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【目次】
■鉄分を強化した小麦粉で鉄欠乏症・貧血を予防している国がある
by Beckmann’s Bakery(画像:Creative Commons)
2017年6月6日放送の「たけしの健康エンターテインメント!みんなの家庭の医学」のテーマは「損しない医療費&鉄分」です。
Yahoo!番組予告
その不調の原因も鉄分不足!?スーパー栄養素『鉄分』
◇WHOによる「鉄分による貧血を防止できているランキング」で、日本はなんと54位!日本は世界的に“鉄分不足”の国だった!
◇鉄分大国アメリカに、海外ロケ敢行!鉄分の効果的な摂り方とは?
鉄分で貧血防止ができている国ランキング第一位はアメリカ!
日米の鉄分摂取量を比較すると、日本7.6mgなのに対して、アメリカ14.8mgとなっています。
※厚生労働省「平成27年国民健康・栄養調査」
※USDA「What We Eatin America. NHANES2013-2014」
アメリカは鉄分大国ということで「アメリカ 鉄分」で検索してみたところ、アメリカでは、葉酸と鉄を強化した小麦粉を販売しているそうです。
葉酸と鉄による小麦粉強化の傾向-全世界、2004年と2007年|IMIC(国際医学情報センター)
全世界において小麦粉の消費量は他のどの穀物よりも多いため、小麦粉の強化は全世界の人々に葉酸、鉄および他のビタミンやミネラルを供給するための有効、簡単かつ安価な戦略である。CDCは2004年と2007年のFlour Fortification Initiative(FFI)のデータを分析し、全世界における葉酸と鉄を強化した小麦粉の割合、強化小麦粉入手者の全人数および女性の数、妊娠中に強化小麦粉を入手した母親から出生した新生児の数の変化について評価した。
地域別にみると、強化小麦粉の割合はアメリカ地域で90%から97%、東地中海地域で5%から44%、アフリカ地域で26%から31%、東南アジア地域で16%から21%、ヨーロッパ地域で3%から6%、西太平洋地域で2%から4%に増加し、増加率は東地中海地域が最も高かった。
葉酸の摂取で子どもの先天病「神経管欠損症(NTD)」の予防に成功|アメリカによれば、アメリカでは子供の先天病「神経管欠損症」を予防するために、将来妊娠の可能性のあるすべての女性に対し、一日400μgの葉酸を摂取するよう推奨しており、1998年からはパンや穀類に100g当たり140μgの葉酸を強制的に加えるようにしたことで、年間約1300人の発症を未然に防いでいるそうです。
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同様に、鉄欠乏症を予防するためにも、鉄分を加えた強化小麦粉を義務付けている国があり、アメリカもそのうちの一国。
番組で紹介したアメリカのシリアルの中にはFDA(アメリカ食品医薬品局)が推奨する一日の鉄分摂取量を100%満たすものがあるなど、ほとんどのシリアルに鉄分が豊富に含まれているそうです。
その他の食品も日本と比べると鉄分が多く含まれているそうです。
●食パンの鉄分量
日本 0.6mg アメリカ 2.4mg(4倍多い)
●フランスパンの鉄分量
日本 0.9mg アメリカ 約4mg(4倍多い)
●ピザの鉄分量
日本 約0.4mg アメリカ 約1.9mg(約5倍多い)
そのほかのパスタや小麦粉、ベーグル、クッキー、ココア、ライ麦パンなど、アメリカの食品は鉄分豊富です。
なぜアメリカの食品は鉄分が豊富なのでしょうか?
それは、1940年代国民の栄養状態の悪化が社会問題になったことが関係しています。
そこで、フランクリン・ルーズヴェルト大統領が国民の健康向上のために目をつけた解決策が小麦粉への鉄分等の添加を義務化することでした。
つまり、アメリカでは国策で国民の健康状態を向上させようとしたことで、食品の鉄分が豊富になっているわけです。
番組では、ポパイも鉄分が大切な栄養素であることを伝えているのではないかと紹介していました。
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■鉄が持つ体の健康を保つための役割
●全身に酸素を運ぶ
- 赤血球にはヘモグロビンが多数入っています。
- ヘモグロビンは鉄とタンパク質でできている。
- 鉄は酸素とくっつきやすい。
- 鉄が酸素をくっつけて全身の細胞へ運ぶ。
- 鉄分不足で酸素が頭に運ばれないとめまいや頭痛の症状が現れたり、肩の筋肉に運ばれないと肩こりの症状が現れたり、手足の末端に運ばれないと冷え性の症状が現れます。
→ 鉄分の多い食品 について詳しくはこちら
■ヘモグロビンが足りているかわかる!あっかんべーテスト😝
あっかんべーをするだけで鉄分不足による貧血の可能性がわかります。
貧血の場合には白くなります。
→ 貧血とは|貧血の症状・原因・数値・改善・食事 について詳しくはこちら
■日本人が食事からとる成分が吸収されにくい鉄分!?
鉄分の中には、食べて吸収されやすい鉄と吸収されにくい鉄があります。
吸収されやすい鉄とは、マグロの赤身や豚レバー、牛肉、鶏レバーなど動物や魚に含まれる鉄分である「ヘム鉄」です。
吸収されにくい鉄とは、切り干し大根や小松菜、ほうれん草、ひじきなど野菜や改装に含まれる鉄分である「非ヘム鉄」です。
ヘム鉄と非ヘム鉄では食べた時の吸収率が異なり、ヘム鉄10~30%であるのに対して、非ヘム鉄は1~8%なのだそうです。
※「鉄剤の適正利用による貧血治療指針」(響文社刊)
日本人が食事から摂る鉄分は約85%以上が吸収されにくい鉄である「非ヘム鉄」なのだそうです。
※妊産婦のための食生活指針(厚生労働省)
つまり、日本人の食習慣が原因で、日本人は鉄分不足になりやすいのです。
■まとめ
by Satoshi Yamaguchi(画像:Creative Commons)
日本では栄養不足は個人の責任で行いますが、海外では、栄養不足問題を個人だけの問題にせずに、国として対策を行なっているところもあるそうです。
小麦粉の消費量が多いことから、葉酸と鉄を強化した強化小麦粉を作ることにより、対策を行なっているケースを紹介しましたが、カンボジアではサプリメントとして鉄分を補給したり、強化小麦粉を義務付けるのではない別の方法によって、鉄欠乏性貧血が50%減少したそうです。
デザインとアイデアでカンボジアの人を貧血から救った鉄製の魚「LUCKY IRON FISH」によれば、カンボジアでは鉄分不足による貧血によって極度の倦怠感やめまいで悩まされている人が多かったのですが、カンボジアの食生活は魚と米から成り立っていて、鉄分の摂取が不足していたそうです。
そこで、「Lucky Iron Fish」という鉄の塊を鍋に入れることにより、摂取する鉄分を増やすことができたそうです。
日本は世界的に見て鉄分不足なのだそうですが、もし国自体が対策に取り組むとしたら、単純にそのほかの地域の真似をするのではなく、日本のライフスタイルに合わせた対策を行なった方がいいと思います。
日本でも昔は南部鉄器などに代表される鉄瓶や鉄鍋を使っていましたので、料理を作る際に鉄瓶や鉄鍋から溶け出した鉄分で補給しましょう!
→ 貧血によい食べ物・食事 について詳しくはこちら
→ 鉄分の多い食品 について詳しくはこちら
P.S.
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