食物繊維の効果・効能
コレステロールは肝臓で酵素によって胆汁酸に変化します。
野菜に含まれる食物繊維は胆汁酸を吸着して体外への排出を促進します。
食物繊維の働きによって減少した胆汁酸を作るために、コレステロールの消費が増えることにより、血中コレステロール値の低下につながります。
日本人の食事摂取基準(2010年度版)によれば、一日の食物繊維の目標摂取量は男性19g、女性14gなのですが、厚生労働省の平成23年国民健康・栄養調査によれば、食物繊維の一日の摂取量は下回っています。
30歳代 男性12.5g 女性11.8g
30歳代 男性12.9g 女性12.5g
30歳代 男性14.3g 女性14.6g
食物繊維には、コレステロールの低減に役立つ効果があるので、食物繊維が豊富な食品を摂取しましょう。
【参考記事】
・LDLコレステロールを下げるための食品(青魚・大豆・食物繊維・酢)
・【みんなの家庭の医学】食後高脂血症・隠れ中性脂肪を改善し動脈硬化を予防する方法(水溶性食物繊維&運動)
糖分の吸収を遅らせる作用
食物繊維には、糖分の吸収を抑える作用があるとされるため、糖尿病を予防する効果が期待されています。
→ 糖尿病の予防には白米より玄米−米ハーバード大 について詳しくはこちら
体の中の異物や腸内細菌を吸収し改善する作用
肥満やメタボの第3の要因に腸内細菌叢が関係している?和食を食べて予防しよう!によれば、肥満やメタボリックシンドロームを引き起こす第三の要因として腸内細菌叢(腸内フローラ)が関係しているのではないかと考えられています。
食物繊維を摂って糖尿病改善|ためしてガッテン(NHK)によれば、腸内細菌の中には、腸でインスリンを分泌するように指令を出すスイッチを増やすものがあるそうで、その腸内細菌(「バクテロイデス」の仲間の細菌)を元気にすることで、血糖値が下がりやすい=糖尿病になりにくい体質を手に入れられるそうです。
慶應義塾大学の伊藤裕先生によれば、血糖値を下げる腸内細菌を元気にするためには、エサを与えてやる必要があるそうです。
そのエサとは、善玉菌の餌となるイヌリン。
イヌリンは、水溶性食物繊維である、ごぼう、にんにく、納豆、大麦入り玄米など根菜類(根っこ野菜)、キノコ類、海藻に含まれています。
つまり、腸内細菌を元気にして血糖値が下がりやすい体質にする方法は、水溶性食物繊維を含む食品を一品増やすこと。
食事に水溶性食物繊維を含む食品を加えることで、腸内細菌が元気になり、腸にあるインスリンを出すように促す、すい臓に指令を送るスイッチが増えるそうです。
→ イヌリンを含む食品 についてはこちら。
腸内を刺激して、その運動や消化液の分泌を高める作用
腸内の内容物の量を増加させ、その腸内滞留時間を速くする作用
不溶性食物繊維は腸内で水分を吸収と膨らみ、それが便のもととなり、便秘解消に役立ちます。
便秘になるということは、腸内でぜん動運動が行なわれていないということであり、基礎代謝も低くなります。
基礎代謝が低くなることが、冷え性や低体温の原因とも考えられます。
腸内の働きを良くし、便秘を改善することが低体温改善にもつながると考えられます。
肥満や糖尿病など生活習慣病の予防
食物繊維を含む食材を日ごろから積極的に食することで、肝臓から腸に分泌される「胆汁酸」の排出をし、新たな胆汁酸の合成が促進され、血中のコレステロール値が低下し、脂肪肝の抑制や、肥満、糖尿病、メタボリックシンドロームの改善が期待できるそうです。
→ 胆汁酸の排出で肥満や糖尿病が改善 について詳しくはこちら
脳卒中や心筋梗塞のリスク減
食物繊維の摂取が多いグループは、そうでないグループに比べて、脳卒中や心筋梗塞などの循環器病の発症リスクが低かったそうです。
また、海藻類に含まれる水溶性食物繊維より、ゴボウなどに含まれる不溶性食物繊維の方が、脳卒中のリスクを下げる効果が高いこともわかったそうです。
→ 食物繊維で脳卒中や心筋梗塞のリスク減 厚労省研究 について詳しくはこちら
【参考記事】
・心筋梗塞を防ぐカギは悪玉善玉比(悪玉コレステロールと善玉コレステロールの比率)|みんなの家庭の医学 2月9日
乳酸菌をパワーアップ
食物繊維を一緒に摂取すると乳酸菌がパワーアップ!
食物繊維やオリゴ糖は、善玉菌のエサとなって、善玉菌を育て、増やす働きを持っています。
【ソレダメ】乳酸菌の効果を最大限に発揮するヨーグルトの食べ方(いつ・摂取量・種類・パワーアップさせる食べ合わせ)でおすすめしていたのは、生よりも食物繊維が多い「ドライフルーツ」で、特におすすめしたのは「ドライブルーベリー」。
中性脂肪を減らす(食後高脂血症を防ぐ)
食後高脂血症とは、検査時(空腹時)にコレステロール値や中性脂肪値が正常でも、食後の値が下がりにくいものをいいます。
誰しも食後は中性脂肪が増えます。
しかし、人によっては食後の中性脂肪値やコレステロール値が下がりにくくなることがあります。
中性脂肪が増えると、中性脂肪を分解する「リポ蛋白リパーゼ」という酵素が分泌され、中性脂肪が分解されます。
しかし、何らかの原因でリポ蛋白リパーゼの働きが弱まると、中性脂肪を分解することができずに、中性脂肪の基準値をオーバーしてしまうことがあるのです。
→ 高脂血症 について詳しくはこちら
水溶性食物繊維は、腸に入るとゲル状に変化し、腸の内壁に付いて、脂肪分などの吸収を抑える効果があるそうです。
また、中性脂肪を分解するリポ蛋白リパーゼの働きを活性化してくれるそうです。
そのため、水溶性食物繊維を食事の最初に食べておくと、中性脂肪の急上昇を防ぐことができるそうです。
→ 【みんなの家庭の医学】食後高脂血症・隠れ中性脂肪を改善し動脈硬化を予防する方法(水溶性食物繊維&運動) について詳しくはこちら
【たけしの家庭の医学】キクイモが中性脂肪を減らす食材!イヌリンを含む野菜ランキングベスト5!によれば、キクイモ(キク科の野菜でゴボウなどの仲間)に含まれる水溶性食物繊維の「イヌリン」が中性脂肪を減らす効果をもたらしているそうです。
イヌリンとはどういうものなのでしょうか?
実験ではイヌリンが水分と混ざるとゼリー状のようになったのですが、小腸でもこのことと同様なことが起こると考えられ、つまり、イヌリンが体内に入り、小腸で糖を包み込むと、栄養を吸収する穴がある小腸で吸収されず、血管の中に移動することがなくなり、つまり大量の糖であふれることがなくなります。
また、小腸に残っている糖はゆっくりと吸収され、大腸へ運ばれたイヌリンは腸内細菌の善玉菌だけのエサとなり、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が増えていきます。
→ イヌリンを含む食品 についてはこちら。
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