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これからは「個人」でも「大企業」でもなく「チーム」の時代になる!




■これからは「個人」でも「大企業」でもなく「チーム」の時代になる!

Mentoria para Startup.

by Sebrae-SP(画像:Creative Commons)

これからは「個人」の時代でも「大企業」の時代でもなく「チーム」の時代になるのではないでしょうか?

これからの世界を支えるであろう仮想通貨(暗号通貨)、ブロックチェーン技術などテクノロジーを見ると、集中ではなく分散する方向に進んでいくと予測できます。

ドン・タプスコット:ブロックチェーンはいかにお金と経済を変えるか|TED

ブロックチェーン・レボリューション(著:ドン・タプスコット+アレックス・タプスコット)

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

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ブロックチェーンには、全体を管理する中心が存在しない。権力はネットワーク状に等しく分散されていて、特権を持った人はどこにもいない。

ブロックチェーンの考え方というのは、力は集中する方向から分散する方向に進むため、これからは巨大な組織を必要としなくなります。

ブロックチェーンで「オフィスも社員も不要」になる?

(2017/5/26、Forbes)

取引や交渉、契約実行、信頼構築がネットワーク上で行われるため、オフィスも従来の社員も必要ない。

『ブロックチェーン・レボリューション──ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか』の共著者であるアレックス・タプスコットによれば、スマートコントラクトで取引コストが大幅に削減されれば、人を雇って社内で業務を行う必要がなくなるとコメントしているほどです。

それでは、集中から分散へと動くのであれば、なぜ「個」ではなく、「チーム」なのかという疑問が出てくるだろうと思います。

個ではなくチームを選んだ理由としては、個にはアイデアが硬直しやすいというデメリットがあるからです。

■個のメリット

  • 決定が速い(上司がいないので、小回りが利きやすい)

■個のデメリット

  • 人の力に頼れない(得意ではない仕事をする必要がある)
  • 福利厚生は自分次第になる
  • 頭が硬直してしまって、アイデアが出てこない恐れがある

■大企業のメリット

  • 大きな仕事に携われる
  • 一つのプロジェクトをやる場合には、多くの人で様々な業務を分担することができる

■大企業のデメリット

  • 決定が遅くなりがちである
  • 出世競争・社内政治・人間関係に巻き込まれる恐れがある

米Yahoo!のメイヤーCEO、“在宅勤務禁止”について初めてコメント「現在のYahoo!には適さない」

(2013/4/22、itmedia)

「人は1人でいる方が生産性は上がるが、集団になった方がイノベーティブになる」と強調した。

米Yahoo!CEOの「在宅勤務禁止令」から見えてきた在宅勤務/オフィス勤務のメリット

(2013/3/12、ライフハッカー)

メイヤー氏の視点に賛成する人は、オフィスがアイデアを共有する場としていかに大切であるかを述べています。メイヤー氏が長年役員だったGoogleでは、デジタルイノベーションの成功には、社員がオフィスに「実際に居る」ことが欠かせないという哲学があります。

IBM: 自宅勤務制度の廃止を従業員に通告

(2017/2/10、Newsln Biz)

IBMがこれまで採用してきた自宅勤務制度を廃止することを対象となる従業員に通告していたことがtheregister.co.ukが入手したIBMの社内発表資料によって明らかとなった。

<中略>

自宅勤務制度は、フレキシブルな勤務が可能となり、また、会社まで通勤するためのコストも削減することができることから、一時期、IT企業の間で流行したことがあったが、最近になり「チームワーク」の重要性が強調されると共に、自宅勤務制度についてはむしろ弊害を指摘する声の方が強まっていた。

チームラボ・猪子寿之:ヤフーもやめたでしょ。「ノマド」「在宅勤務」を禁止する理由

(2014/10/8、nikkei BPnet)

だけど、比較的高付加価値が生まれるようなイノベーティブな仕事を志向したときに、ノマドというのはあり得ないでしょう。世界を見渡したときに、みんながイノベーティブだと思うようなアウトプットをしている会社に、在宅勤務を肯定していたりノマドを推奨している会社がありますか? ないですよね。

 アップル、グーグル、フェイスブック、ダイソン、どこもやっていない。むしろオフィスを働きやすい環境に整えることにエネルギーを注いでいる。ヤフーは一時、在宅勤務化を進めていましたが、あまりよい結果を生まなかったらしく、結局やめてしまいましたよね。
イノベーティブな仕事には、ノマドも在宅勤務もあり得ないのです。

自律する力がある人は在宅勤務のほうが生産性が上がると思います。

しかし、会社にとって重要な要素には生産性だけでなく、創造性があります。

GoogleやGoogle出身のマリッサ・メイヤー氏、IBMにとっては、オフィスに実際にいることがイノベーション(技術革新)のためには欠かせないという哲学があり、そのために、在宅勤務を禁止していました。

個々人の仕事の役割がはっきり区切られていて分担できる仕事の場合には在宅勤務も可能かもしれません。

しかし、創造力を必要とするような仕事の場合、顔を合わせながらお互いに影響しあって作り上げていく形であり、はっきりと役割が区切られているわけではないため、離れて仕事をするというのは難しいのだと思います。

イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則(著:スティーブン・ジョンソン)にはこう書かれています。

イノベーションのアイデアを生み出す七つの法則

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ダンバーが作ったアイデア形成地図を見ると、イノベーションの中心地は、顕微鏡ではなくて、会議用のテーブルだった。

おしゃべりの場でのコミュニケーションによって、ある人の結論が、ある人によってのきっかけとなることで、アイデアに大きな変化をもたらすことが考えられます。

凄いアイデアというのは誰かが一人きりで研究室に閉じこもって生まれるのではなく、実は人々が集まってコミュニケーションをとっている中で生まれているのだそうです。

イギリス人の数学者アラン・チューリングが、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号エニグマを解読するドラマを中心としたストーリーである『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』では、パブのシーンである女性の何気ない一言が暗号エニグマの解読のヒントとなっています。

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研究室で一人で仕事をして顕微鏡を覗いていたのでは、考えが一カ所にひっかかって、最初にあった自分自身の偏見から抜けられない。

集団での会話にある社会的な流れが、個人の固体的な状態を液体のネットワークに変える。

Steven Johnson:スティーブン ジョンソン「良いアイデアはどこで生まれる?」(Jul 2010、TED Talk)

Community + Entrepreneurship: Tim Rowe at TEDxGrandRapids(2013/6/24、YouTube)

How Buildings Learn: What Happens After They’re Built

【関連記事】

今新しく生まれているのは、「競争」から「共創」「集団的創造」へという考え方です。

「共創」や「集団的創造」という言葉は、チームラボの猪子寿之さんがコメントした言葉で、誰かと競い合うことではなく、いろんな専門性がある人たちと共に創り上げていくことで、新しいものを生み出していくという言葉だと認識しています。

チームラボの猪子寿之さんは、「共創する場所に身を置くことでクリエイティブになれたし、他の人にも共創によって変わる体験をしてほしい。」とコメントしています。

天才でもない限り、自分ひとりでできることは限られていて、誰かに助けてもらったり、誰かを助けたりしなければ、物事を成し遂げるのは難しいと思います。

DMM社長に就任した片桐孝憲さんのインタビューも考えが近いように思えます。

ピクシブ代表取締役社長・片桐孝憲「個人最強時代だからこそ、チームで生み出して、個人で作れないようなすごいものを作る」

(2014/2/14、現代ビジネス)

インターネットの発展によって、制作クオリティも上がったし、発表も簡単になり、個人のものづくりにおいては最高の時代に突入しました。この個人クリエイター最強時代において、会社としてどう生き残っていくかと言えば、チームでものを生み出して、個人では作れないものを作るしかない。例えばサグラダファミリアのようなもの、ハリウッド映画のようなものを作る。各分野の専門家が集まって、一つの作品を作り上げるんです。

競争しないと成長しないという人もいると思いますが、本当にそうなのでしょうか。

競争が、ただの足の引っ張り合いになってしまい、成長どころか後退していることもあるでしょう。

競争とは、切磋琢磨しあうことであって、相手の価値を下げることで、勝つことではないはずです。

だからこそ、新しく「共創」という言葉が必要なのだと思います。

【関連記事】

ただ、「創発」という視点から考えると、もしかすると、そもそも個人と他者という境界線はないのかもしれません。

「鈴木さんにもわかるネットの未来」(著:川上量生)

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小さな部分では存在しない性質が大きな全体では出現する現象を、創発といいます。たとえば”水”には圧力や温度といった概念が存在しますが、水をつくっている水の分子ひとつずつを観察しても、そこには圧力や温度は存在しません。圧力や温度は、水分子が大量に集まった時に出現する性質だからです。個々がバラバラに動く自律分散システムは全体として一定の秩序を生み出しますが、この創発として生み出された秩序が、知性があるかのように何らかの仕事をすることがあるのです。

肝臓の細胞は100個集まっても組織的に働かないが、1000個集まれば肝臓の役割を発揮する|東大の研究グループが解明によれば、肝臓の細胞は100個集まっても働かないそうですが、1000個集まれば肝臓の役割を発揮するそうです。

つながって集団で泳ぐ奇妙な海洋生物「サルパ」──その高効率な推進法が「水中ロボット」を進化させる

(2017/10/11、WIRED)

「わたしたちが実験で実証したのは、通常の持続的遊泳においてサルパの各個体は、バラバラにふるまっているということです」と、論文共著者のひとり、オレゴン大学の生物学者ケリー・サザーランドは言う。

「噴射の頻度は個体によって異なりますが、各個体の行動が合わさって、非常に効率的な移動が創発されるのです」。ただし、脅威を感じて急いで逃げる必要があるときは、群体が協調して噴射する。

海洋生物「サルパ」は、通常はバラバラに行動しているのですが、脅威を感じて急いで逃げる必要があるときには、それぞれの個体の行動が合わさって噴射のタイミングを協調させ、効率的な移動を創発しているそうです。

人間における知性や創造も、実は創発の考え方のように、小さな部分では存在しない知性が大きな全体では出現することもあるという期待があります。

そういう考えがあるのであれば、やはり「大企業」ではないかとも考えました。

なぜ「チーム」と表現にしたのかというのは、正確には「プロジェクトチーム」型がこれからの時代に適した形態だと考えたからです。

意見共有で「集合知」が低下:研究結果で紹介したスイスのチューリッヒ工科大学の研究者によれば、集団は最初のうちは『賢い』のですが、他者の推測など社会的影響があると、意見の多様性が狭まり、集合知が低下するのだそうで、Jan Lorenz氏によれば、集合知が発揮されるためには、集団の各構成員は多様な意見をもち、また、それらの意見には個人個人が自力で到達する必要があるそうです。

つまり、一人一人が自分の力で考える力を持った人たちが集まらなければ、集団の力は得られないのです。

スペシャリストがプロジェクトごとに集まって成功を目指す例として挙げると、古くは「特攻野郎Aチーム」や「オーシャンズシリーズ」、アニメでいえば「ルパン三世」、のイメージです。

各々が何らかのスペシャリストでありながら、チームとして集まると、個(ひとり)では生み出すことのできない何かが生まれ、大きな力を発揮しています。

個人的にはSMAPのエピソードが印象的です。

雨上がり宮迫を圧倒させた「SMAPの中居」のオーラ「もう、スターなんです」

(2016/12/17、MusicVoice)

ところが、ステージ上のSMAP中居は宮迫がプライベートで知っている中居ではなかったようで、「SMAPがパッと歌い出したら、もう、全部がSMAPになるんですよね。プライベートの中居君じゃないんです。もう、スターなんですよ」と発散される雰囲気に圧倒されたという。

プライベートを知っている人にとっても、SMAPとして5人が揃うとスターになってしまうというのが不思議なものです。

だからこそ、これからは「個」の時代でも「大企業」の時代でもなく「(プロジェクト)チーム」の時代になる!と考えました。




■まとめ

霊長類研究の第一人者であり、現在は京都大学総長の任に就かれている山極壽一(やまぎわ・じゅいち)先生によれば、チームの定義を個体が意志を持ち集団の目的を共有してつくるものとした場合には、チームは人間だけのものなのだそうです。

【参考リンク】

人間だからこそ、動物の「群れ」ではなく、「チーム」を作ることができるってすごいことだと思いませんか?

おたがいの立場に立てるからこそ、たとえばぶどうを採りに行くときに、自分には仲間が何人いて、いくつ持って帰ってほしいと期待されているかを想像できるようになる。共感力が想像力を生み、チームワークを可能にしたと言えるかもしれません。

お互いの立場に立ってものを考える力=共感力が生まれたことで、想像力が生まれ、目的や計画性を持ったチームという概念が生まれてきたのだとしたら、人間としては、「個」でも「大企業」でもなく「チーム」であることが重要なのではないでしょうか。

最後にこの言葉をご紹介したいと思います。(アフリカのことわざなのだそうです)

別所哲也(俳優)|有名人の英語ライフ|TOEIC SQUARE

「If you go fast, go alone. If you go further, go together. (早く行きたければ、一人で行きなさい。より遠くへ行きたいのであれば、みんなで行きなさい)」

【追記(2020/12/29)】

今まで見ていなかったアニメを見ようと思って、進撃の巨人やDr.Stoneを見たのだけれど、巨人によって住む世界を狭くされる残酷な世界に向き合ったり、石化された世界を身近にあるものと知識(科学の力)を使って元の世界を取り戻そうとしたり。

閉塞した現代社会に置き換えてみたけれど、今の時代にアジャストしようとする人が多く、新しい世界を切り開こうとする人が少なく感じる。

それは残酷な世界に立ち向かう勇気が足りないのかもしれないし、世界を切り開くための知識と行動力、仲間の力が足りないのかもしれない。

作品に共通するのは主人公たちが世界が変わってほしいと思うのではなく、自分たち自身が世界(巨人や自然)と向き合っているということ。

もう一つは仲間の存在。

YouTubeやInstagram、TikTokによって個人で生きられる世界が加速するという。

そしてそのことが旧態依然とした企業を壊していくとも。

ただ忘れてはならないのは、YouTube、Instagram、TikTok全てが一企業であり、一瞬にして今まで築き上げてきたものが壊れるような決定を下す恐れがあるし、また国が企業に対して圧力をかけることもあるだろう。

そんな世界に一人で生きられるわけがない。

だからこそ仲間の存在が欠かせない。

これからは絶対的にチームの時代だ。







P.S.
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MintHealth|ブロックチェーン技術を活用した個人の健康記録プラットフォーム・健康増進行動を促すためのインセンティブ(トークン)




■MintHealth|ブロックチェーン技術を活用した個人の健康記録プラットフォーム

参考画像:MintHealth|スクリーンショット

MintHealth: Empowering Patients to Take Control of their Health and Data via Blockchain Technology

(2017/10/26、PR Newswire)

MintHealth is a global decentralized health platform that aligns patients, providers, and payers around patient empowerment. The platform enables the patient to manage their own self-sovereign health identity and record, secured via blockchain, and engages the ecosystem to drive healthy patient behavior through the vidamint™ token.

MintHealth」は、ブロックチェーン技術を活用し、個人の健康記録(PHR:Personal Health Record)をアプリを通じていつでもどこでも閲覧ができるプラットフォームです。

エストニア、医療データの記録・管理にブロックチェーン技術を活用すべく試験運用中|日本で導入するにはどのようなことが必要か?では、エストニアでは、医療データの記録・管理にブロックチェーン技術を活用すべく試験運用が行なわれているニュースをお伝えしましたが、それをサービスとして提供しようと考えているのが、MintHealthのようです。

【参考リンク】

まずは、ブロックチェーン技術について簡単な説明を行ない、なぜ医療データの記録・管理にブロックチェーン技術を活用するのか?について紹介したいと思います。

ブロックチェーンについては「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット/アレックス・タプスコット)の著者であるドン・タプスコットさんのTEDでのスピーチが一番印象に残ると思い紹介します。

Don Tapscott(ドン・タプスコット):ブロックチェーンはいかにお金と経済を変えるか|TED

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

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簡単に言うと、ブロックチェーンとは、中央管理者を必要とせず、全ての取引履歴をみんなで共有して、信頼性を担保するシステムといえばよいでしょうか。

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

【参考リンク】

私たちが今利用しているウェブを「情報のインターネット」だとすれば、ブロックチェーンが実現するものは「価値のインターネット」とも表現されたりもしています。

【参考リンク】

【関連記事】

このブロックチェーン技術に個人や企業・政府による関心が集まっており、医療データの記録・管理にブロックチェーン技術を活用しようという動きが始まっているのです。

医療データの記録・管理にブロックチェーン技術を活用するとどう変わるのでしょうか?

Estonia prescribes blockchain for healthcare data security|Health Matters(2017/3/16、pwc)を参考にまとめてみます。

●個人の医療情報・健康記録を安全に保管することができる

First, health records can be stored securely in a ledger on which all participants (health professionals, patients, insurers) can rely.Doctors, surgeons, pharmacists and other medical professionals all have instant access to an agreed set of data about a patient.

ブロックチェーン技術を活用することで医療情報の偽造・改ざんを防止すると同時に、暗号化技術によって非常に重要な情報である個人の医療情報・健康記録を安全に保管することができます。

これまでは医療情報のような個人情報は巨大な仲介役が管理していましたが、ブロックチェーン技術を活用すれば、そのデータは自分が管理することができるようになります。

データを企業に受け渡すことでサービスを利用している現代ですが、ブロックチェーンが浸透すれば、自分の情報を自分でコントロールすることができるようになるのです。

「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット/アレックス・タプスコット)では次のように表現されています。

ビッグデータの時代は終わり、プライベートな「リトルデータ」の時代がやってくるのだ。

●医療従事者が患者のデータに即座にアクセスできる

必要な情報だけを医療従事者が即座にアクセスすることができるようになります。

あまりなりたくはないものですが、病気や事故になったとしても、即座に医療従事者がそのデータにアクセスすることにより治療が受けられるようになるわけです。

Its Patient Portal gives citizens access to medical documents, referral responses, prescriptions, and insurance information.Individuals can also use the Portal to declare their intentions regarding blood transfusions and organ donation.

エストニアの患者ポータルでは、医療文書・処方箋・保険情報にアクセスができ、輸血や臓器提供に関する意向も宣言することができるそうです。

【関連記事】

■MintHealth|健康増進行動を促すためのインセンティブ(トークン)を与える

今回紹介したMintHealthの特徴はもう一つあります。

Upon receiving VIDA tokens, patients can use the tokens to receive discounts and as a method of payment to partially offset healthcare related expenses including premiums, co-pays, goods and services (e.g., pharmacies, physical therapy providers, spas, nutrition stores, etc.).

Vidamints™(VIDA)という形で健康増進行動を促すためのインセンティブ(VIDAトークンを報酬として付与する)が与えられ、VIDAトークン(電子証票)を受け取った患者は医療関連の費用として支払うことができます。




●【補足】トークンとは?

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 17年8月号 (ブロックチェーンの衝撃)

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クレジット型とは、人々の信頼の対象となる主体が貸し借りの記録を帳簿上に記載し、その記録の正確性を担保として貨幣としての機能を提供するものをいう。

これに対して、トークン型とは、貴金属片や紙片などの物理的存在に価値があるという社会的約束を成立させて、この物理的存在を移転させることによって貨幣としての機能を果たすものをいう。

「DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー 17年8月号 (ブロックチェーンの衝撃)」によれば、「イングランド銀行/中央銀行研究センターチーフエコノミスト・ワークショップ」(BoE/CCBS Chief Economics’ Workshop)という勉強会で「Old Money, New Money」というタイトルの資料を公表し、貨幣の発生にまでさかのぼって、マイケル・カムホフ(Michael Kumhof)が貨幣というものが設立する根拠を「クレジット型」と「トークン型」の二つに分類して説明しています。

保険会社が導入している健康増進活動で付与されたポイントがデジタル通貨となれば、キャッシュレス社会に近づき、医療費が削減され、老後の資産形成に対する不安が減る!?では、「保険会社が導入している健康増進活動に応じてポイントを付与する仕組みに加えて、そのポイントをデジタル通貨にする」という提案をしました。

現在でもそれに近い試みは行なわれており、保険会社では、健康増進活動に応じてキャッシュバックしたり、ポイントを付与する仕組みが導入されています。

「ずっともっとサービス」に「健康サポートマイル」を導入|健康増進に取り組むとサンクスポイントが貯まる仕組み|日本生命保険相互会社によれば、日本生命保険相互会社は、健康・介護・育児の無料相談等を備えた「ずっともっとサービス」に「健康サポートマイル」を導入するそうです。

「あるく保険」|健康増進活動に応じて保険料をキャッシュバックする業界初の商品|東京海上日動あんしん生命保険によれば、東京海上日動あんしん生命保険株式会社(あんしん生命)はNTTドコモと共同で、保険加入者にウェアラブルデバイスを貸与し、アプリで計測された健康増進活動に応じて保険料の一部をキャッシュバックする商品「あるく保険(新医療総合保険 健康増進特約付加)」を開発しました。

SBI生命保険、健康管理や生活習慣改善のためのFiNCアプリのサービス対象者を保険加入者全員に拡大によれば、目標達成状況に応じたポイントが付与される「健康インセンティブプログラム」が提供されていて、貯まったポイントはウェルネス・ヘルスケア商品に特化したECサイト「FiNC モール」で利用できるそうです。

【関連記事】

参考画像:「新産業構造ビジョン」(2017/5/29、経済産業省)|スクリーンショット

1992年に南アフリカで設⽴されたDiscovery社は、Discoveryグループの⾦融商品(健康保険、⽣命保険、損害保険等)とセットでVitality Programを展開。

Vitality Programでは、まず健康チェックによって⾃⼰の現状把握を⾏った後、⾷⽣活の⾒直し・運動・禁煙等、健康状態を改善する取り組みを実施するとポイントを獲得できる。獲得したポイントは、健康⾷品やヘルスケア商品の購⼊、映画や航空券の割引優待など幅広い⽤途で使⽤可能。

 Discovery社の報告によれば、同プログラム参加者は⾮参加者に⽐べて受診率・⼊院⽇数・⼀⼈あたり医療費を抑制。

また、積極的に参加するメンバーほど、死亡率が低下するという結果が得られている。

健康増進型保険「JAPAN VITALITY PROJECT」の目指すものとは?|住友生命・ソフトバンク・DISCOVERYで紹介した保険加入者に行動変化(健康増進活動)を促す保険「Vitality」を提供するDiscovery社によれば、健康状態を改善する取り組むを行うとポイントを獲得し、特典が得られるという仕組みを提供し、このプログラムに参加している人はそうでない人に比べて医療費が抑制されているそうです。

「健康ポイント制度」に医療費を抑制する効果があることが初めて実証されるによれば、運動や検診など健康づくりに取り組んだ人がポイントを受け取って商品券などに交換する「健康ポイント制度」に、医療費を抑制する効果があることが実証されているそうです。

積極的に計画・実行する人はがん・脳卒中・心筋梗塞の死亡リスクが低い|国立がん研究センターで紹介した国立がん研究センターによれば、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の行動をとる人は、そうでない人に比べて、がんで死亡するリスクが15%低く、また、脳卒中リスクが15%低く、脳卒中心筋梗塞などで死亡するリスクが26%低いという結果が出たそうです。

その理由としては、日常的な出来事に対して、積極的に解決するための計画を立て、実行する「対処型」の人は、がん検診や健康診断を受診するため、病気の早期発見につながり、病気による死亡リスクが低下して可能性があるようです。

つまり、積極的に健康管理を行うように努力する人は死亡リスクが低いわけですから、今後、健康増進活動に積極的な人にインセンティブを与えていくような仕組みを設計するようになっていくと考えられます。

DG Lab、ビットコインのブロックチェーン上で独自仮想通貨を発行できる汎用フレームワーク「DG Lab DVEP (Digital Value Exchange Platform)」™を開発

(2017/10/10、デジタルガレージプレスリリース)

DG Labは今後DG Lab DVEPを、ビットコインのブロックチェーンに基づく信頼性の高い「デジタル価値の交換プラットフォーム」として、独自の地域通貨や仮想通貨、ポイントを発行する事業者に順次提供していく予定です。また、DGがクレディセゾンなどと開発を進めている、各種ポイントや仮想通貨等のリアルタイム交換が可能なサービスや、仮想通貨間の交換を可能にするサービスなどにも応用する予定です。

各種ポイントや暗号通貨などのデジタル価値の交換を可能にするサービスに関するフレームワークができて、事業者のネットワークができれば、今後健康増進活動で得られたトークンをやり取りするということも実際に行なわれるようになるのではないでしょうか。

■まとめ

老後保障と介護保障の十分な準備ができておらず老後生活の不安を抱えている|平成28年度生活保障に関する調査で紹介した第一生命が全国の40代・50代の男女3,376名を対象に行なったアンケート調査によれば、現在の生活に対する不安よりも、老後に対する不安の方が大きいようです。

その理由には、「公的年金だけでは生活できない」(64.7%)と答えていることや老後の資産形成の準備ができていないことがうかがえます。

老後に対する不安は、やはり金融や保険に関する知識不足が原因にあるのではないでしょうか?

金融リテラシーが低い人は老後の不安が多い!2つの理由|健康・お金のことを学ぶことが幸せな老後の秘訣|広島大学で紹介した広島大学大学院社会科学研究科の角谷快彦准教授とムスタファ・サイドゥ・ラヒム・カン研究助手が、大阪大学が約4,500人を対象としてアンケート調査から、複利や金利、リスク回避、国債などの質問の正答率で算出される金融リテラシーが、被験者の老後の生活不安の度合いにどのような影響を及ぼしているかを分析したところ、金融に詳しい人は老後に対する心配が少ない傾向があることがわかったそうです。

【関連記事】

そこで考えたのが「健康増進活動に応じてポイントを付与する仕組みに加えて、そのポイントをデジタル通貨にする」という提案です。

ポイントがデジタル通貨として使えるようになれば、高齢者にとっても健康的なライフスタイルを積極的に行うことで医療費の削減にもつながるでしょうし、ポイントが付与されることで老後資産が形成できないという老後に対する不安も少なくなっていくのではないでしょうか。

銀行が健康的な人には金利を上乗せする時代が来る!?健康が金利に反映されるアイデア|#ダボス会議2017 人生100年時代でも紹介しましたが、長寿社会において健康であることは価値が高くなっています。

行政機関や銀行などの金融業界、保険業界などが手を結んでこうした仕組みを導入すれば、健康であることが本当の意味での資産になり、世界はより良い方向に進むと思いますが、どうでしょうか?

『サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る』(著:スティーブ・ケース)では、第三の波(あらゆるモノのインターネット)によって、あらゆるモノ・ヒト・場所が接続可能となり、従来の基幹産業を変革していく中で、企業や政府とのパートナーシップが重要になると書かれています。

サードウェーブ 世界経済を変える「第三の波」が来る (ハーパーコリンズ・ノンフィクション)

第二の波では、インターネットとスマートフォンの急速な普及によってソーシャルメディアが激増し、盛況なアプリ経済が誕生した。その中でもっとも成功を収めたスナップチャットやツイッターのような企業は、小規模なエンジニアリング・チームからスタートして一夜にして有名になり、第一の波の特徴であったパートナーシップをまったく必要としなかった。しかし、こうしたモデルは現在がピークであり、新たな時代は第二の波とはまったく違う―そして最初の波とよく似た―ものになることを示す証拠が増えている

この第三の波には「インパクト投資」も含まれているそうです。

社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド)とヘルスケア分野(認知症・がん)の可能性|#サキドリ↑(NHK)によれば、「社会的インパクト投資(ソーシャルインパクトボンド、SIB)」とは、障がい者支援や低所得者(貧困)支援、難民、失業、引きこもりの人の就労支援などの社会問題の解決と収益の両立を目指す社会貢献型の投資のことです。

「IoT」や「インパクト投資」といった「第三の波」で社会は大きく変化をしていきますが、社会問題を解決する手段として、一人の力ではなく、これからますますいろんな人たちとのパートナーシップが重要になってくるでしょう。

最後にこの言葉をご紹介したいと思います。(アフリカのことわざなのだそうです)

別所哲也(俳優)|有名人の英語ライフ|TOEIC SQUARE

「If you go fast, go alone. If you go further, go together. (早く行きたければ、一人で行きなさい。より遠くへ行きたいのであれば、みんなで行きなさい)」







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#ブロックチェーン とは?#Blockchain について簡単にわかりやすく!オススメ解説動画・本【初心者向け用語集】

【目次】




■ブロックチェーンとは?

Bitcoin Blockchain

by tcbe.ch ICT Cluster Bern(画像:Creative Commons)

ブロックチェーンを非中央集権とオープンデータという2つの視点からその特徴を考えてみます。

●非中央集権

#ブロックチェーン とは?#BLOCKCHAIN について簡単にわかりやすく!オススメ解説動画・本【初心者向け用語集】によれば、簡単に言うと、ブロックチェーンとは、中央管理者を必要とせず、全ての取引履歴をみんなで共有して、信頼性を担保するシステムといえばよいでしょうか。

簡単にわかりやすく言うと、ブロックチェーンとは、中央管理者を必要とせず、全ての取引履歴をみんなで共有して、信頼性を担保するシステムといえばよいでしょうか。

ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

ブロックチェーン技術とは
ブロックチェーン技術とは

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

【参考リンク】

私たちが今利用しているウェブを「情報のインターネット」だとすれば、ブロックチェーンが実現するものは「価値のインターネット」とも表現されたりもしています。

【関連記事】

●オープンデータ

ブロックチェーンは社会基盤となるか|NTTデータ

ブロックチェーンとは、簡単に言うと、公開検証できるオープンデータ(誰もが触れられる情報)に対して、誰もが新たにどんどん情報を登録して確認できる技術なのです。

これまではデータを囲い込んだ企業だけがサービスを提供できていた時代から、ブロックチェーンによって、誰もが触れられる改ざんされない情報であるオープンデータに対して様々な個人や企業などが利用し、マッシュアップすることによりイノベーションを起こすのではないかと考えられます。




■ブロックチェーンは社会をどのように変えるか?

ブロックチェーン技術の展開が有望な事例とその市場規模
ブロックチェーン技術の展開が有望な事例とその市場規模

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

経済産業省によれば、ブロックチェーン技術は金融系だけでなく、医療などの幅広い分野に影響を与え、社会を大きく変える可能性があるそうです。

ブロックチェーン技術が社会経済に与えるインパクト
ブロックチェーン技術が社会経済に与えるインパクト

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

1)価値の流通・ポイント化、プラットフォームのインフラ化(地域通貨・電子クーポン・ポイントサービス)

2)権利証明行為の非中央集権化の実現(土地登記・電子カルテ・各種登録)

3)遊休資産ゼロ・高効率シェアリングの実現(デジタルコンテンツ・チケットサービス・C2Cオークション)

4)オープン・高効率・高信頼なサプライチェーンの実現(小売り・貴金属管理・美術品等真贋認証)

5)プロセス・取引の全自動化・効率化の実現(遺言・IoT・電力サービス)
各企業におけるバックオフィス業務(契約や取引の執行、支払・決済、稟議などの意思決定フロー等)の⼤半を置きかえることが可能。
IoTとスマートコントラクトによるマイクロペイメントを組み合わせることで、受益者負担をより正確に反映した公共サービス等のコスト負担の仕組みが構築可能。
(例えば、ゴミの量や道路の利用量に応じた課⾦による税徴収等)

プロセス・取引の全自動化・効率化においては、各企業におけるバックオフィス業務(契約や取引の執行、支払・決済など)が自動化されることが考えられたり、また、IoTとスマートコントラクトによるマイクロペイメントを組み合わせることができれば、プラットフォームに依存せずに、利用料に応じた課金による税徴収ができるなど受益者負担を反映したサービスのコスト負担の仕組みが構築できるかもしれません。

ブロックチェーン技術の発展トレンド
ブロックチェーン技術の発展トレンド

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

ブロックチェーン技術の発展トレンドによれば、1)ブロックチェーンの用途を拡張(価値情報の移転の記録、財やサービスの権利の所在と移転の記録、取引や手続きの登録)、2)ブロックの生成時間を短縮(PoW、コンセンサスアルゴリズムの改善)、3)参加者を制限(パブリック、プライベート)という3つの軸でブロックチェーン技術の改変・発展が進んでいます。

ブロックチェーン技術活用のユースケース
ブロックチェーン技術活用のユースケース

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

ブロックチェーン技術は、金融系(決済、為替・送金・貯蓄等、証券取引、ソーシャルバンキング)だけでなく、ポイント、資金調達(クラウドファンディング)、コミュニケーション(SNS、メッセンジャー)、資産管理、ストレージ、認証(デジタルID、アート作品の所有権や真贋証明)、シェアリング(ライドシェア)、商流管理(サプライチェーン、トラッキング管理、マーケットプレイス、金保管、ダイヤモンドの所有権、デジタルアセット管理・移転)、コンテンツ(ストリーミング、ゲーム)、将来予測、公共(バーチャル国家、宇宙開発、ベーシックインカム)、医療、IoTといった様々な分野に広がっています。




■ブロックチェーンの現在位置は安全性を向上させている段階

ブロックチェーンは社会基盤となるか|NTTデータ

スマートコントラクトでいうと、プログラム言語を堅牢なものにつくり直さなくてはいけないという議論は、まさにMITの中でもされているところです。さらに、まだまだ完全ではありませんが、プログラムのバグを減らすためのデバッガーやチェッカーといった安全性を検証していくツールが出始めています。

プロトコル自体の脆弱性を下げるために、フォーマル・ベリフィケーション(形式検証)、つまり形式的にその設計が安全かどうかを検証することが、まずは必要ではないかと思っています。

実験的な暗号通貨「Ethereum(イーサリアム)」でいかにして約52億円を失ったのか

(2016/6/21、GIGAZINE)

The DAOは、Distributed Autonomous Organization(DAO/分散型自動化組織)というコンセプトを実証するため、自然言語の契約ではなくEthereum上のスマートコントラクトで分散型自動化組織を構築しようとする試みでしたが、このスマートコントラクトのプログラムに脆弱性があり、今回はそこをハッカーに狙われたわけです。

「Ethereum(イーサリアム)」をベースにした自立分散型投資ファンド「The DAO」が2016年6月17日、ハッカーからの攻撃にあい、資金の約3分の1にあたる5300万ドル(約52億円)が流出の危機に見舞われた事件では、スマートコントラクトのプログラムに脆弱性があり、イーサリアムには問題がなかったため、ハードフォークを行ないました。(この時分裂したのがイーサリアムクラシックです)

MITメディアラボ研究員の松尾真一郎さんによれば、現在はブロックチェーンの安全性については、まだ未成熟な技術であり、セキュリティ要件やセキュリティを確認する手法は固まっていないそうです。

ブロックチェーンの場合、そのトレードオフの考える評価軸の中で「どれくらい非中央集権を高めるのか?」を考えることは、ブロックチェーンの良さを引き出しつつ、使い勝手がよいシステムをつくるための大きなポイントなのです。

ブロックチェーン技術に限らず情報システムの構築において様々な要素がトレードオフの関係になっており、ブロックチェーン技術においては、セキュリティ・プライバシー・運用コスト・利便性・非中央集権性・性能・スケーラビリティの適切なバランスを考えて設計する必要があるそうです。

ブロックチェーンはどう進化するか?伊藤穣一氏らが予測する未来

(2017/8/9、technologyreview)

伊藤所長は、「インターネットは“The Stack”と呼ばれるように、プロトコルのレイヤーに分けて整理されている。それがインターネットの成功の基でもある」と話す。

伊藤穣一さんによれば、イーサネットが発明され、その上にTCP/IP、またその上にHTTP/HTML(Web)、さらにその上に暗号通信のプロトコルであるSSLというレイヤーが重なり、次にブロックチェーンというレイヤーが重なろうとしているのが今の段階なのだそうです。

ブロックチェーンはどう進化するか?伊藤穣一氏らが予測する未来

(2017/8/9、technologyreview)

まるで2000年頃のインターネットみたいに投資してるけど、プロトコルは1990年くらいのレベル。まだ足場が固まっていないのに、その上にいろいろ建ててしまっている」と現状を危惧する。

ブロックチェーン開発はマラソン、長期的利益を追え:伊藤穰一、松尾真一郎氏らが警鐘

(2017/8/10、Dididay)

伊藤譲一氏はこのセッションに先立ち、ブロックチェーンの発展をインターネットとのアナロジーで説明し「いまのブロックチェーンは1996年のインターネットほどは成熟しておらず、80年代のレベルにもかかわらず、Amazon.com(1994年〜)をつくろうとしている」と指摘した。

しかし、伊藤穣一さんによれば、プロトコルが標準化されてない段階にもかかわらず、ブロックチェーンはイーサネットが公開され、HTMLの概念が初めて提案された1980年代のレベルにも関わらず、1994年に生まれたAmazonを作り出そうとしているように見えるそうです。

ブロックチェーン開発はマラソン、長期的利益を追え:伊藤穰一、松尾真一郎氏らが警鐘

(2017/8/10、Dididay)

伊藤氏は「(インターネットの黎明期では)あまり自分の損得考えない人たちが一生懸命考えてやってみたら(スケーラブルなインターネットが)できちゃった。

ブロックチェーンが次のレイヤーになるためには、インターネットの黎明期に出てきた人たちのように、損得を考えずに一生懸命考えるような人たちなのでしょう。

伊藤穣一さんによれば、アメリカにはAmana’s Lawと呼ばれる法則・ルールがあるそうです。

“We tend to overestimate the effect of a technology in the short run and underestimate the effect in the long run.”

“我々は、短期的には技術の効果を過大評価し、長期的にはその影響を過小評価する傾向がある”

インターネット歴史年表から「ブロックチェーン」の現在位置を考える!によれば、ブロックチェーンは長期的にはその影響は大きいものになることが予想されるため、じっくりとその基盤となる技術の規約を作り上げることが重要であり、短期的な結果を求めるのは性急すぎるのではないかということではないでしょうか。

■ブロックチェーンについて理解が深まる動画・本の紹介

ブロックチェーンについては「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット/アレックス・タプスコット)の著者であるドン・タプスコットさんのTEDでのスピーチが一番印象に残ると思い紹介します。

Don Tapscott(ドン・タプスコット):ブロックチェーンはいかにお金と経済を変えるか|TED

ブロックチェーン・レボリューション ――ビットコインを支える技術はどのようにビジネスと経済、そして世界を変えるのか

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Understand the Blockchain in Two Minutes

ブロックチェーンを2分で理解できる動画として紹介されています。







■ブロックチェーン関連記事

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#ビットコイン とは?#Bitcoin について簡単にわかりやすく!オススメ解説動画・本【#仮想通貨 #ブロックチェーン 初心者向け用語集】




■ビットコインの歴史

bitcoin

by nikcname(画像:Creative Commons)

ビットコインの歴史は、サトシ・ナカモトと名乗る人物が暗号技術のメーリングリストに投稿した論文(2008年)からスタートしています。

【参考リンク】

■ビットコインのコンセプト

Satoshi Nakamoto Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System

A purely peer-to-peer version of electronic cash would allow online payments to be sent directly from one party to another without going through a financial institution.

サトシ・ナカモト論文の要約によれば、純粋なP2P(ピア・ツー・ピア)方式の電子のお金によって、金融機関を通すことなく、一方から他方への直接的なオンラインでの支払いが可能になるというものです。

ビットコインの仕組みを知るうえで、知っておいた方がいいのが「P2P(peer to peer)」の考え方です。

P2P型ネットワークの特徴と可能性
P2P型ネットワークの特徴と可能性
P2Pの分類 検索方法|ピュア型・ハイブリッド型・スーパーノード型
P2Pの分類 検索方法|ピュア型・ハイブリッド型・スーパーノード型

参考画像:P2Pネットワーキングの現状と将来(2006/11、総務省)|スクリーンショット

Peer to Peer (P2P) とは、P2Pネットワーキングの現状と将来(2006/11、総務省)によれば、次のように説明されています。

専用のサーバに依存せず、コンピュータ機器同士が対等な立場で直接通信を行うネットワークの形態。

P2Pの特徴としては、管理コストの削減、データ形式の柔軟性(情報の発生源に直接アクセスすることで最新情報の共有ができる)、耐障害性(ネットワークに接続された一つのピアに障害が起きてもその他のぴあへの影響は小さい)、スケーラビリティ(ユーザーが急増しても情報発生源に必要なシステムの規模を増加する必要がない)、管理容易性(商用サービスで必要な、認証・課金などのアクセス管理、情報管理などには基本的に向かない)があるそうです。

■ビットコインが引き継ぐDNA

●ビットコインの技術であるブロックチェーンの考え方は1990年にはできていた

「マイニングはゲーム理論」「ブロックチェーンの源流、27年前に」――ビットコインが受け継ぐ“DNA”、MIT研究員が語る (1/2)

(2017/7/31、ITmediaニュース)

 松尾さんは「ビットコインの核技術である、ブロックチェーンの基本的な考え方は1990年にできていた」とも話す。文書にタイムスタンプ(ファイルの存在時刻と非改ざん性の証明)を付加する手段として、文書をハッシュ化したものをサーバに預け、時系列順に鎖状につなげて保存する方法を書いた論文を、1990年に米Bellcore(現Telcordia Technologies)が公開していた。

 2002年には早稲田大学などが共同で、デジタル文書のハッシュ値に電子署名を加えたものを鎖状につなげる技術を発表している。

米マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボの松尾真一郎さんによれば、ビットコインの技術であるブロックチェーンの考え方は1990年にはできていたそうです。

【参考リンク】

●ビットコインのマイニングはゲーム理論から

「マイニングはゲーム理論」「ブロックチェーンの源流、27年前に」――ビットコインが受け継ぐ“DNA”、MIT研究員が語る (1/2)

(2017/7/31、ITmediaニュース)

 「1993年ごろに、クリプトグラフィックパズルという研究があった」と松尾さん。これは当時の問題だった、大量のパケットを送りつけることで標的PCを停止させる攻撃や、スパムメールなどを防止するための技術という。

考え方はこうだ。メールの送信者は、送信先のサーバから出された難しい問題を解かなければメールが送れないという仕組みにする。するとメールを1通送るコストが上がるため、大量送信などの攻撃ができなくなるだろう――というわけだ。

ビットコインには「マイニング」という仕組みがあります。

→ #マイニング とは?「#ビットコイン などの #仮想通貨 を採掘(マイニング)する」について簡単にわかりやすく!【初心者向け用語集】 について詳しくはこちら

メールを送信するためのコストを上げる仕組みにすることで、攻撃のコストを高くし、かつマイニングの計算に報酬を与えることで、攻撃するよりもマイニングをしたほうがお得というメカニズムにしているそうです。

■ビットコインの核技術となるブロックチェーンを簡単にわかりやすく!

●非中央集権

#ブロックチェーン とは?#BLOCKCHAIN について簡単にわかりやすく!オススメ解説動画・本【初心者向け用語集】によれば、簡単に言うと、ブロックチェーンとは、中央管理者を必要とせず、全ての取引履歴をみんなで共有して、信頼性を担保するシステムといえばよいでしょうか。

●オープンデータ

ブロックチェーンは社会基盤となるか|NTTデータ

ブロックチェーンとは、簡単に言うと、公開検証できるオープンデータ(誰もが触れられる情報)に対して、誰もが新たにどんどん情報を登録して確認できる技術なのです。

これまではデータを囲い込んだ企業だけがサービスを提供できていた時代から、ブロックチェーンによって、誰もが触れられる改ざんされない情報であるオープンデータに対して様々な個人や企業などが利用し、マッシュアップすることによりイノベーションを起こすのではないかと考えられます。

ブロックチェーンとは
ブロックチェーンとは

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

ブロックチェーン技術とは
ブロックチェーン技術とは

参考画像:平成27年度 我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備(ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査)報告書概要資料(2016/4/28、経済産業省)|スクリーンショット

【参考リンク】

Personal organizer with metallic ring binder

by Horia Varlan(Creative Commons)

ブロックチェーンについてさらにわかりやすく理解するために、どんなもので例えればよいかと考えてみたのですが、台帳なので「バインダー」がモノとしてのイメージに一番近いでしょうか。

※ブロックが一枚ずつの紙であり、本でいう切り口の部分に落書きのようなサインに当たるのが「ナンス(nonce:計算して求めた数値)」で、このラインにズレがあると計算が合っていないまたは偽物であると判断できる。




■送金を例にビットコインと既存の集中型システムを比較

「AからBに送金する」という例をもとに考えてみたいと思います。

●ビットコインによる送金

1.「AさんからBさんにビットコインを送る」という送金情報を作成します。このことを「トランザクション」といいます。

2.このトランザクションを受け手であるBさんを含むネットワーク参加者全員に送ります。

3.マイナーが複数のトランザクションをまとめて「ブロック」を作成し、ネットワーク参加者全員に送ります。

4.問題がなければブロックチェーンに追加します。

これがビットコインにおける送金プロセスです。

●既存の集中型システムによる送金

1.「AさんからBさんにお金を送る」という送金情報を管理者に送ります。

2.管理者は利用者の残高情報が書かれている帳簿に反映する。

3.Bは更新された帳簿を参照して入金を確認します。

ポイントは、ビットコインでは、全員が同じ内容の帳簿を持ち、それを更新し、既存の集中型システムでは、管理者のみが帳簿を持っているという違いがあります。

■ビットコインの問題と解決するための技術

「仮想通貨と金融の未来」(視点・論点) 早稲田大学大学院 教授 岩村 充(2018/2/2、視点・論点)を参考にすると、ビットコインの問題は、価格が不安定であること、マイニングに膨大なエネルギーを必要とすること、中央銀行の金融政策の影響で左右されることがあります。

ゲーム販売のSteamがビットコイン決済を取りやめ。激しい価格変動と手数料高騰のため(2017/12/7、TechCrunch)によれば、ビットコインの取引手数料など取引コスト(トランザクションコスト)の高騰やマイニング難易度調整などによる価格変動が大きすぎることから、ゲーム販売プラットフォームのSteamを運営するValveが、ビットコイン決済を取りやめています。

決済サービス「STRIPE」がビットコインのサポートを終了|暗号通貨(仮想通貨)全体には楽観的で、ライトニングやOMISEGO、ETHEREUMに期待!によれば、オンライン決済支援サービス「Stripe(ストライプ)」は、2018年4月23日をもってビットコイン決済事業から撤退する理由として、ビットコイン価格の変動幅が大きい、取引に時間がかかる、トランザクションコストが高いことから手数料が高くつく、といった問題があるためと挙げていました。

実際にビットコインがマイクロペイメント(少額決済)で利用されるようになるためには、価格の安定性を実現する必要があると考えられます。

そのための技術として、「ライトニングネットワーク(Lightning Network)」や「サイドチェーン(sidechain)」というアイデアが取り上げられています。

【参考リンク】

■ビットコインを技術的に理解する

■ビットコイン・ブロックチェーンについて理解が深まる動画・本の紹介

ブロックチェーンについては「ブロックチェーン・レボリューション」(著:ドン・タプスコット/アレックス・タプスコット)の著者であるドン・タプスコットさんのTEDでのスピーチが一番印象に残ると思い紹介します。

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ビットコインのしくみ、ブロックチェーンの進化についても時系列に沿って丹念に解説している本です。

「ビットコインとブロックチェーン:暗号通貨を支える技術」(著:アンドレアス・M・アントノプロス)

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秘密鍵・公開鍵、ブロック、マイニング、トランザクション等の基本概念を詳細に記述し、平易な文章+図表を多用して、わかりやすく解説しています。

Understand the Blockchain in Two Minutes

ブロックチェーンを2分で理解できる動画として紹介されています。

ビットコインマイニングとは?

■まとめ

ビットコインがもし仮に消滅したとしても、仮想通貨という概念は消えないでしょう。

ビットコインではなくても、また別の存在が現れてくるのだと思います。

それほどビットコインという存在は画期的なものだったのです。







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■#マイニング とは?「#ビットコイン などの #仮想通貨 を採掘(マイニング)する」について簡単にわかりやすく!【初心者向け用語集】

ビットコインなどの仮想通貨をマイニング(採掘)するといいますが、なぜ「マイニング(mining=採掘)」と呼ばれるのでしょうか?

「ブロックチェーンの衝撃」(ダイヤモンド社)では「マイニング」について次のように説明しています。

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トランザクションをブロックにまとめて、ネットワーク参加者に送付してブロックチェーンに取り込ませるプロセスは「マイニング(mining=「採掘」)と呼ばれ、これをおこなうネットワーク参加者は「マイナー」と呼ばれる。

なんとなくわかったような感じがしますが、「トランザクションとは何だろう?」というような疑問も浮かんできますので、もう少しかみ砕いてみたいと思います。

そこで今回は「AからBにビットコインを送金する」という例をもとに考えてみたいと思います。

1.「AさんからBさんにビットコインを送る」という送金情報を作成します。このことを「トランザクション」といいます。

2.このトランザクションを受け手であるBさんを含むネットワーク参加者全員に送ります。

3.マイナーが複数のトランザクションをまとめて「ブロック」を作成し、ネットワーク参加者全員に送ります。

4.問題がなければブロックチェーンに追加します。

これがビットコインにおける送金プロセスです。

この例を読んだ後に、もう一度先ほどのマイニングの解説を読むと少しわかりやすくなっていると思います。

しかし、ここで一つ疑問が浮かんできた人はいないでしょうか?

「なぜ『マイナー』になって『マイニング』をする人がいるのか?」という疑問です。

それは、マイニングにインセンティブ(報酬)があるからです。

わかりやすくいえば、マイニングには「うまみ」があるということです。

先ほどのビットコインの送金プロセスを例にとると、ブロックを作成する際には膨大な計算が必要となるのですが、マイニングにおける計算問題を早く解いた人には報酬を受け取ることができる仕組みになっているのです。

「マイニング(採掘)」という言葉はこのことから使われているそうです。




【補足】マイニングの動画解説

ビットコインマイニングとは?

【補足】マイニング関連ニュース

■マイニングにも問題がある

このマイニングにも問題があります。

膨大な計算量となることで電力消費も膨大になっていることです。

「ブロックチェーンの衝撃」(ダイヤモンド社)

たとえば、典型的なコンセンサスメカニズムであるプルーフ・オブ・ワーク(proof-of-work)では、膨大な計算量が必要とされ、それには大量の電力消費が伴う。ある試算では、2020年には、一ビットコインのマイニングに、5500キロワットアワーが必要とされ、その時点でビットコインの採掘に使用される電力は、デンマークのエネルギー消費と同等になるとされている。

【参考リンク】

ブロックチェーンは、「通信システムにおいて、偽りの情報が伝搬される可能性がある時に、正しい合意形成をいかに行うか」というビザンチン将軍問題の解決を、計算量などに転嫁しているとも考えられる。

簡単に言えば、電気代より採掘したビットコインの価値が高い間はマイニングが続くが、電気代のほうが高くなった場合、マイニングする人がいなくなり、ビットコインの仕組みは終了してしまうということです。

信頼できない相手との通信をどう信頼するかという「ビザンチン将軍問題」において、「プルーフ・オブ・ワーク(proof-of-work:POW:CPUの計算量で発言権を与える)」では膨大な計算をこなすことで解決を図ろうというアプローチをしているのですが、それには大量の電力消費を伴うため、現実的にブロックチェーンを導入するには、「プルーフ・オブ・ステーク(proof-of-stakes:POS:コインを持っている割合(ステーク)でブロックの承認割合を決めること」のような計算量の少ない方法を導入するなどによる問題の解決が必要になります。

このほかにもマイナーの偏りという問題もあります。

マイニングのコンセンサス・アルゴリズムの「プルーフ・オブ・ワーク(proof-of-work:POW)」はCPUの計算量に応じて発言権を与えるというものですが、これを言い換えると、ものすごい性能の高いコンピュータを多く持っている人(グループ・企業を含む)に権力が集中してしまいます。

また、ビットコインの発行総量は2100万Bitcoinとあらかじめ決められており、新規に発行されることがなく、さらには、マイニングの報酬額を半減させるタイミング「半減期」があります。

ちなみに、Blockchainの表を見ると、2018年1月13日までにビットコイン総供給量の80%にあたる1680万BTCが採掘されています。

マイニングの報酬が減ってしまい、マイナーがマイニングを辞めてしまった場合、ビットコインやブロックチェーンの仕組みも止まってしまう恐れがあります。

タラレバですが、マイニングには、エネルギー問題、環境問題、一極集中の恐れ、半減期でマイニングを辞めるといった問題を抱えているのです。







【参考リンク】

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