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1日7千歩で死亡リスクが47%低下!心血管疾患・がん・2型糖尿病・認知症・うつ病も抑制!




ランセット誌に掲載された1日あたりの歩数と健康の関係を調べた研究によれば、1日2,000歩と比べて、7,000歩で死亡リスクが47%低下し、また死亡率、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知症、うつ病、身体機能、転倒なども抑制することがわかりました。

■背景:なぜこの研究が大事?

身体活動の重要性:運動は心臓病や糖尿病、がん、早期死亡のリスクを下げる効果があります。しかし、世界の成人の3分の1が十分な運動をしておらず、健康問題や医療費の増加が問題となっています。

歩数の注目:歩数はスマートウォッチや歩数計で簡単に測れるため、運動量の指標として注目されています。これまでの研究では、歩数が多いほど健康に良いとされていましたが、具体的な歩数と幅広い健康効果の関係は十分にわかっていませんでした。

■主な結果

研究では、1日約7,000歩が多くの健康効果をもたらす「現実的な目標」として浮かび上がりました。

全死亡率(すべての原因による死亡リスク):1日2,000歩と比べて、7,000歩で死亡リスクが47%低下(HR 0.53)。
約5,400歩で効果が顕著になり、それ以上歩いても追加の効果は少しずつ小さくなる(非線形の関係)。

心血管疾患:心血管疾患の発生リスクは7,000歩で25%低下(HR 0.75)、死亡リスクは47%低下(HR 0.53)。
約5,400~7,800歩で効果が最大に。

がん:がんの発生リスクは7,000歩で6%低下(ただし統計的に有意ではない)。がんによる死亡リスクは37%低下(HR 0.63)。
がん死亡リスクは約4,800歩で効果が顕著。

2型糖尿病:7,000歩で発症リスクが14%低下(HR 0.86)。
歩数が増えるほどリスクが直線的に減少。

認知症:7,000歩で認知症リスクが38%低下(HR 0.62)。
約8,800歩で効果が最大。

うつ病症状:7,000歩でうつ病症状のリスクが22%低下(HR 0.78)。
歩数が増えるほどリスクが直線的に減少。

転倒:7,000歩で転倒リスクが28%低下(HR 0.72)。
約8,800歩で効果が最大(特に高齢者)。

身体機能:メタアナリシスは行われなかったが、7,000歩程度で下肢機能の維持や改善、機能障害のリスク低下が報告された。

【関連記事】
糖尿病予備群の人が1日20分歩くだけで心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが8%低くなる!?

■まとめ

これまで一日一万歩が健康の目安と言われてきましたが、この研究によれば7000歩でも十分な健康効果が得られることがわかりました。

【参考リンク】







【関連記事】

血中の長鎖オメガ3脂肪酸(EPA、DPA、DHA)が高いと、がんや心臓病などの死亡リスクが下がり、健康寿命が延びる可能性!




Nature communications誌に掲載された研究によれば、血中の長鎖オメガ3脂肪酸(EPA、DPA、DHA)が高いと死亡リスクが下がることがわかりました。

【参考リンク】

■どんな研究?

この研究は、オメガ3脂肪酸(特に魚に多く含まれるEPA、DPA、DHAと、植物由来のALA)が人の血中濃度と、死亡リスク(全体の死亡や、心血管疾患、がん、その他の原因による死亡)の関係を調べたものです。

17の前向きコホート研究(長期間にわたって人を追跡調査する研究)のデータをまとめて分析し、42,466人の参加者を対象に、16年間(中央値)の追跡期間で15,720人の死亡を調べました。

■オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、健康に良いとされる脂質の一種で、以下のような種類があります:長鎖オメガ3脂肪酸(EPA、DPA、DHA):主に魚や魚油に含まれる。心臓病のリスクを下げる可能性があると注目されています。

α-リノレン酸(ALA):植物油(例:亜麻仁油)やナッツに含まれるが、効果は長鎖オメガ3ほど強くないとされています。

■この研究の主なポイント

●血中の長鎖オメガ3脂肪酸が高いと死亡リスクが下がる

血中のEPA、DPA、DHAの濃度が最も高いグループ(上位20%)は、最も低いグループ(下位20%)に比べて、全体の死亡リスクが15~18%低いことがわかりました。

具体的には、心血管疾患(心臓病や脳卒中)、がん、その他の原因による死亡リスクも低下していました。

例えば、EPA+DHAの高い人は、全体の死亡リスクが約13%減少し、心血管疾患による死亡リスクも同様に低下。

●ALA(植物由来のオメガ3)は効果が弱い

植物由来のALAは、死亡リスクの低下とほとんど関係がありませんでした。これは、ALAが体内でEPAやDHAに変換される効率が低いためと考えられます。

■まとめ

○長鎖オメガ3脂肪酸(EPA、DPA、DHA)の血中濃度が高い人は、全死亡リスクや心血管疾患、がん、その他の死亡リスクが有意に低いことがわかりました。

これは、魚や魚油を多く摂ることで、これらの脂肪酸の血中濃度が上がり、健康寿命が延びる可能性を示唆しています。

○ALAは効果がほとんど見られなかったため、魚やサプリメントから直接EPAやDHAを摂取する方が効果的と考えられます。

つまり、今回の研究を参考にすれば、魚(特にサバ、サーモン、イワシなど)を食べたり、必要に応じて魚油サプリメントを摂ることで、心臓病やがんによる死亡リスクを下がる可能性があるので、積極的に摂っていきましょう。

→ オメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸の血中濃度が高い人はがんの発症リスクが低い! について詳しくはこちら

→ オメガ3の効果・効能・食べ物 について詳しくはこちら

→ DHA・EPAを含む食品 について詳しくはこちら







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超加工食品の摂取量が多いほどがんの発症、男性の大腸がん、女性の卵巣がんのリスクがアップする!




Threadsを見てて「添加物に気を使った食生活をしている人の方が健康で長生きしているという裏付けのあるデータはあるのか?」という投稿があったので調べてみました。

日本ではあまり聞きなじみのない言葉ですが、海外の健康や食品に関するニュースを見ていると「超加工食品(ultra-processed foods;UPFs)」が取り上げられています。

超加工食品には、出来合いのスープやソース、冷凍ピザ、調理済み食品、ホットドッグ、ソーセージ、フライドポテト、ソーダ、市販のクッキー、ケーキ、キャンディー、ドーナツ、アイスクリームなどが含まれています。

世界的な食生活は、比較的安価で、非常に美味しく、すぐに食べられる超加工食品(UPF)がますます主流になりつつあり、アメリカ人は摂取するカロリーの約6割、砂糖の9割を「超加工食品」から摂取している!?で紹介した英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の調査結果によれば、米国人は摂取するカロリーの58%、砂糖の90%を清涼飲料水やシリアル、袋詰めされたパンや焼き菓子、袋入りのスナック類、その他の菓子類、デザート類、再構成肉(チキンナゲットなどの材料)、即席めん類、スープなどの「超加工食品」から摂取していることがわかったそうです。

私たちは食品添加物単体で摂取することはないので、色や香り、食感を加えたり賞味期限を長引かせたりする目的で食品添加物が使われることが多い超加工食品を摂ることによってどれくらい健康に影響があるかについて調べることが参考になるかと思い、こちらに関する論文を紹介したいと思います。

【参考リンク】

医学誌に掲載された論文によれば、超加工食品の摂取量が多いほどがんの発症、特に女性の卵巣がんのリスクが増大するということがわかりました。

ただ難しいのはこれが超加工食品だけの影響によるものかわからないという点です。

超加工食品の摂取、がん発症・死亡リスク増大と関係 英研究(2023年2月1日、CNN)でコメントしている英アストン医学校のデュアン・メラーさんによれば、

超加工食品の摂取量が多い人は、紅茶やコーヒーよりも炭酸飲料を多く飲み、野菜など健康な食生活に関連した食品の摂取量が少ない傾向がある。このためがんのリスク増大は超加工食品のみの影響ではなく、健康的な食品の摂取量が少ないことの影響を反映している可能性がある

そうです。

例えば超加工食品の摂取量が多い人は野菜の摂取量が少ない傾向にあるといったように、いろんな要素が入ってしまい、健康への影響が超加工食品によるものなのかがはっきりとわからないんですね。

「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|#NHKスペシャルによれば、所得が少ないと炭水化物中心の食事になり、カルシウムやビタミンなどの摂取量が少なくなることが指摘されています。

栄養バランスが崩れることは健康にも影響を与え、低所得者は高所得者に比べ、精神疾患へのなりやすさが3.4倍、肥満と脳卒中の罹患(りかん)リスクが約1.5倍、骨粗しょう症へのなりやすさが約1.4倍にまで膨らむとのデータもあるそうです。

つまり、超加工食品をよく摂取している人は、好んで摂取しているとは限らず、所得が少ないから超加工食品を選ばざるを得ない人がいますし、またそういう食生活をしている人は不健康な生活習慣を摂ってしまう傾向にあったりするため、一概に超加工食品が原因だと決めつけることができません。

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ただ今回紹介した研究によれば、超加工食品の摂取量が10%増えるとがんの発症が2%増え、特に卵巣がんと診断されるリスクは19%上昇することがわかったため、明確な因果関係があるとまでは言えないものの、健康のために超加工食品を減らして、健康的な食品を選ぶことは大事なんですね。

また超加工食品と大腸がんのリスクの関係に関する研究によれば、超加工食品を多く食べる男性は摂取量が少ないグループと比べると大腸がんを発症するリスクが29%高いことがわかっています。

ちなみに、この研究ではヨーグルトなどの摂取量が多いと、女性の大腸がんリスクが低下するという結果が出ています。

【参考リンク】

なぜ超加工食品は健康にとって悪いのかについて、Ultraprocessed foods linked to cancer and early death, studies find(2022年9月1日、CNN)でコメントしているタフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院のファン・ファン・チャンさんによれば、「食品から抽出された成分や研究室で合成された成分で作られ、そのまま食べたり温めたりできる工業製品であり、自然食品はほとんど、あるいは全く含まれていない」と語っており、超加工食品には添加糖や塩分が多く、食物繊維が少なく、人工着色料、香料、安定剤などの化学添加物がたっぷり含まれていることが多いからだとしています。

そのため「添加物に気を使った食生活をしている人の方が健康で長生きしているという裏付けのあるデータはあるのか?」という質問について、超加工食品による健康への影響はあるが原因が解明していないので明確に答えることができないのが現状です。

大事なことは添加物が悪いというよりも超加工食品を積極的に摂ることは自然と添加物が多くなってしまうということであり、新鮮で健康的な食品を摂れる方が体にいいことは理解できるかと思います。

添加物をゼロにするのは現実的ではないですが、フレッシュな食品を選んで超加工食品を減らすことができれば、結果的に食品添加物の摂取量を減らしていくというのはいい考え方ですよね。

→ 大腸がんの症状(初期症状)チェック・原因・予防 について詳しくはこちら







糖摂取後1時間血糖値が170 mg/dl以上はガンや動脈硬化のリスクが高い!




糖摂取後の血糖値が寿命延長に関連する‐ブドウ糖負荷後 1 時間血糖値が低いと病気が少なくて長寿‐(2025年6月23日、東北大学)によれば、岩手県大迫町で糖尿病のない平均62歳の地域住民を対象に、糖摂取後の血糖値と寿命の関係を調べたところ、ブドウ糖負荷試験の負荷後1時間血糖値が170 mg/dl未満の群は、170 mg/dl以上の群に比べて死亡が少なく、動脈硬化や悪性腫瘍による死亡が顕著に少ないことが明らかになりました。

そのことから、ブドウ糖負荷後1時間血糖値170 mg/dl未満を維持することは心臓疾患や悪性腫瘍を予防し寿命を延ばすことにつながることが期待されます。

正常者の中でも、糖負荷試験負荷後 1 時間血糖値が 170 mg/dl 未満の群(青) では生存者が顕著に多い
正常者の中でも、糖負荷試験負荷後 1 時間血糖値が 170 mg/dl 未満の群(青) では生存者が顕著に多い

■まとめ

血糖値高い糖尿病患者ほど心不全に|国立循環器病研究センターで紹介した国立循環器病研究センターによれば、血糖値が高い糖尿病患者ほど心不全で入院する割合が多いということから、血糖値と心不全には関係があることがわかったそうです。

糖尿病の診断基準であるヘモグロビンA1cの数値が高い人ほど、がんの発症リスクが高まる!|国立がん研究センターと東京女子医大で紹介した国立がん研究センターと東京女子医大のチームによれば、糖尿病の診断基準の数値であるヘモグロビンA1cの値が高い人ほど、がんの発症リスクが高まる傾向があるそうです。

糖尿病の人の大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓がんは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いで紹介した日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の報告によれば、糖尿病の人はそうでない人に比べて1.2倍がんになりやすく、特に、大腸がんになるリスクは1.4倍、肝臓ガンは1.97倍、すい臓がんは1.85倍も高いそうです。

糖尿病の人がなぜがんになりやすいのかについてのメカニズムははっきりとわかっていないそうですが、インスリンは細胞を成長させ増殖させるホルモンなので、インスリンが増えると細胞のがん化につながるのではないか、また高血糖による炎症ががんを招いているのではないか、などが考えられるようです。

今回取り上げたニュースによれば、ブドウ糖を摂取した1時間後の血糖値が、1デシリットルあたり170ミリグラム以上の人は170ミリグラム未満の人よりも心疾患やがんを発症しやすく、死亡リスクも高まることが分かったので、病気の予防をするためには、糖負荷試験の1時間後の血糖値をチェックし、糖尿病予防をすることが、がん予防につながると考えられるので、しっかりと対策を行いましょう。

→ 血糖値とは|血糖値を下げる食品・正常値・空腹時血糖値・食後血糖値 について詳しくはこちら

→ 糖尿病の症状・初期症状 について詳しくはこちら







【免疫力UP】リポポリサッカライド(LPS)が多く含まれる食べ物|#世界一受けたい授業(杣 源一郎)

2016年4月2日放送の世界一受けたい授業では「リポポリサッカライド」について取り上げました。




【目次】

解説 杣 源一郎 先生

香川大学医学部統合免疫システム学寄附講座客員教授、新潟薬科大学特別招聘教授

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■リポポリサッカライドとは?

リポポリサッカライド(LPS、リポ多糖)は、土壌や自然に含まれる微生物にあるものです。

マクロファージ(貪食細胞)が悪い菌や死んだ細胞を食べてくれているのですが、免疫力が低い人はマクロファージがあまり活動していません。

リポポリサッカライド(LPS)はこのマクロファージを活性化させてくれるのです。

リポポリサッカライドを取り入れると、マクロファージを活性化させることで、免疫力がアップし、風邪やインフルエンザの予防、肌荒れ改善、花粉症がん糖尿病認知症骨粗しょう症の予防ができると期待されるそうです。

■リポポリサッカライドが少ない人=免疫力が低い人の特徴とは?

リポポリサッカライドは、土壌や自然に含まれる微生物にあるため、キレイ好きでよく掃除をしたり、殺菌をする人は免疫力を下げてしまう可能性があるそうです。

■リポポリサッカライドの推奨摂取量

一日500μg(マイクログラム)

一日500μgのLPSを摂取する食事の例

  • 玄米 150g
  • めかぶ 50g
  • 岩のりの佃煮 5g
  • ヨーグルト 180g




■リポポリサッカライドを含む食材ベスト5

第一位 玄米(玄米の周りのヌカにLPSが含まれている)

par cooked brown rice

by jules(画像:Creative Commons)

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第二位 めかぶ

第三位 れんこん

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第四位 ヒラタケ

第五位 岩のり

■リポポリサッカライドの多い食品と一緒に食べると良い食べ物とは?

リポポリサッカライドの多い食品と一緒に食べると良い食べ物とは、「ヨーグルト」。

ヨーグルトに含まれる乳酸菌とリポポリサッカライドを同時に摂取すると、相乗効果が生まれるそうです。

■LPSは加熱してもよい

LPS(リポポリサッカライド)は加熱しても物質は残りますので、安心して調理してよいそうです。

■「そば」にもリポポリサッカライドが含まれる

Soba 蕎麦

by happynick(画像:Creative Commons)

今回新しくリポポリサッカライドが含まれる食材として紹介したのは「そば」。

リポポリサッカライドは皮の部分に含まれているので、お米であれば玄米、そばであれば十割そばがオススメです。

蕎麦を茹でた蕎麦湯にもリポポリサッカライドは含まれているので飲むほうがいいそうですよ。

外皮以外の全てが含まれている全粒粉の蕎麦粉で作った十割蕎麦にすると一食分のリポポリサッカライド量が多いそうです。

■免疫力を高めるとろとろそば
  • 十割そば
  • めかぶ
  • なめこ
  • 自然薯(じねんじょ)
  • レンコン(すりおろしたレンコンをスープに入れる)

■LPS食材を3週間食べると免疫力はアップするか?

免疫力が低いと診断された俳優の竹内涼真さんが免疫力を高めるためにLPSを多く含む食材を3週間食べるという実験を行なったところ、免疫力の高さを判断する基準であるマクロファージの貪食能が5倍以上になったそうです。

■まとめ

子供の頃から土いじりなどの土に触れる生活というのはアレルギー体質にならないようにすることにつながっているんですね。

LPS食材はまとめてとっても免疫力の改善に繋がるわけではなく、継続して取り入れることが重要です。

アレルギーを予防するためにも、病気にならないためにも、リポポリサッカライド(LPS)を含む食品を摂っていきたいですね。







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