埼玉貧乳問題|なぜ女性の平均バストサイズが埼玉県だけがAカップなのか?その原因・理由|胸の大きさは何で決まる!?【#月曜から夜ふかし】

2012年9月24日放送のMC村上信五(関ジャニ∞)さんとマツコ・デラックスさんの番組「月曜から夜ふかし」で「埼玉貧乳問題」を取り上げていました。

「埼玉貧乳問題」のきっかけとなったのは、ある企業が都道府県別に女性の平均バストサイズを調査したところ、なぜか埼玉県だけがAカップだったということから始まった問題。

番組では「なぜ埼玉県だけAカップなのか?」として、その理由を探っていました。

2012年当時、番組で紹介された内容をもとにこの記事を書きました。

しかし、それから10年以上が経過しています。

「埼玉県だけAカップ」という話は現在でも本当なのでしょうか?

当時の番組内容を振り返りながら、その後に出てきた情報もあわせて見てみます。

■「埼玉県だけAカップ」は本当?

まず最初に確認しておきたいのは、「埼玉県だけAカップ」という話の出発点です。

2012年の『月曜から夜ふかし』では、企業が行った都道府県別調査をもとに、なぜか埼玉県だけがAカップだったとして「埼玉貧乳問題」が取り上げられました。


参考画像:LC

ただし、これは国や自治体が実施した公的な身体計測調査ではなく、企業による調査をもとにした話です。

さらに、その後に行われた別のアンケートでは、埼玉県について違った結果も紹介されています。

そのため、2012年当時に話題になった結果を、「埼玉県の女性は現在でも平均Aカップ」という意味で受け取るのは適切ではありません。

では、なぜ当時「埼玉貧乳問題」として話題になったのでしょうか?

■なぜ「埼玉貧乳問題」が生まれた?

当時の『月曜から夜ふかし』では、「埼玉県だけAカップ」という調査結果から、医師の見解を含めて、一つの仮説を立てたのですが、まずは当時の番組内容をそのままご紹介します。

●胸の大きさは何によって決まるのか?

当時の島田菜穂子院長(乳房健康研究会副理事)の見解によると、「発育を促す要素としては女性ホルモンがポイントになっており、成長期に分泌される女性ホルモンが胸の大きさを決める要因となる。」という内容でした。

よく胸の大きさの関連がある要因として挙げられるものについて島田先生によれば、

●遺伝

島田先生の見解によれば、遺伝子で大きさが限定されるという話はないそうです。

つまり、胸の大きさは生まれながらに決められているわけではないということ。

●食生活

島田先生の見解によれば、バランスの良い食事は大切ですが、何か特別なものを食べたらいいというのは、ホルモンのコンディションを保つためにはないそうです。

●住環境

場所にも関係はないそうです。

では、何が女性ホルモンを左右し、胸の大きさを決めるのでしょうか?

それは、「睡眠時間(睡眠時間が適切な時間にとれているか)」。

胸を大きくする女性ホルモンは寝ているときに分泌されるそうです。

大事なのは、就寝時間。

夜10時から深夜2時くらいの間に成長ホルモンや色々なホルモンがしっかり出るタイミングがあり、成長期の子供がその重要な時間帯に睡眠がちゃんととれているかがポイントなのだそうです。

そこで番組で生まれたのが、「埼玉の女子は寝ていないのではないか?」という仮説です。

その仮説を裏付けるデータとして紹介されたのがこちら。

●埼玉の女子高生の睡眠時間 全国最下位

出典:総務省統計局 社会生活基本調査(2006年)

【参考リンク】

47都道府県 通勤・通学時間が長い!?ランキング|平成28年社会生活基本調査(総務省統計局)

「通勤・通学時間が長いランキング(1日当たりの通勤・通学時間)」

1位 神奈川県 1時間40分
2位 埼玉県・千葉県 1時間34分
4位 東京都 1時間30分

47都道府県 睡眠時間たっぷり!?ランキング|平成28年社会生活基本調査(総務省統計局)

睡眠時間が短い都道府県

1位 神奈川県 7時間31分
2位 奈良県 7時間33分
3位 千葉県・兵庫県 7時間34分

通勤・通学時間が長い都道府県ほど、睡眠時間も短い傾向にあるようです。

このデータをもとに「なぜ、埼玉の女子は睡眠時間が短いのか?」についての仮説をさらに立てています。

●塾・予備校費 全国1位

出典:総務省統計局 家計調査(2008年)

●家での勉強時間 全国4位

出典:総務省統計局 社会生活基本調査(2006年)

●通学時間の長さ 全国2位

出典:総務省統計局 社会生活基本調査(2006年)

つまり、埼玉の女子は、遠くの学校に通学し、塾でも勉強し、家でも勉強しているため、睡眠時間が全国最下位となっていると考えられるようです。

また、埼玉高校生の就寝時間をみると、夜10時より前に寝ているのは10.8%なのだそうです。

出典:埼玉県教育局教育総務部教育政策課(2007年)

そこで、番組の見解としては、埼玉貧乳問題は睡眠時間にあるとしていました。

ここまでが当時の番組内容です。

ここは、現在読み返すうえで非常に重要なところです。

これは2012年のテレビ番組で紹介された仮説であり、埼玉県について示されたアンケート結果の原因が睡眠不足だったと証明したものではありません。

相関するように見えるデータがあることと、それが原因であることは別です。

■あれから「埼玉貧乳問題」はどうなった?

では、2012年の放送から時間が経過して、状況はどうなったのでしょうか?

この記事では2022年10月2日にも、その後に見つかった情報を追記していました。

今回は、そのときの追記内容も含めて「あれからどうなった?」という視点で整理してみます。

●その後のアンケートでは違う結果も

2019年5月22日に公開された「埼玉県は貧乳県?胸の平均サイズを全国調査!都道府県別の大きさの違いは?」で紹介されているお客様アンケートでは、2012年当時にこの記事で紹介した結果とは異なり、埼玉県について3カップ上の結果が紹介されていました。

2022年にこの記事へ追記した際には、この結果を「埼玉県はバストサイズが3カップ数アップしています」と表現していました。

ただ、改めて考えてみると、これは少し注意が必要です。

それぞれのアンケートで調査対象や調査方法などが同じとは限らないため、

「2012年から2019年の間に埼玉県の女性の平均バストサイズが3カップ大きくなった」

という意味ではありません。

むしろ重要なのは、別のアンケートでは2012年当時とは違う結果も出ているということです。

つまり、「埼玉県だけAカップ」という情報を、現在も変わらない埼玉県の特徴として考えることはできません。

●埼玉県の睡眠時間はあれからどうなった?

もう一つ、2022年の追記で確認したのが睡眠時間です。

2012年当時の記事では、2006年の社会生活基本調査などをもとに、番組で「埼玉の女子高校生は睡眠時間が短い」という情報が紹介されたことを記録していました。

その後、埼玉県総務部統計課の「平成28年社会生活基本調査」を確認したところ、埼玉県の高校生の平均睡眠時間について、2012年と2016年を比較すると長くなっていました。

これは、2022年10月2日にこの記事へ追記していた情報です。

2012年当時は「埼玉県の女子高校生は睡眠時間が短い」というデータから番組の仮説が組み立てられていました。

しかし、その後のデータを見ると生活時間も変化しています。

だからこそ、2012年当時のデータから考えられた仮説を、そのまま現在にも当てはめることはできません。

【参考リンク】

■「22時から深夜2時に寝ることが重要」という話は?

2012年当時の記事には、

夜10時から深夜2時くらいの間に成長ホルモンや色々なホルモンがしっかり出るタイミングがある

という番組で紹介された説明も記録していました。

この部分については、2012年当時の番組内容として記録を残すことにします。

ただし、この記事では、この時間帯と特定の身体的特徴との関係を現在の医学的事実として結論づけるものではありません。

古いテレビ番組の記事を更新するときには、

「当時そう紹介されていたこと」と「現在証明されていること」を分ける

ことが大切だと考えています。

■「埼玉県だけAカップ」という話を今振り返ってみると?

こうして2012年の記事を改めて見直してみると、当時の記事には二つの種類の情報が混ざっていたことがわかります。

一つは、

当時の『月曜から夜ふかし』で紹介された内容。

もう一つは、

番組で紹介されたデータから考えられた仮説。

です。

2012年当時は「埼玉県だけAカップ」というインパクトのある調査結果をきっかけに、その理由を睡眠時間などから考える構成になっていました。

しかし、その後には別のアンケートで異なる結果が出ています。

睡眠時間についても、新しい時点のデータがあります。

こうした情報を踏まえると、

「埼玉県だけAカップなのは睡眠時間が短いから」

と単純に結論づけることはできません。

むしろこの記事は、

2012年当時、こんな調査結果がテレビ番組で話題になった
↓
番組では睡眠時間との関係が仮説として紹介された
↓
その後には違う調査結果や新しい生活時間のデータが出てきた
↓
当時の仮説だけでは単純に説明できない

という情報が時間とともに変わっていく過程として読むと興味深いのではないでしょうか。

■まとめ|「埼玉貧乳問題」はあれからどうなった?

2012年の『月曜から夜ふかし』では、企業による都道府県別アンケートをきっかけに「埼玉貧乳問題」が取り上げられました。

番組では埼玉県の女子高校生の睡眠時間、通学時間、勉強時間などにも注目し、睡眠との関係が仮説として紹介されました。

しかし、

睡眠不足が「埼玉県だけAカップ」という調査結果の原因だったと証明されたわけではありません。

さらに、その後に公開された別のアンケートでは異なる結果も紹介されています。

そのため、2012年当時の「埼玉県だけAカップ」という情報を、現在も変わらない県民の特徴として受け取るべきではないでしょう。

この記事は2012年当時の内容を削除して現在の情報だけに置き換えるのではなく、

「当時はこう紹介されていた。そして、あれからどうなった?」

という形で、新しい情報が出るたびに更新していきたいと思います。







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糖質は肝臓で体のエネルギー源である中性脂肪に合成されるので、適量の摂取は必要ですが、食べすぎは脂肪肝になってしまいます。

また、飲み物にも注意が必要で、甘い飲み物も脂肪肝の原因となるのですが、脂肪肝の人は水を飲まない人が多い傾向にあるそうです。

→ 脂肪肝とは|脂肪肝の症状・原因・治し方 について詳しくはこちら

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■家庭料理の視点から肝臓に良い食事

肝臓にやさしい食生活のための8品目はおさかなすきやね(オサカナスキヤネ)で覚えましょう!

オ:オリーブオイル
サ:魚類
カ:海藻類
ナ:納豆
ス:酢
キ:キノコ
ヤ:野菜類
ネ:ネギ類

■まとめ

脂肪肝の主な原因はアルコールじゃない!?脂肪肝の主な原因とは?によれば、糖質は肝臓で体のエネルギー源である中性脂肪に合成されるので、適量の摂取は必要ですが、食べすぎは脂肪肝になってしまいます。

お菓子などの甘いものはもちろん、お米やパンなど炭水化物の食べすぎも注意が必要です。

肝臓に脂肪が蓄積した脂肪肝になると、肝炎や肝硬変などの肝臓の病気になるリスクが高まり、ついには肝臓がんを引き起こす可能性があるといわれています。

脂肪肝を予防するためにも、糖質に気を付けること、早食いを気を付けること、運動を継続して行うことを心掛けてくださいね。

【補足】

肝臓に良い食事で一番いいのは体に良くておいしいものを続けていくことですよね。

それこそが無理なく続くコツだと思います。

それって家庭料理と同じなんですよね。

家庭料理の考え方については、こちらの記事でまとめています。

→ なぜ「ばあちゃんの料理」は体にやさしいの?─家庭の知恵から考える、食と健康

※ばあちゃんの料理が続いてきた理由は、特別な栄養学ではなく、“無理なく続く味”だったからです。







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日本の子どもは本当にたんぱく質不足?平均身長の低下・学校給食・食事摂取基準から考える

日本人の若い世代の平均身長が低下していることをめぐって、SNSでは「子どものたんぱく質不足が原因ではないか」「学校給食の肉が少なすぎるのではないか」「そもそも日本の食事摂取基準に問題があるのではないか」といった意見を目にします。

「成長期なのだから、もっと肉や魚を食べさせたほうがいい」「身長を伸ばすために子ども用プロテインを飲ませたほうがいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。

確かに、たんぱく質は成長期の子どもにとって欠かせない栄養素です。

しかし、ここで一度立ち止まって考えてみたいと思います。

そもそも日本の子どもは、本当にたんぱく質が不足しているのでしょうか?

学校給食についても、単純に「肉が少ない」だけで評価することはできません。限られた給食費の中で、栄養士・管理栄養士が学校給食の栄養に関する基準などをもとに献立を考えています。

さらに、「日本人の身長」というところまで問題を広げるなら、子どもが現在食べているたんぱく質だけではなく、母親の妊娠前の体格や妊娠中の栄養、出生体重、そして子どもの成長期の栄養など、より長い時間軸で考える必要があります。

そこで今回は、「日本人の食事摂取基準」や「国民健康・栄養調査」などを手がかりに、日本の子どもは本当にたんぱく質不足なのかを考えてみます。さらに、日本のたんぱく質摂取基準は海外と比べて特殊なのか、という点についても確認します。

1. 日本人の食事摂取基準では、子どものたんぱく質はどれくらい必要?

まず、「日本の基準そのものが低いのでは?」という疑問から確認してみましょう。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、1歳以上のたんぱく質について、推定平均必要量(EAR)、推奨量(RDA)、目標量(DG)が設定されています。

子どもの1日当たりのたんぱく質推奨量は次のようになっています。

年齢  男子 女子
1~2歳  20g 20g
3~5歳  25g 25g
6~7歳  30g 30g
8~9歳  40g 40g
10~11歳 45g 50g
12~14歳 60g 55g
15~17歳 65g 55g

さらに1~17歳では、総エネルギー摂取量に占めるたんぱく質の目標量が13~20%エネルギーとされています。

ここで区別しておきたいのが「推定平均必要量」と「推奨量」です。

推定平均必要量は母集団の50%が必要量を満たすと推定される量なのに対し、推奨量はほとんどの人、97~98%が充足すると考えられる量です。

したがって、推奨量は「これだけ摂らないと身長が伸びない」という数字でも、「これを上回れば上回るほど成長に有利」という数字でもありません。

2. 子どもは実際にどれくらいたんぱく質を摂っている?

では、日本の子どもたちは実際にどれくらいのたんぱく質を摂っているのでしょうか。

厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、年齢階級別にエネルギーやたんぱく質などの摂取量が調査されています。

また、国立健康・栄養研究所では、国民健康・栄養調査の結果を再集計し、たんぱく質、動物性たんぱく質、植物性たんぱく質、たんぱく質エネルギー比などについて、性・年齢階級別の経年データを公開しています。

ここで知りたいのは、前章で紹介した「推奨量」と実際の摂取量との関係です。

ただし、この二つを比較するときには注意が必要です。

日本人の食事摂取基準(2025年版)の「推奨量(RDA)」は、ある集団について不足している人の割合をそのまま示すための数字ではありません。

そのため、

「平均摂取量が推奨量を上回っている」=「日本の子どもにはたんぱく質不足の問題がない」

と単純に判断することはできません。

逆に、SNSで学校給食の写真などを見て、

「肉が少ない」=「日本の子どもはたんぱく質不足」

と判断することもできません。

集団として本当にたんぱく質不足が問題になっているのかを考えるには、「平均して何g食べているか」だけではなく、必要量を満たしていない子どもがどのくらいいるのかを見る必要があります。

また、平均値では見えにくい個人差もあります。

食事量が少ない子、偏食のある子、朝食を欠食する子など、食生活は一人ひとり違います。

国民健康・栄養調査は、日本人全体の栄養摂取状況を把握する上で重要な資料ですが、集団の平均値だけから個々の子どもの習慣的な摂取量や栄養状態まで判断することはできません。

したがって、現時点では、

「日本の子どもはみんなたんぱく質が足りている」

とも、

「日本の子どもはたんぱく質不足になっている」

とも、平均摂取量だけから結論づけるべきではないでしょう。

大切なのは、日本の子どもを一括りにするのではなく、集団として必要量を満たせているのかという問題と、個々の子どもが十分に食べられているのかという問題を分けて考えることです。

3. 「給食の肉が少ない」だけで学校給食を評価していい?

SNSでは学校給食の写真を見て、

「肉がこれだけしかない」

「これではたんぱく質が足りないのでは?」

といった意見が出ることがあります。

しかし、学校給食には「学校給食摂取基準」があります。

文部科学省は、学校給食摂取基準について、日本人の食事摂取基準の考え方に加えて、児童生徒の実際の食事調査などを勘案して、学校給食として望ましい栄養量を算出したものと説明しています。

たんぱく質については、給食による摂取エネルギー全体の**13~20%**が基準です。

また文部科学省は、肉だけではなく、穀類、野菜、豆類、魚介類、肉類、卵類、乳類など、多様な食品を適切に組み合わせることを求めています。

つまり、

肉の大きさ=給食のたんぱく質量

ではありません。

魚、卵、大豆・大豆製品、牛乳、そのほかの食品からもたんぱく質を摂取します。

また学校給食摂取基準は「全国的な平均値」であり、児童生徒の健康状態、生活活動、地域の実情などを考慮して弾力的に運用するものとされています。

もちろん、給食費や食材価格など現場の問題については別途検討する必要があります。

しかし、給食の写真で肉が小さく見えることだけから「栄養基準が間違っている」「子どものたんぱく質が不足している」と結論づけるのは難しいでしょう。

4. 日本人の平均身長低下を「たんぱく質不足」だけで説明できる?

ここが今回の問題の中心です。

日本人の平均身長が低下しているという話自体には、研究による裏付けがあります。

国立成育医療研究センターなどの研究では、1969~1996年生まれの成人身長を大規模に解析した結果、平均成人身長は1978~79年生まれで男性171.5cm、女性158.5cmをピークとして、その後20年間低下していました。

では、それは子どものたんぱく質不足が原因なのでしょうか?

この研究から直接その結論を出すことはできません。

むしろ研究チームが注目したのは出生体重でした。

低出生体重児の割合と、その年に生まれた子どもの平均成人身長には強い逆相関がみられ、研究チームは低出生体重児の増加が、日本人の平均身長低下の一因になっている可能性を示しています。

これは非常に重要なポイントです。

「最近の日本人が小さくなった → 子どものたんぱく質が足りない」

という一直線の因果関係だけで説明するのではなく、もっと前から考える必要があるわけです。

5. 母親の体格、妊娠期、出生体重まで遡って考える

子どもの身体の成長は、小中学生になってから始まるわけではありません。

厚生労働省の食事摂取基準も、ライフステージ初期について、胎内での栄養状態、乳児期の栄養状態、成長期の栄養状態に特段の配慮が必要としています。

国立成育医療研究センターの研究によると、日本では低出生体重児の割合が1970年代後半の5.1%から2007年には9.7%に増加しました。さらに、早産や胎児発育不全などによって低出生体重で生まれた子どもは、成人身長が低くなりやすいことが国内外の研究で示されているとしています。

したがって、日本人の平均身長の変化を考えるなら、

妊娠前 → 妊娠中 → 胎児期 → 出生 → 乳幼児期 → 成長期

という長い時間軸で考える必要があります。

少なくとも現在利用できる研究からは、日本人の平均身長低下を「学校給食の肉が少ないから」と一つの要因だけで説明するのは難しいと言えます。

6. 成長スパート期こそ「たんぱく質だけ」に注目しない

子どもの成長を考える上で、もう一つ重要なのが成長スパートです。

食事摂取基準を見ると、年齢とともに必要な栄養量も変化します。

例えば12~14歳のたんぱく質推奨量は男子60g、女子55gで、参照体重は男子49.0kg、女子47.5kgです。

ただし、身体を成長させるためにはたんぱく質だけを摂ればよいわけではありません。

食事摂取基準では、たんぱく質だけでなく、エネルギー、脂質、炭水化物、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミンなど、それぞれについて基準が設けられています。

つまり成長期の問題を考える場合、

「肉を増やすべきか?」

だけを見るのではなく、

「成長に必要なエネルギーと栄養素を食事全体として確保できているか?」

という視点が必要になります。

7. 日本のたんぱく質基準は海外より低い?

ではSNSで出てくるもう一つの疑問、

「そもそも日本の食事摂取基準が低すぎるのではないか?」

について海外と比較してみましょう。

欧州食品安全機関(EFSA)は、乳児・子ども・青少年について、年齢に応じて体重1kg当たり1日0.83~1.31gのたんぱく質をPopulation Reference Intake(PRI)として設定しています。

より細かく見ると、EFSAの値は3歳0.90g/kg/日、8歳0.92g/kg/日、男子12歳0.90g/kg/日、女子12歳0.89g/kg/日など、年齢・性別によって設定されています。WHO/FAO/UNUの基準も併記されており、同程度の範囲です。

米国のDRIも、年齢・性別によってたんぱく質の基準を設定しています。NIHはRDAを「ほぼすべて(97~98%)の健康な人の必要量を満たす1日平均摂取量」と説明しています。

子どもの基準値の算出方法については議論もあり、あるレビューでは、現在の米国DRIは4~13歳0.95g/kg/日、14~18歳0.85g/kg/日としながら、新しい測定方法による研究ではより多い必要量を示唆するものもあると紹介しています。一方で、現時点では既存の推定値を覆すだけの公表データは十分ではないとも結論づけています。

このように、日本と海外では年齢区分や表示方法などに違いがあります。

したがって、

「海外より日本の基準が低いから、日本の子どもが小さくなっている」

と現時点の比較だけから結論づけることはできません。

むしろ、日本の基準そのものが特殊なのかという疑問については、海外基準と同じ土俵にそろえて慎重に比較する必要があります。

これは、今回の記事から出てくる重要な論点だと思います。

8. 子ども用プロテインを追加する必要はある?

ここまで見てくると、

「だったら念のためプロテインを飲ませておけばいいのでは?」

という疑問も出てきます。

しかし、ここでも順序が重要です。

まず確認すべきなのは、その子の普段の食事です。

肉だけでなく、

魚
卵
牛乳・乳製品
大豆・大豆製品
穀類

などさまざまな食品から、私たちはたんぱく質を摂取しています。学校給食についても、文部科学省は多様な食品を適切に組み合わせることを求めています。

また、「推奨量」は「摂れば摂るほど成長する量」ではありません。

子どもの食事を考えるときには、単一の栄養素だけを増やすより、

エネルギーを十分に摂れているか、食事全体のバランスはどうか

を見ることが先になります。

偏食や食事量の少なさなどで栄養状態に心配がある場合や、成長について具体的な懸念がある場合は、「身長のためにプロテインを追加する」と自己判断するのではなく、小児科医や管理栄養士などに相談して、その子の成長や食生活全体から考えた方がよいでしょう。

9.個人の努力だけでなく「自然と栄養をとれる環境」も大切

ここまで、子どもの成長を「たんぱく質」という一つの栄養素だけで考えるのではなく、食事全体や出生前からの長い時間軸で考えてきました。

しかし、もう一つ考えておきたいのが、健康を個人や家庭の努力だけに任せない仕組みです。

例えばアメリカでは、小麦粉など日常的に食べる食品に鉄や葉酸などを加える「栄養強化」という考え方があります。以前ハクライドウでも「鉄分を強化した小麦粉で鉄欠乏症・貧血を予防している国がある!」という記事で取り上げました。

こうした考え方の興味深いところは、「鉄を摂らなければ」と一人ひとりが意識し続けなくても、普段食べる食品を通じて必要な栄養素を摂取しやすくすることです。

子どもの健康や成長を考える場合も、「何を食べさせるべきか」という家庭への働きかけだけでなく、普通に生活していても必要な栄養素を摂りやすい食品環境をどうつくるか、という視点があってもいいのではないでしょうか。

子どもの成長を支えるには、家庭の食事だけでなく、学校給食や食品の栄養強化など、社会全体で栄養を支える仕組みについて考えることも必要なのかもしれません。

まとめ|「給食の肉が少ない→日本人の身長が低下」は一度立ち止まって考えたい

今回、SNSで出ている疑問を一つずつ確認していくと、かなり違った景色が見えてきます。

日本の子どもには、年齢・性別に応じたたんぱく質の推奨量が設定されています。学校給食についても食事摂取基準や児童生徒の食事調査などを考慮した「学校給食摂取基準」があり、たんぱく質を含めて栄養管理する仕組みがあります。

一方、日本人の平均成人身長が1970年代末生まれをピークに低下したことを示す研究はありますが、その研究が示した重要な関連要因の一つは低出生体重児の増加でした。

ですから、

日本人の平均身長が低下している
↓
子どものたんぱく質が不足している
↓
学校給食の肉が少ない
↓
もっと肉やプロテインを増やせばいい

というストーリーは、現段階では単純化しすぎているように見えます。

だからといって、「子どものたんぱく質について何も問題がない」と結論づけるのも早計です。

平均値が十分でも、個々の子どもには食事量や食生活、活動量などの違いがあります。また、子どもの成長を考えるなら、妊娠前・胎児期・出生時・乳幼児期・思春期までを連続したものとして見る必要があります。厚生労働省の食事摂取基準も、ライフステージ初期について胎内、乳児期、成長期の栄養状態への配慮を求めています。

今回の問題から見えてくるのは、

「たんぱく質が足りているか?」という一つの数字だけではなく、日本の子どもが成長するために必要な栄養とエネルギーを、胎児期から成長期まで十分に確保できているのか

という、もっと大きな問いなのかもしれません。

健康を支えるのは、本人の生活習慣だけではなく、健康的な選択をしやすい環境でもあるんですよね。

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【参考資料】
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
厚生労働省「令和6年国民健康・栄養調査報告」
文部科学省「学校給食摂取基準の策定について(報告)」
文部科学省「学校給食実施基準の一部改正について」
国立成育医療研究センター「日本人の平均身長は低下傾向―低出生体重児増加が影響している可能性あり―」
European Food Safety Authority(EFSA), Population Reference Intakes for Protein
NIH Office of Dietary Supplements, Dietary Reference Intakes
Hudson JL, et al. Dietary Protein Requirements in Children: Methods for Consideration. Nutrients. 2021.







「本記事は医療行為の代替ではなく、テレビ・論文・公的資料を一般の生活者向けに噛み砕いたものです」

この街を初めて訪れた方へ

この記事は、例えるなら「ばあちゃんの料理教室(ハクライドウ)」という街の中の「ひとつの家」です。

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ここまで書いてきた内容は、
単発の健康情報やレシピの話ではありません。

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もし、

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運動や食事がなぜうつ病と関係するのか?バラバラだった研究が「慢性炎症」でつながってきた

これまでハクライドウでは、「運動とうつ病」「食事とうつ病」について、さまざまな研究を紹介してきました。

例えば、

・運動によって筋肉から「アペリン」が分泌され、脳の海馬に働きかける可能性
・1日7,000歩程度歩く人では、うつ症状のリスクが低いという研究
・魚介類やオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)とうつ病との関係
・果物を多く食べる人ほどうつ病の発症リスクが低いという研究
・キノコを食べる習慣とうつ病リスクとの関係

などです。

一つひとつを見ると、まったく違う研究に見えます。

しかし、ここで一つ疑問が浮かびます。

なぜ「歩く」「運動する」「魚を食べる」「果物を食べる」といった、一見バラバラな習慣が、どれもうつ病やうつ症状と関連するのでしょうか?

その背景を説明する可能性があるものの一つとして、近年注目されているのが、「慢性炎症」です。

ただし最初に大事なことを書いておきます。

「うつ病の原因は慢性炎症だった」と判明したわけではありません。

うつ病は単一の原因で説明できる病気ではなく、炎症はそのなかの一つの経路、特に一部の患者で重要な経路になっている可能性が研究されています。

今回は、これまで紹介してきた「運動」「食事」「腸内環境」の研究を、「炎症」という視点から一度つないで考えてみたいと思います。

■「うつ病=セロトニン不足」だけでは説明できない

「うつ病」と聞くと、セロトニンが不足することで起こるという説明を聞いたことがある人も多いかもしれません。

しかし現在の研究では、うつ病を単純な「セロトニン不足」だけで説明することは難しいと考えられています。

ハクライドウでも以前、NHKスペシャル「うつ病 克服へのカギ」について紹介しました。

番組では、心理的ストレスに伴う脳内炎症やミクログリア、全身の炎症、肥満や糖尿病などとの関係が取り上げられていました。

また、炎症マーカーであるCRPが高い人が、うつ病患者の一部に存在することも紹介しました。

→ NHKスペシャル「うつ病 克服へのカギ」まとめ|体の炎症が原因?食事で予防できる可能性

研究ではIL-6、TNF-α、CRPなどの炎症に関連する物質とうつ病との関係が調べられています。

2026年のレビューでも、炎症性サイトカインが、トリプトファン・キヌレニン代謝、モノアミン神経伝達、BDNFに関連する神経可塑性、ミクログリアによる神経炎症などに関係する可能性が整理されています。

つまり、「心の病気」を脳だけで考えるのではなく、

免疫・炎症・代謝・腸・筋肉・脳

まで含めて考える研究が進められているのです。

■ 炎症が起こると、なぜ「気分」にまで影響するの?

ここが今回もっとも重要なポイントです。

炎症というと、

「ケガをしたところが赤く腫れる」

といった炎症をイメージするかもしれません。

しかし体内では、IL-6やTNF-αなどさまざまなサイトカインが免疫反応に関わっています。

そして、長期的な炎症状態とうつ症状との関係が研究されています。

考えられている経路を非常に単純化すると、

ストレス・肥満・感染・腸内環境など

↓

炎症・免疫系の変化

↓

IL-6・TNF-αなどの炎症性サイトカイン

↓

脳・神経系にも影響

↓

神経伝達・神経可塑性などの変化

↓

一部の人ではうつ症状と関連

という流れです。

そして、この中で注目したいのが「トリプトファン」です。

■ セロトニンだけじゃない?「キヌレニン経路」というもう一つのルート

トリプトファンというと、

トリプトファン → セロトニン

というイメージが強いかもしれません。

ところがトリプトファンには別の重要な代謝ルートがあります。

それが、

キヌレニン経路

です。

炎症とキヌレニン経路、うつ病の関係については現在も研究が続けられており、2026年のレビューでも、炎症によるキヌレニン経路の活性化がうつ病の病態に関与する候補として整理されています。

つまり、

炎症
↓
トリプトファン代謝の変化
↓
キヌレニン経路
↓
神経系への影響

というルートが、「炎症」と「うつ症状」をつなぐ候補の一つとして考えられているわけです。

ただし、

炎症が起こる
↓
セロトニンがなくなる
↓
うつ病になる

と単純化できるものではありません。

キヌレニンからも複数の物質が作られ、炎症と脳との関係にも複数の経路があります。

■ すると「なぜ運動がうつにいいの?」も違って見えてくる

ハクライドウでは以前、

運動がなぜうつ症状を改善するの?運動すると筋肉がアペリンを出して、脳に届いて海馬を元気にし、うつを軽くする

という研究を紹介しました。

この研究から見えてきたのは、

運動
↓
筋肉
↓
アペリンなどのシグナル
↓
脳・海馬
↓
神経新生・神経可塑性

という考え方です。

つまり筋肉は単に体を動かす器官ではなく、運動によって脳へ影響するシグナルを出す可能性があります。

そして、もう一つ興味深いルートがあります。

炎症です。

うつ病患者を対象とした運動研究をまとめたメタ解析では、運動と炎症・神経栄養・免疫関連マーカーなどとの関係が検討されています。研究者自身も「運動が抗うつ効果を生む生物学的経路はまだ明らかではない」としたうえで、血中バイオマーカーと抑うつ症状の変化を検討しています。

さらに2025年のシステマティックレビュー・メタ解析でも、うつ病患者における運動、抑うつ症状、CRP・IL-6・TNF-αなどの炎症マーカーとの関係が検討されています。

運動によって抑うつ症状は改善しましたが、炎症マーカーについては研究間のばらつきもあり、「運動の抗うつ効果が炎症改善によって媒介されている」と断定できる段階ではありません。

ここは非常に重要です。

「運動→炎症低下→うつ改善」という一本線が証明されたわけではない。

むしろ、

運動
├ 筋肉・マイオカイン
├ アペリン
├ 神経可塑性
├ 代謝
└ 炎症・免疫

など、複数の経路が組み合わさっている可能性を考えた方がよさそうです。

■「歩くとうつになりにくい」という研究にも、生物学的背景があるのかもしれない

ハクライドウでは歩数についても、

1日7千歩で死亡リスクが47%低下!心血管疾患・がん・2型糖尿病・認知症・うつ病も抑制!

という記事を紹介しています。

こうした疫学研究では「よく歩く人とうつ症状のリスク」に関連が見つかったとしても、それだけでは、

なぜ歩くとうつ病のリスクが低くなるのか

までは分かりません。

ところが、運動と炎症、運動と神経可塑性、筋肉から脳へ送られるシグナルなどの研究を合わせて考えると、

単に、

運動すると気分転換になるから

という説明ではなく、

体を動かすこと自体が、身体の代謝・免疫・筋肉・脳の状態を変化させている可能性

が見えてきます。

■ 食事とうつ病の研究も「炎症」でつながる?

食事についても同じです。

これまでにハクライドウでは、

魚介類を多く食べる人はうつ病の発症率が低くなる傾向|オメガ3(EPA・DHA)が多いと発症率が低くなる|国立がん研究センター・慶応義塾大学
果物の摂取量が多いほど、うつ病が発症するリスクが低い!
日常的にキノコを食べる習慣を持つとうつ病リスクを下げてくれる
などを紹介してきました。

これらを一つ一つ見ると、

魚とうつ病

果物とうつ病

キノコとうつ病

という別々の研究です。

そこで興味深いのが、

「これらに共通する背景の一つに、炎症という経路があるのではないか?」

という考え方です。

■ 魚・EPA・DHAとうつ病

特に研究が進んでいるのがオメガ3脂肪酸です。

2025年のレビューでは、うつ病と診断された人を対象とする近年のRCTが検討され、高用量EPAを使った研究、とりわけ炎症マーカーが高いMDDなどで改善が報告されています。

またオメガ3由来の抗炎症・炎症収束に関わる脂質メディエーターの増加と、抑うつ症状改善との関連も報告されています。

一方で研究者は、どの患者が恩恵を受けるのか、用量や治療期間について、さらに研究が必要としています。

したがって、

EPAを摂ればうつ病が治る

という話ではありません。

むしろ、

魚・オメガ3
↓
炎症・代謝などへの影響
↓
一部のうつ病との関連を研究中

という段階だと理解するのがよいでしょう。

■ 腸内細菌から「炎症」が起こる可能性も

さらに興味深いのが腸です。

以前、

うつ病は脳だけの病気ではなく、腸内細菌+環境汚染物質による炎症も原因の一つ!?

という研究も紹介しました。

この研究では、腸内細菌 Morganella morganii と環境中の物質との相互作用によって作られる特殊なリン脂質が、免疫反応とIL-6産生に関係することが報告されています。

つまり、こちらから見ると、

食事・環境
↓
腸・腸内細菌
↓
免疫・炎症
↓
脳

という別のルートも考えられます。

■ ここまでをつなぐと、一つの「ネットワーク」が見えてくる

これまで紹介してきた研究を一つの図にすると、こんなイメージになります。

食事・運動・睡眠・ストレスなどの生活環境

↓     ↓

腸・脂肪組織・筋肉・代謝・免疫

↓     ↓

慢性炎症・筋肉由来シグナルなど

↓

サイトカイン・キヌレニン代謝・神経可塑性など

↓

脳

↓

気分・意欲・疲労など

重要なのは、

「慢性炎症がすべてを説明する」という図ではない

ことです。

むしろこれまでバラバラに研究されてきた、

腸
食事
運動
筋肉
免疫
炎症
神経伝達
神経可塑性

が、相互につながったネットワークとして見えてきた、と捉える方がよいでしょう。

■「魚を食べればいい」「キノコを食べればいい」という話ではない

こうして研究を並べると、

「ではEPAのサプリを飲めばいいの?」

「毎日キノコを食べればいいの?」

と思ってしまいます。

しかし、ここには注意が必要です。

魚、果物、キノコなどの摂取とうつ病との関連を示した観察研究だけでは、

その食品がうつ病を予防した

という因果関係までは証明できません。

また、炎症が関係していないうつ病も当然考えられます。

食品を一つだけ取り出すより、

食事、運動、睡眠、体重管理、ストレスなど、炎症や代謝に影響する生活全体を考える

ことが重要なのではないでしょうか。

■ うつ病には「炎症が強く関係するタイプ」がある?

そして非常に興味深いのが、うつ病を一つの病気として扱うのではなく、

「炎症の関与が強い人がいるのではないか」

という考え方です。

だからこそ、

ある人には運動がよく効く。

ある人には食事改善の影響が大きい。

ある人には従来の抗うつ薬がよく効く。

という違いの一部を、将来的には生物学的な特徴から説明できるようになる可能性があります。

ただし現時点では、CRPやIL-6、TNF-αなどを測れば「あなたは炎症型うつ病です」と一般的に診断できる段階ではありません。

ここは研究と医療を混同しないようにする必要があります。

■ 結論:「心」と「体」を分けて考えない

これまで、

魚を食べる人はうつ病が少ない。

果物を食べる人はうつ病が少ない。

キノコを食べる人は抑うつが少ない。

よく歩く人はうつ症状が少ない。

運動すると抗うつ効果がある。

という研究を、それぞれ別の記事として紹介してきました。

当時は「なぜ?」を十分説明できなかったものもあります。

ところが新しい研究を重ねて見ていくと、その間に、

免疫・炎症・腸・筋肉・代謝・神経可塑性

という橋が少しずつ架かってきました。

だから今回の話から私たちが得られるメッセージは、

「うつ病は炎症が原因だから、抗炎症食品を食べよう」

ではありません。

むしろ、

心の健康と体の健康は、私たちが思っているほど別々ではないのかもしれない。

ということではないでしょうか。

運動する。

歩く。

魚を食べる。

野菜や果物、キノコなどさまざまな食品を食べる。

睡眠をとる。

肥満や生活習慣病を予防する。

これまで「体の健康」のために勧められてきた習慣が、炎症、代謝、筋肉、腸などを介して「心の健康」ともつながっている。

その仕組みが、少しずつ明らかになってきています。

ただし、食事や運動はうつ病の標準治療の代わりではありません。

強いうつ症状がある場合や日常生活に支障が生じている場合は、食事や運動だけで対処しようとせず、医療機関に相談することが大切です。

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うつ病は脳だけの病気ではなく、腸内細菌+環境汚染物質による炎症も原因の一つ!?
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【参考文献】
Cunha LL, Feter N, Alt R, Rombaldi AJ. Effects of exercise training on inflammatory, neurotrophic and immunological markers and neurotransmitters in people with depression: A systematic review and meta-analysis. J Affect Disord. 2023. 運動による抗うつ効果の生物学的経路を、炎症・神経栄養・免疫関連マーカーなどから検討したメタ解析です。
Song J, et al. Effect of Different Exercise Modalities on Inflammatory Markers in Individuals with Depressive Disorder: A Systematic Review and Meta-Analysis. Life. 2025. うつ病患者を対象として、運動とCRP、IL-6、TNF-αなどの炎症指標を検討しています。
Dyall SC, Malau IA, Su KP. Omega-3 polyunsaturated fatty acids in depression: insights from recent clinical trials. Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2025. オメガ3とうつ病について、炎症性MDDを含む近年の臨床研究をレビューしています。







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