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コロナ後遺症「クラッシュ」ってどんな症状?なぜ慢性疲労症候群になってしまうの?




新型コロナで増える後遺症、突然動けなくなる“クラッシュ”に注意 専門医に聞く原因と防止法(2024/8/22、メーテレ)では新型コロナの後遺症「クラッシュ」という症状が紹介されています。

■新型コロナの後遺症「クラッシュ」とは?

新型コロナの後遺症「クラッシュ」とは、一般的な医学用語ではなく、倦怠感などの軽いコロナ後遺症が残っている状態で、仕事を頑張りすぎたり、激しい運動を続けることで、ストレスが許容範囲を超えてしまい、ほとんど動けなくなり、3日以上寝込んでしまう慢性疲労症候群のことを言います。

コロナ感染で慢性疲労リスク4倍に!で紹介した米CDCなどのチームによれば、新型コロナウイルスに感染した人はしなかった人に比べ、その後に疲労感の症状が現れるリスクが1.68倍に、慢性疲労に発展するリスクは4.32倍に上ったそうです。

なぜ慢性疲労症候群になってしまうのでしょうか?

後遺症のメカニズムはまだわかっていないが、いくつかの原因は挙げられています。一つは、ミトコンドリアの機能不全。ミトコンドリアは細胞の発電所と言われ、エネルギー産生の場ですから、エネルギーが産生されなくなってしまうと、症状が悪化したり、回復に時間がかかる

スタミナアップ!ミトコンドリアを増やす2つの方法|#ためしてガッテン #NHKによれば、疲れにくい体になるためのカギは、細胞内の「ミトコンドリア」を増やすことなのだそうです。

なぜ、ミトコンドリアを増やすと、スタミナアップにつながるのでしょうか?

ミトコンドリアは、食事から得られる糖や脂質、酸素を使って、ATP(エネルギー)を作っています。

つまり、ミトコンドリアは体の筋肉や脳を動かすためには欠かせないものであり、ミトコンドリアを増やすということは、持久力の向上につながるのです。

では、どのようにすればミトコンドリアを増やすことができるのでしょうか?

ミトコンドリアを増やす方法のポイントは、「エネルギー不足の状態」をわざと作ってあげることで、ミトコンドリアを増やす細胞のスイッチがオンになること。

1.ちょっときつい運動をする

2.食事のカロリーを抑えたり、空腹の時間を長くとる

細胞の中には、「細胞内のATPの量」を監視している酵素があり、通常の運動ではATPが不足することなく、酵素が働くことはないのですが、少しきつい運動をすると、ATPが不足することで、酵素のスイッチがオンになり、ATPを作ろうと、ミトコンドリアが分裂をはじめて増えてくれるそうです。

ちょっときつい運動をする例として紹介したのが、「インターバル速歩」

インターバル速歩とは、「速歩3分」「普通歩行3分」を交互に繰り返すウォーキング。

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しかし、ミトコンドリアを増やすスイッチは、少しキツめの運動を1分続けるだけでONになるため、こまめに一分ずつ早歩きをするだけでよいそうです。

信州大学大学院医学系研究科、スポーツ医科学講座の能勢博教授によれば、出来れば毎日行うといいのですが、毎日できない場合は、1週間のトータルの速歩時間が60分ぐらいになるように回数と時間を設定するとよいそうです。

ミトコンドリアを増やす方法2.食事のカロリーを抑えたり、空腹の時間を長くとる

「カロリー制限」をしたり、「空腹感を感じる」ことによってミトコンドリアを増やすことができるそうです。

その理由は、「長寿遺伝子」が働くためだと考えられているそうです。

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また、番組では、ミトコンドリアを増やしたり、その働きを助ける栄養素についても紹介しました。

タウリン

イカやタコ、貝類(牡蠣)などに多く含まれる「タウリン」は、ミトコンドリアを増やす働きがあるそうです。

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タウリン・亜鉛・アミノ酸サプリ

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●ビタミンB群・鉄

ウナギや豚肉などに多く含まれる「ビタミンB群」やレバーなどに多く含まれる「鉄」はミトコンドリアがATPを作り出すのを助ける働きをしてくれるそうです。

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■まとめ

コロナ後遺症「クラッシュ」の原因についてはっきりわかっているわけではありませんが、コロナ後遺症で悩まされている人の中には慢性疲労の人が多くなる傾向にあるようです。

対策としては新型コロナに感染しないことが一番ですが、もう一つの対策としては日ごろから体のケアを行なっておくこと、具体的に規則正しい食事と運動、そして休息をとること。

食事の中にはミトコンドリアを増やす食品・栄養を取り入れ、そしてちょっときつい運動をすることにより、疲れにくい体になっていくかと思います。

【追記(2024年11月2日)】

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)とはによれば、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、長い期間(半年以上)にわたって強い疲労感が続き、全身の脱力などによって、日常生活を送るのが困難になる原因不明の病気です。

コロナワクチン接種後にどこも悪いところはないにもかかわらず極度の倦怠感に襲われる「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群」と診断された方がいました。

新型コロナウイルスワクチン+筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)で検索すると、新型コロナウイルス感染症と筋痛性脳脊髄炎の研究に関する請願によれば、新型コロナウイルス感染症との関連性について以下のように書かれています。

筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME・CFS)は、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類において神経系疾患と分類されている神経免疫系の難病である。二〇一四年には厚生労働省により実態調査が実施され、約三割の患者が寝たきりに近く、ほとんどの患者が職を失うという深刻な状況が明らかになった。ME・CFSの集団発生は歴史的にウイルス疾患の流行後に起きており、新型コロナウイルス感染症(COVID―19)がME・CFSの引き金になり、患者が多発する可能性があると多くの専門家が警告している。また、英国国立衛生研究所は、COVID―19の後遺症の一つがウイルス感染後疲労症候群(ME・CFSを含む)であるとする研究報告を発表した。

筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は、神経系、免疫系、内分泌系等の全身の機能に異常が生じる複雑な病態であり、世界的にもいまだ明確な病因・病態が解明できていない状況

また、新型コロナワクチン接種後に筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)を発症した患者の臨床経過に関する症例シリーズ検討では「ビタミンDの補充療養指導の効果について検討する」とありました。

ビタミンDはどんな栄養素?必要摂取量は?によれば、ビタミンDは、免疫系が体内に侵入してくる細菌やウイルスを撃退するために不可欠で、ビタミンDが不足すると、高血圧、結核、癌、歯周病、多発性硬化症、冬季うつ病、末梢動脈疾患、自己免疫疾患などの疾病への罹患率が上昇する可能性が指摘されています。

簡単にまとめると、新型コロナウイルスにかかった場合の後遺症として、また新型コロナウイルスワクチン接種後に現れる症状として「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)」に悩まされている人がいるのですが、もともと明確な病因・病態が解明できていない病気であり、ビタミンDの補充療養指導を検討しているものの、はっきりとした対処法がわからないのが現状のようです。







 

普段のおやつをピーカンナッツに置き換えるとコレステロール値がよくなる!




ある研究によれば、普段のおやつをピーカンナッツに置き換えることでコレステロール値がよくなることがわかりました。

【参考リンク】

■実験内容

心臓病や2型糖尿病は持っていないけど、メタボリックシンドロームの基準(例:高血圧や高コレステロールなど)を1つ以上持つ人たち、つまり、心臓や代謝に関する病気(心臓代謝疾患)のリスクが高い138人(平均46歳、BMI約29.8)の参加者を1日57g(約一把)のピーカンナッツを間食として食べるグループといつも通りの食事を続けるグループの2つに分けて、12週間実験を行いました。

■結果

1)脂質の改善:

ピーカンナッツを食べたグループでは、血液中の「悪い」脂質が減ったため、心臓病リスクを下げる良い変化といえます。

総コレステロール:約8.1 mg/dL減

LDLコレステロール(悪玉):約7.2 mg/dL減

非HDLコレステロール:約9.5 mg/dL減

トリグリセリド(中性脂肪):約16.4 mg/dL減

2)食事の質の向上

ピーカンナッツグループの食事の質(HEI-2020スコア;Healthy Eating Index-2020という指標で評価)が、通常食グループより9.4ポイントアップしたことから、ピーカンナッツが栄養価の高い選択肢であると考えられます。

※Healthy Eating Index-2020(HEI-2020)は、アメリカ人の食事ガイドラインの順守度を評価する指標です。食事の栄養学的質を100点満点で評価し、高い点数ほど健康的な食事と判断されます。

3)血管の健康

血管の柔らかさや血流(FMDやcf-PWV)に変化は見られないという結果が出たため、ピーカンナッツを食べても血管そのものには影響しないと考えられます。

4)体重

ピーカンナッツグループは平均0.7kg体重が増える傾向がありましたが、統計的には大きな差ではありませんでした。

■まとめ

12週間、毎日57gのピーカンナッツを間食として食べると、心臓代謝疾患のリスクがある人の血液中の脂質が減り、食事の質が向上したことから、ポテチやクッキーよりピーカンナッツを選ぶと、コレステロールが減り、栄養バランスが良くなる可能性があるということがわかりました。

ただ食べすぎには注意!

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「骨密度は維持はできても上げる方法はない」は本当?論文ベースで調べてみた!




骨密度は維持はできても上げる方法がないと以前医師から聞きました。

しかし、検索をすると一昔前は難しかったが骨密度を上げる方法があると明治薬科大学の記事にありました。

【参考リンク】

骨粗しょう症

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」とは、骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気です。

骨粗しょう症は、転倒から骨折、寝たきりになる危険性が高まることで知られていますが、自覚症状に乏しく、骨折してはじめて病気に気づく人も少なくありません。

60代女性の3人に1人がかかるとされる骨粗鬆症であり、骨粗鬆症の潜在患者は1千万人以上といわれるそうですが、自覚症状に乏しいため、実際に治療を受けている人は1割程度なのだそうです。

閉経後の女性の場合、女性ホルモン(エストロゲンは骨の形成に関わる細胞の働きを促進し、骨吸収を抑制する働きがある)の分泌が低下して骨量が急激に減るので、注意が必要です。

■骨密度が上がることはない?を論文ベースで調べてみる!

論文ベースでこの件について調べてみようと思います。

骨密度を上げることは従来難しいとされてきましたが、最近の研究では生活習慣の改善や特定の介入により骨密度の向上が可能であることを示す論文が増えているそうです。

1. 明治薬科大学の研究について

明治薬科大学セルフメディケーション学研究室の研究(2019年)は、生活習慣の改善が骨密度向上に有効であることを示しています。

研究内容:39名のモニターを対象に、カルシウム摂取や運動を中心とした生活習慣介入を6か月間実施。踵部の骨密度(YAM%)が平均6.7%向上した。これは、骨粗鬆症治療薬であるアレンドロン酸ナトリウム(6か月で平均4%改善)よりも高い効果を示した。

介入の詳細:

食事:カルシウムを意識的に摂取(牛乳は推奨せず、代替のカルシウム源を活用)。

※牛乳やチーズ、ヨーグルトは、カルシウムを豊富に含んでいるものの、脂肪分も多く含むため、コレステロールや中性脂肪、体脂肪率などが、どんどん上昇してしまうリスクがあるので、じゃこやしらす干などの小魚、にぼし粉それとお魚の缶詰を推奨

運動:ウォーキングや軽い筋トレなど、骨に適度な負荷をかける運動。

意義:薬物療法に頼らず、生活習慣の改善だけで骨密度向上が可能であることを実証。

【参考リンク】

2. 骨密度向上に関する最近の論文ベースの知見

骨密度の向上には、栄養、運動、薬物療法、またはそれらの組み合わせが関与します。以下に、論文や信頼性の高い研究に基づくエビデンスをまとめます。

(1) 栄養と骨密度

カルシウムとビタミンD:

カルシウムは骨の主要構成要素であり、ビタミンDは腸でのカルシウム吸収を促進する。1日あたりカルシウム700~800mg、ビタミンD800IUの摂取が推奨される。

論文例:Sozen et al. (2017, World Journal of Orthopedics) は、カルシウムとビタミンDの適切な摂取が骨密度の維持と向上に寄与し、特に閉経後の女性で骨折リスクを低減すると報告。

【参考リンク】

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ビタミンKとマグネシウム

ビタミンKは骨へのカルシウム取り込みを促進し、骨破壊を抑制。マグネシウムは骨質の強化に寄与。

論文例:Rondanelli et al. (2021, Nutrients) は、カルシウム、ビタミンD、ビタミンK、マグネシウムのバランス摂取が骨密度向上に有効であると結論。

【参考リンク】

【補足】

骨粗しょう症を未然に防ぐためにも、若いうちから骨密度を高めるために、骨を健康に保つ6つの栄養を摂るようにしましょう。

  1. カルシウム
  2. タンパク質
  3. ビタミンD
  4. ビタミンK
  5. マグネシウム
  6. 亜鉛

2019年2月5日放送の「たけしの家庭の医学」では「骨粗しょう症」を取り上げました。

骨が折れやすくなる原因である骨粗しょう症の街の人の対策はカルシウムの摂取ですが、中村幸男先生(信州大学医学部附属病院)によれば、栄養を適切に摂取し運動をしても骨折する患者がいるそうです。

中村先生によれば、カルシウム、ビタミンDの他に骨の健康に欠かせない重要な栄養素があり、それが「亜鉛」!

亜鉛の摂取を指導したところ、骨密度が大幅に改善し、また、何歳でも骨密度は上がるそうです。

→ カルシウムの多い食べ物 について詳しくはこちら

→ 亜鉛の多い食べ物 について詳しくはこちら

また、日を浴びることや運動をすることも骨を強くすることになるので、天気のいい日は運動をするように心がけましょう。

骨密度が治療が必要なほど低い場合には、薬や注射による治療を行なう必要があります。

骨折をしないためにも、また骨折治療をした後も骨粗しょう症治療をしていた患者さんの方が治りやすいので、しっかりと骨粗しょう症の治療を行ないましょう。

(2) 運動と骨密度

負荷をかける運動:

骨は物理的刺激により強化される。ウォーキング、ジョギング、筋力トレーニング(例:スクワット、かかと落とし)が有効。

論文例:Zhao et al. (2015, Osteoporosis International) は、週3回以上の重量負荷運動(例:レジスタンストレーニング)が閉経後女性の腰椎および大腿骨の骨密度を有意に向上させると報告。

【参考リンク】

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高強度インターバルトレーニング(HIIT):

HIIT(週3回)とビタミンD(800IU/日)の併用が、腰椎・股関節の骨密度を単独介入よりも大きく改善。骨形成マーカー(オステオカルシン)の増加とBMI低下が関連。

論文例:Marques et al. (2020, Journal of Strength and Conditioning Research) は、HIITが骨代謝マーカーを改善し、骨密度向上に寄与すると報告。

【参考リンク】

【補足】

運動習慣がないと、骨粗しょう症になりやすい理由としては、その前にスクレロスチンの値を下げて骨量を増やし骨粗鬆症を予防する方法(ランニング・水中ウォーキング・ヨガ・ストレッチ)のコツと注意点|#NHKスペシャル #人体を参考に、骨が作り替えられるメカニズムについて簡単にまとめてみたいと思います。

骨は、新しく強い骨を維持することで疲労骨折などを防ぐために、常に作り替えられていて、大人では3~5年で全身の骨が入れ替わっています。

骨の中には、骨を作る「骨芽細胞(こつがさいぼう)」と骨を壊す「破骨細胞(はこつさいぼう)」があり、この2つの細胞が骨の作り替えを行なっているます。

作り替えのペースを指示するのが「骨細胞」であり、「骨細胞」が骨を作る・骨を壊すという「メッセージ物質」によって作り替えの指示を行なっているのですが、作り替えのバランスが崩れると骨粗鬆症を起こしてしまいます。

「スクレロスチン」はメッセージ物質の一つで、「骨を作ることをやめる」というメッセージを持っており、通常は骨の量が増え過ぎないように「スクレロスチン」によって「骨芽細胞」の数を減らしているのですが、この「スクレロスチン」が大発生すると、骨量が減ってしまうのです。

それでは、なぜ「スクレロスチン」をたくさん出すということが起きてしまうのでしょうか?

骨細胞には骨にかかる衝撃を感知するという働きを持っており、その衝撃があるかないかによって、骨を作るペースを決めているそうです。

骨に衝撃がかからない生活をすると、骨を作らないでよいと考えてしまい、骨細胞が「スクレロスチン」を大発生させることによって、骨芽細胞の数を減らし、骨を作ることを休んでしまい、骨量が減ってしまうのです。

骨に衝撃がかからない生活というのは、運動をしないで一日中座っているような生活です。

つまり、運動習慣がないというのは、骨粗しょう症になりやすいということになります。

(3) 薬物療法と骨密度

ビスホスホネート:

骨吸収を抑制し、骨密度を増加させる。例:アレンドロン酸は6か月で約4%の骨密度向上を示す(明治薬科大学研究で比較)。

論文例:Black et al. (2007, New England Journal of Medicine) は、ビスホスホネートが椎体および大腿骨骨折リスクを有意に低減し、骨密度を増加させると報告。

抗スクレロスチン抗体:

骨形成を促進し、骨吸収を抑制。月1回の注射で骨密度を大幅に向上させる。

論文例:Cosman et al. (2016, New England Journal of Medicine) は、ロモソズマブ(抗スクレロスチン抗体)が閉経後女性の骨密度を12か月で10%以上増加させたと報告。

テリパラチド:

骨形成を促進する注射薬。重度の骨粗鬆症患者で骨密度向上に有効。

論文例:Neer et al. (2001, New England Journal of Medicine) は、テリパラチドが腰椎骨密度を9%増加させ、骨折リスクを65%低減すると報告。

(4) 生活習慣の改善

禁煙・節酒:

喫煙と過度な飲酒は骨密度低下のリスク因子。禁煙により骨密度低下が抑制される。

論文例:Yoon et al. (2012, Bone) は、喫煙が骨密度低下を加速し、禁煙が骨代謝マーカーを改善すると報告。

日光浴:

ビタミンD生成を促進。1日10~30分の日光浴が推奨される。

論文例:Holick (2011, Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism) は、適度な日光浴が血中ビタミンD濃度を増加させ、骨密度維持に寄与すると報告。

3. 医師の「骨密度は上げられない」発言とのギャップ

医師が「骨密度は維持できても上げるのは難しい」と述べる背景には、以下の理由が考えられます:

年齢や状態による限界:特に高齢者や重度の骨粗鬆症患者では、骨密度の大幅な向上は困難。治療の主目標は「現状維持」や「骨折予防」に設定されることが多い(例:)。

薬物療法の限界:従来の薬物療法(例:ビスホスホネート)は骨密度を数%向上させるが、成長期のような劇的な増加は期待できない。

生活習慣介入の認知不足:明治薬科大学の研究のような生活習慣による骨密度向上のエビデンスは比較的新しく、医療現場での普及が遅れている可能性。

しかし、明治薬科大学の研究や上記の論文が示すように、若い年齢層や早期介入の場合、また適切な栄養・運動・薬物療法の組み合わせにより、骨密度の向上が可能であることが科学的に裏付けられています。

4. 論文ベースでの推奨事項

以下の介入が骨密度向上に有効であると論文で支持されています:

栄養:

カルシウム(700~800mg/日):小魚、乳製品、緑黄色野菜。

ビタミンD(800IU/日):魚類、きのこ、日光浴。

ビタミンK(納豆、ブロッコリー)、マグネシウム(ナッツ類)、タンパク質(肉、魚、大豆)。

運動:

週3回以上のウォーキング(8000歩以上)、筋トレ、HIIT。

かかと落としやスクワットなど、骨に負荷をかける運動。

生活習慣:

禁煙、節酒、スナック菓子やインスタント食品の過剰摂取を避ける。

薬物療法(必要に応じて):

ビスホスホネート、抗スクレロスチン抗体、テリパラチドを医師と相談。

5. 注意点と今後の研究

個別性:骨密度向上の効果は年齢、性別、骨密度の初期値、併存疾患に依存する。高齢者では効果が限定的な場合も。

研究の限界:明治薬科大学の研究は小規模(39名)であり、大規模なランダム化比較試験(RCT)による検証が必要。

X投稿の扱い:HIITとビタミンDの研究は興味深いが、原論文を確認しない限り確定的な結論は避けるべき。

継続性:骨密度向上には数か月以上の継続が必要。短期間での劇的な変化は期待できない。

6. 結論

明治薬科大学の研究や最近の論文は、骨密度を上げる方法が存在することを示しています。

特に、栄養(カルシウム、ビタミンDなど)、運動(負荷をかける運動、HIIT)、生活習慣の改善が有効です。

医師の「骨密度は上げられない」発言は、高齢者のケースや従来の常識を反映したものと考えられますが、現在では早期介入や適切な生活習慣により骨密度向上は可能だということですね。







食品添加物の組み合わせで2型糖尿病リスクが上昇する可能性がある!




食品添加物って、食べ物を美味しくしたり、見た目を良くしたり、保存期間を長くするために使われているものです。

例えば、ジュースやお菓子、コンビニ弁当なんかに入っています。

これまで食品添加物の安全性は「1つずつ」調べられることが多かったのですが、実際はいろんな添加物が同時に摂取されるため、「複数の添加物が混ざったとき」に体にどんな影響があるのかが心配されており、特に、添加物間の相互作用(相乗作用や拮抗作用)が健康に及ぼす影響についてのデータは不足していました。

最近の研究で、添加物の「組み合わせ」が2型糖尿病(大人になってからかかる糖尿病)のリスクを高める可能性があることがわかったんです!

今回の研究では、フランスのNutriNet-Santéコホート(108,643人)を対象に、一般的な食品添加物の混合物を特定し、それらが2型糖尿病の発症リスクとどのように関連するかを調査したところ、2つの食品添加物の組み合わせが2型糖尿病リスクの上昇と関連していることがわかりました。

ミックス1(加工デンプン、ペクチン、グアーガム、カラギーナンなど)
→ この組み合わせをたくさん食べる人は、糖尿病のリスクが8%アップ!
(例:ゼリーやアイス、加工食品に多い)

<さらに詳しく>

●混合物1(加工デンプン、ペクチン、グアーガム、カラギーナン、ポリリン酸塩、ソルビン酸カリウム、クルクミン、キサンタンガム): 混合物スコアが1標準偏差(SD)増加するごとに、2型糖尿病リスクが8%上昇(ハザード比[HR]=1.08、p=0.006)。

ミックス2(クエン酸、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなど)
→ この組み合わせをたくさん食べる人は、糖尿病のリスクが13%アップ!
(例:ダイエット飲料や低カロリーお菓子に多い)

<さらに詳しく>

●混合物2(クエン酸、クエン酸ナトリウム、リン酸、亜硫酸アンモニアカラメル、アセスルファムK、アスパルテーム、スクラロース、アラビアガム、リンゴ酸、カルナバワックス、パプリカ抽出物、アントシアニン、グアーガム、ペクチン): 混合物スコアが1SD増加するごとに、2型糖尿病リスクが13%上昇(HR=1.13、p<0.001)。 つまり、今回の研究によれば、特定の添加物混合物(例:乳化剤や人工甘味料を含むもの)が、糖尿病リスクを高める可能性があり、1つだけなら大丈夫でも、いろんな添加物が一緒になると「相乗効果」でリスクが上がるかもしれないということなんです。 そのため、私たちができることは、加工食品(スナック菓子、インスタント食品、甘い飲み物)を毎日たくさん食べるのは控えめにする、果物、野菜、シンプルなご飯を選ぶ、お菓子やジュースの裏の成分表を見て、「添加物がいっぱい入ってるな」と気づくクセをつけるようにしましよう! 食品添加物を全部避けることは難しいけど、よりフレッシュな食べ物、食事を選ぶことを心がければ、糖尿病のリスクを下げることにつながるので、やっていきましょう。 → 糖尿病の症状(初期症状)チェック について詳しくはこちら

【参考リンク】

■まとめ

今回の研究のポイントは、個々の食品添加物に健康上の問題がなくても、食品添加物の組み合わせで、相互作用があり、2型糖尿病のリスクを上げる可能性があることを示した点です。







デジタル認知症はウソ?テクノロジーで認知症リスク42%減!認知的予備力理論にテクノロジーが役立つ




Technology use may be associated with a lower risk for dementia, study finds(2025年4月14日、CNN)では、テクノロジーの使用が高齢者の認知機能低下リスクに与える影響について、テキサス州の2大学の研究者が行ったメタ分析(Nature Human Behavior, 2024年)は、「デジタル認知症仮説」(テクノロジー依存が認知能力を弱める)を検証し、以下の主要な発見を報告しています。

【参考リンク】

●認知機能低下リスクの低下

411,430人を対象とした57の研究を分析した結果、テクノロジー使用(コンピューター、スマホ、インターネット、メール、SNSなど)は、認知障害(軽度認知障害や認知症)のリスクを42%低下させる関連が示されました。

●テクノロジー使用が認知障害リスクを増加させるという報告は1件もない

●ソーシャルメディアの使用に関しては、認知機能への影響が一貫せず、結論が不明確

●現在の高齢者世代(研究開始時の平均年齢68歳)は、テクノロジーを使いこなすために努力が必要だった時代に育ち、脳がすでに形成されていたため、若い世代への適用可能性は不確実。

●認知的予備力理論

デジタル認知症仮説とは対照的に、テクノロジー使用が複雑な精神活動を通じて「認知的予備力」を高め、加齢に伴う脳の変化に対する耐性を強化する可能性が示唆されました。

テクノロジーは神経活動を刺激し、社会的つながりを促進することで認知症リスクを軽減する可能性があり、社会的孤立が認知症リスクを高めることが知られています。

●過度な使用(例:無意識なスクロール)は推奨されず、適度な使用が有益

【補足】

認知予備力の概念とその臨床的理解

脳の病理と実際の認知機能の水準が必ずしも一致しないことの説明として,認知予備力(cognitive reserve)という概念が近年提唱されてきた。認知予備力とは,脳の病理や加齢の影響を受けても認知機能の低下を抑える個人の潜在的な能力を意味する。認知予備力の高い人は低い人より,脳に損傷を受けても機能障害が生じにくく,また,健常加齢でみても認知機能の低下の程度が異なることが予測されてきた。

【関連記事】

フレイルは「予備力の低下」が主要因として起こりやすい!?

若かったり、健康である人は身体を守る力に予備力(健康を守る余力)があるため、無理ができるのですが、加齢や生活習慣病などの持病などによって、この予備力が低下すると、ちょっとした不調で寝込んでしまったりします。だからこそ、若いうちからこの予備力を保つようにしておくことや生活習慣病対策をすることが重要になってくるわけですが、この「予備力」の考え方は若い人にも活かせますよね。

若い時によく勉強した人はアルツハイマー型認知症になりにくい?認知機能の予備力を鍛えて認知症が予防できる?

認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病

■まとめ

20代でも物忘れ!?スマホ認知症(デジタル認知症)とは|症状・原因・予防法では、デジタル認知症とは、スマホやタブレットに依存しすぎることによって、書けたはずの字が書けない、昨日食べたものを忘れる、自宅の電話番号、人の名前が思い出せないなど物忘れがひどくなる、という症状が出ることを言います。

デジタル認知症が現れる理由として、さまざまな情報は前頭前野で処理されますが、スマホのヘビーユーザーはこの前頭前野が過剰な情報のために疲弊した状態「脳疲労」を起こしてしまい、集中しにくくなったり、もの忘れの症状が現れると考えられるそうです。

しかし、今回の研究によれば、適度なテクノロジー使用が認知機能低下のリスクを軽減する可能性を強く示唆し、デジタル認知症仮説を否定しています。

ただ、具体的な使用方法や世代間での影響の違いについてはさらなる研究が必要となります。

万博、高齢者に冷たい?予約も地図もスマホ頼み(2025年4月29日、時事通信)によれば、スマホ予約ができない、紙の地図がいいというように、テクノロジーに否定的な意見も多いですが、今回の研究を参考にすると、決してテクノロジーを活用することが認知症を進めるわけではなく、高齢者がテクノロジーを学んでいくことはプラスに働く可能性があるので、テクノロジーに触れていきたいですね。

→ 認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら