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リハビリや高齢者のフレイル対策に!体重の負担を減らして有酸素運動を行なう反重力(空気圧・水中)トレッドミル(ルームランナー・ランニングマシン)




■体重(自重)の負担を減らして有酸素運動を行なうトレッドミル

AlterG anti-gravity treadmill at FIBO

by Health Gauge(画像:Creative Commons)

さまざまな方法で体重(自重)の負担を減らして有酸素運動を行なうトレッドミルについて取り上げてみたいと思います。

トレッドミルとは、ルームランナーやランニングマシンとも呼ばれる、屋内でランニングやウォーキングなどの有酸素運動を行なうトレーニングマシンですが、一つ問題があります。

それは、下肢への負担がかかることです。

そこで開発されているのが、体重(自重)の負担を減らして有酸素運動を行なうトレッドミルです。

自重の負担を軽減することによって、術後のリハビリを行いたい方や高齢者(フレイルの段階で対策を行ないたい方)の方、過体重のために運動すると膝や腰などを痛めてしまう恐れがある方などが有酸素運動を行なうことができるようになります。

体重の負担を減らす方法としては、空気圧を活用して体を浮かせた状態で行うものと水の中で体を浮かせる状態で行うものがあります。

■空気圧を活用した反重力トレッドミル

以前テレビでメジャー時代の斎藤隆投手が球団より足腰を鍛えるジョギングをする際に、下肢の重力を取り除いてランニング・リハビリを行なうように指示された映像を覚えています。

空気圧によって体を持ち上げることによって、下半身にかかる負担を抑えられ、また、転倒リスクを防止することもできます。

AlterG社のG-Trainer™はNASAのテクノロジーを活用して作られています。

宇宙では、骨損失と筋肉萎縮を防ぐために、宇宙飛行士はハーネスシステムのトレッドミルで運動していましたが、空気圧を活用したものに改良したものがG-Trainer™です。

‘Anti-Gravity’ Treadmills Speed Rehabilitation|NASA

Whatever the cause of an injury, rehabilitation can be painful, and patients often alter their gait, stride length, or body position to over-compensate for the pain. The G-Trainer reduces the effect of gravity and weight, which makes it more comfortable for a patient to focus on a normal, correct gait instead of worrying about more injury and pain. This allows patients to develop good habits and condition their muscles while their bodies are still healing.

リハビリにおいては苦痛を伴うものであり、患者はその痛みを補うために、歩き方や歩幅、体の位置を変更してしまいます。

リハビリの際にケガや痛みをかばうことで、正しい歩行ができなくなってしまう恐れがあると考えられます。

#錦織圭 選手のコンディショニング戦略(栄養管理・ピリオダイゼーション・ケガの予防)|#テニスで紹介したパーソナル・トレーナーの中尾公一さんによれば、ケガの予防には「アライメント(姿勢)」「正しい動き」「それを維持する筋力」の3つの点へ注意する必要があるそうです。

骨の位置がそれぞれ正しい位置にあり、正しい動きができ、それを維持できれば、事故的なケースを除いて、ほとんどのケガを防ぐことができるそうです。

そこで、重力と体重の影響を軽減することにより、ケガや痛みの心配を減らすことによって、より正しいリハビリができるようになることが期待されます。

AlterG – Running, Injury and Rehab Equipment|YouTube

【参考リンク】




■水中トレッドミル

水中トレッドミルは、水によって体を浮かせることによって、下肢への負担を軽減し、トレーニングやリハビリを行なうことができます。

ただ気になる点があるとすれば、傷がある場合や手術後のリハビリの場合のように、傷口などからの感染症リスクがあるためその場合には使用が難しいのではないかという点と全身に水の負荷がかかるためフォームが崩れる可能性がないのか、水によるという点です。

Underwater treadmill|YouTube

Underwater Treadmill|The University of Maine|YouTube

Underwater Treadmill

【参考リンク】

■まとめ

75歳以上同士の「老老介護」初の30%超|65歳以上同士の「老老介護」は過去最高54%に|平成28年国民生活基礎調査によれば、介護をする側と介護を受ける側の両方が高齢者の組み合わせである「老老介護」が話題になっていますが、平成28年国民生活基礎調査で発表された、同居の主な介護者と要介護者等の組合せを年齢階級別にみると、60歳以上同士70.3%、65歳以上同士54.7%、75歳以上同士30.2%となっており、また年次推移でみると、上昇傾向にあるのがわかります。

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!で紹介した平成28年国民生活基礎調査によれば、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因として「高齢による衰弱」(16.2%)になっています。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

例えば、介護施設で「パワーリハビリ」を導入 約8割に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果|弘前によれば、弘前市内の介護施設が専用マシンで筋力アップのトレーニングを行う「パワーリハビリ」を取り入れたところ、約8割の人に介護度を改善したり重症化を防ぐ効果があったそうです。

今回紹介した空気圧を活用したトレッドミルや水中トレッドミルのように体への負担を軽減しながら有酸素運動ができるマシンを活用すれば、高齢者が要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できるのではないでしょうか。







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昆虫食が世界の食糧危機と高齢者のフレイル対策の救世主になる!?




食料問題を解決する2つのアプローチ|「90億人の食」をどう生み出すか?|FARMBOTが農業の問題を解決する!?でも取り上げましたが、世界人口は増え続けており、世界人口推計2019年版:要旨 10の主要な調査結果(2019/7/2、国連)によれば、世界の人口は2019年の77億人から2030年の85億人(10%増)へ、さらに2050年には97億人(同26%)、2100年には109億人(42%)へと増えることが予測されています。

そこで、将来必ず起こりうる問題が「食糧問題」であり、その問題に取り組もうと、様々なテクノロジーを活用して農作物の生産量を増やす方法や食品廃棄物を減らす取り組みなどが行われています。

その解決策のうちの一つが「昆虫食」です。

昆虫食が注目されているのは食糧問題だけでなく、高齢者のフレイル対策に関わっています。

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!|厚生労働省

多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥る|厚生労働省
多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥ります。加齢に伴う変化(食欲の低下・活動量の低下・社会交流の低下・筋力低下・認知機能低下・多くの病気をかかえている)→危険な加齢の兆候(低栄養・転倒・サルコペニア・尿失禁・軽度認知障害(MCI))

参考画像:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省スクリーンショット

高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省

「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態。

厚生労働省によれば、多くの高齢者が中間的な段階(フレイル)を経て、徐々に要介護状態に陥るそうです。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

たんぱく質摂取と骨格筋|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、最近のコホート調査でも、たんぱく質摂取量が少ないことは3年後の筋力の低下と関連し、さらに高齢女性の3年間の観察で、たんぱく質摂取量が少ないとフレイルティの出現のリスクが増加することが確認されているそうです。

また、日本人の高齢女性の横断研究でもフレイルティの存在とたんぱく質摂取量との関連が明らかにされています。

記事によれば、2013年にFAO(国連食糧農業機関)が「食品及び飼料における昆虫類の役割に注目する報告書」の中で昆虫のタンパク源としての可能性に対して発表しています。

つまり、食糧問題を解決し、フレイル対策の一つの方法として昆虫食が注目されているというわけなんですね。

日本では一部地域で蜂の子やイナゴを食べる習慣がありますが、それが一般化する日が来るかもしれませんね。

■まとめ

今年は新型コロナウイルスによって、人の移動が制限されたことにより、トラック運転手も足りない・飛行機も飛ばないため、航空輸送能力も急減・観光客の姿はいなくなり、果物売りもいなくなったなどの理由で食糧不足や価格高騰などが問題になっています。

新型コロナウイルスに加えてバッタの大群による農作物の被害も拡大しています。

本格的に食糧問題について考えるタイミングなのではないでしょうか?







新型コロナウイルス対策をしながら、フレイル対策も行うことが大事!




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by Salvation Army USA West(画像:Creative Commons)

高齢者の方は新型コロナウイルス感染予防対策のために「人との接触を避ける」行動を行なっていることと思います。

ただ心配なのは外出自粛による衰えです。

衰えというのは身体だけではありません。

筋肉の低下などの身体的な衰えだけでなく、認知機能の低下などの認知・精神的な衰え、人とのつながりが減少したことによる社会的な衰えがあります。

特に最近では健康寿命を延ばす対策として「フレイル対策」が注目を集めていた中で新型コロナウイルスによりフレイル対策ができなくなってしまっている人も多いと思います。

新型コロナウイルス感染予防対策を行ないながら、フレイル対策をすることは大変なことですが、要介護状態にならないようにするためにも少しずつ実践していきましょう!

■【用語解説】フレイルとは?

多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥る|厚生労働省
多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥ります。加齢に伴う変化(食欲の低下・活動量の低下・社会交流の低下・筋力低下・認知機能低下・多くの病気をかかえている)→危険な加齢の兆候(低栄養・転倒・サルコペニア・尿失禁・軽度認知障害(MCI))

参考画像:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省スクリーンショット

「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態です。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

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→ オーラルフレイルを知って健康寿命を延ばそう|自分の歯が多く保たれている人は、健康寿命が長く、要介護期間が短い|東北大学 について詳しくはこちら




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健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプラン




■健康保険組合の4分の1超が2025年度に解散危機を迎える試算ー健保連|改善するために必要な2つのプラン

Numbers And Finance

by Ken Teegardin(画像:Creative Commons)

健保、4分の1超が解散危機=25年度試算-健保連

(2017/9/25、時事通信)

健康保険組合連合会(健保連)は25日、大企業が社員向けに運営する健康保険組合の4分の1を超える380組合が、財政悪化で2025年度に解散危機を迎えるとの試算を発表した。

健康保険組合連合会(健保連)は、2025年度に団塊の世代が全て75歳以上となり、健保組合が高齢者医療に拠出するお金が急増するため、健康保険組合の4分の1超が解散危機を迎えるという試算を発表しました。

試算では、健保組合の平均保険料率は15年度の9.1%から25年度に11.8%に上昇。380組合の25年度推計保険料率は12.5%以上になり、中小企業の社員らが加入する「協会けんぽ」の保険料率を超える計算だ。
 健保組合の保険料率が協会けんぽより高くなると、企業は自前で健保を運営する必要がなくなり、解散につながる。

健保組合の保険料率が協会けんぽの保険料率を超えると、企業は健保組合を運営する必要がなくなるため、解散につながっていくそうです。




■まとめ

健康保険組合の財政悪化、高齢者医療費負担増で(2008/10/9)によれば、健康保険組合(健保組合)の中には、高齢者医療費の増加による負担増により、健保組合を解散したところも出ていて、例えば、西濃運輸健保組合は、高齢者医療への拠出金が増加したため、赤字となり、保険料率を引き上げる必要に迫られたため、解散し、保険料率の低い政管健保に移ることとなりました。

国民皆保険による医療、医師の半数「持続不能」|「#健康格差」を広げないために私たちができることで紹介した日本経済新聞社などが実施したアンケート調査によれば、医師の半数が国民皆保険による医療が「持続不能」と答えているそうです。

年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度)
国民医療費の約2割が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めている。(年齢階級別一人当たり医療費(平成25年度))

参考画像:不安な個人、立ちすくむ国家~モデル無き時代をどう前向きに生き抜くか~|経済産業省PDF

厚生労働省「人口動態調査」, 「医療給付実態調査報告」, OECD Health Data 2014 OECD Stat Extractsによれば、国全体医療費の23%(9.2兆円)が80歳以上の医療費であり、その多くを入院費用が占めているそうです。

つまり、高齢化は今後も進んでいき、医療費の増大が見込まれることから、健康保険組合の財政が悪化していく傾向は変わりないでしょう。

この状況を変えるためにも、大きく舵を切る必要があるのではないでしょうか?

そのプランとしては2つあり、1つは、現役世代は予防医療・予防医学・予測医療に変えていくということ、もう一つは、高齢者がフレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことです。

■予防医療・予防医学・予測医療に変えていく

「日本は予防型医療へのパラダイムシフトを」

(2017/9/13、日経デジタルヘルス)

2017年版の白書では、疾病の予防や早期発見、早期治療を柱とする「予防(志向)型医療」への転換の重要性を訴えた。これにより、国民の生産性向上と社会的コストの引き下げが可能になるとしている。

在日米国商工会議所(ACCJ:The American Chamber of Commerce in Japan)と欧州ビジネス協会(EBC:European Business Council in Japan)は、持続的な経済成長を促すことを目的に、健康寿命を延ばし病気による経済的負担を軽減するための政策を提言した「ACCJ-EBC医療政策白書2017年版」を共同で発表し、病気の予防や早期発見、早期治療を柱とする「予防型医療」への転換の重要性を訴えています。

例えば、がん検診といった予防医療・予防医学に取り組んでいくことは医療費の削減するためにも今後重要になっていくと考えられますし、また、QOL(生活の質)の向上といった間接的なコスト削減も期待できると考えられます。

積極的に計画・実行する人はがん・脳卒中・心筋梗塞の死亡リスクが低い|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターによれば、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の行動をとる人は、そうでない人に比べて、がんで死亡するリスクが15%低く、また、脳卒中リスクが15%低く、脳卒中心筋梗塞などで死亡するリスクが26%低いという結果が出たそうです。

その理由としては、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の人は、がん検診や健康診断を受診するため、病気の早期発見につながり、病気による死亡リスクが低下して可能性があるようです。

つまり、定期検診などの予防医学・予防医療を導入するということは、病気による死亡リスクが減少し、医療費の削減にもつながるということです。

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■高齢者がフレイルの段階で、適切な介入・支援を行なう

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!で紹介した厚生労働省によれば、多くの高齢者が中間的な段階(フレイル)を経て、徐々に要介護状態に陥るそうです。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

そこで、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できるというのが今注目されている考え方です。

ただライフスタイルを自分一人で変えていくのは難しいものですので、イギリス食品基準庁が塩分を減らすように食品の塩分量の目標値を設定したことによって脳卒中や虚血性心疾患の死亡者数を8年間で4割減らすことに成功したように、また、東京都足立区の取り組みで足立区の1人当たりの野菜消費量は年間で5kg増えたように、アメリカでは鉄欠乏症を予防するためにも鉄分を加えた強化小麦粉を義務付けているように、普段のライフスタイルの中で自然と健康に良い取り組みに変わっているというのが良いのではないでしょうか?

●イギリス食品基準庁、食品に塩分量の目標値を設定

「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|#NHKスペシャルによれば、イギリスでは脳卒中や虚血性心疾患の死亡者数を8年間で4割減らすことに成功したそうですが、その理由としては、イギリス食品基準庁が塩分を減らすように食品の塩分量の目標値を設定したことにあるそうです。

NHKスペシャルの低所得者の疾病リスクに迫った「健康格差特集」に反響の声

(2016/9/21、マイナビニュース)

2006年に85品目の食品に塩分量の目標値を設定し、メーカーに自主的達成を求めた。その理由は、主食であるパンが国民の最大の塩分摂取源となっていたためだが、メーカー側は売れ行き減を懸念。見かねた医学や栄養学などを専門とする科学者団体「CASH(塩と健康国民運動)」がメーカー側に徐々に塩分を下げるように提言した。

この提言に大手パンメーカーによる業界団体も納得し、7年でパンを20%も減塩。こういった取り組みの結果、国民1人当たりの塩分摂取量を15%減らすことにつながり、年間で2,000億円の医療費削減につながったと考えられている。

現在、日本人の一日の塩分摂取量として推奨されているのは、10g未満です。

ただし、高血圧患者ではさらに基準が厳しく、1日6g未満となっています。(日本高血圧学会の高血圧治療ガイドラインより)

減塩のための食事を自分で作るのは大変ですが、食品メーカーが減塩に取り組むことによって、全体的に塩分摂取量が減らすことができるというのは大変いい取り組みだと思います。

→ 高血圧の症状・食事・数値・予防・原因 について詳しくはこちら

→ 血圧を下げる方法(食べ物・サプリメント・運動) について詳しくはこちら

●糖尿病患者を減らした東京都足立区の事例

NHKスペシャルの低所得者の疾病リスクに迫った「健康格差特集」に反響の声

(2016/9/21、マイナビニュース)

まず実行したのは飲食店巡り。お客のお通しに野菜を提供するようにお願いし、肉のメニューと野菜のメニューを同時に頼まれても、必ず野菜から出してもらうように店側にお願いした。

その理由は血糖値の変化にある。野菜を炭水化物よりも先に摂取することにより、食物繊維が糖の吸収を遅らせて血糖値の変化量を約30%抑えられる。

東京都足立区の平均年収は23区で最も低い300万円台前半(港区の3分の1程度)で、健康寿命は23区の平均よりも2歳短く、糖尿病の治療件数が最も多いそうです。

そこで足立区は区民が「自然と」健康になるようにする対策として行なったのが、飲食店にはお客のお通しに野菜を提供すること、肉のメニューと野菜のメニューを同時に頼まれても、必ず野菜から出してもらうようにお願いをし、また、区立のすべての保育園で野菜を食べる日を設け、調理は子ども自身が担当することで、楽しみながら野菜を摂取してもらうようにしたそうです。

この取り組みによって、足立区の1人当たりの野菜消費量は年間で5kg増えたそうです。

●鉄欠乏症を予防するアメリカの事例

鉄分を強化した小麦粉で鉄欠乏症・貧血を予防している国がある!【#みんなの家庭の医学】

鉄欠乏症を予防するためにも、鉄分を加えた強化小麦粉を義務付けている国があり、アメリカもそのうちの一国。

番組で紹介したアメリカのシリアルの中にはFDA(アメリカ食品医薬品局)が推奨する一日の鉄分摂取量を100%満たすものがあるなど、ほとんどのシリアルに鉄分が豊富に含まれているそうです。

その他の食品も日本と比べると鉄分が多く含まれているそうです。

●鉄分不足による貧血を予防するカンボジアの事例

カンボジアではサプリメントとして鉄分を補給したり、強化小麦粉を義務付けるのではない別の方法によって、鉄欠乏性貧血が50%減少したそうです。

デザインとアイデアでカンボジアの人を貧血から救った鉄製の魚「LUCKY IRON FISH」によれば、カンボジアでは鉄分不足による貧血によって極度の倦怠感やめまいで悩まされている人が多かったのですが、カンボジアの食生活は魚と米から成り立っていて、鉄分の摂取が不足していたそうです。

そこで、「Lucky Iron Fish」という鉄の塊を鍋に入れることにより、摂取する鉄分を増やすことができたそうです。

ある業界だけ、自治体だけが医療費の減少のために取り組むのではなく、社会全体で医療費の減少に取り組む時が来ていると思います。

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

この第三の波には「インパクト投資」も含まれているそうです。

社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性|#サキドリ↑(NHK)によれば、「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」とは、障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資のことです。

例えば、福岡県大川市の高齢者施設では、学習教材を使っての認知症予防への取り組みに社会的インパクト投資が使えるのかの実証実験として、高齢者100人が参加して、5か月間実験したそうです。

実験に参加した多くの高齢者の要介護度が下がり、公的介護費用が削減するという結果になったそうです。

【参考リンク】

みんなが安心して過ごせる社会にするためにも、1.現役世代は予防医療・予防医学・予測医療に変えていくということ、2.高齢者がフレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうこと、について考えてみてほしいです。







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「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命

健康・美容チェック > 認知症 > 「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命




■「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命

「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命
「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命

参考画像:太陽生命 国内初の『認知症予防アプリ』 10月20日よりお客様への提供を開始しました!(2016/10/20、太陽生命プレスリリース)|スクリーンショット

太陽生命 国内初の『認知症予防アプリ』 10月20日よりお客様への提供を開始しました!

(2016/10/20、太陽生命プレスリリース)

・歩行速度、歩数、歩速年齢(歩行速度からみた健康年齢)を表示

・健康状況に応じてアドバイスを表示

・歩行速度が低下し、認知症やMCIのリスクが高いと思われる場合には、通知を表示

T&D保険グループの太陽生命保険は、平成28年10月20日より、認知症の予防をサポートするスマホアプリ『認知症予防アプリ』の提供をスタートしました。

『認知症予防アプリ』は、東京都健康長寿医療センターの大渕修一医学博士監修のもと、歩行速度を継続的に測定し、将来の認知症・MCI(軽度認知障害)のリスク予兆が発見された場合に本人と家族に通知するアプリとなっており、歩行速度の低下をきっかけとして運動習慣を見直し、認知症・MCIを予防することを目指しているものです。




■MCI(軽度認知障害)と運動について

認知症はじめの一歩|国立長寿医療研究センター もの忘れセンター

MCIでは記憶症状ではなく、言葉が出にくい、道を間違ったりするといった記憶以外の脳機能低下も含まれます。MCIでは、年間約10%が認知症に進行することが知られています。健常者より4-5倍危険性が高い状態です。逆に、MCIから健常に戻る場合もあります。

MCI(Mild cognitive impairment:軽度認知障害)とは、認知症の前段階で、認知機能が年相応といえない程度に低下している状態を指します。

軽度認知障害、運動で防ぐ 暗算しながらで効果増

(2015/8/23、日本経済新聞)

MCIの段階で発症が抑えられるケースも多く、認知症になる人を減らせると考えられるようになってきたため、MCIが注目されるようになっています。

うつ病性仮性認知症対策|前頭葉の血流を増やす方法は有酸素運動(散歩など)+知的刺激(川柳など)|たけしのみんなの家庭の医学によれば、国立長寿医療研究センターでは、暗算やクイズなどの課題を解きながら速足で歩いたりするような、頭を使いながら有酸素運動する、「コグニション」(認知)と「エクササイズ」(運動)を組み合わせ「コグニサイズ」を勧めており、週1回90分の運動プログラムを10か月間参加したグループでは、認知機能や言語機能が維持されており、また脳の特定部位の萎縮傾向がなかったそうです。

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MCI(軽度認知障害)の14%が認知症に進み、46%は正常に戻る|国立長寿医療研究センターによれば、国立長寿医療研究センターによれば、「MCI(軽度認知障害)」の65歳以上の愛知県大府市の住民を4年間追跡調査したところ、14%が認知症に進んだ一方、46%は正常に戻ったそうです。

国立長寿医療研究センターのニュースでは、追跡調査の間に、自然と認知機能が回復したのか、それとも検査した住民が頭を使ったり有酸素運動をすることを積極的に行なったために回復したかどうかはわかりませんが、ただ一つ言えることはMCIになったからといって、必ず認知症になるわけではないということです。

【参考リンク】

認知症の高齢者は2025年には730万人と推計|認知症に役立つ食べ物と生活習慣によれば、2025年には認知症の高齢者は多い場合で730万人に達すると推計されるというニュースを以前お伝えいたしました。

また、世界の認知症患者、2050年に1億3200万人によれば、国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International、ADI)による「世界アルツハイマー報告書2015」によれば、認知症の数は世界の高齢化につれて増えていき、2050年には今の3倍の1億3200万人になるという予測が発表されています。

今後も認知症患者は急増することが予想されますので、MCIの段階で抑えられれば、認知症になる人を減らせるようになるかもしれないことから、注目が集まっているそうです。

■まとめ

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!によれば、高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

つまり、今回紹介したような、歩行速度に着目してMCIを早期発見するアプリのように、要介護状態になる前段階である「フレイル(フレイルティ)」の段階で、MCIの予防につながることを行なうことによって、認知症を防ぐことができれば、それだけ要介護状態になる高齢者を減らすことにつながることが期待されます。

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







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