「Mental Health」カテゴリーアーカイブ

【産後うつ】産婦人科診療ガイドラインに具体的な対策を盛り込む方針|日産婦など

Oihan amatxorekin

by Mikel Garcia Idiakez(画像:Creative Commons)




■【産後うつ】産婦人科診療ガイドラインに具体的な対策を盛り込む方針|日産婦など

<産後うつ>問診で早期発見へ 日産婦など対策指針

(2016/2/22、毎日新聞)

日本産科婦人科学会(日産婦)と日本産婦人科医会は、産婦人科診療ガイドラインに、「産後うつ」に関する具体的な対策を盛り込む方針なのだそうです。

■産後うつとは?

産後うつとはどういうものなのでしょうか?

子どもを出産した後、ホルモンのバランスの急激な変化や育児への不安、社会的孤立など多様な要因から発症するうつ病の一種。出産後半年ごろまでに発症するとされる。

出産後には、ホルモンバランスの変化や育児への不安、社会から孤立するように感じるなどの原因からうつ症状を発症することがあります。

厚生労働省研究班によると、国内の出産後の女性の発症率は▽2001年=13.4%▽05年=12.8%▽09年=10.3%と1割程度で推移。一般の人がうつ病になる率(3~7%)より高い。

産後うつの発症率は約10%で、一般の人がうつ病になる率よりも高いそうです。

また、同省が児童虐待後の死亡例を調べた結果、母親の産後うつが原因と考えられる例が4.4%あった。

産後うつは子どもへの虐待や育児放棄、本人の自殺などにつながる恐れがあることなどを踏まえて、産後うつへの理解を広げると同時に、対策を行なっていくためにも、産婦人科診療ガイドラインに、「産後うつ」に関する具体的な対策を盛り込む方針としたようです。




■まとめ

「女は人生で三度、生まれ変わる(著:ローアン・ブリゼンディーン)」の中から今回の記事に関連した内容があります。

●母親の攻撃性が発動する。この小さな存在を守り育てようという決意と意欲が脳の回路を完全に支配する。

●自分と赤ん坊のためにもっと安定した家庭を築いてくれない夫に腹がたってたまらなくなった。彼女のニーズと現実が事実上一夜にして激変し、母親の脳の保護本能の矛先が夫の経済力に集中的に向けられたのだ。

●授乳には精神的な集中力の鈍化というマイナスが伴う。出産直後に頭がぼんやりすることはごく普通だが、授乳によってこのとろりとして穏やかな焦点の定まらない状態がひどくなり、長期化することがある。

●的を絞って集中する働きをする脳の部分は、出産後半年くらいは子供を見守り保護することに占領されてしまう。

だいたい新米の母親は睡眠不足だし、そのうえ女性の脳が元の大きさに戻るには産後半年かかる。

簡単に言えば、女性の脳は出産後「ママの脳」へと変化してしまうのです。

女性は出産後全てが新しくなるといっても言い過ぎではないでしょう。

そうした理解を家族だけでなく、社会としても理解していくことが重要なのではないでしょうか。

マザリーズ、母の脳活発に=産後うつの診断に応用も―理研によれば、「あんよ」や「ねんね」など、大人が赤ちゃんに話し掛ける際の高い声でゆっくりとしたリズムの話し方(マザリーズ)が、母親の産後うつの診断に応用できるのではないかと考えられているそうです。

研究チームは「産後うつの母親は平たんな口調になることが分かっている。マザリーズの脳機能が解明されたことで、産後うつの母親の診断などに応用できるのでは」としている。

産後うつになりそうな妊産婦を早い段階で見つけるための対策を行ない、支援していくことが必要ですね。







【参考リンク】

P.S.

父親となる男性の1割が「産後うつ」に=米研究によれば、母親になる女性では最大30%が「産後うつ」になり、父親になる男性は10%が産後うつになるそうです。

不妊更年期障害と同様に、産後うつも女性だけの問題ではないということを知っておく必要があります。

米加州議員が「痩せすぎモデル」規制法案、モデルの摂食障害を減らす取り組み

Model

by Trang Angels(画像:Creative Commons)




米加州議員が「痩せすぎモデル」規制法案、摂食障害のまん延懸念

(2016/2/23、ロイター)

マーク・レビン議員は今月19日、同州で働くことを希望するモデルに対して、健康な体重であり、摂食障害を患っていないことを証明する医師の診断書提出を義務付ける法案を提出した。

アメリカ・カリフォルニア州のマーク・レビン議員は、ファッションモデルの摂食障害を減らす取り組みとして、健康的な体重を保証する医師の診断書の提出を義務付ける法案を提出したそうです。

以前「痩せ過ぎ」モデルに健康的な体重を保証する医師の証明書の提出を義務付け|仏(2015/12/21)というニュースをお伝えしましたが、この動きは米カリフォルニア州にも広がっています。

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レビン議員は、ファッションモデルの40%が拒食症や過食症などの摂食障害に苦しんでいることを示すデータがある、と指摘している。

20代女性の5人に一人が「やせ」|摂取カロリーは終戦直後よりも少なくなっている!?によれば、20代女性の5人に一人が「やせ(BMI18.5未満)」という状態であるそうです。

また、2013年の20代女性の平均エネルギー摂取量は、終戦直後よりも少ないそうです。

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■まとめ

女性の摂食障害は大きな社会問題となっていますので、世界的にこの動きは広がっていくかもしれません。







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国際宇宙ステーション(ISS)を模した閉鎖施設に2週間滞在する実験に2000人以上の応募

U.S. Eastern Seaboard at Night from the ISS

by NASA’s Earth Observatory(画像:Creative Commons)




「密室2週間」実験、応募5日で2000人

(2016/1/6、読売新聞)

宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))は、国際宇宙ステーション(ISS)を模した閉鎖施設に2週間滞在する実験の被験者8人を年末に公募したところ、2000人以上の応募があったことを明らかにした。

国際宇宙ステーション(ISS)を模した閉鎖施設に2週間滞在する実験に2000人以上の応募があったそうです。

衣食住が満たされた1週間の引きこもり体験を経験した結果、人はどうなるのか?という記事を以前お伝えしましたが、肉体面・精神面に次のような影響が出ていました。

■肉体面の結果

1週間で体重は3.8キロ増え、体脂肪率は15.6%から19.7%にアップした。

1週間の引きこもり生活の時間配分を見ても、ほとんど運動をしていないので、基礎代謝だけのカロリーが消費され、活動代謝がないと思われますので、このような結果になったものと思われます。

それにしても、食事だけを与えられて、一歩も外に出ないとこれほど太ってしまうとは驚きです。

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■精神面の結果

就職活動に疲れて参加したというユウトさんは、「最初は楽しかったが、始まって3日目で急激にキツくなった」と振り返る。外に出られず誰ともコミュニケーションが取れないことが辛く、「5日目くらいからは今が夢か現実かわからないくらいフワフワしてきて、あんまりよく覚えていない」という。

「海馬 脳は疲れない」(著:池谷裕二・糸井重里)によれば、何の刺激もない部屋に2から3日放置されると、脳は幻覚や幻聴を生み出してしまうそうです。

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今回の実験では、コンテンツ見放題ということでしたが、それでも人とコミュニケーションをとったり、どこかに出かけるという刺激がないと脳が耐えられなくなるのではないでしょうか?

■まとめ

Kinfolk japan edition volume nineより

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所有物を意味する”belonging”と帰属を意味する”belonging”。

幸せで健康的な生活を送るために欠かせない最も基本的なものは、食料、水、そして住居。
しかし、豊かな社会のために必要な要素は別にある。それは、属しているということ。

グローバリゼーションによって世界が狭くなり、情報を即座にシェアすることができ、スピーディな技術が存在し、世界のどこにいても仕事をすることができる。とはいえ、こうしたことは、必ずしも帰属意識を生み出さない。関係性や様々な情報、多様な意見をもたらすが、そこから繋がりが生まれることはない。感情的に、精神的に、心理的に、仲間である場に満ちた安心感を得られるような、絆を生み出すことはない。

衣食住が全て満たされていても、人は何か足らないのです。

それは、属しているということやつながっているということなのでしょう。

属するということは、自分が誰かとつながっているということであり、自分が存在しているということでもあるのです。

そのことが精神的に安心感をもたらしてくれるのです。

今回の実験は、ISSに長期滞在する宇宙飛行士のストレスの検査方法を開発するという目的があるため、先ほどの実験のような精神的な不安は少ないかもしれませんが、つながりが感じられるようなことは必要だと思います。







子どもがICT端末を使うことによる健康障害について考えてみた

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by Brad Flickinger(画像:Creative Commons)




「ICT端末の健康障害を認識した上で活用を」–日本小児連絡協議会が提言

(2015/10/19、CNET)

山縣氏はまず、子どもがICT端末を使うことによる健康障害として、(1)長時間使い続けることによる「VDT症候群」「睡眠不足と運動不足」「ネット依存症」、(2)デジタルコンテンツの使用による「ゲーム依存」「行動、メンタルヘルスへの影響」、(3)情報伝達手段として使用することによる「コミュニケーション能力への影響」「社会性の発達への影響」――の3つを挙げた。

ICTと子どもの健康問題に対して、3つのポイントから考えてみたいと思います。

(1)長時間使い続けることによる「VDT症候群」「睡眠不足と運動不足」「ネット依存症」

●VDT症候群

VDTとは、Visual Display Terminal(ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル)の略で、パソコンなどの画面表示装置を備えたコンピュータ機器のことをいいます。

→ VDT症候群の症状・原因・対策 について詳しくはこちら

スマホやPCといったデジタルスクリーンを長時間見続けることによって、目の充血肩こり・頭痛目の痙攣目のかすみといった目の疲れ眼精疲労)の症状が出ます。

睡眠不足

子どもの寝不足|睡眠不足の原因・子どもの脳と睡眠の関係・睡眠不足を解消する方法アメリカは「睡眠大不況」?|睡眠不足の原因・健康に与える影響・ぐっすり眠る方法によれば、スマホ・ケータイ・タブレットなどを就寝前に見ることによって睡眠時間が削られるだけでなく、眠りづらくなっているということです。

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睡眠不足がすべての原因とはいえないでしょうが、睡眠不足をもたらす生活習慣によって、太りやすくなり肥満の原因となったり、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高まることが考えられます。

低体温の子ども、「意欲」が低下によれば、低体温の傾向にある子供は、眠気やダルさ、頭痛や腹痛、学習や運動意欲の低下といった症状が出ているようです。

その原因としては、生活リズムの乱れから体温調節に関わるホルモンや自律神経の働きがおかしくなっていることが関係しているようです。

●運動不足

子どもの肩こりを解消する方法|猫背と肩こり・猫背の子どもが増えている理由(浮き指)によれば、扁平足は先天的な要素として遺伝もあるそうですが、後天的な理由として運動不足(=たくさん歩いていない)も関係しているそうです。

香川県の小4の血液検査で1割の子どもが肝機能、脂質、血糖値の異常値を示すで紹介した香川県の調査によれば、検査値が異常だった子どもは、食べ過ぎ、早食い、ゲーム時間が長い、運動不足といった生活習慣が多かったそうです。

●ネット依存

8割が自覚するスマホ依存症|スマホ以前・以後で生活は豊かになったか?によれば、スマホに依存していると感じている人は約8割いることがわかったそうです。

子どもの「スマホ疲れ」|女子高生のスマホ使用時間が5.5時間に減少によれば、以前に比べて女子高生のスマホ使用時間は減少しているものの、ケータイ・スマホの使用によって、「寝不足で注意力散漫になった」「頭痛等の回数が増えた」「食欲がなくなった」「イライラするようになった」などと心身の不調を訴える声が前回に比べて約2倍に増えているそうです。

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(2)デジタルコンテンツの使用による「ゲーム依存」「行動、メンタルヘルスへの影響」

<自宅で長時間は危険>スマホの使用時間と位置情報の分析でうつ病診断ができる可能性がある!?によれば、うつ病になると自宅に引きこもってスマートフォンを長時間使用する傾向があるそうです。

(3)情報伝達手段として使用することによる「コミュニケーション能力への影響」「社会性の発達への影響」

97%の大学生が場の空気を読んで、自分の意見を言わないことがある!?によれば、東京工芸大学が全国の4年制大学生を対象に行ったアンケート調査によれば、多くの大学生が場の空気を読むことや人の顔色をうかがうことを重視していることがわかったそうです。

ネット漬け生活でポップコーン脳に?!で紹介したスタンフォード大学の社会心理学者クリフォード・ナス氏によれば、人とのコミュニケーションスキルは、経験を通じて学習するものであり、ネットに集中する時間が長いと、直接人と接触する機会が少なくなることから、感情の読み取り方を学ぶことができなくなるようです。

ただ、SNSをツールとして使いこなしている人からすれば、SNSが社会性発達にさらなる好影響を与えていると考えている人がいるのかもしれません。

電話が発明された時も、電話という新しいコミュニケーション手段が直接の交流を避ける様になるのではないかと悲観的に考えられていました。

新たなコミュニケーション手段が発明されるたびに、テクノロジーが共同体に与える影響をめぐり、過去数世紀にわたって議論が繰り返されてきた。

悲観論者はこんな懸念を表明する。

新たなコミュニケーション手段のせいで昔ながらの人間関係が薄まり、人々は他人との直接の交流をあらゆる面で避けるようになるのではないだろうかと。

「つながり 社会的ネットワークの驚くべき力」(著 ニコラス・A・クリスタキス ジェイムズ・H・ファウラー)

しかし、悲観論者が考えていたような電話は社会的コミュニケーションを減らすものではないということはあなたの周りを見ればわかるはずです。

電話と同様、SNSも社会的交流を補うツールだと考えれば、世界は広がっていくはずです。

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■まとめ

「2歳未満の子供には画面を見せないほうが良い」とする指針が見直される!?でも論じられていましたが、テクノロジーの進歩のスピードに専門家の研究が追いついておらず、助言をするタイミングが遅れてしまっているのが現状です。

何が正しいのか、正しくないのか、後になってみないとわかりません。

何がいいのか悪いのかわからない時には、「ラクをすることよりも楽しい方を選ぶ」とよいのではないでしょうか?









栗原類さん、ADHD(発達障害)の一つであるADD(注意欠如障害)を告白

ADHD

by Practical Cures(画像:Creative Commons)




栗原類、発達障害を告白 8歳の時に判明「人に合わせられない」

(2015/5/25、スポニチアネックス)

発達障害(ADHD)のひとつである注意欠如障害(ADD)であることを告白した。

モデルの栗原類さんは、米国に住んでいた8歳の時にADHD(注意欠陥・多動性障害)の一つであるADD(注意欠如障害)と診断されたことを明かしたそうです。

ADHDなど、増加する子供の精神科受診によれば、ADHDの主な症状は次の通り。

  1. 集中できず、忘れ物が多い(不注意)

  2. 落ち着きがなく、じっとしていられない(多動性)

  3. 結果を考えずに、思いつきの行動をする(衝動性)

ADHDという病名が独り歩きをし、心配になって受診するケースが増えているそうですので、ADHDに対する正しい知識を学ぶ必要があるようです。

【追記(2016/6/21)】

栗原類さんが「発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由」を出版するそうです。