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「1日8000歩+速歩き20分」は本当に病気予防になる?論文からわかった「歩数」と「歩く強さ」の重要性

「健康のために歩きましょう」といわれても、

「いったい何歩歩けばいいの?」
「ただ歩くだけでいいの?」
「1万歩まで歩かないと意味がない?」

と思う人も多いのではないでしょうか。

2026年10月7日のウェザーニュースでは、「中之条研究」で知られる青栁幸利さんが、健康維持のための歩き方として「1日8000歩、そのうち20分は速歩き」を紹介しています。

速歩きの目安は、「歌は歌えないけれど、会話はできる」程度の中強度運動です。

では、なぜ「8000歩+20分」なのでしょうか。

実際の論文を調べてみると、面白いことが見えてきます。

■「8000歩+20分」の原点、中之条研究とは?

中之条研究は、群馬県中之条町の高齢者を対象として、歩数だけではなく、加速度計によって「どれくらいの強さで身体を動かしたか」まで測定してきた研究です。

研究の目的の一つは、

「何歩歩いたか」という量だけでなく、「どのくらいの強度で身体を動かしたか」という質も含めて健康との関係を調べる

ことでした。

2008年に発表された中之条研究の論文では、65~84歳の220人について、歩数計・加速度計を用いて1年間にわたり身体活動を測定しました。

その結果、75~84歳では、

1日8000歩以上

または

3METsを超える身体活動を1日20分以上

行っている人では、メタボリックシンドロームの診断項目が少ない傾向がみられました。

さらに10年間追跡した別の中之条研究でも、8000~1万歩程度、または20~30分程度の3METs超の活動と、メタボリックシンドロームとの関係が検討されています。

ここから、

「歩数だけでなく、中強度の運動も取り入れよう」

という考え方が見えてきます。

■でも「8000歩未満ではダメ」という意味ではない

ここが一番大切です。

2025年、医学誌『The Lancet Public Health』に、歩数と健康について非常に大規模な系統的レビュー・メタ解析が発表されました。

57研究、35コホートをまとめ、全死亡、心血管疾患、がん、2型糖尿病、認知症、うつ症状、身体機能、転倒などと歩数の関係を調べています。

その結果、

健康のためには必ずしも1万歩必要ではなく、1日7000歩程度でもかなりの健康効果と関連する

ことが示されました。

1日2000歩の人と7000歩の人を比較すると、

全死亡リスク:約47%低い
心血管疾患の発症リスク:約25%低い
心血管疾患死亡リスク:約47%低い

という関連が報告されています。

がんについては少し注意が必要です。

7000歩ではがん死亡リスクは37%低い一方、がん発症リスクについては6%低かったものの統計学的に有意ではありませんでした。

したがって、

「7000歩歩けばがんを予防できる」

とまで言ってしまうのは、現在の研究からは少し言い過ぎです。

以前ハクライドウで紹介した「1日7千歩で死亡リスクが47%低下」の記事とも、ここはきれいにつながります。

■つまり8000歩は「合格ライン」ではない

ここまでを一般向けにものすごく簡単にすると、

2000歩 → 5000歩 → 7000歩

と歩数が増えるにつれて健康上のメリットとの関連が大きくなっていき、

5000~7000歩あたりから、さらに歩数を増やしたときの追加的なメリットが徐々に小さくなる

というイメージです。

2025年のメタ解析でも、全死亡、心血管疾患、認知症、転倒では、歩数との関係は単純な直線ではなく、5000~7000歩付近に変曲点がみられました。

ですから、

「今日は6500歩だった。8000歩いかなかったから意味がない」

とは考えなくてよさそうです。

今より少し多く歩くこと自体に意味がある。

これは運動を続けるうえでも大切な考え方だと思います。

■「何歩歩くか」だけでなく「どう歩くか」

そしてもう一つ興味深いのが歩く速さです。

2014年に地域在住の高齢者5000人を調べた研究では、「1分間100歩以上」の速さで歩ける人は、それ未満の人と比較して、さまざまな要因を調整した解析で全死亡リスクが21%低いことと関連していました。

また、21~40歳を対象に歩行速度と運動強度を実測した研究では、

1分間約100歩

が中強度、すなわち約3METsの身体活動を判断する実用的な目安になると報告されています。

ただし100歩/分は、年齢や体力に関係なく全員に当てはまる絶対的な数字ではありません。

一般の人には、青栁さんが紹介している

「歌を歌うのは難しいけれど、会話ならできる」

くらいを目安とする方がわかりやすいでしょう。

■最新研究からも「歩数+強度」が見えてきた

さらに、2026年9月に『British Journal of Sports Medicine』に発表された研究では、UK Biobankの参加者を対象に、1日の歩数と歩行強度を組み合わせて死亡リスクとの関係を調べています。

解析対象は64,743人で、歩数だけでなく、その日に歩いた中で最も活動的だった30分間の歩調も評価されました。

興味深いことに、歩数が5000歩未満のグループでも、歩行強度が高いほど全死亡リスクが低い関係がみられました。

また5000~7500歩のグループでも同様の関係が示されています。

つまり最新研究からも、

「たくさん歩く」だけを見るのではなく、「その中で少し速く歩く」という視点

が重要である可能性が見えてきています。

これは中之条研究が長年注目してきた「量+質」という考え方とも重なります。

■では私たちはどう歩けばいい?

ここまでの研究を踏まえると、私は「8000歩・速歩き20分」を厳密なノルマとするより、

1) まず今より歩数を増やす

5000歩の人なら、いきなり8000歩を目指さなくてもいい。

まず5500歩、6000歩と増やしていく。

2) 7000~8000歩は一つの実践的な目標

最新の大規模メタ解析では7000歩程度でも幅広い健康アウトカムとの関連が確認されています。

中之条研究で示されてきた8000歩前後とも大きく離れていません。

3) その中に少し「速歩き」を入れる

全部を速く歩く必要はありません。

通勤、買い物、犬の散歩など、普段の生活の中で、

「歌うのは難しい。でも会話はできる」

くらいの歩きを少し取り入れる。

これなら特別な運動施設も必要ありません。

「歩く」は、とても身近な健康への投資

こうして論文を追っていくと、面白いことがわかります。

研究によって、

「7000歩」

「8000歩」

「中強度20分」

など数字は少しずつ違います。

しかし共通しているメッセージはかなりシンプルです。

・座っている時間を少し減らして歩く。

・そして、その一部を少し速く歩く。

それだけでも健康上のメリットと関連することが、さまざまな研究から見えてきています。

「1万歩歩かなければ運動したことにならない」と考える必要はなさそうです。

まずは今日、

「いつもより少し歩く」

そして余裕があったら、

「そのうち少しだけ速く歩く」

というところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献

Park S, et al. Year-Long Physical Activity and Metabolic Syndrome in Older Japanese Adults: Cross-Sectional Data From the Nakanojo Study. The Journals of Gerontology: Series A. 2008;63(10):1119-1123. 中之条研究では、65~84歳の日本人220人を対象に、1年間の歩数・活動強度とメタボリックシンドロームとの関連を調べています。

Ding D, et al. Daily steps and health outcomes in adults: a systematic review and dose-response meta-analysis. Lancet Public Health. 2025;10(8):e668-e681. 57研究・35コホートを対象とした系統的レビューで、歩数と全死亡、心血管疾患、がん、糖尿病、認知症などとの関連を検討しています。

Brown JC, Harhay MO, Harhay MN. Walking Cadence and Mortality Among Community-Dwelling Older Adults. J Gen Intern Med. 2014;29:1263-1269. 高齢者5000人を対象に、歩行ペースと死亡リスクとの関連を検討しています。

Tudor-Locke C, et al. Walking cadence (steps/min) and intensity in 21–40 year olds: CADENCE-adults. Int J Behav Nutr Phys Act. 2019;16:8. 中強度歩行の実用的な目安として約100歩/分を提示しています。

Wei L, et al. Combinations of stepping intensity and daily step counts against all-cause and cardiovascular disease mortality: insights from a device-based prospective study. Br J Sports Med. 2026. 歩数と歩行強度の組み合わせと死亡リスクとの関連を解析しています。

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人間は「栄養」を食べているわけではない?完全栄養食とNASA宇宙食から考える「食べる」ということ

ハクライドウではこれまで「完全栄養食」について何度も取り上げてきました。

忙しくて食生活が乱れやすい人の栄養補給、高齢者の低栄養、将来の食糧問題などを考えると、必要な栄養素を効率よく摂取できる完全栄養食には大きな可能性があります。

日清食品の完全栄養食について調べた際には、単なる一つの商品ではなく、社員食堂やレストラン、シニアの健康寿命支援、さらには個人に合わせた栄養のパーソナライズへ発展していくロードマップも紹介しました。

ですから、この記事は「完全栄養食はよくない」という話ではありません。

むしろ今回考えてみたいのは、以前から完全栄養食を調べる中で何度も浮かんできた一つの疑問です。

そもそも、人間にとって「食べる」とは何なのでしょうか?

■「栄養さえ摂れれば食事はいらない?」という疑問

2014年から紹介してきた完全栄養食「Soylent(ソイレント)」は、この問題を考えるうえで象徴的な存在でした。

ハクライドウでは、ソイレントだけで30日間生活するという実験を紹介しながら、

「本当に栄養だけがとれればいいのでしょうか?」

と問いかけています。

そこで注目したのは、食事には栄養補給だけではなく、人に喜びを与えたり、人とのコミュニケーションにつながったりする側面もあるということでした。

その後、日清食品のAll-in PASTAを取り上げた記事でも同じ問題について考えています。

必要な栄養を摂るだけなら非常に合理的です。

しかし、人間は食事を香りで楽しみ、見て楽しみ、食べて楽しんでいます。

そこでハクライドウでは、アレンジによって食に変化を持たせられる完全栄養食には、「食の楽しみ」まで考えた可能性があるのではないかと考えていました。

さらに、完全栄養食だけの生活を6年間続けている男性について取り上げた際には、今度は「咀嚼」に注目しました。

液体や粉末から栄養を摂取できたとしても、「噛む」という行為までなくしてしまってよいのだろうか、という問題です。

こうして振り返ってみると、ハクライドウでは完全栄養食を追いかけながら、ずっと同じ問いを別の角度から考えてきたように思います。

■「栄養的に完全であること」と「食事として完全であること」は同じなのだろうか?

きっかけはSNSで見かけた「食事の自動化」

今回この問題を改めて考えるきっかけになったのが、SNSの投稿で話題になった食生活のアイデアでした。

冷凍庫に平日数週間分の食事をストックして、夕食をある程度固定してしまう。

毎日、

「今日の夕飯、何を食べよう?」

と考える必要がありません。

買い物、献立、調理などの負担も小さくできます。

これは非常に合理的です。

特に、健康的な食生活をしたいと思っていても、毎日の忙しさの中でそれを実践することが難しい人にとって、食事をある程度「仕組み化」することには大きなメリットがあります。

ところが、その投稿への反応の中には、

「同じような食事を続けているうちに食べたくなくなった」

「パッケージを見るのも嫌になった」

「同じような柔らかな食感が苦手になった」

といった体験談もありました。

【参考リンク】
Xの投稿1
Xの投稿2

もちろん、SNS上の個人的な体験談から一般化することはできません。

しかし、

なぜメニューが違っていても「同じものを食べ続けている」という感覚になることがあるのだろう?

と考えてみると、とても面白い研究分野につながっていきます。

■同じものを食べていると魅力が下がる「感覚特異的満腹」

食行動研究には「感覚特異的満腹(sensory-specific satiety)」と呼ばれる現象があります。

簡単にいえば、ある食品を食べていくうちに、食べていた食品に対する快さが選択的に低下していく現象です。

重要なのは、

単純に「お腹いっぱいだから何も食べたくない」という現象とは少し違う

ということです。

食べていたものへの魅力は低下していても、違った特徴を持つ食品なら食べたいと感じることがあります。

つまり私たちが食べているのは、単に、

「タンパク質何g」

「炭水化物何g」

「ビタミン何mg」

という栄養素ではありません。

食品から入ってくるさまざまな感覚情報を受け取りながら食事をしています。

■「メニューが違う」だけでは十分ではないのかもしれない

ここで最初のSNSの話が面白くなります。

仮に毎日料理の名前が違っていたとしても、

容器が似ている。

見た目が似ている。

香りが似ている。

温度が似ている。

そして、

食感が似ている。

そうすると、料理の名前としては20種類あったとしても、私たちの感覚にとって本当に20種類の異なる食体験になっているのかは別の問題です。

ここはまだ仮説ですが、「食事の多様性」を考えるときには、メニューの数だけではなく、

味 × 香り × 見た目 × 温度 × 食感

といった「感覚の多様性」を考える必要があるのかもしれません。

サクサク。

パリパリ。

シャキシャキ。

もちもち。

トロトロ。

温かいもの。

冷たいもの。

香ばしいもの。

料理として考えれば当たり前の違いですが、栄養素だけを基準に食事を見ると、こうした違いはほとんど見えなくなってしまいます。

■実はNASAも「食べ続けられる食事」を研究している

この問題をもっと極端な環境で考えると、「宇宙食」に行き着きます。

宇宙では食品の保存性や重量、スペースなど地上とは異なる制約があります。

NASAでは、長期宇宙飛行において限られた食事を繰り返すことが食品の受容性にどのような影響を与えるのか、「menu fatigue(メニュー疲労)」という観点から研究されています。

つまり、

栄養学的に必要なものを用意するだけではなく、人間がそれを食べ続けられるのか

という問題です。

ここが完全栄養食を考えてきたハクライドウにとって非常に興味深いところです。

宇宙食という究極に合理性が求められる食事であっても、結局は「人間が食べる」という問題から逃れられないのです。

■なぜ人間は「いろんなもの」を食べたくなるのだろう?

こう考えてみると、普段は当たり前だと思っている食生活が少し違って見えてきます。

例えば朝食に、

味噌汁。

ご飯。

焼き魚。

漬物。

卵焼き。

が並んでいるとします。

栄養素だけで見れば、それぞれを分解して、

タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル……

と表現できます。

しかし人間が実際に経験している食事は、それだけではありません。

味噌汁を飲む。

魚を噛む。

漬物をポリポリ食べる。

温かいご飯と一緒に味わう。

そこには味も、香りも、温度も、硬さも、音もあります。

そして昨日魚を食べたなら、

「今日は肉にしようかな」

と思う。

単なる「気まぐれ」のように見えます。

でも今回考えてきた感覚特異的満腹や食事の単調性という視点から見ると、

こうした変化を求めること自体が、人間の食行動の興味深い特徴なのではないか

と思えてきます。

■完全栄養食の考え方に問題があるわけではない

ここは強調しておきたいところです。

完全栄養食という考え方そのものが間違っているわけではありません。

ハクライドウでは以前から、完全栄養食には、忙しい人の栄養補給、高齢者の低栄養対策、食糧問題などに活用できる可能性があると考えてきました。

また日清食品のロードマップを見ると、完全栄養食を一種類だけ食べ続けるという発想ではなく、社員食堂、レストラン、小売、シニア支援、個人に合わせた食の提案などへ広げようとしていることがわかります。

むしろ面白いのはその先です。

完全栄養食が発達すればするほど、

「では人間にとって本当に完全な食事とは何だろう?」

という問いが生まれてきます。

■完全なのは「栄養」なのか、それとも「食事」なのか

必要な栄養素をすべて含んでいる。

カロリーもちょうどいい。

タンパク質も十分。

ビタミンやミネラルも計算されている。

これは「栄養」という面では、とても合理的な食事です。

でも人間は、

見る。

嗅ぐ。

味わう。

噛む。

食感を感じる。

温度を感じる。

選ぶ。

誰かと食べる。

そして「おいしい」と感じる。

過去の記事では、これを「食べる楽しみ」「コミュニケーション」「咀嚼」という方向から考えてきました。

今回そこに、

「感覚の多様性」

という視点が加わったのではないでしょうか。

■食生活で本当に大切なのは「続けられること」なのかもしれない

健康情報では、

「○○を食べましょう」

「○○を減らしましょう」

「栄養バランスを整えましょう」

といった話になりがちです。

しかし健康は一回の食事だけで決まるわけではありません。

大切なのは食習慣です。

そう考えると、

栄養的に優れていることと、その食生活を人間が無理なく続けられることの両方

を考える必要があります。

毎日食事について考えなくてよい仕組みは、ある人にとって食生活を続ける助けになります。

一方で、別の人にとっては、

「今日は何を食べよう?」

と選ぶこと自体が食生活を続けるために必要なのかもしれません。

つまり重要なのは、

「食事を効率化すること」が良いか悪いかではなく、どこを効率化し、どこに人間らしい変化を残すのか

なのではないでしょうか。

■まとめ 人間は「栄養」を食べているわけではない

完全栄養食について長く調べてきましたが、今回改めて感じたのは、

人間は「栄養」を食べているのではなく、「食事」を食べている

ということです。

必要な栄養素を摂ることはもちろん大切です。

しかし人間にとっての食事は、

栄養 + 味 + 香り + 見た目 + 食感 + 温度 + 咀嚼 + 選択 + 人とのつながり

のような、非常に複雑な体験なのかもしれません。

完全栄養食は、その中の「栄養」という非常に重要な問題を解決しようとするものです。

だからこそ、その考え方をさらに先へ進めるなら、

どうすれば必要な栄養を摂ることができ、なおかつ人間が「食べたい」と思い続けられるのか?

まで考える必要があるのではないでしょうか。

宇宙食という極端な環境について考えても、完全栄養食について考えても、最後には同じところに戻ってくるように思います。

「人間が食べる」とは、一体どういうことなのか。

もしかすると、本当の意味での「完全な食事」を考えるためには、栄養成分表だけではなく、私たちが食事をどこで、どのように感じているのかまで考える必要があるのかもしれません。

【関連記事】

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完全栄養食だけ生活を6年続けた男性の健康状態とは?
食事が不要になる完全栄養食「ソイレント」とは?
日清の完全栄養食のロードマップとは?
日清のAll-in PASTAは完全栄養食のパスタ!

【参考文献】

Rolls BJ, Rolls ET, Rowe EA, Sweeney K. Sensory specific satiety in man. Physiology & Behavior. 1981;27(1):137-142.
DOI: 10.1016/0031-9384(81)90310-3
→ ある食品を食べた後、その食品の「おいしさ」の評価が、食べていない食品より大きく低下することなどを示した、感覚特異的満腹(sensory-specific satiety)の代表的研究です。
Penn Stateの論文情報

Stribiţcaia E, Evans CEL, Gibbons C, Blundell J, Sarkar A. Food texture influences on satiety: systematic review and meta-analysis. Scientific Reports. 2020;10:12929.
DOI: 10.1038/s41598-020-69504-y
→ 食品の形態・粘度・構造などの「食感」と、空腹感・満腹感・摂食量との関係を検討したシステマティックレビュー/メタ解析です。ただし研究間のばらつきが大きく、著者らも慎重な解釈が必要としています。
PubMed

NASA. How Does Spaceflight Change Food Appeal? 2021.
→ NASAが長期宇宙飛行における「menu fatigue」を研究していることを紹介しています。食べ物の受容性には、見た目、風味、食感、香りなど複数の要素が関係し、NASAは長期ミッション中の食事の受容性を調査しています。
NASAの記事

Douglas GL, Oswald T, Bell ST, Young M. Food Acceptability, Menu Fatigue, and Aversion During the SIRIUS-21 Analog Mission. NASA Technical Reports Server.
→ SIRIUS-21という8か月間のアナログミッションで、繰り返し食品を食べることによる受容性やmenu fatigueなどを調べた研究です。
NASA Technical Reports Server

Douglas GL, Bell ST, Roma PG, Oswald T, Young M. Food acceptability and selection by astronauts on International Space Station missions informs strategies and risks for deep space exploration. Frontiers in Psychology. 2025;16.
DOI: 10.3389/fpsyg.2025.1562044
→ ISSの宇宙飛行士15人を対象に、約6か月および1年間のミッションで食品の受容性を調査した研究です。興味深いことに、食品の受容性スコア自体はミッション中に低下せず、宇宙飛行士は早い段階から自分の好みの食品を選んでいました。個人の好みや食事の多様性を考えるうえで重要な研究です。
Frontiers掲載論文







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薬丸裕英さん、1年2か月禁酒しても脂肪肝・LDLコレステロール・総コレステロールが正常値にならず|肝臓を悪くするのはお酒だけじゃない?

薬丸裕英さんは、血液検査の数値をすべて正常にすることを目標に、1年2か月にわたって禁酒を続けているそうです。

しかし、2026年10月6日に報じられた内容によれば、還暦の誕生日までにすべての数値を正常にするという目標は達成できず、「LDLと総コレステロールと脂肪肝」の3つが正常値ではなかったと明かしています。

1年以上も禁酒を続けているのに、なぜ脂肪肝のままなのでしょうか?

ポイントになるのは、脂肪肝の原因はお酒だけとは限らないという点です。

■薬丸裕英さん、2021年には中性脂肪が415mg/dL

実は薬丸裕英さんは、以前にも血液検査の数値について明かしています。

2021年には、人間ドックで中性脂肪値が高かったことをきっかけに食事制限を始めたそうです。

当時のブログによれば、妻が脂質を抑えたメニューを考えるなど食事を工夫し、中性脂肪値が415mg/dLから196mg/dLまで減少したと紹介されています。

つまり薬丸裕英さんの場合、

2021年 「中性脂肪値が高い」 → 食生活を工夫 → 415mg/dLから196mg/dLへ

そして、

2026年 血液検査の数値正常化を目指して1年2か月禁酒 → それでも「LDL・総コレステロール・脂肪肝」が正常値ではなかった

という経緯になります。

ここで注意したいのは、「中性脂肪」と「LDLコレステロール」はどちらも脂質に関係する検査項目ですが、同じものではないということです。

以前、中性脂肪の数値が下がったからといって、その後LDLコレステロールなども同じような変化をするとは限りません。

■脂肪肝というと「お酒」が原因だと思っていませんか?

「脂肪肝」と聞くと、

「お酒をたくさん飲む人がなる病気」

というイメージを持っている方もいるかもしれません。

しかし、脂肪肝はお酒だけが原因ではありません。

ハクライドウでも以前、「肝臓を悪くするのはお酒だけじゃない!甘い飲み物も摂りすぎると脂肪肝の原因になる!」という記事で取り上げています。

今回の薬丸裕英さんについても、脂肪肝の原因が何なのかはニュース内容だけでは分かりませんが、「禁酒をしたのだから脂肪肝も必ず正常になる」と単純には考えられないことは覚えておきたいですね。

■お酒を飲まない人でも脂肪肝になることがある

ハクライドウでは、過去に「お酒を飲まない20代男性のALTが高値で脂肪肝の理由は毎日水代わりにコーラやカフェオレを飲んでいたことにあった!」というケースを紹介しています。

このケースの興味深いところは、「お酒を飲まない」という点です。

脂肪肝を考える場合には、飲酒の有無だけを見るのではなく、普段何を食べたり飲んだりしているのかという視点も重要になります。

脂肪肝の人は水を飲まない人が多い傾向にあるそうなので、何を飲んでいるかを見直しましょう。

■甘いものの食べ過ぎと脂肪肝

例えば名取裕子さんも、過去に肝臓の数値について取り上げられています。

「名取裕子さん、肝臓の数値が悪くて4キロダイエットしたら正常値に!原因は甘いものの食べ過ぎ!」では、甘いものの食べ過ぎと肝臓の数値について紹介しました。

また、NHK「あさイチ」で紹介された内容をまとめた「女性が注意したい脂肪肝の原因(甘いものの食べ過ぎ)」でも、甘いものと脂肪肝について取り上げています。

さらに、ハクライドウでは「甘いものを食べるなら日中を選ぶと脂肪肝や高脂血症などのメタボになりにくい!|名古屋大学」という研究についても紹介しています。

こうした例を見ていくと、脂肪肝を予防・改善することを考える際には、「お酒を飲むか飲まないか」という一つの生活習慣だけではなく、食生活全体を見ることが大切だと考えられます。

■脂肪肝では「体重」にも注目

もう一つ注目したいのが体重です。

ハクライドウでは以前、「ななまがりの初瀬悠太さん、健康診断で『肝臓に脂肪肝』が発覚!間食をやめて7kgダイエット」という記事を紹介しました。

先ほど紹介した名取裕子さんのケースでも、4キロ減量した後に肝臓の数値が正常値になったことが紹介されています。

もちろん、「体重を減らせば誰でも脂肪肝が改善する」という意味ではありません。

ただ、脂肪肝について考える際には、飲酒だけを見るのではなく、

・食事
・甘いものや甘い飲み物
・間食
・体重
・運動
・飲酒

など、自分の生活習慣を総合的に振り返ることが大切なのではないでしょうか。

■「一つの健康法ですべての数値が正常になる」とは限らない

今回の薬丸裕英さんのエピソードで興味深いのは、健康診断の数値を改善するために、実際に生活習慣を変えていることです。

2021年には中性脂肪値が高かったことから食生活を見直し、今回は血液検査の数値正常化を目標に1年2か月禁酒しています。

それでも今回、「LDL・総コレステロール・脂肪肝」が正常値ではなかったことを明かしています。

ここから私たちが参考にしたいのは、

「一つの健康法だけですべての検査値を改善しようと考えない」

ということではないでしょうか。

中性脂肪、LDLコレステロール、肝臓の状態など、それぞれを確認しながら、食事・運動・体重・飲酒など生活習慣全体を見直していくことが大切です。

健康診断で数値に変化があったときには、「お酒をやめたから大丈夫」「食事を変えたから大丈夫」と一つだけで判断せず、検査結果をもとに必要に応じて医師と相談しながら、自分に合った改善方法を考えていきたいですね。

→ 脂肪肝を治す方法 について詳しくはこちら

【参考リンク】

薬丸裕英 60歳、数値正常化を目指して1年2か月 禁酒を続けるも友人から“まさか”の指摘(2026年10月6日、日テレニュース)

薬丸裕英、妻のおかげで減少した数値「色々なメニューを考えてくれました」(2021年11月19日、ABEMA)







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広瀬アリスさんが摂食障害(過食嘔吐)の経験を告白!「痩せるために食べない」ダイエットについて考える

2026年10月4日放送の日本テレビ系「おしゃれクリップ」で、広瀬アリスさんが10代後半から20代前半に摂食障害を経験していたことを明かしました。

広瀬さんは、もともとスポーツをしていてしっかり食べる生活をしていたものの、芸能界に入り体重管理を意識するようになったと振り返っています。

撮影に向けて体重を落としても、その反動で食べ過ぎて体重が戻る。それを繰り返すうちに摂食障害となり、自身は「過食嘔吐だった」と語っています。

また、現在についても、完全に治ったとは感じておらず、食べたいという感情と今も向き合う瞬間があることを明かしました。

■「痩せるために食べない」という考え方の難しさ

今回の話で考えさせられるのは、単に「食べ過ぎてしまった」という話ではないことです。

広瀬さんが振り返っているのは、

体重を落とす → 反動で食べ過ぎる → また体重を落とそうとする

という繰り返しです。

「痩せたいのだから、食べる量を減らせばいい」

一見すると、とても単純なことのように思えます。

しかし、体重を減らすことへの意識が強くなり、食事を制限することと、その反動で食べてしまうことを繰り返すようになると、「食べる」という本来私たちの体を支える行為そのものが、大きな苦しみにつながってしまうことがあります。

広瀬さん自身も、撮影に向けて体重を落とした後に反動で食べ過ぎ、体重が戻るということを繰り返した末に摂食障害になったと振り返っています。

■過去の「さつまいもダイエット」の発言を、今どう読むか

以前、広瀬アリスさんはXで「体重を絞りたい」という人への返信の中で、朝ごはんと間食をさつまいもにすることや、水を1日1.5リットル飲むことを紹介していました。

その一方で、「激痩せするよとは言ってない」「人によっては痩せるというより体が軽くなったり睡眠の質が良くなったり、そういう変化が先に来たりもする」「ダイエットは積み重ね、継続で結果は出るもの」という趣旨の発言もしていました。

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今回明かされた経験と過去のXでの発言を直接結びつけることはできません。

ただ、今回の告白を知った上で改めて過去の発言を読み返してみると、「激痩せ」を強調するのではなく、継続することや体に現れる変化にも目を向けていた言葉が印象に残ります。

■摂食障害は「意志が弱い」「食べ方がおかしい」という単純な問題ではない

広瀬アリスさんだけでなく、これまでにも摂食障害を経験したことを公表している著名人がいます。

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また、体づくりや体重管理がパフォーマンスにも関係するスポーツの世界でも、食事や体重との関係に悩んだ経験を公表しているアスリートがいます。

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こうした話を「芸能人やアスリートの特殊な問題」として捉えるだけではなく、私たち自身の「痩せること」や「食べること」に対する考え方を振り返るきっかけにしてもよいのではないでしょうか。

私たちは日常的に、SNSや広告、テレビなどを通して、さまざまな体型やダイエットに関する情報に触れています。

ハクライドウでも、これまで「やせることへのプレッシャー」や体重を気にする背景について取り上げてきました。

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■まとめ:「何kg痩せるか」だけを健康のものさしにしない

体重計の数字だけが、健康の目標になっていませんか?

「もう少し痩せたい」と思うこと自体は、決して珍しいことではありません。

ただ、体重の数字ばかりを気にするようになると、いつの間にか「食べないこと」を良いことだと考えたり、「食べてしまった自分」を責めたりしてしまうこともあります。

食事は、体重をコントロールするためだけのものではありません。

私たちが毎日活動するためのエネルギーや栄養をとり、体をつくり、日々の生活を支える大切なものです。

だからこそ、

「何kg痩せるか」だけを健康のものさしにしない。

ちゃんと食べられているか。

ちゃんと眠れているか。

元気に日常生活を送れているか。

食べることが自分にとって大きな苦しみになっていないか。

そんな視点から自分の体と食生活を振り返ることも、大切なのではないでしょうか。

そして、食べることや体重への不安が強くなり、自分だけではどうにもできないと感じている場合には、「意志が弱いから」と自分を責めるのではなく、医療機関などの専門家に相談することも大切です。







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

この街には、生活・料理・健康についての記事が、
同じ考え方のもとで並んでいます。

ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

この街では、
「何を食べるか」よりも
「どうやって暮らしの中で調整してきたか」を大切にしています。

もし、

なぜこういう考え方になるのか

他の記事はどんな視点で書かれているのか

この話が、全体の中でどこに位置づくのか

が少しでも気になったら、
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▶ はじめての方は
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 気になったときに、いつでも戻ってきてください。

この考え方の全体像(意味のハブ)

この記事で触れた内容は、以下の概念記事の一部として位置づけられています。

▶ 料理から見る健康

この街の考え方について

この記事は、
「人の生活を、断定せず、文脈ごと残す」
という この街の憲法 に基づいて書かれています。

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心血管疾患リスクがある人は「まるごとの果物」を食べる頻度が低い?米国37万人を調査

アメリカの約37万1000人の成人を対象にした2019年の大規模電話調査(BRFSS)のデータを使って、「まるごとの果物(生・冷凍・乾燥・缶詰など)」をどれくらいの頻度で食べているかと「100%フルーツジュース」をどれくらいの頻度で飲んでいるか を調べ、高血圧・高コレステロール・心臓発作・冠動脈疾患・脳卒中などの「心血管疾患(心臓や血管の病気)やそのリスクがある人」と「ない人」で違いがあるかを比較しました。

アメリカの食事ガイドラインでは「1日2カップ相当の果物」を推奨していますが、約80%の人が目標を達成できていません。

まるごとの果物とジュースはどちらも「果物」としてカウントされますが、食物繊維の量などが違うため、健康への影響が異なる可能性があります。

■主な結果

●全体の平均摂取頻度

・まるごとの果物:1日約1.06~1.07回
・100%果汁ジュース:1日約0.3回
(「何回食べた・飲んだか」の頻度で、量そのものではありません)

●まるごとの果物

・高血圧・高コレステロール・心臓発作・冠動脈疾患・脳卒中のある人は、ない人に比べて摂取頻度が低かった。
・年齢・教育・収入・喫煙などの影響を調整しても、多くの項目でこの傾向が残りました。

●100%果汁ジュース

・結果はまちまちでした。
・調整前は一部の疾患がある人で多め、調整後は「高コレステロールの人は少なめ」「心臓発作の経験がある人は多め」など、一貫した傾向は弱くなりました。

違いは統計的に有意でしたが、差自体は小さいものでした。

■注意点(この研究の限界)

・一度きりの「断面調査」なので、「果物をあまり食べないから病気になった」のか、「病気になってから果物を控えるようになった」のかはわかりません(因果関係は証明できません)。
・摂取「頻度」だけで「量」は測っていません。
・自己申告のデータなので、誤った報告の可能性もあります。
・運動や体重など、他の生活習慣は十分に調整されていません。

■まとめ

高血圧や高コレステロール、心臓発作、冠動脈疾患、脳卒中を自己申告した人では、そうでない人に比べて、まるごとの果物を食べる頻度が低い傾向がみられました。

一方、100%果汁ジュースについては、心血管疾患やそのリスクとの間に一貫した傾向はみられませんでした。

ただし、この研究は一時点の食習慣と健康状態を調べた断面研究です。

そのため、「果物を食べる頻度が少ないことが心血管疾患の原因になった」とは結論づけられません。

まるごとの果物は食物繊維、カリウム、ビタミンCなどを摂ることができます。

毎日の食生活では、ジュースだけに偏らず、りんごやバナナ、ベリー類など、まるごとの果物を取り入れることを意識してみるのもよさそうです。

【参考文献】

Kesler BJ, Hess JM, Bodensteiner A, Palmer DG, Tande D. Examining the Differences in Frequency of Whole Fruit or 100% Fruit Juice Intake among United States Adults With and Without Cardiovascular Disease Risk Factors: Analysis of 2019 Behavioral Risk Factor Surveillance System Data. Current Developments in Nutrition. 2026;10(9):109517.

【補足】

AHEI(代替健康食指数)とは?積極的に食べるべき食品と控えるべき食品

●果物(Fruits)
推奨:1日4回以上(1回=中サイズの果物1個や1/2カップ)。
例:リンゴ、バナナ、ベリー類、オレンジ、キウイなど。
コツ: 朝食や間食に、まるごとの果物を取り入れるのも一つの方法です。ジュースや缶詰を選ぶときは、100%果汁か、加糖されているかなど食品表示も確認しましょう。







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