へ)
※ 無理に読まなくて大丈夫です。
気になったときに、いつでも戻ってきてください。
この考え方の全体像(意味のハブ)
この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。
▶ 料理から見る健康
この街の考え方について
この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。
▶ この街の中心に置いている憲法を読む