現役操縦士の約12%がうつ病の診断基準に当てはまるにもかかわらず治療を受けていない|ハーバード大

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by Alex Ford(画像:Creative Commons)

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■現役操縦士の約12%がうつ病の診断基準に当てはまるにもかかわらず治療を受けていない|ハーバード大

現役操縦士の12%にうつ症状、4%は自殺の考えも 米調査

(2016/12/16、CNN)

協力した操縦士約3500人のうち、精神衛生についての項目に回答したのは1848人。そのうち12.6%に当たる233人がうつ病の診断基準に合致していた。過去7日以内に勤務したという1430人に限ると、193人(13.5%)がうつ病と診断できる状態だった。

米ハーバード大学の研究チームによれば、旅客機の現役操縦士の約12%がうつ病の診断基準に当てはまるにもかかわらず治療を受けていないことがわかったそうです。

ほかに参考になる数字を紹介すると、研修医のうち3分の1がうつ病や抑うつ症状を患っている!?で紹介した米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院と米ハーバード大学医学部のダグラス・マタ医師による調査によれば、研修中の若手医師のうち、3分の1がうつ病や抑うつ症状を患っているそうです。

旅客機の操縦や医療に携わるということの共通点としては、責任が重かったり、事故への不安があったりなど精神的ストレスがかかっているため、うつ症状が現れているのではないかと考えましたが、今回の記事によれば、操縦士のおけるうつ病の症状が出ている理由はよりネガティブなものでした。

特にいじめや嫌がらせを経験している操縦士はうつの症状が見られる割合が高く、過去1週間で4回以上の性的嫌がらせを受けたという操縦士は36.4%、過去1週間で4回以上の言葉によるいじめを受けたという操縦士は42.9%がうつ状態にあった。睡眠補助薬を使っている操縦士もうつの割合が高かった。

いじめや嫌がらせを経験している人に多くうつの症状が見られるそうです。

睡眠補助剤を使っている操縦士もうつの割合が高かったことから、うつのサインとして、不眠の症状が出ていることが考えられます。

不眠は「うつ」のサイン?|睡眠不足が続く人は「鬱」状態になる率が高くなる!で紹介した日本大学公衆衛生学教室が男女それぞれ1万人以上を対象にした調査によると、1日の平均睡眠時間が7時間より短くなればなるほど、また8時間より長くなればなるほどうつ状態の有病率が高くなっていたそうです。




■なぜ操縦士は治療を受けていないの?

それにしても、なぜ操縦士は治療を受けていないのでしょうか?

それでも研究チームでは、「航空機の操縦士は精神疾患に対する偏見や、地上勤務に配置されたり操縦士として不適格とみなされたりすることを恐れ、精神衛生症状や診断結果を過少報告している可能性がある」と指摘している。

精神疾患に対する偏見や操縦士として勤務できなくなることを恐れて治療を受けていない可能性があるようです。

■まとめ

うつ病になる人を少なくするためにその原因を探り、その対策を行なっていくと同時に、うつ病の治療を行なっている人への偏見をなくしていくことが重要ですね。







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