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「AI(人工知能)・ロボット・テクノロジーは人間から仕事を奪うのか?」という問いからは人間と機械が一体化するという考え方が抜け落ちている!




■「AI(人工知能)・ロボット・テクノロジーは人間から仕事を奪うのか?」という問いからは人間と機械が一体化するという考え方が抜け落ちている!

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参考画像:Amputee Makes History with APL’s Modular Prosthetic Limb|YouTubeスクリーンショット

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参考画像:Why Artificial Intelligence is the Future of Growth – Accenture|スクリーンショット

国会や生命保険でもAIを活用する動き|人工知能によって人間の仕事は奪われるのか?|人工知能を専門とする人材はそんなにいるの?で取り上げた、アクセンチュアが発表した「Why Artificial Intelligence is the Future of Growth」によれば、2035年の各国の経済規模について2つのシナリオで予測を行っており、日本では「AIシナリオ(AIの影響力が市場に浸透した場合に期待される経済成長を示す)」における粗付加価値(GVA)成長率は、「ベースラインシナリオ(従来予想の経済成長を示す)」と比べると3倍以上になる可能性があるそうです。

【参考リンク】

AI技術によって労働生産性が大幅に高まる可能性があるとして期待がある一方、「AI(人工知能)やロボットが人間の仕事を奪ってしまう」ということが度々話題になっています。

【参考リンク】

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しかし、こういった話を俯瞰で見てみると、「人間」vs「機械(人工知能・ロボット)」という構造でしか物事を見ていないと感じました。

もう一つの可能性として、人間と機械(人工知能・ロボット)が一体化するという考え方が抜け落ちているような気がするのです。




■人間と機械の一体化はすでに始まっている!?

人間と機械(人工知能・ロボット)が一体化するというとSFのような感じがしますが、すでに現代でも人間と機械の一体化は始まっています。

例えば「義手」です。

Amputee Makes History with APL’s Modular Prosthetic Limb

The Mind-Controlled Robotic Arm Is Getting More Nimble

触覚が感じられる義手開発、米国防総省|脳で義手を動かすことができるようになる!?で取り上げた米国防総省(US Defense Department)の先進技術研究部門、米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)の研究チームによれば、10年以上にわたり、まひ状態にある男性が、実験的義手を装着することで「触覚」を取り戻すことができたというニュースを以前取り上げました。

神経系に接続してコントロールできる義手が開発で取り上げたJohns Hopkins University(ジョンズホプキンス大学)のApplied Physics Lab(応用物理学研究室)が、高電圧の感電事故で両腕を失った人に、その人の神経系に接続してコントロールできる義手を取り付けることに成功しています。

義手も人間と機械が一体化して感覚を取り戻した例の一つです。

この研究では、手足が不自由になった人たちの助けになることが目的となっていますが、将来的には、「義足のほうが優れていたら義足に付け替えるか」「指(手)・腕を増やしたらどうなるか」というように、どのような選択をするかが問われるようになるかもしれません。(私達はすでに”サイボーグ化”している!?|バイオハックの視点から

「Fairy Lights in Femtoseconds」落合陽一さんインタビュー:「アートはもうテクノロジーでしかなくなる」

(2015/8/17、ギズモード)

ギズ バイオハックのレベルが「義足のほうが優れていたら脚を切って義足に変えるか?」とかそういうことではなくなってきているんですね。もっと次の段階というか…。

落合 そう、もっとナチュラルにバイオハックされていく。義足かっこいいけどね。ただバッテリーに問題があると、ちょっとなあとは思います。足がもう一本生えたりしないかな? 足の裏の感覚がけっこう好きで、これを失いたくはないので、感覚がある義足があれば欲しい。その辺の問題を全部ひっくるめて作りたいですけどね。あとは足より、指(手)がもう2本ぐらいあるといいなと思います。肩のあたりからもう2本ぐらいあるといいな。ロボットアームつけるみたいなインタラクションもありですね。

MetaLimbs: Multiple Arms Interaction Metamorphism (2017)

「MetaLimbs」は「Artificial Limb(人工的な四肢)」をつけて、脚(足)で動かし、第三の手で作業の補助するという提案です。

The third thumb Dezeen

【参考リンク】

「義足のほうが優れていたら義足に付け替えるか」という問いや「指(手)を増やす」というアイデアは一見するとおかしなことを言っているようにも思います。

しかし、ある面から見るとすでに私達は”サイボーグ化”しているとも考えられるのです。

ARの次は『拡張人間』 東大 暦本純一教授の世界

(2015/7/3、Sensors)

「結局は”程度”の問題なんですよ。たとえばあなた。あなたも立派なサイボーグですよ。なんらかの携帯情報端末をもっていますよね?家にはホームオートメーションとAIセクレタリー。それらのデータが災害や事故で失われたら、あなたはどうなりますか?自分の生活をそこまで電子的な装置に依託してしまっているのに、”自分はサイボーグ”でないと言っても説得力はありませんよ。あなたにとって携帯情報端末は既に第二の脳だ。科学の歴史は人間の身体機能の拡張、つまり人間機械化の歴史といっても差し支えない。だから”程度”の問題なんです。」

SENSORSという記事で紹介されているアニメ「PSYCHO-PASS」に登場する、脳と神経以外を全身サイボーグ化した泉宮寺豊久は「肉体を機械化することに抵抗はないのか」と言う問いについて上述したように答えました。

ある側面から見れば、人はすでに道具・テクノロジーによって機能を拡張し、能力の限界を越えています。

高齢者の動きをサポートするパワードスーツ・外骨格スーツやアスリートのためのトレーニングスーツが開発が行なわれていますし、私たちの身近なものでいえば、コンタクトレンズというテクノロジーによって視力が回復していますし、スマホなどの携帯情報端末といったテクノロジーによって能力を拡張しています。

Superflex – Aura Powered Suit|from fuseproject|Vimeo

人工知能の登場により、棋士(将棋・囲碁)に変化が現れています。

人工知能は棋士たちをどう変えたのか

(2017/4/1、Yahoo!ニュース編集部)

「人間が見ていなかった手が見えてきた。これは大きな変化です。ダメだといわれていた手の中にも有効なものがあると気付いた」

将棋(囲碁)プログラムの影響を受けることで、棋士たちの指し手(打ち手)に変化が現れているということは、ある種人間と機械の一体化ともいえるのではないでしょうか?

■まとめ

ソニーと東大が「人間拡張学」で連携–次世代を牽引する技術系人材を育成

(2017/3/13、cnet japan)

ヒューマンオーグメンテーションは、人間とテクノロジー・AIが一体化し、時間や空間の制約を超えて相互に能力を強化しあう、IoA(Internet of Abilities:能力のインターネット)という未来社会基盤の構築を視野に入れた、最先端の研究を体系化していく学問領域だという。

IOA(INTERNET OF ABILITY)で「人間の能力」がネットワーク化される未来とは?によれば、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)とは、人間とテクノロジー・人工知能が一体化することで、知覚、認知、身体、存在感の4つの分野で人間の能力を強化・拡張していくことを目的とする暦本純一さんが提唱するコンセプトです。

JackIn Head: 1st person omnidirectional video for immersive experience

JackIn: 一人称視点と体外離脱視点を融合した人間ー人間オーグメンテーションの枠組み

(2014/2/27、笠原 俊一、暦本 純一)

JackIn は人間 (Body) の能力を他の人間 (Ghost) が強化拡張するという可能性を持っている.

暦本純一×平野啓一郎対談「機械が進化しても、人間もテクノロジーで進化」

(2017/3/29、MIT Tech Review)

「私は人間が機械とつながり、さらに人間と人間がつながり、人間の存在・能力そのものが多様に拡張・編集される『IoA(Internet of Abilities)』がつくる未来を研究しています」

人間と機械(AI・テクノロジー)の対立構造にするのではなく、人間と機械(AI・テクノロジー)が一体化することで相互に能力を強化・拡張するIoAの考え方を頭に入れておくと、世の中がまた違った見え方をするのではないでしょうか?







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ロボットスーツ「医療用HAL®」による8つの神経・筋難病疾患の治療を保障する生命保険「HALプラス特約」|大同生命保険




■ロボットスーツ「医療用HAL®」による8つの神経・筋難病疾患の治療を保障する生命保険「HALプラス特約」|大同生命保険

ロボットスーツ「医療用HAL®」による8つの神経・筋難病疾患の治療を保障する生命保険「HALプラス特約」|大同生命保険
ロボットスーツ「医療用HAL®」による8つの神経・筋難病疾患の治療を保障する生命保険「HALプラス特約」|大同生命保険

参考画像:大同生命「HALプラス特約」|YouTubeスクリーンショット

創業115周年記念商品「HALプラス特約」の発売!ロボットスーツHAL®による難病治療を保障する生命保険

(2017/5/8、大同生命ニュースリリーズ)

HAL®(Hybrid Assistive Limb®)とは、サイバーダイン社が開発した、身体機能を改善・補助・拡張・再生することができる「サイボーグ型ロボット」です。
「医療用HAL®」は、世界初の「ロボット治療機器」として欧州、日本で医療機器の承認を取得しました。
日本では、平成28年9月から8つの神経・筋難病疾患を対象に、新医療機器として公的医療保険を使った治療が開始されています。

大同生命保険はCYNERDYNE(サイバーダイン)社が提供するロボットスーツ「医療用HAL®(下肢タイプ)」による所定の難病治療を保障する「HALプラス特約」(無配当ロボットスーツ歩行運動処置給付特約<特定難病用・保険料不要型>)を平成29年7月3日より発売しました。

所定の8つの難病に罹患し、「医療用HAL®(下肢タイプ)」による治療を受けた場合に、一時金としてHALプラス給付金(100万円)を被保険者に支払うというものです。

対象となる8つの難病はこちらです。

〇脊髄性筋萎縮症
〇球脊髄性筋萎縮症
〇筋萎縮性側索硬化症(ALS)
〇シャルコー・マリー・トゥース病
〇遠位型ミオパチー
〇封入体筋炎
〇先天性ミオパチー
〇筋ジストロフィー




■HALについて

【HALの動作原理】

体を動かそうとするとき、脳は必要な信号を筋肉へ送信

→HALは、その信号を皮膚に貼り付けたセンサーから読み取る

→脳からの信号を反映して、意思に従った動きを再現

→HALを通じて思うように動くことで、脳神経系のつながりが調整される

大同生命「HALプラス特約」

企業CM『HALプラス特約』篇

■まとめ

【未来ビジョン】「生命保険の未来」はどうなる?|遠隔医療・予防医療・個人情報を一カ所に集約するサービスでは、未来の保険会社が健康・医療・金融分野と隣接する分野との連携をしていくと、私たちは保険料という形でお金を払っていますが、実際には個人の健康を守るためのデータの保管料・利用料を払うという形に変わっていく可能性があると紹介しましたが、最先端の医療技術による治療を保障するというような大同生命保険の取り組みのように、保険会社はその方向に進んでいるように感じます。

8つの難病(脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、シャルコー・マリー・トゥース病、遠位型ミオパチー、封入体筋炎、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー)が気になる方は、ロボットスーツ「医療用HAL®」による8つの神経・筋難病疾患の治療を保障する生命保険「HALプラス特約」をチェックしてみましょう!







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脳卒中患者の手指のまひを改善するリハビリ用ロボ「SMOVE」の開発|九大研究グループ

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■脳卒中患者の手指のまひを改善するリハビリ用ロボ「SMOVE」の開発|九大研究グループ

Kyushu University, Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering System Engineering Lab
Kyushu University, Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering System Engineering Lab

参考画像:Kyushu University, Department of Mechanical Engineering, Faculty of Engineering System Engineering Lab|スクリーンショット

脳血流連動で手指リハビリ、九大研究グループがロボ開発

(2017/1/5、読売新聞)

研究グループは、体を動かす命令を出した際に脳に生じる血流の変化が、まひで体を動かせない患者でも起きることに着目。頭に装着するだけで脳内のヘモグロビン量を測定できる簡便な検査装置を用い、独自に開発した手指のリハビリ機器をコンピューターで連動して動かすシステムを考案した。

無線で「力」を伝える「フォーストランシーバー」を開発 医療介護提供者の負担軽減に役立つ期待|慶応大によれば、慶應大学の研究チームは、無線によって2台の装置間で「力」を瞬時に伝える通信機「フォーストランシーバー(無線による携帯型力触覚通信機)」を開発したそうで、脳梗塞などで手を思うように動かせなくなった患者のリハビリに使えば、理学療法士が離れた場所から手や腕の動きを助けることにも活用できる可能性があることを紹介しましたが、九州大学医学部、工学部などの共同研究グループは、体を動かす命令を出した時に脳に生じる血流の変化が脳卒中によるまひで体を動かせない患者でも起きることに着目し、手指のまひを改善するリハビリ用ロボット「SMOVE」の開発を進めているそうです。

<リハビリ・ロボットの仕組み>

手を握ると想像する

→ヘモグロビンの量を測定する

→コンピュータを介して信号を送る

→手指のリハビリ機器が動く

→ 脳卒中の前兆・原因・予防 について詳しくはこちら

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■まとめ

今回の研究は脳卒中患者の手指のまひを改善するリハビリを目的としていますが、この仕組みを用いれば、遠くに離れたロボを動かすことできることで様々な用途で活用できるようになるかもしれません。

舌で車いすやパソコン操作する方法を開発|米ジョージア工科大では、舌でパソコンや車いすを操作する方法や声を出したり、顎を動かしたりして車いすを操作する技術や息でパソコンが操作できる技術を紹介して、これらの技術がユーザーインターフェース(UI)として活用されるのではないかと書きましたが、今回紹介した仕組みもその可能性があるのではないでしょうか。

A hand exoskeleton robot for rehabilitation using a three-layered sliding spring mechanism

Body image transferable microsurgical robot

→ 脳卒中の前兆・原因・予防 について詳しくはこちら







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介護職員 2025年に約38万人不足のおそれ|介護人材確保のための対策とは?




■介護職員 2025年に約38万人不足のおそれ

Care in the home

by British Red Cross.(画像:Creative Commons)

介護職員 10年後に約38万人不足のおそれ

(2015/6/25、NHK)

介護現場で深刻な人手不足が続く中、10年後には全国でおよそ38万人の介護職員が不足するおそれがあることが、厚生労働省の推計で分かりました。

介護予防・生活支援サービス市場は2025年に1兆3000億円によれば、今後高齢者人口と高齢者世帯の増加に伴いサービス市場は拡大し、介護予防・生活支援サービス市場は2025年に1兆3000億円に迫るそうです。

しかし、厚生労働省の推計によれば、介護職員が10年後には約38万人不足する恐れがあるそうです。




■介護人材確保のための対策

厚生労働省による介護人材確保対策をベースとして、プランを考えてみたいと思います。

【参考リンク】

この対策として考えられるのが4つ。

1.潜在的に介護ができる人を介護現場に戻ってきてもらう

  • 離職した介護人材に対する知識や技術を確認してもらうための研修
  • ハローワークや福祉人材センターにおけるマッチング支援
  • 再就職準備金

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またその他にも新規参入を促したり、離職者防止対策することも考えられます。

2.介護の資格を持つ移民を受け入れる

ただ、外国人介護人材を人材不足のために補うというのではなく、介護に対する技能を伝えるという側面もあるといいですよね。

3.ロボットなどテクノロジーによる介護支援

メディアアーティスト・落合陽一、「介護市場を開放したい」

(2017/9/12、ニュースイッチ)

身体の不自由な人を抱きかかえて入浴するには腕力がいるし、車いすで移動する時には絶えず周囲に注意が必要。コミュニケーションで高齢者の気持ちを明るくし、生活を活発化することなど、技術の活躍する場は多い。

介護作業を支援するロボットや介助者がいなくても使える車いす、コミュニケーションロボットなど介護の現場で役立ちそうなアイデアが紹介されています。

Telewheelchair at Laval Virtual Awards

そこで筑波大の落合研究室では、既存の電動車いすに介助者の目の代わりとしてリコーの全天球カメラ『シータ』を組み合わせた「Telewheelchair(テレウィールチェアー)」の研究を進めている。特別ではないハードウエアの組み合わせを、ソフトウエアで結合して機能を追加したのが特徴だ。映像を転送して遠隔操作したり、障害物を検知して自動で停止する。

例えば、Digital Nature Groupでは、「Telewheelchair」というアイシン精機の電動車いすとRICOHの360°すべてを撮影する全天球カメラ『THETA』を組み合わせて、ソフトウェアで結合し、VRでリモートコントロールしたり、障害物を検知して自動で停止するという車いすを開発しているそうで、この車いすであれば、介助者の負担を軽減することになることが期待されます。

また、排泄に関してなど、人によっては人間(身近な家族や介助者)よりもロボットのほうが恥ずかしくないので良いという分野もあるのではないでしょうか。

The Future of Hotel Delivery Service

ResidenceInnLAXCaseStudy (Japanese Subtitles)

人間用エレベーターも乗りこなす「荷物お届けロボット」、品川プリンスホテルに現る

(2017/9/14、ITmediaニュース)

 Relayは、レーザーセンサーと3Dカメラを使って屋内の環境や現在位置を特定する技術「SLAM」(Simultaneous Localization and Mapping)を利用しているという。

ロボットベンチャー企業の「Savioke」が開発したのは、部屋へ荷物を届けることに特化した自律走行型ロボット「Relay(リレイ)」です。

Relayは客から荷物の運搬を依頼されたホテルのスタッフの指示を受け、自分でエレベーターに乗り降りして、部屋の前に到着すると電話をかけて、ドアが開き、荷物をお客さんが取り出すと、自動で戻るという仕組みです。

こうしたアイデアこそ介護者の負担、介護される側の心理的負担を軽減してくれるのではないでしょうか?

4.介護に関する仕事を細分化し、資格がなくてもできる仕事を様々な人に担ってもらい、資格がないとできないことに注力してもらう

看護職員、「慢性疲労」7割超える 医労連アンケートによれば、慢性疲労を訴える看護職員の割合が7割を超えているそうです。

責任が重い仕事であるにもかかわらず、労働条件が悪いと考えられますので、この点を改善しなければなりません。

そこで、介護士という資格が必要ない仕事をフォローする人を雇ったり、ICTの活用による業務効率化(作成しなければならない文書量を減らすための取り組みなど)などによって、介護士という職業・資格にしかできない仕事に集中してもらう体制づくりを行うようにすることも重要です。

第01回 2025年問題の解決のカギはICT活用

(2015/5/11、富士通マーケティング)

たとえば、ホームヘルパーが訪問先でスマートフォンから介護記録を入力する、タブレットで次の訪問先の情報を得る、といったことができれば、いちいち事務所に立ち寄らずに直行・直帰が可能となり、時間や体力の消耗を軽減できます。事業所内に情報システムを導入すれば、利用者一人ひとりの情報を一元管理でき、記録の二重入力や申し送りルールの不徹底が防げるなど、職員のストレスも軽減されます。

医療・介護分野におけるICTの活用と課題|1.デジタル化・標準化、2.ネットワーク化、3.ビッグデータ化
医療・介護分野におけるICTの活用と課題|1.デジタル化・標準化、2.ネットワーク化、3.ビッグデータ化

参考画像:医療・介護分野におけるICT活用(2016/11/10、厚生労働省)|スクリーンショット

ICTを活用した自立支援・重度化防止に向けた介護に関する取り組みの展開|1.科学的に裏付けられた介護の普及、2.介護ロボット・ICTの活用
ICTを活用した自立支援・重度化防止に向けた介護に関する取り組みの展開|1.科学的に裏付けられた介護の普及、2.介護ロボット・ICTの活用

参考画像:医療・介護分野におけるICT活用(2016/11/10、厚生労働省)|スクリーンショット

【参考リンク】

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■まとめ

どれか一つの対策をとるのではなく、対策を組み合わせて行なっていかないと解決しない問題だと思います。

しかし、介護人材不足問題はネガティブな側面だけではなく、ポジティブにとらえると一つのチャンスになる可能性があり、「少子高齢化による高齢化社会は日本にとってのビジネスチャンス(医療・介護など)になる!」と発想を転換してみない?でも紹介しましたが、日本は高齢化社会の新しいイメージを伝えるモデルケースとして、高齢化社会を引っ張るリーダーとなる可能性もあります。

例えば、大人用紙オムツの売上が子供用オムツの売上を追い抜いた!?|日本の紙おむつが国際規格化|高齢化社会がビジネスチャンスに変わる!?によれば、大人用紙おむつの評価方法に関する規格「ISO15621尿吸収用具―評価に関する一般的指針」が改訂し、欧米の「テープ止め型(体にテープで固定するタイプ)」ではなく、日本が提案する装着車の症状や生活環境に合わせたきめ細かい高齢者介護学科脳になるパンツ型やテープ止め型のおむつに吸着パッドを挿入するタイプなどを規格化されました。

つまり、世界に先行して高齢化社会に突入している日本は、医療費削減のアイデアやよりよい介護の方法を実行できる立場にあり、それらのやり方をスタンダードにすることができるというビジネスチャンスがあるのではないでしょうか?

また、こうした考え方を発展させれば、人間と機械(人工知能・ロボット)と一体化して、人間の能力を強化・拡張していくことによって、未来の社会基盤を構築していくことにもつながると思います。

この考え方は、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)という暦本純一さんが提唱するコンセプトで、人間とテクノロジー・人工知能が一体化することで、知覚、認知、身体、存在感の4つの分野で人間の能力を強化・拡張していくIoA(Internet of Abilities:能力のインターネット)という未来社会基盤の構築を視野に入れた、最先端の研究を体系化していく学問領域です。

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https://twitter.com/ochyai/status/863280246140698624で落合陽一さんはAIやロボットなど自動化技術によって、高齢化社会で成長する方法を提案しています。

高齢化社会をベースにすると発想を転換すると、それに合わせたテクノロジーが生まれることによって、もしかすると、若者にとっても過ごしやすい社会になるかもしれませんし、すでにそうした兆しも見えています。

ぜひこれをチャンスに変えてほしいですね。

→ 【人手不足で悩む社長さんへ】求人を増やす方法(給与前払いサービス・AIの活用・ワクワクする仕事をPR) について詳しくはこちら







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DFRobot’s BOSON Kit|モジュール化したロボットキットがコーディング・IoTなど子供のSTEM教育に役立つ

STEM教育のための知育玩具の可能性として、ロボット×プログラミング×遊び=トイ・プラットフォームtoio(sonyのおもちゃ)を紹介しましたが、STEM玩具として注目を集めそうなKicstarterで面白いキットを見つけました。




■DFRobot's BOSON Kit

参考画像:DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM|スクリーンショット

DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM|Kickstarter

「ウェアラブル人工すい臓」、機能ごとにモジュール化|インスリン治療を低コストにするアイデアとは?では、(1)血糖値モニタリング、(2)血糖値を下げるためのインスリン投与、(3)血糖値を上げるためのグルカゴン投与という機能ごとにモジュール化されたデバイスと同様に、今回のBosonキットは、複雑な回路をわかりやすく、シンプルに、機能ごとに分解してモジュール化していて、そのモジュール化したブロックをコーディングやはんだづけをすることなく、STEM教育ができるキットになっています。

Amazonは、“STEM”の分野に絞った教育おもちゃの定期購入サービスを始めるというニュースを以前取り上げましたが、STEM分野にフォーカスした知育玩具が注目されているのを感じます。

STEM教育とは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)のこと。

おもちゃと触れて遊んでいるうちに、好奇心をもって試行錯誤をしながら、自然と学ぶというのがこれからの教育の形になっていくのではないかと思っているのですが、toioのコンセプトも同じように、手を動かして(工作)遊んで、触れあっていくうちに新しい遊びを考えていき、自然と新しい発見をしていくというものです。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

これからの教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいくのではないでしょうか。




■SonyのtoioとDFRobot's BOSON Kitとの違い

両者ともSTEM教育やロボット、プログラミングを目的としていて、入口と出口はほとんど同じように感じるのですが、Sonyのtoioがカートリッジで機能を変えることができるのに対して、Bosonキットはブロックに単一の機能を持たせているという違いがあり、途中のアプローチが違うのが興味深いです。

まるでSonyのtoioがゲーム機のようにソフトを入れ替えることで遊び方を変えているようであり、Bosonキットは一つの機能を持たせたLEGOブロックを組み合わせることで新しい動かし方・遊びを創造しようというものであるように感じます。

Sony PlayStation at GDC

by Josh Hallett(画像:Creative Commons)

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by Bill Ward(画像:Creative Commons)

■まとめ

DFRobot’s BOSON Kit: Powerful Building Blocks For LEGO STEM

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)では「創造力」と「遊び」についてこのように書かれています。

ファンタジア

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創造力を刺激する遊びを通じて、子供の知識が広げられないと、すでに知っている事柄同士の関係を築くことはできない。仮に関係を築くことができたとしても、それは非常に限定された方法でなされたにすぎず、それでは子供のファンタジアを発達させるに至らない。

子供を創造力溢れ、のびのびしたファンタジアに恵まれた人間に育てたいなら、可能な限り多くのデータを子供に記憶させるべきだ。記憶したデータが多ければ、その分より多くの関係を築くことができ、問題に突き当たってもそのデータをもとに毎回解決を導き出すことができる。

創造力とは、知識同士の関係性をつなぎあわせ、それを表現する方法であるとするならば、Bosonキットが提供するモジュールを組み合わせて新しいモノを生み出すというのがその発想に近いのではないでしょうか。

子供が描いた絵に対して大人が「創造力がある」と表現することがありますよね。

なぜ大人は子供が描いた絵に対して創造力があると表現するのでしょうか。

それは、無関係なもの同士をつなげたことによって、大人では想像できなかったものを描いたからです。

ただ、それは、ランダムに組み合わせたものが意図せず偶然作られたもの(子供によっては意図して作るケースもあるかと思います)であり、また、子供たち自身がメッセージ性をもって作り上げたものではありません。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)にはこう書かれています。

無知こそが最大の自由を与えると信じるのは間違っている。
むしろ知識こそが自己表現の手段を完全に操る力を与えるのだ。
それにより、手段とメッセージに一貫性をもたせ、明確に自己表現できるようになる。

子供に対しては、遊びや授業を通して、様々な表現方法があることを記憶させることによって、自分が本当に伝えたい・解決したいことができた時に、最も気持ちと一致した表現方法で表現することができるはずです。

言葉で表現することや絵で表現すること、映像で表現すること、写真で表現することなど様々な表現方法がありますが、多くの知識を持つことが自己表現に役立つのです。

「ファンタジア」(著:ブルーノ・ムナーリ)

創造力を欠いた人は、人生で避けて通ることのできない様々な変化にうまく適応できない。例えば、多くの親が自分の子供を理解できなくなってしまうのがそうだ。

創造力のある人は常に共同体から文化を受け取り、そして与え、共同体とともに成長する。創造力のない人はだいたい個人主義的で頑なに自分の意見をほかの個人主義者のそれと対立させようとする。

創造力が欠けていると、それぞれの関係性を結びつけることが難しく、変化に対応するのが苦手になってしまうのでしょう。

創造力は人生を楽しく生きる上での大事な力になってくれるはずですので、子供の時から遊びや授業を通じて教えてほしいですね。







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