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認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病

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英医学誌The Lancet(ランセット)に掲載された論文によれば、認知症のうち3件に1件は脳の健康によい生活習慣・行動をすることにより予防できる可能性があるそうです。




【目次】

■認知症の予防につながる9つのリスク要因|中年期の聴力低下・中等教育の未修了・喫煙・うつ・運動不足・社会的孤立・高血圧・肥満・2型糖尿病

Fernanda Lopes

by Lidyanne Aquino(画像:Creative Commons)

BBCの記事が翻訳されている記事もありましたので、具体的に認知症を予防することができるリスク要因の度合いをチェックしてみたいと思います。

予防できる認知症、9つの要因=英論文

(2017/7/20、BBC JAPAN)

認知症の予防可能な要因のリスクの度合い

・中年期の聴力低下 9%
・中等教育の未修了 8%
・喫煙 5%
・うつ 4%
・運動不足 3%
・社会的孤立 2%
・高血圧 2%
・肥満 1%
・2型糖尿病 1%

予防が可能とされる上記要因のリスク度を合計すると35%になる。残りの65%は個人の努力では変えられないリスク。

(認知症予防・介入・治療のためのランセット委員会の資料から)

●中年期の聴力低下

中年期に聴力が低下すると、周囲から通常受け取るたくさんの情報が得られなくなり、社会的にも孤立し、うつになる可能性が高まる。

聴力が低下すると、社会的に孤立することにより、認知症になるリスクが高まるそうです。

認知症の発症リスクが高いのは、脳卒中の経験がある人、糖尿病や心臓病の持病がある人、握力が弱い人、うつ傾向がある人で紹介した国立長寿医療研究センターなどのチームによれば、難聴の人はない人に比べて1・4倍認知症を発症するリスクが高いそうです。

加齢性難聴は動脈硬化が原因で引き起こされる|たけしの家庭の医学によれば、40代、50代の人にも加齢性難聴の症状が出ることがあるそうです。

食べ過ぎ・飲み過ぎといった生活習慣の乱れから動脈硬化になると、血管が硬くなり、血液の流れが悪くなり、その動脈硬化こそが加齢性難聴を進行させる大きな原因の一つなのだそうです。

最近様々な研究によって、動脈硬化と難聴との関連性が明らかになってきているそうです。

【参考リンク】

動脈硬化によって血流が悪化→末端にある耳の毛細血管

音を感知する有毛細胞のある蝸牛には、たくさんの毛細血管があります。

有毛細胞はこの毛細血管から酸素や栄養素を摂取しています。

しかし、動脈硬化になると、有毛細胞は酸素不足に陥り、機能が低下し、難聴を引き起こすそうです。

高い音を感知する有毛細胞は、大量のエネルギーを必要とするため、少しでも血流が滞ると、すぐに機能が低下してしまうそうです。

加齢性難聴を進行させる危険因子として、

  • 糖尿病
  • 虚血性心疾患
  • 腎疾患など

が疫学調査などからわかっているそうです。

【参考リンク】

●中等教育の未修了

認知症の発症リスクが高いのは、脳卒中の経験がある人、糖尿病や心臓病の持病がある人、握力が弱い人、うつ傾向がある人で紹介した国立長寿医療研究センターなどのチームによれば、学校教育の年数が9年以下の人のリスクは、9年を超える人の2倍だったそうです。

中等教育を修了しないのは大きなリスクで、論文の著者たちは、大人になっても学び続ければ脳の「予備力」を増やせる可能性が高いと述べている。

中等教育の未修了だからといって即、認知症になりやすいというのではなく、大人になって学習意欲がある人は「認知的予備力」(人生の過程で頭を使うことによって蓄えられる)を増やせる可能性が高いそうです。

●喫煙

●運動不足

●高血圧

●肥満

●2型糖尿病

5つに共通するのは、心臓に良い生活習慣は脳にも良いということです。

国立長寿医療研究センターなどのチームによれば、脳卒中の経験がある人は、ない人に比べ、認知症のリスクが2・6倍高かったそうですが、脳卒中予防のためのガイドラインと認知症のリスク要因とマッチしている部分が多いです。

高血圧:定期的に血圧を測り、高血圧の人は治療をしましょう。
糖尿病:血糖値を測り、糖尿病または糖尿病予備軍の人は治療を受けましょう。
●不整脈:不整脈が見つかったら、病院に行きましょう。
●タバコ:禁煙しましょう。
●アルコール:飲酒は控えめにしましょう。
コレステロール脂質異常症高脂血症)と診断された人は治療を受けましょう。
●運動:運動することが脳卒中予防につながります。
●塩分・脂肪分:食事の塩分を控えめに、低脂肪の食事をしましょう。
肥満:太りすぎは糖尿病や脂肪肝などの生活習慣病のリスク要因です。
●脳卒中の症状があればすぐに受診。

より具体的に見ていくと、糖尿病と認知症には何らかの関係があるという研究は何度も取り上げてきました。

アルツハイマー患者の脳内、糖尿病と同じ状態に 九大の解剖で判明

(2013/5/7、日本経済新聞)

九州大の生体防御医学研究所によれば、アルツハイマー病患者は、脳内の遺伝子が糖尿病と同じ状態に変化することがわかったそうです。

【参考リンク】

糖尿病患者の半数でアルツハイマーの初期症状を確認で紹介した加古川市内の病院に勤務する医師らの臨床研究によれば、糖尿病の通院患者の半数以上に、「海馬傍回(かいばぼうかい)」と呼ばれる脳の部位が萎縮(いしゅく)するアルツハイマー病の初期症状がみられることがわかったそうです。

インスリンには記憶、学習機能を高める作用もあり、糖尿病でインスリン反応性が低下することが、アルツハイマー病発症につながっている可能性があるようです。

インスリン抵抗性を伴った2 型糖尿病にアルツハイマーのリスク|九大研究によれば、インスリン抵抗性を伴った2型糖尿病の場合、アルツハイマーの発症に関係があるとされるプラークが形成されるリスクが高くなるという研究結果が発表されたそうです。

九州大学の研究によれば、血糖値の異常が認められた患者にはプラークが形成されるリスクが高いという結果がでたそうです。

九州大学(Kyushu University)の研究チームは福岡県久山(Hisayama)町の135人(平均年齢67歳)を対象に研究を行った。

対象者に血糖値の検査を行い、その後10~15年間にわたってアルツハイマーの兆候がないか観察した。

研究期間中に対象者の約16%がアルツハイマーを発症した。

対象者の死後に研究チームが脳を調べたところ、65%にプラークが見られたという。

研究チームは、血糖値の異常が認められた患者には、プラークが形成されるリスクが高いとの結果をまとめた。

論文を執筆した九州大学の佐々木健介さんによれば、インスリン抵抗性がプラーク形成の原因と結論するにはさらに研究を進める必要があるものの、糖尿病をコントロールすることによってアルツハイマーを予防できる可能性があるとしています。

糖尿病になると、認知症の発症リスクが2倍高くなる!?で紹介した東京大の植木浩二郎特任教授によれば、糖尿病になると認知症の発症リスクが2倍高くなるそうです。

駆け込みドクター 5月17日|認知症|認知症チェック・認知症予防にアマニ油・デジタル認知症によれば、糖尿病・高血圧・脂質異常症などの生活習慣病のリスクの高さと認知症(アルツハイマー病)には関係があり、アルツハイマー病の発症リスクは、糖尿病だと2倍、高血圧だと2倍、脂質異常症だと3倍になると紹介していました。

糖尿病がアルツハイマーのリスク高める?

(2015/5/26、WSJ)

ワシントン大学の研究者らは、マウスの実験で血糖値を異常に高い値に引き上げたところ、脳内のアミロイドベータの生産も増加し、双方に何らかの相関性があることを突き止めた。

ピッツバーグ大学で実施された約180人の中年の成人を対象とした試験では インスリン依存型(1型)糖尿病の患者は、この疾患を持たない被験者と比べ、はるかに多くの脳内病変が認められ、認知機能は低下していた。

血糖値の高さが脳に影響を及ぼす可能性があることが、2つの研究で示されています。

なぜ血糖値が高いとアミロイドβが生産されアルツハイマーのリスクが高まるのでしょうか。

インスリンはアミロイドから脳を守り、ニューロン(神経単位)と記憶の形成のつながりを改善するとされる。

<中略>

セントルイスのワシントン大学のマウスの実験で医師のデビッド・ホルツマン氏は、糖が脳内のニューロンに刺激を与え、さらにアミロイドが作られると示唆している。

インスリンには血液中のブドウ糖(血糖)の濃度を調節する働きがありますが、今回の記事によれば、インスリンはアミロイドから脳を守る働きもあるそうです。

アルツハイマー病は、アミロイドβタンパクが脳にたまることで、神経細胞が死滅し、萎縮し、認知機能が低下することから起きると考えられています。

つまり、インスリンの分泌が低下したり、生成されなくなるということは、アミロイドから脳を守ることができなくなり、認知機能が低下してしまうと考えられます。

→ 認知症対策|認知症に良い食べ物・栄養 について詳しくはこちら

【関連記事】

●うつ

●社会的孤立

認知症の発症リスクが高いのは、脳卒中の経験がある人、糖尿病や心臓病の持病がある人、握力が弱い人、うつ傾向がある人で紹介した国立長寿医療研究センターなどのチームによれば、うつ傾向のある人は、ない人の1・6倍認知症を発症するリスクが高いそうです。

社交的な生活が認知症のリスクを減らす可能性=研究によれば、社会的に活発な人はストレスにさらされにくく、孤独で悩みがちな人に比べて、認知症になるリスクは50%低いそうです。

意外に多い高齢者のうつ病|なぜ高齢者のうつ病が多いのか?によれば、高齢者のうつ病が多い理由として次のようなことが挙げられています。

  • 日本人の傾向として、物事を悲観的にとらえる傾向が強いこと
  • 加齢による心身の衰え
  • 重い病気
  • 脳血管障害の後遺症
  • 経済力低下
  • 社会的役割の喪失感
  • 一人暮らしの孤独感

また、一人暮らしの高齢男性、孤食でうつ発症が2・7倍出やすい!?で紹介した千葉大や東京大などのグループによれば、一人暮らしの高齢男性で食事をひとりでとる「孤食」が多い人は、誰かと一緒に食事をすることが多い人に比べて約2・7倍うつ症状が出やすいという研究結果が出ているそうです。

■まとめ

簡単に言うと、好奇心をもって、社会とつながりを持ち、健康的なライフスタイルを送ることが認知症を予防する方法だということですね。

より具体的に言うと、わからないことがあったら調べる、誰かに尋ねるようにしたりして、日々学習し、自分が関心があるグループと交流を持ち、心臓に良い生活習慣に変えていくと、自然と認知症予防につながるということです。

エピジェネティクスとは?人生は「生まれ」か「育ち」かだけで決まるわけではない!|WHAT IS EPIGENETICS? LIFE IS NOT DETERMINED ONLY BY ‘NATURE’ OR ‘NURTURE’!で紹介した「エピジェネティクス」の考え方によれば、遺伝子の影響は大きいから変えられないという考えは間違いであり、自分自身のライフスタイルによって人生を変えられるということを示すものです。

また、どのような健康的なライフスタイルを選択するかが、自分自身だけでなく、子孫にまで影響を及ぼすのですから、これからどんなライフスタイルをしていくのがよいのか一緒に考えていきましょう。







【参考リンク】
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【ソレダメ】乳酸菌の効果を最大限に発揮するヨーグルトの食べ方(いつ・摂取量・種類・パワーアップさせる食べ合わせ)

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2018年4月11日放送の「ソレダメ! ~あなたの常識は非常識!?~」のテーマは、『本当はスゴイ!「乳酸菌・もやし・油」最強食材で超健康SP』でした。

解説:新宿大腸クリニック・後藤利夫院長

便秘によって腸内環境が良くないと、様々な体の不調が現れます。

「便秘」の悩みを抱えていると毎日大変ですが、そんな「便秘」という悩みがなくなれば、ストレスなく楽しい毎日が過ごせますし、いつまでも若々しく、みなさんから憧れられるような存在になれますので、乳酸菌の効果を最大限に発揮するヨーグルトの食べ方を実践していきましょう!

【目次】




■乳酸菌の効果を最大限に発揮するヨーグルトの食べ方

●いつ食べるといいの?

乳酸菌の効果を最大限に活かしたい場合にはヨーグルトはいつ食べるといいのでしょうか?

答えは「食後」!

胃酸が薄まった「食後」なら乳酸菌は生きたまま腸にたどりつくからなのだそうです。

ただ、途中で死んだ乳酸菌が体の役に立たないわけではなく、ビフィズス菌や乳酸菌など死んだ菌も善玉菌のエサになるので役に立ちます。


●どれくらいの量のヨーグルトを食べるといいの?

食べる目安は1日100g。


●どんなヨーグルトを選べばいいの?

同じヨーグルトを2週間継続して食べると、あなたにあった乳酸菌がわかってくるそうです。

花粉症を抑えるには、乳酸菌で腸内環境を整えるといい!?|乳酸菌ヨーグルトの摂取量・選び方のポイントによれば、自分に合う乳酸菌は違うので、まずは一週間同じヨーグルトを食べて、肌の調子やお通じを目安に効果がないときには、別のヨーグルトに変えるとアドバイスしていました。

【#林修の今でしょ講座】腸の中に良い菌を増やす方法&便秘対策!腸に良いお風呂の入り方では、ヨーグルトは朝と夜で違うメーカーのものを食べるといいとアドバイスされていました。

その理由は、メーカーによって菌の種類が違うため。

朝晩100gずつ違うメーカーのヨーグルトを食べるとよいようです。


●ヨーグルトの乳酸菌をパワーアップさせる食べ合わせとは?

食物繊維を一緒に摂取すると乳酸菌がパワーアップ!

番組でおすすめしていたのは、生よりも食物繊維が多い「ドライフルーツ」で、特におすすめしたのは「ドライブルーベリー」。

むくみ腸を改善して便秘解消!ヨーグルト+ハチミツ+大根(水溶性食物繊維)|#あのニュースで得する人損する人では、便秘改善のためにヨーグルトを食べる場合には、はちみつと大根(水溶性食物繊維)を一緒に食べるとよいとアドバイスしていました。

  • ヨーグルト(善玉菌であるビフィズス菌の増殖を助ける)
  • はちみつ(ビフィズス菌の餌となるオリゴ糖)
  • 大根(水溶性食物繊維でビフィズス菌の育つ環境を作る)

→ 食物繊維の効果・効能|食物繊維を多く含む食べ物・サプリ について詳しくはこちら


●おススメ乳酸菌レシピ

後藤先生がおすすめした乳酸菌レシピは「納豆キムチチーズ丼」。

納豆とキムチを一緒に摂ることで、乳酸菌が納豆菌をエサに腸内で増えるそうです。

腸の健康を良くするには、毎日同じ発酵食品を食べるよりも、違った種類の発酵食品を食べたほうがいい|オックスフォード大で紹介したオックスフォード大学の研究によれば、腸の中には様々な種類の善玉菌がいて、生存競争が活発な方が腸の健康に良いことがわかったそうです。

腸の健康には発酵食品が良いということが知られていますが、腸の健康をますますよくするには、毎日同じ発酵食品を食べるよりも、違った種類(メーカー・産地)の発酵食品(ヨーグルト・納豆・キムチ・チーズなど)を食べたほうがいいということです。

→ 乳酸菌とは|乳酸菌の働き・乳酸菌を含む食品 について詳しくはこちら







【関連記事】

ロスマリン酸の摂取によりモノアミンの濃度が上昇しアミロイドβ凝集を抑制することからアルツハイマー病予防に期待




ロスマリン酸摂取後の脳内ドーパミンがアルツハイマー病を予防する ポリフェノールの新たな作用機序

(2019/6/18、東京大学)

東京大学大学院農学生命科学研究科の小林彰子准教授と金沢大学大学院医薬保健学総合研究科山田正仁教授、福島大学平修教授らの研究グループは、ポリフェノールの一種、ロスマリン酸を摂ったマウスの脳内において、ドーパミンをはじめとするモノアミン(ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン、セロトニン、ヒスタミンなどの神経伝達物質の総称)の濃度が上昇し、それらがアルツハイマー病の主病態であるアミロイドβ凝集を抑制することを明らかにしました。

現在アルツハイマー病を根治する薬は存在しないことから、ロスマリン酸の摂取により、脳内で合成が活性化される成分(モノアミン)がAβ凝集を抑制するという新たな作用機序の発見は、ポリフェノール摂取によるアルツハイマー病の予防や治療法の確立に繋がることが期待されます。

ロスマリン酸の摂取によりモノアミンの濃度が上昇しアミロイドβ凝集を抑制することからアルツハイマー病予防に期待
ロスマリン酸の摂取によりモノアミンの濃度が上昇しアミロイドβ凝集を抑制することからアルツハイマー病予防に期待

参考画像:ロスマリン酸摂取後の脳内ドーパミンがアルツハイマー病を予防する ポリフェノールの新たな作用機序(2019/6/18、東京大学)

■ロスマリン酸とは?

ロスマリン酸は、ポリフェノールの一種で、ローズマリーやレモンバーム、シソ、えごまなどのシソ科ハーブ類の植物に多く含まれる成分です。







【参考リンク】

【たけしの家庭の医学】スーパー健康長寿物質「AIM(エーアイエム)」の効果|メタボのブレーキ「AIM」に肝臓がんを抑制する働きを発見|AIMで急性腎不全(AKI)を治療|中性脂肪を溶かす【論文・エビデンス】

2018年10月2日放送の「たけしの家庭の医学」ではスーパー健康長寿物質「AIM」を取り上げます。

そこで、番組の放送前に予習をしてみました。

→ 【たけしの家庭の医学】AIM増加が期待できる食品はさんま(DHA)+レモン(ビタミンC)!|10月2日 についてくわしくはこちら




【目次】

■メタボのブレーキ「AIM」に肝臓がんを抑制する働きを発見

AIMによる肝疾患の制御
AIMによる肝疾患の制御

参考画像:メタボのブレーキに肝臓癌を抑制する働きを発見~新しい肝臓癌治療法の可能性~(2014/10/3、IST)|スクリーンショット

メタボのブレーキに肝臓癌を抑制する働きを発見~新しい肝臓癌治療法の可能性~

(2014/10/3、IST)

タンパク質AIM注1)は細胞中での中性脂肪の蓄積を阻害するメタボリックシンドロームのブレーキとして働く。

このタンパク質は肝臓の細胞が癌化すると、細胞の表面に蓄積して癌細胞が除去されやすくする作用があることを今回明らかにした。

肝臓癌は有効な抗癌剤がなく治療が困難であるが、今回の発見により、AIMを利用した新規かつ安全な肝臓癌の治療法を開発できるようになることが期待される。

東京大学 大学院医学系研究科の宮崎徹教授らの研究グループは、通常は脂肪細胞や肝臓の細胞(肝細胞)に取り込まれ、細胞中での中性脂肪の蓄積を阻害することによって肥満や脂肪肝の進行を抑制する、いわばメタボリックシンドロームのブレーキとして働くことが知られているタンパク質AIM(Apoptosis Inhibitor Macrophage:アポトーシス・インヒビター・マクロファージ・タンパク;マクロファージから分泌され、細胞のアポトーシス(細胞死)を抑制する分子)が、肝臓に生じた癌細胞を選択的に除去せしめる働きがあることを明らかにしました。

→ 肝臓がんの症状 についてくわしくはこちら

【参考リンク(論文・エビデンス)】

■AIMで急性腎不全(AKI)を治療

AIMによる急性腎不全(AKI)治癒メカニズムとその臨床応用
AKI発症時、血中にAIMが十分ある場合(上)、IgMから解離したフリーAIMが尿中に移行し、近位尿細管に詰まったdebrisに付着し、それを目印としてKIM-1を発現した尿細管上皮細胞が速やかにdebrisを除去し、AKIは回復に向かう。一方、AIMが不足している状況、すなわち血中AIM値が低値であったり、通常のAIMの量では十分治癒できないような重症のAKIを発症した場合(下)、debrisの除去が十分に行われず、二次的に炎症や線維化、さらには糸球体の機能低下を惹起し、腎不全のために患者は死亡あるいは慢性化する。このような場合、AIMを投与しdebrisの十分な除去を誘導することによって、AKIを治療することが可能である。また、尿中のAIM値を測定することにより、AKIの重症度や予後を診断することも可能である。

参考画像:AIM投与による急性腎不全治療につながる革新的成果(2016/1/5、日本医療研究開発機構)|スクリーンショット

AIM投与による急性腎不全治療につながる革新的成果

(2016/1/5、日本医療研究開発機構)

急性腎不全が生じると、腎臓の中の尿の通り道(尿細管という)に “ゴミ”(細胞の死骸)が詰まり、そのことが腎機能の低下を招く引き金となることが知られている。AIMは通常血液中に存在するが、腎臓の機能が低下すると尿中に移行しゴミに付着する。そして付着したAIMが目印となって、周囲の細胞が一斉にゴミを掃除し、迅速に詰まりが解消され、その結果、腎機能は速やかに改善することが明らかとなった。さらに本研究グループは、AIMを持たないマウスが急性腎不全になると、詰まったゴミは掃除されることなく、腎臓の機能は著しく悪化し続け多くが死んでしまい、またAIMを正常に持っているマウスでも、重症の急性腎不全を起こすと、体内に持っているAIMの量では十分にゴミが掃除されず、腎臓内の詰まりが解消されないまま、やはり多くが死んでしまうことを明らかにした。そしていずれの場合でも、AIMを静脈注射することで、尿細管の詰まりは劇的に解消され、腎機能が速やかに改善し致死率は著しく低下することを見出した(注:致死率は60~100%であったものが、AIM投与により0%となった)。

すなわち、血中のAIM量が不十分である場合(もともと血中濃度が低い場合や、重度の腎不全が生じた場合)には、AIMを投与することで急性腎不全を速やかに改善させ、慢性化する危険を回避することが可能であると考えられる。腎機能低下時の血中AIMの尿中への移行およびゴミへの付着は、ヒト急性腎不全患者でも同様に観察されるため、マウスだけでなくヒト急性腎不全患者においても、AIMによる治療は有効であると考えられる。

東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授らの研究グループは、タンパク質AIMが、直接腎臓に働きかけ急性腎不全を治癒させることを明らかにしました。

また、急性腎不全が治った後に、定期的にAIMを投与し、腎臓のゴミをきれいにすることにより、急性腎不全の再発や慢性化のリスクを低くする可能性があるそうです。

【参考リンク(論文・エビデンス)】

【関連記事】




中性脂肪の塊を溶かすたんぱく質「AIM」、肥満治療薬の候補に

東京大の宮崎徹教授らの共同研究グループによれば、脂肪細胞内で中性脂肪を溶かしたり減らしたりする作用を持つたんぱく質「AIM」を発見したそうです。

→ 中性脂肪を下げる食事・運動・サプリメント について詳しくはこちら

【参考リンク(論文・エビデンス)】

■ネコではAIMが急性腎不全治癒に機能していない

ネコに腎不全が多発する原因を究明―ネコでは AIM が急性腎不全治癒に機能していない―

(2016/10/12、東京大学)

血液中のタンパク質 AIM(apoptosis inhibitor of macrophage;CD5L とも呼ばれる)は急性腎不全を治癒させる機能を持つ(注 1:過去の主な文献 1-6)が、ネコAIM は急性腎不全時に機能せず、そのためにネコでは正常な治癒・回復が障害されていることを見出した。

ネコ型 AIM に起因する急性腎不全の治癒障害は、AIM タンパク質の投与によって治療できた。

ネコは血液中にAIMをじゅうぶん持っているにもかかわらず、急性腎障害が生じても腎臓の機能は回復せず、そのまま慢性腎不全へと進行してしまう可能性が高いことが明らかになったそうです。

ネコにAIMを投与することで急性腎不全を速やかに改善させ、慢性化する危険を回避することが可能であると考えられます。

【参考リンク(論文・エビデンス)】

→ 【たけしの家庭の医学】AIM増加が期待できる食品はさんま(DHA)+レモン(ビタミンC)!|10月2日 についてくわしくはこちら







【関連記事】
続きを読む 【たけしの家庭の医学】スーパー健康長寿物質「AIM(エーアイエム)」の効果|メタボのブレーキ「AIM」に肝臓がんを抑制する働きを発見|AIMで急性腎不全(AKI)を治療|中性脂肪を溶かす【論文・エビデンス】

なぜ、青森県が平均寿命最下位なのか?その理由・原因|短命県の青森県を長寿県にするための方法とは?




【目次】

■なぜ青森県が平均寿命最下位なのか?その理由・原因|短命県の青森県を長寿県にするための方法とは?

長寿県が○○県という話題はよく目にしますが、反対にどの県が平均寿命が最下位という取り上げられ方は目にしません。

実際、どの県が平均寿命全国最下位なのでしょうか?

それは、「青森県」!

都道府県別にみた平均余命|平成27年都道府県別生命表の概況|厚生労働省
都道府県別にみた平均余命|平成27年都道府県別生命表の概況|厚生労働省

参考画像:都道府県別にみた平均余命|平成27年都道府県別生命表の概況|厚生労働省|スクリーンショット

都道府県別にみた平均余命|平成27年都道府県別生命表の概況|厚生労働省によれば、青森県は男女とも最下位で、男性が78.67歳、女性が85.93歳でした。

ちなみに、男性の1位は滋賀県(81.78歳)、女性の一位は長野県(87.67歳)で、全国平均は男性は80.77歳、女性は87.01歳でした。

表1 性、都道府県別年齢調整死亡率(人口 10 万対)の推移(全死因)|平成29年度人口動態統計特殊報告 平成27年都道府県別年齢調整死亡率の概況|厚生労働省によれば、都道府県別にみた2015年の死亡率は、青森の男性585・6人、青森の女性288・4人で男女ともに青森が最も高いという結果が出ています。

→ <がん死亡率>青森県、11年連続ワースト|がんの部位別死亡率「大腸」「胆のう・胆道」「膵臓」で全国ワースト について詳しくはこちら

なぜ、青森県が平均寿命最下位(短命県)なのか、ここに健康になるヒントが隠されているのではないかと思い、調べてみました。

■青森県の平均寿命

平均寿命全国最下位「脱短命県」へ健康施策 県民の意識向上不可欠

(2015/3/15、産経ニュース)

厚生労働省の平成22年都道府県別生命表によると、青森県の平均寿命は男性が77・3歳(全国平均79・6歳)、女性が85・3歳(同86・4歳)といずれも全国平均を下回っている。

平均寿命について取り上げるときに忘れてはいけないのは、平均寿命が短いということは、お年寄りの寿命が短いということではなくて、子どもも働き盛りの世代も亡くなっている人が多いということです。

そこで、青森県全体の健康意識が低いのではないかという仮説をもとにデータを見てみたいと思います。

■青森県の生活習慣に関するデータ

●野菜摂取量

厚労省の24年国民健康・栄養調査によると、青森県内成人の1日当たり野菜摂取量は、男性が296グラムで全国23位、女性は292グラムで同14位と、同省が呼びかける350グラムを下回っている。

記事の中では、塩分の摂取量が全国2位であるにもかかわらず長寿県の長野県と比較しており、長寿の秘訣は、野菜の摂取量が男女とも350グラムを上回っていることにあるのではないかとしています。

●たばこ・喫煙者の割合

たばこに関しては厚労省の25年の国民生活基礎調査によると、青森県民の喫煙率は男性が40・3%で全国1位、女性は14・3%で同2位。

喫煙率は男女とも高いという結果が出ています。

脱!短命県「市区町村別平均寿命発表」 | NHK青森放送局で紹介されているデータを見ても、喫煙者の割合が高い、飲酒習慣者の割合が高い、食塩摂取量が多い、一日の歩数が少ない、肥満者の割合が多い、健康診断の受診率も低い、病院にかかるのが遅いといったことが挙げられています。

<喫煙者の割合>…44.8%(1位)
<飲酒習慣者の割合>…51.6%(1位)
<食塩摂取量>…13g(2位)
<1日の歩数>…5976歩(ワースト2位)
<肥満者の割合>…38%(8位)

健康診断の受診率も39位と低く、病院にかかるのも遅く、病気が進行しているケースも多いとのこと。

●子供の肥満が全国トップレベル

子ども肥満3年連続トップレベル 【青森】で紹介した文部科学省「2008年度学校保健統計調査速報」によれば、青森県の子供の肥満割合が3年連続で全国トップレベルにあり、15歳の5人に1人が肥満という状況なのだそうです。




■青森県を長寿県にするために考えるべきこと

寄り添う

by nubobo(画像:Creative Commons)

●冬は雪が降って運動する機会が減る。運動する機会を増やすにはどうしたらよいか?

→冬にできる運動・スポーツを流行らせる

●お酒の量を減らすにはどうしたらよいか?

寒いことと娯楽が少ないことから、お酒に手を伸ばすということが考えられます。

→お酒の代わりとなる娯楽

●寒い地域は塩分の多い食品をとりがち

日本人の体温が下がった理由とはによれば、塩分は、筋肉の収縮作用に必要であり、また体を温める効果が高く、塩分が不足すると低体温だけでなく痙攣まで起こるそうです。

大事なことは、運動やゆっくりとお風呂に入ることで水分と塩分を排出し、体温を上げる食生活(旬の食材でバランス良い食事)の中で水分や塩分を摂取するという良いサイクルをつくることです。

そのためにも、塩分を排出するのに欠かせないカリウムを含む野菜の摂取量を増やすことは良いことなのではないでしょうか。

●病院嫌いが多いのはなぜか?

病院が好きという人は少ないと思いますが、定期的に病院で診てもらうことで病気を早期発見・早期治療することが大事だと思います。

また、娯楽が少ないことも生活習慣の悪化に関係しているようですので、病院自体を楽しめるエンタメ施設のようにするのはどうでしょうか。

【関連記事】

●喫煙率が高いのはなぜか?

→娯楽のなさが喫煙率につながっているのかもしれない。

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるものー厚生労働省調査によれば、性別を問わず、年収が高いと喫煙率は低い、もしくは喫煙率が低いと年収が高いといえそうです。

●所得が低い

青森「平均寿命」ワーストワンの原因 塩分取りすぎ、運動不足、喫煙、飲酒では当然(2013/3/1、Jcastニュース)によれば、経済的理由によって亡くなる人が多いそうで、そのことも平均寿命が全国平均を下回ることに関係しているようです。

●野菜の摂取量が少ない

「所得と生活習慣等に関する状況」のグラフから見えてくるものー厚生労働省調査によれば、男女問わず、年収が高い人ほど野菜摂取量が多い、もしくは、野菜摂取量が多い人ほど年収が高いといえます。

低収入ほど野菜不足-厚労省栄養調査で紹介した厚生労働省が発表した2011年の国民健康・栄養調査によれば、低収入ほど野菜の摂取量が不足しているという結果が出たそうです。

また、低所得者ほど生活習慣に問題=野菜食べず、運動しないという記事によれば、低所得者ほど野菜を食べる量が少なかったり、運動の習慣がなかったりと、生活習慣に問題がある傾向があることがわかったそうです。

■2017年改善の兆しがみられる

【追記(2017/7/25)】

短命県返上へ 青森県、肥満や喫煙改善の兆し(2017/7/24、河北新報)によれば、青森県では改善の兆しが見られます。

■年齢調整死亡率(10万人当たり)

※カッコ内は全国平均

●男 2010年662.4(544.3)→ 2015年585.6(486.0)

●女 2010年304.3(274.9)→ 2015年288.4(255.0)

■健康あおもり21目標項目の達成状況

肥満傾向にある子供

●男子 策定時(10年度)9.0%→現状(13-16年度)8.1%

●女子 策定時(10年度)5.8%→現状(13-16年度)5.7%

妊娠中の喫煙率

策定時(10年度)6.5%→現状(13-16年度)3.5%

大腸がん受診率

●男 策定時(10年度)31.1%→現状(13-16年度)42.0%

●女 策定時(10年度)29.0%→現状(13-16年度)36.5%

食塩摂取量

策定時(10年度)10.5g→現状(13-16年度)9月公表予定

喫煙率

●男 策定時(10年度)36.1%→現状(13-16年度)9月公表予定

●女 策定時(10年度)7.9%→現状(13-16年度)9月公表予定

全ての項目が公表されていませんが、子供の肥満傾向や妊娠中の喫煙率においては改善が見られ、また大腸がんの受診率も高まっています。

ただ、気になるのは飲酒の項目です。

生活習慣病のリスクを高める量の飲酒している人の割合

●男 策定時(10年度)31.4%→現状(13-16年度)32.4%

●女 策定時(10年度)16.9%→現状(13-16年度)19.4%

青森県では全国との健康における差を縮めるように対策を進めているようですが、飲酒に関しては対策が行き届いていないのが現状のようです。

沖縄県内の男性の4割が生活習慣病になるリスクが高いお酒の飲み方をしているで紹介した全国健康保険協会沖縄支部が、WHOの「アルコール使用障害同定テスト(AUDIT)」を用いて国立病院機構琉球病院と共同で分析した「飲酒に関するアンケート結果と健診結果の分析(中間報告)」によれば、沖縄県内の男性の4割が生活習慣病になるリスクが高い飲み方をしている「問題飲酒群」と分類されたそうです。

「問題飲酒群」は肝機能異常や高尿酸血症、メタボリックシンドロームなどの有病率が高いということですので、青森県でもしっかり対策を行なってほしいところです。

■まとめ

改善点があるということは、「伸びしろが多い」ともいえます。

一つ一つ改善していくことが健康で、長寿になる方法だと思います。

→ 青森県、死亡率改善率も全国ワースト|改善する方法について考えてみた について詳しくはこちら







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