ビットコイン取引所「コインチェック」の騒動から学ぶインターネットによる「つながりすぎた世界」の影響の大きさ|寺田寅彦「流言蜚語」を読もう!

Web

by Martyn Wright(画像:Creative Commons)




■ビットコイン取引所「コインチェック」の騒動から学ぶインターネットによる「つながりすぎた世界」の影響の大きさ

ビットコイン取引所「コインチェック」がNEMの入金・出金・売買停止、不正引き出し(セキュリティ対策問題)がニュースで取り上げられており、MtGOX(マウントゴックス)事件を彷彿させるニュースのため、Twitter上では「コインチェック」がトレンド一位になるなど騒動になっているようです。

マウントゴックス破綻 ビットコイン114億円消失

(2014/2/28、日本経済新聞)

現在は、コインチェック側からの発表がないため状況はわかりかねますが、ただ今回の騒動の起き方は、インターネットによる「つながりすぎた世界」の影響が大きいように感じます。

英国のEU離脱後の経済危機をインターネット・SNSが増幅してしまう!?で紹介したインディアナ大学情報科学・コンピューティング学科でソーシャルメディアとマーケットの研究をする科学者ヨハン・ボレンによれば、「マーケットが下落し始めるとすぐに、それは市場のムードに、そして大衆の心情に影響し、次いでそれがオンラインで増幅される」そうです。

恐慌や取り付け騒ぎというのは、人々が抱えている不安や本当かどうかわからない噂などによって、不安の感情が増幅され、社会全体が混乱を起こした状態のわかりやすい例ですが、インターネットやソーシャルメディアはそうした不安を増幅させる可能性があるということです。

英国のEU離脱後の経済危機をインターネット・SNSが増幅してしまう!?で紹介した『つながりすぎた世界 インターネットが広げる「思考感染」にどう立ち向かうか』(著:ウィリアム・H・ダビドウ)によれば、インターネットが推し進める環境では、物事は超高速で進展するため、問題はもっと早くに積み上がり、頻度も高くなるそうです。

つながりすぎた世界

新品価格
¥1,944から
(2018/1/25 17:27時点)

インターネットが物理的な結びつきをより強固で効率的なものにしている。

この21世紀の情報化社会の神経網は、情報を事実上ただで効率良く運び、かつて独立していたシステム同士を結びつけては相関関係を強めていく。

その結果、社会に存在する正のフィードバックは大幅に増幅される。事故が起きやすく、激しやすく、感染に対して脆弱な社会は、こうして生み出されるのである。

わたしたちはこの流れに適応しなければならない。現行の制度の多くはもっと結びつきの弱い社会を前提に築かれたものだ。

<中略>

カギを握るのはシステム内の正のフィードバックを減らすこと、つまり、結びつきを減じるか断ち切ることだ。

インターネット以前の社会では、情報の伝達スピードが遅いことが「ブレーキ」の役目を果たしていましたが、インターネット後の社会は情報の伝達スピードが速く、今出た情報もすぐに世界に広がってしまう可能性があります。

現代の世の中では、住宅ローンや学校、仕事、引っ越しの物流などの物理的な制限にさらされている。

だから人々が心情などによって分離していくプロセスは、きわめて緩慢に進行していく。

こうした制限が変化のブレーキになる。

だがインターネットのコミュニティではそうしたブレーキが効かない。

コミュニティに賛同するのも容易で、たとえば自分のブログの読み手をSNSのメンバーに加えるなど、リンクをクリックするだけでよい。

人間には自分と似た人間とつながりやすい傾向があるだけに、こうしたITのおかげで結びつきははるかに早く進行する。

そして、より甚大な結果をもたらす。(ニコラス・G・カー)

言い換えれば、インターネットは思考感染を促すということだ。

もし仮にスクープを出した側に誤りがあったとしても、インターネットのコミュニティではブレーキが効かないために、また、人間は自分と似た人間とつながりやすいために、思考感染を促してしまう恐れがあるのです。

ブレーキのような存在がなくなってしまった現代では、自らの判断力がそのブレーキの役目を果たす必要がありますが、世界的にパニックに陥った状況で、冷静な判断をするというのは大変難しいことだと思います。

そして、人々は無自覚に誤っているかもしれないフェイクニュースのような情報を拡散していることも分かっています。

現代人は読まない…。リンク先を見ずにリツイートしまくる人が大半であると判明

(2016/6/22、ギズモード)

リツイートがリツイートをよんでニュースは拡散しても、そもそもツイートに含まれているリンクから元のニュース記事へジャンプして内容を確かめたりしない人が、全体の59%にも達することが示されています。

米国のコロンビア大学、フランスのFrench National Instituteのコンピュータ・サイエンス共同研究チーが、Twitterで拡散されていく、CNN、New York Times、Huffington Post、BBC、Fox Newsへのリンク(短縮URL)が含まれたツイートを分析し、どのようにニュースがSNSの力で拡散されていくかの研究調査を実施したところ、元記事のリンクを読まずにリツイートしている人が全体の59%をしめていることがわかったそうです。

同研究チームのArnaud Legoutさんはこのようなコメントを発表しています。

記事を読むよりもシェアするだけで満足する人が増えている。これこそが現代の情報活用の典型的なかたちだ。ただ要約か、その要約の要約を見ただけで、それ以上は深く調べようともせず、人々の思考が形成されていく。

無自覚にシェアした記事で無意識のうちに思考が形成されていくというのは怖いことですね。




■まとめ

流言蜚語|寺田寅彦

流言蜚語

最初の火花に相当する流言の「源」がなければ、流言蜚語は成立しない事は勿論であるが、もしもそれを次へ次へと受け次ぎ取り次ぐべき媒質が存在しなければ「伝播」は起らない。従っていわゆる流言が流言として成立し得ないで、その場限りに立ち消えになってしまう事も明白である。

私たちは知らず知らずの間に間違っているかもしれない情報を拡散してしまい、その情報をもとに判断してしまう人もいるのかもしれません。

真実を見極める目を持つことが重要だといわれますが、これほど情報にあふれた世界では大変難しいことだと思います。

「魔王」(著:伊坂幸太郎)の中に

魔王 (講談社文庫)

新品価格
¥691から
(2018/1/26 16:41時点)

『おまえ達のやっていることは検索であって、思索ではない-。』

という台詞があります。

自分自身もこの台詞を読んだ後、何かわからないことがあったらすぐに検索してしまい、その情報が本当にあっているのかどうか考えることなくわかったような気になっているなと思わされました。

情報を知ることは大事ですが、その情報を選別し、そして自分の考えにまでするのには、長い時間がかかります。

「自分の中に毒を持て」(著:岡本太郎)ではこのように書かれています。

自分の中に毒を持て<新装版> (青春文庫)

新品価格
¥799から
(2018/1/26 16:42時点)

人生は積み重ねだと誰でも思っているようだ。ぼくは逆に、積みへらすべきだと思う。財産も知識も、蓄えれば蓄えるほど、かえって人間は自在さを失ってしまう。過去の蓄積にこだわると、いつの間にか堆積物に埋もれて身動きができなくなる。

情報にあふれる世の中だからこそ、情報を収集することに追われるのではなくて、反対に情報を捨てていくことがこれからの時代を生きる上では大事なことなのではないでしょうか。

宇野常寛より、新年のご挨拶(全文無料公開)

(2018/1/1、Daily PLANETS)

いま世の中を変えるために必要なのは、もっと「遅い」インターネットだ。

評論家の宇野常寛さんは「遅いインターネット」が必要だと新年のあいさつで述べましたが、情報を自分で咀嚼し、お腹に入れて、それでもいいと思ったものを出すようなスピード感にしていくことが必要なのかもしれません。







【関連記事】

【ネットワーク 関連記事】

【ビットコイン・ブロックチェーン 初心者向け用語集】

<受験生の味方>ココアで計算能力が向上する!?

Cocoa bubbles

by Hilary Perkins(画像:Creative Commons)




森永製菓、ココアの計算能力向上効果など研究結果を発表

(2013/11/12、日経プレスリリース)

今回、新たな研究への取り組みの一つとしてココアの計算能力向上効果に着目し、四天王寺大学の佐藤広康教授との共同研究により、中学2年生、3年生男女207名を対象にした加算計算能力向上試験を実施いたしました。
その結果、ココアまたは対照飲料(キャラメル風味飲料)を摂取してから45分後に、ココアの摂取群は対照飲料摂取群に比較して回答数および正答数ともに有意に増加したことが判りました。

森永製菓と四天王寺大学の佐藤広康教授との共同研究によれば、ココアには計算能力向上に効果があるということがわかったそうです。




■ココアに含まれる計算能力向上に役立つ成分とは?

ココアに含有されるカカオポリフェノールやテオブロミンに認知能力の向上が期待できるとの報告が数多くあります。

<中略>

カカオポリフェノール、テオブロミンはともに摂取後1~2時間以内に血中濃度がピークに達すると報告されており、今回の結果である計算能力向上効果はこれらココア含有の有効成分の作用効果であると考えられます。

ココアに含まれるカカオポリフェノールやテオブロミンに計算能力向上効果があることが考えられるそうです。

ココアには今回の計算能力向上の効果だけでなく、冷え性の改善やインフルエンザウイルスへの抵抗性も期待されるそうなので、受験生にはおすすめの飲み物と言えそうですね。







【ココア 関連記事】

  • ココアを飲むと2型糖尿病患者の善玉コレステロールが増加した!?
  • 幸せになるには、幸せを手に入れるのではなくて、幸せを感じることのできる心を手に入れるという考え方にスイッチを切り替える

    happy

    by Carmela Nava(画像:Creative Commons)




    「人生の目的は幸福になることである」という考え方があります。

    でもこの言葉の受け取り方を間違えると、幸せになるどころか、不幸になってしまうかもしれません。

    それは、幸せになる=幸せを手に入れるという考えを持ってしまったら、常に幸せを追い求めてしまい、いつまでたっても幸せに対する不足を感じてしまうからです。

    では「幸せになる」とはどのようにとらえればよいのでしょうか?

    今ある幸せを感じることができれば、どんな時でも幸せなままでいることができます。

    ないものを数えるのではなく、あるものを数える考え方です。

    幸せは手に入れるものじゃなくて、今すでにあるものなのでしょうね。







    【関連記事】

    私たちは心の中にとっておくべき瞬間が分かっていない?!|人は普通の日常を思い出すことで幸せを感じる

    Tenryū-ji Temple, Kyoto

    by John Gillespie(画像:Creative Commons)




    幸せを記録するなら、何気ない日常こそが大切:研究結果

    (2014/9/15、ライフハッカー)

    専門誌『Psychological Science』に発表された最近の研究によれば、人は平凡な瞬間を思い出すことで幸せを感じるそうです。

    <中略>

    カプセルを開けて実際に記憶の小道をたどる時が来ると、数か月前の自分の生活を垣間見ることこそが、心打たれる要因だとわかったのです。つまり、ごく普通の日常にこそ、喜びを感じる要素があるということです。

    人が思い出を残そうと思うときは日常の風景ではなく、非日常に起きた時が多いのではないでしょうか。

    【関連記事】

    しかし、今回の記事によれば、ごくふつうの何気ない日常にこそ喜びを感じられるということがわかったそうです。

    そして、今回の記事では、胸に刺さる言葉が書かれていました。

    それは私たちは心の中にとっておくべき瞬間が分かっていないということです。

    今この瞬間とは何気ない日常で、まるで当然のものと思ってしまいがちです。

    しかし、日常生活の平凡な瞬間にこそもっと光を当てる必要があるのではないかということですね。

    別の研究で、日々の退屈な部分を思い出したり、味わったりしないことが原因で、私たちはどれだけ幸福感を失っているかを調べた研究もあります。この研究の参加者たちはパートナーとの平均的な日々を回想することで感じられる喜びの大きさを著しく低く見積もっていました。特別なバレンタインデーの思い出の方がずっと幸せを感じられると誤解していたのです。

    どちらかといえば非日常のイベントのほうが幸せを感じられると思いがちですが、実際は、日常の何気ない一瞬を記録していくほうが幸せを感じられるというのはすごく大事なことですよね。







    【関連記事】

    P.S.

    最後に、自分撮りとSNS中毒者への警告を一言:「スマホでとにかく写真を撮ればいい」と考えるのはやめたほうがいいです。過剰な自撮りも良くないのです。瞬間をとらえようとすると、その瞬間が楽しめなくなりがちです、とZhang准教授は指摘しています。大切な瞬間は注意深く選択して味わいましょう。

    写真の撮り過ぎで記憶が薄れる?で紹介しましたが、米フェアフィールド大学の心理学者、リンダ・ヘンケル氏の研究によれば、写真を撮ることによって、記憶することを写真に頼ってしまい、忘れっぽくなってしまうということでしたが、もしかすると写真を撮るという作業によって、記憶することに集中ができなくなるとは考えられないでしょうか。

    大事な一瞬を写真や映像に残したいという気持ちはわかりますが、過剰に撮るのは大切な瞬間を味わえていないのかもしれません。

    人間の眼はもっと広く見ることができるにも関わらず、カメラのレンズ越しに覗くということは、カメラの四角に切り取られてしまうということです。

    「俺たちのフィールド」というマンガで日本が初めてワールドカップに出場が決まる瞬間があり、そこで日本代表を追いかけていたカメラマンの女性が言ったセリフが印象的です。

    「ファインダー越しなんか・・・もったいなくって」

    「私はこの瞬間が観たかったんだ」

    本当に見たいものはカメラのファインダー越しで見るよりも、自分の目に焼き付けたいと思うものではないでしょうか。

    先ほどの記事で紹介した米フェアフィールド大学の心理学者リンダ・ヘンケルさんが語っていることも印象的です。

    「人々は何かというとすぐにカメラを取り出しては、ほとんど何も考えずにシャッターを切っている。目の前で起きていることを捉え損ねるほどだ」

    最近は、何でも写真に撮ろうとしますよね。

    ただ、カメラで撮ることに夢中で、目の前で起きていることを本当に捉えてはいないのかもしれません。

    【関連記事】

    「アンダーマイニング効果(面白いことでもお金稼ぎが目的になると楽しめなくなり、自発的なやる気が低下する)」を脳科学実験で確認|玉川大など

    Money

    by Pictures of Money(画像:Creative Commons)




    ■「アンダーマイニング効果(面白いことでもお金稼ぎが目的になると楽しめなくなり、自発的なやる気が低下する)」を脳科学実験で確認|玉川大など

    お金目当てでは楽しめない=脳科学実験で初確認-教育上の参考に・玉川大など

    (2010/11/16、時事通信)

    面白いことでもお金稼ぎが目的になると楽しめなくなり、自発的なやる気が低下することが、脳活動の変化として裏付けられた。

    玉川大の松元健二准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らが15日までに行った実験の成果で、米科学アカデミー紀要電子版に発表される。

    これまで心理学の行動実験では知られていたが、脳科学実験で確認されたのは初めて。

    教育上の参考になりそうだ。

    玉川大の松元健二准教授やドイツ・ミュンヘン大の村山航研究員らが行なった脳科学実験によれば、面白いことでもお金稼ぎが目的になると楽しめなくなり、自発的なやる気が低下することが、脳活動の変化として表れたそうです。

    【参考リンク】

    ボランティア活動も自発的に無報酬で行なう時にはやる気があっても、報酬を与えられて仕事としてやると、なぜだかやる気が出なくなるということがあります。

    やる気と報酬の関係について1 -アンダーマイニング効果-|京都橘大学

    人が自発的に進んでやっていること(専門的には、内発的動機づけに基づく行動といいます)に金銭的報酬が与えられると、一時的に行動は増えますが、その報酬がなくなると行動(やる気)は減少してしまうという現象です。自発的な行動とは、例えばスマホのゲームや、お年寄りに席をゆずるなど、進んで行っている行動と考えてください。もともとは何の報酬もなく行っていた行動に対して、1回すればいくらもらえるという金銭的報酬が与えられると、その報酬がなくなれば、自発的な行動は減少してしまう可能性があるということです。

    元々自発的に進んで行動していた(内発的動機づけに基づく行動)のに、その行動に対して報酬を与えられる(外発的動機づけ)と、やる気が減少してしまうということを「アンダーマイニング効果」というそうです。

    今回の脳科学実験はその「アンダーマイニング効果」が存在することを証明する一つのデータといえそうです。

    【参考リンク】

    • アンダーマイニング現象の意味(1)  ~ デシの実験 ~







    【教育 関連記事】

    このブログは、 テレビやニュースの健康情報を “ばあちゃんの台所レベル”まで落とし込み、 実際の料理と生活にどう使うかをまとめた記録です。本サイトでは、 栄養学・食事指導・健康情報を、 家庭料理の実践・調理工程・生活習慣という観点から再構成し、 再現可能な生活知として整理・記録しています。