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アン・ハサウェイがヴィーガンを卒業




ヴィーガン食市場は今後拡大していくの?
ヴィーガン食市場は今後拡大していくの?

Creatv Eight|unsplash

■アン・ハサウェイがヴィーガンを卒業

つまり、ヴィーガン食に完全にシフトしていくわけではなく、食事への罪悪感を減らす手段として、野菜を中心に、ハーブやスパイスを使って香りや食感もひと工夫ある彩り豊かな料理を食べる食の体験の選択肢の一つとして、ヴィーガンを選んでいるわけなんですね。

このように考えると、3食のうち1食をヴィーガン食を選ぶ、というようなライフスタイルも考えられます。







オイシックス・ラ・大地 2021年3月期 第1四半期決算説明資料によれば、Kit Oisix事業の「時々ヴィーガンKit」の販売個数が、前四半期比に比べて約1.6倍に伸びており、また、アメリカのPurple Carrot事業の会員数は、米Netflixでのヴィーガン食生活特集の影響に加え、3月以降のコロナの影響により前四半期比約30%増えているそうです。

ヴィーガンの人気YouTuber「Rawvana」、魚を食べていた動画が発覚し炎上!




ヴィーガンの人気YouTuber、魚料理を食べていたことが発覚しSNS炎上(米)によれば、ヴィーガンによるダイエットやデトックスなどの手法をまとめたテキストブックや動画などを有料でダウンロード販売するほどの人気を集めるYouTuber(YouTubeチャンネル「Rawvana」を運営)、ヨヴァナ・メンドーサ・アイレスさん(Yovana Mendoza Ayres)さんの動画に魚料理を食べたと思われる形跡があったことから批判が相次いだことをWashington Postなどが取り上げ話題になっています。

【参考リンク】

ヴィーガンの人気YouTuber「Rawvana」、魚を食べていた動画が発覚し炎上!
ヴィーガンの人気YouTuber「Rawvana」、魚を食べていた動画が発覚し炎上!

参考画像:THIS IS WHAT IS HAPPENING|YouTubeスクリーンショット

彼女はYouTubeで謝罪を行ない、生理が来なくなっていたこと、常に貧血気味で、甲状腺ホルモンのレベルが低いことなど自身の体調が芳しくないことを説明しました。

医師は彼女に体重を増やすように、栄養学者の友人はたんぱく質と脂肪をもっと食べるようにアドバイスを行ない、改善したところ、体重が6ポンド増え、一つ間違えれば危険という状態を脱したそうです。

その後、小腸の細菌が異常に増殖する「小腸細菌異常増殖症(SIBO)」と診断されてから、魚や卵を食べるようになったそうです。

【参考リンク】

今回のポイントはいくつかあります。

1.ヴィーガンのライフスタイルに問題があるかどうかは別の話で、彼女の行なったヴィーガンのやり方に何か問題があったのか?

他のヴィーガンのライフスタイルを実践している人から見ると、彼女のヴィーガン・スタイルを動画で見ていて、栄養が不足していると思っていた人もいるかもしれませんよね。

2.動物性の食品をとったことにより体調が回復したことから、ヴィーガンのライフスタイルが彼女の身体に合わないものではなかったのか?

肉も魚も卵も食べない「ヴィーガン(ビーガン)」生活・食事を経験した女性に起きた身体・肌の異変とは?では、ヴィーガン生活を続けているうちに、体に異変が起き、体力が落ちて、疲労感が現れ、唇は青くなり、髪が抜けたり、顔にシミが出たり、月経が来なくなった女性のエピソードを紹介しました。

ポイントはヴィーガンのライフスタイルがまだ確立されていないものではないかという視点です。

もしかすると、動物性の食品をとらなくても健康を維持することができるヴィーガンのやり方もあるかもしれませんが、それがまだ見つかっていないのかもしれませんよね。

ただ事実としてあるのは、医師が判断して、タンパク質と脂肪が不足しており、それを補ったことで体調が戻ったということ。

その事実を真摯に受け止め、今後研究をしていく余地がありそうです。

3.彼女自身はこれらの病気の原因はヴィーガンのライフスタイルにあるわけではなく、自身の心はヴィーガンコミュニティとともにあるというメッセージを送っていること

これは難しい問題ですよね。

自分自身はヴィーガンというライフスタイルが好きで、そのコミュニティの中で生きたいという思いがあるにもかかわらず、自身の身体には異変が起きているという事実があって、心と体が分裂しているような状態にあるということはつらいことでしょう。

彼女には批判が集まっていますが、実際どのようにするのが賢明だったのでしょうか?

例えば、自身の体調が芳しくない時に、検査を受けたところ、栄養が不足していたので、タンパク質と脂肪を動物性食品から摂取する必要があると医師からアドバイスを受けたことを自身のコミュニティに向けたYouTubeやInstagramで予め伝えておけばよかったのでしょうか?

そうしたメッセージを伝えるのは、ヴィーガンのライフスタイルを大事にしているコミュニティの人々にとっては受け入れられないものだったかもしれませんし、仕方ないよねと受け取る人もいたかもしれません。

ただ、彼女自身が運営するYouTubeチャンネルの登録数は240万人にもおり、ヴィーガンのライフスタイルを伝えることを仕事にしている立場であることから、ヴィーガンのライフスタイルが体調不良の原因かもしれないことを伝えること自体が恐れを感じていたのではないでしょうか?

きっと彼女は体調の不安があることを明かすとコミュニティから批判があると思い込んでいて、そのことから秘密を抱えてしまったのかもしれません。

これからは彼女自身が体調の不安という秘密を明かしてもよいようなコミュニティづくりをしていくといいですね。







【ベジタリアン・ヴィーガン 関連記事】
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【#保険医療2035】キュア(cure)からケア(care)の時代にはコミュニケーションの重要性が高まる!?




■【#保険医療2035】キュア(cure)からケア(care)の時代にはコミュニケーションの重要性が高まる!?

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by Military Sealift Command(画像:Creative Commons)

【新ビジョン公開】2035年、日本は健康先進国へ。|保険医療2035|厚生労働省によれば、2035年に向けた課題を克服するには、これまで保健医療制度を規定してきた価値規範や原理、思想、すなわちパラダイムを転換する必要があるとあります。

1.量の拡大 → 質の改善
2.インプット中心 → 患者の価値中心
3.行政による規制 → 当事者による規律
4.キュア中心 → ケア中心
5.発散 → 統合

今回の記事でいえば、「4.キュア中心 → ケア中心」が当てはまります。

疾病の治癒と生命維持を主目的とする「キュア中心」の時代から、慢性疾患や一定の支障を抱えても生活の質を維持・向上させ、身体的のみならず精神的・社会的な意味を含めた健康を保つことを目指す「ケア中心」の時代への転換

これからの時代は、主たる病気が感染症から生活習慣病へ移行したことにより、疾病の治癒や生命維持を目的とする「キュア(cure)」から、患者のQOL(生活の質)の向上を目的とした「ケア(care)」が重要になるということですよね。

女性医師の治療を受けた患者は生存率が高い!?|医師の患者に対する共感・コミュニケーションが重要な役割を果たしている?で紹介した米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院の研究によれば、女性医師による治療を受けた患者は、男性医師の治療を受けた患者に比べて、入院してから30日以内に死亡する確率や退院後の再入院する確率が低かったそうです。

その違いの原因はつかめていないようですが、これまでの研究によれば女性医師が男性医師よりも臨床基準により詳細に沿うがあることやより患者中心のコミュニケーションをとることなどがあることから、その点にヒントが隠されているのではないでしょうか。

第6章 患者の視点に立ったコミュニケーション |国立保健医療科学院

主たる病気が感染症から生活習慣病へ移り、疾病構造は大きく変化した。キュア(cure)よりもケア(care)やマネジメント(management)が医師の業務で大きな位置を占めるようになった。医療情報も巷にあふれ、混乱している患者も増加した。患者の権利意識も増大し、医療への過度の期待を生んでいる。患者の自己決定権は重視されるべきであるが、患者の要望をそのまま受け入れれば、不必要な検査や治療を行うことになりかねない。医師は適切な情報を理解しやすい言葉で患者やその家族に伝える責務がある。

コミュニケーションの重要性が高まっているのには以下のような理由があります。

  • 主たる病気が生活習慣病へ移行したことで、ケア(care)やマネジメント(management)が大きな位置を占めるようになった
  • 患者が医療情報に触れる機会が増えたが、その情報に混乱している患者も増加
  • 医学の進歩により市民の一部は医学を万能と考えるようになり、医療への過度の期待を生んでいる

患者に対して適切な医療を行うためには、医師が患者の言葉に耳を傾け(傾聴)、気持ちを受け入れ(受容)、そのうえで医師として適切な情報を患者にわかりやすい言葉で伝えることが重要になります。

「ケア(care)の時代」においては、ますます医師と患者のコミュニケーションの重要性は高まってくるのではないでしょうか?




→ 看護師が教える!相手に心を開いてもらう会話の方法とは? について詳しくはこちら




【関連記事】
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収入に関係なく高学歴ほど病気リスクが低い|なぜ高学歴ほど循環器疾患(心筋梗塞や脳卒中)の発症リスクが下がるのか、仮説を考えてみた




【目次】

■収入に関係なく高学歴ほど病気リスクが低い|なぜ高学歴ほど循環器疾患(心筋梗塞や脳卒中)の発症リスクが下がるのか、仮説を考えてみた

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by John Loo(画像:Creative Commons)

高学歴ほど低い「病気リスク」…収入は関係なし

(2017/7/25、読売新聞)

学歴別にみると、最終学歴が高いほど循環器疾患の発症リスクは下がり、大学院卒が最も低かった。高校中退者の発症リスクは50・5%と2人に1人。高卒の41・7%に比べ約10ポイントも高く、高校教育を終えたかが健康格差の分かれ目となることがうかがわれた。

ミネソタ大学の久保田康彦・客員研究員(公衆衛生学)が行なった45~64歳の男女1万3948人を学歴や収入でグループ分けし、45~85歳までに心筋梗塞、心不全、脳卒中といった循環器疾患を発症するリスクを分析したところ、収入に関係なく、高学歴ほど心筋梗塞脳卒中になるリスクが低いということがわかったそうです。

#健康格差 とは|所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなる!?によれば、健康格差とは、所得や学歴など社会経済的な地位が低いと不健康が多くなるといわれている格差のことであると紹介しており、例えば、#健康格差 は収入・学歴などが要因?|WHO、社会的・経済的な格差が健康の格差を生んでいるで紹介した愛知県の高齢者約1万5000人を対象にした調査では、所得水準が低いほど精神疾患や脳卒中、肥満などの割合が高いとの結果が出ていたり、学歴が低いほどがんや外傷による死亡率が高いことや、収入が低い人ほど運動をしていない割合や喫煙率が高いとの研究もあることを紹介しました。

高学歴の妻、男性の死のリスク低減させる可能性=研究では、妻の教育レベルが、男性にとっての死のリスクを決定する要因となるという研究結果を紹介しましたが、仮説としては、高学歴の人ほど健康につながる生活習慣を選択しがちだからこそ病気のリスクが低いのか、高学歴の人はそもそも遺伝的に病気になるリスクが低いのか、などいろんな理由が考えられます。




■【仮説】高学歴の人ほど健康につながる生活習慣を選択しがちだからこそ病気のリスクが低い?

高学歴の人ほど健康につながる生活習慣を選択しがちだからこそ病気のリスクが低いという仮説については、理由としてなんとなく理解できると感じる人も多いでしょう。

乳幼児の「むし歯の健康格差」は成長とともに拡大

(2017/5/19、東北大学)

健康格差は、保健医療の知識の差というよりも、知識を行動に移せるだけの時間的・経済的な生活の余裕の差から生まれている部分が大きいことが分かっています。

東北大学のプレスリリースによれば、健康格差のポイントは、知識の差ではなく、その知識を行動に移すだけの生活の余裕の差によるものが大きいそうです。

また、日本の「健康社会格差」の実態を知ろう|東京大学によれば、個人・家族の学歴、職業、所得などの社会階層が低いほど、次のような影響を与えることで、健康状態が悪化したり、寿命が短くなってしまうそうです。

物質的な制限がある
・低所得で物やサービスを購入できない
・医療へのアクセス抑制

ストレスが大きい
・仕事の裁量と努力への報酬が小さい
・他人と比べた劣等感、相対的剥奪感

人間関係が乏しい
・孤立しやすく、サポートが少ない

健康に悪い生活習慣

胎児期・子供時代の低栄養、逆境体験によるストレスの長期的影響

ただ、これまで紹介してきた内容と今回の分析結果とは内容が違っています。

今回の分析結果が、仮に高学歴でなおかつ所得が多いほど病気になるリスクが低いというものであれば、高学歴の人は保健医療の知識を身につけていて、その知識を行動に移せるだけの時間的・経済的な余裕があるからこそ病気になりにくいというものになったでしょう。

しかし、今回の分析結果はそうではなく、収入に関係なく、高学歴ほど病気になるリスクが低いというものだったので、別の仮説があるのではないでしょうか?

■【仮説】高学歴の人はそもそも遺伝的に病気になるリスクが低い?

エピジェネティクスとは?人生は「生まれ」か「育ち」かだけで決まるわけではない!|What is Epigenetics? Life is not determined only by ‘Nature’ or ‘Nurture’!によれば、エピジェネティクスにおいて重要なポイントは、エピジェネティック・マークは環境により影響される可能性があるということです。

この場合における「環境」とは、神経細胞に周辺細胞が神経の形になれと命令するような細胞間の環境のみを意味しているのではなく、成長する赤ちゃんの外側の環境のことも含んでいます。

例えば、母親が食べたものや妊娠中に摂ったビタミン類、喫煙、家庭内や仕事場で受けたストレスは全て化学シグナルとして血流にのって発育中の胎児に到達するかもしれないそうです。

【関連記事】

マウスの実験では次のようなことがわかっているそうです。

  • アグーティ遺伝子(マウスを太らせ黄色にする、がんや糖尿病のような病気を引き起こすのではないかといわれている)の特徴はDNAを介して世代から世代へと遺伝していくので、アグーティ遺伝子を持つ母親はその子が同じアグーティ遺伝子を持っているなら太った黄色の病気になる傾向のある子どものマウスを生むことになると考えられる。
  • しかし、アグーティ遺伝子は不活性化エピジェネティック・マークが周囲に蓄積するとオフになる。
  • アグーティ遺伝子を持っている母親がエピジェネティック・マークを不活性化する食事を与えられたなら、それらのマークは化学的に胎児のDNAに伝えられて、アグーティ遺伝子の周りに蓄積し、アグーティ遺伝子をオフにする。
  • 胎児はその状態を保ち、そのマウスは成長しても、やせて茶色で健康

つまり、このことは、母親がDNAの全く同じ子供たちを持ったとしても、妊娠中に食べた食事や喫煙といった行動によって、子供たちの健康に違いが現れる可能性を示唆しています。

もう一つ、エピジェネティクスにおいて重要なポイントはエピジェネティック・マークが伝搬するのは妊娠中の母親から胎児へだけでなく、マークが卵子/精子の遺伝子に定着すると、孫、ひ孫というように世代から世代へと遺伝することです。

つまり、このことはライフスタイルが数世代先の子孫に影響するかもしれないと考えられます。

スウェーデンとイギリスで長期にわたって行われた研究では、若い男性が精子の発育する思春期よりも以前に食べ過ぎたり、タバコを吸い始めると、息子や孫(息子)の寿命が短いという結果があるそうです。

【参考リンク】

これはエピジェネティック・マークが食事と喫煙行動によって変化し、次世代の将来の健康に影響したと考えられます。

こうしたことから考えられる仮説は、高学歴ほど健康的なライフスタイルを選んでいて、そのことが世代から世代へと影響を与えることで、自然と病気になるリスクを低くしているのではないかというものです。

■まとめ

これまで健康格差は所得や学歴など社会的・経済的な格差が要因と考えられてきましたが、今回の分析結果によれば、収入は関係なく高学歴ほど循環器疾患の発症リスクは低いという結果が出たことから、健康格差は学歴が大きな要因であり、これまで考えられてきたものを覆すものとなります。

豊かさと健康水準は直接相関せず、国内格差が影響=研究|英ケンブリッジ大学で紹介した英ケンブリッジ大学社会学科のチームによれば、経済的な豊かさと健康であることは相関性はないことがわかっています。

【参考リンク】

「高学歴であると、なぜ循環器疾患のリスクが低くなるのか」、そのメカニズムを解明してほしいですね。







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#健康の自己責任論 について考えてみた!