LDLコレステロール値の新基準
現在は、コレステロールの基準値について論争が繰り広げられています。
健康診断の新たな基準値(血圧・BMI・肝機能・総コレステロール・LDLコレステロール)とは?|健診基準値が厳しすぎて健康な人でも上限超えてしまう!?によれば、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は、健康な人であっても、性別や年齢によっても基準値を超えてしまうことがあり、現在使われている基準値は厳しすぎるとの研究結果をまとめました。
現在の判断値と日本人間ドック学会が発表した健康診断の新基準値は次の通り。
■現在の判断値
LDLコレステロール 60-119
■日本人間ドック学会が発表した健康診断の新基準値
LDLコレステロール(男性)72〜178mg/dl
LDLコレステロール値(女性 30〜44歳) 61-152mg/dl
LDLコレステロール値(女性 45〜64歳) 73-183mg/dl
LDLコレステロール値(女性 65〜80歳) 84-190mg/dl
また、コレステロールを下げる医療を推進する他の学会に対して、ガイドラインを改めるように緊急提言−日本脂質栄養学会によれば、脂質栄養学会はコレステロールの上限値を決めることは良くなく、コレステロールを下げるための投薬こそが健康にとって良くないと、コレステロールの上限値を定めているその他の学会のガイドラインを改めるように提言を行いました。
以前紹介した高コレステロール=長寿、脂質栄養学会が指針(2010年)によれば、脂質栄養学会は、高コレステロールの方が長生き(コレステロールが高いほど死亡率が低かったとの大規模研究)であることやコレステロールを下げる薬を服用しても心臓病の予防効果は見られないとする海外の近年の研究から指針をまとめていました。
コレステロールに関しては、あまりにも悪者というイメージがつきすぎている印象がありますが、コレステロールは細胞膜を作る原料であったり、筋肉を作るホルモンの材料であり、体にとって欠かせないものです。
高コレステロールは健康にいい?悪い?でも書きましたが、若い女性の中には、ダイエットのために、動物性食品や油脂類を摂取することを過剰に避けたりする人もおり、また高齢者になると自然と動物性たんぱく質や油脂をとらない食事をしてしまい、低栄養になってしまう人がいるようです。
低栄養になると、免疫が低下したり、筋肉が減少したり、骨が弱くなったりすることで、感染症に掛かりやすくなったり、骨折するおそれが高くなるようです。
コレステロールは全く必要ないものではなく、体にとって必要な栄養です。
そこで、単独の数値だけをみるのではなく、悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率のLH比のようなバランスでみるような考え方が注目を集めています。
コレステロールの新常識(LH比・悪玉コレステロールを減らす食事・善玉コレステロールを増やす運動)|主治医が見つかる診療所によれば、LH比が注目を集めるようになってきたのは、最近の研究で、LDLコレステロールが140未満の人でも心筋梗塞になるケースがあり、またHDLコレステロールが高い人でもまれに動脈硬化を起こすこともわかってきたからです。
しかし、日本脂質栄養学会はLH比説に対しても、否定的です。
今後もしばらくはLDLコレステロール値の基準範囲については論争が続きそうです。
【関連記事】
・コレステロールは過剰摂取を心配する栄養素ではない―米当局(2015/2/20)
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