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慢性腎臓病(CKD)は検査による早期発見と生活習慣改善が予防のカギ

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【目次】

■CKDの定義とは

Framed Embroidery Kidney Anatomy Art. Hand Embroidered.

by Hey Paul Studios(画像:Creative Commons)

慢性腎臓病 生活習慣改善で予防 健診で早期発見、進行を抑制

(2016/2/1、毎日新聞)

CKDの定義は(1)尿や血液検査、画像診断で腎障害の存在が明らか。特に尿蛋白(たんぱく)の存在が重要(2)腎臓の働きを表す、糸球体濾過(ろか)量が60ミリリットル/分/1・73平方メートル未満。(1)(2)のいずれか、または両方が3カ月以上持続する状態です。

慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とは、簡単に言うと、腎臓の機能が60%未満に低下することを言います。

国民のほぼ1割、1,300万人の腎機能が60%以下に低下していると言われ、慢性腎臓病は、“新たな国民病”として注目されています。

腎臓の機能が低下し、血液中の水分や老廃物のろ過機能が低下してしまい、症状が悪化すると、人工透析が必要となります。

米国腎臓財団が提唱したCKDの定義は次の通り。

(1)尿や血液検査、画像診断で腎障害の存在が明らか。特に尿蛋白(たんぱく)の存在が重要

(2)腎臓の働きを表す、糸球体濾過(ろか)量が60ミリリットル/分/1・73平方メートル未満。

(1)(2)のいずれか、または両方が3カ月以上持続する状態を慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)と定義するそうです。

■なぜ生活習慣病で腎機能が低下するの?

慢性腎臓病 生活習慣改善で予防 健診で早期発見、進行を抑制

(2016/2/1、毎日新聞)

腎臓の機能は体内の老廃物をろ過して尿を作ることです。ろ過機能を担当しているのが糸球体と呼ばれる毛細血管の塊です。成人では片方の腎臓に約100万個、左右で200万個もあるとされています。CKDは糸球体が障害を受けることが大きな原因となっています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病に共通しているのは動脈硬化を起こすことです。糸球体の毛細血管の動脈硬化が、腎機能低下の一因となります。

メタボを放っておくと、慢性腎臓病になる恐れがあるそうです。

メタボ→高血圧高血糖動脈硬化→糸球体のろ過機能低下→腎臓機能低下

メタボリックシンドロームになると、高血圧、高血糖などが原因で全身の血管が動脈硬化を起こします。

腎臓の血管でも動脈硬化が起こり、腎臓にある糸球体(血液をろ過する腎臓の血管)が動脈硬化を起こすことで、濾過する能力が低下します。

その結果、腎機能の低下が起こります。

そして、生活習慣を改善することなくそのままの生活を続けてしまうと、さらに腎臓機能が低下して、老廃物が血管の内皮細胞を傷つけることによって、慢性腎臓病から慢性腎不全・脳卒中心筋梗塞を引き起こす可能性があります。

→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら




■CKDを早期発見するには

CKDかどうかは尿検査と血液検査で知ることができます。

尿タンパク検査

糸球体のろ過機能に異常があるかどうかを調べる「尿検査」では、主に尿にたんぱくが混じっているかどうかを調べます。

尿に蛋白が混じっているということは、毒素や老廃物をろ過する糸球体がうまく機能していない、つまり腎臓の機能が低下しているということが考えられます。

血清クレアチニン検査

「クレアチニン検査」とは、腎臓のろ過機能がどれくらい残っているかがわかる検査です。

クレアチニンとは、筋肉中のたんぱく質が代謝された時に発生する老廃物で、腎臓のろ過機能を示す指標です。

CKDは早期では症状がないため、定期的に検査を受けることが重要になります。

→ 腎臓の数値|クレアチニン・eGFR について詳しくはこちら

■CKDの治療

CKDは前述しましたように一つの病気ではありませんので、腎機能を低下させている原因を明らかにして、治療していきます。腎臓のろ過能力によって重症度が5段階のステージに分けられます。さらに、尿蛋白量によって重症度が変わります。例えば、糖尿病が原因のCKDで早期であれば、血糖値のコントロールを第一に行い、進行を抑えるようにします。ステージが進行すれば腎臓の機能低下に伴う合併症の治療を行います。末期腎不全になれば透析療法や腎移植が必要な状態となります。

CKDは原因となる病気を問わず慢性的に腎臓の機能が60%未満に低下した状態を指しているため、治療に当たっては、腎機能低下の原因を明らかにすることがまずは重要です。

糖尿病が原因で腎機能が低下している場合には、血糖値のコントロールを行ない、そのうえで、腎機能の低下を抑えるように治療していくそうです。

腎臓のろ過能力によって重症度が5段階のステージに分けられており、それぞれのステージに合わせた治療を行なっていくようです。

−末期腎不全になってしまったら。
◆透析療法か腎移植が必要になります。透析療法には腹膜透析と血液透析があります。
<中略>
腎移植に関しては、近年症例数もかなり増加してきています。安全で、効果的な免疫抑制薬の開発や移植医の努力のたまものだと思っています。

糖尿病や腎炎、高血圧などで腎臓の働きが低下すると、血液中の老廃物や余分な水分を尿として体外に排出しにくくなります。

放置すれば生命の危険もあり、健康時の1割程度になると、腎臓の働きを代行する人工透析が必要になります。

人工透析は身体的にも、経済的にも、時間的にも、患者に負担がかかってきます。

できるだけ人工透析を避けられるように生活習慣を改善していきたいですね。

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■CKDにならないようにするためには

健康診断受診者のデータから10年間で軽度のCKDになってしまうリスクは加齢、血尿、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満と喫煙です。

CKDのリスク要因は、加齢、血尿、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満と喫煙なのだそうです。

そのため、カロリーや脂質を摂り過ぎないバランスのとれた食事や運動、ダイエット(肥満解消)、塩分少なめの食事、水分補給、禁煙が重要です。

特に注意しなければいけないのは糖尿病です。透析療法が必要となる原因の第一位は糖尿病です。さらに、高血圧が合併しているとより危険度が増します。

糖尿病の人は、高血圧になる可能性が高いともいわれます。

それは、糖尿病と高血圧の危険因子が同じだからだと考えられています。

その他にも、高脂血症脂質異常症ともリスク要因が重なる部分が多いため、注意が必要です。

→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら







【参考リンク】
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腎臓病にならないための<8つのゴールデンルール>とは?

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■腎臓病にならないための<8つのゴールデンルール>

behind the eight ball

by Ed Schipul(画像:Creative Commons)

慢性腎臓病 生活習慣改善で予防 健診で早期発見、進行を抑制

(2016/2/1、毎日新聞)

腎臓病にならないための

 <8つのゴールデンルール>

(1)適度な運動をして健康でいよう

(2)血糖値をコントロールしよう

(3)血圧を測りましょう

(4)健康的な食事で、適正体重を維持しましょう

(5)水分の補給を心がけましょう

(6)禁煙しましょう

(7)薬の飲み方には注意が必要です(成分にイブプロフェンが含まれている鎮痛剤や解熱剤などを常用しない)

(8)糖尿病、高血圧、肥満の人や、腎臓病の親族がいる人は腎機能をチェックしてもらいましょう

「世界腎臓デーホームページ」より

CKDのリスク要因は、加齢、血尿、高血圧糖尿病脂質異常症肥満、喫煙です。

そのため、カロリーや脂質を摂り過ぎないバランスのとれた食事や運動、ダイエット(肥満解消)、塩分少なめの食事、水分補給、禁煙が重要です。

特に、糖尿病の人は注意が必要です。

また、糖尿病の人は、高血圧になる可能性が高いともいわれます。

それは、糖尿病と高血圧の危険因子が同じだからだと考えられています。

血糖値のコントロールや血圧測定を行なって、腎臓病にならないようにしましょう。




■慢性腎臓病とは

慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とは、簡単に言うと、腎臓の機能が60%未満に低下することを言います。

国民のほぼ1割、1,300万人の腎機能が60%以下に低下していると言われ、慢性腎臓病は、“新たな国民病”として注目されています。

腎臓の機能が低下し、血液中の水分や老廃物のろ過機能が低下してしまい、症状が悪化すると、人工透析が必要となります。

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透析治療が長くなると寝たきり・フレイルになる頻度が高くなる!その理由とは?仮説を考えてみた!

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フレイル・寝たきりと透析期間フレイル・寝たきりと透析期間
フレイル・寝たきりと透析期間

透析の治療期間とフレイルの関連を発⾒(2024/6/20、新潟大学、福島県立医科大学、九州医療科学大学、日本大学)によれば、糖尿病や高血圧などによって慢性腎臓病が進行すると透析治療が必要になりますが、透析患者の透析期間が長期になるほど、寝たきりや筋力などの低下により身体機能が衰えるフレイルの頻度が高くなることが示されました。

なぜ透析治療期間が長くなると寝たきりやフレイルの頻度が高くなるのでしょうか?

その前に腎臓について、透析治療について、慢性腎臓病について、フレイルについて簡単にまとめます。

■腎臓は臓器同士が連携するネットワークの要

腎臓は『肝腎連関』『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャルで紹介した京都大学大学院医学研究科の柳田素子教授によれば、腎臓は、腎臓が悪くなると、他の臓器も悪くなり、他の臓器が病気になると、腎臓も悪くなるというように『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要となっているそうです。

以前、「腸腎連関」|腸内細菌叢のバランスをコントロールすることが慢性腎臓病の悪化を抑制するカギにによれば、腸管は腎臓と相互に影響を及ぼしているという「腸腎連関」の存在が近年明らかになりつつあることを紹介しました。

急性腎障害(AKI:acute kidney injury)に起因する遠隔臓器障害
急性腎障害(AKI:acute kidney injury)に起因する遠隔臓器障害

参考画像:急性腎障害と肺|Jstage|スクリーンショット

「健康長寿のカギは腎臓にあり」――“地味な臓器”の真価とは

(2017/9/30、取材・文=NHKスペシャル「人体」取材班/編集=Yahoo!ニュース 特集編集部)

実際、心筋梗塞、脳卒中、高血圧、COPD(慢性閉塞性肺疾患)など、よく知られたさまざまな病気を悪化させる背景に、慢性腎臓病があることがわかってきた。

急性腎障害の早い段階で、酸化ストレスの抵抗性を高める薬を飲むことにより、慢性腎臓病の進行を抑制できる|東北大学によれば、急性心不全や手術(血管手術・腎移植)、細菌感染・敗血症、大出血により腎臓へ流れる血流が不安定になると、酸化ストレスが生まれ、急性腎障害(AKI:acute kidney injury)を起こします。

急性腎障害は、高血圧糖尿病などの慢性疾患を伴う場合に、徐々に進行し、慢性腎臓病になります。

→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら

心筋梗塞脳卒中高血圧COPDなどの病気を悪化させる背景に、慢性腎臓病があるということですので、腎臓は健康を守るためのカギとなる臓器なんですね。

■透析治療の現状

透析人口は32万448人|糖尿病腎症・慢性糸球体腎炎で全体の7割を占める|日本透析医学会

日本透析医学会によれば、2014年末現在の日本の透析人口は32万448人で、このうち透析の原因となる病気は糖尿病腎症が11万8,081人と最も多く、その次に慢性糸球体腎炎が9万6,970人と続き、糖尿病腎症と慢性糸球体腎炎の2つの疾患で透析人口の全体の7割を占める結果となっています。

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参考画像:糖尿病・人工透析の現状(PDF)|厚生労働省

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参考画像:糖尿病・人工透析の現状(PDF)|厚生労働省

人工透析減らせ、予備軍2500人を5年間徹底指導|厚生労働省によれば、糖尿病や腎炎、高血圧などで腎臓の働きが低下すると、血液中の老廃物や余分な水分を尿として体外に排出しにくくなります。

そのまま放置すれば生命の危険もあるため、健康時の1割程度になると、腎臓の働きを代行する人工透析が必要になります。

■成人の8人に1人の新国民病「慢性腎臓病」

【主治医が見つかる診療所】新国民病!慢性腎臓病|高血圧が慢性腎臓病の引き金になる!によれば、慢性腎臓病とは、慢性的にかかる腎臓病の総称のことで、糖尿病の合併症の一つである糖尿病性腎症や慢性糸球体腎炎(IgA腎症)、腎硬化症、膜性腎症など様々な病気が含まれています。

慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とは、簡単に言うと、腎臓の機能が60%未満に低下することを言います。

腎臓の機能が低下し、血液中の水分や老廃物のろ過機能が低下してしまい、症状が悪化すると、人工透析が必要となります。

慢性腎臓病は、自覚症状がほとんどなく、気付いた時には重症化してしまい、「サイレントキラー」とも呼ばれています。

慢性腎臓病の患者数は推定1330万人で、日本人の成人の実に8人に1人が患っていることから新国民病の一つともなっています。

慢性腎臓病を発症すると人工透析が必要になってしまうケースもあり、重症化する前に発見することが重要です。

慢性腎臓病の食事療法|東京女子医科大学病院によれば、慢性腎臓病では淡白制限が必要であり、日本腎臓学会のガイドラインでは、標準体重当たり0.6~0.7g/日が推奨されています。

たんぱく制限が必要な理由としては、腎機能が低下すると子宮体の呂か機能が落ちてきてしまうと考えられるため、その負担を軽減するためにたんぱく質制限を行ないます。

→ 慢性腎臓病 について詳しくはこちら

■フレイルとは?

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!|厚生労働省によれば、「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態で、厚生労働省によれば、多くの高齢者が中間的な段階(フレイル)を経て、徐々に要介護状態に陥るそうです。

たんぱく質摂取と骨格筋|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、最近のコホート調査でも、たんぱく質摂取量が少ないことは3年後の筋力の低下と関連し、さらに高齢女性の3年間の観察で、たんぱく質摂取量が少ないとフレイルティの出現のリスクが増加することが確認されているそうです。

また、日本人の高齢女性の横断研究でもフレイルティの存在とたんぱく質摂取量との関連が明らかにされています。

■まとめ

なぜ透析治療期間が長くなると寝たきりやフレイルの頻度が高くなるのでしょうか?

たんぱく質の質と腎臓との関係によれば、

たんぱく質制限は CKD 患者に有益である一方,低栄養リスクの諸刃の剣でもある

とあります。

一つ考えられるのが透析治療と直接寝たきりやフレイルと関連しているのではなく、慢性腎臓病患者に行われるたんぱく制限が低栄養リスクを高めてしまい、それが寝たきりやフレイルの頻度を高くしている原因ではないかということ。

また、腎臓は臓器同士のネットワークの要であり、腎臓の機能が低下することによって、体の様々な臓器の機能も低下し、そのことがフレイルリスクを高める要因の一つになっているのではないでしょうか?

つまり、慢性腎臓病患者にとってはたんぱく質制限は有効ではあっても、その他の機能を低下させてしまう恐れもあるわけですから、総合的に見て治療を行っていく必要があるわけですね。







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インドや中米で慢性腎臓病が増加している!?|猛暑の中の農作業による熱ストレスや脱水症状が原因か?

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■インドや中米で慢性腎臓病が増加している!?|猛暑の中の農作業による熱ストレスや脱水症状が原因か?

Cultivation

by Diganta Talukdar(画像:Creative Commons)

写真ルポ:高温地域で新要因による腎臓病が増加 インドや中米で慢性腎臓病に苦しむ人々が増えている

(2016/6/7、ナショナルジオグラフィック)

先進国の場合、慢性腎臓病を引き起こす原因は糖尿病や高血圧であることが多い。ところが、中米ニカラグアやインドの農民に見られる腎臓病には、別の要因があるようだ。そのため研究者たちは、これらの地域に見られる腎臓病を「非伝統的原因による慢性腎臓病」(CKDnT)と呼ぶ。CKDnTの原因にはまだ不明な点もあるが、熱ストレスや脱水症状に繰り返し陥ることが原因で発症している可能性が高い。

慢性腎臓病(chronic kidney disease;CKD)とは、簡単に言うと、腎臓の機能が60%未満に低下することを言います。

先進国の場合では、慢性腎臓病というのは、高血糖高血圧が原因で、腎臓の血管で動脈硬化が起こり、腎機能の低下(腎臓にある糸球体による濾過する能力が低下)することによって起こりますが、中米ニカラグアやインドでは別の要因で慢性腎臓病になっているそうです。

その腎臓病のことを「非伝統的原因による慢性腎臓病(CKDnT)」と呼び、はっきりとした原因はわかっていませんが、その原因の一つには猛暑の中の農作業による熱ストレスや脱水症状が考えられているそうです。

なぜ熱ストレスや脱水症状が慢性腎臓病の原因になると考えられるのでしょうか?

夏の疲れと腎臓

(2013/9/8、健康カプセル ゲンキの時間)

体内の水分量が減ると腎臓に流れる血液量も減少し、さらに老廃物をうまく排泄できなくなるため腎臓に障害を与える可能性があるんだとか。

<中略>

また“汗をかくこと”も脱水状態を引き起こす原因となり、尿が濃くなって腎臓の中で「シュウ酸」と「カルシウム」が結合し尿路結石ができやすくなるんだとか。

<中略>

さらに、このようなダメージを「腎臓」が受け続けると、体の中の毒素を出せなくなり慢性腎臓病に陥ることも。

猛暑の中で水分補給も行わずに長時間働くことは、体内の水分量が減って、脱水状態になり、腎臓に流れる血液量が減少し、老廃物を排泄できなくなるため、腎臓に傷害を与える可能性があり、そのようなダメージを繰り返し受け続けることで、慢性腎臓病に陥ると考えられます。

→ 慢性腎臓病(CKD)の症状・原因 について詳しくはこちら







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大阪医大・近畿大、骨粗しょう症が進むと生じやすい「大腿骨骨折」は西日本が高い|【仮説】西日本では血液透析患者が多いため大腿骨を骨折する人が多い?

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■骨粗しょう症が進むと生じやすい「大腿骨骨折」は西日本が高い|大阪医大・近畿大

大腿骨骨折 西日本で高率 地域差最大2倍 食習慣影響か 近大などまとめ

(2017/10/3、毎日新聞)

骨の密度が下がる病気「骨粗しょう症」が進むと生じやすい「大腿(だいたい)骨骨折」の人口10万人当たりの発生率を都道府県別に集計すると、中部から九州にかけての西日本で高かったとの調査結果を、大阪医大や近畿大の研究グループがまとめた。地域差は最大で2倍程度。食習慣の違いが影響している可能性があるといい、研究グループは要因分析を進める。

先日黒柳徹子さんが自身のインスタグラムで大腿骨を骨折していたことを明かしていましたが、大阪医大や近畿大の研究グループの調査結果によれば、骨粗しょう症が進むと生じやすい「大腿骨骨折」が西日本が高いということがわかったそうです。

今回の研究によれば、食習慣の違いが影響しているのではないかとのことでしたが、その他に原因となるものはないのでしょうか?

■西日本では血液透析患者が多いため、大腿骨骨折する人が多いのではないか?

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by Phalinn Ooi(画像:Creative Commons)

例えば、日本透析医学会が発表している血液透析患者の大腿骨頸部骨折発症率の地域分布と一般住民と比較した血液透析患者の大腿骨頚部骨折発症率を見ると、次のような結果が出ています。

わが国の血液透析患者における大腿骨頸部骨折発症の地域分布|日本透析医学会

血液透析患者の標準化大腿骨頸部骨折発症率比は、男性0.71 ~ 1.29、女性0.49 ~ 1.36と地域により大きく異なり、男女とも、西日本で標準化骨折発症率比は高く、東日本で低いという一般住民と同様の地域分布を認めた。

一般住民と比較した血液透析患者の大腿骨頚部骨折発症率|日本透析医学会

血液透析患者の大腿骨頚部骨折発症率は、千人年あたり男性7.57、女性17.43と、一般住民と比べて男性は6.2倍(95%信頼区間5.7-6.8)、女性は4.9倍(4.6-5.3)高い。

【参考リンク】

  • Wakasugi M, Kazama JJ, Taniguchi M, Wada A, Iseki K, Tsubakihara Y, Narita I. Increased risk of hip fracture among Japanese hemodialysis patients. J Bone Miner Metab. 2013 May;31(3):315-21. doi: 10.1007/s00774-012-0411-z. Epub 2013 Jan 6.
  • この結果を単純にまとめると、血液透析患者は大腿骨頸部骨折発症リスクが高く、血液透析患者の大腿骨頸部骨折発症率は西日本が多い、となります。

    このデータを参考にすると、こういう仮説は立てられないでしょうか?

    「西日本では血液透析患者が多いため、大腿骨骨折する人が多いのではないか?」

    透析人口は32万448人|糖尿病腎症・慢性糸球体腎炎で全体の7割を占める|日本透析医学会によれば、2014年末現在の日本の透析人口は32万448人で、このうち透析の原因となる病気は糖尿病腎症が11万8,081人と最も多く、その次に慢性糸球体腎炎が9万6,970人と続き、糖尿病腎症と慢性糸球体腎炎の2つの疾患で透析人口の全体の7割を占める結果となっています。

    都道府県別糖尿病の総患者数|都道府県別糖尿病腎症患者数|都道府県別新規透析導入患者数、そのうち糖尿病腎症による新規透析導入患者数の割合
    都道府県別糖尿病の総患者数|都道府県別糖尿病腎症患者数|都道府県別新規透析導入患者数、そのうち糖尿病腎症による新規透析導入患者数の割合

    参考画像:疾病と食事、地域の関係をみる|厚生労働省スクリーンショット

    都道府県別糖尿病腎症患者数(人口10万対)や 都道府県別新規透析導入患者数(人口10万対)そのうち糖尿病腎症による新規透析導入患者数の割合をみると、西日本の地域が上位を占めています。

    → 糖尿病腎症とは|糖尿病性腎症の症状(初期症状)・原因・治療・食事 について詳しくはこちら

    糖尿病患者は糖尿病でない人と比べると骨密度が10年程度早く低下する傾向がある|奥羽大で紹介した奥羽大薬学部の衛藤雅昭教授、斉藤美恵子非常勤講師らの研究チームによる臨床研究によれば、糖尿病患者は糖尿病でない人と比べると骨密度が10年程度早く低下する傾向があることがわかったそうです。

    糖尿病と骨粗鬆症の関係について

    (2013/4、T-Friends)

    糖尿病はインスリンの作用不足によって起こりますが、インスリンが作用しないと骨を作り出す細胞を減らしてしまうことなどから、糖尿病になると骨粗鬆症のリスクが高まります。

    特に、合併症の一つである腎症が進むと、骨の材料になる、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きが低下して、骨量が減りやすくなります。

    インスリンが作用しなくなると、骨を作り出す細胞が減ってしまい、骨粗鬆症になるリスクが高まります。

    また、糖尿病腎症になると、カルシウムの吸収を助けるビタミンDの働きが低下して、骨量が減りやすくなるそうです。

    ビタミンDとカルシウム摂取で糖尿病の発症のリスクを「低減させ得る」|厚労省研究班によれば、カルシウム・ビタミンDともに糖尿病の発症に関連している可能性が考えられ、カルシウムとビタミンDを摂取することにより、糖尿病の発症リスクが低くなったと考えられます。

    また、血糖値を下げる方法|血糖値を抑える食べ方|たけしの家庭の医学では「糖尿病による脆弱性骨折」を紹介していました。

    骨の成分は、カルシウムとコラーゲンで構成されています。

    カルシウムとコラーゲンが働くことで骨の強度は保たれています。

    しかし、血糖値が高くなると、糖がアミノ酸と結びつき、ペントシジンが血液中に増加。

    ペントシジンという物質が、血管を通り、骨の内部に入ると、コラーゲンの質を悪化させてしまうと考えられるそうです。

    コラーゲンは、鉄筋コンクリートでいう鉄筋の役割を果たせなくなり、いつ骨折してもおかしくない状態になってしまうそうです。

    近年、骨密度が高くても骨折してしまう例が数多く見られているそうです。

    西日本独自に糖尿病になりやすいような食習慣(例えば、炭水化物の重ね食べ)が関係しているのか、それとも東日本には糖尿病になりにくい食習慣、食べ物があるのか、それとも全く他の原因があるのか、気になるところです。

    【関連記事】




    骨粗鬆症、早期発見で骨折予防

    骨粗鬆症の予防にはどのようなことをすればよいのでしょうか。

    加齢による骨量の低下は避けられないが、カルシウムやビタミンDを多く含む食品の摂取、毎日の適度な運動で予防を心がけることが大切だ。

    森部長は「閉経後の女性に限らず、骨粗鬆症が原因で骨折した家族がいる人や、喫煙・飲酒の習慣がある人はリスクが高い。50歳を過ぎたら早めに検査を受けてほしい」と呼びかける。

    骨粗鬆症の予防には、

    • カルシウムやビタミンDを多く含む食品の摂取
    • 毎日の適度な運動
    • 早期発見のため、検査を受ける

    骨粗鬆症を病気だと認識している人も少ないでしょうし、また、骨粗鬆症の検査が行われていること自体知らないという方も多いと思います。

    骨粗鬆症を予防するためにも、カルシウムやビタミンDを多く含む食品の摂取、毎日の適度な運動を行い、早期発見のため、検査を受けるようにしてくださいね。

    【骨粗鬆症とは】

    骨粗鬆症は、骨量が減少して若年成人(20~44歳)の平均値の7割未満に落ち込んだ状態。骨がスカスカになり、骨折しやすくなる病気だ。

    骨量は男女とも20~30代をピークに加齢とともに減少する。

    特に閉経後の女性の場合、女性ホルモンの分泌が低下して骨量が急激に減るため、発症率は60代で3人に1人、70代では2人に1人といわれている。

    → 骨粗しょう症の症状・原因・予防・食事 についてはこちら

    ■まとめ

    今回は「大腿骨骨折が西日本が高い」というニュースから「西日本では血液透析患者が多いため、大腿骨骨折する人が多いのではないか?」という仮説を立ててみましたが、実際にはどうなのでしょうか?

    慢性腎臓病と脆弱性骨折|日本内科学会

    ミネラル代謝は1つの臓器ではなく,いくつかの臓器がフィードバックによる制御を受け合うネットワークを形成し,そのネットワーク単位で営まれている.

    このミネラル代謝ネットワークの重要な交差点に位置しているのが腎臓である.

    腎臓は『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャルによれば、腎臓は臓器同士が連携するネットワークの要となっていて、骨を守るうえでも重要な役割を果たしています。

    慢性腎臓病と脆弱性骨折|日本内科学会

    いずれにせよ,少なくとも透析患者においては大腿骨近位部骨折の発症リスクが著しく高い.その多くは脆弱性骨折であろう.CKD患者に骨粗鬆症が多いと考えて間違いはあるまい.

    透析患者には大腿骨骨折の発症リスクが高く、慢性腎臓病(CKD)患者に骨粗しょう症が多いということから、今回の仮説は一度検討してみるだけの価値はあるのではないでしょうか?







    【骨粗しょう症関連記事】
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