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STEM教育に役立つ学習キット「littlebits」|開発したきっかけは「専門家だけのものになっていることが納得いかなかった」から!?




【目次】

■STEM教育に役立つ学習キットに注目!

STEMとは、Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)の頭文字をとった言葉で、当時のオバマ大統領が積極的に教育に取り入れようとしたことで注目されました。

President Obama on the Importance of STEM Education

そうして、STEMが世界的に注目を集める中、STEM教育に役立つ学習キットに関心をもって調べています。

【関連記事】

Twitterを見ていると、「littlebit」という製品があり、littleBitsの開発者であるAyah BdeirさんがTEDでlittlebitsについてスピーチしている動画を見つけました。

■「littlebits」とは?

Ayah Bdeir: Building blocks that blink, beep and teach

(February 2012、TED)

littleBitsは、一つ一つが特定の機能を持つ電子部品のブロックであり、磁石でくっつくようになっているので、間違ったつなぎ方ができないところが特徴です。

部品には、ライトやブザー、モーター、センサーがあり、それらを組み合わせていくことでさまざまなものを作ることができます。

ブロックは種類で色分けされていて、色それぞれに意味があります。

緑は「出力」、青は「電源」、ピンクは「入力」、オレンジは配線というように、それぞれをつなげていくことで、電源とライトをつなぐと単純な光るライトができますし、調節つまみをつけることで調光機能が付いたライト、パルス機能のブロックを間につけることで点滅するライトのようにとアイデアによっていろんなものを作ることができます。

[vimeo]https://vimeo.com/45276780[/vimeo]

What is littleBits?|Vimeo

Synth Kit Introduction – littleBits x KORG

The Cult of littleBits: How This Tech Toy Is Changing the Engineering Landscape




■まとめ

Taller para niños/as de littleBits, 28 de febrero 2014, Espacio Miscela, Madrid

by Ultra-lab(画像:Creative Commons)

今回紹介した動画の中で共感した点は「専門家だけのものになっていることが納得いかなかった」という点です。

Ayah Bdeirさんがlittlebitsを開発したきっかけは、トランジスタが専門家だけのものになっていることが納得いかなかったためで、エンジニアだけでなく、アーティストやデザイナーでも使えるものにするというアイデアからスタートしたそうです。

なぜこの考え方に共感したのか、理由は2つあります。

一つは、専門的なことは専門的な知識を持っている人に任せるとクリエイティビティが生まれにくくなるのではないかという心配です。

専門的なことは専門的な知識を持っている人に任せるというのは正しいことだと思います。

ただ、それはアイデアや組織の固定化を生んでしまい、クリエイティビティ(創造性)が生まれにくい環境になってしまいます。

「How Google Works」(著:エリック・シュミット ジョナサン・ローゼンバーグ)

How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント

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「いい人ばかり」の職場は均質的なことが多く、職場の均質性は悪い結果を招きやすいからだ。視点の多様性、すなわちダイバーシティは会社が近視眼的になるのを防ぐ、極めて効果的な政策だ。

社会学者のセドリック・ヘリングによれば、人種のダイバーシティと売上高、顧客数、市場シェア、利益の増加には相関があることを発見しています。

【関連記事】

イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則(著:スティーブン・ジョンソン)にはこう書かれています。

研究室で一人で仕事をして顕微鏡を覗いていたのでは、考えが一カ所にひっかかって、最初にあった自分自身の偏見から抜けられない。

集団での会話にある社会的な流れが、個人の固体的な状態を液体のネットワークに変える。

専門的な人や専門外の人など多様な人がいることによって、固定されたアイデアが流れるようになることがあるのではないでしょうか。

今回のようなキットがあれば、アーティストやデザイナーとして優れた人が専門家では出なかったようなアイデアを出すきっかけにもなるかもしれません。

Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」(Jul 2010、TED Talk)

もう一つは、専門的なものに対して無関心になるということは知的好奇心が少なくなっている可能性があるのではないでしょうか。

素晴らしいのは子どもたちが 学校で習いもしない身の回りの電子機器の 仕組みを理解するようになることです たとえば終夜灯の仕組みや なぜ自動ドアは人を挟まないのか iPodはどうやってタッチ操作に反応するのかといったことです

興味深いと感じたのは、私たちが疑問を持つことなく受け入れている身の回りにあるテクノロジーの仕組みに対して、疑問を持ち、理解しようとする点です。

「なぜ自動ドアは開くのか?」「どのようにしてスマホが動いているのか?」という疑問が生まれた時に、大人になるにつれて「そういうものだ」とそこで思考停止してしまいがちになりますが、こうしたキットに触れることによって、知的好奇心が活発になり、こういうメカニズム・仕組みで動いているんじゃないかなという仮説を立てるなど自然と考えるようになると思います。

また、専門外のことを学ぶにつれて、そのテクノロジーのすごさを実感することができれば、どれだけ専門家が優れているのかもわかると思います。

テクノロジーのことを学べば、技術者の方々はこんなことができるんだと感じることができるでしょうし、医療のことを勉強すれば、お医者さんや看護師さんのすごさの一端を感じることができるでしょう。

最初のうちは、その人と自分自身の間にある能力の距離がわからなかったため、その人・職業のすごさを実感することはできませんが、知るにつれてその人の持つ実力を測る物差しを持つことができれば、その専門家の能力・知識についてのすごさを実感することができるでしょう。

なぜ能力が低い人ほど自信があるのか?|能力が高い人が自信がない理由によれば、能力の低い人は、自分には能力があると過信する傾向があるそうですが、その理由としては、能力に対する物差し(基準)がないからだと考えられます。

自分のことを過大評価している成績下位グループに能力を高めるトレーニングをさせ、能力が向上すると、自身の自信過剰は改善されるそうです。

知らないうちは近いように思えた距離も、能力を測る物差しができてくることによって、その距離が途方もなく遠いと経験したことが誰しもあるのではないでしょうか。

それこそが能力に対する物差しができたということだと思います。

世界にはあらゆる専門がありますが、専門家だけのものにするのではなく、知的好奇心をもって様々なものに取り組むことが、きっと新しいものを生み出すきっかけになると信じています。







【関連記事】
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【#プライムデー】Amazon、STEMおもちゃの定期購入サービスを開始|世界の教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいる!?




■Amazon、STEMおもちゃの定期購入サービスを開始|世界の教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいる!?

boys, making planes

by woodleywonderworks(画像:Creative Commons)

以前に子供のおもちゃからヒントを得て、様々な医療ツールを開発しているManu Prakash(マヌ・プラカシュ)さんの研究チームを紹介しました。

マヌ・プラカシュさんは、世界的な健康問題を解決するのに役立つことを目指すだけでなく、子供たちの科学教育にも役立てたいと考えているようですが、Amazonは、“STEM” [Science(科学)・Technology(技術)・Engineering(工学)・Mathematics(数学)]の分野に絞った教育おもちゃの定期購入サービスを始めるそうです。

Amazon、科学おもちゃの定期購入サービスを開始

(2017/1/25、TechCrunch)

今日(米国時間1/24)Amazonは、親たちに向けた新しい定期購入サービス、STEM Clubを公開した。月々19.99ドルで、毎月自宅に教育玩具が送られてくる。

STEM教育には注目が集まっています。

President Obama on the Importance of STEM Education

こうしたおもちゃと触れて遊んでいるうちに、自然と学べているというのが理想だと感じたのですが、もしかすると、子供における教育の形というのは今後こうなっていくのかもしれません。

猪子寿之の〈人類を前に進めたい〉第6回「もう一つの“体育”で、『身体的知』(身体を固定しない“知性”)を鍛えたい」

(2016/3/1、ほぼ日刊惑星開発委員会)

これまでの学校や知的な訓練って、身体を固定して、もっと具体的に言えば椅子に座って働かせる知性なんだと思うんだよ。

<中略>

「図書室は静かに」というじゃない。この言葉に象徴されるように、従来の知性というのは、まさに美術館でパースペクティブのある絵画を見るときのように身体を固定して、他者も意識していなくて、インプットの情報量がほとんどない中で大脳をフル回転させる知性なんだよね。そもそも文章や記号というもの自体が、情報量としてはバイト数のほとんどないものだしね。でもさ、一方でたとえば、「IQよりも社会性のほうが社会的成功には関連性がある」みたいな主張の論文なんかがあるんだよ。
 それって、「社会性」がバズワードになっているだけで、要は椅子に座っていなくて、図書館みたいな特殊な状況ではない――外部からのインプット情報が極めて多くて、目も耳も感覚を全て使っているような――状態での、人間の能力のことなんじゃないかな。

「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」は未来の教育の形!?で今回体験してみて感じたのは、『身体的知』の話です。

『移動する知性』|「アイデアと移動距離は比例する」(高城剛)をダニエル・ゴールマンと猪子寿之を参考に考えてみる。では、自分なりに猪子寿之さんの考え方を次のように解釈しました。

従来の知性というのは、身体を固定して働かせる知性が重視されていましたが、その状態というのは、自分自身が固定されていた状態で、相手も意識していない状態のため、インプットされる情報量が限られています。

『身体的知』(身体を固定しない知性)というのは、自ら移動しながら(身体が固定されておらず)、相手を意識した状態であるため、そこには五感をフルに働かせたことでおびただしい量のデータのインプットが得られます。

今回体験した「チームラボアイランド 学ぶ!未来の遊園地」ではこの考えを実際のモノとして表現したもののように感じました。

ものがどのようにしたら変化をするのか、お互いがどのように影響しあうのかなどを遊ぶように体験する中で自然と学んでいくことができる、アートでありながら、いろんなことを学ぶことができる新しい形の教育のように感じました。

世界の教育は「遊びながら学ぶ」という方向に進んでいるのかもしれません。







P.S.
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アイデアやテクノロジーの中には「遊び」から生まれたものがある!?|スティーブン・ジョンソン(Steven Johnson)




■アイデアやテクノロジーの中には「遊び」から生まれたものがある!?|スティーブン・ジョンソン(Steven Johnson)

参考画像:Steven Johnson スティーヴン・ジョンソン:音楽がもたらしたコンピューターの発明(Oct 2016、TED Studio)|スクリーンショット

Steven Johnson スティーヴン・ジョンソン:音楽がもたらしたコンピューターの発明

(Oct 2016、TED Studio)

コンピュータの歴史は暗号解読などの軍事技術から始まったものという認識をしている人も多いと思います。

映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』は、イギリス人の数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読するドラマを中心としたストーリーですが、アラン・チューリングこそがコンピューターの概念を初めて理論化した人といわれています。

【参考リンク】

しかし、コンピュータの始まりというのはそんな物騒な話から始まっているのではなく、スティーブン・ジョンソンによれば、コンピュータの起源というのは、「音楽」からスタートしているそうです。

千年ほど前イスラム・ルネサンスの最盛期にバグダードに住む3兄弟が自動オルガンを設計し「自奏器」と名付けました。

それは巨大なオルゴールのようなものでした。

このオルガンは回転する円筒に配置したピンの指示で様々な曲を演奏させることができました。

この装置に別の曲を弾かせたかったら円筒を異なる符号のものに入れ替えるだけでよかったのです。

これはその種のものとして最初のものでした。

プログラム可能だったのです。

概念として これは大きな飛躍でした。

この発明によって初めてハードウェアとソフトウェアというものを考えられるようになりました。

コンピュータの概念を理論化する上で軍事的応用というのは重要な役割を果たしているのですが、それまでに様々なコンピュータの概念が出揃っている必要があったのです。

その一つが「自奏器(the instrument that plays itself)」と呼ばれるプログラム可能な機械であり、ここから、ハードウェアとソフトウェアという概念が生まれたのです。

つまり、コンピューターの始まりというのは音楽を「楽しむ」ことから始まっているのです。

現代では効率が重視されているように感じますが、楽しむこと、つまり「遊び心」から生まれるアイデアもたくさんあるのです。

遊び心というのは本質的に探索的であり身の回りの世界に新たな可能性を見つけようとします。この見つけようとするということが単なる愉しみや娯楽として始まったものが大いなる発明に繋がる理由なんです。




このブログを書きながら思い出したのが、ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典さんの会見での言葉です。

大隈氏「役に立つかどうかで科学を捉えると社会はダメになる」ノーベル生理学・医学賞受賞の大隅良典氏が会見

(2016/10/4、日経Gooday)

役に立つかどうかという観点でばかり科学を捉えると、社会をダメにすると思う。科学の世界では、『役に立つ』を、『数年後に実用化できる』と同義語に使うことがあるが、大いに問題だ。その科学が本当に役に立つのは、10年後、20年後かもしれないし、100年後かもしれない。将来を見据え、科学を文化として認めてくれるような社会にならないかと思っている。

大熊さんが行なっている研究を遊び心というのが正しいのかどうかはわかりませんが、身の回りの世界に新たな可能性を見つけようとするという考え方は一致していると思います。

「ハープシコードの鍵盤」を発明した人も、「自奏器」を発明した3兄弟も、「自動フルート吹き人形」や「 プログラム可能な織機」を発明したジャック・ド・ヴォーカンソンも、金属の円筒の代わりに紙のパンチカードを使うというアイデアを生み出したジャカールも、決して未来のコンピュータを作るために発明したわけではなく、身の回りの世界に新しい可能性を見つけようとしてやったことが今につながっているだけなのです。

遊びから生まれたアイデアやテクノロジーはコンピュータだけではないそうです。

遊びから生まれた 世界を変えたアイデアやテクノロジーは たくさんあるんです 美術館 ゴム 確率論 保険業 まだまだあります

「役立つ」考えるのではなく、純粋に楽しみたい・楽しませたいというような「遊び心」を大事にすると、それが数十年後、数百年後にみんなを驚かせるようなアイデアの種になるかもしれません。







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【#落合陽一】網膜投影のメガネ型HMDで近視も遠視も老眼の人も見えるようになる!【#情熱大陸】|これまでの網膜投影システムのメリットとデメリット




【目次】

■網膜投影のメガネ型HMDで近視も遠視も老眼の人も見えるようになる!|#情熱大陸 #落合陽一

2017年11月19日放送の「情熱大陸」では、落合陽一さんが研究している網膜投影のメガネ型HMD(ヘッドマウントディスプレイ)が紹介されていました。

【参考リンク】

目はよく「カメラ」に例えられます。

モノを見るとき、私たちはモノを「光」として認識しています。

瞳を通して入った光は網膜という膜の上に像を結びます。

網膜はちょうどフィルムにあたり、角膜と水晶体がピントを調節する役割をしていて、水晶体がカメラのレンズにあたり、厚くなったり薄くなったりしてピントを合わせています。

しかし、強度近視は第2位の失明原因|強度近視で起こりやすい4つの病気によれば、近視は多くの場合、「眼軸長(がんじくちょう)」(角膜から網膜までの眼球の長さ)と呼ばれる眼球の奥行きが異常に延び、像が網膜より手前で結んでピンボケになりますが、強度近視では、この眼軸長が正視(像が正しく網膜に結ぶ)より3・5ミリ以上長いことが推定されています。

また、【この差って何ですか?】緑内障になりやすい人、なりにくい人の差は近視|6月12日によれば、緑内障患者の約6割が「近視」なのだそうです。

近視の人の目は眼球が歪んでおり、正常の眼球が23mmであるのに対し、近視の眼球は最大28mmになり、眼圧が高くなくても、圧力を受けてしまっているようです。

【関連記事】

同様に老眼や遠視も水晶体による調節ができづらくなることにより起きているのですが、網膜投影はこのピント調節をすることなく、直接網膜に光を届けることによりモノを見るという考え方です。

そこで、落合陽一さんがCEOを務めるPixie Dust Technologies(ピクシーダストテクノロジーズ)が製品化を進めているのが「Air Mount Retinal Projector」です。

【参考リンク】

先日、拡張現実(AR)のための広視野角の透過型HMDを実現する映像投影技術「Air Mounted Eyepiece」を発表しています。

Air Mounted Eyepiece – Digital Nature Group

こうしたアイデアを組み合わせることで、広い視野角でなおかつ、透過型で、網膜投影ができるHMDであれば、ARの分野だけでなく、医療などの様々な分野でも応用できるのではないでしょうか?




■これまでの網膜投影システムのメリットとデメリット|まとめ

Google glass front

by Bill Grado(画像:Creative Commons)

※イメージであり、今回の記事とは関係ありません。

[E3 2015]西川善司の3DGE:網膜投射型デバイスを採用するHoloLens,試して分かったMR対応型HMDのすごさと課題

(2015/6/20、4gamer)

網膜投射型システムでは,眼球内の瞳に映像光を直接注入し,網膜自体をスクリーンにして映像を結像させる仕組みになる。この方式の利点は,事前に視力に合わせた焦点距離調整を事前に行ってしまえば,視力矯正が不要なところにある(※だからブースでは最初に両目の間の距離を計測したのだ)。つまり,どんな視力の人でも裸眼で利用できることになる。

ただ,弱点もある。

それは,網膜に直接映像を投射する構造上,映像面積が比較的小さく見える点だ。

眼球内の開口部である瞳の中の穴を狙って映像を投射しているわけなので,瞳がズレれば,映像が消えたり見切れたりする。

網膜投影にはメリットとデメリットがあるそうです。

メリットは先ほど紹介したように、どんな視力の人でも視力矯正が必要なくモノを見ることができるようになるということ。

デメリットは、網膜に直接映像を投影するため、ずれると映像が見えなくなるということです。

この弱点を補うためには、複数の映像を投影する、もしくは眼球の動きを追跡するアイトラッキングなどの解決策があるそうですが、そうなるとコストが高くなってしまいます。

ピクシーダストテクノロジーズの「Air Mount Retinal Projector」のページには、このように書かれています。

我々はシンプル+小型+透過型+広視野角+低消費電力のHMDを実現しうる網膜投影光学系を発明しました。

おそらく先ほど紹介した網膜投影方式の弱点を改善したものであるはずですので、どんなものになるのか気になるところです。

今回紹介したものは網膜投影方式によって角膜や水晶体によるピント調節に頼らずモノも見ることができるようになるというもので、なおかつARにも活用できるというものですが、AR(拡張現実)技術とは、コンピュータを使って、現実の風景に情報を重ね合わせて表示する技術のことであり、グーグルグラスに代表される眼鏡型ウェアラブルデバイスやコンタクトレンズ型、HoloLensに代表されるヘッドマウントディスプレイ型がありますが、OMEGA OPHTHALMICSはセンサー、ドラッグデリバリーデバイス、AR/VRを取り込むことができる目のインプラントプラットフォームの提供を目指すでは、「Omegaophthalmics」が開発しているのは、眼の中に外科的に眼内レンズ埋め込む侵襲的アプローチを紹介しました。

また、「見る」ということに関しては、様々なアプローチが行なわれています。

グーグルが目の中に電子デバイス埋め込み視力改善する特許出願では、Googleが特許を出願した眼球に直接挿入する視力矯正用電子デバイスで、眼球内の水晶体を取り除いて、その水晶体を覆っていた水晶体嚢に、データ記憶装置、センサー、通信機、バッテリー、電気的に焦点を調整できるポリマー製レンズでできたデバイスを埋め込み、外部のコンピューターと通信しながら、見ている映像の光が網膜上に焦点を結ぶように、レンズの厚みをリアルタイムで調整するシステムに関するアイデアを紹介しました。

国内初、網膜色素変性症の患者の視力回復に成功|大阪大では、人工網膜や人工視覚システムというアプローチを紹介しました。

脈絡膜上経網膜電気(STS)法による人工視覚システムの臨床応用
脈絡膜上経網膜電気(STS)法による人工視覚システムの臨床応用

脈絡膜上経網膜電気(STS)法による人工視覚システムの臨床応用 大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学 不二門 尚|厚生労働省|スクリーンショット

脈絡膜上経網膜電気(STS)法による人工視覚システムの臨床応用 大阪大学大学院医学系研究科感覚機能形成学 不二門 尚|厚生労働省によれば、次のようなシステムになると考えられます。

ビデオカメラで画像を取り込み

→画像処理

→体外の無線コイルから信号を体内埋め込み装置に伝える

→眼球の強膜内に設置された電極チップに伝えられ、電気刺激により網膜が興奮し、擬似視覚が得られる。

感覚系による人工臓器-人工網膜|大阪大大学院医学系研究科 神田寛行、不二門尚によれば、人工網膜には3つの方式があります。

1.網膜上刺激方式(Epi-retinal Stimulation)

網膜タックを使って網膜上(網膜と硝子体の境界)に多極電極を固定する方式で、網膜神経節細胞に近いところで刺激が行なうことができるため、刺激効率が良い。一方で、多極電極を網膜へ安定に固定することが難しい点が課題である。

南カリフォルニア大学はSecond Sight社と共同で、網膜上刺激方式を採用して、人工網膜の開発を進めているそうです。

2.網膜下刺激方式(Sub-retinal Stimulation)

これは多極電極を網膜下(網膜と脈絡膜の間)に埋植し網膜を刺激する方式で、多極電極の基板上に受光素子を組み込むことができる。そのため、眼球運動に応じた画像情報を得ることができる。また対外装置にビデオカメラを必要としない。一方、埋植手術の際に網膜剥離を作る必要があり、網膜への侵襲性が高いという課題がある。

ドイツのチュービンゲン大学はRetina Implant社と共同で、網膜下刺激方式を採用して、人工網膜の開発を進めているそうです。

3.脈絡膜上経網膜刺激方式(Suprachorodal-transretinal Stimulation)

STS方式は網膜への侵襲が少ないだけでなく、広い視野を確保できるという利点を持つ。

大阪大学が選択したのは、「脈絡膜上経網膜刺激方式(STS)」です。

このほかにも様々なアプローチで解決しようというところがあります。

【関連記事】

今後も、この分野には様々なアプローチで取り組む人が出てくると思いますので、大変楽しみですね。







【関連記事】

【参考リンク】

■落合陽一さんまとめ

情熱大陸を見て落合陽一さんに興味を持った人は書かれている著書・アート作品・研究・講演などをぜひ見てみてくださいね。

そこで、どういう風に考えが変わったのか、変わっていないものが何なのかを考えてみるのも面白いのではないでしょうか?

J-WAVE THE HANGOUT 宇野常寛 2014年12月8日 with 落合陽一

発明王・エジソンに影響を受けた?“現代の魔法使い”メディアアーティスト・落合陽一「人とロボットの区別はやがてつかなくなる」|2021 未来のテラピコ

【SoftBank World 2017】特別講演 落合 陽一 氏

Fairy Lights in Femtoseconds: Tangible Holographic Plasma (SIGGRAPH)

Levitrope (2017, Mixed Media) / Yoichi Ochiai

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【関連記事】

「インクルージョン」という考え方を知れば、あなたの周りの世界はやさしくなる!?では、「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット+アレックス・タプスコット)で書かれている「インクルージョン」という考え方を紹介しました。

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

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インクルージョンには様々な側面がある。社会的、経済的、人種的な強者による支配を終わらせること。体の状態や性別、ジェンダーアイデンティティー、性的嗜好によって差別されないということ。生まれた場所や逮捕歴、支持政党などによって参加を阻まれないこと。p69

自分にはどうすることもできない状態でいわゆる弱者(と呼ばれる状態)となってしまったと想像してみてほしいのです。

健康で、若く、経済的にも苦境に立たされることなく、性別における差別もなく、生まれた場所も平和で、家族に逮捕歴などもないというような恵まれた状況にあると、見えてこない世界があるかもしれません。

どんなに自分は大丈夫だと思っていても、ある日突然、事故や病気に合ったり、日本円が使えなくなったり、戦争状態に陥ったりしてしまうと、弱者の側に立たされてしまうかもしれません。

包含・含有・包括性・包摂・受け入れるといった意味を持ち、誰も排除せず、様々な人を受け入れるという「インクルージョン(Inclusion)」という考えをもって想像するとまた違ったアプローチができるのではないでしょうか?

【関連記事】

#Intel はヘルスケア分野でどう取り組んでいくか?|#インテル の5つの重点分野(#AI #IoT #5G #自動運転 #ヘルスケア)




■インテルの5つの重点分野(AI・IoT・5G・自動運転・ヘルスケア)

What is 5G? | Intel Business
What is 5G? | Intel Business

参考画像:What is 5G? | Intel Business|YouTubeスクリーンショット

なぜIntelはヘルスケアに注力するのか

(2018/1/3、マイナビニュース)

Intelが将来の重点分野として掲げているのが「AI・機械学習」「IoT」「5G」「自動運転」「ヘルスケア(ライフサイエンス)」の5つです。

それぞれの分野は別の分野のように見えて、それぞれが結びついています。

ヘルスケア分野についても、AIが医師に疾病に対する知見を提供したり、画像やゲノムのスクリーニングデータから疾病の早期発見を可能とするといった動きや、新薬開発の効率化、といった取り組みなども進められるなど、活用が進むほか、ウェアラブル機器によるバイタルサインの取得や、そのデータを5Gを用いて送信といったように、ほかの重点分野の技術をも内包する形で、事業強化が図られている。

ヘルスケア分野でいえば、「AI」が医師に対して病気に対する支援を行なったり、画像や遺伝子のデータから病気の早期発見を目指していたり、「IoT」においてはウェアラブルデバイスでバイタルサインを取得し、病気の治療・予防に活かす研究がおこなわれていたり、「5G」では、センサーを活用し、リモート環境での心拍数や血圧値のモニタリングによって健康を管理したり、映像を活用して遠隔診断をするといった遠隔医療が可能になるだけでなく、映像配信やロボティクス、AR/VRを使用して、外科医が離れた場所から手術を行う遠隔手術に活用される可能性が期待されます。




■Intelはヘルスケア分野でどう取り組んでいくか?

インテルがヘルスケア分野の課題解決に貢献する事業展開をPR

(2017/12/11、innavinet)

インテルでは,このほかにもプレシジョン・メディシンに向け,医療データや日常生活から得られる健康データなどのビッグデータをクラウド上で管理し,個人が自ら健康管理を行ったり,予防医療や創薬などにデータを活用できる基盤にも技術を提供していく。

ゲノム解析が一般的なものになった時、AIが過去の文献や医学論文、データベースを探索するようになる!?によれば、現在では、抗がん剤を使用する前に、ゲノム情報を活用してどのような薬が効くのかを事前に調べて投与する「Precision Medicine(プレシジョンメディシン)」に注目が集まっていますが、インテルでは、プレシジョン・メディシンのために、医療データや健康データなどのビッグデータを管理したり、予防医療や創薬などに活用できる基盤にも技術を提供していくそうです。

What is 5G? | Intel Business

Intelによれば、世界的に医療費の支払いが問題になっていることが背景として挙げられるそうです。

背景には、世界的に医療費の支払いが問題になってきており、変革が求められるようになっていることが挙げられる。例えば、米国合衆国保健福祉省(United States Department of Health and Human Services:HHS)は、ヘルスケアに関する資源利用として、高齢者および障害者向け公的医療保険制度であるメディケアの支払いを、量ではなく、質へと転換していこうという流れを示している。これは、患者の入院に関して、定められた品質計測方法で計測したヘルスケアデータとして、The Centers for Medicare & Medicaid Services(CMS)に提供することともに公表することと引き換えに、若干高めの支払いを受ける、というもので、簡単に言うと、医療報酬を1回あたりの診療に支払うのではなく、そこで生み出されたトータルのエピソードに対して支払うというモデルとなっている。

2016年度(平成28年度)の医療費は41.3兆円|診療報酬改定で薬価が引き下げられたことやジェネリック医薬品の使用割合が増えたことが医療費減少の要因によれば、高齢化や医療技術の高度化は年々進んでいるため、今後も医療費の増加が予想されます。

年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度)
国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている。(年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度))

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることにで紹介した厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

このように考えると、ある業界だけ、自治体だけが医療費の減少のために取り組むのではなく、社会全体で医療費の減少に取り組む時が来ていると思います。

そのことが「AI・機械学習」「IoT」「5G」「ヘルスケア(ライフサイエンス)」の分野に多くの企業が取り組無ことにつながっているのではないでしょうか。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

この第三の波には「インパクト投資」も含まれているそうです。

社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性|#サキドリ↑(NHK)によれば、「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」とは、障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資のことです。

「IoT」や「インパクト投資」といった「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。

インテルはおそらくヘルスケア分野のキープレイヤーになると思いますので、これからもインテルの動きには注目しましょう!







P.S.
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