NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の症状・食事・改善方法

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NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)とは

NASH(=nonalcoholic steatohepatitisの略)は、非アルコール性とあるように、アルコールなしで発症する肝炎のことをいいます。


NASHは、実は肝硬変肝臓がんにもなる恐れのある怖い病気です。


推定患者は200万人といわれ、NASH予備軍は1000万人ともいわれています。


NASHが気になるあなたも、NASHの段階で改善できれば、健康で長生きができ、ワクワク楽しい生活ができますので、お酒を飲まないのにもかかわらず、なぜ肝臓が悪くなってしまうのか? NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)・NAFLDとは、脂肪肝・NASHから肝臓がんになる仕組み、NASHを予防・改善する方法のことを知って、生活習慣を変えていきましょう!


→ 肝臓の機能・働き について詳しくはこちら




【目次】


NASHの症状

NASHは、脂肪肝と同様に自覚症状がありません。

それは、肝臓は再生能力・代償能力に優れ、ダメージを受けても残った正常細胞が余分に働き、機能を維持するからです。

肝臓は痛みなどの症状を出すことがあまりないので、そのため肝臓に異常があっても気付かず、異常に気付いたときには病気がかなり進んでいることがあります。

そのため、定期的な健診を受けて、肝臓の数値を把握することが重要となります。

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NASHの原因|お酒を飲まないのにもかかわらず、なぜ肝臓が悪くなってしまうのか?

NASHの原因は、カロリーオーバーな食事です。

通常、体内に取り入れられた脂肪は、肝臓の中で身体が利用できるエネルギー源として変化し、全身に送り出されます。

しかし、カロリーオーバーの食生活で内臓脂肪が溜まると、そこから常に、大量の脂肪が肝臓へと供給されることなってしまいます。

すると、余った脂肪が肝細胞の中に溜まってしまいます。

これが、「脂肪肝」です。

肝臓は、たまり続ける脂肪を燃やそうとするのですが、その過程で、不完全燃焼から有害な活性酸素が発生し、肝臓の細胞を攻撃し、炎症を引き起こしてしまうのです。

そういう慢性肝炎の状態が、『NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)』といわれます。

※NAFLD=nonalcoholic fatty liver diseaseの略。「非アルコール性」とは、飲酒習慣がないか、1日1合(ビール大瓶1本)以下しか飲まない人を指す。

こうした慢性肝炎が何年も続くと、肝細胞が風船みたいに膨らんだり、線維化が進むNASHに移行し、肝硬変に行き着きます。

ただ、やせているから安心ではないのです。

ダイエットで細くなった女性でも、栄養バランスを崩して脂肪肝になっていると、脂肪肝→非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)→非アルコール性脂肪肝炎(NASH)→原発性肝臓癌(HCC)発生も報告されています。




脂肪肝・NASHからがんになる仕組み

ミトコンドリアは、肝臓が行う分解や解毒などすべての処理に必要なエネルギーを作っています。

ミトコンドリアは糖からエネルギーを作る働きを持っています。

ミトコンドリアが正常に働いてエネルギーを作ってくれるおかげで、肝臓が行う分解や解毒などすべての処理ができるわけです。

脂肪肝になると、脂肪肝の細胞の中には、脂肪が入り込んでしまって、ミトコンドリアに異常が起こってしまいます。

その異常とは、ミトコンドリアが糖からエネルギーを作るのではなく、脂肪からエネルギーを作るようになってしまうことです。

脂肪肝の細胞には、糖が入ってこないため、ミトコンドリアは肝臓を動かすために、脂肪をエネルギーにしているというわけです。

しかし、ミトコンドリアにも限界があり、脂肪からエネルギーをつくる過程でミトコンドリアは巨大化してしまい、機能不全に陥ってしまいます。

この状態のことを、ジャイアント・ミトコンドリアと呼ぶそうです。

ジャイアント・ミトコンドリアが死ぬと、細胞自体が死んでしまいます。

しかもこの時肝臓に炎症が起こってしまいます。(=肝炎

次に、星細胞がやってきて、星細胞は、死んだ細胞の跡地を埋めるために繊維=コラーゲンを吐き出します。

そして、隙間がコラーゲンでガチガチに固められてしまい、線維化状態になります。(=肝硬変

肝臓がん肝硬変になった頃に登場するそうです。

脂肪肝⇒(炎症)⇒肝炎⇒肝硬変⇒最悪の場合、肝臓がん

※NASHからの肝臓がんは脂肪が消えていく=バーンアウト(焼けただれた)NASH

進行するにつれて脂肪がなくなってしまうため、NASHからの肝臓がんと診断できないそうです。


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NASHと関連する病気

といった現代人が抱える生活習慣病と深い関係があります。



NASHになる前に肝機能検査で早期チェック

肝臓は「沈黙の臓器」として知られ、再生能力が高いため、自覚症状が出たときは、病状が悪化していることが多いです。

そのため、病状が悪化する前に予防するためには、肝機能検査値でチェックすることが大事になってきます。

肝機能は主に、ALT(GPT)AST(GOT)の2項目で判定されます。

これらは血液中に流れ出た肝細胞内の酵素の濃度を意味し、肝細胞の破壊が強いほど上昇します。

NASHの前段階、つまり脂肪肝では、まず、ALTが上昇します。

ASTは正常でも、ALTが基準値ギリギリから異常値だったら要注意。

検査値が異常な状態で、同じ生活習慣を続けると、次はALT、AST共に異常域に入ってしまいます。

もしASTのほうが大きくなったら、NASHの疑いが強まるようです。


→ 肝臓の数値|γ-GTP・GOT(AST)・GPT(ALT) について詳しくはこちら




NASHを予防・改善する方法

食事

●エゴマ

名古屋市立大の研究グループが、エゴマに含まれる抗酸化作用が強い「ルテオリン」という成分がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)や、それに伴う肝細胞のがん化を抑制することを発表したそうです。

エゴマを日常的に摂取することで脂肪肝NASH肝臓がんを予防することができるかもしれません。


→ えごま(エゴマ油)の栄養・健康効果(効能) について詳しくはこちら。


【関連記事】

エゴマに含まれる「ルテオリン」に脂肪肝・NASH・肝がん予防効果|名古屋市大


アスタキサンチン

金沢大学医薬保健研究域附属脳・肝インターフェースメディシン研究センターの太田嗣人准教授の研究グループは、「アスタキサンチン」がNASHの予防・抑制に有効であるということを明らかにしたそうです。


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【関連記事】

「アスタキサンチン」に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の予防・抑制作用があることを発見|金沢大学の研究グループ


●鉄の摂取を制限

健康な人に欠かせない栄養素である「」は、貯蔵しないと貧血が起こりますが、C型肝炎/NASHの場合は、鉄が過剰に貯まります(=鉄過剰 )。

鉄過剰になると、肝臓にたまった鉄が酸化し、肝臓に炎症を引き起こすおそれがあります。

肝臓の食事で注意すべきことは、カロリーの摂り過ぎによる脂肪肝と鉄分の摂り過ぎによれば、C型慢性肝炎やNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)では、鉄が過剰に貯まる(=鉄過剰)により、肝臓の炎症に伴い肝臓に鉄分が沈着しやすくなり、鉄分が多く沈着すると炎症が強くなり、肝臓がんも発生しやすくなります。

例えば、「ウコン」は肝臓に良い食べ物として有名ですが、多くのウコン製品には鉄分が含まれているため、食事の他に鉄を含むウコンを摂取すると摂取量を超えるおそれがあり、C型肝炎やNASHの人の場合は、逆効果になることもあります。

※鉄分がほとんどふくまれていないウコン商品もありますが、鉄分表示をされていないものが多いようです。

C型肝炎・NASHの人は、フェリチン値(血液中に貯蔵されている鉄の量)を調べるようにして、鉄分を摂りすぎないよう注意することが必要になります。

C型肝炎・NASHの患者さんの場合には、鉄の摂取を6mg/日以下に抑えるようにしましょう。

→ 肝臓病の人が避けたほうが良い食べ物 について詳しくはこちら


運動

強い運動でなくても体にたまった脂肪の燃焼には効果があるので、少しでも体を動かすようにしましょう。

体重を1日50グラムずつ減らすようにして、1カ月1キログラム強の減量を行なうと良いと思います。

NASHの場合には、3キロほど減量すると数値が改善する可能性も高いそうです。

週250分の運動で脂肪肝改善 「やせなくても効果あり」|筑波大研究グループによれば、筑波大の研究グループによれば、、肥満の人は、週250分以上早歩きなどのやや強めの運動をすると、体重が減らなくても、肝臓に蓄積した脂肪が減少したり、善玉コレステロールや肝臓の炎症を防ぐ物質「抗炎症性アディポカイン(adiponectin)」が増えていること、肝臓の貯蔵鉄(ferritin)と過酸化脂質(TBARS)の減少がわかったそうです。

【関連記事】

運動によって非アルコール性脂肪肝の脂肪蓄積と肝硬度は改善する|筑波大

週150分の早歩きを続けるだけでも、肝臓の中性脂肪が減っており、脂肪肝・NAFLDの改善が期待できる

NASH(非アルコール性脂肪性肝炎)はどんな人が注意したい病気!?


睡眠

最近では十分な睡眠も大切とされています。

計算上、週に3日夜更かしすると年間1kgの脂肪燃焼の妨げになるそうです。

脳:糖で作られたエネルギーを好む

心臓:脂肪で作られたエネルギーを好む

起きている間は、肝臓は脳のために糖を使ってエネルギーを作ります。

寝るときには、脳はそれほどエネルギーを必要としないので、肝臓は心臓のために脂肪を使ってエネルギーを作ります。

つまり、ムダに夜更かししていると、肝臓が燃やすはずの脂肪が燃えないということです。



NASH予防の原則は、脂肪肝からNASHへの進展を食い止めること

NASHに移行する前に、肥満や脂肪肝と診断されたら食生活を改善し、運動で体重を落とすことが重要です。


タウリン

●脂肪肝に良い食事・食品は、タウリンを含む食事・食品です。

肝臓から分泌される胆汁酸には、コレステロールを排泄させる働きがありますが、タウリンを含む食品を摂取するによって胆汁酸の分泌が増え、血液中のコレステロール値も下がります。

●タウリンには、酵素の働きを助ける働きがあるので、アルコールの分解を早め、肝臓への負担を軽くしてくれます。

また、タウリンには、腎臓や肝臓の有害ミネラルである毒素を濾過する機能をUPさせてくれます。

カキに含まれるタウリンは、肝臓に溜まった中性脂肪を肝臓の外に出してくれ、そして脂肪肝を良くする働きがあるのです。

つまり、タウリンが肝臓に入ると、まず肝臓内の中性脂肪を取り除きます。

さらに肝臓から脂肪を外に排出する働きをしてくれます。

食事療法としては、タウリンを含むカキなどを食事に取り入れましょう。

→ タウリンとは|タウリンの効果・効能|タウリンの多い食品・食べ物 について詳しくはこちら。



不飽和脂肪酸やオメガ3脂肪酸の油

不飽和脂肪酸は、HDLコレステロールを増やし、LDLコレステロールを減らす働きがあると言われています。

また、青魚やえごま油・くるみなど不飽和脂肪酸に含まれるオメガ3脂肪酸(EPA・DHA・アルファリノレン酸など)など不飽和脂肪酸を多く含む食品は、肝臓での中性脂肪の合成を抑え、血中の中性脂肪を減らすといわれています。

→ オメガ3脂肪酸|オメガ3の効能・効果・食べ物・オメガ3ダイエット について詳しくはこちら


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ブロッコリー

米イリノイ大学のエリザベス・ジェフリー教授らの研究チームが行なったマウスの実験によれば、エサにブロッコリーを混ぜたマウスは中性脂肪の量が少なく、がんの発症率も低かったそうです。

この研究を参考にすれば、ブロッコリーを食べると、脂肪肝肝臓がんの予防につながることが期待できます。

ブロッコリー新芽由来の成分「スルフォラファン」に肝機能改善効果―カゴメで紹介したカゴメと東海大学医学部付属東京病院の研究によれば、ブロッコリー新芽由来の機能成分「スルフォラファン」が「γ−GTP」といった肝機能の数値を改善したという結果が確認されたそうです。

肝機能の数値が気になる方は食事の中にブロッコリーを取り入れてみてはいかがしょうか。

ブロッコリーがない場合は、ブロッコリーと同じアブラナ科の野菜(ケール・芽キャベツなど)をとるといいそうですよ。

→ ブロッコリーを食べると脂肪肝と肝臓がんが予防できる!? について詳しくはこちら



お茶カテキン

花王と久留米大学医学部との共同研究によれば、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:non-alcoholic fatty liver disease)の患者が高濃度茶カテキン飲料を12週間継続的に摂取したところ、肝臓への脂肪蓄積が低減し、肝機能が改善することがわかったそうです。

非アルコール性脂肪肝が起きる原因としては、活性酸素が原因なのだそうで、その改善には、抗酸化作用の高いものがよいようです。

NAFLDの発症は、体内に活性酸素が過剰に発生した状態である「酸化ストレス」が発症原因の一つなのだそうですが、高濃度茶カテキン飲料の継続的摂取により、「酸化ストレス」の指標である尿中イソプラスタン値が低減することが認められたそうです。

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EPAを含む青魚を食べる

EPAの8つの美容&健康効果によれば、青魚に含まれるEPAを摂取することで、中性脂肪値が著しく低下するといわれています。

サバダイエットで中性脂肪・コレステロールの数値改善によれば、サバにはDHAやEPAが多く含まれており、DHA・EPAは中性脂肪を下げる効果や血管を柔らかくする効果があることから、動脈硬化や心筋梗塞を予防する働きがあるといわれています。

魚うどん(EPA)で血管若返り|たけしのみんなの家庭の医学によれば、体重が97キロで、血糖値LDLコレステロール(悪玉コレステロール)中性脂肪値が基準値を超えていた人が、魚うどん(青魚のトビウオを原料にした魚のすり身で作られたうどん)を食べたことで、体重が−14キロになり、すべての数値が症状に戻ったそうです。

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by eric molina(画像:Creative Commons)



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