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新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」利用開始!カギは利用者が得する仕組みと健康管理情報・行動履歴(位置情報)機能の導入




ライブ配信・ライブコマース(ショッピング)...「ライブ」の価値が高まっている!
ライブ配信・ライブコマース(ショッピング)…「ライブ」の価値が高まっている!

Blake Wisz|unsplash

コロナ感染者との濃厚接触を通知 アプリ「COCOA」利用開始(2020/6/19、NHK)によれば、新型コロナウイルス接触確認アプリ「COCOA」はアプリを入れた人どうしが、15分間以上、1メートル以内の距離にいると、接触した相手として記録され、仮に利用者が新型コロナウイルスに感染した場合は、記録された相手先に濃厚接触の疑いがあると通知する仕組みになっています。

ただ、位置情報などは記録されないそうです。

ポイントはどれだけ多くの人がこのアプリを利用してもらえるのかどうか?

例えば、このアプリを利用すれば「健康ポイント」として何かと健康グッズと交換できるような仕組みにしたり、健康保険料を少し値引きするなどのメリットがあるといいですよね。

アフターデジタル的に考えると、スタートは接触確認アプリとしての役割ですが、このアプリを利用してくれるユーザーの行動データに基づき、感染症対策の精度を高めていく中で、ユーザーにフィードバックしていき、危険な地域をアラートで伝えていくようになることが考えられます。

また、アプリとして健康データ保持機能(この場合体温を記録する)や位置情報(行動履歴)までを利用できるようなユーザーに対しては、新型コロナウイルス感染症予防対策に貢献しているユーザーとして評価され、お店にとって優良ユーザーとして顔パス(現在お店の入り口で体温を計ったりしていますがその必要がなくなる)できるようにしたりすると、使う人が増えていくのではないでしょうか?

→ 「健康ポイント制度」に医療費を抑制する効果があることが初めて実証される

【参考リンク】

■まとめ

プライバシーの問題で行動履歴(位置情報)までを知られるのは抵抗がある人も多いことでしょう。

ただすでに「Zenly」のように友達に位置情報を垂れ流すアプリもあり、抵抗感のない人にとってはより生活するうえでメリットさえあれば行動履歴(位置情報)を公開してもいいという人もいるでしょう。

また、近年、日本のみならず世界で、地震や台風、豪雨などの大規模な自然災害が数多く発生しており、それに伴う土砂災害や河川氾濫などの二次災害も発生している中、位置情報を公開することは迅速な救助活動に必要という流れになってきています。

これからはデータを活用する方がプライバシー保護よりもメリットが大きい場合に決断を迫られることが増えていくでしょう。

「アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る」によれば、アリババでスマートシティを推進する人は「データは資源であり、水や電気と同じインフラです」といったそうです。

果たして日本では「データを公共財とするのか個人の私有財とするのか」。







【関連記事】

ヘルスケア分野におけるソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)とは?|福岡県大川市の認知症予防の実証実験|神戸市の糖尿病性腎症等の重症化予防事業|八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業




■社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とは?

ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは、民間資金を活用して社会課題解決型の事業を実施し、その成果に応じて地方公共団体が対価を支払うスキーム|経済産業省
ソーシャルインパクトボンド(SIB)とは、民間資金を活用して社会課題解決型の事業を実施し、その成果に応じて地方公共団体が対価を支払うスキーム|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」とは、障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資のことです。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、インパクト投資についてこのように書かれています。

インパクト投資は、従来のビジネスとフィランソロピー(慈善活動のひとつで、困っている人を出さないようにする仕組みを作る)、そして投資収益とソーシャルグッド(社会貢献に類する活動を支援・促進するソーシャルサービスを含む社会的善行)をつなぐ架け橋である。

通常、新しい企業に投資をするときは、資金を最終的に回収したうえに、さらなる利益を手にすることを期待する。それに対して、非営利組織に資金を提供するときは、金銭的な利益は求めず、その資金でよいことが行なわれることだけを期待する。

インパクト投資は、その両方の良いところを与えてくれる。

つまり、ソーシャルインパクトボンドは、金銭的利益と社会貢献の両方を実現できる仕組みなのです。

【参考リンク】

社会的インパクト投資がヘルスケアの分野でも行われるようになっているそうです。




■福岡県大川市における認知症予防の実証実験

社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性|#サキドリ↑(NHK)では、福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験を紹介しました。

福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験として、高齢者100人が参加して、5か月間実験したそうです。

実験に参加した多くの高齢者の要介護度が下がり、公的介護費用が削減するという結果になったそうです。

■神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業

地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)を参考にして、まとめてみたいと思います。

●テーマの抽出

  • 糖尿病腎症は第5期に至ると人工透析が必要となり、年間500~600万円の医療費を要する。
  • 神戸市における国保人工透析患者の年間医療費は約40億円であり、当該患者の約4割(約350人)が糖尿病性腎症。
  • よって、糖尿病性腎症の重症化予防は神戸市にとって重要な政策課題。従前より予防に取り組んでおり、成果の向上を目指してSIB導入を検討。

●成果と行政コストの因果関係の考え方

  • 腎症第5期の医療費が約500万円/人・年であるのに対して、第4期の医療費は約50万円/人・年。
  • 第5期への移行を抑制することによって、大幅な医療費削減(約450万円/人・年)が見込まれる。

●成果と成果指標の事例

神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業|ソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集|経済産業省
神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業|ソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

●資金調達手法に関する事例

神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省
神戸市における糖尿病性腎症等の重症化予防事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

■八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業

●テーマの抽出

  • がん(悪性新生物)は、国内の死亡要因第一位であり、年々増加傾向。医療費増大の大きな要因。
  • 大腸がんは、がんによる女性の死亡原因の第一位。
  • 八王子市の国民健康保険が負担する大腸がん(確定診断後)の年間医療費は約6.5億円。(国民健康保険レセプトデータより。疑い例は除く。)
  • これに対し、八王子市はがん対策で全国的にも先進的な取組(有効性の確立したがん検診による早期発見)を実施しているものの、受診率の伸び悩みが課題。
  • 更なる成果の向上を目指してSIB導入を検討。

●成果と行政コストの因果関係の考え方

  • 早期以外のがん患者の医療費が約252万円/人・年であるのに対して、早期がん患者の医療費は約65万円/人・年。
  • 早期がんのステージ進行を抑制することによって、大幅な医療費削減(約187万円/人・年)が見込まれる。

●成果と成果指標の事例

八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率の向上事業|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省
八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率の向上事業|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

●資金調達手法に関する事例

八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省
八王子市における大腸がん検診受診率・精密検査受診率向上事業の資金調達スキーム|ソーシャルインパクトボンド|経済産業省

参考画像:地方公共団体向けヘルスケア領域におけるソーシャルインパクトボンド導入ノウハウ集(平成29年12月、経済産業省 平成29年度健康寿命延伸産業創出推進事業)|スクリーンショット

■まとめ

医療費、初の40兆円超え|予防医療に力を入れて医療費を削減しようによれば、高齢化や医療技術の高度化を背景に、平成25年度の国民医療費は40兆610億円と、7年連続で過去最高を更新し、初めて40兆円を超えました。

【関連記事】

健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプランによれば、健康保険組合連合会(健保連)は、2025年度に団塊の世代が全て75歳以上となり、健保組合が高齢者医療に拠出するお金が急増するため、健康保険組合の4分の1超が解散危機を迎えるという試算を発表しました。

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで紹介した日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度)
国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている。(年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度))

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

つまり、高齢化は今後も進んでいき、医療費の増大が見込まれることから、国や健康保険組合の財政が悪化していく傾向は変わりないでしょう。

この状況を変えるためにも、大きく舵を切る必要があるのではないでしょうか?

健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省
健康・医療・介護データを経年的に把握できるリアルデータプラットフォームの構築|新産業構造ビジョン|経済産業省

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

がん検診といった予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

この第三の波には「インパクト投資」も含まれているそうです。

「IoT」や「インパクト投資」といった「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。

ソーシャルインパクトボンドは、金銭的利益と社会貢献の両方を実現できる仕組みなので、私たちが解決してほしいと思う社会問題に対して、私たち自身が投資をできるようになるといいですね。







P.S.
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「AI(人工知能)・ロボット・テクノロジーは人間から仕事を奪うのか?」という問いからは人間と機械が一体化するという考え方が抜け落ちている!




■「AI(人工知能)・ロボット・テクノロジーは人間から仕事を奪うのか?」という問いからは人間と機械が一体化するという考え方が抜け落ちている!

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参考画像:Amputee Makes History with APL’s Modular Prosthetic Limb|YouTubeスクリーンショット

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参考画像:Why Artificial Intelligence is the Future of Growth – Accenture|スクリーンショット

国会や生命保険でもAIを活用する動き|人工知能によって人間の仕事は奪われるのか?|人工知能を専門とする人材はそんなにいるの?で取り上げた、アクセンチュアが発表した「Why Artificial Intelligence is the Future of Growth」によれば、2035年の各国の経済規模について2つのシナリオで予測を行っており、日本では「AIシナリオ(AIの影響力が市場に浸透した場合に期待される経済成長を示す)」における粗付加価値(GVA)成長率は、「ベースラインシナリオ(従来予想の経済成長を示す)」と比べると3倍以上になる可能性があるそうです。

【参考リンク】

AI技術によって労働生産性が大幅に高まる可能性があるとして期待がある一方、「AI(人工知能)やロボットが人間の仕事を奪ってしまう」ということが度々話題になっています。

【参考リンク】

【関連記事】

しかし、こういった話を俯瞰で見てみると、「人間」vs「機械(人工知能・ロボット)」という構造でしか物事を見ていないと感じました。

もう一つの可能性として、人間と機械(人工知能・ロボット)が一体化するという考え方が抜け落ちているような気がするのです。




■人間と機械の一体化はすでに始まっている!?

人間と機械(人工知能・ロボット)が一体化するというとSFのような感じがしますが、すでに現代でも人間と機械の一体化は始まっています。

例えば「義手」です。

Amputee Makes History with APL’s Modular Prosthetic Limb

The Mind-Controlled Robotic Arm Is Getting More Nimble

触覚が感じられる義手開発、米国防総省|脳で義手を動かすことができるようになる!?で取り上げた米国防総省(US Defense Department)の先進技術研究部門、米国防高等研究計画局(Defense Advanced Research Projects Agency、DARPA)の研究チームによれば、10年以上にわたり、まひ状態にある男性が、実験的義手を装着することで「触覚」を取り戻すことができたというニュースを以前取り上げました。

神経系に接続してコントロールできる義手が開発で取り上げたJohns Hopkins University(ジョンズホプキンス大学)のApplied Physics Lab(応用物理学研究室)が、高電圧の感電事故で両腕を失った人に、その人の神経系に接続してコントロールできる義手を取り付けることに成功しています。

義手も人間と機械が一体化して感覚を取り戻した例の一つです。

この研究では、手足が不自由になった人たちの助けになることが目的となっていますが、将来的には、「義足のほうが優れていたら義足に付け替えるか」「指(手)・腕を増やしたらどうなるか」というように、どのような選択をするかが問われるようになるかもしれません。(私達はすでに”サイボーグ化”している!?|バイオハックの視点から

「Fairy Lights in Femtoseconds」落合陽一さんインタビュー:「アートはもうテクノロジーでしかなくなる」

(2015/8/17、ギズモード)

ギズ バイオハックのレベルが「義足のほうが優れていたら脚を切って義足に変えるか?」とかそういうことではなくなってきているんですね。もっと次の段階というか…。

落合 そう、もっとナチュラルにバイオハックされていく。義足かっこいいけどね。ただバッテリーに問題があると、ちょっとなあとは思います。足がもう一本生えたりしないかな? 足の裏の感覚がけっこう好きで、これを失いたくはないので、感覚がある義足があれば欲しい。その辺の問題を全部ひっくるめて作りたいですけどね。あとは足より、指(手)がもう2本ぐらいあるといいなと思います。肩のあたりからもう2本ぐらいあるといいな。ロボットアームつけるみたいなインタラクションもありですね。

MetaLimbs: Multiple Arms Interaction Metamorphism (2017)

「MetaLimbs」は「Artificial Limb(人工的な四肢)」をつけて、脚(足)で動かし、第三の手で作業の補助するという提案です。

The third thumb Dezeen

【参考リンク】

「義足のほうが優れていたら義足に付け替えるか」という問いや「指(手)を増やす」というアイデアは一見するとおかしなことを言っているようにも思います。

しかし、ある面から見るとすでに私達は”サイボーグ化”しているとも考えられるのです。

ARの次は『拡張人間』 東大 暦本純一教授の世界

(2015/7/3、Sensors)

「結局は”程度”の問題なんですよ。たとえばあなた。あなたも立派なサイボーグですよ。なんらかの携帯情報端末をもっていますよね?家にはホームオートメーションとAIセクレタリー。それらのデータが災害や事故で失われたら、あなたはどうなりますか?自分の生活をそこまで電子的な装置に依託してしまっているのに、”自分はサイボーグ”でないと言っても説得力はありませんよ。あなたにとって携帯情報端末は既に第二の脳だ。科学の歴史は人間の身体機能の拡張、つまり人間機械化の歴史といっても差し支えない。だから”程度”の問題なんです。」

SENSORSという記事で紹介されているアニメ「PSYCHO-PASS」に登場する、脳と神経以外を全身サイボーグ化した泉宮寺豊久は「肉体を機械化することに抵抗はないのか」と言う問いについて上述したように答えました。

ある側面から見れば、人はすでに道具・テクノロジーによって機能を拡張し、能力の限界を越えています。

高齢者の動きをサポートするパワードスーツ・外骨格スーツやアスリートのためのトレーニングスーツが開発が行なわれていますし、私たちの身近なものでいえば、コンタクトレンズというテクノロジーによって視力が回復していますし、スマホなどの携帯情報端末といったテクノロジーによって能力を拡張しています。

[vimeo]https://vimeo.com/198871875[/vimeo]

Superflex – Aura Powered Suit|from fuseproject|Vimeo

人工知能の登場により、棋士(将棋・囲碁)に変化が現れています。

人工知能は棋士たちをどう変えたのか

(2017/4/1、Yahoo!ニュース編集部)

「人間が見ていなかった手が見えてきた。これは大きな変化です。ダメだといわれていた手の中にも有効なものがあると気付いた」

将棋(囲碁)プログラムの影響を受けることで、棋士たちの指し手(打ち手)に変化が現れているということは、ある種人間と機械の一体化ともいえるのではないでしょうか?

■まとめ

ソニーと東大が「人間拡張学」で連携–次世代を牽引する技術系人材を育成

(2017/3/13、cnet japan)

ヒューマンオーグメンテーションは、人間とテクノロジー・AIが一体化し、時間や空間の制約を超えて相互に能力を強化しあう、IoA(Internet of Abilities:能力のインターネット)という未来社会基盤の構築を視野に入れた、最先端の研究を体系化していく学問領域だという。

IOA(INTERNET OF ABILITY)で「人間の能力」がネットワーク化される未来とは?によれば、ヒューマンオーグメンテーション(Human Augmentation)とは、人間とテクノロジー・人工知能が一体化することで、知覚、認知、身体、存在感の4つの分野で人間の能力を強化・拡張していくことを目的とする暦本純一さんが提唱するコンセプトです。

[vimeo]https://vimeo.com/129263445[/vimeo]

JackIn Head: 1st person omnidirectional video for immersive experience

JackIn: 一人称視点と体外離脱視点を融合した人間ー人間オーグメンテーションの枠組み

(2014/2/27、笠原 俊一、暦本 純一)

JackIn は人間 (Body) の能力を他の人間 (Ghost) が強化拡張するという可能性を持っている.

暦本純一×平野啓一郎対談「機械が進化しても、人間もテクノロジーで進化」

(2017/3/29、MIT Tech Review)

「私は人間が機械とつながり、さらに人間と人間がつながり、人間の存在・能力そのものが多様に拡張・編集される『IoA(Internet of Abilities)』がつくる未来を研究しています」

人間と機械(AI・テクノロジー)の対立構造にするのではなく、人間と機械(AI・テクノロジー)が一体化することで相互に能力を強化・拡張するIoAの考え方を頭に入れておくと、世の中がまた違った見え方をするのではないでしょうか?







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「新しい生活様式(ニューノーマル)」の実践例とは?|新型コロナ専門家会議




「新しい生活様式」の実践例とは?行動変容を促す仕組みが欠かせない!|新型コロナ専門家会議
「新しい生活様式」の実践例とは?行動変容を促す仕組みが欠かせない!|新型コロナ専門家会議

unsplash-logoMichael Amadeus

新型コロナウイルスに関する政府の専門家会議は、感染拡大防止と経済活動の両立を目指すための「新しい生活様式」について議論し提言を行ないました。

【参考リンク】

これまで行動変容の継続の難しさを学んできただけに、これだけの行動変容を促すことが本当にできるのか疑問です。

人の行動を変えるというのは大変なことで、人間の行動の約40%は習慣なんだとか。

あらゆる行動の一つ一つを決定してしまうと、「決断疲れ」を起こしてしまうため、人は習慣によって自動化された行動を行なっているのです。

リツイートはあなたの決断力を疲労させ、誤った決定を行なってしまう原因になる!?によれば、認知的疲労とは、精神的に疲れる作業をしてエネルギーを使い果たした時に、認知力(特に注意力)が減少した状態であり、私たちの持つ認知力(特に注意力)は筋肉を使えば疲れるように、使えば使うほど消耗してしまうのです。

人間の多くの行動は自動化された行動、つまり習慣によるものであり、行動を変えてもらうためにはこの習慣を変える必要があるわけです。

「新しい生活様式」はかなりの不自由を感じてしまい、ストレスを感じる人がほとんどでしょう。

だからこそ、「新しい生活様式」をサポートしてくれるグッズやサービスの導入が欠かせないですね。

行動変容を促す取り組みとして、今注目をしているのが「広告医学」という考え方です。

広告医学の視点から考えると、ただゲームをしているだけなのに「治療アプリ」の役割を行なっているアプリがあります。

それが位置情報ゲームの「Pokemon Go」です!

rattata

by Robert Couse-Baker(画像:Creative Commons)

ポケモンGOはポケモンを集める行為を楽しむ位置情報ゲームですが、ポケモンを集めるという動機を基に、自然と歩くという行動を促しているのです。

【関連記事】

スマホゲームは「脳の報酬系」についてよく考えられていて、このアイデアを健康寿命を延ばす対策が使えるのではないでしょうか?

Pokemon Goは歩くことでポケモンというご褒美がもらえるゲームであり、またほかにも歩くことで暗号通貨という報酬がもらえるゲームもあり、この発想を活かせば、よりよい行動変容を促す「治療アプリ」の可能性が出てくるのではなないでしょうか?

例えば、各保険会社が統一する治療アプリを開発し、「新しい生活様式」を実践した人ほど税金がキャッシュバックしたり、買い物に使えるポイント(コイン)を発行するというアイデアがあると、少しだけポジティブな気持ちで取り組めるのではないでしょうか?

ぜひ行動変容を促すためにも、広告医学やスマホゲームの考え方を取り入れてほしいですね。

→ 『世界が元に戻ったらしたいことまとめ(コロナが終息したら、みんなは何したい?)』が人気!「新しい生活様式」を「オープンエア」の発想で楽しもう!







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トミーズ雅さん、大腸がん手術

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【目次】

■トミーズ雅さん、大腸がん手術

Roll of toilet paper

by D Coetzee(画像:Creative Commons)

トミーズ雅さんに大腸がんが見つかり、すでに手術を行っており、当面の間治療に専念するそうです。

トミーズ雅さんの記事を読むと感じるのは、病気のサインが出ているのに家族のことを考えたりして見てみぬふりをしてしまうこともあるかもしれないということ。

しかし、トミーズ雅さんの奥様が病院に行くことをすすめたことで、病気の発見につながりました。

一緒に病気と闘ってくれる家族がいることは勇気になるんですね。

病気のことを打ち明けることは勇気がいることかもしれませんが、勇気をもって伝えることで反対に勇気を与えてくれるのではないでしょうか?

■大腸ポリープは大腸がんのリスクを高めるリスク要因

大腸ポリープは大腸がんのリスクを高めるリスク要因であると考えられています。

大腸がんのリスクファクター|国立がん研究センター

大腸がんの大部分は腺腫性ポリープから発生するが,一方,ほとんどの腺腫性ポリープは良性であり,がん化するのは一部である.ポリープの大きさが大きければ大きいほど大腸がんになるリスクが高くなる.また,ポリープのできやすい人は,大腸がんになるリスクが高い.

ポリープの大きさが大きいほど大腸がんになるリスクが高くなり、また、ポリープの出来やすい人は大腸がんになるリスクが高いことから、大腸ポリープをいかに小さく、またできにくくするかは大腸がん予防の一つのアプローチといえます。

→ 大腸がんとは|大腸がんの症状・初期症状・原因・予防 について詳しくはこちら




■大腸ポリープ・大腸がんを予防する方法

●葉酸

【みんなの家庭の医学】大腸がん予防に葉酸の多い海苔|10月20日によれば、大腸がんのリスクを高める大腸ポリープのできやすさと葉酸の濃度には関係があるといわれ、血液中の葉酸濃度の値が8ng/ml(ナノグラム)以上あれば、女性なら大腸ポリープの頻度が約2割減、男性なら約5割減するそうです。

■葉酸代謝が大腸がんの発がんの初期段階で重要な働きを示している

葉酸代謝と大腸腺腫との関連|多目的コホート研究|国立がん研究センター

大腸発がんには、DNAのメチル化が関わっていると考えられています。適切なDNAメチル化の維持には、葉酸が重要な役割を果たしていることが知ら れています。葉酸は、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)、メチオニン合成酵素(MTR)、メチオニン合成酵素還元酵素(MTRR)などの酵素群とビタミンB2、B6、B12などの補酵素群の働きにより代謝され、DNAのメチル化に必要なメチル基を供給しています(図1)。

葉酸、ビタミンB2、B6、B12摂取については、大腸腺腫との間に統計学的有意な関連は見られませんでした。

大腸がんの発がんにはDNAのメチル化がかかわっていると考えられており、葉酸が重要な働きを果たしていると考えられますが、葉酸、ビタミンB2、B6、B12摂取と大腸線種との間に統計学的な関連は見られなかったようです。

メチオニン合成酵素 の遺伝子多型とアルコール摂取および葉酸摂取との間に交互作用を認めたことは、「葉酸代謝が大腸発がんの初期段階において重要な役割を果たしている」とするこれまでの研究結果を支持するものであると考えられます。

ただ、葉酸代謝が大腸がんの発がんの初期段階で重要な働きを示していることは間違いないようです。

■葉酸濃度が高くても大腸がんリスクが下がるという関連は見られない

血中の葉酸と大腸がん罹患との関係について|多目的コホート研究|国立がん研究センター

これまでの研究では、葉酸が不足している場合に、わずかに大腸がんリスクが高くなることが示されていますが、日本人の多くでは必要な量が摂取されているため、その中での差が見られなかったという可能性があります。また、葉酸は、大腸がんの多段階発がんの初期の段階では予防的に働くにも関わらず、進行した段階ではかえって促進するという可能性を示す研究結果もあります。また、ある特定の遺伝子多型のタイプの人やアルコールを多量に飲む人で、葉酸不足によって大腸がんリスクが高くなるという研究結果もあります。

葉酸と大腸がんの関係については様々な研究が行なわれています。

  • 葉酸が不足している場合に、わずかに大腸がんリスクが高くなる
    しかし、日本人の多くでは必要な量が摂取されているため、その中での差が見られなかったという可能性
  • 葉酸は、大腸がんの多段階発がんの初期の段階では予防的に働くにも関わらず、進行した段階ではかえって促進するという可能性
  • ある特定の遺伝子多型のタイプの人やアルコールを多量に飲む人で、葉酸不足によって大腸がんリスクが高くなる

多目的コホート研究では、男女とも、葉酸濃度が高くなっても、大腸がんリスクが下がるという関連はみられませんでした(図1)。また、飲酒量でグループ分けしても、結腸がんと直腸がんに分けて調べても、どのグループでも男女とも関連は見られませんでした。

国立がん研究センターが発表している多目的コホート研究によれば、葉酸濃度が高くても大腸がんリスクが下がるという関連は見られなかったそうです。

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニン摂取と大腸がん罹患との関連について|多目的コホート研究|国立がん研究センター

葉酸、ビタミンB6、ビタミンB12、メチオニンは、生体内でのメチル代謝において、それぞれ異なる役割を担っています。アルコールやアセトアルデヒドはそれらの代謝経路を阻害したり、栄養素を破壊したりすることによって、大腸がん発がんの初期段階である遺伝子の低メチル化を引き起こすと考えられます。

今回、特にビタミンB6と大腸がんの関連が強かった理由として、日本人の一般的な食事からは葉酸やビタミンB12は十分取れるのに対し、ビタミンB6摂取量は不足していることが挙げられます。その最大の摂取源は白米ですが、茶碗1杯(約150g)に約0.03mgのビタミンB6しか含まれていません。ビタミンB6を多く含む食品(魚・ナッツ・穀類等)を積極的に摂取することが、大腸がんの予防につながる可能性があります。

日本人の一般的な食事からは葉酸は十分に摂取できるため、差が見られなかった可能性が考えられます。

→ 葉酸の多い食品 について詳しくはこちら

●お酒を控える

※正確に言えば、大腸ポリープではなく、大腸がんと飲酒との関係についてです。

葉酸代謝と大腸腺腫との関連|国立がん研究センターのがん検診受診者を対象とした研究 |国立がん研究センター

アルコール摂取と大腸腺腫との間には、統計学的有意な正の関連が見られました(傾向性P = 0.04)。非飲酒グループに比べ、週300g以上飲酒している大量飲酒グループでは、大腸腺腫のリスクが約1.5倍上昇していました。

飲酒と大腸がんリスク|科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究|国立がん研究センター

男性では、23-45.9g/日、46-68.9g/日、69-91.9g/日、92g以上/日のグループでまったく飲まないグループよりもそれぞれ1.4倍、2.0倍、2.2倍、3.0倍と、量が増えるほどリスクが高くなりました。1日のアルコール摂取量が15g増えるごとに、大腸がんリスクが約10%増えると推定されます。部位別には、結腸がんでも直腸がんでも同様の傾向が見られました。

女性では、23g以上/日のグループでまったく飲まないグループよりも大腸がんリスクは1.6倍、結腸がんリスクは1.7倍、直腸がんリスクは2.4倍高いという結果でした。男性と同様に、1日のアルコール摂取量が15g増えるごとに、大腸がんリスクが約10%増えると推定されます。

国立がん研究センターによれば、アルコールの摂取量が増えれば増えるほど大腸がんのリスクが増えるという結果が出ています。

葉酸代謝と大腸腺腫との関連|国立がん研究センターのがん検診受診者を対象とした研究 |国立がん研究センター

アルコールには、葉酸の腸吸収を阻害したり、腎排泄を促進したりする作用があるため、その摂取により体内の葉酸レベルが低下することが知られています。

アルコールによって、大腸がんのリスクが高くなる理由としては、葉酸が不足している場合に、わずかに大腸がんリスクが高くなることが知られており、アルコールの摂取によって葉酸レベルが低下することから大腸がんのリスクが増えると考えられます。

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