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「いつの間にか骨折」を予防するにはサルコペニア対策も大事!

健康・美容チェック > 骨粗しょう症 > 「腰が痛い」は実は「いつの間にか骨折」のサインかも?骨粗しょう症予防をしましょう!




■「いつの間にか骨折」を予防するにはサルコペニア対策も大事!

「腰が痛い」は実は「いつの間にか骨折」のサインかも?骨粗しょう症予防をしましょう!では、ばあちゃん(母)の骨粗しょう症→骨折(いつの間にか骨折)を経験して思ったのは、実はサインがあったのではないかと書きました。

そして、もう一つサインとして浮かんできたのは「サルコペニア」です。

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サルコペニアとは?定義・予防・対策のやり方(運動・栄養)!

サルコペニア(加齢性筋肉減弱現象)とは、筋肉が減り筋力が衰えた状態のことです。

近年中高年を中心に増加しているサルコペニアは、寝たきりや認知症を引き起こす原因とされ、健康寿命を縮める一因となっています。

最近は若い人にもサルコペニア予備軍が増えていて、無理なダイエットによる栄養の偏りなどが原因と考えられるそうです。

サルコペニアの原因は、加齢・運動不足・栄養の偏りの3つ。

管理栄養士によれば、若い時には偏っていてもなんとかカバーできていても、年を重ねるとそれもできなくなり、なおかつ食事の量も減っていくため、筋肉量や骨格筋が減っていき、サルコペニアのリスクが高まるそうです。

■サルコペニアの定義

サルコペニア
サルコペニア

サルコペニアの定義とは、筋肉量(骨格筋量)の減少に加えて、筋力の低下(握力など)または身体(運動)機能の低下のいずれかが当てはまる場合、サルコペニアと診断するというものです。

サルコペニア診断アルゴリズム
サルコペニア診断アルゴリズム

参考画像:後期高齢者の健康(2016/6/17、厚生労働省)|スクリーンショット

「認知症予防アプリ」|歩行速度を測定し認知症・MCI(軽度認知障害)のリスクが高い場合に通知する|太陽生命によれば、歩行速度が低下すると、認知症やMCIのリスクが高くなるそうですので、「歩行速度」はサルコペニアと認知症・MCIのリスク度をチェックする大事な要素といえそうです。

■サルコペニア予防・対策

●運動でサルコペニア対策

高齢者の筋内脂肪の蓄積はサルコペニアと運動機能低下に関係する|名古屋大学で紹介した名古屋大学総合保健体育科学センターの秋間広教授、田中憲 講師、同大学院生らの研究グループは早稲田大学と行なった共同研究によれば、高齢者の筋肉内に霜降り上に蓄積する脂肪(筋肉脂肪)が、加齢に伴う筋力の減少(サルコペニア)や運動機能低下と関係していることがわかりました。

高齢者は、定期的に運動をすることによって、加齢による筋肉量の減少と運動機能低下を軽減し、筋内脂肪の蓄積の抑制をすることが期待されます。

【名医のザ太鼓判】つかまりスクワットとハチミツで骨筋力アップし、骨折予防・サルコペニア予防・垂れ尻改善!で紹介したサルコペニア対策のエクササイズは「つかまりスクワット」。

骨・筋力アップする「つかまりスクワット」とは前側に置いたイスにつかまりながら行うスクワットのこと。

【つかまりスクワットのやり方】

イスの背もたれを持って立つ。
膝がつま先より前に出ないようにして、ゆっくりと腰を落とす。

ポイントは声を出しながらゆっくり行なうこと。

※回数の目安は1セット15回で一日3セットです。

筑波大学の久野譜也先生によれば、つかまらずに行う方法とほぼ同じ効果が得られ、またつかまることで安心してできること、正しい姿勢でできるためにオススメなのだそうです。

●たんぱく質でサルコペニア対策

たんぱく質摂取と骨格筋|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、最近のコホート調査でも、たんぱく質摂取量が少ないことは3年後の筋力の低下と関連し、さらに高齢女性の3年間の観察で、たんぱく質摂取量が少ないとフレイルティの出現のリスクが増加することが確認されているそうです。

また、日本人の高齢女性の横断研究でもフレイルティの存在とたんぱく質摂取量との関連が明らかにされています。

これまでにも要介護者の中にはたんぱく質が不足する低栄養の人が多いということを紹介してきました。

適切な食物摂取ができず、栄養状態が悪化していることを「低栄養」と呼びます。

低栄養になると、免疫が低下したり、筋肉が減少したり、骨が弱くなったりすることで、感染症に掛かりやすくなったり、骨折するおそれが高くなるようです。

今回紹介した厚生労働省のまとめによれば、高齢者はたんぱく質の摂取量が少ないと、フレイルティの出現リスクが増加するそうです。

たんぱく質並びにアミノ酸の介入研究|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省では、サルコペニア予防および改善の観点から、高たんぱく質食品、プロテインやアミノ酸などのサプリメント、β─ ヒドロキシ─β─ メチル酪酸(beta-hydroxy-beta-methylbutyrate:HMB)を単独もしくはアミノ酸と配合したサプリメントを補給する介入研究が紹介されています。

→ アミノ酸の効果・効能・種類・アミノ酸を含む食べ物 について詳しくはこちら

→ なぜ筋肉をつけるにはタンパク質(アミノ酸)の摂取が必要なの?【論文・エビデンス】 についてくわしくはこちら

■まとめ

「いつの間にか骨折」の原因は骨密度だけに限らず、体を支える筋肉が衰えると、今回で言えばサルコペニアだと、体を支えることができずに転倒してしまい、骨折ということも考えられます。

食事と運動によって筋肉をつけておくことが「いつの間にか骨折」を結果的に防ぐことになりますので、しっかりと鍛えていきましょう!







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【世界一受けたい授業】MCI(軽度認知障害)|認知症予防にカマンベールチーズ

健康・美容チェック > 認知症 > MCI(軽度認知障害)|認知症予防にカマンベール|#世界一受けたい授業

2015年8月29日放送の世界一受けたい授業では「MCI(軽度認知障害・軽度認知機能障害)」について取り上げました。

解説:東京医科歯科大学 特任教授 朝田隆 先生




■MCI(軽度認知障害)とは?

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by Quinn Dombrowski(画像:Creative Commons)

軽度認知障害、運動で防ぐ 暗算しながらで効果増

(2015/8/23、日本経済新聞)

MCI(軽度認知障害)とは、わかりやすく言えば物忘れが出ることで、日常生活を送るのが困難なほどの支障がないものだそうです。

厚生労働省研究班によれば、MCIに該当するに人は2012年の段階で約400万人で、65歳以上の高齢者の約13%に上るそうです。

MCIが注目されるようになったのは、MCIの段階で発症が抑えられるケースも多く、認知症になる人を減らすことができると考えられるようになってきたからです。

オーストラリアの研究によれば、認知症の発症時期を平均2年遅らせることができれば、2050年時点の同国内の認知症の有病率を20%下げることができ、さらに、5年間遅らせると有病率は43~49%下がるそうです。

認知症の高齢者は2025年には730万人と推計|認知症に役立つ食べ物と生活習慣によれば、2025年には認知症の高齢者は多い場合で730万人に達すると推計されるというニュースを以前お伝えいたしました。

また、世界の認知症患者、2050年に1億3200万人によれば、国際アルツハイマー病協会(Alzheimer’s Disease International、ADI)による「世界アルツハイマー報告書2015」によれば、認知症の数は世界の高齢化につれて増えていき、2050年には今の3倍の1億3200万人になるという予測が発表されています。

今後も認知症患者は急増することが予想されますので、MCIの段階で抑えられれば、認知症になる人を減らせるようになるかもしれないことから、注目が集まっているそうです。

■認知症予防にカマンベール

認知症(アルツハイマー病)予防にカマンベールチーズがよい!?−東大などによれば、カマンベールチーズに含まれる成分に認知症の一種であるアルツハイマー病の発症を抑える可能性があることがわかったそうです。

チーズの発酵工程で生成する物質が、アルツハイマー病の原因物質「アミロイドβ(Aβ)」の脳内での沈着を抑えることをマウスによる実験で特定したそうです。

軽度認知障害、運動で防ぐ 暗算しながらで効果増

(2015/8/23、日本経済新聞)

アミロイドβが蓄積したことでMCIになると考えられており、カマンベールに含まれる成分がアミロイドβの沈着を抑える可能性があることから、認知症予防につながることが期待されています。

→ 認知症の症状|認知症予防に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら







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フレイルは「予備力の低下」が主要因として起こりやすい!?




なぜばあちゃん(母)は座っているときに左に傾き、立っているときは背中が丸くなる(円背)のか?その原因を調べてみた!
フレイルは「予備力の低下」が主要因として起こりやすい!?

CDC|unsplash

恐ろしい…「身体が弱る」と「認知症リスクが上がる」根深いワケ【専門医が解説】(2022/7/17、幻冬舎)によれば、フレイルとは、身体能力の低下だけの問題ではなく、認知機能も含めた心の活力や社会的なつながりが減ってしまう状態のことを言い、フレイルは「普段では出せないような能力」である「予備力の低下」が主要因として起こりやすいそうです。

緊急事態や危機的状況で、普段は意識的にコントロールしている力を超えて、潜在的なパワーを発揮する「火事場の馬鹿力」や脳には筋肉や骨に過度な負担がかかるのを防ぐため、普段は100%の力を発揮しないようにする安全装置(リミッター)が備わっているといわれますが、これが予備力なのだと思います。

つまり、フレイルとは加齢に伴い身体や認知機能の予備力が低下して食欲の低下や活動量の低下、筋力低下、認知機能低下、多くの病気を抱えるといった状態と言い換えることができます。

若かったり、健康である人は身体を守る力に予備力(健康を守る余力)があるため、無理ができるのですが、加齢や生活習慣病などの持病などによって、この予備力が低下すると、ちょっとした不調で寝込んでしまったりします。

だからこそ、若いうちからこの予備力を保つようにしておくことや生活習慣病対策をすることが重要になってくるわけですが、この「予備力」の考え方は若い人にも活かせますよね。

若いからと言って無理をし過ぎると予備力がなくなってしまって、体調を崩してしまうことってよくあることだと思います。

そしてそのことが心身の不調を起こしてしまうわけですね。

そうならないためにも、予備力を使い切る前に休養をとることが大事になってくるのではないでしょうか?

ただ一生懸命頑張るタイプの人ほど休養をとるというとネガティブなイメージを持ってしまう人もいますよね。

そこで、休養について以前調べたのですが、なぜアスリートに休養が必要か?|高校スポーツ界でも休養日を設ける学校が増えている!|積極的休養(アクティブレスト)と消極的休養によれば、休養には、積極的休養と消極的休養があり、積極的休養(身体の疲れている時にウォーキングやストレッチなどの運動を軽めに行い、全身の血行を良くして疲労回復を早める休息法)と消極的休養(横たわるなどによって疲労回復をする方法)を比較すると、積極的休養を取った方が疲労回復スピードが速くなるそうです。

つまり、休養とはいっても、ダラダラ休むよりも少し体を動かした方が疲労回復スピードがアップするということですので、休養をとるというとネガティブなイメージを持つ人は、積極的休養(アクティブレスト)を行うというように考えるとよいのではないでしょうか?

そして高齢者もこの積極的休養(アクティブレスト)を活かすことができると思います。

疲れた時にただ横たわるのではなく、軽めの運動をすることで疲労回復を早めていくことを行なえば、予備力の低下を防ぐことにつながるのではないでしょうか?

■フレイルとは?

多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥る|厚生労働省
多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥ります。加齢に伴う変化(食欲の低下・活動量の低下・社会交流の低下・筋力低下・認知機能低下・多くの病気をかかえている)→危険な加齢の兆候(低栄養・転倒・サルコペニア・尿失禁・軽度認知障害(MCI))

参考画像:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省スクリーンショット

要介護者等の状況|平成28年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省によれば、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因として「高齢による衰弱」(16.2%)になっています。

「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!で紹介した厚生労働省によれば、多くの高齢者が中間的な段階(フレイル)を経て、徐々に要介護状態に陥るそうです。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

そこで、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できるというのが今注目されている考え方です。

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■まとめ

認知症の発症リスクが高いのは、脳卒中の経験がある人、糖尿病や心臓病の持病がある人、握力が弱い人、うつ傾向がある人で紹介した国立長寿医療研究センターなどのチームによれば、学校教育の年数が9年以下の人のリスクは、9年を超える人の2倍だったそうです。

中等教育を修了しないのは大きなリスクで、論文の著者たちは、大人になっても学び続ければ脳の「予備力」を増やせる可能性が高いと述べている。

中等教育の未修了だからといって即、認知症になりやすいというのではなく、大人になって学習意欲がある人は「認知的予備力」(人生の過程で頭を使うことによって蓄えられる)を増やせる可能性が高いそうです。

認知症もフレイルも同様に若いうちから「予備力」を増やすことが大事なのではないでしょうか?







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「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!|厚生労働省

最近「フレイル」という考え方が注目を集めています。

「(60代以上になっても)いつまでも若々しくいたい!」

そんなあなたはフレイル対策を行なうことで、いつまでも若々しく、周りから憧れられる存在になりましょう!




【目次】

■「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!

多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥る|厚生労働省
多くの高齢者がフレイル(虚弱状態)を経て徐々に要介護状態に陥ります。加齢に伴う変化(食欲の低下・活動量の低下・社会交流の低下・筋力低下・認知機能低下・多くの病気をかかえている)→危険な加齢の兆候(低栄養・転倒・サルコペニア・尿失禁・軽度認知障害(MCI))

参考画像:高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省スクリーンショット

高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進について|厚生労働省

「フレイル」とは加齢とともに、心身の活力(例えば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態。

厚生労働省によれば、多くの高齢者が中間的な段階(フレイル)を経て、徐々に要介護状態に陥るそうです。

要介護者等の状況|平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

介護が必要となった主な原因を要介護度別にみると、要支援者では「関節疾患」が19.4%で最も多く、次いで「高齢による衰弱」が15.2%となっている。

厚生労働省の平成22年国民生活基礎調査によれば、介護が必要となった原因として「高齢による衰弱」(15.2%)となっています。

要介護者等の状況|平成28年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

平成28年国民生活基礎調査によれば、要介護度別にみた介護が必要となった主な原因として「高齢による衰弱」(16.2%)になっています。

高齢者は健康な状態から急に要介護状態になるわけではなく、食欲の低下や活動量の低下(社会交流の減少)、筋力低下、認知機能低下、多くの病気をかかえるといった加齢に伴う変化があり、低栄養、転倒、サルコペニア、尿失禁、軽度認知障害(MCI)といった危険な加齢の兆候(老年症候群)が現れ、要介護状態になると考えられます。

しかし、フレイルの段階で、適切な介入・支援を行なうことができれば、要介護状態に至らず、生活機能の維持・向上が期待できると考えられます。

高齢で活力衰える「フレイル」、国内250万人が該当か

(2017/9/18、朝日新聞)

児島剛太郎・ロンドン大客員研究員(老年病学)らが、これまでに発表されたフレイルに関連する約1500本の論文のうち、65歳以上の日本人の割合について述べた5本を解析したところ、入院せずに地域で暮らす人の7・4%がフレイルという結果だった。

<中略>

総務省の人口推計(今年7月)で65歳以上の人口は3477万8千人おり、その中の少なくとも250万人が該当するとみられる。

65歳以上の日本人のうち、入院せずに地域で暮らす人の7.4%がフレイルという結果から判断すると、65歳以上の人口は約3500万人いることから、フレイルに該当するのは約250万人いると考えられるそうです。




■フレイルティの定義

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by Salvation Army USA West(画像:Creative Commons)

フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省

2000 年代になり Fried らが表 2に挙げた 5 項目、すなわち①体重減少、②主観的疲労感、③日常生活活動量の減少、④身体能力(歩行速度)の減弱、⑤筋力(握力)の低下、のうち 3 項目が当てはまればフレイルティとし、1~2 項目が当てはまる場合はフレイルティ前段階として定義づけをした 33)。

33)Fried LP, Tangen CM, Walston J, et al. Cardiovascular Health Study Collaborative Research Group. Frailty in older adults : evidence for a phenotype. J Gerontol A Biol Sci Med Sci 2001; 56 : M146─56.

フレイルティというとなんだか難しいように感じると思いますが、日本にも「老衰(ろうすい)」という年をとって衰えることを意味する言葉があります。

老衰の意味は

生物学的・医学的には“老化に伴って個体を形成する細胞や組織の機能の低下、恒常性の維持が困難になることが原因”

であることから、フレイルティの概念と同じであると考えられます。

以前にも握力は健康のバロメーターであるというニュースを紹介しましたが、フレイルティの診断項目には筋力(握力)の低下が挙げられており、握力の強さは重要な要素といえそうです。

握力は健康のバロメーター!?|握力低下は心臓発作・脳卒中リスク増加に関連によれば、カナダ・マクマスター大学(McMaster University)が主導した国際研究チームは、握力が健康のバロメーターになる可能性についての研究を行ない、その結果、握力が低下すると、心臓発作や脳卒中の発症リスクの増加に関係していることがわかったそうです。

握力が強いほど長生き?で紹介した厚生労働省研究班(研究代表者=熊谷秋三・九州大教授)の約20年間にわたる追跡調査によれば、握力が強いほど長生きする傾向があり、また循環器病発症リスクも低かったそうです。

■フレイルの診断基準:2020年改定 日本版CHS基準(J-CHS基準)

国立長寿医療研究センターによれば、判定基準は、1)体重減少(6か月で2kg以上の意図しない体重減少)、2)筋力低下(握力:男性<28kg 女性<18kg)、3)疲労感(ここ2週間わけもなく疲れたような感じがする)、4)歩行速度(通常歩行速度<1.0m/秒)、5)身体活動(a)軽い運動・体操をしていますか?、b)定期的な運動・スポーツをしていますか?上記の2つのいずれも「週に1回もしていない」と回答)の5項目のうち、3項目以上に該当:フレイル、1-2項目に該当:プレフレイル、該当なし:ロバスト(健常)と判定されます。

■フレイルは個人の状態に合わせて対応するようになってきた

フレイルには大きく3つに分けられています。

1)身体的フレイル(足腰の衰えや内臓の病気が原因で筋力や体力が低下)
2)精神的フレイル(認知機能低下やうつ)
3)社会的フレイル(独り暮らしでの孤立や経済的困窮)

最近ではフレイルの考え方は、オーラルフレイル(口)、アイフレイル(目)、ヒアリングフレイル(耳)、そしてガットフレイルとは?(胃腸)というように、いろんな方向に広がっています。

■たんぱく質の摂取とフレイルティの関係

たんぱく質摂取と骨格筋|たんぱく質の関与|フレイルティ及びサルコペニアと栄養の関連|高齢者|厚生労働省によれば、最近のコホート調査でも、たんぱく質摂取量が少ないことは3年後の筋力の低下と関連し、さらに高齢女性の3年間の観察で、たんぱく質摂取量が少ないとフレイルティの出現のリスクが増加することが確認されているそうです。

また、日本人の高齢女性の横断研究でもフレイルティの存在とたんぱく質摂取量との関連が明らかにされています。

これまでにも要介護者の中にはたんぱく質が不足する低栄養の人が多いということを紹介してきました。

適切な食物摂取ができず、栄養状態が悪化していることを「低栄養」と呼びます。

低栄養になると、免疫が低下したり、筋肉が減少したり、骨が弱くなったりすることで、感染症に掛かりやすくなったり、骨折するおそれが高くなるようです。

今回紹介した厚生労働省のまとめによれば、高齢者はたんぱく質の摂取量が少ないと、フレイルティの出現リスクが増加するそうです。

■たんぱく質(アルブミン)不足対策

●たんぱく質(アルブミン)不足を予防するには、肉を食べるとよいそうです。

アルブミンを上げる食事|肉を食べてアルブミンを上げたグループは死亡リスクが低い!?で紹介した熊谷修教授(人間総合科学大学人間科学部)によれば、肉をよく食べてアルブミンを上げたグループはほとんど食べないグループに比べて死亡リスクが低いそうです。

また、アルブミン値を上げるためには、鶏のささみよりも牛肉のほうが良いそうです。

それは、牛肉に含まれる「飽和脂肪酸(アルブミンを作り出すエネルギーとなる)」を一緒に摂ることができるからなのだそうです。

お肉を選ぶ場合には、脂身のある肉(豚肉やもも肉)のほうが良いそうです。

アルブミンを上げる食事|肉を食べてアルブミンを上げたグループは死亡リスクが低い!?によれば、「15の食生活指針」に沿った食生活を実践してもらったところ、アルブミンは増加し、血色素の低下も見られなり、つまり、栄養改善の効果があらわれたそうです。

  1. 3食のバランスをよくとり、食事を抜かずにきちんと食べましょう。
  2. 油脂類の摂取が不足しないようにしましょう。
  3. 肉、魚、乳製品、卵などの動物性たんぱく質を十分に食べましょう。
  4. 肉と魚の摂取は1:1の割合にしましょう。
  5. いろいろな種類の肉を食べましょう。
  6. 牛乳は毎日200ml以上飲むようにしましょう。
  7. 野菜は緑黄色野菜(にんじん、かぼちゃ、ほうれん草など)や根菜(大根、ごぼう、いもなど)など、いろいろな種類を毎日食べるようにしましょう。
  8. 食欲がないときは、おかずを先に食べ、ご飯の量を減らしましょう。
  9. いろいろな調理のしかたや、食品の正しい保存法を覚えましょう。
  10. 酢、香辛料、香り野菜(ねぎ、にんにくなど)を十分に取り入れましょう。
  11. 調味料を上手に使い、おいしく食べましょう。
  12. 和風、中華風、洋風といろいろな料理を食べましょう。
  13. 家族や友人との会食の機会をたくさんつくりましょう。
  14. 噛む力を維持するために、義歯は定期的に点検をしましょう。
  15. 「元気」のための健康情報をすすんで取り入れましょう。

※2から6までの5項目が、低栄養を防ぐための動物性食品や油脂類の摂り方に関する項目です。

お肉はタンパク質が豊富で、実はバランス栄養食品です。

野菜よりも鉄分が豊富で、かつ肉は野菜より鉄分の吸収率が5から10倍高い。

またビタミンも豊富で、特にビタミンB1は豚ヒレ肉100gでレモンの17倍含んでいるそうです。

さらにミネラルも豊富なのだそうです。

→ アミノ酸の多い食べ物・食品|アミノ酸を効果的に摂取するにはアミノ酸スコアを知ろう!

野菜不足が気になる方に!

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■10食品群チェックシート

「10食品群チェックシート」は、様々な種類の食材が摂れているかをチェックするシートです。

  • 牛乳(チーズなど乳製品)
  • 大豆
  • 緑黄色野菜
  • 果物
  • 海藻

10食品群チェックシート|PDF(NHKチョイス@病気になった時)

http://www.nhk.or.jp/kenko/choice/pdf/160430.pdf

10品目チェックシート|PDF(NHKためしてガッテン)

http://www9.nhk.or.jp/gatten/pdf/10hinmoku.pdf

■なぜ高齢者になるとタンパク質が不足しがちなの?

なぜ高齢者になるとタンパク質が不足しがちなのでしょうか?

肉料理が苦手だったり、以前は、家族のために栄養を考えて、肉や卵などを使って料理をしていた人が、一人暮らしになってから、自分が好きなものだけを食べることで食が偏るようになって、肉や卵を使った料理を食べなくなってしまったり、食事の量自体が減ってしまったり、中高年の頃からのメタボ対策のための粗食を継続してしまったりすることで、たんぱく質が不足してしまうということがあるようです。

つまりは、中高年(メタボ対策)から高齢者(フレイル対応)への食習慣の移行ができていないために低栄養になってしまっていると考えられます。

【2つの未来予測】1.未病の観点から病気のサインを見つける、2.健康的なライフスタイルがお金のような価値を持つでは、「はっきりとした症状はでていない」「数値には現れないけどなんだか体調がよくない」というときを、健康な体から病気の身体へと向かう途中だと考えるとすれば、その途中で起きる「サイン」に着目して、何らかの対処を行なうことが最も効果的な医療になっていくのではないかと提案しました。

健康 → フレイル(高齢者の虚弱) → 要介護状態

フレイルという考え方はこの考え方に近いもので、高齢者は急に要介護状態になるのではなく、加齢に伴って次第に健康な状態から様々な老化の症状が現れてきて、要介護状態に進んでしまうため、フレイルの段階でしっかりと対策を行なうことにより、要介護の高齢者を少なくしていこうというものだと思います。

多くの人がフレイルという考え方を知り、次第に生活習慣を変えていくことによって、要介護になる人が減っていくといいですね。




→ オーラルフレイルを知って健康寿命を延ばそう|自分の歯が多く保たれている人は、健康寿命が長く、要介護期間が短い|東北大学 について詳しくはこちら




【参考リンク】
続きを読む 「フレイル(高齢者の虚弱)」の段階で対策を行ない、要介護状態の高齢者を減らそう!|厚生労働省

カッコいいお尻をしている女性にお尻の鍛え方を聞いてみたら、意外な答えが返ってきた!




カッコいいお尻をしている女性にお尻の鍛え方を聞いてみたら、意外な答えが返ってきた!
カッコいいお尻をしている女性にお尻の鍛え方を聞いてみたら、意外な答えが返ってきた!

bruce mars|unsplash

最近お尻の筋トレに注目しています。

一つは、お尻のたるみを予防するため(ヒップアップ)。

もう一つは、フレイル・サルコペニア予防のための運動として。

お尻を鍛えるとヒップアップにつながるだけでなく、体のバランス能力を高め、歩行時のふらつきを予防することにもつながり、フレイル・サルコペニア予防にもなると考えられます。

【サルコペニア関連記事】

そこで、カッコいいお尻をしている方ならお尻の鍛え方を知っていると思い、どうやったらお尻の筋肉を鍛えられますか?と質問してみました。

ポイントをまとめてみます。

●(これまで自重に頼った筋トレをしていたのですが、その方によれば)道具を使った方がより効果的

例えば、ケトルベルやゴム(エクササイズバンド)を両足に通してトレーニングするなど。

●お尻だけを鍛えるのではなく、体はつながっているので、体全体(体幹)を鍛えないとダメ!むしろ体幹を鍛えてからお尻トレーニングをしないとトレーニングにならないかも。

●お尻といってもいろんな部位があるので、部位別に鍛えたほうがいい。

●ある程度お尻に筋肉がついてきたら、筋膜リリースをするとさらにヒップアップにつながる。

●筋膜リリースには、ストレッチポールや筋膜リリースガン、テニスボールみたいなボールなどを使うのがおススメ。

●ストレッチポールでストレッチをすると、背筋と肩回りがほぐれてよく眠れる。

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本気でお尻を鍛えている方に聞いてみると、大事なことはヒップアップエクササイズの前に体全体を鍛えることがまず重要で、そして「お尻」といっても一つではなく、部位(筋肉)別に鍛えることを意識すること、道具をうまく活用する方がより効果的に鍛えることができることが分かりました。

■筋膜リリースとは?

近年では、筋膜リリースという筋肉の繊維の束を包んでいる膜である「筋膜」をほぐす方法がメディアで取り上げられています。

筋肉の表面にある「筋膜」にシワができ、そのシワに引っ張られるように筋肉がコリ固まってしまうそうで、全身の筋膜はつながっているため、一部でも硬くなってしまうと、その影響は全身に及び、体のズレや歪みができてしまうそうです。

そこで、筋膜リリースを行なうことで、筋膜をほぐすことで、痛みの緩和・予防や筋肉自体の動きを良くすることを行なうことに注目が集まっています。

【筋膜リリース 関連記事】

■まとめ

インタビューで教えて頂いたことを参考に、ストレッチポールとエクササイズバンドを早速購入しました。

実際にエクササイズバンドを使ってみてトレーニングをしてみると、負荷のかかり方が全然違います。

エクササイズバンドはバンドの種類を変えることでそれぞれの状態に応じて負荷のかけ方も調節ができるのがいいですね。

これから体全体を鍛えつつ、お尻の筋肉を鍛えてヒップアップするトレーニングを行ない、またフレイル・サルコペニア対策としてのトレーニングについても勉強していきたいと思います。







【お尻の鍛え方】