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ローマ教皇、死因は脳卒中と心不全。高血圧や糖尿病も患っていた。

ローマ教皇、死因は脳卒中と心不全-慈悲の教会目指した指導者(2025年4月22日、Bloomberg)によれば、88歳で死去したローマ教皇フランシスコの死因は、教皇庁が発表した死亡証明証に基づく声明によると、脳卒中による昏睡と心不全だったそうです。

教皇は2月中旬に気管支炎で入院、両肺の肺炎へと悪化していていて、2月14日から約5週間入院し、2度にわたり命の危ない状況に陥っていました。

晩年は健康状態の悪化が報じられており、ローマ教皇の死因は脳卒中と心不全、バチカンが発表…遺言で質素な墓を希望(2025年4月22日、読売新聞)によれば、高血圧糖尿病も患っていたことも明らかになったそうです。

■心不全とは?

心不全とは、心臓の働きが不十分なことが原因で起きている体の状態のことで、病名ではないそうです。

心不全の症状としては、血液を送り出す能力の低下による症状と血液のうっ滞によって起こる症状があります。

血液を送り出す能力の低下による症状としては、心拍出量が減ったことが原因で、「疲れやすい」「だるい」「動悸がする」などの症状があります。

血液のうっ滞によって起こる症状としては、血液を送り出す能力が低下すると、心臓から前方へ血液が進みにくくなり、心臓の後方、血液を受け取る側で血液のうっ滞が起こります。

心不全の種類、程度、原因が様々あるように、その症状も多様で、紹介した症状が全ての患者さんに当てはまるわけでもなく、また、紹介した症状があるからといって心不全と判断できず、また他の病気の可能性もあるそうです。

息切れや動機、疲労感というのは年齢のせいかなとも思ってしまう症状ですので、自己判断が難しいようですね。

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■心不全になりやすい人とは?

●血糖値が高い糖尿病患者

血糖値高い糖尿病患者ほど心不全にー国循研究センターで紹介した国立循環器病研究センターによれば、血糖値が高い糖尿病患者ほど心不全で入院する割合が多いということから、血糖値と心不全には関係があることがわかったそうです。

「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」は、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、赤血球の寿命が長いため、過去1~2カ月の血糖状態を把握できます。

HbA1cが8.4%以上のグループでは心不全入院が多かったそうです。

また、心筋梗塞の持病をもともと持っている患者では、HbA1cが 8%以上と6.9%以下で心不全の危険性が高まる傾向にあり、心筋梗塞の持病をもともと持っていない患者では、HbA1cが低い方が心不全が少ない傾向がわかったそうです。

●メタボリックシンドローム

慢性心不全患者:メタボの人の割合、一般の2倍--厚労省が全国調査で紹介した厚生労働省研究班の全国調査によれば、慢性心不全患者の人は、メタボリックシンドロームの人の割合が一般の人の2倍以上であることそうです。

メタボを放置すると心筋梗塞(こうそく)を発症し、慢性心不全へと移行する可能性が示唆されています。

●高血圧

心不全の原因は様々で、心筋梗塞などの心臓病だけでなく、高血圧で心臓に負担がかかっている場合も心不全の原因となるそうです。

高血圧以外にも、動脈硬化やアルコール、遺伝、感染症が原因となって心臓病になり、過労やストレス、暴飲暴食、風邪などの因子が加わって、心不全の症状が現れるそうです。

●鉄分不足

心臓は1日に約10万回鼓動していて、加齢とともに心臓機能は落ちていきます。

心臓では収縮や拡張が繰り返されていますが、心臓の機能が弱くなると、十分な血流を送ることができずに、心不全に陥りやすくなってしまいます。

いま心臓が衰えた人が増えているそうで、例えば、体を動かすと息切れを起こす、疲れやすいという方は、心不全の一歩手前の心不全の予備軍の可能性があります。

心臓の機能が低下・衰えている理由として、心臓に必要な栄養素が足りていないのではないかという説があるそうです。

その栄養素とは、「鉄分」。

身体の中には、3~5gの鉄分(釘1本分)が含まれていて、鉄分を含むヘモグロビンが全身に酸素を送っています。

また、鉄分は筋肉を動かすエネルギー源になり、鉄分が不足することによって心臓も動きが悪くなると考えられます。

スタミナアップ!ミトコンドリアを増やす2つの方法|ためしてガッテン 8月26日によれば、「鉄」はミトコンドリアがATP(エネルギー)を作り出すのを助ける働きをしてくれるそうです。

そこで、鉄分を補給することによって、心不全を予防できるのではないかという説が立てられたのです。

→ 鉄分の多い食品 について詳しくはこちら

●新型コロナウイルス感染

コロナ感染が心不全のリスクを高める?によれば、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の持続的な感染が心不全のリスクを高める可能性があることを、ヒトiPS細胞を用いた実験で明らかにしました。

■心不全のサイン

【たけしの家庭の医学】握力を鍛えて血管年齢若返り!NO分泌入浴法のやり方!によれば、握力を維持できていない人は心血管疾患による死亡リスクが高いと考えられ、反対に握力が維持できている人は心血管疾患による死亡リスクが低いそうです。

【補足】

握力が強いほど長生き?|循環器病の発症リスクも低い|厚生労働省研究班(2012/2/20)

厚生労働省研究班の約20年間にわたる追跡調査によれば、握力が強いほど長生きする傾向があり、死亡リスクだけでなく、心臓病や脳卒中といった循環器病の発症リスクも下がっていたことがわかったことで、健康状態を表す指標として、握力が使える可能性があるそうです。

”#血圧サージ”が危ない~命を縮める血圧の高波~|タオルグリップ法(ハンドグリップ法)|#NHKスペシャル #ガッテンで取り上げたカナダ・マクマスター大学の研究者によれば、8週間のアイソメトリックハンドグリップ(IHG)トレーニングをしてもらったところ、血圧が低下し、動脈の拡張能力が増加することがわかったそうです。

高血圧の代替療法として効果的なのはウォーキングなどの「有酸素運動」と「ハンドグリップ法」であるとして、その理由として、有酸素運動やハンドグリップ法をすると、血管の内皮細胞から血管の壁を柔らかくして血管を広げる作用がある一酸化窒素が出てくるためと紹介されています。

握力は健康のバロメーター!?|握力低下は心臓発作・脳卒中リスク増加に関連(2015/5/15)

カナダ・マクマスター大学(McMaster University)が主導した国際研究チームは、握力が健康のバロメーターになる可能性についての研究を行ない、その結果、握力が低下すると、心臓発作や脳卒中の発症リスクの増加に関係していることがわかったそうです。

具体的には、握力が5キロ低下するごとに、何らかの原因による死亡リスクが16%増加する関連性が認められ、この握力低下は、心臓発作リスクの7%増、脳卒中リスクの9%増にそれぞれ関連していたそうです。

■まとめ

ローマ教皇の死因が脳卒中と心不全であり、心不全になりやすい人の特徴として糖尿病や高血圧を思っている方がなりやすいということが当てはまっています。

心不全が急激に増えている 「心不全パンデミック」時代の3つの予防法

(2018/10/12、保健指導リソースガイド)

心不全が増加している理由は、心不全の原因になる心筋梗塞や狭心症などの心臓病が増えていること。心臓病を起こす最大の原因は「動脈硬化」だ。

<中略>

心不全の患者は、超高齢社会において急激に増え続けると予想されており、専門家の間では「心不全パンデミック」とも言われている。

心不全が増加しているのは、動脈硬化の増加→心臓病(心筋梗塞・狭心症など)の増加であり、超高齢化社会においては心不全の患者は急激に増えることから「心不全パンデミック」といわれています。

心不全による入院患者数は、2012年の約21万人から2016年には約26万人と、毎年1万人ずつ増加しているそうです。

ニュースを見ていると心不全で亡くなった有名人の方のニュースをよく見かけるため、新型コロナウイルスの後遺症やワクチンの副作用によるものを疑う声も多いのですが、実は大きなトレンドとして超高齢化社会においては心不全の患者が増えるというものがありました。

そのため、今後注目すべきは心不全の患者の増加のスピードが以前よりも増えているのかどうかを見ていくこと(超高齢化社会以外に別の要因があるのかどうか)、そして心不全を予防するには、内臓脂肪を減らしてメタボを改善して動脈硬化を防ぐこと、定期検査をして早期発見をすることですね。

→ 動脈硬化改善・予防に良い食べ物 について詳しくはこちら

モーニングサージ予防法!寒い冬の朝に急激に血圧が上がる人は心筋梗塞や脳卒中が2.47倍高い!【めざまし8】




2025年2月4日のめざまし8では「モーニングサージ」について特集しました。

日本人2万1千人を対象にしたある研究によれば、日中は血圧値が正常にもかかわらず、早朝高血圧が145mmHg以上かつ診療所血圧が130mmHg未満の患者では、早朝高血圧が125mmHg未満かつ診療所血圧が130mmHg未満の患者と比較すると、心筋梗塞脳卒中などの心血管疾患リスクが2・47倍高いそうです。

【参考リンク】

血圧が瞬間的に急上昇することを「血圧サージ」といいます。

血圧は1日のうちでも朝の起床前後に上昇しやすくなり、この目覚めの前後で急激に血圧が上昇することを「モーニングサージ」「早朝高血圧」と呼びます。

■モーニングサージが起きやすい人の特徴

・高齢者(65歳以上)
・血糖値が高い人
・コレステロール値が高い人
・アルコール多く飲む人

動脈硬化の危険因子が、高血圧脂質異常症高脂血症)、糖尿病、肥満、喫煙、運動不足、偏った栄養バランスの食事(動物性脂肪の多い高カロリー食など)、アルコール、加齢、ストレスの有無と言われていますので、モーニングサージに特に気を付けるというよりも、動脈硬化にならないようにいかに予防していくかが重要になりますね。

■モーニングサージ予防法

■室温を保つ

番組では、起床時の室温は20~22℃程度が最適で、WHOによると、室温が18℃未満だと高血圧のリスクが高くなると紹介しました。

よく血圧が高い人は寒暖差に注意が必要といわれますよね。

冬(1月・2月)は心筋梗塞・脳梗塞が起こりやすい季節!?で紹介した死亡月別にみた心疾患-脳血管疾患死亡(厚生労働省)によれば、月別の死亡者数を比較すると、心筋梗塞などの心疾患、脳卒中・脳梗塞などの脳血管疾患による死亡は冬(1月・2月)に多いことがわかります。

また、家の中の温度差や熱い風呂で心筋梗塞|たけしのみんなの家庭の医学 1月25日によれば、温度の高い場所では熱を放出しようと広がり、温度の低い場所に移動すると、今度は熱を逃がさぬよう収縮するため、血圧が急激に上昇し、この温度差が大きいほど血圧は上がり、危険度が増してしまうのです。

断熱改修等で室温を安定させることが高血圧予防につながる!によれば、室温が年間を通じて安定している住宅では、居住者の血圧(最高血圧、最低血圧ともに)の季節差が顕著に小さく、安定しているということがわかってきているそうです。

局所暖房(例:居間のみを暖める暖房)よりも、住宅全体を暖房する方が高血圧予防の観点から見ると好ましいということも示唆されています。

つまり、住宅全体を暖房することにより室温を安定させることが血圧の安定、高血圧予防につながるということですよね。

●スルフォラファン(ブロッコリースプラウト)

番組ではブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンが動脈硬化予防に役立つと紹介していましたが、アブラナ科の野菜を定期的に摂取すると、心血管疾患のリスクを減らす予防的な食事療法になる可能性があるそうです。

【参考リンク】







ベジタリアンは脳卒中の発生率が高い!考えられる理由とは何?




英国の研究によれば、菜食主義者(ベジタリアン)と魚を食べる人は肉を食べる人よりも虚血性心疾患の発生率が低かったが、ベジタリアンは脳卒中の発生率が高かったそうです。

【参考リンク】

なぜベジタリアンの人は脳卒中のリスクが高いのでしょうか?

日本で行われた複数の研究の結果では、動物性食品の摂取が非常に少ない人は出血性脳卒中や脳卒中の発症率や死亡率が高く、虚血性脳卒中の死亡リスクも高い可能性があることが示されており、動物性食品の摂取に関連するいくつかの要因が脳卒中の予防に効果がある可能性が示唆されている。

【参考リンク】

  • Kinjo Y, Beral V, Akiba S, et al. Possible protective effect of milk, meat and fish for cerebrovascular disease mortality in Japan. J Epidemiol1999;9:268-74. doi:10.2188/jea.9.268 pmid:10510585
  • Sauvaget C, Nagano J, Allen N, Grant EJ, Beral V. Intake of animal products and stroke mortality in the Hiroshima/Nagasaki Life Span Study. Int J Epidemiol2003;32:536-43. doi:10.1093/ije/dyg151 pmid:12913025
  • ↵Takeya Y, Popper JS, Shimizu Y, Kato H, Rhoads GG, Kagan A. Epidemiologic studies of coronary heart disease and stroke in Japanese men living in Japan, Hawaii and California: incidence of stroke in Japan and Hawaii. Stroke1984;15:15-23. doi:10.1161/01.STR.15.1.15 pmid:6695420
  • Sauvaget C, Nagano J, Hayashi M, Yamada M. Animal protein, animal fat, and cholesterol intakes and risk of cerebral infarction mortality in the adult health study. Stroke2004;35:1531-7. doi:10.1161/01.STR.0000130426.52064.09 pmid:15166397

動物性食品をお肉と考えると、お肉と脳卒中については何度か取り上げています。

アルブミンを増やすには?方法・食事・食品|肉を食べてアルブミンを上げたグループは死亡リスクが低い!?によれば、アルブミンとヘモグロビンとは「たんぱく質」から作られる成分のことで、血中で様々な栄養素やホルモン、酸素を運び、身体中の細胞を活性化させるという、重要な働きがあります。

年を重ねてからアルブミンとヘモグロビンが不足すると、身体中に栄養と酸素が行き届かず、細胞が脆くなり、その結果、脳卒中心筋梗塞といった血管の病を引き起こしやすくなるのです。

→ アルブミン・ヘモグロビン不足でPEM(たんぱく質・エネルギー欠乏症)|たけしの家庭の医学 について詳しくはこちら

低栄養の原因はアルブミン不足|ためしてガッテン(NHK)も紹介しましたが、昭和40年以降、日本食+欧米食になったことで、今までの植物性食品や魚に加えて、牛乳・乳製品、肉類、卵類の動物性食品・油脂を摂取するようになったことが寿命が延びている理由と考えられるようです。

こうした食生活の変化によって、血管をしなやかで丈夫に保つために必要な栄養素(質の良い動物性のたんぱく質やコレステロールなど)が摂取でき、血管が弱っておこる脳卒中(脳出血・脳梗塞)が減少し、平均寿命が延びたと考えられます。

つまり、適度に欧米化された食生活により、質の良い動物性たんぱく質やコレステロールを摂取することになったことで、日本人の平均寿命は大きく延びたということです。

動物性食品に対して悪いイメージを持っている人もいるかもしれませんが、動物性食品に含まれる栄養素は血管をしなやかで丈夫に保つための必要な栄養素を含んでいますので、ぜひバランスよく摂取してほしいですね。







糖尿病の新たな診断指標「TIR(ティーアイアール)」とは?CGM(シージーエム)による血糖値のリアルタイム計測によって生まれた血糖値管理で高血糖と低血糖を回避する!




糖尿病の血糖値管理きめ細かく ~持続測定で変動把握~(2024年12月5日、時事通信)によれば、糖尿病患者の血糖値測定で、持続的に数値をモニターする方式への関心が高まっているそうです。

糖尿病のこれまでの診断基準は、空腹時血糖値または食後血糖値を基準に診断されていましたが、血糖値は、食事や運動の影響を受けやすく、検査前の一時的な節制をすることで数値が変わってしまい、より適正な診断ができない可能性がありました。

隠れ糖尿病の原因となる脂肪肝と脂肪筋の簡単改善法のやり方!|#ためしてガッテン(#NHK)によれば、隠れ糖尿病とは、空腹時は正常な血糖値であっても、食後は基準値以上の血糖値=高血糖になってしまう状態のことをいいます。

隠れ糖尿病と普通の糖尿病との違いは、普通の糖尿病は空腹時の血糖値が高いのですが、隠れ糖尿病は、空腹時の血糖値は正常であるため、通常の健康診断では見つけるのが難しいのです。

そこで注目されたのが、ヘモグロビンA1c(HbA1c)。

HbA1cは、赤血球に含まれるヘモグロビンにブドウ糖が結びついたもので、赤血球の寿命が長いため、過去1~2カ月の血糖状態を把握できます。

HbA1cを診断基準として導入すると、短期間の血糖の状態ではなく、長期的に見た血糖状態が把握できることで、より適切な判断ができるということのようです。

ただこのHbA1cは長期的に見た血統状態の把握に向いているのですが、「一日の中で血糖値が上下動する様子は捉えられない」という弱点がありました。

そこで新たな評価指標「TIR(Time in range)」が用いられるようになってきているそうです。

血糖値が一定の範囲内(1デシリットル当たり70~180ミリグラム)にある時間が長いほど合併症などのリスクが低くなるという考え方に立ち、通常はこの時間帯を全体の70%以上とすることを目指す。海外のある研究では、TIRが85%超の患者はそれ以下の患者と比べて死亡率が低かったといい、鈴木教授は寿命への影響について「直接的には分からないが、ちょうどいい時間帯が長い人と短い人では死亡率に差があることが示唆されている」との見方を示す。

TIRはCGM(Continuous Glucose Monitoring、持続血糖測定器)によって血糖値をリアルタイムで計測できるようになったからこそ、生まれた考え方ですね。

そして今回の記事でもうひとつ興味深いのは低血糖の回避にもポイントがあること。

低血糖症には空腹時低血糖と反応性低血糖があるによれば、低血糖の症状としては、軽~中程度では、冷や汗・手指の震え・動悸があり、重度では、集中力の低下・意識の錯乱があり、低血糖を繰り返すと血糖値のコントロールが効きにくくなり、さらには、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす可能性があるそうです。

低血糖でも脳梗塞リスクがある?|ヘモグロビンA1cが低くても脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がる|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターなどのチームによれば、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が高い場合だけでなく低くても脳梗塞心筋梗塞のリスクが上がるそうです。

血糖値の下がり過ぎにも多くの危険が潜み、心筋梗塞や不整脈などの心血管疾患を発症したり、認知機能が低下したりしやすくなる。重症低血糖になると、体のけいれんや昏睡(こんすい)といった症状が表れ、自力で対処できない羽目に陥る。2型糖尿病患者を対象とした米国の長期研究では、救急搬送が必要なほどの重症低血糖に1回なると、認知症の発症リスクは1.26倍、2回だと1.80倍、3回以上だと1.94倍に上昇するとの結果が報告された。

 こうした弊害を考慮し、上記の新指標では血糖値70未満の時間帯を4%未満にとどめるよう求められる。

衆安保険の「糖尿病保険」はIoTとダイナミックプライシングを活用した新しい保険商品!で紹介した糖尿病患者を対象にした保険は、血糖値測定器で定期的に血糖値のデータをとり、正常値の場合や生活習慣の改善によって血糖値が規定値を下回った場合に価格が変動するというものです。

これまでにも健康診断の数値や喫煙の有無に応じて保険料を割り引く保険商品をいくつも紹介してきましたが、「糖尿病保険」の場合は、健康を維持するもしくは改善することによって保険金が「加算」されます。

このアイデアとCGM(Continuous Glucose Monitoring;持続血糖測定。皮下にセンサーを挿入して血糖値を測定する医療機器)による血糖値のリアルタイム測定が組み合わされば、糖尿病だけでなくそのほかの病気を未然に防ぐものになるではないでしょうか?

今後注目です。

→ 血糖値とは|血糖値を下げる食品・正常値・空腹時血糖値・食後血糖値 について詳しくはこちら







【関連記事】

塩分の摂取を制限(減塩)|おすすめの健康的ライフスタイル10箇条

ハクライドウがこれまで培ってきた約20年の健康情報をまとめた10箇条を紹介します。

あなたの健康的なライフスタイルにこの10箇条を取り入れていきましょう。




【目次】

■塩分と健康の関係

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by Dubravko Sorić(画像:Creative Commons)

●高血圧

血液中の水分量をコントロールしているのが塩分です。

血液中の塩分が適量であれば、血液中の水分量も正常で、血流も正常になります。

しかし、塩分には水分を引き寄せる働きがあり、血液中の塩分が多くなると、それだけ引き寄せられる水分量も多くなるため、血液の水分量も増加してしまい、血管の壁にかかる圧力が高くなってしまう、つまり、高血圧になると考えられます。

塩分の摂り過ぎ

→血液中の塩分濃度が高まる

→体が血液中の塩分濃度を薄めようと働くため(浸透圧を一定に保つ)、血液中に水分が取り込まれる

→血管の中の血液の量が増えることによって、血管に圧力がかかり、また、心臓への負担も大きくなる

血圧が上がる

→高血圧

→ 高血圧とは|高血圧の症状・食事・予防・原因・対策 について詳しくはこちら

●腎臓

【#世界一受けたい授業】腎臓にいい食べ物・腎臓に悪い食生活とは・CKD(慢性腎臓病)(横尾隆)

塩分の多い食事を続けると腎臓に負担がかかります。

「慢性腎臓病」が悪化すると、老廃物が血管の内皮細胞を傷つけることによって、脳卒中、心筋梗塞など血管の病気になるリスクが高くなります。

腎臓は『肝腎連関』『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要|#NHKスペシャルで紹介した京都大学大学院医学研究科の柳田素子教授によれば、腎臓は『心腎連関』『脳腎連関』『肺腎連関』『肝腎連関』など臓器同士が連携するネットワークの要となっているそうです。

腎臓が悪くなると他の臓器も悪くなるので、いかに腎臓を健康に保つかはとても大切なのです。

腎臓に良い食事としては、塩分を減らす工夫、つまり減塩を行なうこと。

厚生労働省によれば、一日の塩分の目安は、男性8g、女性7gで、日本人の平均は12.3gなのだそうです。

カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維には、増えすぎた塩分を効率よく体外へ排出させる効果があります。

カリウムは、血液での濾過装置である腎臓に作用すると考えられており、余分な塩分をより多く体外へ排出すると考えられています。

■閉経後の女性は塩分をため込みやすくなる!?

閉経期高血圧とは?予防する方法|閉経している女性は塩分をため込みやすくなる原因とは!?

私たちが摂取した塩分は体内を巡り、その2割程度が汗などで外に出ます。

そして残りの8割は一定の時間が経つと、腎臓からほぼ全て排出されます。

しかし、女性の中には尿によって塩分をうまく出せず、体内に溜め込んでしまう人がいます。

それは、閉経している女性です。

「閉経期高血圧(へいけいきこうけつあつ)」とは、閉経によって血圧に異常が出ることで、近年の研究で明らかになってきたそうです。

閉経前の女性は、卵巣から女性ホルモン「エストロゲン」が分泌されています。

このエストロゲンは月経を促すだけでなくに、塩分を尿で排出させる腎臓の働きを活性化させる役割もあるそうです。

閉経前にエストロゲンが正常に分泌されている間は余分に塩分を摂ったとしても腎臓が尿として排出してくれるため、体に塩分が溜まりにくいのですが、閉経を迎えて、エストロゲンの分泌が著しく低下すると、腎臓の機能も急激に低下し、うまく塩分を排出できない状態になってしまうそうです。

そのため、閉経後は女性の方が血圧のコントロールが難しくなり、心筋梗塞や脳卒中になる人が増加すると考えられます。

■食塩摂取量の基準

食塩をとり過ぎると血圧を上げるといわれています。

日本人の食事摂取基準(2015 年版)の概要|厚生労働省によれば、2015年4月1日より日本人のナトリウム(食塩相当量)の食事摂取基準を男性は1日9グラム→8グラム未満に変更され、女性は1日7.5グラムから7グラム未満に変更しました。

高血圧治療ガイドライン2014|日本高血圧学会

日本人の食事摂取基準(2010年版)では,成人において今後 5年間に達成したい食塩摂取の目標量として男性 9.0 g/日未満,女性 7.5 g/日未満を設定しているが55),平成21年国民健康・栄養調査では,男女とも約70%がこの目標量を超える食塩を摂取していると評価された。また,2012年策定の健康日本 21(第2次)では,2022年までに国民の平均食塩摂取量を8.0 gにすることを目標にした56)。2012年に発表された世界保健機関(WHO)のNa摂取量に関するガイドラインでは,一般成人の食塩摂取量を5 g/日未満にすべきとしており57),本邦の現状はこれに遠く及ばない。

高血圧治療ガイドラインによれば、食塩摂取量は一日6グラム未満となっていますが、WHOの掲げるナトリウム摂取量はさらに低く5グラム未満となっているそうです。




■減塩対策

●調理方法や調味料を変えたり、醤油さしを変える

高血圧の予防には「減塩」|血管を若返らせるプロジェクト|たけしの本当は怖い家庭の医学

  • 「ビニール袋を使った減塩浅漬け」など調理方法を工夫する。
  • 醤油の代わりに「酢」を活用する。
  • 醤油さしを「ミスト式醤油さし」や「ラー油式醤油さし」に変更することで、醤油の使用量を減らす。

●トロトロ減塩法

高血圧によい醤油!?血圧を下げる「まめちから大豆ペプチドしょうゆ」|トロトロ減塩法|#サタプラ

トロトロ減塩法とは、簡単に言うと、調味料を減らしたあんかけにすることです。

料理に使う調味料の量を減らし、代わりに水溶き片栗粉で溶かした調味料であんかけを作る方法です。

あんかけにすることによって、とろみがつくと、舌の上に残る時間が長くなり、塩分を減らしても、満足できるそうです。

使い方のポイントとしては、例えば、野菜炒めの場合は、水溶き片栗粉で溶かした調味料を火を止めてから入れること。

そうすることで、ダマになりにくくなります。

その他にも、ぶり大根(調味料を半分にしてあんかけ)や唐揚げ(下味をつけず後であんかけ)、卵焼きにも活用できるそうです。

●減塩レシピ

●ソルトチップ

高血圧を予防をするために必要なことは「減塩」なのですが、減塩食を作るのは大変だと感じる人も多いのではないでしょうか?

今回見つけたのは、塩味が薄い食べ物でも塩味を感じることができて、自然に減塩ができるという減塩技術です。

独自の減塩技術「ソルトチップ」とは?|高血圧を予防するポイントは「減塩」!

ソルトチップ(微量の食塩を含むチップ)を歯の裏に貼り付けて、塩味が薄い食事であっても塩味が感じられることで、減塩を行ないます。

●カリウム

塩分(ナトリウム)の多少に関わらず、カリウムの量が少ないと高血圧になりやすい!?

韓国の翰林大学校医科大学を含む研究グループによれば、ナトリウムの多い少ないに限らず、カリウムの量が少ないと高血圧になりやすいことがわかったそうです。

高血圧を予防・改善する食事療法「DASH(ダッシュ)食」とは?増やす食品・減らす食べ物によれば、DASH食とは、米国立保健研究所などが提唱している高血圧患者のための食事療法のことで、簡単に言えば、1 野菜・果物・低脂肪の乳製品を充分摂る、2 肉類および砂糖を減らす、という食事をすることです。

カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維には、増えすぎた塩分を効率よく体外へ排出させる効果があります。

カリウムは、血液での濾過装置である腎臓に作用すると考えられており、余分な塩分をより多く体外へ排出すると考えられています。

■まとめ

貧乏な人ほど生活習慣は不健康!?|人は(時間・お金・食べ物など)不足を認識したとき行動が変わる!

貧困は「人格の欠如」ではなく「金銭の欠乏」である|TED

貧乏な人ほど 借金が多く 貯金は少なく 喫煙者が多く 運動する人は少なく 酒飲みは多く 食習慣も不健康です

貧乏な人ほど、不健康な習慣を持っている人が多いため、「貧乏な人には欠けている部分(自制心など)がある」、極端に言えば「自業自得である」という意見を持つ人もいます。

そこで多くの人は、貧困の人に対して、健康になるために、生活習慣を改めようというアドバイスをしてしまいがちです。

しかし、歴史家のルトガー・ブレグマンさんの動画を見ると、そのアドバイスはまちがいかもしれません。

歴史家のルトガー・ブレグマンさんが調べたアメリカの心理学者の論文によれば、

「貧困生活の影響は 知能指数が14下がるのと同じこと」

なのだそうです。

また、プリンストン大学のエルダー・シャフィア教授によれば、人は不足(時間・お金・食べ物を含む)を認識したとき行動が変わるそうです。

その人が愚かだから 愚かな選択をしているのではなく どんな人であっても 愚かな選択をしてしまうような 状況に置かれているからです

つまり、貧困とは知識の欠如ではないのです。

#健康格差 とは|所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなる!?#健康格差 は収入・学歴などが要因?|WHO、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるでも取り上げましたが、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるということがWHOでも一つの問題として注目されているようです。

健康格差とは、所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなるといわれている格差のことです。

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるもの|厚生労働省調査によれば、所得が高い人ほど健康的な生活習慣を持っている、または健康的な生活習慣の人ほど高所得であると考えられます。

例えば、低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査で紹介した厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。

また、低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないによれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。

自分自身で健康管理をしている人はすでに健康に関して意識が高い行動をしていると思われるので、社会的に健康な社会を目指すならば、イギリスの取り組みが参考になるのではないでしょうか。

「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つが「#健康格差」の要因|NHKスペシャルによれば、イギリスでは脳卒中や虚血性心疾患の死亡者数を8年間で4割減らすことに成功したそうですが、その理由としては、イギリス食品基準庁が塩分を減らすように食品の塩分量の目標値を設定したことにあるそうです。

NHKスペシャルの低所得者の疾病リスクに迫った「健康格差特集」に反響の声

(2016/9/21、マイナビニュース)

2006年に85品目の食品に塩分量の目標値を設定し、メーカーに自主的達成を求めた。その理由は、主食であるパンが国民の最大の塩分摂取源となっていたためだが、メーカー側は売れ行き減を懸念。見かねた医学や栄養学などを専門とする科学者団体「CASH(塩と健康国民運動)」がメーカー側に徐々に塩分を下げるように提言した。

この提言に大手パンメーカーによる業界団体も納得し、7年でパンを20%も減塩。こういった取り組みの結果、国民1人当たりの塩分摂取量を15%減らすことにつながり、年間で2,000億円の医療費削減につながったと考えられている。

減塩のための食事を自分で作るのは大変ですが、食品メーカーが減塩に取り組むことによって、全体的に塩分摂取量が減らすことができるというのは大変いい取り組みだと思います。

最後に、塩分の摂り過ぎが気になる方は、調理方法や調味料を変えたり、醤油さしを変えたり、減塩レシピを活用するようにしてくださいね。







*良い情報が入るたびに今後アップデートしていきます。

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