「認知症」タグアーカイブ

一日に歩く時間が長い人ほど認知症になりにくい!40代・50代は認知症予防のためにも運動する時間を増やそう!|東北大

健康・美容チェック > 認知症 > 一日に歩く時間が長い人ほど認知症になりにくい!40代・50代は認知症予防のためにも運動する時間を増やそう!|東北大




【目次】

■一日に歩く時間が長い人ほど認知症になりにくい|東北大

「長く歩く人、認知症になりにくい」東北大の研究グループが発表(2018/12/10、読売新聞)に紹介されている東北大の遠又靖丈講師の研究グループの研究によれば、一日に歩く時間が長い人ほど認知症になりにくく、仮に「30分未満」「30分~1時間」のグループが歩行時間を増やして、一段階上のグループに移ると、認知症になる割合が低く抑えられることが分かったそうです。

■運動と認知症(認知機能)の関係

two-girls-exercising-cayucos-beach2

by Mike Baird(画像:Creative Commons)

認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病によれば、認知症のリスク要因の一つに運動不足が挙げられています。

中年期の運動によって脳の萎縮や認知機能の低下を予防できる!?によれば、米ボストン大学などの研究チームによるランニングマシンで運動してもらうテストによれば、運動成績が悪かった人は脳が萎縮していることがわかったそうです。

軽い運動でも脳の認知機能は向上する!?によれば、筑波大学体育系の征矢英昭教授らの研究で、ジョギングに相当する運動を短時間行うと脳の中の判断力や注意力を支配する部分の活動が活発になることがわかっており、またウォーキング程度の軽い運動を短時間行なっても脳の認知機能が高まることがわかったそうです。

【関連記事】

有酸素運動をすると頭も体もスマートになる?によれば、運動の結果、脳の最大酸素摂取量が上がり、被験者たちの認知能力に大幅な改善が見られたそうです。

うつ病性仮性認知症対策|前頭葉の血流を増やす方法は有酸素運動(散歩など)+知的刺激(川柳など)を行う「コグニサイズ」|たけしの家庭の医学で紹介した国立長寿医療研究センターでは、頭を使いながら有酸素運動すること、例えば、暗算やクイズなどを解きながら速足で歩いたりすることを勧めているそうです。

このことを「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせ「コグニサイズ」と呼んでいるそうです。

週1回90分の運動プログラムを10か月間参加したグループでは、認知機能や言語機能が維持されており、また脳の特定部位の萎縮傾向がなかったそうです。

■中年期以降の歩行時間が継続して多いグループでのみ認知症発生リスクが低い

遠又靖丈講師らの研究によれば、中年期以降の歩行時間が継続して多いグループでのみ認知症発生リスクが低く、また、高齢期になってからの認知症を予防するためにも、中年期から高い水準の身体活動量を維持することの重要性が示唆されています。

【参考リンク】

認知症を予防するためにも、40代・50代の方はぜひ今のうちから運動に取り組んでいきましょう!

→ 認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







【関連記事】

ゴルフで認知症予防!|ゴルフには運動・脳トレ・社会的な交流という認知症予防につながる要素がそろっている!

健康・美容チェック > 認知症 > ゴルフで認知症予防!|ゴルフには運動・脳トレ・社会的な交流という認知症予防につながる要素がそろっている!




【目次】

■ゴルフで認知症予防!

EASTWOOD MIRI & GOLF RESORT - SARAWAK

by Katja Hasselkus(画像:Creative Commons)

ゴルフが認知症予防に 倉本氏「教本、テキストを」

(2018/3/23、日刊スポーツ)

毎週1回、90分の練習セッションを14回、その後120分間のコースセッションを10回行い、その結果、単語記憶(30点満点)が13点から約14点へ、論理的記憶が約15点から16点半ばへと、いずれも事後の方が数字がアップした。

国立長寿医療研究センター、東大、杏林大、ウィズ・エイジングゴルフ協議会との共同研究で、65歳以上でゴルフ未経験の106人を対象に6か月間に週1回のゴルフ練習を行なったグループは単語記憶や論理的記憶の数字がアップしたことから、ゴルフが認知症予防に役立つことが期待されるそうです。




■なぜゴルフをすることが認知症予防につながるの?

なぜゴルフをすることが認知症予防につながると考えられるのでしょうか?

国立長寿医療研究センター・予防老年研究部の島田裕之部長は「運動不足はアルツハイマー発症の1番の危険因子。ゴルフには運動、脳トレ、社会的活動と認知症予防になる要素がそろっており、ゴルフは認知症の予防になる」と説明した。

今回のポイントは、認知症予防になる要素として、運動・脳トレ(数字の計算)・社会的な交流が挙げられていることです。

認知症の予防につながる9つのリスク要因によれば、|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病が9つのリスク要因として挙げられています。

●運動

中年期の運動によって脳の萎縮や認知機能の低下を予防できる!?によれば、米ボストン大学などの研究チームによるランニングマシンで運動してもらうテストによれば、運動成績が悪かった人は脳が萎縮していることがわかったそうです。

軽い運動でも脳の認知機能は向上する!?によれば、筑波大学体育系の征矢英昭教授らの研究で、ジョギングに相当する運動を短時間行うと脳の中の判断力や注意力を支配する部分の活動が活発になることがわかっており、またウォーキング程度の軽い運動を短時間行なっても脳の認知機能が高まることがわかったそうです。

【関連記事】

●脳トレ

うつ病性仮性認知症対策|前頭葉の血流を増やす方法は有酸素運動(散歩など)+知的刺激(川柳など)|たけしのみんなの家庭の医学によれば、国立長寿医療研究センターでは、暗算やクイズなどの課題を解きながら速足で歩いたりするような、頭を使いながら有酸素運動する、「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせ「コグニサイズ」を勧めており、週1回90分の運動プログラムを10か月間参加したグループでは、認知機能や言語機能が維持されており、また脳の特定部位の萎縮傾向がなかったそうです。

また、エゴマ油摂取+脳トレ=認知症予防効果がある!?によれば、公益財団法人しまね産業振興財団、しちだ・教育研究所、島根えごま振興会、島根大、島根県立大の研究チームが行なった実験によれば、毎日スプーン1杯分のエゴマ油を摂取し、週に1回、計算や読み書きなどの脳トレを実施したグループは何もしないグループよりも記憶力や論理的思考力などの知的柔軟性の評価項目が高くなったという結果が出たそうです。

●社会的な交流

社会的つながり多い高齢者、認知症リスク46%減 国立長寿医療研究センターが研究結果

(2017/11/23、日本経済新聞)

国立長寿医療研究センターが2003年に65歳以上だった1万3984人を対象に約9年間健康状態を追跡調査し、社会とのつながりと認知症発症との関係を調べたところ、友人と交流し、地域の活動に参加するなど、社会的なつながりが多い高齢者は、認知症の発症リスクが46%低下するとの研究結果を発表しています。

社交的な生活が認知症のリスクを減らす可能性=研究によれば、社会的に活発な人はストレスにさらされにくく、孤独で悩みがちな人に比べて、認知症になるリスクは50%低いそうです。

■まとめ

今回の研究によれば、ゴルフには運動、脳トレ、社会的活動と認知症予防になる要素が揃っているため、ゴルフは認知症の予防が期待できるということですので、運動する機会がなくて、認知症予防をしたい方はゴルフを始めてみましょう!







【参考リンク】
続きを読む ゴルフで認知症予防!|ゴルフには運動・脳トレ・社会的な交流という認知症予防につながる要素がそろっている!

変形性関節症の人はメタボリックシンドロームや認知症になるリスクが高くなる|東大チーム疫学調査

健康・美容チェック > 変形性膝関節症 > 変形性関節症の人はメタボリックシンドロームや認知症になるリスクが高くなる|東大チーム疫学調査




■変形性関節症の人はメタボリックシンドロームや認知症になるリスクが高くなる|東大チーム疫学調査

Kneed

by dion gillard(画像:Creative Commons)

変形性関節症ならメタボ・認知症注意 東大チーム疫学調査

(2009/7/1、日本経済新聞)

東京大学医学部付属病院の吉村典子特任准教授らの研究チームの疫学調査によれば、変形性関節症の患者は、メタボリックシンドローム認知症になるリスクが高いそうです。

なぜ変形性関節症の人はメタボリックシンドロームや認知症になるリスクが高くなるのでしょうか。

■変形性関節症と認知症の関係

認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病によれば、認知症のリスク要因として「運動不足」が挙げられており、変形性関節症になると運動をやらなくなるため、認知症になりやすくなるのではないかと考えられます。

多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥る|厚生労働省
多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥ります。加齢に伴う変化(食欲の低下・活動量の低下・社会交流の低下・筋力低下・認知機能低下・多くの病気をかかえている)→危険な加齢の兆候(低栄養・転倒・サルコペニア・尿失禁・軽度認知障害(MCI))

参考画像:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省スクリーンショット

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!によれば、「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態です。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

要介護者等の状況|平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省によれば、介護が必要となった主な原因を要介護度別にみると、要支援者では「関節疾患」が19.4%で最も多くなっています。

ひざ痛中高年1800万人 要介護へ移行リスク5.7倍で紹介した厚生労働省研究班の調査によれば、膝関節の軟骨がすり減って痛むようになると、要介護に移行するリスクが5.7倍高いそうです。

介護施設で「パワーリハビリ」を導入 約8割に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果|弘前によれば、弘前市内の介護施設が専用マシンで筋力アップのトレーニングを行う「パワーリハビリ」を取り入れたところ、約8割の人に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果があったそうで、要介護状態になる前段階である「フレイル(フレイルティ)」の段階で、筋力アップのトレーニングを行う「パワーリハビリ」を行なうことにより、筋肉量の減少や筋力の低下、運動機能の低下を抑えることができれば、要介護状態になる高齢者を減らすことにつながることが期待されます。




■変形性関節症とメタボリックシンドロームの関係

メタボリック変形性関節症の概念
メタボリック変形性関節症の概念

参考画像:臨床リウマチ医のための基礎講座 メタボリックシンドローム(MetS)と変形性関節症(OA)|JSTAGE|スクリーンショット

臨床リウマチ医のための基礎講座 メタボリックシンドローム(MetS)と変形性関節症(OA)|JSTAGEによれば、メタボリックシンドロームと変形性膝関節症には加齢と慢性炎症(Inflammaging)、高脂血症、肥満、糖尿病(耐糖能異常)、高血圧といった共通のリスク要因が多いそうです。

■ロコモチェック

(1)片脚立ちで靴下がはけない

(2)家の中でつまずいたり、滑ったりする

(3)階段を上るのに手すりが必要

(4)横断歩道を青信号の間に渡りきれない

(5)15分くらい続けて歩けない

上記の5種類のうち1つでも当てはまれば、「ロコモ」の可能性があるそうです。

■ロコモにならないための運動「ロコトレ」

●開眼片足立ちの方法

1日3回、左右1分間ずつ、床につかない程度に片足を上げる。

※骨の強度が弱まることを防ぐとともに、バランス能力を鍛えて転倒しにくくする。

●スクワットの方法

1日に3度(1度に5・6回ずつ)椅子に腰をかけるようにお尻をゆっくり下ろす。

※お尻や太ももの筋肉のトレーニング

■まとめ

変形性関節症の患者は、メタボリックシンドローム認知症になるリスクが高いそうです。

→ 膝が痛い|関節痛・変形性膝関節症 について詳しくはこちら

メタボリックシンドロームや認知症を予防するためにも、変形性関節症にならないようにするアプローチをしていくことが重要になりそうです。







【参考リンク】
続きを読む 変形性関節症の人はメタボリックシンドロームや認知症になるリスクが高くなる|東大チーム疫学調査

白内障の手術でMCI(軽度認知障害)になりにくくなり、抑うつ状態が改善し、QOLが改善する!?

健康・美容チェック > 認知症 > 白内障 > 白内障の手術でMCI(軽度認知障害)になりにくくなり、抑うつ状態が改善し、QOLが改善する!?




【目次】

■見えにくいと認知症になりやすい?

Cataract

by National Eye Institute(画像:Creative Commons)

視力の悪い人は認知症になりやすい!? 白内障手術で認知機能が改善することも

(2017/8/16、AERA.dot)

認知機能の低下に結びつく原因として、視力が低下して眼からの情報が減るために、脳に送られる情報が減少し、その状態が長く続くことで脳の働きが低下することが考えられる。

認知機能低下の原因が視力の低下にあるという仮説を参考にすれば、ぼやけた映像(解像度の低い映像)を見ている、つまり解像度の低い情報が脳に送られてしまう状態が長く続くことで脳の働きが低下してしまうということも考えられそうです。

度数が合っていないメガネを着けていると、物忘れがひどくなる(健忘症になってしまう)!?で紹介した慶應義塾大学理工学部・満倉靖恵准教授は生体信号・脳波の研究をされているのですが、目の情報は脳波に大きな影響があり、合っていないメガネを付け続けると、脳に負担がかかってしまい、脳波に影響を与え、テクノストレスによって認知症や健忘症につながるのだそうです。

【参考リンク】

大鹿哲郎 筑波大学教授によれば、水晶体が濁り、網膜に光が当たらないことでホルモンの状態が変化することによって、睡眠障害や生活リズムの乱れ、意欲の低下がみられるようになり、認知機能に影響を及ぼす可能性があるとコメントしています。

視力の悪い人は認知症になりやすい!? 白内障手術で認知機能が改善することも

(2017/8/16、AERA.dot)

 健康な状態では、光が網膜に届くことで、脳の下垂体などから分泌されるホルモンがコントロールされ、体内時計が正常に働いている。しかし、水晶体がにごり、網膜に光が当たらないことでホルモンの状態が変化するという。

「それによって睡眠障害や生活リズムの乱れ、意欲の低下などがみられることがあり、認知機能に影響を及ぼす可能性が考えられます」(大鹿医師)




■白内障の手術でMCI(軽度認知障害)になりにくくなり、抑うつ状態が改善し、QOLが改善する!?

見えやすさと認知機能改善についての研究が進められています。

認知症患者への白内障手術による QOL 向上|日本老年医学会

軽度認知症や高齢者うつによる偽認知症では,白内障手術によって日常生活機能(ADL)が改善するケースを時に経験する.

石井晃太郎、加畑隆通2、大鹿哲郎 高齢者の認知機能障害と抑うつ状態に対する白内障手術の影響 Am J Ophthalmol 146:404-409,2008.

高齢者の抑うつ状態は、認知機能障害の主な原因の一つである。今回の我々の検討では、白内障手術によって視覚関連QOLが改善した患者ほど認知機能および抑うつ状態が改善していた。白内障手術は、視覚に関連したQOLを有意に改善するとともに、高齢者の抑うつ状態および抑うつ偽認知症を改善し、患者の社会生活機能を大きく改善することが示された。(日眼会誌 113:54,2009から転載)

「高齢者における白内障手術の認知機能への影響

(2018/5/1、奈良県立医科大学)

過去には 2873 名の対象者のうち80歳以上の対象者の約40%で白内障手術が施行され視力が改善していることや(Miyata K, et al. Biores Open Access. 2017)、視力障害があると認知症のリスクが約2倍高くなること(Mine M, et al. Biores Open Access. 2016)を報告しています。

奈良県立医科大学眼科学教室が行った、奈良県在住の地域高齢住民を対象とした藤原京アイスタディによれば、白内障手術を受けている患者さんの方が軽度認知障害(MCI)になりにくいことが分かったそうです。(認知症とは有意な関連を認められなかったそうです。)

【参考リンク】

これらの研究によれば、白内障手術によって物が見えやすくなったことで、認知機能が改善し、抑うつ状態が改善し、QOLの改善という結果が得られています。

視力の悪い人は認知症になりやすい!? 白内障手術で認知機能が改善することも

(2017/8/16、AERA.dot)

また、ものが見えにくくなることで、活動量が減ったり、閉じこもりがちになり人とのコミュニケーションが減ったりすることも、認知機能の低下につながる可能性が考えられる。

ただ、白内障の手術によって認知症の改善はできていなかったことや物が見えやすくなって活動量が増えたりコミュニケーションが増えたことによって認知機能が改善したということもあり、ものが見えやすくなったことというよりも、見えたことによって活動的になったことがこうした効果を生んだ可能性がありそうです。

あなたがもしご両親の元気がなくなったように感じた時には、モノが見えづらいことで活動的でなくなった可能性もあるので、「見えにくくなってない?」と話しかけてみてくださいね。

→ 白内障とは|白内障の症状(初期症状)・原因・治療・予防(食べ物・サプリ) についてくわしくはこちら

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 についてくわしくはこちら







【関連記事】
続きを読む 白内障の手術でMCI(軽度認知障害)になりにくくなり、抑うつ状態が改善し、QOLが改善する!?

【ガッテン】血糖値を下げる!オステオカルシン(骨ホルモン)を増やす「かかと落とし」のやり方|オステオカインが全身の臓器を制御している




【目次】


【復習編】

■骨ホルモン(オステオカルシン)で血糖値を下げる
骨が全身の代謝を改善 オステオカルシンによるインスリン分泌の新しい経路を発見
全身には約200個の骨があり、体を支えている。しかし、ホルモンを分泌し、全身の代謝を活性化する内分泌器官でもある。

参考画像:骨が全身の代謝を改善 オステオカルシンによるインスリン分泌の新しい経路を発見(2013/2/21、九州大学)|スクリーンショット

骨が全身の代謝を改善 オステオカルシンによるインスリン分泌の新しい経路を発見

(2013/2/21、九州大学)

近年、オステオカルシンは膵臓からインスリン※2分泌を促し、血糖値を下げて全身の代謝を活性化すると注目されています。一方、インクレチン※3の1つである GLP-1 は食事の際に小腸から分泌され、インスリンの分泌を促して食後の血糖上昇を抑えます。

九州大学大学院歯学研究院口腔細胞工学分野の平田雅人主幹教授らのグループが行なったマウスを使った実験によれば、オステオカルシン (osteocalcin) が GLP-1 (インクレチンの1種で、インスリンの分泌を促し血糖値の上昇を防ぐ) の分泌を促すことがわかったそうです。

注目すべきは経口投与の場合、GlaOC でも ucOC と同様に血中 GLP-1 濃度の上昇作用がみられたことです。

ucOC は小腸に存在する受容体 Gprc6a に作用して腸管からの GLP-1 の分泌を促し、インスリンの分泌を促進していることが明らかになりました。

経口投与の場合は、γカルボキシラーゼによってカルボキシル化された型(Gla 型オステオカルシン、GlaOC)でもucOC(低(無)カルボキシル化状態のオステオカルシン)と同様に、血中 GLP-1 濃度の上昇が見られたことから、GlaOCを含む骨成分を薬や食品・サプリメントの形で摂取することで、糖尿病の予防ができるようになるかもしれません。

【参考リンク】

■骨ホルモン(オステオカルシン)は臓器の働きを活性化する

Being a patient is involuntary - Christine update 9531

by Ted Eytan(画像:Creative Commons)

すい臓血糖値を下げる効果→糖尿病予防

●脳→神経細胞の結合を維持させ、認知機能の改善→認知症予防

肝臓→肝細胞の代謝を向上させる→肝機能の向上

●心臓 動脈硬化予防

●腸→小腸で働き、糖などの栄養吸収を促進

●精巣→男性ホルモンを増やし、生殖能力を高める

●皮膚→皮膚組織と同じ種類のコラーゲンを作り出す

腎臓→骨細胞が分泌するFGF23というホルモンは腎機能を向上させる

【追記(2018/1/10)】

2018年1月7日放送のNHKスペシャル「人体」では「骨」がテーマで「オステオカルシン」が取り上げられました。

コロンビア大学のジェラール・カーセンティ博士が注目しているのが骨芽細胞が出すメッセージ物質の「オステオカルシン」であり、オステオカルシンは記憶力、筋力、生殖力など若さを生み出すパワーがあることがわかっているそうです。

糖化 関連記事】

■骨ホルモン(オステオカルシン)を増やす方法

骨ホルモン(オステオカルシン)を増やす方法とは、「かかと落とし」!

かかと落としとはいっても、格闘技のあのかかと落としではありません。

かかと落としのやり方は、立った姿勢で、ゆっくりと大きく真上に伸び上がり(かかとを上げてつま先立ちのような姿勢になり)、一気にストンとかかとを落とすというものです。

回数は一日30回が目安で、血糖値(HbA1c)が高めの方におすすめです。

骨には神経細胞のネットワークのように刺激が伝わる性質があるため、かかとからの刺激が体の骨全体に伝わります。

※2018年9月3日放送の「名医のTHE太鼓判!」のテーマ【血糖値の3つの新常識】では、「かかと落としが骨ホルモンが分泌され血糖値を下げる」を取り上げます。

→ スクレロスチンの値を下げて骨量を増やし骨粗鬆症を予防する方法|骨が作り替えられるメカニズム|#NHKスペシャル #人体 について詳しくはこちら

→ オステオポンチン|免疫力をコントロールするメッセージ物質|#NHKスペシャル #人体 について詳しくはこちら




■「骨免疫学(0steoimmunology=オステオイムノロジー)」

【予習編】

2017年2月15日放送の「ガッテン!」のテーマは「脳を活性化!血糖値ダウン!新発見“骨ホルモン”SP」です。

Yahoo!番組予告

「骨ホルモン」は、今世界中の研究者が大注目している新物質。骨を上手に刺激すると骨から大量に放出されて全身へ運ばれ、脳や肝臓、すい臓、腎臓など、さまざまな臓器を活性化してくれることが分かってきた!逆に骨ホルモンが少ない人は、糖尿病や動脈硬化などを引き起こす可能性があるので要注意だ。

「骨ホルモン」が少ない人は糖尿病動脈硬化などを引き起こす可能性があるということで気になりましたので、予習のために、調べてみたいと思います。

中島友紀 東京医科歯科大学教授が骨研究の第一人者として出演されるということで、この分野の研究が紹介されると思い、調べてみました。

分子情報伝達学| 医歯学総合研究科(歯)|分野一覧|東京医科歯科大学

これまで、骨は、主として単純に生体を支え、運動を可能にする硬い組織という認識であった。しかし、近年の研究によって、骨は能動的に全身の機能を制御している事が示唆されるようになってきた。我々は、骨産生分子が、全身性の生体システムに連関することを実証し、責任分子(ホルモンやサイトカイン等)の同定とその機能解析を行っている。これらの解析によって、骨が多臓器を制御するネットワーク「オステオネットワーク」の全貌解明を目指している。

骨が全身の臓器を制御する「オステオネットワーク」について紹介されるのではないかと推測されます。

オステオネットワーク
骨は単なる運動器の一部ではなく、外界の環境変動やストレスを感受し、骨が分泌する生理活性物質「オステオカイン」と骨免疫の作用により、全身臓器を能動的に制御している。この骨による全身の制御メカニズムを「オステオネットワーク」と呼び、その解明を通じて、骨と他臓器に共通する種々の疾患に対する治療法の基盤を確立することを目指している。

参考画像:骨と免疫の 新しい夜明け|科学技術振興機構スクリーンショット

骨と免疫の 新しい夜明け|科学技術振興機構

骨は単なる運動器の一部ではなく、外界の環境変動やストレスを感受し、骨が分泌する生理活性物質「オステオカイン」と骨免疫の作用により、全身臓器を能動的に制御している。この骨による全身の制御メカニズムを「オステオネットワーク」と呼び、その解明を通じて、骨と他臓器に共通する種々の疾患に対する治療法の基盤を確立することを目指している。

この分野は『骨免疫学(0steoimmunology=オステオイムノロジー)』と呼ばれるもので、骨が分泌する「オステオカイン」と骨免疫の作用により全身の臓器を制御しており、この制御メカニズムのことを「オステオネットワーク(Osteonetwork)」と呼ぶそうです。

オステオネットワークの研究には、既成の学問分野を横断した幅広いアプローチが必要となるため、プロジェクトを構成するメンバーの出身も医学部、歯学部はもとより、薬学部、農学部、理学部など実に多彩で、メンバーのほとんどが30代、20代の若手主体の編成だ。

オステオネットワークの研究に関しては、様々な分野を横断したアプローチが必要となるため、医学部、歯学部、薬学部、農学部、理学部などメンバーが集まっており、オステオネットワークが解明されれば、今までとは全く違った治療法(例えば、骨を強くし体を整えるために運動が大事)も生まれてくるかもしれません。

【参考リンク】







【関連記事】
続きを読む 【ガッテン】血糖値を下げる!オステオカルシン(骨ホルモン)を増やす「かかと落とし」のやり方|オステオカインが全身の臓器を制御している