【高血圧治療ガイドラインの改訂】75歳以上の患者で最高血圧を130未満、最低血圧を80未満にしたのはなぜ?血圧を下げる方法とは?




高血圧治療ガイドライン 75歳以上の治療目標130未満に(2025年8月29日、NHK)によれば、日本高血圧学会は治療のガイドラインを6年ぶりに改訂し、今回、新たに75歳以上の患者で最高血圧を130未満、最低血圧を80未満と、これまでより10ずつ引き下げました。

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

なぜ目標値を引き下げたのでしょうか?

国内外の最新の研究で高齢であっても血圧を下げると脳卒中などの予防につながるとする結果が報告されていることから、75歳以上についても引き下げを決めたということです。

ガイドラインでは最高血圧130未満を目標に治療すると、脳卒中や心臓病のリスクが17%下がるとしています。

以前最高血圧120未満で病死する割合が27%下がる|米国立心肺血液研究所では、米国立心肺血液研究所が発表した大規模調査の結果によれば、最高血圧を「120未満」に下げることで、心不全や心臓麻痺など高血圧がもとで発症する病気の発症を大幅に抑えられると紹介しました。

ただ血圧を厳格に下げることにはデメリットもあるとその時の課題として挙げられています。

高血圧診療に詳しい臨床研究適正評価教育機構の桑島巌・理事長は「血圧を厳格に下げた方が心不全や死亡が減ることが示されたが、一方で、急性腎障害などの有害事象が増える側面も見受けられた。高齢者は持病や健康状態の個人差が大きい。一律に血圧120未満を目指すことには慎重になるべきだろう。

今回のガイドラインの改訂においても、75歳以上については血圧を下げることで腎障害などが起こるおそれもあるため、最高血圧を140未満、最低血圧を90未満としていましたが、最新の研究で高齢であっても血圧を下げることで脳卒中などの予防につながるとする結果が報告されていることから今回、75歳以上についても引き下げを決めたそうです。

【追記(2025年10月10日)】

2025年10月9日放送のNHK「トリセツショー」の「高血圧のトリセツ」では最高血圧130に注目していました。

【補足】

朝の最高血圧130に~学会が新ガイドラインで指標~(2025年9月5日、時事メディカル)によれば、ポイントは2点。

1)高血圧患者約2万1600人の追跡調査によれば、早朝に家庭で測った最高血圧が130を超えると、脳卒中、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患のリスクが高まるので、朝の最高血圧130以上の状態が続く場合は血圧手帳をもってかかりつけ医を受診(日本高血圧学会の苅尾七臣理事長/自治医科大学教授)

2)血圧を10下げることにより、脳卒中や心筋梗塞などの脳心血管病のリスクは約20%減少する(新ガイドラインの作成委員長を務めた沖縄県北部医療財団の大屋祐輔理事長)

■厳格化に警鐘を鳴らす声も

高血圧の新目標「75才以上で血圧130未満」に引き下げへ 降圧剤の副作用による転倒や心血管疾患リスクに専門家が警鐘(2025年8月29日、介護ポストセブン)によれば、血圧を下げすぎるデメリットを示す論文が発表されているそうです。

Douros A, Tölle M, Ebert N, Gaedeke J, Huscher D, Kreutz R, Kuhlmann MK, Martus P, Mielke N, Schneider A, Schuchardt M, van der Giet M, Schaeffner E. Control of blood pressure and risk of mortality in a cohort of older adults: the Berlin Initiative Study. Eur Heart J. 2019 Jul 1;40(25):2021-2028. doi: 10.1093/eurheartj/ehz071. Erratum in: Eur Heart J. 2020 Dec 7;41(46):4422. doi: 10.1093/eurheartj/ehaa008. PMID: 30805599.

降圧治療中の血圧値が 140/90 mmHg 未満の場合、80 歳代の高齢者や過去に心血管イベントを経験した高齢患者の死亡リスクが増加する可能性があります。

Jaeger BC, Bress AP, Bundy JD, Cheung AK, Cushman WC, Drawz PE, Johnson KC, Lewis CE, Oparil S, Rocco MV, Rapp SR, Supiano MA, Whelton PK, Williamson JD, Wright JT Jr, Reboussin DM, Pajewski NM. Longer-Term All-Cause and Cardiovascular Mortality With Intensive Blood Pressure Control: A Secondary Analysis of a Randomized Clinical Trial. JAMA Cardiol. 2022 Nov 1;7(11):1138-1146. doi: 10.1001/jamacardio.2022.3345. PMID: 36223105; PMCID: PMC9558058.

■血圧を下げる方法とは?

●食塩の摂取量を1日6g未満に

高血圧患者の塩分摂取量は1日6g未満を推奨|高血圧治療ガイドライン

●カリウムを含む食品を積極的に食べる

※野菜を1日350グラム、果物を1日200グラム、低脂肪牛乳や乳製品などを組み合わせて摂取する

【追記(2025年10月10日)】

NHK「トリセツショー」によれば、WHOが推奨するカリウム摂取量は1日3,500mgなのですが、日本人の摂取量は1日1,200mg不足しているそうで、そこで、京都府立大学・奥田奈賀子教授は野菜以外のイモ類や乳製品などを含めてカリウムを摂取することを推奨していました。

高血圧を予防・改善する食事療法「DASH(ダッシュ)食」とは?増やす食品・減らす食べ物によれば、DASH食とは、米国立保健研究所などが提唱している高血圧患者のための食事療法のことで、簡単に言えば、1 野菜・果物・低脂肪の乳製品を充分摂る、2 肉類および砂糖を減らす、という食事をすることです。

カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維には、増えすぎた塩分を効率よく体外へ排出させる効果があります。

カリウムは、血液での濾過装置である腎臓に作用すると考えられており、余分な塩分をより多く体外へ排出すると考えられています。

クールベジ(夏野菜)で体温下げて夏を乗り切ろうによれば、夏野菜にはカリウムを多く含んだ野菜が多く、ミニトマト、ゴーヤ、なす、きゅうりなどが代表的です。

カリウムには利尿作用があり、水分とともに体の余分な熱を体外に放出し、体をクールダウンさせる効果があるそうです。

熱を加えると、カリウムの30%程度が失われてしまうと言われているため、カリウムを食べ物から摂るためには、生のままが適しているそうです。

さつまいももカリウムを多く含む食べ物ですが、干し芋にすると可食部100gあたりで比較すると干し芋の方が豊富に含まれます。

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●毎日30分以上の有酸素運動(ウォーキング・ジョギング)

”#血圧サージ”が危ない~命を縮める血圧の高波~|タオルグリップ法(ハンドグリップ法)|#NHKスペシャル #ガッテンによれば、高血圧の代替療法として効果的なのはウォーキングなどの「有酸素運動」と「ハンドグリップ法」であるとして、その理由として、有酸素運動やハンドグリップ法をすると、血管の内皮細胞から血管の壁を柔らかくして血管を広げる作用がある一酸化窒素が出てくるためと紹介されています。

●週2,3回1日20分の筋トレ(スクワット・腕立て伏せ)

高血圧やダイエットに「8秒ジャンプ」が効果的!その隠れたメリットとは?8秒ジャンプのやり方によれば、高血圧対策は中強度の運動が推奨される=ジャンプがいい(有酸素運動と筋トレの両方できる)そうです。

また、ある研究によれば、有酸素運動または筋力トレーニング単独と比較して、12 週間の有酸素運動と筋トレの組み合わせ運動は、高血圧のリスクが高い人にとってより効果的だったことがわかりました。

●飲酒量を減らす

厚労省が初の「飲酒ガイドライン」/ビール一杯で大腸がんリスクが高くなる/生活習慣病のリスクを高める飲酒量はどれくらい?/純アルコール量を計算する方法によれば、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などの場合は、たとえ少量であっても飲酒自体が発症リスクを上げてしまいます。

●禁煙

喫煙で全身の血管での動脈硬化のリスクが高くなる|滋賀医科大で紹介した国立がん研究センターの多目的コホート研究によれば、タバコを吸っているグループでは、狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患リスクが高くなることがわかっています。

喫煙によって、動脈硬化が促進されて、虚血性心疾患の発症リスクが増加すると考えられます。

●家庭で血圧を測定し、アプリを使って管理する

「家庭血圧」による診断を優先する|高血圧治療ガイドライン2014で紹介した2014年4月に5年ぶりに改訂された「高血圧治療ガイドライン」(日本高血圧学会)での大きな変更点は、「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」という「家庭血圧」を重視している点です。

家庭血圧とは、病院ではなく家庭で血圧を測ることです。

家庭血圧が重視される一つの理由は、診察室血圧・白衣高血圧という現象があります。

白衣高血圧(白衣現象)とは|病院で緊張して血圧が上がるによれば、白衣高血圧とは、通常は血圧が正常なのに、病院で血圧を測定すると血圧の値が高くなってしまうことです。

そうしたことから、平常の血圧を測定する方法として、病院ではなく家庭で血圧を測ることが重視されるようになったようです。

また、家庭血圧を測定することによって見えてきたものもあります。

それは、「仮面高血圧」という新しい病態(病気のぐあい)です。

仮面高血圧とは?健診では正常、職場では高血圧によれば、健診や病院では正常血圧なのに、職場や家庭で血圧を測ると135/85mmHg以上になる状態を「仮面高血圧」といいます。

仮面高血圧は、正常血圧とされる一般成人の10~15%が相当するといわれており、脳卒中や心筋梗塞を併発する危険性は、正常血圧の2~3倍あり、心臓の肥大や動脈硬化の進行が非常に早いこともわかってきています。

そのため、現在では、家庭血圧(病院ではなく家庭で血圧を測ること)のほうが正しい血圧の数値がわかり、また病気の発見にもつながるため、家庭血圧が重要だと考えられているようです。

血圧の測り方

  • 血管を圧迫させないように気を付ける
  • 腕に巻くときの目安は、指が1本か2本入る程度
  • 一日2回朝と夜に測る

家庭用血圧計で朝一番から血圧をチェックして早朝高血圧を予防しよう!によれば、心筋梗塞脳梗塞は朝に起こることが多いことから、早朝高血圧が注目されているようです。

■まとめ

日本高血圧学会によれば、国内で高血圧の治療が必要な人はおよそ4300万人にのぼると推計され、このうち4割以上は治療を受けていないとみられ、年間17万人が高血圧が原因の病気で亡くなっていると推計されるそうです。

高血圧対策を若いうちからやっていきましょう。

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

→ 血圧を下げる方法(食べ物・サプリメント・運動) について詳しくはこちら







ばあちゃん(母)のためにL字型のトイレ手すりの取り付け工事を行いました。




2025年10月10日。

今日は足腰が弱くなって立ち上がりが難しくなったばあちゃん(母)のためにトイレのL字型てすりの取付工事を行ないました。

どの位置に取り付けたらいいのかについて相談したところ、元々立ち上がることを重視していたのですが、工事をする方に聞いてみると、便座に座るときによろけて転倒する恐れがあるので、L字の横手すりがあるとゆっくり降りることができて転倒リスクを減らすことができるとのことでした。

L字の手すりは縦が体の向きを回転させるために、横が座るときの転倒を防ぐために重要なんですね。

また一つ勉強になりました。

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ダイエット飲料や砂糖入り飲料を飲む習慣がある人は、肝疾患(NAFLD/MASLD)の発症リスクが最大60%高まる可能性




Diet and sugary drinks raise risk of common liver disease by up to 60%, new research finds(2025年10月6日、CNN)で紹介されている最近の研究によれば、ダイエット飲料や砂糖入り飲料を飲む習慣がある人は、「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)」の発症リスクが最大60%高まる可能性があるそうです。

今回の研究は、イギリスの「UKバイオバンク」に参加した約12万4,000人(肝疾患のない人)を10年間追跡し、食事アンケートで、どんな飲み物をどれくらい飲んでいるかを調査し、欧州消化器病学会で発表された新しい研究(まだ査読前)です。

■発見

●ダイエットソーダを1日1缶飲むだけで、NAFLDのリスクが最大60%高まる。

●砂糖入り飲料(コーラやジュースなど)を飲むと、リスクが最大50%高まる。

●水に切り替えると、リスクが低下(砂糖入り飲料なら約13%、ダイエット飲料なら15%以上減)。

●砂糖入り飲料からダイエット飲料に変えても、リスクは減らない。

●ダイエット飲料を飲む人は、肝疾患による死亡リスクも高まる可能性がある。

■NAFLDって何?

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)**は、お酒をほとんど飲まない人でも肝臓に脂肪がたまる病気。
別名:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)。
重症化すると、肝硬変や肝臓がんの原因に。
アメリカでは人口の約38%がこの病気にかかっていて、過去30年で患者数が50%増。

■なぜ甘い飲み物が問題なの?

砂糖入り飲料:糖分が多いので、血糖値やインスリンが急上昇。
体重増加や肝臓への脂肪蓄積を促進。

ダイエット飲料:カロリーは低いけど、腸内細菌を乱したり、満腹感を減らしたり、甘いものへの欲を増やす。
インスリン分泌を刺激し、肝臓に悪影響。

水:代謝に影響を与えず、満腹感をサポート。肝臓にやさしい飲み物。

■まとめ

ダイエットソーダも砂糖入り飲料も、肝臓の健康に悪影響を与える可能性があるので注意しましょう!

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山瀬まみさんの病気は子宮体がんだった!手術中に脳梗塞も発症




休養中の山瀬まみ、子宮体がんだった 術後意識戻らず脳梗塞も発症 レギュラーラジオに復帰し闘病語る(2025年10月7日、デイリースポーツ)によれば、BAY FM「BAY FM it!」に出演した山瀬まみさんは子宮体がんの手術を行ったこと、がんの合併症で血栓ができやすい状態になっていて、手術中に脳梗塞を発症し、ご家族には言葉は話すことはないといわれていたそうですが、リハビリのおかげでしゃべれるようになって、復帰を果たしたそうです。

■子宮体がん

閉経年齢が45歳未満と比較して、閉経年齢が55歳以上のグループでは、子宮体がんのリスクは2.8倍!で紹介した国立がん研究センターによれば、閉経年齢が45歳未満と比較して、閉経年齢が55歳以上のグループでは、子宮体がんのリスクは2.8倍であることがわかりました。

がんになっても長生きできる生活習慣|#たけしの家庭の医学では、がんリスクを下げる条件として、「週2回以上息がはずむ程度の運動をしている」が挙げられており、運動は大腸ガン・乳癌(閉経後)・子宮体がんのリスクを下げると紹介されています。

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【子宮体がん】コーヒーを1日3杯以上飲む女性はリスクが6割低くなる!|厚労省研究班で紹介した厚生労働省研究班によれば、コーヒーを1日3杯以上飲む女性は、ほとんど飲まない女性に比べ、子宮がんの一種「子宮体がん」にかかるリスクが約6割低いそうです。

子宮体がんは、肥満糖尿病の人、女性ホルモンの働きの活発な人がなりやすいとされているそうです。

このことから、コーヒーを飲むことで血糖値が下がる、もしくはコーヒーを飲むと女性ホルモンなどの濃度が下がり、子宮体がんを予防する可能性があるということが考えられるようです。

●子宮体ガンのリスク要因

子宮体がん(子宮内膜がん) 予防・検診(がん情報サービス)によれば、1)子宮体がんはエストロゲンにさらされている期間が長いほど発症リスクが高くなる(原因として出産経験がない、閉経が遅い、肥満(脂肪細胞がエストロゲンを産生する)など)、2)糖尿病、3)遺伝性の腫瘍であるリンチ症候群などで子宮体がんのリスクが高くなることが分かっています。

閉経の遅い女性と初経の早い女性は、甲状腺がんのリスクが高い!によれば、閉経年齢が高いと甲状腺がんのリスクが高くなるという結果や、初経から閉経までの期間が長い女性(閉経年齢が高いこと/初経年齢が早いこと)は女性ホルモンであるエストロゲンにさらされる期間が長いといったことから、甲状腺がんが女性ホルモンに関連しているのではないかと考えられるそうです。

乳がんのリスク要因によれば、乳がんは初潮が早い、閉経が遅い、妊娠・出産歴がないという人は、女性ホルモンにさらされる期間が長くなるため、乳がんリスクが高くなると考えられています。

つまり、女性ホルモンのエストロゲンにさらされている期間が長いほど、子宮体がんや乳がん、甲状腺がんのリスクが高くなる恐れがあるというわけなんです。

現代女性の月経回数は昔の女性の約9倍!生理の回数と子宮内膜症は深く関係/子宮内膜症の患者が急増によれば、昔の女性は生涯の月経回数が約50回、現代の女性は約450回になっています。

その理由としては、現代女性は昔に比べ出産回数が減ったために月経の回数が増えているから。

また、月経のある期間が長くなったため、月経困難症や子宮内膜症などの病気が増えてきたと考えられているそうです。

現代女性のライフプランが変わる中で昔の女性と比べると「月経」による体への負担・リスクが大きくなっているんですね。

■まとめ

日本婦人科腫瘍学会によれば、子宮内膜がんの発症年齢は、閉経前後の40代後半から増加して50~60代にピークを迎えます。

日本産婦人科学会によれば、子宮体がんは子宮頸がんと比べて高齢なことが多く、特に更年期や閉経後に不正出血を認めた場合には産婦人科を受診した方がよいそうです。

また、更年期や閉経を迎える前でも、もともと月経不順だったり、乳がんを患ったことがある方は注意が必要なのだそうです。

日本の女性はアメリカに比べて更年期症状やPMSなどの女性特有の症状に対しての自覚率が低い!によれば、日本とアメリカの20~50代の有職女性それぞれ300名ずつを対象にインターネットで調査したところ、アメリカの女性の方が日本の女性よりも更年期症状やPMS(月経前症候群)、月経痛、子宮内膜症といった自覚している女性特有の症状に対しての自覚率が高かったそうです。

→ 生理痛の症状・原因・緩和する方法 について詳しくはこちら

また、婦人科受診の頻度の質問では、日本とアメリカで女性特有の症状に対する関心の度合いの違いがさらにはっきりとします。

アメリカの女性

  • 婦人科受診の頻度 年に1回程度 65.7%
  • 婦人科に行ったことがない 6.3%

日本の女性

  • 婦人科受診の頻度 年に1回程度 29.0%
  • 婦人科に行ったことがない 33.0%

つまり、日本の女性はアメリカの女性と比較すると、女性特有の症状に対する行動(婦人科を受診するなど)をしない傾向にあります。

#宇多田ヒカル、「婦人科に定期的に検診に行くことは、すごく大事」では、宇多田ヒカルさんは2008年当時に周りに子宮内膜症や子宮筋腫、子宮がんにかかっている女性が多いことからも、婦人科に定期的に検診に行くことが大事とアドバイスしていましたが、先ほど挙げたもともと月経不順だったり、乳がんを患ったことがある方、更年期や閉経後に不正出血がある方は子宮体がんの予防のためにも受診してみてはいかがでしょうか?







ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文さんの制御性T細胞発見のひらめきの源




ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文さんの制御性T細胞について、渡米当初は、免疫を抑える細胞など存在しないという考え方が学界の主流だった「逆風の時代」だったそうですが、坂口さんが存在すると考えた理由・アイデア・ひらめきはどこにあったのでしょうか?

坂口志文氏(大阪大学特任教授、京都大学名誉教授)が2025年のノーベル生理学・医学賞を受賞した業績は、免疫システムの暴走を防ぐ「制御性T細胞(Treg)」の発見です。

この細胞は、免疫細胞が自己組織を誤って攻撃するのを抑えるブレーキ役として機能し、自己免疫疾患やがん治療に応用が期待されています。

坂口氏が渡米した1980年代(主に米国でのポスドク研究期)は、免疫学界で「免疫を積極的に抑制するT細胞など存在しない」という主流の見解が支配的で、抑圧性T細胞(suppressor T cells)の概念自体が1970年代に否定された後遺症が残る「逆風の時代」でした。

それでも坂口氏がTregの存在を信じ、研究を続けた背景には、具体的な実験結果とひらめきがありました。

■坂口氏の研究の出発点:1980年代のマウス実験

坂口氏のTreg発見の原点は、1980年代初頭の日本・名古屋の愛知がんセンター研究所での研究に遡ります。

当時、坂口氏は免疫の「自己寛容」(自己組織を攻撃しない仕組み)を解明しようと、特殊なマウスモデルを使っていました。具体的には:

新生児胸腺摘出マウス(thymectomized mice)の利用:胸腺はT細胞が成熟する器官です。新生児期に胸腺を摘出すると、T細胞が十分に作られず、免疫不全になるはずでした。しかし、このマウスでは逆に、自己免疫疾患(例:甲状腺炎や皮膚炎)が多発するという「矛盾した現象」が観察されました。

同僚の実験結果がきっかけ:この矛盾は、坂口氏の同僚(研究グループ内の他のメンバー)が行った予備実験で明らかになりました。彼らは、胸腺摘出マウスに正常マウスのT細胞を移植すると、自己免疫疾患が予防されることを確認しましたが、詳細なメカニズムは不明でした。坂口氏はこの「予期せぬ結果」に着目し、「免疫不全で病気が起きるはずなのに、なぜ自己免疫が起きるのか?」という疑問を抱きました。これが、坂口氏の「ひらめき」の起点です。ノーベル委員会の公式解説でも、「同僚の矛盾した実験結果にインスパイアされた」と記述されています。

この観察から、坂口氏は「免疫システムには、攻撃的なT細胞を積極的に抑える『ブレーキ役』の細胞が存在するはずだ」と推測しました。当時の主流理論(中央耐性:胸腺で有害T細胞を除去するだけ)では説明がつかないため、周辺耐性(peripheral tolerance:体外で免疫を制御する仕組み)の可能性を追求しました。これは、単なる仮説ではなく、実験データに基づく「現象論的洞察」でした。

■アイデアの深化:ブレーキ役T細胞の特定(1985年)

サブセット除去実験の着想:坂口氏は、正常マウスのCD4+ T細胞(ヘルパーT細胞の主役)を、表面マーカーの発現レベルで細分化(サブセット)し、それぞれを胸腺欠損マウスに移植する実験を設計しました。目的は、「どのサブセットが自己免疫を防いでいるか」を特定することです。結果:CD5hi(CD5高発現)CD4+ T細胞という特定のグループを除去・移植すると、胸腺欠損マウスで多様な自己免疫疾患(腸炎、皮膚炎など)が誘発されました。一方、そのグループを移植すると疾患が予防されました。

ひらめきの本質:ここで坂口氏のアイデアは、「免疫攻撃細胞(effector T cells)は正常な体に存在するが、それを抑える抑制性サブセット(後のTreg)も共存している」というものです。これは、1985年の論文(Sakaguchi et al., J Immunol)で初めて報告され、Tregの「機能的証拠」を示しました。坂口氏はインタビューで、「シンプルな除去・移植実験で、現象を直接観察しただけ」と振り返っていますが、当時の逆風下でこの発想は革新的でした。なぜなら、抑圧性T細胞の概念が「科学的でない」と退けられていたからです。

■渡米当初の逆風と持続の理由:1990年代の証明へ

渡米後の状況(1980年代後半~1990年代初頭):坂口氏は1980年代に米国(例:スタンフォード大学など)でポスドクとして研究を続けましたが、学界の主流は「抑制T細胞は存在しない、すべてはクローン除去や無反応で説明可能」というものでした。論文投稿も厳しく、資金調達も難航しました。しかし、坂口氏は上記のマウス実験データを基に、「現象が正しければ、分子マーカーを探せば証明できる」と信じ、粘り強く続けました。

決定的ひらめきの実現(1995年):CD25(IL-2受容体のα鎖)をTregのマーカーとして特定。CD25+ CD4+ T細胞を除去すると自己免疫が起き、移植すると抑制されることを証明しました。この論文(Sakaguchi et al., J Immunol 1995)は、Tregの「存在証明」となり、2000年に「Regulatory T cell」という名称が定着。後にFOXP3遺伝子(2003年)がTregのマスター遺伝子と判明し、理論が完成しました。

■なぜこのアイデアが生まれたのか? 坂口氏の研究哲学

坂口氏のひらめきは、「矛盾を放置せず、シンプルな実験で追及する」姿勢にありました。インタビュー(中日新聞2016年再録)では、「胸腺摘出マウスの予期せぬ病気が、ブレーキ役の存在を確信させた」と述べています。また、ノーベル賞関連の解説書(『免疫の守護者 制御性T細胞とはなにか』)でも、幼少期の科学書や哲学的背景が「免疫のバランス」を考える基盤になったと語っています。この発見は、がん免疫療法(Tregを減らして攻撃を強化)や自己免疫疾患治療(Tregを増やす)に応用され、現在200以上の臨床試験が進んでいます。

■感想

この坂口さんの研究に対する考え方で興味深いのが、「矛盾した実験結果」を実験にエラーがあったわけではなくて、新たな現象を示しているサインと読み取ったことにあります。

人はそれを「直感」とか「直観」と表現するかもしれません。

しかし、坂口さんは既存の常識をベースにした「実験結果のエラー」だと判断するのではなく、実験結果こそが事実であって、本来ならばその事実に基づいた新たなメカニズムがあるのではないかと考えたことがすごいのです。

🧩 1. 坂口志文の発想を生んだ「矛盾への感受性」

坂口氏が渡米前から抱いた直感の起点は、**「胸腺を取ったマウスが免疫不全ではなく自己免疫を起こす」**という逆説的な観察でした。
普通の科学者なら「実験系のエラー」として片付けるところを、坂口氏は「現象のメッセージ」として読み取った。

つまり、「免疫が足りないのに攻撃が起きる」ことは、
「免疫には攻撃だけでなく抑制の層もある」という直感を生んだ。

ここに坂口氏の発想の独自性があります。
これは科学哲学者トマス・クーンのいう「パラダイム転換の萌芽」に似ています。
旧理論(免疫=防御機構)では説明できない観察を、「異常事例」としてではなく「新しい秩序の兆し」として受け止めた点です。


🧠 2. 「抑制」の存在を想像できた背景:免疫を“均衡系”として捉える感性

坂口氏は免疫を「攻撃 vs 抑制」のバランスシステムとして直感的に捉えていました。
この発想の根底には、生理学的・哲学的な「動的均衡」への理解があったと考えられます。

  • 多くの研究者は「免疫=兵士」「異物=敵」という戦争的メタファーに囚われていた。

  • 坂口氏はそれを離れ、「免疫=秩序の維持」「敵も味方も行き過ぎれば病になる」という生態系的視点を持っていた。

この“免疫=バランス”という見方は、20世紀の免疫学が「攻撃のメカニズム」に傾倒していた時代においては異端でした。
しかし坂口氏にとっては自然な帰結だった。
彼は後にこう語っています:

「免疫は外敵と戦うだけでなく、自分を壊さないための装置でもある。」

このように、免疫を「闘争」ではなく「調和」として見る哲学的視座が、Treg発見を導いた根底にあります。


🔬 3. 「実験の美学」:複雑さを排して本質を見抜く

坂口氏の研究の特徴は、極めてシンプルな実験設計にあります。
1980年代の生物学では、新しい分子や経路を次々と見つけることが主流でした。
しかし坂口氏は「サブセットを取る・戻す」という最小限の操作で、現象そのものを直接観察しました。

「現象をできるだけ単純な形で再現できれば、それが真実に近い。」

この方法論は、物理学者リチャード・ファインマンの「自然は単純だ」という信念に通じます。
つまり坂口氏の“ひらめき”は直感的なものではなく、「シンプルな構造で説明できる現象こそ本物だ」という科学哲学的美意識に基づいていたと考えられます。


🧩 4. 「逆風の中で信じる力」:信念の源は“現象”だった

1980〜90年代は、suppressor T細胞概念が否定された直後。
「抑制細胞を信じる」こと自体が、学界的にはキャリアを失うリスクを伴いました。
それでも坂口氏が研究を続けられた理由は、信念ではなく現象への確信にありました。

「データがそう言っている限り、理論が間違っているのは理論の方だ。」

この姿勢は、フランシス・クリックやジェーン・グドールのように、「常識よりも観察を信じる」科学者の系譜に連なります。
坂口氏の中では、“信念”ではなく“事実への誠実さ”が推進力だったといえます。


🧭 5. まとめ:坂口志文の「ひらめきの構造」

観点 内容 現代科学への教訓
🔍 出発点 胸腺摘出マウスの矛盾した現象に着目 データの「例外」にこそ本質が潜む
⚖️ 発想の枠組み 免疫を攻撃ではなく“均衡系”と見る 自然を「戦い」ではなく「調和」で捉える視点
🧪 方法論 シンプルな除去・移植実験で本質を抽出 技術よりも構造的理解を優先
💡 哲学的態度 現象への誠実さ、矛盾を手がかりにする 「理論より現象」への忠実さ
🕊️ 時代への逆行 主流が「抑制細胞など存在しない」時代 パラダイム転換は孤独の中で起きる

もし一言で坂口氏の発想を表すなら、こう言えるでしょう:

「免疫とは、戦う力ではなく、戦いを終わらせる力である。」

坂口氏がその「終わらせる力」を自然の中に見出したことこそ、制御性T細胞発見の本質的な“ひらめき”でした。







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