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魚油に含まれるオメガ3がインスリン抵抗性を改善し糖尿病の予防・治療に役立つ可能性




科学誌『Nutrients』に掲載された最新の研究によれば、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸が、非肥満者におけるインスリン抵抗性を改善し、糖尿病リスクを下げる可能性があることがわかりました。

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【参考リンク】

今回の研究では、2型糖尿病に似た症状を持つ非肥満のラットを対象に週3回8週間魚油を経口投与し、魚油に含まれるオメガ3脂肪酸(EPAとDHA)が、血糖代謝や免疫応答にどう影響するかを調べました。

【今回の研究のポイント1!】

肥満ではない患者でも、日本では2型糖尿病患者が多く、太っていないのに高血糖やインスリン抵抗性を示すラットの研究は日本人の2型糖尿病の研究にとって重要な研究と言えます。

【参考リンク】

  • Kashima, S.; Inoue, K.; Matsumoto, M.; Akimoto, K. Prevalence and Characteristics of Non-Obese Diabetes in Japanese Men and Women: The Yuport Medical Checkup Center Study: Characteristics of Non-Obese Diabetes. J. Diabetes 2015, 7, 523–530.

実験結果】

1)血糖値が下がり、インスリンが効きやすくなった(インスリン抵抗性が減った)、つまり血糖コントロールがよくなった

2)炎症が減った

・炎症を引き起こすリンパ球(Th1やTh17)が減って、逆に炎症を抑えるリンパ球(Treg)が増えた。

・炎症を起こす物質(TNF-αやIL-17)が減って、炎症を抑える物質(IL-10)が増えた。

3)脂質が改善した

血清脂質(総コレステロールLDLコレステロール中性脂肪)が減少した。

【なぜ?そのメカニズムとは?】

1)オメガ3による抗炎症作用

2)炎症を起こすTh1やTh17が減って、炎症を抑えるリンパ球(Treg)が増えることで、炎症を抑えてインスリン感受性を高める

3)魚油が血糖や脂質を下げることで代謝の改善

2型糖尿病の身体は炎症を起こすスイッチが入りっぱなしで血糖値コントロールも乱れてしまっている状態なのですが、オメガ3はそのスイッチをオフにして、免疫システムを落ち着かせて、なおかつ血糖や脂質を整えてくれます。

■まとめ

今回の研究では2型糖尿病に似た症状を持つ非肥満のラットにおいて魚油のオメガ3が血糖値を下げ、インスリン抵抗性を改善し、炎症を抑える効果があることを示し、また免疫のバランスを整えることがわかりました。

今回はラットの実験であり、人間では同じ効果があるかどうかはわかりませんが、今後魚油に含まれるオメガ2が2型糖尿病の治療や予防に役立つ可能性が期待されます。

魚介類を多く食べる男性は糖尿病になるリスクが低い!最大でリスク3割減|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターなどによる追跡調査によれば、魚を多く食べる男性は糖尿病になるリスクが低いという調査結果が出ていましたが、この研究に近い結果が出ています。

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オメガ3を毎日飲むと老化を遅らせる効果があることが判明!

ブルーベリーのサプリメントによって高脂肪食ラットの腸内細菌叢のバランスの改善、全身の炎症が減り、インスリン抵抗性が改善




ある論文によれば、高脂肪食を食べたラットにブルーベリーを与えると、腸内細菌のバランスが改善し、腸の健康が守られ、全身の炎症が減り、インスリン抵抗性が改善されることがわかりました。

【参考リンク】

■背景

肥満になると、腸内細菌のバランスが崩れ、慢性的な炎症が起こることが知られています。

この炎症は、インスリン抵抗性(インスリンが効きにくくなる状態)など、肥満に関連する健康問題を引き起こします。

ブルーベリーには「アントシアニン」という抗炎症作用のある成分が豊富に含まれており、腸内細菌のバランスを整える可能性があると考えられています。

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■実験結果

ブルーベリーのサプリメント摂取により、高脂肪食(HF)を与えられたラットの腸内細菌叢が変化し、全身性炎症が軽減され、インスリン抵抗性が改善されるという仮説を立てて、実験した結果、次のような結果が出ました。

1)腸内細菌の変化

ブルーベリーを食べたラット(HF_BB)では、ガンマプロテオバクテリアという細菌の量が増え、腸内細菌のバランスが変化しました。

2)腸の健康

高脂肪食(HF)を与えたラットでは、腸(回腸)の絨毛の高さが約15%低くなりましたが、ブルーベリーを加えると回復しました。

ムチン2(腸の粘膜を保護する物質)の遺伝子発現は、ブルーベリーを食べたラットで高脂肪食だけのラットより約150%高くなりました。

3)炎症の軽減

高脂肪食を与えたラットでは、内臓脂肪で炎症に関わる物質(TNFαやIL1β)の遺伝子発現が300~500%増加しましたが、ブルーベリーを食べたラットではこれが正常レベルに戻りました。

4)インスリン感受性の改善

高脂肪食のラットでは、肝臓でのインスリン感受性が低下していましたが、ブルーベリーを食べたラットでは改善しました。

■結論

高脂肪食を食べたラットにブルーベリーを与えると、腸内細菌のバランスが改善し、腸の健康が守られ、全身の炎症が減り、インスリン抵抗性が改善されました。

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毎日砂糖入り飲料を飲むと肝臓がんのリスクが高まる!




毎日砂糖入り飲料を飲むと肝臓がんのリスクが高まる!
毎日砂糖入り飲料を飲むと肝臓がんのリスクが高まる!

Food Photographer phototastyfood.ru |unsplash

Study links sugar-sweetened beverage consumption with liver cancer(2022/6/15、ASN)によれば、9万人以上の閉経後の女性を対象とした調査を行なったところ、毎日砂糖で甘くした飲み物を一日1杯以上飲んだ人は、月に3杯未満しか飲まなかった人と比較して肝臓がんを発症するリスクが78%高くなったそうです。

→ 肝臓がんの症状 について詳しくはこちら

これまでにも砂糖入り飲料や炭酸飲料を飲むことで糖尿病すい臓がんのリスクが高まる可能性があるというニュースを紹介していきましたが、今回は砂糖入り飲料を飲むことで肝臓がんのリスクが高まるという研究です。

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なぜ砂糖入り飲料を毎日飲むことで肝臓がんのリスクが高まるか、そのメカニズムは具体的にわかっていませんが、研究者は次のような予測を立てています。

研究者は、砂糖入り飲料の摂取量が多いと、肥満と2型糖尿病のリスクが高まり、肝臓がんのリスク要因になる可能性があると述べています。これらの飲料はまた、インスリン抵抗性と肝臓の脂肪の蓄積に寄与する可能性があり、どちらも肝臓の健康に影響を及ぼします。

「肥満、糖尿病、心血管疾患の危険因子と考えられる砂糖入り飲料の摂取は、肝臓の発癌に強く関与しているインスリン抵抗性と炎症を引き起こす可能性があります」と趙氏は述べた。

糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、膵臓がんは1.85倍も高いで紹介した日本糖尿病学会と日本癌学会の報告によれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて肝臓がんは1.97倍なりやすいそうで、糖尿病の人がなぜがんになりやすいのかについてのメカニズムははっきりとわかっていないそうですが、インスリンは細胞を成長させ増殖させるホルモンなので、インスリンが増えると細胞のがん化につながるのではないか、また高血糖による炎症ががんを招いているのではないか、などが考えられるそうです。

また、肝臓に蓄積した脂肪が多いほど、他の臓器におけるインスリン抵抗性が強い!?|金沢大学によれば、肝臓に蓄積した脂肪が多いほど、肝臓と離れた場所に存在する骨格筋でインスリン抵抗性が強いということです。

※インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪などでのインスリンの働きが低下する状態で、インスリン抵抗性が強いと、糖尿病脂肪肝メタボリックシンドローム高血圧脂質異常症高脂血症)・動脈硬化を招く原因となります。

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肥満や糖尿病のリスク要因と考えられている砂糖の摂り過ぎは、インスリン抵抗性と炎症を引き起こし、肝臓がんにも影響を及ぼしているのではないかと考えられます。

肝臓がん予防のためにも砂糖入り飲料の飲み過ぎには注意してくださいね。

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マグネシウムを摂取している量が多いほど糖尿病のリスクが下がる!?

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糖尿病が気になるあなたも、糖尿病予備群のあなたも、しっかりと予防をすれば、健康で長生きができ、ワクワク楽しい生活ができますので、ぜひ糖尿病のことを知って、生活習慣を変えていきましょう!




【目次】

■マグネシウムを摂取している量が多いほど糖尿病のリスクが下がる!?

BEAN

by homami(画像:Creative Commons)

「マグネシウム」が糖尿病抑制 豆や海藻に含まれ

(2012/9/25、産経新聞)

食事でマグネシウムを多く取る人は、生活習慣病の2型糖尿病になりにくい-。

食事でマグネシウムを摂取している人は糖尿病になりにくいということが福岡県久山町の住民の健康診断データを21年間にわたって追跡した九州大チームの調査で確認されたそうです。

マグネシウム摂取量が148・5ミリグラム以下の最も少ないグループと比較すると、摂取量が増えるほど糖尿病のリスクが下がるという結果になった。

また、インスリンの効きが悪い「インスリン抵抗性」の人、習慣的に酒を多く飲むなど一般に糖尿病のリスクが高いとされる人で、マグネシウム摂取による予防効果がより高い可能性も示された。

マグネシウムを摂取している量が多いほど糖尿病のリスクが下がったそうです。

マグネシウムはどんな食品に含まれているのでしょうか。

マグネシウムは豆や海藻をはじめ、精製していない食品に広く含まれる。厚生労働省は30~49歳の男性に1日370ミリグラム、同年代の女性に同290ミリグラムの摂取を推奨しているが、実際の摂取量は男性平均250ミリグラム、女性同224ミリグラム(平成22年国民健康・栄養調査)で、だいぶ下回っている。

マグネシウムは豆や海藻、精製していない食品に含まれているそうですが、厚生労働省が推奨している摂取量を下回っているそうです。

現代人の生活は精製された食品を多くとっているということなのかもしれません。




■マグネシウムと糖尿病との関係

糖尿病の前段階の人はマグネシウムを摂取すると血糖値が改善する!?

マグネシウムとタウリンを多く摂取している人は、高血圧・高脂血症・糖尿病・肥満が少ない?|世界一受けたい授業 12月4日

家森幸男先生によれば、高血圧高脂血症糖尿病などに関係しているのはマグネシウムとタウリンであることが研究でわかっているそうです。

そして、マグネシウムとタウリンというこの2つの成分は、海産物の乾物に多く含まれているそうです。

塩が体に溜まることは悪いと言われますが、細胞の中から塩をポンプのように吐き出す役割をするのがマグネシウムなのだそうです。

世界中で調べたところによれば、マグネシウムもタウリンも多く摂取している人は高血圧・高脂血症・肥満が少ないのだそうです。

■まとめ

糖尿病が気になる人で、マグネシウムが不足していると感じている人は、マグネシウムを摂取するようにしてみてはいかがでしょうか。

→ 糖尿病の症状・初期症状|糖尿病とは について詳しくはこちら

→ 糖尿病危険度チェック について詳しくはこちら

→ マグネシウムの多い食品|マグネシウム不足になると体はどうなる? について詳しくはこちら







【参考リンク】
続きを読む マグネシウムを摂取している量が多いほど糖尿病のリスクが下がる!?

痩せた女性で筋肉量が少ない人ほど高血糖のリスクが高い|糖尿病予防には食事と運動で筋肉の量と質を高めよう!|順天堂大学【論文・エビデンス】

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■痩せた女性で筋肉量が少ない人ほど高血糖のリスクが高い|糖尿病予防には食事と運動で筋肉の量と質を高めよう!|順天堂大学

1 of 2 Two delightful girls give thumbs up - Runners at 1st Annual Rock 2 Rock 5 Mile Fun Run

by Mike Baird(画像:Creative Commons)

痩せた女性で筋肉が少ない人ほど高血糖のリスクが高い~ 糖尿病発症予防には適切な食事と運動が重要 ~

(2018/4/18、順天堂大学)

その結果、若い痩せた女性と比較して、痩せた閉経後女性では、糖負荷2時間後に140mg/dL以上となる耐糖能異常*5を来す人が多くおり、測定した人のうち37%(30名中11名)が耐糖能異常であることが明らかとなりました。同年代の女性における耐糖能異常の割合は17%程度であり、それと比較して高い割合となっていました。さらに、痩せた閉経後女性で、どのような人がより高血糖になりやすいかを詳しく解析したところ、インスリン分泌が低いことに加え、除脂肪体重(全身の筋肉の量を反映)が少ない人、筋細胞内に脂肪が蓄積(脂肪筋)している人ほど、血糖値が高いことが明らかになりました(図)。

順天堂大学大学院医学研究科・スポートロジーセンターの河盛隆造センター長、田村好史准教授、染谷由希特任助教、代謝内分泌内科学の綿田裕孝教授らの研究グループは、痩せた女性(体格指数(BMI): 18.5kg/m2未満) のうち、ブドウ糖を経口負荷(75g経口ブドウ糖負荷試験)した2時間後の高血糖の原因として、筋量の低下や筋肉への脂肪蓄積が関連する可能性がわかりました。

このことから、栄養摂取と運動によって筋肉の量と質を改善することにより、痩せた女性の糖尿病の発症を予防できるのではないかと考えられます。

■脂肪筋について

隠れ糖尿病の原因は脂肪肝と脂肪筋|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、体の中には、肝臓と同じように糖(ブドウ糖)を取り込んでくれるものがあります。

それは「筋肉」です。

筋肉は、体を動かすために必要なエネルギーとして糖や脂肪を取り込んでいるのですが、脂肪が多くなりすぎると、脂肪筋となってしまいます。

脂肪筋も脂肪肝と同じで、糖を取り込むスペースがなくなってしまい、高血糖の原因、つまり糖尿病の原因となります。

つまり、今回のことを参考にすれば、やせた女性で筋肉量が少ない人は、ブドウ糖を筋肉に取り込むことができず高血糖を生じやすいと考えられます。

また、筋肉への脂肪蓄積は骨格筋の質の低下(インスリン抵抗性)を引き起こし、ブドウ糖を筋肉に上手く取り込めず高血糖となる可能性があるそうです。

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■まとめ

痩せた女性の糖尿病の発症を予防する方法として2つ提案されています。

1.たんぱく質の摂取

第一に、痩せの原因として栄養摂取不足が背景にあることが多いことから、バランスの取れた食事を適量摂ることが必須です。例えば、若い女性でダイエットのために極端な炭水化物制限を続けていると、身体に必要なブドウ糖を産生・供給するために筋肉が分解されてしまうことや不適切な食事によるタンパク質の摂取量不足により、筋量が低下し、高齢者で認められる筋量の減少(サルコペニア*7)と同レベルにまで筋量が低下するおそれがあります。

ダイエット脂肪肝|減量が肝臓に深刻な異変を起こし、糖尿病・肝硬変・肝臓がんの危険性も!|#ガッテン(#NHK)によれば、極端に食事を減らすような急激なダイエットをすると、体が飢餓状態だと感じて全身の脂肪細胞や筋肉がエネルギー源を放出し、筋肉が減少して代謝が落ち、体が消費するエネルギー量が落ちてしまいます。

その結果、脂肪が肝臓にたまりやすい状態になってしまい、ダイエットのご褒美としておいしいものを食べ過ぎてしまうと、肝臓に脂肪がたまりやすい状態になっているわけですから、余分なエネルギーを脂肪として蓄えてしまい、「脂肪肝」や「糖尿病」になりやすいと考えられます。

そこで、筋肉のもととなるたんぱく質(アミノ酸)を含む食品をとることで、筋量を増やすことが重要です。

2.筋トレと有酸素運動

第二に、正しい食事を摂ることに加えて、主に筋肉の「量」を増やす「レジスタンス運動*8」、「質」を高める「有酸素運動」への取り組みが重要となります。

糖尿病の運動療法の進め方|血糖値の上昇が認められる食後1時間前後に行うのがよいによれば、糖尿病予防のための運動療法としては有酸素運動とレジスタンス運動が挙げられます。

有酸素運動は、酸素の供給に見合った強度の運動を持続して行うことにより、糖や脂肪をエネルギーとして消費します。

レジスタンス運動は、主に抵抗負荷に対して動作を行う運動で、強い負荷強度で行えば無酸素運動に分類されますが、筋肉量の増加による基礎代謝量の増加や加齢に伴う筋委縮予防が期待できます。







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